(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】履物甲被
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A43B23/02 101A
(21)【出願番号】P 2018563491
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(86)【国際出願番号】 IT2017000107
(87)【国際公開番号】W WO2017208273
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】102016000056573
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521223863
【氏名又は名称】トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジーニ,ファビオ
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/038243(WO,A1)
【文献】特表2010-508968(JP,A)
【文献】国際公開第2015/097656(WO,A1)
【文献】特表2015-536207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0352173(US,A1)
【文献】実開昭63-057905(JP,U)
【文献】実開昭63-025004(JP,U)
【文献】特開2004-230151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/02-23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の上部を覆うように構成された前部(2)と、
踵を覆うように構成された後部(4)と
を備える履物甲被であって、
前部(2)と後部(4)との間に、足の下部が配置されるインソールに対応する中間部(3)を有し、
前記履物甲被は、編地の内部コア(5)および1対の外部層(6および7)からなる強化布地製の前部(2)、中間部(3)、および後部(4)を有しており、機械加工のタイプおよび異なる撚糸の使用によって異なる厚さで構成されるものであり、
前記甲被は、単一体として作製され、機械加工の段階で予備成形されており、前部を後部と側方において連結させて閉じることを除いて、他の如何なるタイプの機械加工を使用することなく、履物の底に適用できる
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項2】
請求項1記載の履物甲被において、
前記前部(2)は、
前記中間部(3)と接触して配置され、足の足指領域に対応する第一の領域(20)と、
いくつかのセクタが存在し、前記足の上部を覆うように構成された第二の領域(21)と、
舌革の先端部に対応し、利用者が前記履物を履くことを補助する第三の領域(23)であって、当該舌革は、前記甲被の構造体に組み込まれ、別体ではないものであり、それにより、移動することおよび厚みを増すことがないものである、前記第三の領域と
を含み、
前記第一の領域(20)、前記第二の領域(21)および前記第三の領域(23)は、通気性、収容性、およびサポートを含む機能の多様化を可能とする異なるタイプの機械加工により提供される
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項3】
請求項2記載の履物甲被において、
前記前部の中央領域は、
最適な保護を提供するために各地点間で変化する様々な厚さとパディングとを備えて
いる
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項4】
請求項1記載の履物甲被において、
前記中間部(3)は、前記前部(2)および前記後部(4)を接続し、
第一の領域(30)は足の裏に対応し、第二の領域(31)は足の甲に対応し、第三の領域(32)は足の踵に対応しているものであり、
前記第一の領域(30)は、前足の強化サポート部に対応する第一のセクタ(30a)と、通気性を与える特定の穿孔加工が施されているセクタ(30b)とを画定し、孔部間はさらなる厚さを有し、これにより、安静時において足指がより快適となるとともに、足指に対して所定の収容部が提供され、また、足指に適切に適合するための案内が提供されるものであり、
前記第二の領域(31)は、足の甲に対応し、足の裏の発汗を防ぐために通気および空気循環に適した別の有孔セクタ(31a)を特徴としており、
