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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230208BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F25D23/02 305A
F25D21/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019006954
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020118304
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】黄 強翔
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-228964(JP,A)
【文献】特開2016-044887(JP,A)
【文献】特開2015-045451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0146528(US,A1)
【文献】特開2016-161182(JP,A)
【文献】特開2018-063077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に設けられた貯蔵室と、
前記貯蔵室の開口部を開閉する複数の貯蔵室扉と、
複数の前記貯蔵室扉が前記開口部を閉塞した閉塞状態において、複数の前記貯蔵室扉の間に位置する仕切り体と、
前記仕切り体の内部に設けられる発熱体と、を備え、
前記仕切り体は、
前記発熱体が配置される発熱体配置部と、
前記発熱体配置部以外の部分である非発熱体配置部と、を有し、
前記発熱体配置部の熱伝導性が前記非発熱体配置部の熱伝導性よりも高くなっており、
前記発熱体配置部は、庫内側から庫外側に向かって窪む凹部を有し、
前記非発熱体配置部は、庫内側から庫外側に向かって突出する凸部を有し、
前記凸部が前記凹部に嵌り込んでおり、
前記発熱体配置部は、前記凹部および前記凸部を庫内側から覆うことにより、前記非発熱体配置部に対し前記発熱体配置部が庫外側に移動することを規制する部分を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記発熱体配置部は、着磁性を有さない非着磁性の材料により構成されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記発熱体配置部は、当該発熱体配置部が前記非発熱体配置部から抜けることを防止する抜け止め部を備えている請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記発熱体配置部は、当該発熱体配置部から前記非発熱体配置部が離間することを防止する離間防止部を備えている請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記発熱体配置部は、前記発熱体を収容する発熱体収容部を備え、
前記発熱体収容部は、1つの前記発熱体に対し1つ設けられている請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記発熱体を収容した前記発熱体収容部を閉塞する閉塞部材をさらに備え、
前記閉塞部材は、熱伝導性を有する請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記発熱体配置部の表面に突部が設けられている請求項1から6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、冷蔵庫は、貯蔵室の一例である冷蔵室の開口部を開閉する貯蔵室扉を、いわゆる観音開き式の2つの冷蔵室扉で構成することが一般的である。そして、この種の冷蔵庫においては、2つの冷蔵室扉の一方の自由端部に仕切り体を設け、2つの冷蔵室扉が冷蔵室の開口部を閉塞した閉塞状態において、この仕切り体を2つの冷蔵室扉の間に位置させるようにしている。このように、冷蔵室の開口部が閉塞された閉塞状態において、仕切り体を2つの冷蔵室扉の間に位置させることにより、2つの冷蔵室扉の間からの冷気の漏洩を抑制することができる。よって、断熱性能の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4821523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、仕切り体における結露の発生を防止するために、当該仕切り体の内部にヒータなどの発熱体を備えることが考えられている。しかしながら、この種の仕切り体は、例えば樹脂などの熱伝導性が低い部材を主体として構成されている。そのため、ヒータの熱が伝わりにくく、従って、結露の発生を十分に防止することが困難である。
【0005】
