(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】積雪検知装置、積雪検知方法及び積雪検知システム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/14 20060101AFI20230208BHJP
G01G 17/04 20060101ALI20230208BHJP
G01G 19/12 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G01W1/14 G
G01G17/04 F
G01G19/12 Z
(21)【出願番号】P 2019053423
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 朋之
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100690(JP,A)
【文献】特開2005-140503(JP,A)
【文献】特開2014-015164(JP,A)
【文献】特開2014-172472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/14
G01G 17/04
G01G 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重とを比較する荷重比較部と、
前記荷重比較部による比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定部と、
前記鉛直荷重の変化量を算出する荷重変化量算出部と、
を備え
、
前記積雪判定部は、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知装置。
【請求項2】
前記荷重比較部は、前記鉛直荷重と前記基準荷重との差分と、積雪判定値と、を比較し、
前記積雪判定部は、前記差分が積雪判定値以上となったときに、前記車両に積雪したと判定する、請求項1に記載の積雪検知装置。
【請求項3】
前記積雪判定値は、ユーザによって使用される端末によって設定可能である、請求項2に記載の積雪検知装置。
【請求項4】
前記差分が前記積雪判定値に達するまでの前記鉛直荷重の増加時間を算出する荷重増加時間算出部を更に備え、
前記積雪判定部は、前記増加時間が判定時間以上となったときに、前記車両に積雪したと判定する、請求項2又は3に記載の積雪検知装置。
【請求項5】
前記基準荷重を設定する基準荷重設定部を更に備え、
前記基準荷重設定部は、前記変化量が所定の閾値を超えたときに、変化後の前記鉛直荷重を前記基準荷重に変更する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の積雪検知装置。
【請求項6】
周囲の環境を把握する環境把握部を更に備え、
前記環境把握部は、気温に関する情報を取得し、
前記積雪判定部は、前記気温が判定温度以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の積雪検知装置。
【請求項7】
前記積雪判定部は、前記気温が動作開始温度以下である場合に、前記判定を実行する、請求項
6に記載の積雪検知装置。
【請求項8】
前記積雪判定部による判定結果をユーザによって使用される端末に送信する通信部を更に備える、請求項1~
7のいずれか1項に記載の積雪検知装置。
【請求項9】
停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重とを比較する荷重比較ステップと、
前記荷重比較ステップによる比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定ステップと、
前記鉛直荷重の変化量を算出する荷重変化量算出ステップと、
を含
み、
前記積雪判定ステップでは、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知方法。
【請求項10】
車両が有する車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重を検出するセンサと、
前記鉛直荷重と、基準荷重とを比較した結果に基づいて、前記車両への積雪を検知する積雪検知装置と、
を備え
、
前記積雪検知装置は、前記鉛直荷重の変化量を算出し、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知システム。
【請求項11】
停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重
との差分と、積雪判定値と、を比較する荷重比較部と、
前記荷重比較部による比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定部と、
