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特許7222681電気作動を有する航空機用の電力システム構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電気作動を有する航空機用の電力システム構造
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230208BHJP
   B64C 13/50 20060101ALI20230208BHJP
   B64D 41/00 20060101ALI20230208BHJP
   H02J 5/00 20160101ALI20230208BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230208BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H02J1/00 303
B64C13/50
B64D41/00
H02J1/00 306K
H02J1/00 306L
H02J5/00
H02J7/00 B
H02J7/34 D
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018228610
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2019180225
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】15/834,606
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ソロドフニク, ユージーン ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】カリアー, トーマス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】リフリング, マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】カリミ, カミア ジェイ.
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-205495(JP,A)
【文献】特表2015-532081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B64C 13/50
B64D 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)バス(110、160);
電気アクチュエータ負荷(106、156)であって、前記電気アクチュエータ負荷を逆駆動することによって回生電気エネルギーが生成され、前記電気アクチュエータ負荷が前記回生電気エネルギーを前記DCバスへ伝達するよう構成されている、電気アクチュエータ負荷
なくとも一つの追加の負荷(114、164)であって、前記回生電気エネルギーの少なくとも一部が、前記少なくとも一の追加の負荷へ伝達される、少なくとも一つの追加の負荷;
交流(AC)バス(104、154);
前記ACバスからのAC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換し、且つ前記DC電気エネルギーを前記DCバスへ伝達するよう構成されている整流器(108、158);及び
第1の閾値電荷未満である充電状態を有するバッテリ(118、168)に応じて、充電器(116、166)を前記DCバスに接続するよう構成されており、且つ第2の閾値電荷を超える充電状態を有する前記バッテリに応じて、前記整流器(108、158)を前記DCバスから切断するよう構成されているバス電力制御ユニット(120);
を含む回生負荷(112、162)のための電力システム(100、410)。
【請求項2】
充電器(116、166)であって、前記回生電気エネルギーの少なくとも一部が前記充電器へ伝達される、充電器;及び
前記充電器により充電されるよう構成されるバッテリ(118、168)
を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気アクチュエータ負荷が、航空機(400)の操縦翼面(402)を動かすように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記回生電気エネルギーが、前記電気アクチュエータ負荷又は前記DCバスに結合したレジスタを通して熱として消散されない、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
電力システム(100、410)中の回生負荷(112、162)を管理するための方法であって、
電気エネルギーを直流(DC)バス(110、160)から前記DCバスに結合した電気アクチュエータ(112、162)へ伝達すること;
前記DCバスで、前記電気アクチュエータの逆駆動の発生により生じる前記電気アクチュエータからの回生電気エネルギーを受信すること
