(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、並びに新生児スクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230208BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230208BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20230208BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20230208BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230208BHJP
G01N 33/72 20060101ALI20230208BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20230208BHJP
A61B 5/12 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N35/02 C
G01N35/00 A
G01N33/53 T
G01N33/72 B
A61B5/1455
A61B5/12
(21)【出願番号】P 2018555641
(86)(22)【出願日】2017-05-01
(86)【国際出願番号】 US2017030425
(87)【国際公開番号】W WO2017190139
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-28
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518371445
【氏名又は名称】バービーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAEBIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムシー パムラ
(72)【発明者】
【氏名】ビジェイ スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン ボー
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/048173(WO,A2)
【文献】特表2006-500120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306859(US,A1)
【文献】特開2008-275627(JP,A)
【文献】特表2015-525888(JP,A)
【文献】特表2015-534808(JP,A)
【文献】特表2002-502045(JP,A)
【文献】国際公開第02/18627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/52-33/54,
G01N 37/00,
G01N 21/474,
A61B 5/12,5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生児スクリーニングのためのポイント・オブ・バース検査システムであって、
新生児のサンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、
前記ポイント・オブ・バース器具に通信可能に結合されて、ユーザインタフェースを提
供し、前記ポイント・オブ・バース器具を操作するスマートディスプレイと、
処理すべきサンプル流体を受け入れるための生化学カートリッジと、
を含み、前記生化学カートリッジは、前記サンプル流体を処理するために前記ポイント・オブ・バース器具に挿入され、前記スマートディスプレイにより処理されたサンプル流体の結果を伝達する、ポイント・オブ・バース検査システムであって、
前記生化学カートリッジは、前記生化学カートリッジが前記ポイント・オブ・バース器具に挿入されたときに、前記ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致する光学インタフェース領域を含む、
ポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項2】
前記生化学カートリッジは使い捨て可能である、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項3】
前記ポイント・オブ・バース器具は携帯可能である、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項4】
前記スマートディスプレイは、携帯型スマートデバイスまたはラップトップコンピュータである、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項5】
前記システムは、新生児の生物学的スクリーニングのみのための、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項6】
前記システムは、新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングのための、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項7】
前記システムは、更に、パルスオキシメトリ機構を含む、請求項6に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項8】
前記システムは、更に、聴覚スクリーニング機構を含む、請求項6または7に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項9】
前記システムは、複数の化合物を同時に識別する多重化試験のための、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項10】
前記システムは、前記生化学カートリッジ上の単一のサンプル流体で複数の検査対象を検査することができる、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項11】
前記ポイント・オブ・バース器具は、複数のタイプの生化学検査を実施する、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項12】
前記複数のタイプの生化学検査に、酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験および/または核酸試験を含む、請求項11に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項13】
前記システムは、生物学的マーカーのスクリーニングを実施する、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項14】
前記生物学的マーカーに、総ビリルビン、アンモニア、および/または中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼを含む、請求項13に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項15】
前記スマートディスプレイは、ユーザ
が前記ポイント・オブ・バース器具を操作するための新生児スクリーニングモバイルアプリケーションを含む、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項16】
前記スマートディスプレイは、前記ポイント・オブ・バース器具に組み込まれたディスプレイである、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項17】
前記生化学的カートリッジは、液体を保持するための
水平方向置きの水平リザーバモジュールを含み、
ここで、該水平リザーバモジュールのリザーバは水平に対して傾斜している、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項18】
新生児スクリーニングのための方法であって、
サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、
前記ポイント・オブ・バース器具とインタフェースで接続するスマートディスプレイと、
処理のためにサンプル流体を受け取るリザーバを有する生化学カートリッジと、
を含むポイント・オブ・バース検査システムを提供するステップと、
前記検査システムに識別情報を提供するステップと、
サンプル流体を前記生化学カートリッジのリザーバに充填するステップと、
サンプル流体を充填した後に前記生化学カートリッジのリザーバを封止するステップと、
前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具にローディングするステップと、
処理するために、サンプル流体を前記生化学的カートリッジの反応部分に放出するステップと、
前記ポイント・オブ・バース器具によってサンプル流体を処理するステップと、
処理されたサンプル流体の結果を取得するために
前記スマートディスプレイと前記ポイント・オブ・バース器具をインタフェースで接続するステップと、
前記結果を伝達するステップと、
を含む、新生児スクリーニングのための方法であって、
前記生化学カートリッジは、前記生化学カートリッジが前記ポイント・オブ・バース器具に挿入されたときに、前記ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致する光学インタフェース領域を含む、
新生児スクリーニングのための方法。
【請求項19】
更に、サンプル流体を充填した後に、前記生化学カートリッジのリザーバを封止するためのホイルストリップを提供するステップと、前記生化学カートリッジ上に前記ホイルストリップの一部を固定するホイル巻き取りリールを提供するステップと、前記ホイル巻き取りリールと係合するステッパモータを提供するステップと、前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具にローディングした後に、前記ステッパモータを作動させるステップと、前記ステッパモータを作動させて、サンプル流体を放出可能にした後に、前記リザーバから前記ホイルストリップを開封するステップと、を含む、請求項18に記載の新生児スクリーニングのための方法。
【請求項20】
前記生化学的カートリッジのリザーバは、第1リザーバおよび第2リザーバを含む、請求項18に記載の新生児スクリーニングのための方法。
【請求項21】
更に、両方のリザーバに第1および第2の各サンプル流体を充填した後に、前記生化学カートリッジの第1および第2リザーバを封止するためのホイルストリップを提供するステップと、前記生化学カートリッジ上に前記ホイルストリップの一部を固定するホイル巻き取りリールを提供するステップと、前記ホイル巻き取りリールと係合するステッパモータを提供するステップと、前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具にローディングした後に、前記ステッパモータを作動させるステップと、前記ステッパモータを起動させて、第1サンプル流体を前記第1リザーバに放出可能とした後に、前記ホイルストリップを前記第1リザーバから開封するステップと、前記第1リザーバが開封されて、前記第2サンプル流体を前記第2リザーバに放出可能とした後に、前記ホイルストリップを前記第2リザーバから開封するステップと、を含む、請求項20に記載の新生児スクリーニングのための方法。
【請求項22】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法であって、
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングソフトウェアアプリケーションを有し、サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、処理するために前記サンプル流体を受け入れるための生化学カートリッジとを含む、ポイント・オブ・バース検査システムと通信しているスマートディスプレイを提供するステップと、
前記スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションにログインするステップと、
オープンオーダーを選択することによって前記スマートディスプレイと前記ポイント・オブ・バース検査システムをインタフェースで接続するステップと、
前記生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップと、
サンプル流体を含む前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具に挿入するステップと、
前記スマートディスプレイと前記ポイント・オブ・バース検査システムをインタフェースで接続して、前記生化学カートリッジの処理を初期化するステップと、
前記生化学カートリッジを処理するのに適切な流体サンプルを確認するステップと、
前記サンプル流体を前記ポイント・オブ・バース器具によって処理するステップと、
前記スマートディスプレイを監視して、前記サンプル流体の処理状況を判定するステップと、
処理された前記サンプル流体の検査結果を閲覧するステップと、
を含む、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法であって、
