(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】集塵装置のフィルタの交換方法、及びフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20230208BHJP
B01D 46/02 20060101ALI20230208BHJP
B01D 39/08 20060101ALI20230208BHJP
B01D 39/10 20060101ALI20230208BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B01D46/24 B
B01D46/02 A
B01D39/08 Z
B01D39/10
B01D39/20 D
B01D39/20 B
(21)【出願番号】P 2019019927
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】三坂 浩司
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 敬昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬介
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-202332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0237483(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0121125(KR,A)
【文献】特表平11-510095(JP,A)
【文献】特開2018-015682(JP,A)
【文献】実開平06-064708(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04、46/00-46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する
、フィルタを装着するための開口部を有した部材である区画壁に取り付けられた第1フィルタを取り外す工程と、
前記第1フィルタに替えて第2フィルタを前記区画壁に取り付ける工程と、を備え、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、それぞれ、筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを有しており、
前記第1フィルタの濾過部及び前記第2フィルタの濾過部は、互いに剛性が異なるとともに、前記第1フィルタの濾過部は、セラミック成形体から構成され、前記第2フィルタの濾過部は、繊維からなる濾布から構成されていることを特徴とする、集塵装置のフィルタの交換方法。
【請求項2】
前記第2フィルタの濾過部は、ガラス、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、シリカ、アルミナ、チタン、ステンレスの少なくともいずれか一つの繊維からなる濾布から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の集塵装置のフィルタの交換方法。
【請求項3】
前記第1フィルタの濾過部の直径よりも、前記第2フィルタの濾過部の直径が小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載の集塵装置のフィルタの交換方法。
【請求項4】
前記第1フィルタの取付部は、前記第1フィルタの濾過部と一体として形成されたセラミック成形体からなる第1フィルタのフランジと、前記第1フィルタのフランジを前記区画壁に押し付けて固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた第1フィルタの押さえ板と、を有しており、
前記第2フィルタの取付部は、前記濾過部の最上部に接続され、前記濾過部を構成する前記濾布が延長して構成された、または前記濾過部を構成する前記濾布に接続された布部材から構成された、第2フィルタのフランジと、前記第2フィルタのフランジを前記区画壁に押し付けて固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた第2フィルタの押さえ板と、を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の集塵装置のフィルタの交換方法。
【請求項5】
前記第1フィルタの取付部は、前記第1フィルタの濾過部と一体として形成されたセラミック成形体からなる第1フィルタのフランジと、前記第1フィルタのフランジを前記区画壁に押し付けて固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた第1フィルタの押さえ板と、を有しており、
前記第2フィルタの取付部は、前記濾過部の最上部に接続され、リング状のクリップが固定された帯部と、前記クリップが嵌め込まれる円形の開口を有した板状のアタッチメントと、前記アタッチメントを前記区画壁に押し付けて固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた第2フィルタの押さえ板と、を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の集塵装置のフィルタの交換方法。
