(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230208BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B25/04 J
(21)【出願番号】P 2019020016
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-235766(JP,A)
【文献】特開2011-135274(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030483(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00-31/00
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機と、個々の住戸に設置されて呼び出しに応答するための居室親機と、前記集合玄関機と前記居室親機との間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、
宅配業者の個人認証情報が登録された業者情報登録部
と、
前記集合玄関機を操作した宅配業者が登録された宅配業者であるか認証する認証部と、
前記居室親機に対して宅配業者が来た旨の通知をする宅配通知制御部とを
有する一方、
前記居室親機は、居住者が留守にする際に前記居室親機に接続されている防犯センサがオン状態となる防犯設定を行う防犯設定ボタンを有して、前記制御機は個々の住戸の前記防犯設定の情報を把握しており、
前記宅配通知制御部は、前記認証部が前記集合玄関機を操作した人物が宅配業者であると認証したら、複数の配達先住戸の一括入力を可能とする配達先入力画面を前記集合玄関機の表示部に表示し、当該配達先入力画面から入力された住戸の前記居室親機に、宅配業者が来た旨を通知する
と共に、前記配達先入力画面での入力が終了すると、前記制御機が把握している配達先住戸の前記防犯設定の情報を入手して前記集合玄関機の前記表示部に表示することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記宅配通知制御部は、前記配達先入力画面から複数住戸の入力が成されたら、入力された順を配達順と認識し、入力された配達先住戸のうち前記防犯設定されていない住戸の前記居室親機に対して、入力された順番に基づく配達順情報を含む宅配情報を送信し、
前記居室親機は、受信した前記宅配情報を表示する親機表示部を有することを特徴とする請求項
1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記集合玄関機から入力された配達順情報から、住戸別の待ち時間を算出する配達時間算出部を具備し、
前記防犯設定されていない住戸の前記居室親機に送信される宅配情報は、算出した待ち時間情報が付加され、
前記宅配情報を受信した前記親機表示部には、前記配達時間算出部が算出した待ち時間が表示されることを特徴とする請求項
2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記配達時間算出部は、配達先の住戸玄関に設置されている玄関子機の操作情報を基に待ち時間の修正を行い、
前記宅配通知制御部は、最新の待ち時間を前記居室親機に表示させることを特徴とする請求項
3記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記宅配通知制御部は、前記防犯設定されている住戸の前記居室親機が配達先であったら、宅配業者が来たことを知らせる宅配留守情報を前記居室親機に送信することを特徴とする請求項
1又は2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記宅配通知制御部は、前記配達先入力画面での入力が終了すると、エントランスのオートドアを解錠し、居住エリアへの進入が可能となることを特徴とする請求項1乃至
5の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
前記業者情報登録部が、集合住宅外に設置され
たサーバに設けられ、
前記認証部は、前記集合玄関機が操作されて入力された宅配業者情報を公衆通信網を介して前記サーバに送信して判定させることで認証を行うことを特徴とする請求項1乃至
6の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項8】
前記集合玄関機には、前記集合玄関機を操作する人物を撮像するカメラが設けられている一方、前記サーバには宅配業者を顔認証するための顔画像が登録されており、
前記認証部は、宅配業者の認証を顔認証により行うことを特徴とする請求項
7記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項9】