また、仕切り体のうち特に結露を防止したい側、つまり、冷蔵室扉が開口部を閉塞した閉塞状態において冷蔵庫の前側となる面の全面を、例えば鉄板などの熱伝導性が高い部材で構成することが考えられている。この構成によれば、ヒータの熱が鉄板に伝わりやすくなり、従って、結露の発生を防止する効果を向上させることが期待できる。しかしながら、仕切り体のうち結露を防止したい側の面の全面を熱伝導性が高い部材で構成すると、仕切り体全体としての熱伝導性が高くなってしまう。そのため、庫内の冷気が仕切り体を介して庫外に漏洩しやすくなり、断熱性能が損なわれてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本実施形態は、断熱性能の低下を抑制しつつ、仕切り体における結露の発生を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体に設けられた貯蔵室と、前記貯蔵室の開口部を開閉する複数の貯蔵室扉と、複数の前記貯蔵室扉が前記開口部を閉塞した閉塞状態において、複数の前記貯蔵室扉の間に位置する仕切り体と、前記仕切り体の内部に設けられる発熱体と、を備えている。前記仕切り体は、前記発熱体が配置される発熱体配置部と、前記発熱体配置部以外の部分である非発熱体配置部と、を有している。そして、前記発熱体配置部の熱伝導性が前記非発熱体配置部の熱伝導性よりも高くなっており、前記発熱体配置部は、庫内側から庫外側に向かって窪む凹部を有し、前記非発熱体配置部は、庫内側から庫外側に向かって突出する凸部を有し、前記凸部が前記凹部に嵌り込んでおり、前記発熱体配置部は、前記凹部および前記凸部を庫内側から覆うことにより、前記非発熱体配置部に対し前記発熱体配置部が庫外側に移動することを規制する部分を有する
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示すものであって、複数の貯蔵室扉が貯蔵室の開口部を閉塞した状態例を示す平面図
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示すものであって、複数の貯蔵室扉が貯蔵室の開口部を開放した状態例を示す平面図
図3】第1実施形態に係る仕切り体の一端部の構成例を概略的に示す斜視図
図4】第1実施形態に係る仕切り体の構成例を概略的に示す横断平面図
図5】第2実施形態に係る仕切り体の構成例を概略的に示す横断平面図
図6】第3実施形態に係る仕切り体の構成例を概略的に示す横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、冷蔵庫に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1および図2に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室を備えている。断熱箱体11は、冷蔵庫10の本体部を構成する冷蔵庫本体の一例であり、内箱と外箱との間に真空断熱パネルや発泡ウレタンなどの断熱材を備えた構成である。断熱箱体11には、例えば食品類などの貯蔵物を収容する貯蔵室として、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室12が設けられている。また、詳しい図示は省略するが、断熱箱体11には、貯蔵室として、さらに、冷蔵温度帯に維持される野菜室、冷凍温度帯に維持される冷凍室、小冷凍室、製氷室などの各種の貯蔵室が設けられている。
【0011】
また、冷蔵庫10は、冷蔵室12の前面開口部13を開閉する冷蔵室扉21,22を備えている。冷蔵室扉21,22は、断熱箱体11の横方向、換言すれば、冷蔵室12の横方向に沿って複数、この場合、2つに分割されており、いわゆる観音開き式の2つの扉により構成されている。冷蔵室扉21,22は、冷蔵室12の前面開口部13の左右の両端部に設けられている回動軸によって、矢印Rで例示するように左右方向に回動可能に支持されている。なお、詳しい図示は省略するが、冷蔵庫10は、冷蔵室12以外の貯蔵室についても、それぞれの前面開口部を開閉する、例えば引き出し式あるいは観音開き式の貯蔵室扉を備えている。
【0012】
また、冷蔵室扉21,22の内面、この場合、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において冷蔵室12内側となる面には、冷蔵室12内から庫外への冷気の漏洩を防止するためのガスケット23が設けられている。ガスケット23は、例えば変形可能な樹脂材料で構成されており、内部に空間を有している。
【0013】
また、冷蔵庫10は、冷蔵室扉21,22のうち一方に仕切り体30を備えている。この場合、仕切り体30は、冷蔵庫10の正面側から見て左側に設けられている冷蔵室扉21の自由端部において、回動軸31によって横方向に回動可能に設けられている。また、仕切り体30は、図1に例示する閉塞位置と、図2に例示する折り畳み位置と、の間で回動可能に設けられている。
【0014】
図1に例示するように、閉塞位置に回動した仕切り体30は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵室扉21の自由端部から冷蔵室扉22側に向かって指向する。一方、図2に例示するように、折り畳み位置に回動した仕切り体30は、冷蔵室扉21の内面側に折り畳まれて、当該冷蔵室扉21に直交する方向に指向する。
【0015】
また、仕切り体30は、図示しないコイルばねによって、折り畳み位置に回動する方向に付勢されている。そのため、仕切り体30は、冷蔵室扉21が開かれた場合には、図示しないコイルばねの付勢力によって折り畳み位置に自動的に回動するようになっている。また、仕切り体30は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態においては、閉塞位置に回動して、これら冷蔵室扉21,22の間に位置するようになっている。