前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出する荷重増加時間算出部と、
を備え
、
前記積雪判定部は、前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知装置。
【請求項12】
停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重
との差分と、積雪判定値と、を比較する荷重比較ステップと、
前記荷重比較ステップによる比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定ステップと、
前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出する荷重増加時間算出ステップと、
を含
み、
前記積雪判定ステップでは、前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知方法。
【請求項13】
車両が有する車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重を検出するセンサと、
前記鉛直荷重と、基準荷重
との差分と、積雪判定値と、を比較した結果に基づいて、前記車両への積雪を検知する積雪検知装置と、
を備え
、
前記積雪検知装置は、
前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出し、
前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、
積雪検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積雪検知装置、積雪検知方法及び積雪検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の維持管理のための技術の一つとして、車両が受ける負荷を監視する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、荷重センサを備えたホイールと、過積載や過負荷に対する警告を可能とした車両の負荷監視装置が開示されている。
【0003】
また、車両上の積雪量が多い場合には、堆積した雪の除去作業が必要となる。そのため、停車又は駐車されている車両への積雪に関する情報を取得する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、車両の屋根に設けられたひずみゲージ又は圧電センサによって検出された当該屋根の変形又は圧力変化に基づいて降雪を検知する技術が開示されている。また、例えば、特許文献3には、車内に設置されて車窓を撮影する撮影手段と、当該撮影手段により撮影された画像に基づいて積雪を判別する判別手段と、を備える、車両における積雪検知システムが開示されている。また、例えば、特許文献4には、通信手段を介して車両が位置する地域の気象情報を取得し、当該気象情報に基づいて、車両の位置する地域の天候が降雪であるか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-140503号公報
【文献】特開2018-131167号公報
【文献】特開2015-190929号公報
【文献】特開2014-015164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両に積雪した状態で当該車両を走行させた場合、車両の加減速、コーナリング、又は向かい風等によって、車両に堆積した雪が道路上に落下し、後続車の走行の障害となる可能性がある。
【0007】
しかし、特許文献2に開示された技術では、例えば、車両にルーフキャリアが設置された場合、屋根の変形や圧力変化の検知が不正確となり、その結果、降雪を検知することが困難となる。
【0008】
また、特許文献3に開示された技術は、車内に設置された撮影手段によって撮影された車窓の画像に基づいて積雪を判別するため、車両への積雪量の算出には改善の余地がある。
【0009】
また、特許文献4に開示された技術は、通信手段を介して取得された気象情報に基づいて、車両が位置する地域の天候が降雪であるか否かを判定するため、車両への積雪を判定することは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両の荷重の変化に基づいて、車両への積雪を検知することが可能な、積雪検知装置、積雪検知方法及び積雪検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重とを比較する荷重比較部と、前記荷重比較部による比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定部と、前記鉛直荷重の変化量を算出する荷重変化量算出部と、を備え、前記積雪判定部は、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重との差分と、積雪判定値と、を比較する荷重比較部と、前記荷重比較部による比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定部と、前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出する荷重増加時間算出部と、備え、前記積雪判定部は、前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知装置が提供される。