前記生化学カートリッジは、前記生化学カートリッジが前記ポイント・オブ・バース器具に挿入されたときに、前記ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致する光学インタフェース領域を含む、
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項23】
前記スマートディスプレイにログインするステップは、ユーザIDおよびパスワードを手動で入力することによって、および/またはバーコードリーダーを使用して、資格情報をスキャンすることによって実施される、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項24】
前記サンプル流体識別子はバーコードである、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項25】
更に、サンプル流体識別情報を入力して、前記スマートディスプレイの前記ソフトウェアアプリケーションにおいてオープンオーダーを作成するステップを含む、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項26】
更に、前記生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップを含む、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項27】
前記生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップは、前記生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップの後であって、かつ、サンプル流体を含む前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具に挿入するステップの前に実施される、請求項26に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項28】
新生児からサンプル流体を収集するステップは、前記生化学カートリッジ内の入力ウェルのカバーを除去するステップと、一定量のサンプル流体を挿入するステップと、前記入力ウェルを封止するステップと、を含む、請求項26に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項29】
更に、前記検査結果を分配するステップを含む、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項30】
更に、前記スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションと前記ポイント・オブ・バース検査システムをインタフェースで接続して、以前に実施した検査結果を再検討するステップを含む、請求項22に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本開示の主題は、2016年4月29日に出願された「Point-of-Birth Instrument」と題する米国特許仮出願第62/329591号に関するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の主題は、一般的に生物学的材料の処理に関しており、より具体的には、ポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、並びに新生児スクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
新生児スクリーニング(NBS)は、出生直後に治療されることが最良である遺伝性代謝障害であるフェニルケトン尿症をスクリーニングするための公衆衛生対策として米国で導入され、その後、世界的に拡大し、より多くの治療可能な状態を含むようになった。NBSの分野は、単一の乾燥血液スポット(DBS)標本から30を超える状態をスクリーニングするためのマルチプレックス技術として、質量分析法の導入により多大な利益を得てきた。しかしながら、高スループット・アプリケーションのための典型的な公衆衛生研究所で使用される質量分析法および他の技術は、多量の液体ハンドリングおよび専門技術者を必要とする。更に、新生児スクリーニングのための伝統的なパラダイムは、DBS標本の分析によるが、このDBS標本は、公衆衛生または参照実験室に送付され、数日間の処理時間を要する故、一部の致命的な疾病の診断に遅れが生じる結果となる。特定の状況では、壊滅的であり、多くの場合、不可逆的な健康影響が生じる前に、出生から数時間以内に直ちに診断および治療の開始を必要とする。これらの障害のうちの一部は、高ビリルビン血症、ガラクトース血症、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症、高アンモニア血症、先天性甲状腺機能低下症(CH)、および先天性副腎過形成症(CAH)を含む。
【0004】
聴覚障害のためのスクリーニングは、出生時に聴性脳幹反応を用いて行われ、かつ先天性心不全をスクリーニングするためにパルスオキシメトリが行われるが、現時点では生化学スクリーニングに利用可能なポイント・オブ・バース新生児検査パネルは1つもない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポイント・オブ・バース検査システム、ポイント・オブ・バース器具、および生物学的カートリッジに関する。本発明は、更に、新生児スクリーニングの方法およびポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムの使用方法に関する。
【0006】
本発明の一態様では、新生児スクリーニングのためのポイント・オブ・バース検査システムが開示される。ポイント・オブ・バース検査システムは、新生児のサンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、ポイント・オブ・バース器具に通信可能に結合されてユーザインタフェースを提供し、ポイント・オブ・バース器具を操作するスマートディスプレイと、処理すべきサンプル流体を受け取るための生化学カートリッジと、を含む。生化学カートリッジは、サンプル流体を処理するためにポイント・オブ・バース器具に挿入することができる。更に、スマートディスプレイは、処理されたサンプル流体の結果を伝達することができる。
【0007】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムの生化学カートリッジは携帯可能であってもよい。更に、本発明のポイント・オブ・バース検査システムのポイント・オブ・バース器具は携帯可能であってもよい。本発明のポイント・オブ・バースシステムのスマートディスプレイは、携帯型スマートデバイスであってもよい。あるいは、ポイント・オブ・バースシステムのスマートディスプレイは、ラップトップコンピュータであってもよい。更に代替的な実施形態では、スマートディスプレイは、ポイント・オブ・バース器具に組み込まれたディスプレイである。
【0008】
一実施形態では、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、新生児の生物学的スクリーニングのみを支持することができる。あるいは、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングの両方を支持することができる。本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、パルスオキシメトリ機構を含むことができる。本発明の別の実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、聴覚スクリーニング機構を含むことができる。本発明の更なる実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、パルスオキシメトリ機構および聴覚スクリーニング機構の両方を含むことができる。
【0009】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、多重化試験を支持することができる。更に、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、生化学カートリッジ上の単一のサンプル流体で複数の検体を検査することができる。
【0010】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、複数のタイプの生化学試験を実施することができる。例えば、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験、および/または核酸試験等の複数のタイプの生化学試験を実施することができる。本発明のポイント・オブ・バース検査システムの一実施形態では、システムは生物学的マーカーのスクリーニングを行うことができる。例えば、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、総ビリルビン、アンモニア、および/または中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ等の生物学的マーカーについてスクリーニングすることができる。
【0011】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムのスマートディスプレイは、ユーザとインタフェースし、および/またはポイント・オブ・バース器具を操作するための新生児スクリーニングモバイルアプリケーションを含むことができる。
【0012】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムの生化学カートリッジの一実施形態では、生化学カートリッジは、液体を保持するための水平リザーバモジュールを含むことができる。更に、一実施形態では、水平リザーバモジュールは傾斜していてもよい。例えば、水平リザーバモジュールは、13~17°だけ傾斜していてもよい。本発明の一実施形態では、生化学カートリッジは、光学インタフェース領域を含む。生化学カートリッジの光学インタフェース領域は、生化学カートリッジがポイント・オブ・バース器具に挿入された際に、ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致することができる。
【0013】
本発明の別の態様では、サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具が開示される。ポイント・オブ・バース器具は、ハウジングと、サンプル流体を有する生化学カートリッジを受け取るローディングデッキと、ユーザとインタフェースするスマートディスプレイと、入力リーダーと、検査アッセイのためのプロセッサを含む生化学検査モジュールと、を含むことができる。ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイは、検査アッセイから、例えばユーザ等に結果を提供することができる。
【0014】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、ベースプレートと、ベースプレートに取り付けられた第1および第2サイドレールと、サイドレールの間に配置され、ポイント・オブ・バース器具の操作を制御する回路基板とを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、サイドレール間に配置されたカムと、カートリッジ係合ステッパモータと、カムベルトおよびプーリアセンブリと、生化学カートリッジのサンプル流体の分配を作動させるモータアセンブリとを含むことができる。更に、モータアセンブリは、ステッパモータ支持体上のステッパモータと、バネ付勢アダプタと、モータシャフトと、モータ係合部材とを含むことができる。
【0015】
一実施形態では、本発明のポイント・オブ・バース器具のハウジングは、電力入力ポートを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、電源取り付け板上に配置された電源アセンブリを含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイは、スマートデバイスまたはラップトップであってもよい。本発明のポイント・オブ・バース器具は、スマートデバイスまたはラップトップに電子的に接続するドッキングステーションを含むことができる。別の実施形態では、ポイント・オブ・バース器具は、スマートデバイスまたはラップトップと無線で通信することができる。更に別の実施形態では、ポイント・オブ・バース器具は、スマートデバイスまたはラップトップに電子的に接続するだけでなく、スマートデバイスまたはラップトップと無線で通信するオプションを有することもできる。ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイは、ユーザとインタフェースし、および/または、ユーザが関係者に結果を伝達し、追跡情報を提供し、器具の使用に関するトレーニングを提供し、臨床計算を実施し、および/または疾患の疫学的追跡を行うことを可能にするソフトウェアアプリケーションを含むことができる。
【0017】
ポイント・オブ・バース器具の一実施形態では、入力リーダーはバーコードリーダーである。更に、バーコードリーダーのような入力リーダーは、新生児識別情報をスキャンすることができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具は、蛍光計および/または光学分光計を含むことができる。更に、本発明のポイント・オブ・バース器具は、光学検出器を含むことができる。ポイント・オブ・バース器具は、パルスオキシメトリモジュールおよび/または聴覚スクリーニングモジュールを含むことができる。本発明のポイント・オブ・バース器具の一実施形態では、器具は携帯可能であってもよい。