【請求項6】
集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する
、開口部を有した部材である区画壁に取り付けられた第1フィルタと互換に取付可能な、前記区画壁に取り付けるフィルタであって、
繊維からなる濾布から構成される筒状の濾過部と、
前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、
前記取付部は、前記濾布が固定されたフランジであって、前記濾過部の最上部に接続され、前記濾過部を構成する前記濾布が延長して構成された、または前記濾過部を構成する前記濾布に接続された布部材から構成された、フランジと、前記フランジを押さえて前記区画壁に固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた押さえ板と、を有することを特徴と
し、
前記第1フィルタが、
セラミック成形体から構成される筒状の第1フィルタの濾過部と、
前記第1フィルタの濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための第1フィルタの取付部とを備えている、フィルタ。
【請求項7】
集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する
、開口部を有した部材である区画壁に取り付けられた第1フィルタと互換に取付可能な、前記区画壁に取り付けるフィルタであって、
繊維からなる濾布から構成される筒状の濾過部と、
前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、
前記取付部は、前記濾過部の最上部に接続され、リング状のクリップが固定された帯部と、前記クリップが嵌め込まれる開口部を有した板状のアタッチメントと、前記アタッチメントを押さえて前記区画壁に固定するための押さえ板であって、清浄化された気体が前記集塵室から前記清浄室側に移動するための開口部が設けられた押さえ板と、を有することを特徴と
し、
前記第1フィルタが、
セラミック成形体から構成される筒状の第1フィルタの濾過部と、
前記第1フィルタの濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための第1フィルタの取付部とを備えている、フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスから塵埃や有毒ガス等を集塵して分離するための集塵装置のフィルタの交換方法、集塵装置、及びフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥や、廃棄物の焼却炉、金属製錬設備等から排出される排ガス中の塵埃、有毒ガス等を除去するために、隔壁型式の集塵装置を備えた排ガス処理設備が用いられている。隔壁型式の集塵装置では、筐体の内部が集塵室と清浄室とに区画される。更に、区画壁に筐体内を集塵室側から清浄室側へ流動する濾過対象気体中に含まれる塵埃を捕集するフィルタが設置される。フィルタとしては長い繊維素材を濾布状にしたものの他、近年では、低温から高温の排ガスに対応できるように濾材としてセラミックを用いて成形した、セラミックフィルタが用いられてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セラミックフィルタと繊維素材から構成された濾布を用いたフィルタとは剛性や耐久性等が異なることから集塵装置の区画壁への取り付け方が異なる。よって、集塵装置では、フィルタの選択肢が限定される問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、フィルタの選択肢が広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる、集塵装置のフィルタの交換方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る集塵装置のフィルタの交換方法は、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けられた第1フィルタを取り外す工程と、前記第1フィルタに替えて第2フィルタを前記区画壁に取り付ける工程と、を備え、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、それぞれ、筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを有しており、前記第1フィルタの濾過部及び前記第2フィルタの濾過部は、互いに剛性が異なる構成を備えている。