IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.の特許一覧

<>
  • 特許-強化布地 図1
  • 特許-強化布地 図2
  • 特許-強化布地 図3
  • 特許-強化布地 図4
  • 特許-強化布地 図5
  • 特許-強化布地 図6
  • 特許-強化布地 図7
  • 特許-強化布地 図8
  • 特許-強化布地 図9
  • 特許-強化布地 図10
  • 特許-強化布地 図11
  • 特許-強化布地 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】強化布地
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/00 20060101AFI20230208BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20230208BHJP
   A41D 31/14 20190101ALI20230208BHJP
   A41D 31/24 20190101ALI20230208BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20230208BHJP
   A41D 31/12 20190101ALI20230208BHJP
   A41D 31/06 20190101ALI20230208BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
D04B1/00 B
A41D31/00 502D
A41D31/14
A41D31/24
A41D31/02 A
A41D31/00 502S
A41D31/12
A41D31/06 100
D04B21/14 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018563475
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 IT2017000108
(87)【国際公開番号】W WO2017208274
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】102016000056550
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521223863
【氏名又は名称】トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジーニ,ファビオ
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-132106(JP,A)
【文献】特開2012-132108(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102560840(CN,A)
【文献】特開2013-087379(JP,A)
【文献】特開2002-294539(JP,A)
【文献】特開2012-067422(JP,A)
【文献】特開2004-353146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0311755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D31/00-31/32
D04B1/00-1/28
21/00-21/20
A43B1/00-23/30
A43C1/00-19/00
A43D1/00-999/00
B29D35/00-35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化布地であって、
前記強化布地は、同じ編地に使用される同一又は異なるタイプの機械加工に加え、一方の外部層と他方の外部層に同一又は異なる撚糸を使用することにより同一又は異なる厚さを有する編地からなる1対の外部層(3および4)によって覆われた内部コア(2)を実質的に有し、
前記コアは、特定の機械加工による撚糸からなり、2つの外部層間の空隙および接続部として機能するものであり、前記特定の機械加工は、前記編地の編み込みに使用される撚糸を編み込むことからなり、撚糸が所定のつづら折り形状となるものであり、前記撚糸は、最初に編地の一方の層の内側と係合し、次に編地のもう一方の層の内側と再び係合するものであり、前記外部層に固定され、編み込まれた撚糸は、2つの外部層間の距離、したがってコアの厚さ、撚糸の密度、および撚糸の間隔において変化するメッシュを形成するものであり、
前記コアを覆う前記外部層(3および4)は、複数の針床を有する編み機で作製されており、一方の外部層と他方の外部層の両方において同一の機械加工が施されているか、または異なるタイプの機械加工が施されており、この場合、一方の側は1つのタイプの機械加工を特徴とし、反対側の対応する機械加工は異なるタイプであり、