特定画像記憶部を有し、前記認証部は、認証結果を不許可判定とした宅配業者の顔画像を前記特定画像記憶部に登録し、前記配達先入力画面に進まないことを特徴とする請求項
8記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムに関し、詳しくは荷物を配達する宅配業者の負担を軽減できる集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より集合住宅には宅配ボックスが設置されており、配達先が留守であっても荷物の配達ができた。そして、この宅配ボックスの情報が配達先住戸の居室親機に通知される集合住宅インターホンシステムがあった(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このように宅配ボックスを備えて宅配情報が住戸に通知されるよう構成されていても、配達先の住戸が在宅の場合は、居住者に荷物を配達するのが基本なため、集合玄関機から配達先の住戸を呼び出してエントランスのオートドアを開けてもらう操作は必要であった。
【0003】
この場合、集合住宅の複数の住戸へ配達する荷物がある場合、宅配業者は従来次の3通りのうちの何れか操作を集合住宅インターホンシステムに対して行って配達した。
1.個別に集合玄関機から住戸を呼び出してオートドアを解錠してもらい、荷物を配達する。配達したら集合玄関機まで戻り、次の住戸を呼び出して荷物を配達する・・・これを繰り返した。
2.集合玄関機から順番に配達先の住戸を全て呼び出し、その後、解錠してもらったオートドアから入り順番に住戸へ荷物を届けた。
3.集合玄関機から1つ目の住戸を呼び出してオートドアを解錠してもらい、2つ目以降の住戸は集合玄関機から呼び出しをせず、居住エリア内を移動して直接届けに回った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記1番目の配達方法の場合は、宅配業者が何度も往復する必要があり、宅配業者の負担が大きかった。
2番目の配達方法は、配達が最後となった居住者は、実際に荷物が届けられるまで長時間待たされることになり、居住者には好ましい配り方では無かった。
3番目の方法は、いきなり住戸に宅配業者が来ることになるため、居住者がセキュリティに不安を感じ、好ましくなかった。
このように、受け取る側にとっては1番目の配達の仕方が最も好ましい方法であるが、宅配業者の負担が大きかったため、1番目の配り方に近く且つ宅配業者の負担を軽減できる配達方法が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、集合住宅内の複数の住戸に荷物を配達する際に、宅配業者の負担を軽減でき、加えて受け取る居住者が不安やストレスを感じることのない集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機と、個々の住戸に設置されて呼び出しに応答するための居室親機と、集合玄関機と居室親機との間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、宅配業者の個人認証情報が登録された業者情報登録部と、集合玄関機を操作した宅配業者が登録された宅配業者であるか認証する認証部と、居室親機に対して宅配業者が来た旨の通知をする宅配通知制御部とを有する一方、居室親機は、居住者が留守にする際に居室親機に接続されている防犯センサがオン状態となる防犯設定を行う防犯設定ボタンを有して、制御機は個々の住戸の防犯設定の情報を把握しており、宅配通知制御部は、認証部が集合玄関機を操作した人物が宅配業者であると認証したら、複数の配達先住戸の一括入力を可能とする配達先入力画面を集合玄関機の表示部に表示し、当該配達先入力画面から入力された住戸の居室親機に、宅配業者が来た旨を通知すると共に、配達先入力画面での入力が終了すると、制御機が把握している配達先住戸の防犯設定の情報を入手して集合玄関機の表示部に表示することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者に対しては訪問者に対する画面とは異なる複数の配達先住戸の一括入力を可能とする画面が表示されるため、配達先が複数あっても短時間で入力操作できる。また、入力された全ての住戸の居室親機に通知が行くため、1回の操作で配達先に通知することができるため、個別に呼出操作してそれぞれ応答を待って会話する従来のステップを無くすことができる。結果、時間短縮でき宅配業者の負担を軽減できる。
一方、配達先の居住者は居室親機からの通知により宅配業者が来たことを認識でき、いきなり住戸玄関に宅配業者が現れるようなことが無くなり、居住者がセキュリティへの不安を感じることが無い。更に、居住者を呼び出して通話しなくても宅配業者は認証を必要とするため、セキュリティを維持できる。
【0008】