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る集塵装置は、集塵室及び清浄室と、前記集塵室と清浄室とを区画する区画壁とを備え、前記区画壁に固定するための取付部が上部に設けられた筒状の濾過部を有したフィルタが、前記区画壁に固定されて取り付けられる排ガスの集塵装置であって、第1フィルタと、前記第1フィルタの濾過部とは剛性が異なる濾過部を有する第2フィルタとが、前記フィルタとして取り付け可能に構成されている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルタは、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けるフィルタであって、濾布から構成される筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、前記取付部は、前記濾布が固定されたフランジと、前記フランジを押さえて前記区画壁に固定するための、開口部が設けられた押さえ板と、を有する構成を備えている。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルタは、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けるフィルタであって、濾布から構成される筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、前記取付部は、前記濾布が固定されたリング状のクリップと、前記クリップが嵌め込まれる開口部を有した板状のアタッチメントと、前記アタッチメントを押さえて前記区画壁に固定するための、開口部が設けられた押さえ板と、を有する構成を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る集塵装置のフィルタの交換方法によれば、フィルタの選択肢が広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る集塵装置によれば、フィルタの選択肢が広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0012】
本発明の一態様に係るフィルタによれば、濾布から構成されたフィルタでありながら、セラミックフィルタを用いる集塵装置に取り付けて稼働させることができる。
【0013】
また別の本発明の一態様に係るフィルタによっても、濾布から構成されたフィルタでありながら、セラミックフィルタを用いる集塵装置に取り付けて稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係るフィルタを示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るフィルタを示す部分拡大図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係るフィルタを示す部分拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係るフィルタを示す部分拡大図である。
【
図6】従来技術のセラミックフィルタを示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0016】
(フィルタの全体構成)
図1は、実施形態1に係るフィルタ100を示す概略図である。フィルタ100は、その全体が縦長の形状を有している。フィルタ100の大部分は円筒形状の濾過部150を構成する。濾過部150の全長は、1~10m程度である。濾過部150の直径は10~17cm程度である。
【0017】
フィルタ100は、濾過部150の最上部に取付部160を備える。濾過部150は、円筒状に形成された濾布101からなる。濾布101の底は閉じられており、濾布101は上部が開口した縦長の袋状である。また、濾過部150には、濾布101の形状を保つための骨組みであるリテーナ120が設けられている。
【0018】
濾布101は、耐熱性を有する素材で構成される。ここで、耐熱性を有するとは、温度300℃以上での使用が可能なことをいう。濾布101は、繊維状の素材が網状、織物状、不織布状、または紙状に成形されて構成される。濾布101を構成する繊維は、ガラス、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、シリカ、アルミナ、チタン、ステンレスの少なくともいずれか一つの繊維であり得る。
【0019】
取付部160は、円筒状の濾過部150の径方向に濾過部150よりも突き出た鍔状の部分を有する。取付部160については詳細に後述される。
【0020】
(集塵装置の構成)
図2は、実施形態1に係るフィルタ100が装着され得る集塵装置1を示す図である。集塵装置1は、フィルタの濾過部を用いて、塵埃や有毒ガス等を除去(集塵)するための装置である。集塵装置1では、筐体2の内部がシンプルプレート3によって集塵室4(ダーティ側)と清浄室5(クリーン側)とに区画されている。すなわち、シンプルプレート3は、集塵装置1の集塵室4と清浄室5とを区画する区画壁である。
【0021】