【0016】
次に、この仕切り体30の構成例について詳細に説明する。図3に例示するように、仕切り体30は、上下方向に長い長尺な矩形状をなしており、その長手方向の一端部、この場合、上端部にガイド部32を備えている。このガイド部32は、例えばねじ止めなどによって仕切り体30に固定されている。詳しくは後述するように、仕切り体30は、その一部が金属製の仕切り板43によって構成されている。そのため、この金属製の仕切り板43においてガイド部32のねじ止めを行うことにより、ガイド部32を仕切り体30に強固に固定することができる。
【0017】
また、ガイド部32は、例えば円弧状に延びるガイド溝32aを有している。冷蔵室扉21が閉められる際には、冷蔵室12の前面開口部13の上端部から下方に突出する図示しない突起部がガイド部32のガイド溝32a内に進入する。そして、さらに冷蔵室扉21が閉塞方向に回動されることに伴い、前面開口部13側の突起部が円弧状のガイド溝32a内を進行する。そして、このように前面開口部13側の突起部が円弧状のガイド溝32a内を進行することに伴い、仕切り体30は、冷蔵室扉21の内面側に折り畳まれた折り畳み位置から、冷蔵室扉22側に指向する閉塞位置に回動するように案内されるようになっている。
【0018】
図4に例示するように、仕切り体30は、庫内側ケース部41、庫外側ケース部42、仕切り板43、ヒータ44、マグネット45などを備えて構成されている。庫内側ケース部41は、少なくとも金属材料よりも熱伝導性が低い樹脂材料により構成されている。庫内側ケース部41は、長尺な矩形箱状に形成されている。また、庫内側ケース部41の底面、この場合、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において庫内側となる面には、庫内側ケース部41の長手方向に延びる複数のリブ41aが設けられている。
【0019】
庫外側ケース部42は、庫内側ケース部41と同じく、少なくとも金属材料よりも熱伝導性が低い樹脂材料により構成されている。庫外側ケース部42は、全体として、長尺な矩形板状に形成されており、その中央部には、庫外側ケース部42の長手方向に延びる間隙部42aが設けられている。庫外側ケース部42は、庫内側ケース部41の開放部に取り付けられ、これにより、長尺な矩形状の仕切り体30の筐体が構成されている。
【0020】
また、仕切り体30は、庫内側ケース部41および庫外側ケース部42により構成される筐体の内部に、例えば発泡ウレタンや真空断熱パネルなどの断熱材46を収容した構成となっている。仕切り体30は、これら庫内側ケース部41および庫外側ケース部42により、発熱体配置部以外の部分である非発熱体配置部の一例を構成している。
【0021】
仕切り板43は、発熱体配置部の一例であり、例えばアルミニウムなど、金属材料であって、且つ、着磁性を有さない非着磁性の材料によって構成されている。そのため、仕切り板43の熱伝導性は、少なくとも、庫内側ケース部41および庫外側ケース部42の熱伝導性よりも高くなっている。仕切り板43は、仕切り体30の長手方向に沿って長尺に設けられており、庫外側ケース部42の間隙部42a内に取り付けられている。庫外側ケース部42の間隙部42aに仕切り板43が取り付けられた状態において、庫外側ケース部42の表面と仕切り板43の表面は、ほぼあるいは完全に面一となるように構成するとよい。
【0022】
また、仕切り板43は、その一部、この場合、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において庫内側となる部分に、ヒータ収容部43aを備えている。ヒータ収容部43aは、発熱体収容部の一例であり、この場合、ヒータ44の一部を円弧状に切り欠いた形状となっている。また、ヒータ収容部43aは、仕切り体30の内部に存在している。
【0023】
ヒータ44は、発熱体の一例であり、仕切り体30の長手方向に沿って長尺に設けられている。また、ヒータ44は、その断面形状が円形状となっている。このヒータ44は、仕切り体30の内部に設けられている。より具体的には、ヒータ44は、仕切り体30の内部において、仕切り板43のヒータ収容部43aの内部に収容されている。この場合、ヒータ44は、その一部、この場合、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において庫外側となる部分において、ヒータ収容部43aの内面に線接触あるいは面接触した状態で配置されている。
【0024】
マグネット45は、庫外側ケース部42の内面側、この場合、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において庫内側となる面に設けられている。マグネット45は、庫外側ケース部42の間隙部42aを挟んで複数、この場合、2つ設けられている。マグネット45は、冷蔵室12の前面開口部13を閉塞する冷蔵室扉21,22を吸着する機能を有している。
【0025】