記DCバスに結合したバッテリ(118、168)で回生電気エネルギーの少なくとも一部を貯蔵すること;
第1の閾値電荷未満の充電状態を有する前記バッテリに応じて、充電器(116、166)を前記DCバスに接続すること;及び
第2の閾値電荷を超える充電状態を有する前記バッテリに応じて、整流器(108、158)をACバスから切断すること
を含む、方法。
【請求項6】
前記回生電気エネルギーの少なくとも一部を、前記DCバスに結合した少なくとも一つの負荷(114、164)へ伝達すること
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
ACバスからの交流(AC)電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換すること、及び前記DCバスで前記DC電気エネルギーを受信すること、
を更に含む、請求項5又は6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して、電力システム構造、特に電気作動を有する航空機用の電力システム構造に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来の飛行制御作動システムは、高圧の油圧流体を用いて、航空機操縦翼面を動かすアクチュエータに電力を提供する。油圧システムの設置は、高価で時間がかかり、プロセス中にかなりの調整(リギング)を含むことがある。反対に、電気アクチュエータは、高価なリギング、試験、又は油圧ラインからの空気のブリードを必要としないことがある。電気作動システムにおいて、油圧管は、より軽く、あまり容積を占めない、狭い空間に組み込むことが容易な電気ワイヤと置き換えられる。また、電気アクチュエータの設置は、比較的簡潔で低価格であり得る。
【0003】
アクチュエータに取り付けられた操縦翼面が飛行中に空気の力によって逆駆動するとき、電気アクチュエータは電力を再生することができる。アクチュエータモータは、典型的には、永久磁石モータであり、これは、逆駆動される場合、ジェネレータとして作動し、回生電気エネルギーを生成する。このエネルギーは、アクチュエータモータコントローラ及びそれに取り付けられた直流(DC)リンクに戻されてもよい。回生電気エネルギーはまた、交流(AC)/DC整流器トポロジーによって、ACシステムに伝搬することができる。AC/DC整流器が回生電気エネルギーをACバスへ伝搬できない場合、余剰のエネルギーは、DCリンクでの電圧上昇を引き起こす可能性があり、それは、整流器、DCリンク、電気アクチュエータ、及び/又は他の電気構成要素を損傷し得る。AC/DC整流器が余剰のエネルギーをACバスに伝搬することができる場合、ACに電力を提供するACジェネレータ上の負荷の力率は、ジェネレータにキャパシタンスを効果的に追加して、遅れ負荷から進み負荷へシフトすることができる。追加されたキャパシタンスは、システムの電力品質を低減することがあり、いくつかの場合においては、ジェネレータの自己励磁及び制御不能な電圧上昇をもたらし得る。
【0004】
いくつかの電気アクチュエータシステムは、一又は複数のレジスタを含み、余剰の回生電気エネルギーを消散する。DCリンクの電圧が限界値に達したとき、固体のスイッチは、レジスタをシステムと接続させるために使用されてもよい。レジスタにより消費される電力は、航空機の他のシステムによって使用し得たエネルギーの損失をもたらす。さらに、レジスタにより生成される熱は、熱管理の問題を生み出し、これは追加のヒートシンク装置を必要とすることがある。しばしば、追加の気流も、生成された追加の熱をヒートシンク装置が十分に管理することを可能にするよう、アクチュエータへ向けられる必要がある。そのため、追加の装置は、航空機に重量及び抵抗を追加することがあり、性能の低下及び燃料使用の増加をもたらし得る。余分の熱はまた、電気アクチュエータそれ自体の信頼性に影響を及ぼすことがある。他の欠点も存在し得る。
【発明の概要】
【0005】
上記の欠点の少なくとも一つを克服し得るシステム及び方法が開示される。例えば、電力システムは、電気アクチュエータ負荷から回生電気エネルギーを受信するため、及びDCバスに接続された一又は複数の他の負荷(アクチュエータ、装置、システム等)に回生電気エネルギーを提供するために、DCバスを含むことができる。本システムはまた、余剰の電気エネルギーを貯蔵するためのバッテリを含むことができる。
【0006】
ある実施形態では、回生負荷のための電力システムはDCバスを含む。本システムは、電気アクチュエータ負荷をさらに含み、ここで、電気アクチュエータ負荷を逆駆動することにより回生電気エネルギーが生成され、且つ電気アクチュエータ負荷は回生電気エネルギーをDCバスへ伝達するように構成されている。本システムはまた、少なくとも一つの追加の負荷を含み、ここで、回生電気エネルギーの少なくとも一部は、少なくとも一つの負荷へ伝達される。
【0007】