【0019】
本発明の一態様では、新生児スクリーニングのための生化学カートリッジが開示される。本発明の生化学カートリッジは、底部基板と、底部基板から隙間によって離間した上部基板と、上部基板に隣接して配置されたカバーと、ローディングポートおよびローディングポートを開閉するためのウェルキャップアセンブリを有するサンプル入力ウェルと、を含むことができる。サンプル入力ウェルは、新生児検査流体を収集するためのものであってもよい。更に、生化学カートリッジは、検査のために新生児スクリーニング器具に挿入されてもよい。
【0020】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、サンプル入力ウェルをカバーに一体化することができる。生化学カートリッジのカバーは、起伏領域を含むことができる。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、上部基板と下部基板との間の間隙は、アッセイチャンバであってもよい。
【0021】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、サンプル入力ウェルは、水平リザーバモジュールであってもよい。更に、生化学カートリッジは、カバーガスケットと、水平リザーバモジュール取り付け板と、水平リザーバモジュールを固定するための取り付けポストとを更に含むことができる。本発明の一実施形態では、ウェルキャップアセンブリは、水平リザーバモジュールの内部に流体を封止するためのホイルストリップを含むことができる。更に、生化学カートリッジは、水平リザーバモジュールからホイルストリップを巻き取るための巻き取りリールと、上部基板に固定されたリール係合特徴部と、および/または、リザーバモジュール捕捉特徴部とを含むことができる。
【0022】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、水平リザーバモジュールは、第1サンプル流体を保持するための第1リザーバと、第2サンプル流体を保持するための第2リザーバとを含むことができる。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、リザーバは傾斜していてもよい。例えば、リザーバは、13~17°に角度付けすることができる。
【0023】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、カートリッジはデジタルマイクロフルイディクスを支持する。あるいは、本発明の生化学カートリッジは、デジタルマイクロフルイディクスを支持しない。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、新生児検査流体は、尿および/または血液であってもよい。更に、本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、底部基板は、プリント回路基板を含むことができる。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、底部基材と上部基材との間の間隙は、充填剤流体を含むことができる。
【0024】
本発明の更に別の代替的な態様では、新生児スクリーニングのための方法が開示されている。一実施形態では、新生児スクリーニングのための方法は、(1)サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、(2)ポイント・オブ・バース器具とインタフェースするスマートディスプレイと、(3)処理のためのサンプル流体を受け取るためのリザーバを有する生化学カートリッジと、を有するポイント・オブ・バース検査システムを提供するステップを含む。更に、新生児スクリーニングのための方法は、検査システムに識別情報を提供するステップと、サンプル流体を生化学カートリッジのリザーバに装填するステップと、サンプル流体を装填した後に生化学カートリッジのリザーバを封止するステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具にローディングするステップと、処理するために生化学カートリッジのアッセイにサンプル流体を放出するステップと、ポイント・オブ・バース器具によってサンプル流体を処理するステップと、処理されたサンプル流体の結果を得るためのスマートディスプレイとインタフェースするステップと、および/または結果を伝達するステップと、を含むことができる。
【0025】
新生児スクリーニングのための方法の一実施形態では、本方法は、更に、サンプル流体を装填した後に生化学カートリッジのリザーバを封止するためのホイルストリップを提供するステップと、生化学カートリッジ上に、ホイルストリップの一部を固定するホイル巻き取りリールを提供するステップと、ホイル巻き取りリールと係合するステッパモータを提供するステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具内にローディングした後にステッパモータを作動させるステップと、および/または、ステッパモータが作動して、サンプル流体が放出可能となった後、リザーバからホイルストリップを開封するステップと、を含むことができる。
【0026】
新生児スクリーニングのための方法の一実施形態では、生化学的カートリッジのリザーバは、第1リザーバおよび第2リザーバを含むことができる。更に、本方法は、両方のリザーバに第1サンプル流体および第2サンプル流体のそれぞれを装填した後に、生化学カートリッジの第1および第2リザーバを封止するためのホイルストリップを提供するステップと、生化学カートリッジ上に、ホイルストリップの一部を固定するホイル巻き取りリールを提供するステップと、ホイル巻き取りリールに係合するステッパモータを提供するステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具にローディングした後にステッパモータを作動させるステップと、ステッパモータが作動して、第1サンプル流体を第1リザーバ内に放出可能とした後に、第1リザーバからホイルストリップを開封するステップと、および/または、第1リザーバが開封されて、第2サンプル流体を第2リザーバに解放可能とした後に、第2リザーバからホイルストリップを開封するステップと、を含むことができる。
【0027】
本発明の別の態様では、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法が開示されている。一実施形態では、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法は、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングソフトウェアアプリケーションを有するスマートディスプレイを提供するステップを含み、このスマートディスプレイは、サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、処理するためにサンプル流体を受け取るための生化学カートリッジとを有するポイント・オブ・バース検査システムと通信することができる。更に、本発明のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法は、スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションにログインするステップと、オープンオーダーの選択によってスマートディスプレイとインタフェースするステップと、生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップと、サンプル流体を含む生化学カートリッジをポイント・オブ・バース検査器具に挿入するステップと、生化学カートリッジの処理を初期化するためにスマートディスプレイとインタフェースするステップと、生化学カートリッジの処理のために適切な流体サンプルを確認するステップと、ポイント・オブ・バース検査器具によってサンプル流体を処理するステップと、スマートディスプレイを監視して、サンプル流体の処理状況を判定するステップと、および/または、処理されたサンプル流体の検査結果を閲覧するステップと、を含むことができる。
【0028】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、スマートディスプレイにログインするステップは、ユーザIDおよびパスワードを手動で入力することによって、および/または、バーコードリーダーを使用して資格情報をスキャンすることによって行うことができる。更に、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、サンプル流体識別子は、バーコードリーダーであってもよい。
【0029】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、本方法は、更に、サンプル流体識別情報を入力して、スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションにおいてオープンオーダーを作成するステップを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法は、生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップを含むことができる。本発明の方法の一実施形態では、生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップは、生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップの後であって、かつ、サンプル流体を含む生化学カートリッジをポイント・オブ・バース検査器具内に挿入するステップの前に実施してもよい。更に、本発明の方法の新生児からサンプル流体を収集するステップは、生化学カートリッジ内の入力ウェルのカバーを取り外すステップと、一定量のサンプル流体を挿入するステップと、入力ウェルを封止するステップと、を含むことができる。
【0030】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、本方法は、更に、検査結果を分配するステップを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、本方法は、スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションとインタフェースして、以前に実施した検査結果を見直すステップを含むことができる。
【0031】
本開示の主題を一般的な用語で説明したので、次に、必ずしも縮尺通りでない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングの両方を支持する、ポイント・オブ・バースプラットフォームの一例のブロック図である。
【
図2A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの一例の斜視分解図である。
【
図2B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの一例の斜視分解図である。
【
図3A】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の正面図である。
【
図3B】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の背面図である。
【
図3C】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の上面図である。
【
図3D】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の底面図である。
【
図3E】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の左側面図である。
【
図3F】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の右側面図である。
【
図4】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図5】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図6】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図7】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図8A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の斜視図である。
【
図8B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の分解図である。
【
図9A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図である。
【
図9B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の分解図である。
【