前記第三の領域(32)は、踵の休息領域に対応する第二の強化セクタ(32a)を有する
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項5】
請求項1記載の履物甲被において、
前記後部(4)は、踵を側面から包み込むように構成された帯形状を有し、
前記後部(4)の自由端部は、踵を十分に包み込むように提供された一対のタブ(40)を有し、この一対のタブ(40)の間の自由空間によってアキレス腱に自由度が与えられ、前記腱自体の良好な動きが可能となるものであり、
前記後部(4)の自由端部は、最適保護を提供するため様々な厚さのパディングで構成された布地を有する
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項6】
請求項1記載の履物甲被において、
前記前部(2)における各側縁部(23aまたは23b)は、前記中間部(3)の第二の領域(31)の側縁部(33aまたは33b)とそれぞれ連結するように構成されており、
前縁部(24aおよび24b)は、縁部(34aおよび34b)と連結するように構成されている
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項7】
請求項1記載の履物甲被において、
前記強化布地は前記コアを特徴としており、前記コアは、特定の機械加工により形成され、2つの外部層間の空隙および接続部として機能するものであり、前記機械加工は、前記強化布地の織り込みに使用される撚糸を織り込む工程を有し、前記機械加工により最終的に撚糸が所定のつづら折り形状となるものであり、前記撚糸は、最初に編地の一方の層の内側と係合し、次に編地のもう一方の層の内側と再び係合するものであり、前記外部層に固定され、前記コアは、高さ、したがってコアの厚さ、撚糸の密度、および撚糸の間隔において変化するメッシュを形成するものであり、
前記コアを覆う前記外部層(6および7)は、複数の針床を有する編み機で作製されており、前記外部層の両側において同一の機械加工が施されているか、または異なるタイプの機械加工が施されており、この場合、一方の側は1つのタイプの機械加工を特徴とし、反対側の対応する機械加工は異なるタイプであり、
若しくは、一方の側は、内側にある場合、足との接触領域から熱および/または湿気を捕捉するため、特定の発汗領域を形成する開口部を有し、および、他方の側は、外側にある場合、湿気の侵入を防止し、水分が内部に侵入する可能性を大幅に減少させるフルニットを形成する機械加工を特徴としており、
前記強化布地は縁部がシールされた状態に機械加工されてなり、それにより、前記コア内部にある撚糸の外側への突出が防止されるとともに、前記コアの内部に対していかなるものも侵入不可能となっており、
前記強化布地は、機械加工中に全ての形状に予備成形され、いかなる中断、硬い縁部、および/または鋭利な縁部がなく、むしろ、履物の底とのアセンブリのための後続の機械加工を除き、他の任意の機械加工を施すことなく成形済みであり、完成され適用できる状態で単一体として機械から搬出されるものであり、
前記強化布地は、異なるタイプの機械加工により、前記履物の機能的特徴へ変換される構造的特徴を有する
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項8】
請求項7記載の履物甲被において、
前記強化布地は厚ければ厚いほどパディングは肉厚となり、それにより、サポートおよび快適さがさらに保証されるものであり、前記肉厚のパディングの領域により、当該領域に接触する足部分のさらなる保護が可能となる
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項9】
請求項7記載の履物甲被において、
前記内部コア(5)の厚さが減少すると、前記強化布地はさらに剛性で緻密となり、圧力、衝撃、および外部応力に対してさらに抵抗力を有するため、接触領域にさらなるサポートを提供し、前記内部コア(5)の厚さが増加すると、前記強化布地は、当該布地が接触する身体部分に最適な環境制御を提供する
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項10】
請求項7記載の履物甲被において、
前記内部コアは、空気の循環を改善および促進することによってさらに優れた環境制御を可能とする開放チャネルを備えるものであり、前記内部コアの厚さが増加すると、空気の循環がより容易となり、均一かつ一定の温度が維持されるものであり、一方、厚さが減少した領域に空気が到達すると、空気の速度は低下し、空気拡散の可能性が減少して温度が上昇するため、異なる快適さを有する領域を有することが可能となる