若しくは、一方の層は、身体側にある場合、身体部分との接触領域から熱および/または湿気を捕捉するため、特定の発汗領域を形成する開口部を有し、他方の層は、外側にある場合、縁部がシールされた状態に機械加工されてなり、
前記強化布地は、機械加工中に全ての形状に予備成形され、対象物のアセンブリのため、若しくは衣服または服飾品のアセンブリのための後続の機械加工を除き、他の任意の機械加工を施すことなく成形済みであり、完成され使用する準備ができた状態で機械から搬出されるものであり、
前記強化布地は、異なるタイプの編地により、前記衣服、前記服飾品、または前記強化布地を使用する他の任意の対象物の機能的特徴へ変換される構造的特徴を有することを特徴とする、強化布地。
【請求項2】
請求項1記載の強化布地において、
前記強化布地が厚ければ厚いほど前記コアは肉厚となり、それにより、サポートおよび快適さがさらに保証されるものであり、前記肉厚のコアの領域により、当該領域に接触する身体部分のさらなる保護が可能となる
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項3】
請求項1記載の強化布地において、
前記コアの厚さが減少すると、前記強化布地はさらに剛性で緻密となり、圧力、衝撃、および外部応力に対してさらに抵抗力を有するため、接触領域にさらなるサポートを提供することが可能となり、前記コアの厚さが増加すると、前記強化布地は、当該布地が接触する身体部分に最適な環境制御を提供する
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項4】
請求項1記載の強化布地において、
前記コアは、空気の循環を改善および促進することによってさらに優れた環境制御を可能とする開放チャネルを備えるものであり、前記コアの厚さが増加すると、空気の循環がより容易となり、均一かつ一定の温度が維持されるものであり、一方、厚さが減少した領域に空気が到達すると、空気の速度は低下し、空気拡散の可能性が減少して温度が上昇するため、異なる快適さを有する領域を有することが可能となる
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項5】
請求項1記載の強化布地において、
異なるタイプの編地構造が製造過程中に達成されることにより、縫い目のない布地が作製されるものであり、前記布地は、望ましい形状で作製され、完成状態で機械から搬出されるため、製造される製品は単一体から形成され、いかなる縫い目、および/または鋭利な縁部がない
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項6】
請求項1記載の強化布地において、
前記コアの構造体がより低密度の状態の撚糸を有する場合、前記コアはより柔軟性があり柔らかく、通気性を有するものであり、前記コアの構造体がより高密度でさらに緻密な状態の撚糸を有する場合、前記コアはより剛性で応力に対して抵抗力を有する
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項7】
請求項1記載の強化布地において、
前記コアの厚さにより、前記強化布地が制御された柔軟性を有することが可能となり、前記コアが厚ければ厚いほど、前記強化布地の厚さが増加し、より柔軟で柔らかくなり、前記コアの特徴は、前記外部層の特徴と組み合わされるか、若しくはそれに追加される
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項8】
請求項1記載の強化布地において、
前記コア(2)は、前記2つの外部層間に空隙を形成し、前記コアの厚さに応じて様々な温度と通気性を有するセクタが得られるものであり、それにより、環境制御が効果的に達成できる
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項9】
請求項1記載の強化布地において、
一対の前記外部層及び内部コアにより構成された前記強化布地は、様々なタイプの撚糸で作製されており、該撚糸は編み込むことができ、前記外部層(3および4)の製造に使用される撚糸は天然または合成の撚糸、天然または合成の撚糸の組み合わせ、または異なるタイプおよび厚さの撚糸を編み込んだものであり、前記コア(2)の製造に使用される撚糸は、ポリエステル、ナイロンを含む合成素材である
ことを特徴とする、強化布地。
【請求項10】
請求項1記載の強化布地において、
前記強化布地の各層(3および4)の形状構造内に、ジャージー、リブニット、インターロックニット、ヴァニゼニット、ジャカードニット、着色ジャカードニット、タック編みニット、透かし彫りニット、ケーブルニット、デザイン付きニット、および象眼模様ニットを含む異なる編地構造が使用され、前記強化布地は、異なる編地構造、撚糸、および規格によって予備成形が可能なニットで成形および製造される