加えて、配達先が防犯設定状態にあったらそれが集合玄関機に表示されるため、呼出操作しなくても留守であることを把握でき、事前に宅配ボックスに入れる等で荷物を処理でき、宅配業者の業務負担を軽減できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、宅配通知制御部は、配達先入力画面から複数住戸の入力が成されたら、入力された順を配達順と認識し、入力された配達先住戸のうち防犯設定されていない住戸の居室親機に対して、入力された順番に基づく配達順情報を含む宅配情報を送信し、居室親機は、受信した宅配情報を表示する親機表示部を有することを特徴とする。
この構成によれば、荷物を受け取る居住者は、宅配業者が来ていること及び自住戸に配達に来る順番を認識でき、宅配業者から呼び出しが無くても応対し易い。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、集合玄関機から入力された配達順情報から、住戸別の待ち時間を算出する配達時間算出部を具備し、防犯設定されていない住戸の居室親機に送信される宅配情報は、算出した待ち時間情報が付加され、宅配情報を受信した親機表示部には、配達時間算出部が算出した待ち時間が表示されることを特徴とする。
この構成によれば、例えば「2件の配達の後(5分後)に業者が来ます」といった時間情報を含むメッセージを表示させることもでき、荷物の受け取りを待つ居住者は、待ち時間を把握でき待つことのストレスを抱かずに済む。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成いおいて、配達時間算出部は、配達先の住戸
玄関に設置されている玄関子機の操作情報を基に待ち時間の修正を行い、宅配通知制御部は、最新の待ち時間を居室親機に表示させることを特徴とする。
この構成によれば、精度の高い待ち時間が居室親機に表示されるため、居住者は時間管理ができ対処しやすい。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、宅配通知制御部は、防犯設定されている住戸の居室親機が配達先であったら、宅配業者が来たことを知らせる宅配留守情報を居室親機に送信することを特徴とする。
この構成によれば、防犯設定された住戸の居室親機は、宅配業者が来た旨の表示を行うことができるため、帰宅した居住者は来た人物が宅配業者であることを認識でき対処し易い。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、宅配通知制御部は、配達先入力画面での入力が終了すると、エントランスのオートドアを解錠し、居住エリアへの進入が可能となることを特徴とする。
この構成によれば、居住者を呼び出してオートドアを開けて貰うこと無く、居住エリアに入って行くことができ、配達時間を短縮できる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、業者情報登録部が、集合住宅外に設置されたサーバに設けられ、認証部は集合玄関機が操作されて入力された宅配業者情報を公衆通信網を介してサーバに送信して判定させることで認証を行うことを特徴とする。
この構成によれば、別途設けたサーバに宅配業者の情報が一括して登録されるため、認証部等に登録する必要が無く、宅配業者情報の管理がし易いし精度の高い認証が可能となる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成において、集合玄関機には、集合玄関機を操作する人物を撮像するカメラが設けられている一方、サーバには宅配業者を顔認証するための顔画像が登録されており、認証部は、宅配業者の認証を顔認証により行うことを特徴
とする。
この構成によれば、顔認証により宅配業者を識別するため、IDカード等の偽造が意味を成さないし、認証する際に確実に顔画像を入手できるため、顔データを蓄積すれば防犯に有効である。また、顔認証する機能を集合玄関機等に設ける必要がないため、コストアップとならずに済む。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8に記載の構成において、特定画像記憶部を有し、認証部は、認証結果を不許可判定とした宅配業者の顔画像を特定画像記憶部に登録し、配達先入力画面に進まないことを特徴とする。
この構成によれば、不許可判定した人物の顔画像は登録されるため、例えば一般の訪問者として再度現れた場合でもオートドアの解錠を不可とする制御等に利用でき、セキュリティの向上に活用できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、宅配業者に対しては訪問者に対する画面とは異なる複数の配達先住戸の一括入力を可能とする画面が表示されるため、配達先が複数あっても短時間で入力操作できる。また、入力された全ての住戸の居室親機に通知が行くため、1回の操作で配達先に通知することができるため、個別に呼出操作してそれぞれ応答を待って会話する従来のステップを無くすことができる。結果、時間短縮でき宅配業者の負担を軽減できる。
