(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】画像測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230208BHJP
G01B 9/04 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01B9/04
(21)【出願番号】P 2019049702
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 洵
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩史
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-257876(JP,A)
【文献】特開平05-296739(JP,A)
【文献】特開2014-055864(JP,A)
【文献】特許第5679560(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載置される載置台と、
前記載置台の上方に設けられ、前記載置台に載置されたワークを撮像し、当該ワークを測定するために利用されるワーク画像を生成する
テレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化しない測定カメラと、
前記載置台の上方に設けられ、
前記載置台とのZ方向における距離が所定の位置から前記載置台を俯瞰した俯瞰画像を生成する
非テレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化する俯瞰カメラと、
前記測定カメラと前記俯瞰カメラとがマウントされ
、前記測定カメラと前記俯瞰カメラとを一体的に移動する構成であるカメラヘッド部と、
前記載置台と前記カメラヘッド部との少なくとも一方を駆動することで前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離と前記載置台と前記俯瞰カメラとのZ方向における距離を調整
し、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を取得するために前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させる駆動部と、
前記駆動部を制御するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像するときは、視野範囲を維持しつつ、前記駆動部を駆動させ、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像しているときに、前記俯瞰カメラにより前記俯瞰画像を生成することが指示されると、前記載置台と前記カメラヘッド部のZ方向における距離が所定距離になるように前記駆動部を制御し
、前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させ、
前記所定の位置から前記俯瞰カメラに
所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を生成させる、画像測定装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記測定カメラにより生成された前記ワーク画像を表示装置に表示する第一モードと、前記俯瞰カメラにより生成された前記俯瞰画像を前記表示装置に表示する第二モードと、を有し、
前記プロセッサは、
ユーザにより前記第一モードが指定されると、前記ユーザによる指示に依存して前記駆動部を制御し、
前記ユーザにより前記第二モードが指定されると、前記ユーザによる指示に依存することなく、前記載置台と前記俯瞰カメラとのZ方向における距離が前記所定距離になるように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の画像測定装置。
【請求項3】
ワークが載置される載置台と、
前記載置台の上方に設けられたカメラヘッドであって、
前記載置台に載置されたワークを撮像し、当該ワークを測定するために利用されるワーク画像を生成する
テレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化しない測定カメラと、
前記載置台を俯瞰した俯瞰画像を生成する
非テレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化する俯瞰カメラと、
を有
し、前記測定カメラと前記俯瞰カメラとを一体的に移動する構成であるカメラヘッドと、
前記載置台と前記カメラヘッドとの少なくとも一方を駆動することで前記載置台と前記カメラヘッドとのZ方向における距離を調整
し、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を取得するために前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させる駆動部と、
前記駆動部を制御するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像するときは、視野範囲を維持しつつ、前記駆動部を駆動させ、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像しているときに、前記俯瞰カメラにより前記俯瞰画像を生成することが指示されると、前記載置台と前記カメラヘッドとのZ方向における距離が所定距離になるように前記駆動部を制御し