次に、仕切り板43の細部の構成例について、さらに詳細に説明する。仕切り板43のうち仕切り体30の短手方向における両端部には、それぞれ嵌め込み構造部50が設けられている。嵌め込み構造部50は、凹部51と凸部52とを有している。凹部51は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、庫内側から庫外側に向かって窪む凹形状となっている。また、凸部52は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、庫外側から庫内側に向かって突出する凸形状となっている。また、嵌め込み構造部50は、凹部51が仕切り体30の短手方向において内側、凸部52が仕切り体30の短手方向において外側に位置するように設けられている。
【0026】
これに対して、庫外側ケース部42の間隙部42aのうち仕切り体30の短手方向における両端部には、仕切り板43の嵌め込み構造部50に対応するようにして、嵌め込み構造部60が設けられている。嵌め込み構造部60は、凹部61と凸部62とを有している。凹部61は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、庫外側から庫内側に向かって窪む凹形状となっている。また、凸部62は、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、庫内側から庫外側に向かって突出する凸形状となっている。また、嵌め込み構造部60は、凹部61が仕切り体30の短手方向において外側、凸部62が仕切り体30の短手方向において内側に位置するように設けられている。
【0027】
庫外側ケース部42の間隙部42a内に仕切り板43が配置された状態において、仕切り板43側の嵌め込み構造部50および庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60は、相互に嵌り込み合う。より具体的には、嵌め込み構造部50の凸部52は、嵌め込み構造部60の凹部61内に嵌り込み、嵌め込み構造部60の凸部62は、嵌め込み構造部50の凹部51内に嵌り込む。
【0028】
仕切り体30は、このように仕切り板43側の嵌め込み構造部50および庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60が相互に嵌り込み合うことにより、仕切り板43が庫外側ケース部42の間隙部42aから抜けてしまうことを抑制するようにしている。つまり、仕切り板43側の嵌め込み構造部50は、庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60と協働することにより、抜け止め部の一例として機能する。
【0029】
また、仕切り体30は、このように仕切り板43側の嵌め込み構造部50および庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60が相互に嵌り込み合うことにより、仕切り板43から庫外側ケース部42の間隙部42aが離間してしまうことを抑制するようにしている。つまり、仕切り板43側の嵌め込み構造部50は、庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60と協働することにより、離間防止部の一例としても機能する。
【0030】
以上のように構成される仕切り体30によれば、冷蔵室扉21,22が前面開口部13を閉塞した閉塞状態において庫内側となる面は、その全面が熱伝導性が高い仕切り板43で構成されているのではなく、その一部、つまり、ヒータ44に対応する部分が仕切り板43で構成され、その他の部分が仕切り板43よりも熱伝導性が低い庫外側ケース部42で構成された構造となっている。
【0031】
本実施形態に係る冷蔵庫10によれば、ヒータ44が配置される仕切り板43の熱伝導性が、仕切り板43以外の部分である少なくとも庫外側ケース部42の熱伝導性よりも高くなっている。この構成によれば、ヒータ44の熱が仕切り板43を介して伝わりやすくなり、従って、仕切り体30のうち特に結露を防止したい側、つまり、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において冷蔵庫10の前側となる面における結露の発生を十分に抑制することができる。
【0032】
また、仕切り体30のうち特に結露を防止したい側の面において、仕切り板43以外の部分は、仕切り板43よりも熱伝導性が低い庫外側ケース部42により構成されている。そのため、仕切り体30全体としての熱伝導性が高くなり過ぎてしまうことを抑制することができ、庫内の冷気が仕切り体30を介して庫外に漏洩することを防止することができる。従って、断熱性能の低下を抑制することができる。以上の通り、本実施形態に係る冷蔵庫10によれば、断熱性能の低下を十分に抑制しつつ、仕切り体30における結露の発生を十分に抑制することができる。
【0033】
また、冷蔵庫10によれば、仕切り板43は、着磁性を有さない非着磁性の材料により構成されている。この構成によれば、仕切り板43がマグネット45によって着磁してしまうことを回避することができ、マグネット45,45の間、換言すれば、閉塞状態における冷蔵室扉21のガスケット23と冷蔵室扉22のガスケット23との間に、仕切り板43を、磁力の影響を受けることなく配置することができる。なお、図4に例示するように、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、仕切り板43の表面は、冷蔵室扉21のガスケット23と冷蔵室扉22のガスケット23との間に位置するように構成するとよい。また、このとき、仕切り板43の表面にガスケット23が接触しないよう、ガスケット23は、仕切り板43の表面よりも極力外側に位置するように構成するとよい。