ことを特徴とする、強化布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強化布地(engineered fabric)に関するものであり、特に、当該布地に接触する人の組織部分に良好な把持および保護を提供するのに特に適した編地を用いて製造される、強化布地に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、強化布地は、厳しい技術的/質的要求事項を満足させる素材であり、スポーツウェアを含む応用分野だけでなく、多くの他の日用品の必要性を満足させる、高性能レベルの製品を製造するのに使用される。特に、強化布地システムにおいては、合成繊維の使用が普及するにつれて、例えば、天然繊維、合成繊維、人工繊維、無機繊維などのあらゆる種類の織物用繊維が使用されている。これは、これらの繊維が、異なる用途の必要性に適応した特徴を提供できるためである。実際、従来の織物用繊維では到達できない性能レベルを提供するため、工業用繊維が設計および製造されており、斯かる工業用繊維は、機械応力、炎、および化学薬品への高い抵抗性を主に特徴としている。斯かる特徴は、繊維の他に、望ましい製品の形成に貢献するプロセスまたは他のパラメータを変更することにより達成できる。工業用繊維の使用により作製される布地は、熱交換能力、機械抵抗、および耐久性の面で優れている。
【0003】
応用分野に応じて、強化布地の技術的特徴は、快適さ並びにスタイルの観点が伴ってもよい。現在、強化布地は衣類分野において使用が高まっており、したがって、重複部分がますます拡大しているファッションと工学技術の2つの世界の合流を代表するものである。強化布地においては、普段着およびスポーツ服の両方において、快適さ、抵抗性、使い易さ、デザインの維持、および革新技術の使用が組み合わされなければならないが、斯かる特徴は繊維および製造プロセスの選択によって保証されている。
【0004】
今日、衣類および他の対象物において特化がますます追及されており、構成布地が提供する性能、および斯かる布地を使用する上記衣類および他の対象物の技術的特徴がますます向上している。
【0005】
上記説明に加えて、市場では、例えば、人間工学に適合可能であるとともに、布地が接触する身体部分の最適な快適さおよび保護を提供できる強化布地が要求されている。特に、衣類または服飾品は、できる限り縫い目の数の少ないことを特徴とすることが要求されている。これは、縫い目が、時間とともに、また、長期使用に伴って対象となる身体部分を刺激し、縫い目によって生じる圧力が装着に制限を与える炎症を引き起こす可能性があるためである。
【0006】
今日では、周知のように、衣類および服飾品の利用者の間で、使用面での快適さ、実用性、機能性、美的な素晴らしさ、柔軟性など多くの関心事項が存在するが、特に、技術的に性能レベルの高い衣類および服飾品への関心が高い。
【0007】
実際、例えば、(特に)スポーツをする男性および女性は、スポーツ活動に使用される履物、衣類、および服飾品に関しては特に要求が厳しく、選択に慎重であるのは周知の事実であり、これは、彼らの期待や必要性を満たさない対象物、あるいは期待を不当に高めるような対象物などに対して妥協を許さないことを意味している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、本質的に、構成要素が層構造を形成することによって作製され、縁部分または他の領域に中断、縫い目、または裁ち端のない、単一体でできた機械仕上げの強化布地によって上述の欠点を克服することで、従来技術の問題点を解決することにある。
【0009】
本発明の第二の目的は、連続編成部分おいて、機械加工による異なる織り込み部分によって達成される異なる厚さを特徴とすることにより、接触する身体部分の形態に完全に適合する強化布地を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、最適な人間工学、良好な足の把持、優れた通気性、明らかな軽量感、サポート、および着用した際の驚くほどの快適さを利用者に提供できる強化布地を、編み機を用いて製造することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、必要に応じて様々なレベルの柔軟性または硬度を有する支持点および/または接触点を提供する変厚インサートを特徴とする、強化布地を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、様々なレベルのパディングを交互に有する領域を特徴とし、軽量で、通気性用の孔部を有する強化布地を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、これが最後の目的ではないが、製造が容易で機能性が高い強化布地を製造することである。