、前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させ、前記所定の位置から前記俯瞰カメラに
所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を生成させる、画像測定装置。
【請求項4】
前記俯瞰カメラは、第一撮像素子と、第二撮像素子とを有し、
前記第一撮像素子により撮像される前記載置台の範囲と前記第二撮像素子により撮像される前記載置台の範囲とは異なっている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像測定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第一撮像素子を用いて生成される第一俯瞰画像と前記第二撮像素子を用いて生成される第二俯瞰画像とを同時に表示装置に表示させる、請求項4に記載の画像測定装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第一撮像素子を用いて生成される第一俯瞰画像と前記第二撮像素子を用いて生成される第二俯瞰画像との一方を表示装置に表示させる、請求項4に記載の画像測定装置。
【請求項7】
前記載置台から前記測定カメラまでの
Z方向の距離は、前記載置台から前記俯瞰カメラまでの
Z方向の距離よりも小さい請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像測定装置。
【請求項8】
前記測定カメラの光軸中心の周囲にリング照明が設けられ、
前記俯瞰カメラは、前記測定カメラの光軸中心からみて前記リング照明の外側に設けられている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の画像測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像測定装置は、ワーク(検査対象物)を撮像してワーク画像を生成し、ワーク画像に基づきワークの寸法などを測定する。特許文献1によれば、低倍率カメラに加え、高倍率カメラを搭載した画像測定装置(画像寸法測定装置)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、低倍率カメラや高倍率カメラはワークを載置する載置台のほんの一部分だけしか撮像することができない。したがって、載置台のほぼ全体を示すような画像を表示するためには、低倍率カメラや高倍率カメラで取得された多数の画像を連結する必要がある。これは、多くの時間を必要とするだけでなく、ライブ画像を表示することもできない。そこで、低倍率カメラや高倍率カメラなどのワークの測定に使用される測定カメラとは別に、載置台の俯瞰画像を生成する俯瞰カメラを採用することが考えられる。ユーザは、測定カメラと俯瞰カメラとを切り替えることで、ワークの全体を示すような俯瞰画像とワークの一部を拡大したワーク画像とを視認することが可能となろう。ここで、俯瞰カメラと載置台との間の距離の調整をユーザ任せにするとユーザの負担になる。一方で、俯瞰カメラはワークや載置台を俯瞰することが目的であるが、俯瞰カメラと載置台との間の距離がほぼ一定であっても、俯瞰カメラの撮像視野内に載置台またはワークを収めることができる。したがって、ユーザの指示を待たずに俯瞰カメラと載置台との間の距離をほぼ一定に調整することができれば、ユーザの負担が軽減されよう。
【0005】
そこで、本発明は、測定カメラと俯瞰カメラを有する画像測定装置を使用するユーザの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、たとえば、
ワークが載置される載置台と、
前記載置台の上方に設けられ、前記載置台に載置されたワークを撮像し、当該ワークを測定するために利用されるワーク画像を生成するテレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化しない測定カメラと、
前記載置台の上方に設けられ、前記載置台とのZ方向における距離が所定の位置から前記載置台を俯瞰した俯瞰画像を生成する非テレセントリック光学系を有し、視野範囲が前記載置台とのZ方向における距離により変化する俯瞰カメラと、
前記測定カメラと前記俯瞰カメラとがマウントされ、前記測定カメラと前記俯瞰カメラとを一体的に移動する構成であるカメラヘッド部と、
前記載置台と前記カメラヘッド部との少なくとも一方を駆動することで前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離と前記載置台と前記俯瞰カメラとのZ方向における距離を調整し、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を取得するために前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させる駆動部と、
前記駆動部を制御するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像するときは、視野範囲を維持しつつ、前記駆動部を駆動させ、前記載置台と前記測定カメラとのZ方向における距離を調整することで前記測定カメラのピント調整を行い、