図10A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図である。
【
図10B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の分解図である。
【
図11】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を含む、本開示の生化学カートリッジの一例の正面斜視図である。
【
図12】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を含む、本開示の生化学カートリッジの一例の背面斜視図である。
【
図17】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図18】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図19】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図20】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図22B】更に底部基板を無くした、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの下側の斜視図である。
【
図24A】
図11および
図12に示された生化学カートリッジに関連するポイント・オブ・バース器具のモータの分解図である。
【
図24B】
図11および
図12に示された生化学カートリッジに関連するポイント・オブ・バース器具のモータの斜視図である。
【
図25】生化学カートリッジに関するポイント・オブ・バース器具のモータの別の構成の斜視図である。
【
図26】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの一例の斜視図である。
【
図27】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの別の例の斜視図である。
【
図28】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの別の例の上面図である。
【
図29A】デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジの上部基板および底部基板の一例の斜視図である。
【
図29B】デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジの底部基板のみの斜視図である。
【
図30A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図30B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図31A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図31B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図32A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図32B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図33A】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールの一例の様々な説明図である。
【
図33B】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールの一例の様々な説明図である。
【
図34A】水平リザーバモジュールの正面封止面を示す水平リザーバモジュールの正面斜視図である。
【
図34B】水平リザーバモジュールの分配角度を示す、水平リザーバモジュールの断面図である。
【
図35A】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35B】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35C】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35D】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35E】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35F】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35G】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35H】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図36】例えば、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の機能ブロック図の一例を示す説明図である。
【
図37】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図38】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図39】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図40】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図41】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図42】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図43】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図44】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図45】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図46】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図47】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図48】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図49】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図50】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図51】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図52】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図53】組み込みディスプレイを含むポイント・オブ・バース器具の一例の正面図である。
【
図54】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジを使用する方法の一例のフロー図である。
【
図55】ラップトップコンピュータを含む本開示のポイント・オブ・バースシステムの一例を示す説明図である。
【
図56】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図57】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図58】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図59】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の主題は、本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより詳しく説明される。同様の番号は、全体を通して同様のエレメントを指す。本開示の主題は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用法的要件を満たすように提供される。実際に、本明細書に記載された本開示の主題の多くの修正および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有する本開示の主題に関係する技術分野の当業者には思い当たるであろう。従って、本開示の主題は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の主題は、ポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングのための方法を提供する。即ち、新生児スクリーニングを行うための生化学カートリッジを受け取って処理するためのポイント・オブ・バース器具を含むポイント・オブ・バースシステムが提供される。更に、携帯型スマートデバイス(即ち、スマートフォンまたはタブレット)等のスマートディスプレイは、ポイント・オブ・バース器具と通信しており、スマートディスプレイは、ポイント・オブ・バースシステムを操作するためのユーザインタフェースである新生児スクリーニング(NBS)モバイルアプリを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バースシステムを使用する方法が提供される。
【0035】
一実施形態では、ポイント・オブ・バースシステムおよびポイント・オブ・バース器具は、新生児の生物学的スクリーニングのみを支持する。しかしながら、他の実施形態では、ポイント・オブ・バースシステムおよびポイント・オブ・バース器具は、新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニング(例えば、新生児パルスオキシメトリおよび新生児聴覚スクリーニング)の両方を支持する。
【0036】
本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングの方法の一態様は、可搬性が高く、使い勝手がよい。
【0037】
本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングのための方法の別の態様では、生化学カートリッジの液体供給システムは、重力による液体の信頼性のある分注のために傾斜された、または角度付けられた水平リザーバモジュール(HRM)に特徴を有する。
【0038】
次に、
図1は、本発明による新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングの両方を支持するポイント・オブ・バースプラットフォーム10の一例のブロック図である。例えば、ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、生物学的スクリーニング20および生理学的スクリーニング30の両方を支持する。
【0039】
生物学的スクリーニング20は、多重化試験22を利用することができる。新生児スクリーニングプログラムでは、多重化試験22は、複数の化合物を同時に識別する能力を指す。ポイント・オブ・バースプラットフォーム10では、生物学的スクリーニング20は、特定の生物学的マーカーのスクリーニングを含む。例示的な生物学的マーカーには、高ビリルビン血症を検出するための総ビリルビン(TSB)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損(G6PD)、高アンモニア血症を検出するためのアンモニア、GALT欠損を検出するためのガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)、およびMCAD欠損を検出するための中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(MCAD)が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
生理学的スクリーニング30は、新生児パルスオキシメトリ32および新生児聴覚スクリーニング34を含むことができるが、これらに限定されない。新生児パルスオキシメトリ32は、重度先天性心疾患(CCHD)の検出を改善する容認された検査である。新生児聴覚スクリーニング34(聴覚障害の早期発見・早期支援(Early Hearing Detection and Intervention)(EHDI)とも呼ばれる)は、退院前に、全ての新生児に対する聴覚喪失に対するスクリーニングを実施することを指す。例えば、聴性脳幹反応(ABR)試験および耳音響放射(OAE)試験は、新生児集団をスクリーニングするための適切な生理学的尺度である。両者とも非侵襲性である。ABR試験は、内耳(蝸牛)および聴覚のための脳経路に関する情報を提供する。OAE検査では、外耳道の閉塞、中耳液の存在および蝸牛の外有毛細胞の損傷を検出することができる。
【0041】
ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、(1)少量の血液サンプルを処理する能力、(2)同じカートリッジおよびプラットフォーム上に1つのサンプルを有する2つ以上の検体を検査する能力、(3)1つのプラットフォーム上で異なるタイプの生化学検査(酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験、および核酸試験)を実施する能力、および(4)新生児の退院前に、より完全な疾患または疾患のリスク判定を行う能力を提供する点で、実験室ベースの技術よりも有利である。ポイント・オブ・バースプラットフォーム10はまた、新生児の病気に焦点を当てたアッセイメニューによる新生児関連の検査のみに焦点を当てている故に、従来のポイント・オブ・ケア生化学アッセイプラットフォームとは区別される。
【0042】
ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、ポイント・オブ・バースシステム、ポイント・オブ・バース器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングのための方法を介して例示することができる。ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、米国だけでなく、そのような検査のためのインフラが存在しない発展途上国においても新生児スクリーニングに革命を起こす可能性を有する。ユーザのトレーニングは殆ど必要ない。更に、ポイント・オブ・バース器具は、1時間以内に遠隔ガイドを介してインストールすることができる。例示的なポイント・オブ・バースシステム、ポイント・オブ・バース器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングの方法の更なる詳細は、
図2A~
図59を参照して以下に示され、説明される。
【0043】
次に、
図2Aおよび
図2Bは、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステム100、ポイント・オブ・バース器具105、および生化学カートリッジ200の一例の斜視分解図である。ポイント・オブ・バースシステム100は、
図1のポイント・オブ・バースプラットフォーム10に示された構造に基づいている。
【0044】
即ち、ポイント・オブ・バースシステム100は、携帯型スマートデバイス190のようなスマートディスプレイに機械的かつ通信可能に連結することができるポイント・オブ・バース器具105を含み、スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具105用のユーザインタフェースおよびネットワーク接続装置であってもよい。スマートデバイス190は、例えば、スマートフォンまたはタブレットデバイスとすることができる。ポイント・オブ・バースシステム100は、更に、生化学カートリッジ200を含む。生化学カートリッジ200は、対象の新生児から採取された処理すべきサンプル流体を受け取るための使い捨てカートリッジである。生化学カートリッジ200は、処理のためにポイント・オブ・バース器具105に差し込むことができる。生化学カートリッジ200の例のより詳細は、
図11~
図35Hを参照して以下に示され、説明される。
【0045】
ポイント・オブ・バース器具105は、ハウジング(または本体)110と、生化学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ112と、スマートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション114と、オペレータID情報、カートリッジID情報、およびサンプルID情報等のポイント・オブ・バースシステム100に関連する任意の情報をスキャンするためのバーコードリーダー116等の入力リーダーと、含む。一例では、スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具105に電気的に接続するために(例えば、給電および通信のために)ドッキングステーション114に物理的にドッキングすることができる。しかしながら、別の例では、スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具105から分離していてもよく、電気的接続がなくとも、ポイント・オブ・バース器具105と無線通信させることができる。更に、新生児スクリーニング(NBS)モバイルアプリ192は、ポイント・オブ・バースシステム100を動作させるためにスマートデバイス190上に存在することができる。
【0046】
ポイント・オブ・バースシステム100は、例えば、(1)1人の赤ちゃんまたは多くの赤ちゃんを一度に検査し、(2)生化学アッセイ(酵素、比色およびイムノアッセイ)を実施し、(3)(聴性脳幹反応または耳音響放射を使用する)聴覚スクリーニングを実施し(
図56および
図57参照)、および(4)パルスオキシメトリ検査を実行する(
図58および
図59参照)ために使用することができるニア・バース・プラットフォームである。ここでもまた、試験メニューには、総ビリルビン(TSB)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症(G6PD)、高アンモニア血症、ガラクトース血症、および他の障害に対する新生児検査が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0047】
ポイント・オブ・バース器具105は、軽量かつ携帯型の装置である。ポイント・オブ・バース器具105のハウジング(または本体)110は、限定されるものではないが、成形プラスチックおよび金属(例えば、アルミニウム)等の軽量で、頑丈であり、耐久性のある任意の材料で形成することができる。ポイント・オブ・バース器具105は、例えば、約7インチ(17.78cm)~約9インチ(22.86cm)の幅、約7インチ(17.78cm)~約10インチ(25.4cm)の高さ、および、約10インチ(25.4cm)~約12インチ(30.48cm)の深さであり得る。一例では、ポイント・オブ・バース器具105は、幅が約8インチ(20.32cm)、高さが約9インチ(22.86cm)、深さが約11インチ(27.94cm)である。しかしながら、物理的特徴については任意の変化が可能である。例えば、
図2Aには、背の高い物理的形状を有するポイント・オブ・バース器具105の例が示される一方、
図2Bには、より背の低い物理的形状を有するポイント・オブ・バース器具105の例が示される。この例に加えて、
図3A~
図3Fはそれぞれ、
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具105の正面図、背面図、上面図、底面図、左側面図、右側面図を示す。
【0048】
ポイント・オブ・バース器具105は、電力を使用するか、または電池電力を使用して作動させることができる。ここでもまた、ポイント・オブ・バース器具105は、スマートフォンまたはタブレットデバイス(例えば、スマートデバイス190)等のスマートディスプレイとインタフェースする能力を有し、生化学検査、パルスオキシメトリおよび聴覚スクリーニングのためのモジュールを有することができる。NBSモバイルアプリ192を使用して、例えば、関係者に結果をメールし、フォローアップ医師のリストを提供し、トレーニングを提供し、ビリルビン測定のためのノモグラム等の臨床計算を実行し、疾患の疫学的追跡を実施する等することができる。更に、ポイント・オブ・バース器具105は、1~2セットの波長のための蛍光と、約400nm~約800nmの紫外線(UV)範囲にわたる吸光度とを含む生化学的スクリーニングのための光学検出システムを含む。
【0049】
生化学カートリッジ200は、尿および全血サンプルを含む任意の生理学的流体を使用することができる。生化学検査のためには、2つの主要な処理ステップ、即ち、(1)サンプルを生化学カートリッジ200に装填するステップと、(2)生化学カートリッジ200をポイント・オブ・バース器具105にローディングするステップとがある。ポイント・オブ・バース器具105は、その動作を管理するための、即ち、アッセイを実行するためのプロセッサまたはコントローラを含む。生化学的アッセイのための総アッセイ時間は、サンプル入力から結果出力まで約15分であり得る。ポイント・オブ・バース器具105は、各タイプの検査を実行するのに必要な全てのソフトウェアを含むことが好ましい。また、ポイント・オブ・バース器具105は、日頃メンテナンスをしなくとも堅牢であるように設計されることが好ましい。ポイント・オブ・バース器具105の構成要素のより詳細は、
図4、
図5、
図6、および
図7を参照して以下に示され、説明される。
【0050】
次に、
図4、
図5、
図6、および
図7は、ハウジング(または本体)110を無くすことによってその構成要素のより詳細を明らかにしている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具105の様々な図である。例えば、ポイント・オブ・バース器具105は、バーコードリーダー116と、ベースプレート122の上に取り付けられた2つのサイドレール120と、2つのサイドレール120の間に配置された主回路基板124および下側回路基板126と、電源取り付け板132上に配置される電力入力ポート128および電源アセンブリ130と、カートリッジデッキプレート134と、蛍光計取り付け板138上の1つ以上の蛍光計136と、分光計140と、2つのサイドレール120の間に配置されたカム142と、カートリッジ係合ステッパモータ144と、カムベルトおよびプーリアセンブリ146と、ステッパモータ支持体152上のステッパモータ150と、バネ付勢アダプタ154と、モータシャフト156と、モータ係合部材158とを含む。
【0051】
バーコードリーダー116は、任意の標準的なバーコード技術とすることができる。ポイント・オブ・バース器具105の検査作業中に、バーコードリーダー116を使用して、オペレータID情報、カートリッジID情報、およびサンプルID情報等の情報を取得する。
【0052】
サイドレール120、ベースプレート122、およびカートリッジデッキプレート134は、プラスチックまたは金属部材等の任意の強固な剛性部材とすることができる。
【0053】
主回路基板124および下側回路基板126は、ポイント・オブ・バース器具105の全体的な動作を制御するための電子機器を含む。主回路基板124および下側回路基板126上に実装され得る機能の例については、
図36を参照されたい。
【0054】
ポイント・オブ・バース器具105は、電力または電池電力で作動させることができる。一例では、ポイント・オブ・バース器具105は、電池電源(電池は図示せず)を使用し、従って電力入力ポート128を使用しない。別の例では、ポイント・オブ・バース器具105は、DCアダプタを使用して給電される。この場合、電力入力ポート128はDCアダプタプラグを受容する。電池電力またはDCアダプタのいずれかを使用することにより、DC電源は、ポイント・オブ・バース器具105の能動部品を給電するために必要に応じてDC入力を調整する電源アセンブリ130を供給する。更に別の例では、ポイント・オブ・バース器具105は、標準的な家庭用AC電圧を使用して給電される。この場合、電力入力ポート128はACプラグを受け取り、電源アセンブリ130は追加のACからDCへの変換機能を実行する。
【0055】
よく知られているように、蛍光計は蛍光の強度を測定するための装置であり、生化学分析に一般的に使用される。よく知られているように、光学分光計は、電磁スペクトルの特定の部分にわたる光の特性を測定するために使用され、材料を識別するために分光分析において一般に使用される機器である。従って、蛍光計136および分光計140は、ポイント・オブ・バース器具105における光学的検出のために使用される。
【0056】
ポイント・オブ・バース器具105では、生化学カートリッジ200がカートリッジローディングデッキ112に挿入されると、生化学カートリッジ200の底部基板210の縁部がカム142と係合される。続いて、カートリッジ係合ステッパモータ144を使用して、生化学カートリッジ200を引いて固定位置に係止させるようにカム142を回転させる。カートリッジ係合ステッパモータ144は、例えば、Oriental Motor U.S.A.Corp(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能なPKPシリーズ2相単軸ステッパモータ(1.8°)のうちの1つとすることができる。カートリッジ係合ステッパモータ144は、カムベルトおよびプーリアセンブリ146を介してカム142に回転可能に連結される。
【0057】
ステッパモータ150は、生化学カートリッジ200(
図24Aおよび
図24B参照)と係合し、生化学カートリッジ200内の液体分配機構を作動させるために使用される。ステッパモータ150もまた、例えば、Oriental Motor U.S.A Corp.のPKPシリーズ2相単軸ステッパモータ(1.8°)のうちの1つであってもよい
【0058】
前述の構成要素は、全体として構成要素の完全なリストではないが、ポイント・オブ・バース器具105の主要構成要素のサンプリングである。ポイント・オブ・バース器具105の構成要素によって支持することができる機能のより詳細は、
図36を参照して以下に示され、説明される。
【0059】
次に、