一方、配達先の居住者は居室親機からの通知により宅配業者が来たことを認識でき、いきなり住戸玄関に宅配業者が現れるようなことが無くなり、居住者がセキュリティへの不安を感じることが無い。更に、居住者を呼び出して通話しなくても宅配業者は認証を必要とするため、セキュリティを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る集合住宅居インターホンシステムの一例を示す構成図であり、主要機器をブロック図で表している。
【
図3】認証NGだった場合の集合玄関機の表示説明図である。
【
図5】留守宅に宅配業者が来た場合の居室親機の表示説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る集合宅配インターホンシステムの一例を示す構成図であり、主要機器をブロック図で表している。
集合住宅インターホンシステムは、エントランス(集合玄関)に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機1と、個々の住戸に設置されて呼び出しに応答するための居室親機2と、集合玄関機1と居室親機2との間の通信を制御する制御機3と、個々の住戸玄関に設置されて居住者を呼び出すための玄関子機4、インターネット等の公衆通信網で形成されたクラウドN上に配置されたサーバ5等を備えて構成されている。
【0020】
集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、通話するためのマイク12およびスピーカ13、各種操作画面を表示する表示部14、呼び出す住戸を選択する際に操作される操作部15、人感センサ16、集合玄関機1を制御する集合玄関機CPU17、制御機3と通信する集合玄関機通信IF18等を備えている。
【0021】
表示部14は操作部15の操作手順、操作部15の操作内容を表示する。特に、ここでは通常の来訪者と宅配業者とで操作が異なり異なる画面が表示される。また集合玄関機CPU17は、宅配業者の認証を行う認証部17aを内蔵している。
【0022】
居室親機2は、集合玄関機1のカメラ11の撮像映像を表示すると共に、各種情報を表示する表示部(親機表示部)21、通話するためのマイク22及びスピーカ23、呼び出しを受けた際の応答操作、留守にする際に防犯センサ27をオンさせる防犯設定操作等の各種操作を行う操作部24、居室親機2を制御する居室親機CPU25、制御機3と通信する居室親機通信IF26等を備えている。
また居室親機2には、住戸玄関に設置されている玄関子機4、窓センサやドアセンサ等の防犯センサ6が接続され、防犯センサ6をオン状態にする防犯設定ボタン(図示せず)が設けられている。
【0023】
制御機3は、後述する配達時間算出部31、各居室親機2の防犯設定情報を記憶して把握する防犯設定情報記憶部32、認証した結果不許可となった宅配業者の顔画像が蓄積されるNG画像記憶部(特定画像記憶部)33、機器間の通信を制御すると共に制御機3を制御する制御機CPU34、集合玄関機1と通信する第1通信IF35、居室親機2と通信する第2通信IF36、サーバ5と通信する第3通信IF37、オートドア7と通信する第4通信IF38等を備えている。
【0024】
配達時間算出部31は、エントランスに居る宅配業者が配達先住戸に到着する時間を算出する。具体的に、個々の住戸のマップ情報を有しており、このマップ情報には集合玄関機1が設置されているエントランスから個々の住戸に到着するのに宅配業者が要する時間、個々の住戸に他の任意の住戸から訪れるのに要する時間が登録されている。このマップ情報を基に何番目の配達であるかが加味されて配達に要する時間、即ち居住者の待ち時間を算出する。
【0025】
また、防犯設定情報記憶部32では、防犯設定された住戸は留守として登録され、防犯設定されていない住戸は在宅と登録され記憶される。居室親機CPU25の制御により、防犯設定ボタンが操作されて防犯設定が成されると、この情報が制御機3に送信され、防犯設定情報記憶部32が更新される。
尚、オートドア7は、エントランスに設置され、居住エリアに進む際に通過するドアであり、居住者及び許可された人物のみ通過を可能とするために設けられている。
【0026】
サーバ5は、宅配業者が集合住宅の居住エリアに入る際にオートドア7を解錠するための個人認証データ(個人認証情報)が蓄積され、集合玄関機1から送信された認証の為のデータが判定される。尚、個人認証データは、顔認証であれば顔画像情報が蓄積されるし、RFID(ICカード)認証であればRFID情報が蓄積される。また、例えば指紋認証であれば指紋データが蓄積されるし、バイオメトリクス情報で認証する場合はその情報が蓄積される。