【0012】
前記荷重比較部は、前記鉛直荷重と前記基準荷重との差分と、積雪判定値と、を比較し、前記積雪判定部は、前記差分が積雪判定値以上となったときに、前記車両に積雪したと判定してもよい。
【0013】
前記積雪判定値は、ユーザによって使用される端末によって設定可能であってよい。
【0014】
前記差分が前記積雪判定値に達するまでの前記鉛直荷重の増加時間を算出する荷重増加時間算出部を更に備え、前記積雪判定部は、前記増加時間が判定時間以上となったときに、前記車両に積雪したと判定してもよい。
【0016】
前記基準荷重を設定する基準荷重設定部を更に備え、前記基準荷重設定部は、前記変化量が所定の閾値を超えたときに、変化後の前記鉛直荷重を前記基準荷重に変更してもよい。
【0017】
周囲の環境を把握する環境把握部を更に備え、前記環境把握部は、気温に関する情報を取得し、前記積雪判定部は、前記気温が判定温度以下である場合に、前記車両に積雪したと判定してもよい。
【0018】
前記積雪判定部は、前記気温が動作開始温度以下である場合に、前記判定を実行してもよい。
【0019】
前記積雪判定部による判定結果を、ユーザによって使用される端末に送信する通信部を更に備えてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重とを比較する荷重比較ステップと、前記荷重比較ステップによる比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定ステップと、前記鉛直荷重の変化量を算出する荷重変化量算出ステップと、を含み、前記積雪判定ステップでは、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、停止した車両の車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重と基準荷重との差分と、積雪判定値と、を比較する荷重比較ステップと、前記荷重比較ステップによる比較結果に基づいて前記車両への積雪の有無を判定する積雪判定ステップと、前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出する荷重増加時間算出ステップと、を含み、前記積雪判定ステップでは、前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両が有する車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重を検出するセンサと、前記鉛直荷重と、基準荷重とを比較した結果に基づいて、前記車両への積雪を検知する積雪検知装置と、を備え、前記積雪検知装置は、前記鉛直荷重の変化量を算出し、前記変化量が所定の閾値以下である場合に、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知システムが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両が有する車輪に対して鉛直方向に作用する鉛直荷重を検出するセンサと、前記鉛直荷重と、基準荷重との差分と、積雪判定値と、を比較した結果に基づいて、前記車両への積雪を検知する積雪検知装置と、を備え、前記積雪検知装置は、前記差分が前記積雪判定値に達するまでの過程において前記鉛直荷重が増加していた時間の累積時間である増加時間を算出し、前記差分が積雪判定値以上、かつ、前記増加時間が判定時間以上であるときに、前記車両に積雪したと判定する、積雪検知システムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、車両の荷重の変化に基づいて、車両への積雪を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積雪検知システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る荷重センサによってよって取得される鉛直荷重の推移を説明するための説明図である。
【
図3】同実施形態に係る積雪検知装置の動作の一例を説明するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.積雪検知システムの概略構成>
<2.積雪検知システムの動作>
<3.結び>
【0026】