いくつかの実施形態では、本システムは充電器を含み、ここで、回生電気エネルギーの少なくとも一部は充電器へ伝達され、バッテリは充電器によって充電されるよう構成されている。いくつかの実施形態では、本システムは、ACバスと、ACバスからのAC電気エネルギーをDC電気エネルギーへ変換し、且つDC電気エネルギーをDCバスへ伝達するよう構成されている整流器とを含む。いくつかの実施態様では、本システムは、第1の閾値電荷未満の充電状態を有するバッテリに応じて、充電器をDCバスに接続させるよう構成されており、且つ第2の閾値電荷を超える充電状態を有するバッテリに応じて、整流器をDCバスから切断するよう構成されているバス電力制御ユニットを含む。
【0008】
いくつかの実施態様では、DCバスは輸送体の左側DCバスであり、本システムは右側DCバスを含む。いくつかの実施態様では、左側DCバス及び右側DCバスは、バス電力制御ユニットからの制御信号に応じて、互いの間で電気エネルギーを伝達するよう構成されている。いくつかの実施態様では、電気アクチュエータ負荷は輸送体の左側電気アクチュエータ負荷であり、本システムは、右側電気アクチュエータ負荷を含み、ここで、右側電気アクチュエータ負荷を逆駆動することにより追加の回生電気エネルギーが生成され、且つ右側電気アクチュエータ負荷は追加の回生電気エネルギーを右側DCバスへ伝達するよう構成されている。いくつかの実施態様では、充電器は左側充電器であり、バッテリは輸送体の左側バッテリであり、本システムは右側充電器を含み、ここで、追加の回生電気エネルギーの少なくとも一部は右側充電器へ伝達され、右側バッテリは右側充電器により充電されるよう構成されている。
【0009】
いくつかの実施態様では、電気アクチュエータ負荷は、航空機の操縦翼面を動かすように構成されている。いくつかの実施態様では、回生電気エネルギーは、電気アクチュエータ負荷又はDCバスに結合したレジスタを通して熱として消散されない。
【0010】
ある実施形態では、電力システムにおいて回生負荷を管理するための方法は、電気エネルギーをDCバスからDCバスに結合した電気アクチュエータへ伝達することを含む。本方法は、電気アクチュエータの逆駆動の発生により引き起こされる電気アクチュエータからの回生電気エネルギーをDCバスで受信することをさらに含む。本方法はまた、DCバスに結合したバッテリで回生電気エネルギーの少なくとも一部を貯蔵することを含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、本方法は、回生電気エネルギーの少なくとも一部を、DCバスに結合した少なくとも一つの負荷へ伝達することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、ACバスからのAC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換すること及びDCバスでDC電気エネルギーを受信することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、第1の閾値電荷未満の充電状態を有するバッテリに応じて、充電器をDCバスに接続すること、及び第2の閾値電荷を超える充電状態を有するバッテリに応じて、整流器をACバスから切断することを含む。
【0012】
いくつかの実施態様では、DCバスは輸送体の左側DCバスであり、本方法は、左側DCバスと右側DCバスとの間で電気エネルギーを伝達することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、電気アクチュエータを使用して操縦翼面を動かすことを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、電気アクチュエータ又はDCバスに結合したレジスタを通して、回生電気エネルギーを熱として消散することなく、実施される。
【0013】
ある実施形態では、電力システムにおいて回生負荷を管理するための方法は、第1の閾値電荷未満の充電状態を有するバッテリに応じて、バッテリを充電するためにバッテリをDCバスに選択的に結合することを含む。本方法は、第2の閾値電荷を超える充電状態を有するバッテリに応じて、整流器をACバスから選択的に切断することをさらに含む。本方法はまた、DCバスに結合した電気アクチュエータの逆駆動の発生により引き起こされる回生電気エネルギーをDCバスで受信することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、ACバスでの電源遮断に応じて、充電器をDCバスから切断すること、及びバッテリをDCバスに接続することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ACバスでの電源の復旧に応じて、バッテリからDCバスを切断すること、及び充電器をDCバスに接続することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】回生負荷のための電力システムの実施形態を図示するブロック図である。
図2】回生負荷を管理するための方法の実施形態を図示するフロー図である。