前記測定カメラにより前記ワークを撮像しているときに、前記俯瞰カメラにより前記俯瞰画像を生成することが指示されると、前記載置台と前記カメラヘッド部のZ方向における距離が所定距離になるように前記駆動部を制御し、前記俯瞰カメラを所定の位置に復帰させ、前記所定の位置から前記俯瞰カメラに所定の視野範囲をもつ前記俯瞰画像を生成させる、
画像測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定カメラと俯瞰カメラを有する画像測定装置を使用するユーザの負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一または同様の構成には同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。
【0010】
<画像測定装置1>
図1は画像測定装置1の一構成例を示した斜視図である。画像測定装置1は、ワークを撮像してワーク画像を生成し、ワーク画像内のワークの寸法を測定する画像測定装置である。
図1において、画像測定装置1は、測定ユニット10、制御ユニット20、キーボード31およびポインティングデバイス32を有している。ワークは画像測定装置1により形状や寸法を測定される測定対象物である。
【0011】
測定ユニット10は、ディスプレイ装置11、可動ステージ12、XY調整つまみ(不図示)、Z調整つまみ14、電源スイッチ15および実行ボタン16を備えている。測定ユニット10は可動ステージ12上に載置されたワークに照明光を照射し、ワークの透過光またはワークからの反射光を受光してワーク画像を生成する。ワークは、可動ステージ12の透光板13の上に載置される。測定ユニット10はワーク画像をディスプレイ装置11の表示画面18に表示する。
【0012】
ディスプレイ装置11はワーク画像や測定結果、設定UI(ユーザーインターフェース)を表示画面18に表示する表示装置である。ユーザはディスプレイ装置11に表示されたワーク画像を見ながらキーボード31およびポインティングデバイス32を操作することで、パターンサーチのための特徴箇所や寸法測定のための測定箇所などを設定する。可動ステージ12はワークを載置するための載置台である。透光板13は、透光性を有するガラスからなる領域である。可動ステージ12は、カメラの撮像軸に平行なZ軸方向と、撮像軸に垂直なX軸方向およびY軸方向に移動する。
【0013】
XY調整つまみは、可動ステージ12をX軸方向またはY軸方向に移動させることにより、カメラに対する可動ステージ12の相対的な位置(X軸方向の位置とY軸方向の位置)を調整する。Z調整つまみ14は、可動ステージ12をZ軸方向に移動させることにより、カメラに対する可動ステージ12の相対的な位置(Z軸方向の位置)を調整する。電源スイッチ15は、測定ユニット10および制御ユニット20の主電源をオン状態およびオフ状態間で切り替えるための操作部である。実行ボタン16は寸法測定を開始させるための操作部である。
【0014】
制御ユニット20は、測定ユニット10による撮像や画面表示を制御し、ワーク画像を解析してワークの寸法を測定するコントローラである。制御ユニット20は、キーボード31およびポインティングデバイス32を接続されており、キーボード31およびポインティングデバイス32を通じてユーザ入力を受け付ける。キーボード31およびポインティングデバイス32は操作部30を形成している。制御ユニット20は、電源スイッチ15がオンに切り替えられると、測定ユニット10を起動する。制御ユニット20は、実行ボタン16が操作されると、予め用意された設定データにしたがって測定ユニット10を制御して、透光板13内でワークを探索し、ワークの寸法を測定する。
【0015】
<測定ユニット10>
図2は測定ユニット10の構成例を模式的に示した断面図である。ここでは測定ユニット10が撮像軸と平行な垂直面(YZ平面)により切断した場合の切断面が示されている。測定ユニット10は、ディスプレイ装置11、可動ステージ12、筐体100、ステージ駆動部101、鏡筒部102、低倍率カメラ110、高倍率カメラ120、同軸落射照明130および透過照明150を有している。低倍率カメラ110および高倍率カメラ120は寸法測定に使用されるため、測定用カメラと呼ばれてもよい。
【0016】
鏡筒部102、低倍率カメラ110、高倍率カメラ120、同軸落射照明130および透過照明150は、筐体100内に配置されている。ステージ駆動部101Zは、カメラヘッド103を可動ステージ12に対してZ軸方向に移動させ、低倍率カメラ110、高倍率カメラ120と可動ステージ12との間の距離を調整する。なお、ステージ駆動部101Zは、可動ステージ12をZ軸方向に移動させてもよい。ステージ駆動部101Zは、低倍率カメラ110、高倍率カメラ120のピントをワークなどに合わせるためにカメラヘッド103を移動させてもよい。ステージ駆動部101XYは、可動ステージ12をX軸方向およびY軸方向に移動させる。
【0017】
低倍率カメラ110は、高倍率カメラ120と比較して、撮像倍率の低い撮像装置である。低倍率カメラ110は、撮像素子111、結像レンズ112、絞り板113および受光レンズ114を有している。結像レンズ112、絞り板113および受光レンズ114は低倍率光学系を形成している。撮像素子111は、照明光を受光してワーク画像を生成する。撮像素子111は、受光面を下方に向けて配置されている。結像レンズ112は、照明光を撮像素子111上に結像させる光学部材である。絞り板113は、照明光の透過光量および被写界深度を制御する光学絞りであり、結像レンズ112と受光レンズ114との間に配置されている。受光レンズ114は、ワークからの照明光を集光する光学部材であり、可動ステージ12に対向させて配置されている。結像レンズ112、絞り板113および受光レンズ114は、上下方向に延びる中心軸を中心として配置されている。