<1.積雪検知システムの概略構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る積雪検知システムの構成の一例を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積雪検知システムの一例を示すブロック図である。
図2は、実施形態に係る荷重センサによってよって取得される鉛直荷重の推移を説明するための説明図である。
【0027】
本実施形態に係る積雪検知システム1は、車両に積雪した雪を検知する。積雪検知システム1は、
図1に示すように、車両に設けられる、荷重センサ10及び積雪検知装置20を少なくとも備え、必要に応じて、ユーザによって使用される端末30、シフトポジションセンサ40、又は気温センサ50を備えてもよい。なお、積雪検知システム1がシフトポジション40又は気温センサ50を備える場合、シフトポジション40及び気温センサ50は、車両に設けられる。なお、積雪検知装置20は、車両に限られず、クラウドシステム上や、ユーザによって使用される端末30に備えられてもよい。この場合、車両は荷重センサ10の検出結果や、シフトポジションセンサ40、気温センサ50を備える場合はこれらの検出結果を通信部を介してクラウドシステム上又は、ユーザによって使用される端末30に送信し、クラウドシステム又は端末30は受信した検出結果に基づいて積雪の判定を行う。
【0028】
<1.1.荷重センサ10>
荷重センサ10は、車両に設けられ、車両が有する車輪に作用する作用力を検出し、検出信号を積雪検知装置20に出力する。荷重センサ10は、例えば、作用力を検出する検出器と、作用力に応じた検出信号を生成する信号処理回路とを主体に構成される。
【0029】
荷重センサ10としては、作用力を検出可能であれば特段制限されず、例えば、ひずみゲージ又は圧電センサ等を適用することができる。車輪軸に生じる応力は作用力に比例するという知得に基づき、荷重センサ10としてひずみゲージが用いられる場合、当該ひずみゲージは、例えば車輪軸に埋設されてもよい。ひずみゲージが車輪軸に埋設されることで、作用力を直接的に検出することが可能となる。
【0030】
荷重センサ10が車輪軸に設けられる場合、荷重センサ10は、4つの車輪軸の少なくともいずれかに設けられうるが、4つの車輪軸の全てに設けられることが好ましい。4つの車輪軸の全てに荷重センサ10が設けられ、それぞれの荷重センサ10によって、荷重センサ10が設置された車輪のそれぞれに作用する作用力を検出することで、車両に作用する荷重の変動が、車両のどの部分で生じたものであるかをより正確に把握することが可能となる。車両の周囲に車両への降雪を遮る物がない場合、車両の上部全体に積雪しうるため、車両全体に作用する荷重が増大する場合が多い。そのため、車両の上部全体に積雪した場合、4つの荷重センサ10は、それぞれ同程度の作用力を検出する。一方で、例えば、車両に荷物が積載される場合、荷物が積まれた位置付近の荷重センサ10は、当該位置から離れて位置する荷重センサ10と比較して、検出する作用力は大きくなる。このように、積雪と荷物の積載等とでは、車輪のそれぞれに作用する作用力の大きさが異なる。そのため、4つの車輪軸の全てに設けられた荷重センサ10それぞれの作用力を解析することで、車両に作用する荷重の変化が積雪によるものであるか否かをより正確に検知することが可能となる。
【0031】
荷重センサ10によって検出される作用力には、前後方向力、横力及び上下力を含む三方向の分力と、車輪軸の軸周りに生じるトルクとがある。前後方向力は、車輪の接地面に発生する摩擦力のうち、車輪の中心及び車輪の接地面の中心を含み車輪軸に垂直な面である車輪中心面に平行な方向に発生する分力であり、横力は、車輪中心面に直角な方向に発生する分力である。上下力は、鉛直方向に作用する鉛直荷重である。よって、荷重センサ10は、車両が有する車輪に対して作用する鉛直荷重を検出するセンサに相当する。
【0032】
荷重センサ10の設置位置は、車輪に作用する作用力を検出可能であれば特段制限されず、上述した車輪軸の他、例えば、ドライブシャフトに設けられても良い。
【0033】
<1.2.積雪検知装置20>
積雪検知装置20は、車両に設けられ、鉛直荷重の変化に基づいて、車両への積雪を検知する。積雪検知装置20は、荷重比較部210、及び積雪判定部270を少なくとも備え、必要に応じて、荷重変化量算出部220、基準荷重設定部230、荷重増加時間算出部240、状態判定部250、環境把握部260、記憶部280、及び外部装置と通信を行う通信部290を備えてもよい。
【0034】
荷重比較部210は、停止した車両の鉛直荷重と基準荷重とを比較する。詳細には、荷重比較部210は、停止状態における、鉛直荷重Mnと基準荷重M0との差分である荷重差分ΔMと、積雪判定値ΔMthとを比較する。
【0035】