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項11】
請求項7記載の履物甲被において、
前記内部コアがより低密度の状態の撚糸を有する場合、前記内部コアはより柔軟性があり柔らかく、通気性を有するものであり、前記内部コアがより高密度でさらに緻密な状態の撚糸を有する場合、前記内部コアはより剛性で応力に対して抵抗力を有しており、前記内部コアの厚さによって、前記強化布地が制御された柔軟性を有し、前記強化布地の厚さが高くなればなるほど、前記強化布地は、より柔軟で柔らかくなり、前記内部コアの特徴は、前記外部層の特徴と組み合わされるか、若しくはそれに追加される
ことを特徴とする、履物甲被。
【請求項12】
請求項7記載の履物甲被において、
前記強化布地は、前記コアおよび前記外部層の双方を用途として織り込まれた様々なタイプの撚糸で作製されており、前記外部層(6および7)の製造に使用される撚糸は天然または合成の撚糸、天然または合成の撚糸の組み合わせ、または異なるタイプおよび厚さの撚糸を織り込んだものであり、前記コア(5)の製造に使用される撚糸は、ポリエステル、ナイロンを含む合成素材である
ことを特徴とする、履物甲被。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の良好な把持および保護を保証するのに特に適した、強化編地製の履物甲被(footware upper)に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、履物は、足を保護する目的の装身具であり、本質的に、地上と接触する下部分である靴底と、一般的にいくつかの部分で構成され、足を覆い靴底を定位置に保持するための上部分である甲被とによりなっている。特に、甲被は異なる装飾品、色、および形状を有しており、縫い目または接着により靴底に取り付けられている。さらに、ほとんどの場合、甲被は天然革または合成素材製である。
【0003】
加えて、履物は、靴底と甲被との間の空隙を形成する内側部分であるインソールを特徴とする。
【0004】
実際、靴は、利用者が歩行および走行する際に足を保護する、また、足の骨および/または筋肉構造に生じる怪我または疲労を防止するために常に使用されてきた。
【0005】
現在、多くのタイプの靴が市販されているが、その主なものはスポーツ靴/カジュアルシューズであり、それらが市場の大半を占めている。
【0006】
今日、靴の特化がますます追及されており、靴が提供する性能、および靴の構成部分の構造に関する技術的特徴がますます向上している。
【0007】
様々なタイプが入手可能であるが、編地製の甲被を特徴とする靴もある。
【0008】
編地製甲被を特徴とするフットボール靴は柔らかく第二の皮膚と呼ばれるほどである。特に、編地製甲被は、撚糸を保護し表面を柔軟に維持するために薄い革の層で覆われており、したがって、どのような天候条件下でも、ブーツが最大の性能を確実に提供できるようになっている。
【0009】
上述のブーツは最適な快適さを特徴としているが、特に利用用途を考えると、甲被の繊細さ、摩耗の傾向、衝撃を受ける足領域の保護の欠如の点でいくつかの欠点があることが分かっている。さらに、甲被は、使用に伴って、通気性の悪化および構造の変形し易さを示す。実際、上述の欠点の一部は、構成布地の厚さが一定であるのに対し、足の異なる部分において、異なるレベルの把持、抵抗、および一貫性を有する布地を必要とするという事実に起因する。
【0010】
上述の説明に加え、市場では、例えば、足の適切な把持および特定領域の保護を同時に提供可能なニットを有する編地を特徴とする靴が要求されている。特に、履物においては、縫い目のできるだけ少ないものが要求されている。これは、縫い目が時間とともに、また、靴の長期使用に伴って足を刺激し、斯かる原因で生じる圧力によって靴の装着可能性に制限を与える炎症を起こす可能性があるためである。
【0011】
今日では、周知のように、衣類および服飾品の利用者の間で、使用面での快適さ、実用性、機能性、美的な素晴らしさ、柔軟性など多くの関心事項が存在する。
【0012】
実際、例えば、(特に)スポーツをする男性および女性は、スポーツ活動に使用される履物、衣類、および服飾品に関しては特に要求が厳しく、選択に慎重であるのは周知の事実であり、これは、彼らの期待や必要性を満たさない履物、あるいは期待を不当に高めるような履物などに対して妥協を許さないことを意味している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、本質的に、縁部分または他の領域に中断、縫い目、または裁ち端のない、単一体でできた機械仕上げの履物甲被によって上述の欠点を克服することにより、従来技術の問題点を解決することにある。