【0014】
斯かる目的並びに本記載でさらに説明される目的は、以下の特許請求の範囲において記載される強化布地によって実質的に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面を参照して非限定的な実施例の形態で提供される、さらなる特徴および利点は、本発明による強化布地の詳細な説明においてより明確に説明される。
図1図1は、本発明による強化布地の第一の実施形態の概略上面図を示す。
図2図2は、対象となる強化布地の第二の実施形態の概略上面図を示す。
図3図3は、対象となる強化布地の第三の実施形態の概略上面図を示す。
図4図4は、対象となる強化布地のさらなる実施形態の概略上面図を示す。
図5図5は、本発明による強化布地の第一の実施形態の概略断面図を示す。
図6図6は、本発明による異なる強化布地の第一の実施形態の概略断面図を示す。
図7図7は、本発明によるさらなる強化布地の概略断面図を示す。
図8図8は、本発明による強化布地の異なる実施形態の概略上面図を示す。
図9図9は、強化布地のさらなる実施形態の概略上面図を示す。
図10図10は、図8の強化布地を用いて製造された履物の側面図を示す。
図11図11は、図8の強化布地を用いて製造された、図10の履物甲被の概略上面図を示す。
図12図12は、図8の強化布地の断面の詳細を概略的に示したものである。
【0016】
上述の図面を参照すると、符号1は、全体的に、本発明による強化布地の1実施形態を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
対象となる強化布地は、基本的に、編地の内部コア2と、1対の外部層3および4とからなる。コアを覆う外部層3および4は、異なる撚糸の使用および同じ列で行われる機械加工のタイプの違いによって、異なる厚さを特徴としている。
【0018】
実際、布地は、(コアおよび外部層の両方に関して)相互に織り込まれた撚糸を含む、様々なタイプの撚糸で製造できる。
【0019】
特に、外部層の製造に使用される撚糸は天然または合成の撚糸、両方のタイプの組み合わせ、または異なるタイプおよび厚さの撚糸を織り込んだものである。
【0020】
上述の説明に加え、布地は、好ましくは、ポリエステル、ナイロン、および同等の特徴を有するその他の素材でできたコアを特徴とし、このコアは、特定の機械加工による撚糸からなり、2つの外部層間の間隙および接続部として機能する。コアを有する布地を形成するための機械加工は、織り込みに使用される撚糸を織り込む工程を有し、図5に示されるように、機械加工により最終的に撚糸が所定のつづら折り形状となるものであり、撚糸は、最初に編地の一方の層の内側と係合し、次に編地のもう一方の層(外部層)の内側と再び係合する。さらに詳細に述べると、コアは、構造的に、高さ、したがってコアの厚さ、撚糸の密度、および撚糸の間隔において変化するメッシュを形成するため、外部層に固定され、織り込まれた撚糸で構成されている。
【0021】
実際、より低密度の状態の撚糸によって、より柔軟で通気性の良いコアが作製され、より緻密な状態の撚糸によって、より剛性で、応力に対して抵抗性のあるコアが作製される。
【0022】
特に、コア2は、2つの外部層間に空隙が形成され、コアの厚さに応じて比較的涼しい、または温かい、および/または様々な通気性を有するセクタが得られるため、環境制御機能を有している。
【0023】
本発明によれば、布地は異なる内部厚さを有していてもよく、その結果、さらに特有の設計およびセクタ毎の設計が可能となり、必要な位置において製品に対して特定の技術的特徴を提供することができる。
【0024】
実際、例えば、コアの厚さにより布地は制御された柔軟性を有することができ、コアが厚ければ厚いほど、布地はより柔軟で柔らかくなる。コアの特徴は、外部層の特徴と組み合わされるか、若しくはそれに追加される。
【0025】
加えて、布地は厚ければ厚いほどパディングの量も増えるので、それによりさらに確実なサポートが保証され、その結果、快適さの向上も保証されることになる。さらに、パディング領域が多ければ多いほど、より確実な保護が提供される。
【0026】
上述の説明に加えて、コアが厚ければ厚いほど、布地は接触する身体部分に最適な環境制御を提供するものであり、コアを製造する方法として、より良い/より優れた通気性、したがってより良い環境制御を可能とする開放チャネルが提供されており、コアの厚さが増加すると、空気の循環がより良くかつより容易となり、均一かつ一定の温度が維持され、厚さが減少し織り込み密度が高い領域に空気が到達すると、その速度は低下し、空気拡散の可能性が減少して温度が上昇する。その結果、他とは異なる快適さの領域が可能となる。
【0027】