【0018】
高倍率カメラ120は、低倍率カメラ110と比較して、撮像倍率の高い撮像装置である。高倍率カメラ120は、撮像素子121、結像レンズ122、絞り板123、ハーフミラー124および受光レンズ114を有している。結像レンズ122、絞り板123、ハーフミラー124および受光レンズ114は高倍率光学系を形成している。撮像素子121は、照明光を受光してワーク画像を生成する。撮像素子121は、受光面を水平方向に向けて配置されている。つまり、受光面と水平方向とは直交している。結像レンズ122は、照明光を撮像素子121上に結像させる光学部材である。絞り板123は、照明光の透過光量を制限する光学絞りであり、結像レンズ122及びハーフミラー124間に配置されている。受光レンズ114は、低倍率カメラ110と高倍率カメラ120とより共用される。受光レンズ114を透過した照明光は、ハーフミラー124により水平方向に折り曲げられ、絞り板123および結像レンズ122を介して撮像素子121に結像する。
【0019】
撮像素子111、121としては、たとえば、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などのイメージセンサが用いられる。受光レンズ114としては、受光レンズ114とワークとの距離が変化しても、ワークの像の大きさを変化させない性質を有するテレセントリックレンズが用いられる。つまり、低倍率光学系と高倍率光学系はそれぞれテレセントリック性を有する。テレセントリック性の光学系で取得されるワーク画像におけるワークの歪は、非テレセントリック性の光学系で取得されるワーク画像におけるワークの歪と比較して、非常に小さい。そのため、精度良くワークが測定される。なお、低倍率光学系と高倍率光学系はテレセントリック性を有しなくてもよい。
【0020】
同軸落射照明130は可動ステージ12上のワークに照明光を上方から照射する照明装置である。同軸落射照明130に代えてリング照明などの落射照明が採用されてもよい。同軸落射照明130の照射光の光軸は撮像軸に一致している。同軸落射照明130は、水平方向に照明光を出力するように配置された光源131と、光源131から出射された照明光を下方に折り曲げるハーフミラー132とを有している。同軸落射照明130の照明光はワーク表面の凹凸や模様を取得する際に有利である。
【0021】
また、受光レンズ114の周囲には、リング照明180が設けられている。ステージ駆動部181はリング照明180を上下動させる。これにより、ワークへの照明の照射角度が調整され、エッジの際立たせ方が調整可能となる。
【0022】
結像レンズ112、122、絞り板113、123、ハーフミラー124、132および受光レンズ114は、鏡筒部102内に配置されている。
【0023】
透過照明150は、可動ステージ12上のワークに照明光を下方から照射する照明装置である。透過照明150は、光源151、ミラー152および集光レンズ153により構成される。光源151は、水平方向に向けて照明光を出力するように配置されている。光源151から出射された照明光は、ミラー152により反射され、集光レンズ153により集光される。照明光は、可動ステージ12を透過してワークに照射される。照明光の一部はワークにより遮断され、照明光の他の一部は受光レンズ114に入射する。透過照明150の照明光はワークの外形のエッジを取得する際に有利である。
【0024】
同軸落射照明130および透過照明150の各光源としては、LED(発光ダイオード)やハロゲンランプが用いられる。
【0025】
俯瞰カメラ17は可動ステージ12の俯瞰画像を取得するために使用される撮像装置である。俯瞰カメラ17は結像レンズなどの光学系とCMOSイメージセンサなどの撮像素子とを有している。俯瞰画像は可動ステージ12のほぼ全体を包含する画像である。俯瞰カメラ17の撮像視野は、低倍率カメラ110や高倍率カメラ120の撮像視野よりも広い。そのため、俯瞰カメラ17は、低倍率カメラ110や高倍率カメラ120と比較して、より広い範囲の画像を取得することに向いている。その一方で、俯瞰カメラ17のテレセントリック性は、低倍率カメラ110や高倍率カメラ120のテレセントリック性と比較して低い。そのため、俯瞰カメラ17は非テレセントリックカメラと呼ばれてもよい。俯瞰カメラ17により取得されるワーク画像においてワークの形状は歪むため、低倍率カメラ110や高倍率カメラ120と比較して、俯瞰カメラ17はワークの測定には向いていない。なお、光学系の視野は円形であり、視野内の被写体はイメージサークルとなって撮像素子上に結像する。一方で、撮像素子が撮像できる範囲は矩形である。つまり、撮像領域とは、イメージサークル内の一部の矩形領域である。ここでは、撮像素子の撮像領域に対応する可動ステージ12上における矩形の領域は撮像視野と呼ばれる。
【0026】
<俯瞰カメラ>
図2が示すように、受光レンズ114は可動ステージ12のかなりの部分を覆っている。そのため、俯瞰カメラ17は受光レンズ114を避けた位置に配置される。俯瞰カメラ17は一つのカメラによって実現されてもよいが、複数のカメラによって実現されてもよい。