集塵室4は、下部にテーパ状の落下塵埃受け部4bを備える。落下塵埃受け部4bの底部に落下塵埃排出口4cが設けられている。集塵室4の側部には、含塵空気A(排ガス)を集塵室4に導入する含塵空気導入口4aが設けられている。含塵空気Aは、他の装置から排出された塵埃を含む空気である。ここで塵埃とは、排ガス中の粉体状、粒状、微粒子状等の固形物であり、排出することが望まれない廃棄物であり得る。しかし、廃棄物に限らず、含塵空気Aから回収すべき工業生成物等の有用物でもあり得る。また、ここでは例示として集塵室4に導入される排ガスがゴミ焼却炉の排ガスであるが、必ずしもゴミ焼却炉の排ガスに限られない。更に、ここでは例示として集塵室4に導入される排ガス中の塵埃を分離する場合を説明するが、塵埃に限らず、排ガス中の有毒ガス等を分離するものであってもよい。すなわち、本願における排ガスから集塵されるものは、塵埃、ガス(有毒ガス、生成ガス等)であり得る。
【0022】
清浄室5には吸引装置7を備えた浄化空気吸引管6が接続される。
【0023】
シンプルプレート3は、フィルタを装着するための開口部3aを有した板状の部材である。
図2に位置Fで示されるように、フィルタが複数台、集塵装置1に装着される。
【0024】
集塵装置1の運転時には、含塵空気Aが、集塵室4に導入される。そうして、含塵空気Aが、位置Fに装着されたフィルタの濾過部を通過することで清浄化され、浄化空気吸引管6を通じて排出される。
【0025】
また、清浄室5の側壁を貫通する状態で、一端側を閉塞し他端側に高圧空気供給手段Bとしての圧縮空気タンクが接続された高圧空気導入管8が備えられている。高圧空気導入管8の高圧空気供給手段B側には、バルブ11が備えられている。また、高圧空気導入管8は、シンプルプレート3の開口部3aの各々の上部に対応する位置に、高圧空気噴出ノズル9を備えている。
【0026】
位置Fに装着されたフィルタの再生動作時には、バルブ11の操作により高圧空気噴出ノズル9から、高圧空気が各々のフィルタに向かって、例えばパルス状に噴出する。これにより位置Fに装着された各々のフィルタに付着した塵埃は払い落とされ、落下塵埃排出口4cから集められる。こうして集塵装置1において、位置Fに装着されるフィルタの再生が行われ得る。
【0027】
(フィルタの取付け部の詳細)
実施形態1に係るフィルタ100は、上記集塵装置1に取り付けて、使用が可能なものである。以下に、フィルタ100の取付部160について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3には、フィルタ100の取付部160付近の構成に加えて、シンプルプレート3が示されている。
【0028】
円筒状に形成された濾布101の最上部には、フランジ102が接続されている。ここで、フランジ102は、円筒部分の最上部に接続された、外径方向に延長する鍔状の部分である。フランジ102は、濾布101がそのまま延長されて構成されていてもよいが、別の布素材が接続されていてもよい。フランジ102及び円筒部分の最上部には、断面L字型のリング状の金属板103が固定されている。金属板103はフランジ102自体の形状を一定に保つ。更には、フィルタ100の筒状部分の形状を保つリテーナ120に対してもフランジ102が一定の形状を保つように作用する。
【0029】
フィルタ100は、取付部160に、押さえ板110を備える。押さえ板110は、フランジ102をシンプルプレート3に押し付けて、固定するための板材である。押さえ板110にはフランジ102をシンプルプレート3に押し付け固定するための、ねじ、ボルト等を通すための孔部112も設けられている。孔部112は、集塵装置1のシンプルプレート3の孔部31に対応するように配置される。また、押さえ板110の中央部には、濾布101を通過して清浄化された気体が、清浄室5側に移動するための、開口部111が設けられている。
【0030】
フィルタ100が集塵装置1に取り付けられたとき、フランジ102は、濾布101を通過しない含塵空気Aのリークを防止するためのパッキングの役割を同時に果たす。そのため、フランジ102の部分は、濾布101の延長部分が厚く形成される、若しくは、濾布101に接続された別の布素材が厚く形成されていることが望ましい。更には、フランジ102の部分には、パッキングの役割を高めるような別の素材が、積層されて固定されていてもよい。
【0031】
(利点)
フィルタ100は、濾布から構成されたフィルタであるにもかかわらず、集塵装置1への取付けのためのフランジ102を備えている。またフィルタ100は、フランジ102を押さえ板110でシンプルプレート3に押さえつけて、フィルタ100を集塵装置1に対して固定するように構成されている。そのため後述するようにフィルタ100は、セラミックフィルタ500を使用していた集塵装置1への取付けが可能となっている。
【0032】
さらにフィルタ100には、上記金属板103が設けられているため、フィルタ100がシンプルプレート3に取り付けられた際に、フィルタ100全体が位置、形状を保ち確実に固定される。
【0033】
また、フィルタ100は、濾布101が特定の耐熱性の素材で構成されているため、低温から高温の排ガスに対応できるセラミックフィルタとの置き換えが可能である。
【0034】
ここで、集塵装置1へのセラミックフィルタ500の取付けについて説明する。
【0035】
セラミックフィルタ500は、
図1のフィルタ100と同様に、円筒状の濾過部を有している。また、セラミックフィルタ500は、濾過部の最上部に取付部を有している。フィルタ100と同様に、