上述の内容に加え、コアが薄いと布地はより剛性でより緻密になるので、接触領域に対してより確実なサポートが提供される。さらに、厚さの減少により、作製される布地の圧力、衝撃、および外部応力に対する抵抗力が高まる。
【0028】
特に、厚さが増加した場合は、弾性応答がより大きくなるため、小さいが持続的な応力をより吸収し、厚さが減少した場合は、短期間でより強度の応力を吸収する。
【0029】
上述した通り、並びに図5に示されるように、コアは完全布地3および4の2つの層で覆われており、当該布地は、いくつかの針床を有する編み機で製造される。さらに、外部層は両側で同一であってもよいし、異なる機械加工が施されていてもよい。
【0030】
実際、一方の側には1つのタイプの機械加工を施し、もう一方の側には異なる機械加工を施してもよい。加えて、例えば、1つの層が内側に配置された場合、接触領域から(例えば、布地が履物甲被と使用される場合は足から、手袋として使用される場合は手から、車の座席などの内張りとして使用される場合は背中から)熱および/または湿気を捕捉するために、当該層に対して特定の通気性を有する領域を形成する開口部が提供されてもよい。
【0031】
上述の説明に加え、布地が、例えば、外側に配置されるフルニットを作製する機械加工を特徴としている場合、当該布地は湿気の侵入を防ぎ、水分が内部に侵入する可能性を大幅に減少させる。
【0032】
特に、通気用の孔部および開口部があっても粉や砂などが侵入することはないため、足、手、または身体の他の部分に不快感を与える可能性のあるものは一切布地には侵入しない。
【0033】
さらに、布地の各層の曲線内には、様々な編地構造、例えば、両側のジャージー、リブニット、ヴァニゼニット、ジャカードニット、着色ジャカードニット、タック編みニット、透かし彫りニット、ケーブルニット、デザイン付きニット、象眼模様ニットなどが使用される。
【0034】
上述の布地は、異なる選択、撚糸、および規格によって(解剖学的な)予備成形が可能なニットで製造されるため曲線形状を有する。
【0035】
異なるタイプの機械加工が使用されることにより、作製される強化布地は、衣類、服飾品、履物、またはその強化布地が用いられる他の任意の対象物の機能的特徴に変換される構造的特徴を確実に有することが可能となる。
【0036】
本発明によれば、強化布地は、機械加工により縁部がシールされるので、コアの内部にある撚糸が突出することがなく、同時に内部に対していかなるものも挿入できないので、より強度が高くしかも損傷を受けにくい。さらに、縁部がシールされているので、例えば、(履物の)底のゴムに対する挿入が容易となり、あるいは、ほつれがなく簡単に縫うことが可能となり、また、衣類への挿入も容易である。実際、縁部は機械加工中に既にシールされているので、厚みを減少させることが可能となり、したがって品質レベルが向上し、耐久性も高く、さらに機械加工をする必要もない。
【0037】
さらに、強化布地は、必要に応じて異なる縁部を有してもよい。
【0038】
特に、あらゆる形態の強化布地が機械加工段階で既に曲線形状に成形されており、対象物のアセンブリ、若しくは衣類または服飾品の製造のための後続の機械加工以外、他に何ら機械加工を施さなくとも既に成形され完成されており、いつでも適用可能となっている。
【0039】
実際、上述の通り、対象となる強化布地は、(スポーツ用およびスポーツ用でないもの両方の)履物や手袋を製造するのに使用されてもよいし、衣類(スポーツおよび普段着の両方)の製造に使用されてもよいし、特定の特徴および性能レベルが要求される部分にのみ使用されてもよい。さらに、例えば、ヘルメット用パディング、サイクリングショーツおよびズボンの股下裏地用パディングを作製するのに使用されてもよいし、衣類の工業用パディング、その他様々なパディングとして使用されてもよい。加えて、強化布地は、車の座席の内張りおよび補強材として、椅子やソファーの内張りおよびパディングとして、あるいは接触および人間工学に関係する任意の他の用途に使用されてもよい。
【0040】
上述の通り、並びに対象となる強化布地の構造的特徴のさらなる説明として、例えば上記布地が(スポーツ用または普段の履物用の)履物甲被の製造に使用される場合、圧力のかかる場所(踵または足指)において、摩耗を受けにくくするため、より抵抗力のある撚糸が、当該領域の外部層を作製するために使用される(これは、足指に関しても適用される)。強化布地の異なる領域に特定の特徴または性能を与えるため、構築される各領域の構造および素材の両方を変化させてもよい。
【0041】
全てのインサート、および強化布地の異なるタイプの構造体は全て機械加工中に取得されるので、接触する身体領域に不快感、炎症、またはストレスを与える可能性のある縫い目は存在しない。実際、図10および11に示されるように、甲被を製造する場合、足指領域には縫い目が全く、現在の靴と違って、靴紐を挿入するための紐穴もない。