複数の荷重センサ10が車両に設けられる場合、荷重センサ10のそれぞれについて、荷重差分ΔMと、積雪判定値ΔMthの比較が行われてよい。また、複数の荷重センサ10のそれぞれが検出した鉛直荷重の合計を鉛直荷重Mnとし、車両全体の基準荷重M0を設定し、当該鉛直荷重Mn及び基準荷重M0を用いて算出された荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMthと比較されてもよい。
【0036】
積雪判定値ΔMthには、例えば、車両の上方からの水平投影面積と、積雪の単位荷重と、垂直積雪量との積を用いてもよい。なお、積雪の単位荷重は、車両が位置する地域に応じて定められてよく、例えば、20N/cm/m2としてもよく、多雪地域の場合は、30N/cm/m2としてもよい。また、垂直積雪量は、車両に堆積した雪の厚さとし、ユーザによって設定されてもよい。また、垂直積雪量は、特定行政庁が規則で定める値としてもよい。しかしながら、積雪判定値ΔMthは、上述した車両の水平投影面積と、積雪の単位荷重と、垂直積雪量と、の積に限られず、例えば、積雪判定値ΔMthは、ユーザが利用する端末30によって任意に設定されてもよい。
【0037】
また、荷重比較部210は、荷重センサ10によって検出された鉛直荷重に基づいて、車両への積雪量を算出してもよい。
【0038】
荷重変化量算出部220は、荷重センサ10によって検出される鉛直荷重に基づいて、単位時間あたりの鉛直荷重の変化量である荷重変化量dMを算出する。
【0039】
基準荷重設定部230は、基準荷重M0を設定する。基準荷重M0は、所定の時刻における鉛直荷重であり、例えば、車両が停止した直後の鉛直荷重としてもよい。また、基準荷重設定部230は、鉛直荷重の変化に応じて基準荷重M0を変更してもよく、変化後の鉛直荷重を基準荷重M0としてもよい。また、基準荷重設定部230は、例えば、荷重変化量dMが所定の変化量閾値dMth以上となったときに、変化後の鉛直荷重を基準荷重M0としてもよい。例えば、短時間で鉛直荷重が増大した場合、具体的には、車両への荷物の積載等によって、荷重変化量dMが変化量閾値dMth超となった場合に、増加後の鉛直荷重を基準荷重M0とすることで、積雪判定部270は、より正確に積雪の有無を判定することが可能となる。
【0040】
荷重増加時間算出部240は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMthに達するまでに鉛直荷重が増加した時間である鉛直荷重増加時間Δtを算出する。例えば、
図2に示したように、時刻t0から時刻t1まで鉛直荷重が増加し、時刻t1から時刻t2までは鉛直荷重が一定であり、その後時刻t2から時刻t3まで鉛直荷重が増加して、時刻t3において荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMthとなったとすると、鉛直荷重増加時間Δtは、(t1―t0)+(t3-t2)で表される。
【0041】
また、荷重増加時間算出部240は、
図2では、連続して取得された鉛直荷重情報に基づいて、鉛直荷重増加時間Δtを算出しているが、所定の時間毎の鉛直荷重を取得し、当該鉛直荷重に基づいて鉛直荷重増加時間Δtを算出してもよい。荷重増加時間算出部240は、例えば、5分毎の鉛直荷重を取得し、先に取得された鉛直荷重よりも後に取得された鉛直荷重が大きい場合、鉛直荷重増加時間Δtに5分を加えてよい。所定の時間が長い場合、鉛直荷重が増加していない時間を鉛直荷重増加時間Δtに含めることがあり、誤差が大きくなることがあるため、所定の時間は短い方がよい。なお、当該所定の時間は、端末30によって設定されてもよい。
【0042】
なお、鉛直荷重増加時間Δtは、荷重センサ10において生じうるノイズが除去された後の鉛直荷重に基づいて算出されることが好ましい。荷重センサ10は、荷重センサ10の温度変化によって、検出される鉛直荷重が変化することがある。温度変化によって、検出される鉛直荷重が変化すると、その変化に応じたノイズが算出される鉛直荷重増加時間Δtも変化し、その結果、正確な鉛直荷重増加時間Δtが算出されなくなる可能性がある。そのため、鉛直荷重増加時間Δtは、ノイズが除去された後の鉛直荷重に基づいて算出されることが好ましい。
【0043】
状態判定部250は、車両が停止した状態であるか否かを判定する。停止しているか否かの判定は、例えば、シフトレバーの位置(シフトポジション)がパーキングの位置にあるか否かを判定することで、車両が停止状態であるか否かを判定してもよい。シフトポジションは、例えば、シフトポジションセンサ40によって検出されてよい。
【0044】
なお、停止状態であるか否かの判定は、シフトポジションに基づいた判定に限られず、例えば、車速センサ(図示せず)で検出された車速がゼロの状態、又はパーキングブレーキが作動した状態等を検出することで判定してもよい。
【0045】