図2に位置Fで示されるように、セラミックフィルタ500が複数台、集塵装置1に装着される。
【0036】
図6は、セラミックフィルタ500の取付部近傍の拡大図である。
図6には、シンプルプレート3も示されている。セラミック成形体からなり濾過部を構成する円筒形の濾過体501の外径は、シンプルプレート3の開口部3aの径よりもわずかに小さい。濾過部の上部には、取付部を構成するフランジ505が設けられている。フランジ505の部分はセラミック成形体からなり、セラミックフィルタ500の主要部である円筒形の濾過体501と、一体として形成される。フランジ505は、シンプルプレート3の開口部3aの径よりも大きい外径を有する。よって、フランジ505によってシンプルプレート3にぶら下がるように、セラミックフィルタ500が集塵装置1に装着される。
【0037】
なお、フランジ505とシンプルプレート3との間には、パッキング531が挿入される。これにより、濾過体501を通過しない含塵空気Aのリークが防止される。フランジ505はさらに、押さえ板510により、シンプルプレート3に押し付けられ固定される。そのため、押さえ板510には、ねじ、ボルト等を通すための孔部512が設けられている。シンプルプレート3にも、孔部512に対応する位置に孔部31が設けられる。
【0038】
セラミックフィルタ500は、剛性が高く変形しにくく、また、高温のガスにさらされても劣化しにくい。よってセラミックフィルタ500は、長寿命である。一方、セラミックフィルタ500は、成形や焼成にて所定形状に作成する必要があり、非常に高価である。そのため、集塵装置1を運用するに当たり、スペアのセラミックフィルタ500を多数保有することは不経済である。また、セラミックフィルタ500は、衝撃や荷重に対しては脆弱であり、地震が発生した場合などに、集塵装置1内部で一度に多数が損傷することがある。すると、集塵装置1の運転が不可能となる。また、セラミックフィルタ500の製造には時間が掛り、納期が長いため、長期に亘り集塵装置1の運転が不可能となる怖れがある。
【0039】
一方、実施形態1に係るフィルタ100は、集塵装置1の集塵室4と清浄室5とを区画する区画壁(シンプルプレート3)に取り付けるフィルタであって、濾布101から構成される筒状の濾過部150と、濾過部150の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部160とを備え、取付部160は、濾布101が固定されたフランジ102と、フランジ102を押さえて前記区画壁に固定するための、開口部111が設けられた押さえ板110と、を有する構成を備えている。よって集塵装置1において、セラミックフィルタ500(第1フィルタ)を取り外し、セラミックフィルタ500(第1フィルタ)に替えて、フィルタ100(第2フィルタ)を取り付けることが可能である。
【0040】
しかしながら、集塵性能が同等のフィルタ100を用いれば、損傷したセラミックフィルタ500に替えて集塵装置1を運転することができ、長期に亘る集塵装置1の運転停止の問題が緩和される。濾布から構成されたフィルタ100は、セラミックフィルタ500と比較すると、剛性が低いものである。また、濾布から構成されたフィルタ100は、セラミックフィルタ500と比較すると、寿命は短いものの、低コストであり、また短納期である。そのため、セラミックフィルタ用の集塵装置1を運用するに当たり、フィルタ100が互換利用できることのメリットは多大である。
【0041】
セラミックフィルタ500(第1フィルタ)の濾過部を構成する円筒形の濾過体501の直径よりも、フィルタ100(第2フィルタ)の円筒形の濾過部150の直径が小さくともよい。なぜなら、フィルタ100は、セラミックフィルタ500と同様に、フランジと102と押さえ板110とにより、シンプルプレート3に固定されるため、フィルタ100の円筒形の濾過部150が、シンプルプレートの孔部31に挿入可能であれば、取り付け可能になるからである。
【0042】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0043】
実施形態2に係るフィルタ200は、その全体の構成は実施形態1に係るフィルタ100と同様であるが、取付部の構成が異なる。以下に、フィルタ200の取付部について、
図4を用いて詳細に説明する。
図4には、フィルタ200の取付部付近の構成に加えて、シンプルプレート3が示されている。
【0044】
円筒状に形成された濾布201の最上部には、帯部202が接続される、ここで、帯部202は、円筒部分の最上部に形成された帯状の部分である。帯部202は、濾布201がそのまま延長されて構成されていてもよいが、別の布素材が接続されていてもよい。帯部202には、金属からなるクリップ203が固定されている。クリップ203は、アタッチメント230の円形の開口部に嵌め込めるリング状の部材である。アタッチメント230は、円筒状に形成された濾布201の直径と略等しい直径の円形の開口を有した板状の部材である。クリップ203は、ばね性を有しており、アタッチメント230に嵌め込めば、濾布201がアタッチメントに固定されるとともに、着脱も可能である。クリップ203は、同時に、帯部202自体の形状を一定に保つ役割も果たす。