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の斜視図および分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイント・オブ・バース器具305、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含む。ポイント・オブ・バース器具305は、ハウジング(または本体)310と、生化学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ312と、スマートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション314とを含む。ポイント・オブ・バース器具305は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バース器具105と比較して、僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有し得る。
【0060】
次に、
図9Aおよび
図9Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図および分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイント・オブ・バース器具405、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含む。ポイント・オブ・バース器具405は、ハウジング(または本体)410、生化学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ412と、スマートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション414とを含む。ポイント・オブ・バース器具405は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バース器具105と比較して僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有する。
【0061】
次、
図10Aおよび
図10Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図および分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイント・オブ・バース器具505、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含む。ポイント・オブ・バース器具505は、ハウジング(または本体)510、生化学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ512と、スマートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション514とを含む。ポイント・オブ・バース器具505は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バース器具105と比較して僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有する。
【0062】
次に、
図11および
図12はそれぞれ、新生児スクリーニング用の本開示の生化学カートリッジ200の一例の正面斜視図および背面斜視図であり、生化学カートリッジ200は、デジタルフルイディクス能力を含む。更に、
図13、
図14、
図15、および
図16は、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200の側面図、背面図、上面図および下面図をそれぞれ示している。
【0063】
用語「前面」、「背面」、「上部」、「底部」、「上(over)」、「下」および「上(on)」は、生化学カートリッジ200の構成要素の相対的な位置、例えば、生化学カートリッジ200の上部基板および底部基板または前面基板および背面基板の相対的な位置に関連して、本明細書の全体を通して使用される。生化学カートリッジ200は、空間におけるその向きに関係なく機能することが理解されよう。
【0064】
この例では、生化学カートリッジ200は、間隙(図示せず)によって分離された底部基板210(例えば、プリント回路基板(PCB))および上部基板212(例えば、プラスチックまたはガラス基板)を含む。この間隙は、限定されないが、シリコーンオイルまたはヘキサデカン充填剤流体のような低粘度オイルのような充填剤流体を含むことができる。新生児スクリーニング操作の間、化学反応またはアッセイは、底部基板210と上部基板212との間の間隙内で実施され得る。
【0065】
カバー214(例えば、プラスチックカバー)は、上部基板212の上に設けられる。サンプル入力ウェル216は、カバー214に一体化されている。サンプル入力ウェル216は、ローディングポート218と、ローディングポート218を開閉するためのウェルキャップアセンブリ220とを有する。カバー214は、所定の凹領域または起伏領域222も含むことができる。凹領域または起伏領域222は、生化学カートリッジ200内の構成要素および/または構成要素のレイアウトに応じて調整することができる。
【0066】
生化学カートリッジ200の上部基板212に関連して、光学インタフェース領域224(
図12参照)が設けられる。生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105に設置されている場合、ポイント・オブ・バース器具105の光学検出構成要素(例えば、2つの蛍光計136および分光計140)の位置は、上部基板212の光学的インタフェース領域224に一致する。
【0067】
リール取り付け特徴部226(
図16参照)は、上部基板212に設けられている。リール取り付け特徴部226は、ホイル巻き取りリール245(
図17および
図19参照)を受け入れるための貫通孔である。
【0068】
次に、
図17~
図20は、
図11および
図12の生化学カートリッジ200の様々な別の図であり、生化学カートリッジ200は、カバー214を無くして示されている故に、その詳細がより明らかになっている。即ち、
図17、
図18、
図19、および
図20はそれぞれ、カバー214を外した生化学カートリッジ200の斜視図、上面図、背面図および側面図を示す。生化学カートリッジ200は、更に、カバーガスケット228と、HRM取り付け板239を更に含む水平リザーバモジュール(HRM)230と、HRM230を保持するための一対の取り付けポスト242と、HRM230の内部に流体を封止するためのホイルストリップ244と、HRM230からホイルストリップ244を巻き取るためのホイル巻き取りリール245と、上部基板212(
図16参照)のリール取り付け特徴部226にスナップ嵌めすることができるリール係合特徴部246と、リザーバモジュール捕捉特徴部254(
図18および
図23A参照)と、を含むことができる。HRM230の更なる詳細は、
図33A~
図35Hを参照して以下に示され、説明される。
【0069】
次に、
図21は、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200のカバー214の下面の斜視図である。カバー214は、更に、カバーリム248と、サンプル入力ウェル216を受け入れるためのウェル開口部250と、ホイル巻き取りリール245の上部を捕捉するためのリール捕捉特徴部252とを含む。
【0070】
次に、
図22Aは、カバー214を無くした
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200の下面の斜視図である。
図22Bは、更に底部基板210を外した生化学カートリッジ200の下面を示す。この図では、基板ガスケット256および反応(またはアッセイ)チャンバ領域258が明らかになっている。反応(またはアッセイ)チャンバ領域258は、底部基板210と上部基板212との間の間隙である。
【0071】
次に、
図23Aは、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200の底部基板210に対する上部基板212の斜視図である。
図23Bは、生化学カートリッジ200の底部基板210のみを示す。この図では、デジタルフルイディクス能力(即ち、エレクトロウェッティング)を支持するための電極構成260および電気I/O接触262が示されている。この例では、生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105に設置されると、電気I/O接触262は、ポイント・オブ・バース器具105の主回路基板124に電気的に接続される。更に、いくつかの例では、乾燥試薬を電極構成260の反応レーンに設けることができる。
【0072】
次に、
図24Aおよび
図24Bはそれぞれ、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200に関連したポイント・オブ・バース器具105のステッパモータ150の分解図および斜視図である。即ち、ステッパモータ150はモータシャフト156を含み、バネ付勢アダプタ154は、モータシャフト156上に取り付けられる。バネ付勢アダプタ154の遠位先端は、上部基板212から突出するホイル巻き取りリール245のリール係合特徴部246と係合する。このように、ポイント・オブ・バース器具105のステッパモータ150を使用して、生化学カートリッジ200のホイル巻き取りリール245を回転させることにより、HRM230を作動させる。
【0073】
図24Aおよび
図24Bには、ステッパモータが生化学カートリッジの下側に係合する構成が示される一方、
図25には、ポイント・オブ・バース器具のステッパモータが生化学カートリッジの上面を介して係合する別の構成が示されている。この例では、リール係合特徴部246は、ホイル巻き取りリール245の上側にあり、リール係合特徴部246は、カバーの開口部を通じて突出している。ステッパモータ150は、バネ付勢アダプタ154を有する。続いて、モータ係合部材158がバネ付勢アダプタ154の遠位端部に設置される。次に、モータ係合部材158の遠位端部は、ホイル巻き取りリール245のリール係合特徴部246と係合する。別の例としては、
図35Hを参照されたい。
【0074】
図11~
図23Bは、デジタルフルイディクスを支持する生化学カートリッジ200の一例を示す一方で、
図26~
図29Bは、デジタルフルイディクス能力を欠いた、新生児スクリーニングのための生化学カートリッジ200の例を示す。「デジタルフルイディクス能力を欠く」とは、エレクトロウェッティング操作を実行するための何らかの電極構成が存在しないことを意味する。デジタルフルイディクス能力がない場合、生化学カートリッジ200は、例えば、フローセルであってもよい。一例では、
図26は、デジタルフルイディクス能力を欠いた生化学カートリッジ200の斜視図を示す。ここでも、生化学カートリッジ200は、底部基板210、上部基板212、カバー214、サンプル入力ウェル216、ウェルキャップアセンブリ220、および凹状領域または起伏領域222を含むことができる。
【0075】
別の例では、
図27および
図28はそれぞれ、デジタルフルイディクス能力を欠いた生化学カートリッジ200の斜視図および上面図を示す。ここでも、生化学カートリッジ200は、底部基板210、上部基板212、カバー214、サンプル入力ウェル216、ウェルキャップアセンブリ220、および凹状領域または起伏領域222を含むことができる。
図29Aは、デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジ200の底部基板210および上部基板212を示す。更に、
図29Bは、デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジ200の底部基板210のみを示す。この例では、底部基板210は、任意の電極構成(例えば、
図23Aの電極構成260)および/または電気I/O接触(例えば、
図23Aの電気I/O接触262)を含まない。これらの例では、乾燥試薬は、底部基板210および/または上部基板212の表面上に提供されてもよい。
【0076】
次に、
図30A~
図32Bは、新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジ200と共に使用することができるカバーアセンブリの3つの他の例の斜視図である。それぞれ、サンプル入力ウェル216、ローディングポート218、ウェルキャップアセンブリ220、凹状領域または起伏領域222、およびカバーガスケット228を更に含むカバー214を含む。これらの3つの例では、全体的なカバー面積並びに凹状領域または起伏領域222の形状および配置は異なっていてもよい。
【0077】
次に、
図33Aおよび
図33Bは、生化学カートリッジ200のHRM230の例の多様な図である。HRM230は、特定の流体を保持し、続いて、生化学カートリッジ200内に特定の流体を分配するために設けられている。HRM230は、第1流体234を保持するための第1リザーバ232と、第2流体238を保持するための第2リザーバ236とを含み、両者ともHRM取り付けプレート239上に載置されている。更に、HRM230は、第1リザーバ232および第2リザーバ236の開口部の周りの周辺領域である前面240を有する。前面240は、HRM230が流体で満たされると、封止されるHRM230の表面である。更に、HRM230は、2つのリザーバのみに限定されない。HRM230は、任意の数のリザーバを含むことができる。
【0078】
この例では、第1リザーバ232は第2リザーバ236より大きい。例えば、第1リザーバ232は約2mLの流体を保持することができる一方、第2リザーバ236は約1mLの流体を保持することができる。更に、この例では、HRM230は、例えば、深さが約15mm、高さが約16mm、および長さが約46mmとすることができる。