但し、ここでは顔認証を実施して居住エリアへの進入を許可する構成を具体的に示す。そのため、サーバ5には宅配業者の顔認証のための顔画像データが蓄積される。
この個人認証データは、例えば別途宅配業者側に設けられているデータ入力装置(図示せず)により入力され、配達に関わる複数の人物の個人認証データが蓄積される。
【0027】
上記の如く構成された集合住宅インターホンシステムの動作を次に説明する。但し、宅配業者ではない来訪者が集合玄関機1を操作して訪問先の居住者を呼び出す操作、及びその後の居室親機2からの応答動作等のシステム動作は従来の集合住宅インターホンシステムと同様であるため説明を省略する。
ここでは、荷物の配達のために現れた宅配業者が操作する際の動作、特に集合住宅内に荷物の配達先の住戸が複数ある場合を中心に説明する。
【0028】
図2は、集合玄関機1が表示する案内画面を示し、
図2を参照して説明する。荷物を配達に来た宅配業者が集合玄関機1の前に立つと、集合玄関機1の人感センサ16がそれを感知して、表示部14に操作案内の画面が表示される。この時の表示は、
図2のM1に示す表示「訪問先の住戸番号を押し、呼出ボタンを押してください」、「複数の住戸へお届け物がある方は#ボタンを押してください」が成され、複数の住戸への配達物がある宅配業者に対しては専用の操作画面に入ることが促される。
【0029】
来訪者或いは1つの荷物のみ配達する宅配業者は、最初の案内に従い住戸番号を押して居住者に応答してもらう従来の操作になるが、ここでは複数の荷物を配達する宅配業者であるため、操作部15にあるテンキーの中の「#」ボタンを押し、先に進む。
「#」ボタンが操作されると、M2の画面に切り替わる。M2の画面ではカメラ11の正面に立つことが促され、カメラ11の撮像映像が表示部14に表示される。尚、カメラ11は人感センサ16が感知動作した時点で起動し、撮像を開始する。
同時に、集合玄関機CPU17の制御により、撮像映像データが制御機3を介してサーバ5に送信される。
【0030】
尚、トリガーとなるボタン操作は「#」ボタンでなくても良く、分かり易い操作であれば良い。例えば、人感センサ16が感知動作した起動するカメラ11により顔認証を実施し、宅配業者を判断しても良い。
【0031】
サーバ5では、顔画像データが送信されると、登録されている多数の宅配業者の顔データと比較照合がなされ、一致するデータがあるか判定が行われる。一致するデータがあれば許可信号が返信され、一致するデータが無ければ不許可信号が返信される。
【0032】
サーバ5から判定結果が返信された集合玄関機CPU17は、それが許可信号であったら表示部14の表示を
図2のM3に示す画面に変更して、配達先住戸を入力する入力画面を表示する。一方、不許可信号であったら
図3に示す画面を表示し、通常の来訪者が操作する手順による呼出操作が促される。
そして、不許可信号を受け取った集合玄関機CPU17は、不許可となった宅配業者のカメラ11の撮像画像を制御機3のNG画像記憶部33に保存し、不審者画像として登録される。
【0033】
こうして、顔認証により宅配業者を識別するため、IDカード等の偽造が意味を成さないし、認証する際にIDカードによる認証であっても確実に顔画像を入手できるため、その顔データを蓄積すれば防犯に有効である。また、別途設けたサーバ5に宅配業者の顔画像情報が一括して登録されるため、認証部17a等に顔画像データを登録する必要が無く、宅配業者情報の管理がし易いし精度の高い認証が可能となる。
【0034】
また、不許可となった宅配業者の顔画像を登録することで、それ以降は一般の来訪者として来た場合、或いは他の業者に成りすます等で現れても、オートドア7の解錠ができないようにすることが可能であり、セキュリティの向上に寄与できる。更に、他の業者に成りすましてオートドア7を解錠しようとした登録されていない人物であっても、応答した居住者の判断でNG画像記憶部33に登録しても良く、セキュリティ向上に有効である。
【0035】
M3の画面では、配達する順に住戸番号の入力が促され、宅配業者は自身の思い描いた配達順で住戸番号が入力される。こうして、複数住戸の住戸番号の入力が終了したら、表示に従い操作部15の中の呼出ボタン(図示せず)を押して終了操作が成される。
終了操作を受けた集合玄関機1は、集合玄関機CPU17の制御により、制御機3の防犯設定情報記憶部32から届け先住戸の在/不在の情報を入手し、表示部14が
図2のM4に示す画面に切り替わる。ここでは、入手した在/不在の情報から住戸別に「在宅」、「留守」が表示される。また同時に、オートドア7のロック(電気錠)が解除され、居住エリアへの進入が可能となる。
【0036】
このように、M4の画面表示から、配達先住戸の状態が表示され、204番の住戸は留守、他の住戸は在宅であることがわかる。そのため、この表示により呼出操作しなくても宅配業者は留守宅を一目で認識でき、その住戸への配達物は住戸まで赴くこと無く、図示しない宅配ロッカーへ入れる等の処置を講ずることができ、宅配業者の業務負担を軽減できる。