環境把握部260は、周囲の環境を把握する。環境把握部260は、例えば、気温センサ50によって取得された気温に関する情報を受信してもよい。また、環境把握部260は、気温情報に限らず、車両が位置する地点の各種の気象情報を取得してもよく、例えば、大気中の相対湿度又は上空の気温等を取得してもよい。環境把握部260は、例えば、湿度センサ(図示せず。)から大気の湿度情報を取得してもよく、車両位置の上空の気温を含む気象情報を通信部290を介して取得してもよい。
【0046】
積雪判定部270は、停止した車両の車輪に作用する鉛直荷重の変化に基づいて、車両への積雪の有無を判定する。詳細には、積雪判定部270は、荷重比較部210による比較結果に基づいて車両への積雪の有無を判定する。積雪判定部270は、例えば、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上になったときに、車両に積雪したと判定してもよい。
【0047】
また、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上であるときに、車両に積雪したと判定してもよい。鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上となったときに、車両に積雪したと判定されることで、積雪よっては生じないような短時間での鉛直荷重の増加、例えば、車両への荷物の積載等による鉛直荷重の増加に基づいて、誤って車両に積雪したと判定することが抑制されるため、より正確に積雪の有無を判定することが可能となる。
【0048】
鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth未満である場合は、鉛直荷重増加時間Δtの間の鉛直荷重の増加は、積雪によるものではないと推定される。そのため、鉛直荷重増加時間Δtだけ経過した後の鉛直荷重を基準荷重M0とした後、改めて積雪判定が行われてもよい。
【0049】
また、積雪判定部270は、気温Tが動作開始温度T1以下である場合に、積雪判定を実行してもよい。ここで、動作開始温度T1は、降雪の可能性がある温度以下の温度であってよい。降雪の有無は、気温、大気の相対湿度や上空の気温等が関連する場合が多いため、動作開始温度T1は、例えば、相対湿度又は上空の気温等に応じて定められてもよい。この場合、積雪判定部270は、環境把握部260によって、湿度センサ(図示せず。)から大気の湿度情報を取得してもよく、車両位置の上空の気温を含む気象情報を通信部290を介して取得してもよい。なお、動作開始温度T1は、相対湿度又は上空の気温に限られず、降雪の条件となりうるあらゆる因子に基づいて定められてもよい。気温Tが動作開始温度T1以下である場合に、積雪判定が実行されることで、積雪検知装置20が行う処理によって発生する負荷を低減することが可能となる。
【0050】
また、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、気温Tが判定温度T2以下である場合に、車両に積雪したと判定してもよい。判定温度T2は、積雪する可能性がある温度であり、動作開始温度T1と同様に、相対湿度又は上空の気温等に応じて定められてもよい。気温Tが判定温度T2以下である場合、鉛直荷重の増加が積雪によるものである蓋然性が高いため、より正確に積雪の有無を判定することが可能となる。また、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上、及び気温Tが判定温度T2以下の条件を満たす場合に、車両に積雪したと判定してもよい。上記条件が満たされることで、積雪判定部270は、より正確に、積雪判定を行うことが可能となる。
【0051】
また、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、気温Tが判定温度T2超となった場合、積雪検知装置20に異常が生じたと判定してもよい。荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上であっても、気温Tが判定温度T2超である場合、積雪の蓋然性が低い。よって、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、気温Tが判定温度T2超となった場合、積雪検知装置20に異常が生じている可能性がある。したがって、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、気温Tが判定温度T2超となった場合、積雪検知装置20に異常が生じたと判定してもよい。これにより、ユーザは、積雪検知装置20に生じる不具合を早期に発見することが可能となる。さらに、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上、及び気温Tが判定温度T2超を満足する場合に、積雪検知装置20に異常が生じたと判定してもよい。これにより、ユーザは、より一層早期に積雪検知装置20に生じる不具合を発見することが可能となる。
【0052】