【0027】
図3(A)は測定ユニット10の正面側から俯瞰カメラ17を見たときの俯瞰カメラ17の配置を説明する図である。Wはワークを示している。この例では受光レンズ114の左側に俯瞰カメラ17Lが配置されており、受光レンズ114の右側に俯瞰カメラ17Rが配置されている。R1は低倍率カメラ110の視野範囲を示している。R2Lは俯瞰カメラ17Lの視野範囲を示している。R2Rは俯瞰カメラ17Rの視野範囲を示している。二つの俯瞰カメラ17R、17Lを採用することで可動ステージ12の大半の部分を一度に撮像可能となる。それでもなお、可動ステージ12上には、俯瞰カメラ17Lの視野範囲R2Lと、俯瞰カメラ17Lの視野範囲R2Lによってカバーしきれない死角範囲R3が生じてしまう。
【0028】
図3(B)は可動ステージ12の中央付近に配置されたワークWを俯瞰カメラ17により撮像する方法を説明する図である。俯瞰カメラ17Rの光軸と可動ステージ12の中心とが一致するように、可動ステージ12を移動することで、可動ステージ12の中央付近に配置されたワークWについての俯瞰画像が得られる。ここでは、俯瞰カメラ17Rが利用されているが、俯瞰カメラ17Lが利用されてもよい。
【0029】
なお、
図3(A)において俯瞰カメラ17Lにより取得された俯瞰画像と、俯瞰カメラ17Rにより取得された俯瞰画像と、
図3(B)において俯瞰カメラ17Rにより取得された俯瞰画像とを合成することで可動ステージ12の全体をカバーする合成俯瞰画像が作成されてもよい。リアルタイムで合成俯瞰画像を作成することはできないものの、リアルタイム性が必要無い場合、合成俯瞰画像が作成可能となる。
【0030】
図3(A)では、二つの俯瞰カメラ17R、17Lの死角範囲R3が生じてしまう例が説明されている。しかし、採用される二つの俯瞰カメラ17R、17Lの画角および設置位置等によっては死角範囲R3がなく、可動ステージ12の全体が一度に撮像可能となるケースもあろう。
【0031】
図3(A)および
図3(B)が示すように、俯瞰画像の生成が指示されると、可動ステージ12とカメラヘッド103との間の距離が所定距離H1となるように、制御ユニット20は、可動ステージ12とカメラヘッド103とのうちの少なくとも一方を移動する。所定距離H1は基本的に一定である。
【0032】
図3(C)は低倍率カメラ110や高倍率カメラ120によりワークWを撮像するときの可動ステージ12とカメラヘッド103との間の距離H2を示している。制御ユニット20は、ユーザによるZ調整つまみ14の操作に応じて距離H2を調整する。ディスプレイ装置11が低倍率画像、高倍率画像または連結画像を表示しているときに、俯瞰画像の生成が指示されると、制御ユニット20は、ユーザの距離に関する指示に依存することなく、可動ステージ12とカメラヘッド103との間の距離を所定距離H1に調整する。したがって、ユーザはZ調整つまみ14を操作する必要が無い。ただし、可動ステージ12とカメラヘッド103との間の距離が所定距離H1に調整された後に、制御ユニット20は、ユーザによるZ調整つまみ14の操作を受け付けて距離を微調整してもよい。なお、連結画像とは、X方向またはY方向においてそれぞれ隣り合った複数の低倍率画像または複数の高倍率画像を連結することで生成される画像である。
【0033】
<コントローラ>
図4は制御ユニット20に搭載されるコントローラ60の機能を説明する図である。
図5は俯瞰画像を生成する際に必要となるオプションの機能を示している。コントローラ60はプロセッサ(例:CPUなど)により構成され、測定ユニット10を制御する。CPUは中央演算処理装置の略称である。コントローラ60の機能の一部またはすべてはASICやFPGAなどのハードウエアによって実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。照明制御部81は制御ユニット20または測定ユニット10に搭載され、コントローラ60からの制御信号にしたがって照明ユニット84(同軸落射照明130、透過照明150およびリング照明180)を制御する。撮像制御部82は制御ユニット20または測定ユニット10に搭載され、コントローラ60からの制御信号にしたがってカメラユニット85(低倍率カメラ110、高倍率カメラ120および俯瞰カメラ17R、17L)を制御する。記憶装置70はメモリやハードディスクドライブなどを有し、設定データ、低倍率画像、俯瞰画像などを記憶する。コントローラ60はカメラユニット85により取得されたワーク画像を用いてワークWの寸法測定と、測定結果が良品条件(例:公差など)を満たしているかどうかの判定とを実行する。このようにコントローラ60は寸法測定機能と良品判定機能とを有している。
【0034】
コントローラ60のUI部61は、ユーザインタフェースを作成してディスプレイ装置11に表示したり、キーボード31などから入力されるユーザ入力を受け付けたりする。ステージ駆動部101Zは、可動ステージ12とカメラヘッド103とのうち少なくとも一方を駆動するZモータM1を有している。ZモータM1が可動ステージ12とカメラヘッド103とのうち少なくとも一方をZ方向において移動させることで、可動ステージ12とカメラヘッド103との間のZ方向における距離が調整される。俯瞰カメラモータM4はオプションであり、カメラヘッド103から独立して俯瞰カメラ17R、17LをZ方向に移動させるモータである。ステージ駆動部101XYは、可動ステージ12とカメラヘッド103とのうち少なくとも一方をX方向に移動させるXモータM2と、可動ステージ12とカメラヘッド103とのうち少なくとも一方をY方向に移動させるYモータM3とを有している。記憶装置70は各種の設定データ、俯瞰画像、低倍率画像、高倍率画像および連結画像などを記憶するメモリなどを含む。低倍率画像、高倍率画像および連結画像はワーク画像と呼ばれてもよい。