【0037】
その後、宅配業者は解錠されたオートドア7から入り在宅の住戸に対して荷物の配達を行う。こうして、宅配業者は自身が設定した配達順に従い配達を行う。
【0038】
一方、配達先住戸の居室親機2には、在宅住戸と留守住戸とで異なる通知を受け、受信した情報が表示部21に表示される。
図4,5はこの通知を受けて成された表示部21の表示を示し、
図4は宅配情報を受けた居室親機2の表示、
図5が宅配留守情報を受けた居室親機2の表示である。
図4に示すように、在宅の住戸に対しては、宅配業者が来た旨を示す表示が宅配業者の画像と共に表示され、併せて配達される順番と自住戸の玄関に現れるまでの待ち時間(配達時間)が表示される。
宅配業者の画像は、顔認証した時の撮像画像が表示されるが、他のタイミング、例えば配達先の住戸番号が入力されている時の画像であっても良い。
【0039】
また、このとき表示される配達時間は、制御機3に設けられた配達時間算出部31において算出される。集合玄関機CPU17の制御により、上述したように記憶しているマップ情報を基に時間が算出され、宅配情報に添付されて居室親機2に送信される。
【0040】
更に、この配達時間、特に2件目以降の配達時間は宅配業者が到着するまでの間に適宜書き換えが行われて修正される。具体的に、配達先の住戸に到着した宅配業者は、玄関を開けてもらうために住戸玄関に設置されている玄関子機4を呼出操作する。この操作情報(到着情報)が居室親機2を介して制御機3に送信され、この玄関子機4の操作情報を基に配達時間がリセットされ、到着した住戸から次の配達先、及びそれ以降の住戸へ移動する時間変更が成され、修正された時間がその後の配達先の居室親機に表示される。こうして、配達先に表示される配達時間が適宜更新される。
【0041】
この表示により、荷物を受け取る側の居住者は、宅配業者が来ていること、更には自住戸の順番を認識でき、宅配業者から呼び出しが無くても応対し易い。特に、自住戸までの配達時間が表示されるため、待ち時間がわかり印鑑や服装等の準備をすることができ、いつ来るのかわからないというストレスを感じることも無くなる。
加えて、この表示時間は更新されるため、精度の高い待ち時間を表示でき、居住者は時間管理でき対処しやすい。
【0042】
一方、防犯設定されて留守登録されている住戸の居室親機2は、宅配留守情報を受けて
図5に示す表示が成され、宅配業者が来た時刻情報、宅配業者の撮像画像が表示される。但し、この表示は、一定時間経過したら終了し、帰宅した居住者等が、表示操作することで再び表示される。居住者が留守の場合、通常であれば呼出操作を受けて留守録画するが、宅配業者の服装によっては誰が訪問してきたのか録画からはわからず不安になる場合があるが、このような宅配業者の情報の表示が成されることで宅配業者が来たことを容易に認識でき、対処し易い。
【0043】
このように、宅配業者に対しては訪問者に対する画面とは異なる複数の配達先住戸の一括入力を可能とする画面が表示されるため、配達先が複数あっても短時間で入力操作できる。また、入力された全ての住戸の居室親機2に通知が行くため、1回の操作で配達先に通知することができ、個別に呼出操作してそれぞれ応答を待って会話する従来のステップを無くすことができる。結果、時間短縮でき宅配業者の負担を軽減できる。
一方、配達先の居室親機2は宅配業者が来た旨の通知を受けるため、いきなり住戸玄関に宅配業者が現れるようなことが無くなり、居住者がセキュリティへの不安を感じることが無い。更に、居住者を呼び出して通話しなくても宅配業者はオートドア7を開けるためには認証を必要とするため、セキュリティを維持できる。
また、居住者を呼び出して居住者にオートドア7を開けて貰うこと無く、居住エリアに入って行くことができ、配達時間を短縮できる。
【0044】
尚、上記実施形態では、複数の配達物がある場合に顔認証動作を行う構成としているが、荷物の個数に関わらず、宅配業者に対しては顔認証を行っても良い。
また、クラウドN上のサーバ5に宅配業者の認証情報を登録して集合玄関機1の制御で顔認証を行っているが、集合玄関機1或いは制御機3に宅配業者の認証情報を登録しても良く、その場合は集合玄関機CPU17の認証部17aが照合して判定する。また、NG画像記憶部33は制御機3ではなくサーバ5に設けても良い。
【符号の説明】
【0045】
1・・集合玄関機、2・・居室親機、3・・制御機、4・・玄関子機、5・・サーバ(業者情報登録部、認証部)、6・・防犯センサ、7・・オートドア、11・・カメラ、14・・表示部、17・・集合玄関機CPU(宅配通知制御部)、17a・・認証部、21・・表示部(親機表示部)、25・・居室親機CPU、31・・配達時間算出部、32・・防犯設定情報記憶部、33・・NG画像記憶部(特定画像記憶部)、34・・制御機CPU、M1~M4・・配達先入力画面、N・・クラウド。