【0079】
デジタルフルイディクス能力を有する生化学カートリッジ200の例では、第1リザーバ232の第1流体234は、シリコーンオイルまたはヘキサデカン充填剤流体のような低粘性オイル等の充填剤流体とすることができるが、これらに限定されない。第2リザーバ236の第2流体238は、例えば、緩衝溶液、液体試薬、または水のような希釈剤であってもよい。しかしながら、デジタルフルイディクス能力を有しない生化学カートリッジ200の例では、オイルは必要ではない。従って、第1リザーバ232および第2リザーバ236の両方を、緩衝溶液、液体試薬、または水等の希釈剤で充填することができる。
【0080】
次に、
図34Aは、HRM230の他の例の正面斜視図であり、HRM230の正面封止面を示している。この例では、HRM230は、
図33Aおよび
図33Bに示すHRM230より小さい。即ち、この例では、第1リザーバ232は、依然として第2リザーバ236よりも大きい。しかしながら、第1リザーバ232は約1.2mLの流体を保持することができる一方、第2リザーバ236は約0.8mLの流体を保持することができる。更に、この例では、HRM230は、例えば、深さが約24mm、高さが約14mm、長さが約33mmとすることができる。
【0081】
更に、
図34Aに示すHRM230において、例えば、第2リザーバ236の周囲は約6.325インチ(15.84cm)であり、前面240は約0.279平方インチ(1.8平方cm)の表面積を有する。前面240の任意の部分の幅(即ち、壁厚)は、例えば、約2mm(78.7ミル)とすることができる。確実に封止するのに適した表面積を有することが重要である。任意に、ホイルストリップ244を結合するための表面積を増やすために、前面240の端縁の周りにリップ(図示せず)を設けることができる。
【0082】
任意のHRM230に関して、HRM230は、重力のみによって所望の速度で最適な分配を行うための特定の分配角度を有する。例えば、
図34Bは、HRM230の断面図を示し、分配角度αを示す。分配角度αは、一例では約13°~約17°であり、別の例では約15°である。ここでもまた、HRM230は2つのリザーバのみに限定されない。更に、HRM230内の複数のリザーバのそれぞれの分配角度αは、同じであっても異なっていてもよい。
【0083】
HRM230は、例えば、成形プラスチックで形成することができる。例えば、HRM230は、高密度ポリエチレン(HDPE)、環状オレフィン重合体(COP)、環状オレフィン共重合体(COC)、またはポリプロピレン(PP)で形成することができる。更に、HRM230からの重力による液体の流れを支援するために、および/または液体のピンニングを低減するために、(1)第1リザーバ232および第2リザーバ236内の表面を疎水性材料でコーティングすることができ、(2)第1リザーバ232および第2リザーバ236の内部の表面はテクスチャ(例えば、110μmテクスチャ構造)を有することができ、および/または(3)少量のオイル(例えば、シリコーンオイル)(例えば、200μLの希釈剤に対して50μLのオイル)を希釈剤に添加することができる。
【0084】
次に、
図35A~
図35Hは、新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジ200のHRM230を展開するプロセスの一例である。
図35Aを参照すると、HRM230が提供されている。次に、
図35Bを参照すると、第1リザーバ232は第1流体234で充填され、第2リザーバ236は第2流体238で充填されている。続いて、
図35Cを参照すると、HRM230はホイルストリップ244で封止されている。即ち、ホイルストリップ244は、HRM230の前面240に接着されている。ホイルストリップ244は、余分な長さまたは尾部が一方の側に延在するように設置される。次に、
図35Dを参照すると、ホイルストリップ244の余分な長さまたは尾部は、それ自体の上に折り返され、HRM230の上を通過する。続いて、
図35Eを参照すると、ホイルストリップ244の余分な長さまたは尾部は、ホイル巻き取りリール245に取り付けられている。続いて、
図35Fを参照すると、HRM230とホイルストリップ244およびホイル巻き取りリール245との組み合わせは、上部基板212に取り付けられている。次に、
図35Gを参照すると、Oリング247がホイル巻き取りリール245の上に配置されている。続いて、
図35Hを参照すると、カバー214が上部基板212の頂部に配置されており、それによってホイル巻き取りリール245を捕捉し固定している。ホイルストリップ244は、HRM230が失われることなく長期間にわたり密閉状態で保存され得るように、例えば、水蒸気透過率(MVTR)が低いアルミニウムホイルストリップとすることができる。更に、ホイルストリップ244は、強度を高めるためにポリエチレンテレフタレート(PET)裏打ちホイルとすることができる。一例では、HRM230への接着剤保持ホイルストリップ244はPE250接着剤である。
【0085】
HRM230と共に、そのホイルストリップ244およびホイル巻き取りリール245は、併せて生化学カートリッジ200の液体供給システムを形成する。次に、再び、
図24A、
図24B、
図25および
図35A~
図35Hを参照すると、HRM230からの液体の分配に関する生化学カートリッジ200の動作は以下の通りである。生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105に挿入されると、ステッパモータ150が生化学カートリッジ200のホイル巻き取りリール245と係合し、HRM230は依然として密閉状態にある。続いて、HRM230から液体を分配するために、ステッパモータ150が作動され、ホイルストリップ244はホイル巻き取りリール245上に巻かれ始める。その際、第1リザーバ232上のホイルストリップ244はゆっくりと剥がれ始め、それによって、第1流体234をゆっくりと放出し、第1流体234は生化学カートリッジ200の反応(アッセイ)チャンバ部分に流入する。最終的に、ステッパモータ150が動作し続けると、第2リザーバ236上のホイルストリップ244もゆっくりと剥がされ、それによって第2流体238をゆっくりと放出し、第2流体238は、生化学カートリッジ200の反応(またはアッセイ)チャンバ部分に流入する。
【0086】
ステッパモータ150を使用することで、液体が第1リザーバ232から放出された後に第2リザーバ236から放出される液体のタイミングを制御することができる。例えば、希釈剤を分配する前に、オイルが完全に展開することが望ましい。更に、第1リザーバ232および第2リザーバ236は基本的に側面に取り付けられている故、通気および開口は同じホイルストリップ244を使用して達成される。更に、HRM230の設計は、分配中に気泡が形成される危険性を低減するか、または完全に排除する。更に、HRM230の設計は、リザーバによる死容積を低減するか、または完全に排除する。
【0087】
ホイルストリップ244をHRM230から確実に除去する最適な引っ張り力(例えば、最小トルク)のために、ホイルストリップ244の余分な長さまたは尾部の、ホイル巻き取りリール245に向かう経路は、HRM230の前面240の平面にほぼ平行である。これは、ホイル巻き取りリール245の外面をHRM230の前面240の平面に実質的に接するように配置することによって達成することができる。
【0088】
次に、
図36は、例えば、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具105の機能ブロック図の一例である。ポイント・オブ・バース器具105は、主回路基板124を含む。主回路基板124は、マイクロコントローラ610、USBポート612、CANポート614、アクセルMEMS、LED618、電力I/O128(例えば、電力入力ポート128)、インピーダンス検出器620、インターロックおよびタイマー622(例えば、インターロック回路およびウォッチドッグタイマー)、FPGA624、SDRAM626、EEPROM628、デジタルフルイディクス能力を有する生化学カートリッジ200を駆動するためのエレクトロウェッティング制御630、熱制御632、HRMステッパモータ150を制御するためのモータ1制御634、カートリッジ係合ステッパモータ144を制御するためのモータ2制御を含む。
【0089】
特定の他の機能、限定されないが、例えば分光計140に関連する照明器具638、2つの蛍光計136、他のLED640、特定のセンサおよびヒータ642、および特定の位置スイッチ646等は、主回路基板124と通信する。バーコードリーダー116もまた、主回路基板124と通信する。バーコードリーダー116は、更に、SVDCIN648およびUSBポート650を含む。更に、電源130(例えば、電源アセンブリ130)は、主回路基板124および他の全ての能動部品に電力を供給する。更に、スマートデバイス190(図示せず)は、任意の有線または無線手段を使用して主回路基板124と通信することができる。
【0090】
次に、
図37~
図52は、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステム100、ポイント・オブ・バース器具105、および生化学カートリッジ200のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)700の一例である。GUI700は、例えば、上部表示パネル710および下部表示パネル715を含む。上部表示パネル710を使用して、より多くのグローバル情報および制御をユーザに提示する一方、下部表示パネル715を使用して、より特定の選択された情報および制御をユーザに提示する。GUI700は、任意の標準的なユーザインタフェース制御および表示フォーマットを含むことができる。GUI700は、スマートデバイス190等のスマートディスプレイ上に表示することができる。即ち、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192を使用してGUI700を起動することができる。
【0091】
図37のGUI700は、ユーザがユーザIDおよびパスワードを入力して手動でログインするためのログイン画面を示す。あるいは、ユーザは、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用して自分のIDバッジをスキャンすることによってログインすることができる。
【0092】
図38のGUI700は、下部表示パネル715にオープンオーダーおよびクローズドオーダーの選択タブを含むホームページを示す。
図38では、オープンオーダータブが選択されている。患者の名前、オーダー済みアッセイ、およびオーダー日付を示すリストが提示される。
【0093】
図39のGUI700は、クローズドオーダータブが選択されたホームページを示している。ここでもまた、患者の名前、オーダー済みアッセイ、およびオーダー日付を示すリストが提示される。
【0094】
オープンオーダーのリストから名前を選択することにより、検査を開始して実行することができる。例えば、
図40のGUI700は、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー114を用いて、選択された生化学カートリッジ200上のバーコードをスキャンする、新生児スクリーニング検査を実行する最初のステップをユーザに示す。更に、患者情報は、縮小または拡張表示のいずれかにて表示される。
【0095】
図41のGUI700は、生化学カートリッジ200をポイント・オブ・バース器具105に挿入する、新生児スクリーニング検査を実行する次のステップをユーザに示す。ここでもまた、患者情報が表示される。
【0096】
生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105に挿入されると、初期化プロセスが開始される。
図42のGUI700は、初期化プロセスの状態を示す。ここでもまた、患者情報が表示される。
【0097】
図43のGUI700は、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用して、選択された患者のサンプルを保持する容器上のバーコードをスキャンする、新生児スクリーニング検査を実行する次のステップをユーザに示す。ここでもまた、患者情報は、縮小表示にて表示される。
図44は、患者情報の拡大表示を示す。
【0098】
図45のGUI700は、一定量の患者のサンプルを生化学的カートリッジ200に追加し、続いて「検査実行」ボタンを選択して検査を開始する、新生児スクリーニング検査を実行する次のステップをユーザに示す。ここでもまた、患者情報が表示される。
【0099】
図46のGUI700は、追加されたサンプルの量を確認するステップをユーザに示す。
【0100】
図47のGUI700は、検査が実行されていることをユーザに示し、かつその状況を示す。例えば、残りのテスト時間の量を完了済みパーセントと共に示すことができる。ここでもまた、患者情報が表示される。
【0101】
図48のGUI700は、実行中の検査の状況を示す別の方法を示す。即ち、
図48のGUI700は、患者の名前の横のパーセント記号を介して、および/または、下部表示パネル715の底部に沿ったバーを介して進捗を示すことができるホームページを示す。
【0102】
完了済みオーダーリストから患者を選択することにより、
図49のGUI700は検査結果をユーザに示す。一例では、ビジュアルを提供して、検出されたマーカーのレベルを示すことができる。更に、ユーザは、より詳細な情報を見るか、または情報を印刷するかを選択することができる。