図3】回生負荷のための電力システムでの電源遮断を管理する実施形態を図示するフロー図である。
図4】多数の構造及びシステムを含む航空機の実施形態を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は様々な修正形態及び代替形態に適用しやすいものであるが、特定の実施形態を単なる例示として図面に示し、本明細書に詳しく説明する。しかしながら、本開示は開示された特定の形態に限定されることを意図していないことを理解されたい。むしろ、その意図は、本開示の範囲内に含まれるすべての修正形態、等価形態、及び代替形態を網羅することである。
【0017】
図1を参照すると、回生負荷のための電力システム100の実施形態が図示されている。システム100は、輸送体の一部、例えば航空機の一部であり得る。さらに、輸送体はその左側と右側で対称な特徴を有し得る。この対称性は、電力システム100に引き継がれ得る。このため、システム100は、輸送体(例えば航空機)の左側に相当する左側サブシステム102と、輸送体の右側に相当する右側サブシステム152とを含み得る。
【0018】
左側サブシステム102は、左側ACバス104を含み得る。左側ACバス104は、タービン電力ジェネレータ(非表示)、外部電源、別タイプのジェネレータ又はそれらの任意の組み合わせによって動いてもよい。少なくとも一の左側AC負荷106は、左側ACバス104に接続し、それにより動いてもよい。左側AC負荷106は、AC電気装置、又は別タイプのAC負荷に相当し得る。
【0019】
左側サブシステム102は、ACバス104からのAC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換する整流器108をさらに含むことができる。整流器108は、左側ACバス104上に存在するAC電気信号を変換するのに使用可能な任意の回路トポロジーを含み得る。システム100に実装され得る整流器トポロジーのいくつかの例には、受動的整流器、例えば限定されないが単巻変圧器整流器ユニット、及び能動的整流器、例えば限定されないが昇圧又は降圧力率補正整流器が含まれる。
【0020】
整流器108により変換されたDC電力は、左側DCバス110へ伝達され得る。左側DCバス110上の電圧は、時々変動し、電気エネルギーが左側DCバス110へ伝達されるにつれて増加し、平衡に再接近するにつれて減少する。これらの電力変動を補償するために、DCバス110に接続された各システム又は装置は、供給される実際のDC電圧を調整するモータコントローラ(非表示)又は他の種類のコントローラを有し得る。左側DCバス110は、航空機用の+/-135ボルト又は+/-270ボルトのレベルの電圧レベルを有する高圧DCバスであってもよい。
【0021】
左側DCバス110は、一又は複数の左側回生負荷112に電力を供給することができる。例えば、左側回生負荷112は、航空機の操縦翼面、例えば補助翼、エレベータ、方向舵、フラップ、スポイラー、スラット、空気ブレーキ、又は別タイプの操縦面に結合した電気アクチュエータであってもよい。使用中、回生負荷112は回生電気エネルギーを生成し得る。例えば、回生負荷112は、逆駆動される場合、電気エネルギーを生成する永久磁石モータを含んでもよい。回生負荷112は、制御面、又は外力に供される航空機の別の表面に結合され得る。外力は、該表面を逆駆動することができ、それによりモータを逆駆動し、回生電気エネルギーを生成する。
【0022】
加えて、DCバス110は、一又は複数の左側非回生負荷114に電力を供給することができる。非回生負荷114は、外力、例えば着陸装置、内部モータ及び電子装置により典型的に逆駆動されない負荷を含んでもよい。
【0023】
左側サブシステム102はまた、左側バッテリ118を充電するよう構成されている左側充電器116を含むことができる。バッテリは、航空機用の+/-135ボルト又は+/-270ボルトのレベルの電圧容量を有する高圧DCバッテリであってもよい。
【0024】
左側サブシステム102と同じように、右側サブシステム152は、右側ACバス154、右側AC負荷156、右側整流器158、右側DCバス160、少なくとも一つの右側回生負荷162、少なくとも一つの右側非回生負荷164、右側充電器166、及び右側バッテリ168を含むことができる。右側サブシステム152のこれらの特徴は、左側サブシステム102からのそれらの対応物と同じ属性及び構成を有し得る。
【0025】
左側サブシステム102と右側サブシステム152のいくつかの特徴は、相互作用し得る。例えば、電気エネルギーを左側DCバス110と右側DCバス160との間へ伝達することが可能であり得る。他の相互作用も可能である。
【0026】