【0014】
本発明の第二の目的は、連続編成部分おいて、機械加工による異なる織り込み部分によって達成される異なる厚さを特徴とすることにより、足の形態に完全に適合可能な履物甲被を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、最適な足の把持、優れた通気性、明らかな軽量感、サポート、および履いた際の驚くほどの快適さを利用者が達成できる履物甲被を、編み機を用いて製造することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、支持点を提供するとともに、必要に応じて様々なレベルの柔軟性または硬度を有する変厚インサートを特徴とする、履物甲被を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、様々なレベルのパディングを交互に有する領域を特徴とし、軽量で、通気用の孔部を有する履物甲被を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、これが最後の目的ではないが、製造が容易で機能性が高い履物甲被を製造することである。
【0019】
斯かる目的並びに本記載でさらに説明される目的は、以下の特許請求の範囲において記載される履物甲被によって実質的に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面を参照して非限定的な実施例の形態で提供される、さらなる特徴および利点は、本発明による履物甲被の詳細な説明においてより明確に説明される。
【
図1】
図1は、本発明の履物甲被を有する靴の概略側面図を示す。
【
図5】
図5は、対象となる履物甲被の概略上面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1の履物甲被を構成する布地の概略詳細図を示す。
【
図7】
図7は、履物甲被を構成するさらなる布地の概略詳細図を示す。
【
図8】
図8は、履物甲被の布地の概略断面図を示す。
【
図9】
図9は、甲被のさらなる布地の概略詳細図を示す。
【
図10】
図10は、本発明による異なる甲被の概略上面図を示す。
【
図11】
図11は、甲被の布地の詳細に関する概略断面図を示す。
【0021】
上述の図面を参照すると、符号1は、全体的に、本発明による履物甲被を用いて製造される靴を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
対象となる甲被10は、前部2と、中間部3と、後部4とにより基本的に構成される。
【0023】
前部2は足の上部を覆うように構成されており、中間部3は足の下部が位置するインソールに対応しており、後部4は踵を覆うように構成されている。
【0024】
さらに詳細に述べると、前部2は実質的に台形の構造を特徴としており、
図3に示されるように、異なるタイプの機械加工による一連の領域(通気性、収容、サポートなどの様々な機能の多様性を可能とする領域)を有する。特に、前部2は、中間部3と接触し、足指領域に対応する第一の領域20と、菱形形状部210を有する様々なセクタを特徴とし、足の上部を覆うように構成されている第二の領域21とを有する。最後に、前部2は、靴の舌革として機能して利用者が履物を履くのを補助する、第三の領域23を有する。
【0025】
特に、第三の領域23は実際の舌革の先端部に相当し、この舌革は、(現在の靴同様)上部構造に組み込まれ、上部構造から分離していないため、移動したり、不快感を与えるような厚みをもたらさない。
【0026】
特に、「舌革」として機能するように設計された前部領域には適切な厚みおよびパディングが提供されており、そのような厚みおよびパディングは足首を構成する部分をさらに保護する必要性に応じて様々であってよい。
【0027】
さらに詳細に述べると、舌革として機能する布地部分は、舌革の先端部に対応する第三の領域23のみでなく、前部の一部にわたり、この布地部分は機械加工および厚さの違いにより区別される。実際、前部は足の上部全体を覆っており、足首を保護する機能を有する中央部分はさらなるパディングを特徴とする。さらに、舌革機能を果たす部分内において最適な保護を提供するため、パディングは各領域間で異なっていてもよい。
【0028】
中間部分3は第一の部分2と第三の部分4とを接続し、本質的に長方形であるが、インソールに対応するように僅かに曲線状の構造を特徴としており、第一の領域30は足の裏に対応し、第二の領域31は足の甲に対応し、第三の領域32は足の踵に対応する。