【0034】
また、冷蔵庫10によれば、仕切り板43は、仕切り板43が庫外側ケース部42の間隙部42aから抜けることを防止するための嵌め込み構造部50を備えている。この構成によれば、仕切り体30から仕切り板43が抜けてしまうことを抑制することができ、信頼性の高い構成を提供することができる。
【0035】
また、冷蔵庫10によれば、仕切り板43は、仕切り板43から庫外側ケース部42の間隙部42aが離間することを防止するための嵌め込み構造部50を備えている。ここで、庫外側ケース部42と仕切り板43は、それぞれ異なる材料で構成されており、熱に対する膨張率や冷気に対する収縮率が異なっている。そのため、特に庫外側ケース部42が収縮し過ぎると、仕切り板43から庫外側ケース部42の間隙部42aが離間してしまうおそれがある。仕切り板43から庫外側ケース部42の間隙部42aが離間してしまうと、仕切り体30に隙間が形成されることになり、断熱性能が損なわれるおそれがある。
【0036】
冷蔵庫10によれば、仕切り板43側の嵌め込み構造部50および庫外側ケース部42側の嵌め込み構造部60により、仕切り板43から庫外側ケース部42の間隙部42aが離間してしまうことを抑制することができる。そのため、仕切り体30に隙間が形成されて断熱性能が損なわれてしまうことを回避することができる。
【0037】
また、冷蔵庫10によれば、仕切り板43は、ヒータ44を収容するためのヒータ収容部43aを備えている。この構成によれば、仕切り板43にヒータ44を安定した状態で配置することができる。また、仕切り板43の一部であるヒータ収容部43aにヒータ44を接触させることで、ヒータ44の熱を仕切り板43に効率良く伝えることができ、結露の発生を一層防止することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5に例示するように、第2実施形態では、冷蔵庫10は、さらに閉塞部材71を備えている。閉塞部材71は、例えばアルミニウムなど、金属材料であって、且つ、着磁性を有さない非着磁性の材料によって構成されている。この場合、閉塞部材71は、薄いシート状に形成されており、ヒータ44を収容したヒータ収容部43aの開口部を閉塞している。
【0039】
第2実施形態に係る冷蔵庫10によれば、閉塞部材71によって、ヒータ44をヒータ収容部43a内に一層安定した状態で強固に固定することができる。また、閉塞部材71は、熱伝導性が高い金属材料により形成されている。そのため、ヒータ44の熱が、この閉塞部材71を介しても仕切り板43に伝わるようになり、結露の発生を一層防止することができる。なお、ヒータ44を閉塞部材71に接触させるように構成することで、閉塞部材71を介した伝熱を一層促進することができ、また、ヒータ44の固定性を一層高めることができる。
【0040】
(第3実施形態)
図6に例示するように、第3実施形態では、冷蔵庫10は、仕切り板43の表面に突部43bを備えている。この突部43bは、仕切り板43に一体成形されたものであり、この場合、その断面が円弧状となる形状をなしている。この構成によれば、突部43bが追加された分、仕切り板43の表面積、換言すれば、熱を放出する放熱面積を大きくすることができる。従って、仕切り板43からの放熱性を一層高めることができ、結露の発生を一層抑制することができる。なお、突部43bの形状は、断面円弧状に限られるものではなく、例えば断面三角形状など種々の形状を採用することができる。また、突部43bは、1つに限られるものではなく、仕切り板43の表面に複数の突部43bを備える構成としてもよい。
【0041】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形または拡張をすることができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。また、ヒータ収容部43a内に、複数のヒータ44を備える構成としてもよい。また、ヒータ収容部43aの切欠き形状をヒータ44により密着する形状とすることにより、ヒータ44から仕切り板43への伝熱性、ヒータ44の固定性の一層の向上を図ることができる。庫内側ケース部41、庫外側ケース部42、仕切り板43などを形成する材料は、仕切り板43の熱伝導性が庫内側ケース部41、庫外側ケース部42などの非発熱体配置部の熱伝導性よりも高いという条件を満たす限り、それぞれ種々の材料を採用することができる。また、閉塞部材71を形成する材用も、種々の材料を採用することができる。
【0042】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
図面中、10は冷蔵庫、11は断熱箱体(冷蔵庫本体)、12は冷蔵室(貯蔵室)、13は前面開口部(開口部)、21,22は冷蔵室扉(貯蔵室扉)、30は仕切り体、41は庫内側ケース部(非発熱体配置部)、42は庫外側ケース部(非発熱体配置部)、43は仕切り板(発熱体配置部)、43aはヒータ収容部(発熱体収容部)、43bは突部、44はヒータ(発熱体)、50は嵌め込み構造部(抜け止め部、離間防止部)、71は閉塞部材を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6