システム100は、一又は複数のバス電力制御ユニット120をさらに含むことができる。バス電力制御ユニット120は、ACバス104、154及びDCバス110、160に通信可能に結合され得る。より具体的には、バス電力制御ユニット120は、サブシステム102、152の構成要素のそれぞれをシステム100の内外に切り替えるように複数のコンタクタ122を制御することができる。例えば、左側AC負荷106は、左側ACバス104に接続され、それから切断されてもよい。左側整流器108は、左側ACバス104に接続され、それから切断されてもよい。左側回生負荷112、非回生負荷114、充電器116、及びバッテリ118は、個別に左側DCバス110に接続し、それから切断されてもよい。左側DCバス110及び右側DCバス160は、電力分配動作を実施するために接続及び切断することができる。同様の、右側サブシステム152の構成要素間の接続及び切断は、バス電力制御ユニット120によって制御され得る。
【0027】
バス電力制御ユニット120は、マイクロプロセッサ又は別タイプの制御ユニットを含んでもよい。例えば、バス電力制御ユニット120は、中央処理装置(CPU)、グラフィカル処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、周辺インターフェースコントローラ(PIC)、別タイプのマイクロプロセッサ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。バス電力制御ユニットは、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、他の種類のデジタル若しくはアナログ電気設計構成要素、又はそれらの組み合わせとして実装されてもよい。バス電力制御ユニット120は、様々なセンサをさらに含むことができる。例えば、電圧センサは、ACバス104、154、DCバス110、160、及びバッテリ118、168上の電圧を検出することができる。このデータは、システム100内の電力をどのように管理するかを決定するために、バス電力制御ユニット120によって使用され得る。
【0028】
動作中、左側ACバス104は、AC電気エネルギーを左側負荷106及び左側整流器108に提供する。左側整流器108は、AC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換し、DC電気エネルギーを左側DCバス110へ伝達することができる。左側DCバス110は、DC電気エネルギーを回生負荷112、非回生負荷114、及び充電器116に提供することができる。
【0029】
ある時点では、回生負荷112は逆駆動されてもよく、それにより回生電気エネルギーが左側DCバス110へ伝達される。非回生負荷114が左側DCバス110に結合しているとき、回生電気エネルギーは左側非回生負荷114へ伝達され得る。それ以外の場合は、回生電気エネルギーは充電器116へ伝達され、バッテリ118を充電するために使用され得る。同じ動作が右側サブシステム152についても生じ得る。
【0030】
システム100の利点は、DCバス110、160上で回生電気エネルギーを受信することにより、本システムが、非回生負荷114、164のような他の負荷に電力を続いて与えるために使用され得ることである。別の利点は、バッテリ118、168を含むことにより、回生エネルギーが後まで貯蔵され得ることである。これは、システム100が回生DC負荷112、162又はDCバス110、160で放電レジスタを省力することを可能にする。他の利点も存在し得る。
【0031】
図2を参照すると、回生負荷を管理するための方法200の実施形態が図示されている。バッテリ118、168が回生負荷112、162から受信した回生電気エネルギーから追加の電荷を受け入れることを可能にするレベルでバッテリ118、168で充電状態を保持するために、方法200はバス電力制御ユニット120により実行され得る。本方法は、左側サブシステム102を参照して記載されているが、同じ方法が右側サブシステム152に対して適用され得ることを理解されたい。
【0032】
本方法200は、202で開始し、204でバッテリの充電状態が第1の閾値未満であるかを決定することを含んでもよい。例えば、バス電力制御ユニット120は、左側DCバッテリ118の充電状態が第1の閾値未満であるかを決定し得る。一実施形態では、第1の閾値は50%であり得る。しかしながら、他の閾値が使用されてもよい。
【0033】
本方法200は、50%未満である充電状態に応じて、206で、充電器をDCバス、例えば高圧直流(HVDC)バスに接続し、それによりバッテリを充電することをさらに含んでもよい。例えば、左側充電器116は、バス電力制御ユニット120の制御下でコンタクタ122を介して、左側DCバス110に接続され得る。これにより、左側バッテリ118が充電される。
【0034】
本方法200はまた、208でバッテリの充電状態が第2の閾値を超えるかを決定することを含むことができる。例えば、バス電力制御ユニット120は、左側DCバッテリ118の充電状態が第2の閾値を超えるかを決定し得る。第2の閾値は、左側DCバス110から回生エネルギーを受信するために、バッテリ118内に十分な充電容量を残すのに十分である必要がある。一実施形態では、第2の閾値は70%である。しかしながら、他の閾値が使用されてもよい。
【0035】