【0045】
フィルタ200は、取付部に、押さえ板210を備える。押さえ板210は、アタッチメント230をシンプルプレート3に押し付けて、固定するための板材である。押さえ板230にはアタッチメント230をシンプルプレート3に押し付け固定するための、ねじ、ボルト等を通すための孔部212も設けられている。孔部212は、集塵装置1のシンプルプレート3の孔部31に対応するように配置される。また、押さえ板210の中央部には、濾布201を通過して清浄化された気体が、清浄室5側に移動するための、開口部211が設けられている。アタッチメント230の開口の直径は、シンプルプレート3の開口部3aの直径よりも小さい。すなわち、フィルタ200の円筒形の濾過部の直径は、シンプルプレート3の開口部3aの直径よりも、ひとまわり小さい。実施形態2においては、このように、フィルタ200の円筒形の濾過部の直径が小さく、セラミックフィルタ500用の集塵装置1のシンプルプレート3に取りつかない場合において、アタッチメント230を設けることで、取り付け可能にしている。集塵装置1に適合するセラミックフィルタ500(第1フィルタ)の濾過部を構成する円筒形の濾過体501の直径よりも、フィルタ200(第2フィルタ)の円筒形の濾過部150の直径が小さくなっている。
【0046】
よって、アタッチメント230は、押さえ板210と同様の形状の板材であるが、その開口部の直径が、円筒状に形成された濾布201の直径に見合うように形成されている。
【0047】
図4に示されるように、アタッチメント230と、シンプルプレート3との間に、パッキング231を配置することが好ましい。また、帯部202は、濾布201の延長部分が厚く形成される、若しくは、濾布201に接続された別の布素材が厚く形成されていることが望ましい。更には、帯部202には、パッキングの役割を高めるような別の素材が、積層されて固定されていてもよい。濾布201を通過しない含塵空気Aのリークを防止するためである。
【0048】
実施形態2においても、実施形態1と同様の利点、効果が得られた。
【0049】
〔実施形態3〕
実施形態3に係るフィルタ300は、その全体の構成は実施形態2に係るフィルタ200と同様であるが、取付部の構成が異なる。以下に、フィルタ300の取付部について、
図5を用いて詳細に説明する。
図5には、フィルタ300の取付部付近の構成に加えて、シンプルプレート3が示されている。
【0050】
円筒状に形成された濾布301の最上部には、帯部302が接続される、ここで、帯部302は、円筒部分の最上部に形成された帯状の部分である。帯部302は、濾布301がそのまま延長されて構成されていてもよいが、別の布素材が接続されていてもよい。帯部302には、金属からなるクリップ303が固定されている。クリップ303は、シンプルプレート3の円形の開口部3aに嵌め込めるリング状の部材である。クリップ303は、ばね性を有しており、開口部3aに嵌め込めば、濾布301がシンプルプレート3に固定されるとともに、着脱も可能である。クリップ203は、同時に、帯部302自体の形状を一定に保つ役割も果たす。
【0051】
実施形態3においては、集塵装置1に適合するセラミックフィルタ500(第1フィルタ)の濾過部を構成する円筒形の濾過体501の直径と、フィルタ300(第2フィルタ)の円筒形の濾過部の直径が同程度である必要がある。よって、フィルタ300(第2フィルタ)の円筒形の濾過部の直径は、集塵装置1に適合するセラミックフィルタ500(第1フィルタ)の濾過部を構成する円筒形の濾過体501の直径に合わせて、大きく作成する必要がある。
【0052】
また、帯部302は、濾布201の延長部分が厚く形成される、若しくは、濾布301に接続された別の布素材が厚く形成されていることが望ましい。更には、帯部302には、パッキングの役割を高めるような別の素材が、積層されて固定されていてもよい。濾布301を通過しない含塵空気Aのリークを防止するためである。
【0053】
実施形態3においても、実施形態1と同様の利点、効果が得られた。
【0054】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る集塵装置のフィルタの交換方法は、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けられた第1フィルタを取り外す工程と、前記第1フィルタに替えて第2フィルタを前記区画壁に取り付ける工程と、を備え、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、それぞれ、筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを有しており、前記第1フィルタの濾過部及び前記第2フィルタの濾過部は、互いに剛性が異なる構成を備えている。
【0055】
上記の構成によれば、フィルタの選択肢が広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0056】
本発明の態様2に係る集塵装置のフィルタの交換方法は、上記態様1において、前記第1フィルタの濾過部が、セラミック成形体から構成されていてもよい。
【0057】