また、積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、荷重変化量dMが変化量閾値dMth以下である場合に、車両に積雪したと判定してもよい。積雪判定部270が、荷重変化量dMが変化量閾値dMth以下であり、かつ荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上となった場合に車両に積雪したと判定することで、積雪以外の要因による鉛直荷重の増加、例えば、車両への荷物の積載等によって鉛直荷重が増加した場合を積雪したと誤って判定することを抑制することが可能となる。積雪判定部270は、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上、かつ、荷重変化量dMが変化量閾値dMth以下であるという条件に加え、鉛直荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上、又は気温Tが判定温度T2以下の条件を満たす場合に、車両に積雪したと判定してもよい。上記条件が満たされることで、積雪判定部270は、より一層正確に、積雪判定を行うことが可能となる。
【0053】
記憶部280は、本実施形態に係る積雪検知装置20が備える記憶装置の一例である。記憶部280には、積雪検知装置20が、上述した各種の処理を実行する際に利用する各種のプログラムやデータベース等が適宜記録されている。記憶部280には、荷重比較部210、荷重変化量算出部220、基準荷重設定部230、荷重増加時間算出部240、状態判定部250、環境把握部260、又は積雪判定部270で生成された各種情報、例えば、荷重差分ΔM、基準荷重M0、鉛直荷重増加時間Δt、停止状態であるか否かの判定結果、積雪判定結果、又は積雪量情報が記録されてもよい。また、記憶部280には、積雪検知装置20が上記の各種処理を実行する際に利用可能な、積雪判定値ΔMth、変化量閾値dMth、判定時間Δtth、動作開始温度T1、又は判定温度T2が記録されてもよい。更に、記憶部280には、例えば、荷重比較部210、荷重変化量算出部220、基準荷重設定部230、荷重増加時間算出部240、状態判定部250、環境把握部260、又は積雪判定部270がそれぞれの処理を行う際に、保存する必要が生じた様々な処理の途中経過等が適宜記録されてもよい。積雪検知装置20に備えられる各機能構成が実行する処理に限られず、本実施形態に係る積雪検知装置20が何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等が適宜記録されてもよい。更に、記憶部280には、例えば、荷重センサ10によって取得された鉛直荷重情報、シフトポジションセンサ40によって取得されたシフトポジション情報、又は気温センサ50によって取得された気温情報、又は後述する通信部290によって取得されうる気象情報が記録されてもよい。また、記憶部280には、記録しうる各種情報が生成された時刻が当該情報に紐づいて記録されてもよい。なお、記憶部280は、積雪検知装置20に備えられる各機能構成が、自由にリード/ライト処理を実施することが可能である。以降、記憶部280に記録される上述した情報を積雪関連情報という。
【0054】
通信部290は、無線通信回線を介して通信ネットワークに接続し、当該通信ネットワークに接続された端末30と通信を行う。通信部290は、積雪判定部270による判定結果を含む積雪関連情報を端末30に送信してもよい。通信部は、例えば、端末30に入力された各種情報、例えば、ユーザによって端末30に入力された、積雪判定値ΔMth、変化量閾値dMth、判定時間Δtth、動作開始温度T1、又は判定温度T2を受信してもよい。
【0055】
また、通信部290は、車両位置の上空の気温を含む気象情報を通信ネットワークに接続されたサーバから取得してもよい。なお、車両位置は、位置情報取得装置(図示せず。)、例えば、GPS(Global positioning system)受信機等を用いて特定することができる。
【0056】
また、通信部290は、積雪関連情報を随時端末30に送信してもよいし、各種情報の内容に基づくタイミングで端末30に各種情報を送信してもよい。例えば、通信部290は、積雪量が所定の量に達したときに端末30に積雪量情報を送信してもよい。積雪量情報が送信されるときの積雪量は、例えば、端末30によって設定されてもよい。
【0057】
上述した荷重比較部210、荷重変化量算出部220、基準荷重設定部230、荷重増加時間算出部240、状態判定部250、環境把握部260、及び積雪判定部270は、ソフトウェアと、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)との協働により実現されうる。
【0058】