【0029】
さらに詳細に述べると、第一の領域30は前足支持部に対応する第一の強化セクタ30aを有し、同様に、第三の領域32は踵の休息領域に対応する第二の強化セクタ32aを有する。
【0030】
特に、足指の下の領域30において、通気性を与える特定の穿孔加工が施されたセクタ30bが提供されており、孔部間はさらなる厚さを有し、これにより、安静時において足指がより快適となるとともに、足指に対して所定の収容部が提供され、また、足指に適切に適合するための案内が提供される。
【0031】
中間部3においては、足の甲に対応して、足の裏の発汗を防ぐため、通気および空気循環の領域を提供する別の有孔セクタ31aが存在する。
【0032】
上述の説明に加え並びに本発明にしたがって、中間部3すなわちインソールは、利用者の足が固定され利用者の移動中に靴内で移動しないように作製されている。
【0033】
さらに、上記前部2の各側縁部23aまたは23bは、中間部3の第二の領域の側縁部33aまたは33bとそれぞれ連結するように構成されており、前縁部24aおよび24bは、縁部34aおよび34bと連結するように構成されている。
【0034】
本実施形態によれば、後部4は踵を側面から包み込むように構成された帯形状を有する。
図4に示されるように、後部4の自由端部は踵を確実に包み込むように構成された一対の舌革40を有することを特徴とするが、この一対の舌革40の間の自由空間によってアキレス腱に自由度が与えられ、良好な動きが可能となる。
【0035】
同様に、後部において、踵をさらに保護するため、その上部分を包含する布地は、区分され、様々な形状を有する複数のパディング領域を特徴としており、実際、パディングは、最適保護を提供するため各領域間で異なっていてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、前部2、中間部3、および後部4は、編地の内部コア5および1対の外部層6および7からなる強化布地(engineered fabric)を用いて製造される。コアを覆う外部層6および7は、異なる撚糸の使用および同じ列で行われる機械加工のタイプの違いによって、異なる厚さを特徴としている。
【0037】
実際、布地は、(コアおよび外部層の両方に関して)様々なタイプの撚糸(相互に織り込まれた撚糸を含む)で製造できる。
【0038】
特に、外部層の製造に使用される撚糸は天然または合成の撚糸、両方のタイプの組み合わせ、または異なるタイプおよび厚さの撚糸を織り込んだものである。
【0039】
特に、同じ列の織り込みを変化させることにより、異なる厚さを異なる機械加工から取得でき、斯かる条件により、各領域間、および最終的な性能の面でも異なる布地構造特徴がもたらされる。
【0040】
上述の説明に加え、布地は、ポリエステル、ナイロン、および同等の特徴を有するその他の素材でできたコアを特徴とし、このコアは、特定の機械加工による撚糸からなり、2つの外部層間の間隙および接続部として機能する。コアを有する布地を形成するための機械加工は、ニットに使用される撚糸の織り込む工程を有し、
図11に示されるように、機械加工により最終的に撚糸が所定のつづら折り形状となるものであり、撚糸は、最初に編地の一方の層の内側と係合し、次に編地のもう一方の層(外部層)の内側と再び係合する。さらに詳細に述べると、コアは、構造的に、高さ、したがってコアの厚さ、撚糸の密度、および撚糸の間隔において変化するメッシュを形成するため、外部層に固定され、織り込まれた撚糸で構成されている。
【0041】
実際、より低密度の状態の撚糸によって、より柔軟で通気性の良いコアが作製され、より緻密な状態の撚糸によって、より剛性で、応力に対して抵抗性のあるコアが作製される。
【0042】
加えて、コアを形成するのに使用される撚糸の厚さを変えると、撚糸の特徴はそれに比例して変化する。
【0043】
上述した通り、並びに
図6に示されるように、コアは、2つの層の完全布地6、7によって覆われており、上記布地は、いくつかの針床を有する編み機によって作製されている。
【0044】
特に、コア5は、2つの外部層間に空隙が形成され、コアの厚さに応じて比較的涼しい、または温かい、および/または様々な通気性を有するセクタが得られるため、環境制御機能を有している。
【0045】
本発明によれば、布地は異なる内部厚さを有していてもよく、その結果、さらに特有の設計およびセクタ毎の設計が可能となり、必要な位置において製品に対して特定の技術的特徴を提供することができる。
【0046】
実際、例えば、コアの厚さにより布地は制御された柔軟性を有することができ、コアが厚ければ厚いほど、布地はより柔軟で柔らかくなる。