【0042】
上述の説明に加え、本発明の強化布地は望ましい曲線を有して製造される。すなわち、製造品は、完成状態で機械から搬出されるため、いかなる中断、(側方のシール以外の)縫い目、硬い縁部、および/または裁ち端がない単一体から形成される。実際、甲被などの製品は単一の機械加工段階で作製され、完成状態で機械から搬出されるため、靴底などの他の構成要素(ヘルメット用のパディングの場合は、ハードシェル)とのアセンブリ以外何らの後続工程も必要ない。特に、縁部は柔らかく、斯かる条件により、硬い縁部が長期的に見て不快感を引き起こす可能性があるのに対し、靴、ヘルメット、または手袋は、炎症や不快感のリスクなしに快適にフィットする。
【0043】
最後に述べるが特に、対象となる強化布地は精確な作業段階の成果物であるので、その結果得られる布地は、ファッション、スポーツなどに適用可能な高性能技術の典型である。
【0044】
以上、主に構造面について説明してきたが、以下に本発明の概略を記載する。
【0045】
品物を製造する場合、それが手袋であれ、履物であれ、衣服またはその一部であれ、あるいは椅子や座席の内張りであれ、本発明の強化布地を成形し、その布地を望ましい対象物を得るために使用するだけでよい。その対象物が履物甲被の場合は、図11に示されるように、布地は既に成形された状態で機械から搬出されて単に靴底と結合される。その対象物が座席用の内張りの場合、それは身体にフィットするものであり、衣類の場合は、通常の布地同様、他の構成要素と組み合わされる。異なる点は、身体へ接触する様々な領域のサポートとして布地が提供することが可能な性能および特徴である。前記布地では1つのセクタが別のセクタとは区別され、各セクタは最適な快適さを有する。また、前記布地は身体の部分に応じて多様化されており、環境制御が領域毎に異なっており、強化領域が身体部分を衝撃や打撃から保護しており、身体の他の部分の様々な動作中にに当該身体部分を補助、サポート、および保護する。このようにして、本発明はその目的を達成する。
【0046】
対象となる強化布地は、接触する身体部分の形態または組み合わされる対象物の形状に完全に適合し、ニット地の様々な列の連続部分において異なる厚さを特徴としており、さらに機械加工による異なる織り込み部分も特徴としており、斯かる機械加工により、身体部分が要求する保護および快適さの必要性に応じて、比較的剛性な強化布地または比較的柔軟な強化布地のいずれかを有し、必要に応じて、給気および空気循環のための、異なる領域を有する最適な通気性、足指または手のための適切な収容部、および衝撃や応力に対する足、手、または頭部の様々な部分の保護を提供する布地部分が得られる。
【0047】
強化布地の1つの有利な点は、1つの編み機を用いて(例えば、靴底とのアセンブリ、ヘルメット用のシェルとのアセンブリ、股下裏地用のズボンまたはショーツとのアセンブリ以外の)後続の機械加工を必要とすることなく製造され、最適なサポート、把持、保護、優れた通気性、明らかな軽量感、サポート、履いた際の驚くほどの快適さを有する対象物が利用者に提供されることである。
【0048】
上述の説明に加え、対象となる強化布地は、必要に応じて様々なレベルの柔軟性または硬度を有する支持点を身体部分に提供する、変厚インサートを特徴とする。
【0049】
さらに、本発明の強化布地の構造は、通気性および熱調整を提供するために、軽量で孔部が設けられ、様々なレベルのパディングを有する領域を交互に有する。
【0050】
対象となる強化布地のさらなる有利な点は、単一要素で製作されているので、追加の構成要素を何も有していないことである。
【0051】
特に、本発明の布地は、その構造の故に、不快感を与える厚みがなく、身体部分の形態に完全に適合するものであり、より大きな把持力およびサポートを備えた区画領域を特徴としている。
【0052】
加えて、本布地は、同一のセクタ内に様々なレベルの柔軟性または剛性を有するセクタまたは領域を提供できる。
【0053】
有利なことに、本発明の布地を有する衣類または服飾品は、衝撃や打撃を受け易い身体部分(例えば足)の挫傷の防止に加え、利用者の皮膚、骨、筋肉、および腱への機械的応力を大幅に減少させることができる。
【0054】
本発明の強化布地によって達成される1つの有利な点は、阻害要素や不快感を生じさせる要素が少なくなるため、利用者は動作中従来よりもはるかに安全となり、利用者のパーフォーマンスが改善されることである。これは、布地が股下裏地、履物甲被、または衣類の一部として使用される場合に該当する。
【0055】
さらなる利点は、対象となる強化布地は製造が容易で機能性が高いことである。
【0056】
当然ながら、本発明を特徴付ける本発明の範囲内において、さらなる修正または変形が本発明には可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12