【0035】
表示制御部83は、コントローラ60の指示に従って俯瞰画像を表示するユーザインタフェースをディスプレイ装置11に表示したり、各種の画像を表示したり、測定結果(検査結果)を表示したりする。
【0036】
<ユーザインタフェース>
図5ないし
図7は俯瞰画像やワーク画像を表示するユーザインタフェース160の一例を示す図である。ポインタ161はユーザインタフェース160に設けられた各種のコントロールオブジェクトを操作するためのオブジェクトである。画像表示領域168は、俯瞰画像IM01やワーク画像を表示する領域である。俯瞰モードボタン162は俯瞰画像を表示する俯瞰モードを有効化するためのボタンである。モード選択部163は、俯瞰カメラ17R、17Lのうち一方のみを用いて俯瞰画像を生成するシングルモードと、俯瞰カメラ17R、17Lとの両方を用いて二つの俯瞰画像を生成するダブルモードとのいずれかを選択するためのラジオボタンである。この例では、シングルモードが選択されているため、UI部61は、俯瞰カメラ17Lにより取得された俯瞰画像IM01を画像表示領域168に表示している。
図6ではポインタ161によりダブルモードが選択されているため、UI部61は、俯瞰カメラ17Lにより取得された俯瞰画像IM01aと俯瞰カメラ17Rにより取得された俯瞰画像IM01bとを画像表示領域168に表示している。詳細モードボタン164は低倍率画像や高倍率画像の表示を指示するためのボタンである。倍率選択部165は、低倍率画像または高倍率画像を選択するためのラジオボタンである。
図7が示すように、ポインタ161により詳細モードが選択され、かつ、高倍率が選択されると、UI部61は、高倍率カメラ120により取得された高倍率画像IM02を画像表示領域168に表示する。終了ボタン166は画像表示の終了を指示するためのボタンである。
【0037】
<フローチャート>
図8は俯瞰画像とワーク画像との切替処理を示すフローチャートである。俯瞰画像とワーク画像は静止画であってもよいし、動画(ライブ画像)であってもよい。
【0038】
S801でコントローラ60(UI部61)は表示制御部83を通じてユーザインタフェース160をディスプレイ装置11に表示する。このように、UI部61はUI作成機能を有している。
【0039】
S802でコントローラ60(UI部61)はユーザインタフェース160を通じて俯瞰モードが選択されたかどうかを判定する。たとえば、俯瞰モードボタン162がポインタ161により押し下げされると、UI部61は、俯瞰モードが選択されたと判定する。このようにUI部61はモード判定機能を有している。俯瞰モードが選択されると、コントローラ60はS803に進む。俯瞰モードが選択されていなければ、コントローラ60はS805に進む。
【0040】
S803でコントローラ60(UI部61)は、カメラヘッド103に設けられた俯瞰カメラ17R、17Lと可動ステージ12との間の距離を求める。その求めた距離が、所定距離(例:H1)にあるかないかを判定する。当該求められた距離が所定距離でないと判定されると、コントローラ60はS804に進む。S804で、コントローラ60(UI部61)は、ステージ駆動部101Zを制御し、カメラヘッド103に設けられた俯瞰カメラ17R、17Lと可動ステージ12との間の距離を所定距離(例:H1)に調整する。所定距離は、画像測定装置の工場出荷時に設定されたデフォルトの値であってもよいし、ユーザにより予め設定された値であってもよい。また所定距離は所定の幅(許容上限距離と許容下限距離とによって定義される許容範囲)を持っていてもよい。S803で、求められた距離が所定距離であると判定されると、コントローラ60は、その所定距離にて俯瞰画像の取得を行うべく次のS805に移る。
【0041】
S805でコントローラ60(UI部61)は、撮像制御部82を通じて俯瞰カメラ17R、17Lを制御し、俯瞰画像を生成し、ディスプレイ装置11に表示する。上述されたように、モード選択部163を通じてシングルモードが選択されていれば、UI部61は、撮像制御部82を通じて俯瞰カメラ17R(または俯瞰カメラ17L)を制御し、俯瞰画像IM01を生成し、画像表示領域168に表示する。なお、俯瞰カメラ17Rと俯瞰カメラ17Lとのいずれがシングルモードにおいて使用されるかについても、予めユーザにより選択されていてもよいし、工場出荷時に選択されていてもよい。モード選択部163を通じてダブルモードが選択されていれば、UI部61は、撮像制御部82を通じて俯瞰カメラ17Rおよび俯瞰カメラ17Lを制御し、俯瞰画像IM01a、IM01bを生成し、画像表示領域168に表示する。このように、UI部61は、シングルモードとダブルモードとのどちらが選択されているかを判定する判定機能を有する。
【0042】
ここで、俯瞰モードにおいて、俯瞰カメラ17と可動ステージとの間の距離が所定距離となるようにステージ駆動部101Zを制御し、俯瞰カメラ17を移動または復帰させる理由を説明する。
【0043】