【0047】
コアの織り込みの密度が高ければ高いほど、布地の剛性は全体的に高まるので、圧縮抵抗も増大する。
【0048】
加えて、コアを形成するために織り込まれた撚糸の密度が高ければ高いほど、布地のパディングの量が増えるため、布地はより剛性となり、それによりさらに確実なサポートが保証され、その結果、快適さの向上も保証されることになる。さらに、パディング領域が多ければ多いほど、より確実な保護が提供される。
【0049】
上述の説明に加えて、コアが厚ければ厚いほど、布地は足に最適な環境制御を提供するものであり、コアを製造する方法として、より良い/より優れた通気性、したがってより良い環境制御を可能とする開放チャネルが提供されており、コアの厚さが増加すると、空気の循環がより良くかつより容易となり、均一かつ一定の温度が維持され、厚さが減少し織り込み密度が高い領域に空気が到達すると、その速度は低下し、空気拡散の可能性が減少して温度が上昇する。その結果、他とは異なる快適さの領域が可能となる。
【0050】
上述の内容に加え、コアが薄いと布地はより剛性でより緻密になるので、接触領域に対してより確実なサポートが提供される。さらに、厚さの減少により、圧力、衝撃、および外部応力に対する布地の抵抗力が高まる。
【0051】
特に、厚さが増加した場合は、弾性応答がより大きくなるため、小さいが持続的な応力をより吸収し、厚さが減少した場合は、短期間でより強度の応力を吸収する。
【0052】
上述した通り、コアは、いくつかの針床を有する編み機で製造される2つの外部布地層で覆われている。さらに、層は両側で同一であってもよいし、異なる機械加工が施されていてもよい。
【0053】
さらに、一方の側には1つのタイプの機械加工を施し、それに対応する反対側には異なる機械加工を施してもよい。実際、例えば、1つの層が内側に配置された場合、足からの熱および/または湿気を捕捉するために、当該層に対して特定の通気性を有する領域を形成する開口部が提供されてもよい。
【0054】
一方、布地は、外側に配置される完全布地であるが、当該布地は湿気の侵入を防ぎ、水分が中に入る可能性を大幅に減少させる。
【0055】
特に、通気用の孔部および開口部があっても粉や砂などが侵入することはないため、足に不快感を与える可能性のあるものは一切靴には侵入しない。
【0056】
上述の説明に加え、布地の外側層に機械加工を施すとき、靴紐を挿入するための少なくとも1対の穴を前部に作製してもよい。上記靴紐は、利用者が行う活動タイプ(フットボール、ランニング、トレッキング、単なる歩行など)に応じて、足に対するより大きな把持力および収容力を達成する。
【0057】
特に、前部および足の把持を助けるインソールは、利用者の足の形態学的特徴およびその重量並びに使用タイプの両方を考慮するようにカスタマイズされてもよい。
【0058】
さらに、布地の各層の曲線内には、様々な編地構造、例えば、両側のジャージー、リブニット、ヴァニゼニット、ジャカードニット、着色ジャカードニット、タック編みニット、透かし彫りニット、ケーブルニット、デザイン付きニット、象眼模様ニットなどが使用される。
【0059】
上述の布地は、異なる選択、撚糸、および規格によって(解剖学的な)予備成形が可能なニットで製造されるのため曲線形状を有する。
【0060】
異なるタイプの機械加工が使用されることにより、作製される布地は、履物の機能的特徴に変換される構造的特徴を有することが可能となる。
【0061】
本発明によれば、強化布地は、機械加工により縁部がシールされるので、内部の撚糸が突出することがなく、同時に内部に対していかなるものも挿入できないので、より強度が高くしかも損傷を受けにくい。さらに、縁部がシールされているので、靴底のゴムへの強化布地の縁部への挿入が容易となる。実際、縁部は機械加工中に既にシールされているので、厚みを減少させることが可能となり、したがって品質レベルが向上し、耐久性も高く、後続の機械加工も必要ない。
【0062】
布地は曲線形状に成形されて機械から搬出されるため、靴の製造にあたって他の作業は必要ない。
【0063】
上述の通り、あらゆる形態の生地が機械加工段階で既に曲線形状に成形されており、第一の部分と第三の部分を側方において連結させて閉じる以外、他に何ら機械加工を施さなくとも既に完成しており、靴底にいつでも適用可能となっている。
【0064】
加えて、この強化生地は、必要に応じて異なる縁部を有してもよい。
【0065】
上述のように、並びに靴の甲被を構成する強化布地の構造的特徴のさらなる説明として、圧力のかかる場所(踵または足指)において、摩耗を受けにくくするため、より抵抗力のある撚糸が、当該領域の層を作製するために使用される(これは、足指に関して適用される)。強化布地の異なる領域に特定の特徴または性能を与えるため、構築される各領域の構造および素材の両方を変化させてもよい。