上記の構成によれば、低温から高温の気体に対応でき、寿命に優れたフィルタを用いて集塵装置が運用できる。
【0058】
本発明の態様3に係る集塵装置のフィルタの交換方法は、上記態様1または2において、前記第2フィルタの濾過部が、ガラス、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、シリカ、アルミナ、チタン、ステンレスの少なくともいずれか一つの繊維からなる濾布から構成されていてもよい。
【0059】
上記の構成によれば、耐熱性を有しながら低コストのフィルタを用いて集塵装置が運用できる。
【0060】
本発明の態様4に係る集塵装置のフィルタの交換方法は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記第1フィルタの濾過部の直径よりも、前記第2フィルタの濾過部の直径が小さい構成を有していてもよい。
【0061】
上記の構成によれば、フィルタの選択肢が更に広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0062】
本発明の態様5に係る集塵装置は、集塵室及び清浄室と、前記集塵室と清浄室とを区画する区画壁とを備え、前記区画壁に固定するための取付部が上部に設けられた筒状の濾過部を有したフィルタが、前記区画壁に固定されて取り付けられる排ガスの集塵装置であって、第1フィルタと、前記第1フィルタの濾過部とは剛性が異なる濾過部を有する第2フィルタとが、前記フィルタとして取り付け可能に構成されている。
【0063】
上記の構成によれば、フィルタの選択肢が広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0064】
本発明の態様6に係る集塵装置は、上記態様5において、前記第1フィルタの濾過部が、セラミック成形体から構成されていてもよい。
【0065】
上記の構成によれば、低温から高温の気体に対応でき、寿命に優れたフィルタを用いて集塵装置が運用できる。
【0066】
本発明の態様7に係る集塵装置は、上記態様5または6において、前記第2フィルタの濾過部が、ガラス、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、シリカ、アルミナ、チタン、ステンレスの少なくともいずれか一つの繊維からなる濾布から構成されていてもよい。
【0067】
上記の構成によれば、耐熱性を有しながら低コストのフィルタを用いて集塵装置が運用できる。
【0068】
本発明の態様8に係る集塵装置は、上記態様5から7のいずれかにおいて、前記第1フィルタの濾過部の直径よりも、前記第2フィルタの濾過部の直径が小さい構成を備えていてもよい。
【0069】
上記の構成によれば、フィルタの選択肢が更に広げられて集塵装置の運用の幅を広げることができる。
【0070】
本発明の態様9に係るフィルタは、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けるフィルタであって、濾布から構成される筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、前記取付部は、前記濾布が固定されたフランジと、前記フランジを押さえて前記区画壁に固定するための、開口部が設けられた押さえ板と、を有する構成を備えている。
【0071】
上記の構成によれば、濾布から構成されたフィルタでありながら、セラミックフィルタを用いる集塵装置に取り付けて稼働させることができる。
【0072】
本発明の態様10に係るフィルタは、集塵装置の集塵室と清浄室とを区画する区画壁に取り付けるフィルタであって、濾布から構成される筒状の濾過部と、前記濾過部の上部に設けられた前記区画壁への固定のための取付部とを備え、前記取付部は、前記濾布が固定されたリング状のクリップと、前記クリップが嵌め込まれる開口部を有した板状のアタッチメントと、前記アタッチメントを押さえて前記区画壁に固定するための、開口部が設けられた押さえ板と、を有する構成を備えている。
【0073】
上記の構成によれば、濾布から構成されたフィルタでありながら、セラミックフィルタを用いる集塵装置に取り付けて稼働させることができる。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 集塵装置
2 筐体
3 シンプルプレート(区画壁)
3a シンプルプレートの開口部
31 シンプルプレートの孔部
4 集塵室
4a 含塵空気導入口
4b 落下塵埃受け部
4c 落下塵埃排出口
5 清浄室
6 浄化空気吸引管
7 吸引装置
8 高圧空気導入管
9 高圧空気噴出ノズル
11 バルブ
100、200、300 フィルタ(第2フィルタ)
101、201、301 濾布
102 フランジ
103 金属板
202、302 帯部
203、303 クリップ
110、210 押さえ板
111、211 押さえ板の開口部
112、212 押さえ板の孔部
120、220、320 リテーナ
230 アタッチメント
231 パッキング
150 濾過部
160 取付部
500 セラミックフィルタ(第1フィルタ)
501 濾過体
505 フランジ
510 押さえ板
511 押さえ板の開口部
512 押さえ板の孔部
531 パッキング