測定カメラである低倍率カメラ110および高倍率カメラ120はテレセン光学系を備え、俯瞰カメラ17は非テレセン光学系(測定カメラよりテレセン性が低い光学系)を備える。測定カメラはテレセン光学系を備えるため、可動ステージ12(ワークW)に対する距離が変化しても視野範囲が変化しない。それに対して俯瞰カメラ17は、テレセン光学系を備えないため、可動ステージ12(ワークW)に対する距離の変化に応じて俯瞰カメラ17の視野範囲が変化してしまう。俯瞰カメラ17の視野範囲が変化すると、ユーザは可動ステージ12またはワークWの全体を視覚的に把握しにくくなる。そのため、俯瞰カメラ17の視野範囲を変化させないための工夫が必要となる。
図9が示すように、俯瞰カメラ17と可動ステージ12との間の距離が一定に保たれる位置に俯瞰カメラ17が配置されていれば、俯瞰カメラ17の視野範囲は変わらない。しかし、
図2が示す実施形態のように、測定カメラと俯瞰カメラ17とが一体的に移動する構成が採用されることもある。この場合、ピントを合わせるためなどの目的で測定カメラをZ方向に移動させると、俯瞰カメラ17も測定カメラと一緒にZ方向に移動してしまう。そうすると、俯瞰カメラ17と可動ステージ12との間の距離が変わってしまう。その結果、その距離(高さ)に応じて俯瞰カメラ17の視野範囲が変化してしまう。
【0044】
このように、測定カメラは、ピント調整のために、Z方向に駆動させる必要がある。そのため、測定カメラと俯瞰カメラ17とが、同軸になり、かつ近接するような配置が採用された画像測定装置で、測定カメラにより画像を取得するときには、画像を取得するための位置に測定カメラが俯瞰カメラ17と一緒に移動する。俯瞰カメラ17で得られた画像が必要な場合、わざわざ、測定カメラおよび俯瞰カメラ17は所定の位置に戻り、俯瞰カメラ17が俯瞰画像を取得する。単にワークWの全体を把握するだけであれば、多少の歪みや視野範囲の変更を犠牲にして、そのままの位置で俯瞰画像を取得することも考えられるが、敢えて、俯瞰カメラ17が所定の位置に復帰する。これは、視野範囲の変更および歪みがあると、ユーザは俯瞰画像を視認しにくい。さらに、コントローラ60が俯瞰画像により得られた画像に画像処理を実行してワークWの位置を認識するような場合、正確な画像が必要になるからである。
【0045】
俯瞰画像を用いた画像処理については、本件と同一出願人の特願2018-162780および特願2018-162781に開示されている、その開示の全ては本明細書の一部として援用(incorporation herein by reference)される。
【0046】
S806でコントローラ60(UI部61)はユーザインタフェース160を通じて詳細モードが選択されたかどうかを判定する。たとえば、詳細モードボタン164がポインタ161により押し下げされると、UI部61は、詳細モードが選択されていると判定する。詳細モードが選択されると、コントローラ60はS807に進む。詳細モードが選択されていなければ、コントローラ60はS809に進む。
【0047】
S807でコントローラ60(UI部61)はユーザの指示(Z調整つまみ14の操作やXY調整つまみの操作など)にしたがってステージ駆動部101Z、101XYを制御し、カメラヘッド103に対して相対的に可動ステージ12を移動する。
【0048】
S808でコントローラ60(UI部61)はユーザにより指定された倍率でワーク画像を生成してディスプレイ装置11に表示する。たとえば、倍率選択部165により低倍率が選択されると、UI部61は、撮像制御部82を介して低倍率カメラ110を制御して、低倍率画像を生成し、画像表示領域168に表示する。倍率選択部165により高倍率が選択されると、UI部61は、撮像制御部82を介して高倍率カメラ120を制御して、高倍率画像を生成し、画像表示領域168に表示する。また、UI部61は、ユーザインタフェース160に照明の選択部を追加してもよい。UI部61は、同軸落射照明130と透過照明150とのうちユーザインタフェース160を通じて選択された照明を選択的に点灯させる。なお、俯瞰画像を生成する際にはリング照明など、可動ステージ12の全体を照明するような照明装置が向いている。
【0049】
S809でコントローラ60(UI部61)は表示終了が指示されたかどうかを判定する。たとえば、UI部61は終了ボタン166がポインタ161に押し下げられたかどうかを判定する。終了ボタン166がポインタ161に押し下げられると、UI部61は、画像表示処理を終了する。終了ボタン166がポインタ161に押し下げられていなければ、UI部61は、S802に戻る。
【0050】
<まとめ>
図1などを用いて説明されたように、可動ステージ12はワークが載置される載置台として機能する。低倍率カメラ110や高倍率カメラ120は載置台の上方に設けられ、載置台に載置されたワークを撮像し、当該ワークを測定するために利用されるワーク画像を生成する測定カメラとして機能する。俯瞰カメラ17L、17Rは載置台の上方に設けられ、載置台を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰カメラとして機能する。なお、俯瞰カメラ17L、17Rの光軸は載置台の載置面に対して直交している。俯瞰カメラ17Lの光軸と俯瞰カメラ17Rの光軸と、測定カメラの光軸は平行である。これはワークの平面視した画像を生成する際に有利であろう。ステージ駆動部101ZやZモータM1などは載置台と測定カメラとの少なくとも一方を駆動することで載置台と測定カメラとのZ方向における距離を調整するプロセッサの一例である。プロセッサは載置台と俯瞰カメラとの少なくとも一方を駆動することで載置台と俯瞰カメラとのZ方向における距離を調整してもよい。