本方法200は、第2の閾値を超える充電状態に応じて、210で、整流器、整流器ユニット(RU)をACバスから切断し、それによりバッテリを(例えば電力供給装置をバッテリから)放電することを含むことができる。例えば、左側バッテリ118の充電状態が第2の閾値を超えるとき、整流器108は左側ACバス104から切断され得る。その後、左側バッテリ118は、左側DCバスに電力供給するために使用され、バッテリ118の放電をもたらし得る。
【0036】
本方法200の利点は、回生負荷112、162からそれぞれ受信した追加の回生エネルギーを受け入れるのにバッテリ118、168の充電状態が十分低いレベルで維持され得ることである。他の利点も存在し得る。
【0037】
図3を参照すると、回生負荷のための電力システムでの電源遮断を管理する方法300の実施形態が図示されている。
【0038】
本方法300は302で開始し、304で電力分配が保留であるかを決定することを含むことができる。電力分配は、電力の遮断を引き起こし得る。図3の例では、電力の遮断の原因として電力分配が使用されているが、電力遮断についての他の要因も検出され得る。
【0039】
本方法300は、電力遮断が生じるかの決定に応じて、306で充電器をDCバスから切断することをさらに含むことができる。例えば、左側充電器116は、バス電力制御ユニット120の制御下でコンタクタ122を使用して、左側DCバス110から切断され得る。同様に、右側充電器166は右側DCバス160から切断され得る。
【0040】
本方法300は、308でバッテリをDCバスに接続することも含むことができる。例えば、左側バッテリ118は、左側DCバス110に接続し、それに電力を供給するのに使用され得る。右側バッテリ168は、右側DCバス160に接続し、それに電力を供給するのに使用され得る。
【0041】
本方法300は、310で電力分配を実施すること、及び312で電力分配が完了しているかを決定することを含む。上で説明したように、電力分配は、電力遮断の原因のほんの一例である。他の電力遮断も生じ得る。いくつかの実施態様では、本方法300は、原因にかかわらず、電源遮断の終了を待つことを含んでもよい。
【0042】
本方法300は、電力分配の完了又は別タイプの電力遮断の終了に応じて、314でバッテリをDCバスから切断することを含んでもよい。例えば、左側バッテリ118は、左側DCバス110から切断され得る。右側バッテリ168は、右側DCバス160から切断され得る。本方法300は、図2の方法200を実施することを含んでもよく、これは、318で充電器をDCバスに再接続することを含み、その後、方法300は320で終了し得る。
【0043】
方法300の利点は、バッテリ118、168は、別の方法で電力遮断を生み出し得る電力事象中に、DCバス110、160に連続した電力を提供するために使用され得ることである。他の利点も存在し得る。
【0044】
図4を参照すると、航空機400の一実施形態が示されている。航空機400は、機体402、内装404及び複数のシステム410を含むことができる。高レベルのシステム410の例には、推進システム412、電気システム414、油圧システム416、及び環境システム418のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムも含まれてよい。航空宇宙産業の例を示したが、本開示の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。
【0045】
本明細書に記載されるように、油圧システム416のある部分は、電気アクチュエータで置き換えられてもよく、したがって電気システム414の一部として含まれてもよい。例えば、電気システム414は、本明細書に記載される回生負荷のための電力システム100を含むことができる。
【0046】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0047】
条項1:直流(DC)バス;電気アクチュエータ負荷であって、前記電気アクチュエータ負荷を逆駆動することによって回生電気エネルギーが生成され、且つ前記電気アクチュエータ負荷が前記回生電気エネルギーを前記DCバスへ伝達するように構成されている、電気アクチュエータ負荷;及び少なくとも一つの追加の負荷であって、回生電気エネルギーの少なくとも一部が前記少なくとも一つの追加の負荷へ伝達される、少なくとも一つの追加の負荷を含む、回生負荷のための電力システム。
【0048】
条項2:充電器であって、前記回生電気エネルギーの少なくとも一部が前記充電器へ伝達される充電器;及び前記充電器によって充電されるように構成されたバッテリをさらに含む、条項1に記載のシステム。
【0049】
条項3:交流(AC)バスと;ACバスからのAC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換し、前記DC電気エネルギーを前記DCバスへ伝達するよう構成されている整流器とをさらに含む、条項1に記載のシステム。
【0050】
条項4:第1の閾値電荷未満である充電状態を有するバッテリに応じて、充電器を前記DCバスに接続するよう構成されており、且つ第2の閾値電荷を超える充電状態を有する前記バッテリに応じて、整流器を前記DCバスから切断するよう構成されているバス電力制御ユニットをさらに含む、条項3に記載のシステム。