【0066】
全てのインサート、および甲被を構成する強化布地の異なるタイプの構造体は全て機械加工中に取得されるので、足に不快感、炎症、またはストレスを与える可能性のある縫い目は存在しない。上記したように、シールされることが想定されている唯一の場所は側面であるが、側面は問題を生じさせるような場所ではないので、足への干渉はないし、足の不快感の原因ともならない。
【0067】
特に、現在の靴とは異なり、足指の領域には縫い目がなく、靴紐を挿入するための紐穴もない(前述のように、単に孔部があるだけである)。
【0068】
上述の説明に加え、本発明の強化布地は望ましい曲線を有して製造される。すなわち、甲被は、いかなる中断、(側方のシール以外の)縫い目、硬い縁部、および/または裁ち端がない単一体から形成される。実際、甲被は単一の機械加工段階で作製され、完成状態で機械から搬出されるため、靴底とのアセンブリ以外何らの後続工程も必要ない。特に、縁部は柔らかく、斯かる条件により靴は快適にフィットし、(かなり硬い縁部を有し、長期的には不快感を引き起こす傾向にある)スポーツ靴で頻繁に生じるような炎症や水疱の危険性はない。
【0069】
以上、主に構造面について説明してきたが、以下に本発明の概略を記載する。利用者は、歩いたりスポーツしたりする場合、本発明の靴を履き、現在使用されている靴と全く同様にそれを使用する。相違点は、足の様々な領域のサポートがセクタ毎に異なっていること、快適さは最適であり、しかも足の様々な場所で多様であること、環境制御も領域毎に異なっていること、足指および踵が衝撃や打撃から保護されていること、並びに足の他の部分が、様々な動き中に援助され、サポートされ、保護されていることである。そのようにして、本発明はその目的を達成する。
【0070】
対象となる履物甲被は、縁部周辺にも他の領域にも中断や縫い目や裁ち端のない、単一体の機械仕上げ甲被として製造される。
【0071】
有利なことに、本発明の甲被は足の形態に完全に適合し、編地の同じ列において異なる厚さを有することを特徴としており、さらに機械加工による異なる織り込みも特徴としており、斯かる機械加工により、足の保護および快適さの必要性に応じて、比較的剛性な強化布地または比較的柔軟な強化布地のいずれかを有し、必要に応じて、給気および空気循環のための、異なる領域を有する最適な通気性、足指のための適切な収容部、および衝撃や応力に対する足の様々部分の保護を提供する履物が製造される。
【0072】
本甲被のさらに有利な点は、1つの編み機を用いて(靴底とのアセンブリ以外の)後続の機械加工を必要することなく製造され、最適な足の把持、優れた通気性、明らかな軽量感、サポート、履いた際の驚くほどの快適さを有する利用者用履物が提供されることである。
【0073】
上述の説明に加え、対象となる履物甲被は、必要に応じて様々なレベルの柔軟性または硬度を有する支持点を足に提供する、変厚インサートを特徴とする。
【0074】
さらに、本発明の履物甲被の構造は、通気性および熱調整を提供するために、軽量で孔部が設けられ、様々なレベルのパディングを有する領域を交互に有する。
【0075】
有利なことに、対象となる甲被は、市場で現在入手可能な編地甲被の靴(靴紐を挿入するための紐穴、編地用の覆い、様々な縫い目などを有する)と異なり、単一要素で製作されているので、追加の構成要素を何も有していない。
【0076】
有利なことに、本発明の甲被は、不快感を与える厚みがなく、足の形態に完全に適合するものであり、より大きな把持力およびサポートを備えた区画領域を特徴としている。
【0077】
さらに、弾力性のある履物により、利用者は、血液循環の刺激、マッサージ効果、最適なサポート、並びに履いた際の驚くほどの快適さを得ることができる。
【0078】
加えて、本甲被は、同一のセクタ内に様々なレベルの柔軟性または剛性を有するセクタまたは領域を提供できる。
【0079】
有利なことに、本発明の甲被を有する履物は、足の挫傷の防止に加え、利用者の皮膚、骨、筋肉、および腱への機械的応力を大幅に減少させることができる。
【0080】
本発明の履物によって達成される1つの有利な点は、阻害要素や不快感を生じさせる要素が少なくなるため、利用者は動作中従来よりもはるかに安全となり、利用者のパーフォーマンスが改善されることである。
【0081】
さらなる利点は、対象となる履物甲被は製造が容易で機能性が高いことである。
【0082】
当然ながら、本発明を特徴付ける本発明の範囲内において、さらなる修正または変形が本発明には可能である。