カメラヘッド部に測定カメラと俯瞰カメラとの両方が設けられていてもよい。この場合、プロセッサは、載置台とカメラヘッド部との少なくとも一方を駆動することで載置台と測定カメラとのZ方向における距離と載置台と俯瞰カメラとのZ方向における距離を調整してもよい。コントローラ60は駆動部を制御するプロセッサの一例である。S802などに関連して説明されたように、プロセッサは、俯瞰カメラにより俯瞰画像を生成することが指示される場合がある。この場合に、プロセッサは、載置台と俯瞰カメラ(またはカメラヘッド部)のZ方向における距離が所定距離になるように駆動部を制御し(S803)、俯瞰カメラに俯瞰画像を生成させる(S803)。これにより、測定カメラと俯瞰カメラを有する画像測定装置を使用するユーザの負担が軽減される。
【0051】
カメラヘッド103は測定カメラと俯瞰カメラとが搭載されたカメラヘッドの一例である。S803、S804に関連して説明されたように、駆動部は、載置台とカメラヘッドとの少なくとも一方を駆動することで載置台とカメラヘッドとのZ方向における距離を調整する。
図2、および
図3(A)ないし
図3(C)が示すように、測定カメラと俯瞰カメラとはカメラヘッド103と一体に移動してもよい。
【0052】
図4が示すように、ZモータM1は載置台と測定カメラとの少なくとも一方を駆動することで載置台と測定カメラとのZ方向における距離を調整する第一モータとして機能する。ZモータM1や俯瞰カメラモータM4は載置台と俯瞰カメラとの少なくとも一方を駆動することで載置台と俯瞰カメラとのZ方向における距離を調整する第二モータとして機能する。
【0053】
図9が示すように、俯瞰カメラ17はカメラヘッド103から分離されて筐体100に設けられてもよい。つまり、俯瞰カメラ17はカメラヘッド103とは異なる筐体100の一部に固定されていてもよい。俯瞰カメラモータM4は、可動ステージ12と俯瞰カメラ17との少なくとも一方を駆動することで可動ステージ12と俯瞰カメラ17とのZ方向における距離を調整する。このように、測定カメラと俯瞰カメラとは相互に独立して移動するような構造が採用されてもよい。
【0054】
図5ないし
図8を用いて説明されたように、詳細モードは測定カメラにより生成されたワーク画像を表示装置に表示する第一モードの一例である。俯瞰モードは俯瞰カメラにより生成された俯瞰画像を表示装置に表示する第二モードの一例である。プロセッサは、ユーザにより第一モードが指定されると、ユーザによる指示に依存して駆動部を制御する。つまり、詳細モードでは、ユーザによるZ調整つまみ14はXY調整つまみ(不図示)の操作に応じてステージ駆動部101Z、101XYが制御される。一方、プロセッサは、ユーザにより第二モードが指定されると、ユーザによる指示に依存することなく、載置台と俯瞰カメラとのZ方向における距離が所定距離になるように駆動部を制御する。つまり、俯瞰画像を生成する際には、ユーザがZ調整つまみ14はXY調整つまみ(不図示)を操作する必要が無い。たとえば、シングルモードでは、俯瞰カメラ17L(または俯瞰カメラ17R)の光軸と、可動ステージ12の中心とが一致するように、ステージ駆動部101XYが可動ステージ12を移動させてもよい。ダブルモードでは、可動ステージ12上における俯瞰カメラ17Lの光軸と俯瞰カメラ17Rの光軸との中間地点に、可動ステージ12の中心とが一致するように、ステージ駆動部101XYが可動ステージ12を移動させてもよい。上述されたようにZ方向の距離は距離H1に調整される。このように調整された可動ステージ12の位置と俯瞰カメラ17の位置とはホームポジションと呼ばれてもよい。
【0055】
なお、俯瞰カメラと測定カメラとはカメラヘッド103に搭載されていてもよいし、カメラヘッド103に搭載されていなくてもよい。ただし、俯瞰カメラと測定カメラとはカメラヘッド103に搭載することで、俯瞰カメラモータM4は不要となるといったメリットが生じる。
【0056】
俯瞰カメラは、一つであってもよいし、複数であってもよい。また、俯瞰カメラ17Lは第一撮像素子を有し、俯瞰カメラ17Rは第二撮像素子を有する。
図3(A)や
図6が示すように、第一撮像素子により撮像される載置台の範囲と第二撮像素子により撮像される載置台の範囲とは異なっていてもよい。この場合は、俯瞰カメラ17Lと俯瞰カメラ17Rとの撮像範囲外(死角)となる可動ステージ12の中央付近の画像が得られなくなるものの、俯瞰カメラ17Lと俯瞰カメラ17Rとの光学系を安価に構成することが可能となる。なお、光学系の価格の制約が少ない場合、死角が無くなるような俯瞰カメラ17Lと俯瞰カメラ17Rが採用可能となろう。
【0057】
図6が示すように、プロセッサは、第一撮像素子を用いて生成される第一俯瞰画像と第二撮像素子を用いて生成される第二俯瞰画像とを同時に表示装置に表示させてもよい。
図5が示すように、プロセッサは、第一撮像素子を用いて生成される第一俯瞰画像と第二撮像素子を用いて生成される第二俯瞰画像との一方を表示装置に表示させてもよい。
【0058】
なお、俯瞰カメラの構成および動作の詳細については、本件と同一出願人の特願2018-162780および特願2018-162781に開示されている。その開示の全ては本明細書の一部として援用(incorporation herein by reference)される。
【0059】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。