【0051】
条項5:前記DCバスが輸送体の左側DCバスであり、当該システムが右側DCバスをさらに含む、条項4に記載のシステム。
【0052】
条項6:前記左側DCバス及び前記右側DCバスが、前記バス電力制御ユニットからの制御信号に応じて、互いの間で電気エネルギーを伝達するよう構成されている、条項5に記載のシステム。
【0053】
条項7:前記電気アクチュエータ負荷が前記輸送体の左側電気アクチュエータ負荷であるシステムであり、当該システムが、右側電気アクチュエータ負荷であって、前記右側電気アクチュエータ負荷を逆駆動することによって追加の回生電気エネルギーが生成され、且つ前記右側電気アクチュエータ負荷が前記追加の回生電気エネルギーを前記右側DCバスへ伝達するよう構成されている、右側電気アクチュエータ負荷をさらに含む、条項5に記載のシステム。
【0054】
条項8:前記充電器が左側充電器であり、前記バッテリが前記輸送体の左側バッテリであり、当該システムが:右側充電器であって、前記追加の回生電気エネルギーの少なくとも一部が前記右側充電器へ伝達される右側充電器;及び前記右側充電器により充電されるよう構成されている右側バッテリ;をさらに備える、条項7に記載のシステム。
【0055】
条項9:前記電気アクチュエータ負荷が航空機の操縦翼面を動かすように構成されている、条項1に記載のシステム。
【0056】
条項10:前記回生電気エネルギーが、前記電気アクチュエータ負荷又は前記DCバスに結合したレジスタを通して熱として消散されない、条項1に記載のシステム。
【0057】
条項11:電力システム中の回生負荷を管理するための方法であって、電気エネルギーを直流(DC)バスから前記DCバスに結合した電気アクチュエータへ伝達すること;前記DCバスで、前記電気アクチュエータの逆駆動の前記発生により生じる前記電気アクチュエータから回生電気エネルギーを受信すること;及び前記DCバスに結合したバッテリで、前記回生電気エネルギーの少なくとも一部を貯蔵すること;を含む、方法。
【0058】
条項12:前記回生電気エネルギーの少なくとも一部を、前記DCバスに結合した少なくとも一の負荷へ伝達することをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0059】
条項13:ACバスからの交流(AC)電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換すること、及び前記DCバスで前記DC電気エネルギーを受信することをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0060】
条項14:第1の閾値電荷未満である充電状態を有する前記バッテリに応じて、充電器を前記DCバスに接続すること;
及び第2の閾値電荷を超える充電状態を有する前記バッテリに応じて、整流器をACバスから切断することをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0061】
条項15:前記DCバスが輸送体の左側DCバスである方法であって、電気エネルギーを前記左側DCバスと右側DCバスとの間で伝達することをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0062】
条項16:前記電気アクチュエータを使用して操縦翼面を動かすことをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0063】
条項17:前記電気アクチュエータ又は前記DCバスに結合したレジスタを通して前記回生電気エネルギーを熱として消散することなく実施される、条項11に記載の方法。
【0064】
条項18:電力システム中の回生負荷を管理するための方法であって、
第1の閾値電荷未満である充電状態を有するバッテリに応じて、前記バッテリを直流(DC)バスに選択的に結合させて前記バッテリを充電すること;第2の閾値電荷を超える充電状態を有する前記バッテリに応じて、整流器ユニットを交流(AC)バスから選択的に分離すること;及び前記DCバスに結合した電気アクチュエータの逆駆動の発生により生じた回生電気エネルギーを前記DCバスで受信することを含む、方法。
【0065】
条項19:前記ACバスでの電源遮断に応じて、充電器を前記DCバスから切断すること;及びバッテリを前記DCバスに接続することをさらに含む、条項18に記載の方法。
【0066】
条項20:前記ACバスでの前記電源遮断の復旧に応じて、前記バッテリを前記DCバスから切断すること;及び前記充電器を前記DCバスに接続することをさらに含む、条項19に記載の方法。
【0067】
様々な実施形態が示され、説明されてきたが、本開示はそのように限定されず、当業者に明らかであるようにすべてのそのような修正形態及び変形形態を含むと理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4