【0103】
新生児スクリーニング検査を実施する際に、ある種のエラー状態が生じることがある。一例では、
図50のGUI700は、生化学カートリッジ200に装填されたサンプルの量が検査を行うのに不十分である場合に発生し得る警告を示す。この例では、
図50のGUI700は、「サンプル量不足」の警告が表示され、検査はキャンセルされる。
【0104】
図51のGUI700は、警告を他の方法で表示することができることを示す。例えば、グローバル警告を上部表示パネル710に表示することができる。ユーザは、警告を選択して、より多くの情報を得ることができる。ユーザの裁量で、複数のグローバル警告を表示し、再検討することができる。例えば、
図52のGUI700は、グローバル警告を再検討する例を示す。
【0105】
本開示のポイント・オブ・バースシステム100のGUI700は、
図37~
図52に示される描写、設計、および情報だけに限定されるものではない。これらは単なる例示に過ぎない。GUI700は、任意の描写、設計、および情報を含むことができる。
【0106】
次に、
図53は、内蔵ディスプレイ132であるスマートディスプレイを含むポイント・オブ・バース器具105の一例の正面図である。ポイント・オブ・バースシステム100の動作、より詳細には、ポイント・オブ・バース器具105の動作は、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192を使用することに限定されない。任意のスマートディスプレイを本発明に関連して使用することができる。例えば、別の実施形態では、ポイント・オブ・バース器具105は、例えばタッチスクリーンであり得る内蔵ディスプレイ132を有する。ディスプレイ132を使用して、
図37~
図52のGUI700に示されるのと実質的に同じ情報を提示することができる。従って、この例では、ポイント・オブ・バースシステム100にスマートデバイス190が存在する必要はない。
【0107】
次に、
図54は、新生児スクリーニングのために本開示のポイント・オブ・バースシステム100を使用する方法800の一例のフロー図である。方法800は、限定するものではないが、以下のステップを含むことができる。
【0108】
ステップ810にて、ポイント・オブ・バースアプリケーションが起動され、ユーザがログインする。例えば、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192が起動される。続いて、GUI700を使用して、ユーザは、例えば
図37に示され説明されるようにログインする。
【0109】
ステップ815にて、ユーザは、オープンオーダーおよび/または完了済みオーダーを示すホームページを参照する。例えば、GUI700を使用して、ユーザは、
図38および
図39に示され、説明されるように、オープンオーダーおよび/または完了済みオーダーを参照する。
【0110】
ステップ820にて、ユーザは、オープンオーダーの表示から対象の患者を選択する。例えば、GUI700を使用して、ユーザは、例えば
図38に示され、説明されるように、オープンオーダー表示からスクリーニングされる患者を選択する。
【0111】
ステップ825にて、ユーザは、選択された患者に適した生化学カートリッジを取得し、スキャンする。例えば、ユーザは、選択された患者に適した生化学カートリッジ200を取得する。続いて、
図40に示すようなGUI700の指示により促進されるように、ユーザは、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用して、生化学カートリッジ200のバーコードをスキャンする。
【0112】
ステップ830にて、ユーザは、選択された生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具に挿入する。例えば、
図41に示すようなGUI700の指示により促進されるように、ユーザは、選択された生化学カートリッジ200をポイント・オブ・バース器具105に挿入する。
【0113】
ステップ835にて、ユーザは、生化学カートリッジが初期化されるまで待機する。例えば、
図42に示すようなGUI700の指示によって促進されるように、ユーザは、生化学カートリッジ200が初期化するまで待機する。
【0114】
ステップ840にて、ユーザは、選択された患者のサンプル流体の容器を取得し、スキャンする。例えば、ユーザは、選択された患者のサンプル流体の容器を取得する。続いて、
図43および/または
図44に示すようなGUI700の指示によって促進されるように、ユーザは、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用してサンプル容器上のバーコードをスキャンする。一例では、サンプル容器はピペットである。
【0115】
ステップ845にて、ユーザは、選択された患者のサンプル流体を生化学カートリッジに装填する。例えば、
図45に示すようなGUI700の指示によって促進されるように、ユーザは、ウェルキャップアセンブリ220を開くことによって、生化学カートリッジ200のサンプル入力ウェル216を開口する。続いて、ユーザは、一定量のサンプル流体をサンプル入力ウェル216のローディングポート218にピペットで注入する。例えば、ユーザは、ウェルキャップアセンブリ220を閉じることによって、生化学カートリッジ200の入力ウェル216を閉鎖する。
【0116】
判定ステップ850にて、生化学カートリッジ200に十分なサンプル流体が存在するか否かが判定される。例えば、ポイント・オブ・バース器具105の計器により分析が行われ、生化学カートリッジ200に存在するサンプル流体の量が判定される。十分なサンプル流体が存在する場合、方法800はステップ855に進む。しかしながら、サンプル流体の量が不十分である場合、方法800は終了し、例えば、
図50に示すようなGUI700に示されるように、検査はキャンセルされる。
【0117】
ステップ855にて、新生児スクリーニング検査がポイント・オブ・バース器具105内で開始される。
【0118】
ステップ860にて、ユーザは、新生児スクリーニング検査の進捗を監視する。例えば、テストの進捗は、
図47および
図48に示すようにGUI700にて表示することができる。
【0119】
ステップ865にて、ユーザは、新生児スクリーニング検査の結果を閲覧する。例えば、完了した任意の検査について、ユーザは、例えば、
図49のGUI700に示すように、検査結果を閲覧することができる。更に、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192を使用して、任意の検査結果を記録し、任意の許可された当事者に分配することができる。従って、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192を使用して、(スマートデバイス190上の結果を閲覧することによって)検査結果をユーザに伝達することができると共に、(スマートデバイス190を使用して結果を分配することによって)他の認可された当事者に伝達することができる。
【0120】
次に、
図55は、スマートディスプレイとしてラップトップコンピュータを含む本開示のポイント・オブ・バースシステム100の一例である。例えば、スマートデバイス190の代わりに、ポイント・オブ・バースシステム100は、任意の有線または無線手段を使用して、ポイント・オブ・バース器具105と通信しているラップトップコンピュータ195を使用することができる。この例では、ラップトップコンピュータ195は、NBSモバイルアプリ192の代わりにNBSデスクトップアプリケーション192を使用する。スマートデバイス190と同様に、ラップトップコンピュータ195を使用することにより、ポイント・オブ・バースシステム100の携帯が可能となる。
【0121】
これまで、
図2A~
図53を参照して、ポイント・オブ・バースシステム100における生化学的スクリーニングのみについて上述してきたが、ポイント・オブ・バースシステム100は、生化学スクリーニングに加えて生理学的スクリーニングを含むことができる。例えば、
図56~
図59を参照すると、生理学的スクリーニングおよび生化学的スクリーニングの両方を支持する、本開示のポイント・オブ・バースシステム100の例が提供されている。一例では、
図56は、前述したように、ポイント・オブ・バース器具105、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含むポイント・オブ・バースシステム100を示す。更に、ポイント・オブ・バースシステム100は、新生児パルスオキシメトリ機構900を含む。この例では、新生児パルスオキシメトリ機構900は、スマートデバイス190と直接通信している。NBSモバイルアプリ192の特徴は、新生児パルスオキシメトリ機構900からの/新生児パルスオキシメトリ機構900への情報を処理するステップを含むことができる。別の例では、
図57は、新生児パルスオキシメトリ機構900が、スマートデバイス190の代わりに、ポイント・オブ・バース器具105に物理的に接続されている構成を示す。この例では、ポイント・オブ・バース器具105は、新生児パルスオキシメトリ機構900からの情報を、処理するためにスマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192に送信する。
【0122】
更に別の例では、
図58は、前述したように、ポイント・オブ・バース器具105、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含むポイント・オブ・バースシステム100を示す。更に、ポイント・オブ・バースシステム100は、新生児聴覚スクリーニング機構910を含む。この例では、新生児聴覚スクリーニング機構910は、スマートデバイス190と直接通信している。NBSモバイルアプリ192の特徴は、新生児聴覚スクリーニング機構910からの/新生児聴覚スクリーニング機構910への情報を処理するステップを含むことができる。更に別の例では、
図59は、新生児聴覚スクリーニング機構910が、スマートデバイス190の代わりにポイント・オブ・バース器具105に物理的に接続されている構成を示す。この例では、ポイント・オブ・バース器具105は、新生児聴覚スクリーニング機構910からの情報を、処理するためにスマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192に送信する。
【0123】
長年にわたる特許法の慣例に従い、用語「a」、「an」および「the」は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つ以上」を指す。従って、例えば、「被験体」への言及は、文脈が明らかに反対(例えば、複数の被験体)等でない限り、複数の被験体を含む。
【0124】
本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む」(「comprise」、「comprises」および「comprising」)は、文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、非排他的な意味で使用される。同様に、用語「含む」(「include」)およびその文法上の変形は、限定的ではなく、リスト内の品目の列挙が、リストされた品目に置換または追加され得る他の同様の品目を除外するものではないようにする。
【0125】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、特に断りのない限り、量、大きさ、寸法、割合、形状、処方、パラメータ、パーセンテージ、量、特徴、並びに明細書および特許請求の範囲で使用される他の数値を表す全ての数字は、用語「約」が値、量または範囲と共に明示的に現れなくても、用語「約」によって全ての場合において修飾されると理解されるべきである。従って、反対のことが示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、正確ではないおよび正確である必要はないが、所望に応じて近似であるおよび/またはより大きくても小さくてもよく、本開示の主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて、許容誤差、換算係数、四捨五入、測定誤差等、および当業者に知られている他の因子を反映する。例えば、用語「約」は、値を指す場合、いくつかの実施形態では±100%、いくつかの実施形態では±50%、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%の特定の量からの変動を包含することを意味することができ、そのような変動は、開示の方法を実施するのに、または開示の組成物を使用するのに適切である。
【0126】
更に、用語「約」は、1つ以上の数字または数値範囲と関連して使用される場合、範囲内の全ての数字を含む全てのそのような数を指すと理解されるべきであり、記載の数値の上および下の境界を延長することによってその範囲を変更する。終点による数値範囲の列挙は、全ての数字、例えば、その範囲内に包含されるその小数を含む整数全体(例えば、1~5の列挙は、1、2、3、4および5、並びにそれらの小数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1等を含む)並びにその範囲内の任意の範囲を含む。
【0127】
前述の主題は、理解を明確にする目的で例示および実施例によって幾分か詳細に記載されているが、当業者には、添付の特許請求の範囲内で、ある種の変更および修正を実施できることが理解されるであろう。