記憶部280は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成されうるストレージ装置により実現されうる。また、本実施形態においては、記憶部280は、積雪検知装置20に備えられているが、かかる態様に限られず、例えば、通信部290を介して接続されたサーバによって記憶部280が実現されてもよい。
【0059】
<1.3.端末30>
端末30は、積雪検知装置20から受信した車両への積雪判定結果を含む各種情報を出力する。端末30は、積雪検知装置20と通信ネットワークによって接続され、車両への積雪判定結果を含む各種情報を出力可能であれば特段制限されない。例えば、端末30が、音声出力機能を有する端末であれば、音声によって積雪判定結果を出力してもよいし、ディスプレイを有する端末であれば、ディスプレイへの表示によって積雪判定結果を出力してもよい。端末30としては、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はウェアラブルデバイスが適用されてもよい。
【0060】
端末30は、上述したように、積雪判定結果に限られず、車両への積雪量を出力してもよい。端末30が積雪量を出力することで、ユーザは、車両への積雪量を把握することが可能となり、これにより、ユーザへの負担がより小さい段階で、ユーザは、車両に堆積した雪の除去を行うことが可能となる。ここまで、本実施形態に係る積雪検知システムの概略構成を説明した。
【0061】
<2.積雪検知システムの動作>
続いて、
図3を参照して、本実施形態に係る積雪検知システムの動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る積雪検知装置の動作の一例を説明するための流れ図である。
【0062】
まず、状態判定部250は、車両が停止状態であるか否かを判定する(S101)。状態判定部250が、車両が停止状態であると判定した場合(S101/YES)、環境把握部260は、気温センサ50で検出された停止状態であると判定されたときの気温情報を取得し、積雪判定部270は、気温情報としての気温Tと動作開始温度T1とを比較する(S103)。一方、状態判定部250が、車両は停止状態でないと判定した場合(S101/NO)、ステップS101の処理が繰り返し行われる。
【0063】
ステップS103において、積雪判定部270が、気温Tが動作開始温度T1以下であると判定した場合(S103/YES)、基準荷重設定部230は、荷重センサ10によって検出された鉛直荷重を基準荷重M0とし、記憶部280に記録する(S105)。一方、積雪判定部270が、気温Tが動作開始温度T1超であると判定した場合(S103/NO)、ステップS103の処理が繰り返される。
【0064】
ステップS105で基準荷重M0が記録された後、荷重変化量算出部220は、荷重センサ10によって取得された鉛直荷重情報を基に荷重変化量dMを算出し、積雪判定部270は、荷重変化量dMと変化量閾値dMthを比較する(S107)。荷重変化量dMが変化量閾値dMth以下である場合(S107/YES)、荷重比較部210は、荷重差分ΔMと積雪判定値ΔMthとを比較する(S109)。一方、荷重変化量dMが変化量閾値dMth超である場合(S107/NO)、基準荷重設定部230は、変化後の鉛直荷重に基準荷重M0を変更し、記憶部280に記録する。その後、ステップS107の処理が行われる。荷重変化量dMが変化量閾値dMth超である場合は、繰り返し上記処理が行われる。
【0065】
ステップS109において、積雪判定部270が、荷重差分ΔMと積雪判定値ΔMthとを比較し、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth以上であると判定した場合(S109/YES)、荷重増加時間算出部240は、荷重増加時間Δtを算出し、積雪判定部270は、荷重増加時間Δtと判定時間Δtthを比較する(S111)。一方、積雪判定部270が、荷重差分ΔMが積雪判定値ΔMth未満であると判定した場合(S109/NO)、ステップS107及びステップS109の処理が繰り返される。
【0066】
ステップS111において、積雪判定部270が、荷重増加時間Δtが判定時間Δtth以上であると判定した場合(S111/YES)、環境把握部260は、気温情報を気温センサ50から取得し、積雪判定部270は、気温Tと判定温度T2とを比較する(S113)。一方、積雪判定部270が、荷重増加時間Δtが判定時間Δtth未満であると判定した場合(S111/NO)、基準荷重設定部230は、基準荷重M0を荷重増加時間Δtだけ経過した後の鉛直荷重に変更して記憶部280に記録し(S105)、ステップS105以降の処理が随時繰り返される。
【0067】
ステップS113において、積雪判定部270が、気温Tが判定温度T2以下であると判定した場合(S113/YES)、積雪判定部270は、車両に積雪したと判定する(S115)。一方、積雪判定部270が、気温Tが判定温度T2超であると判定した場合(S113/NO)、積雪検知装置20に異常が生じたと判定する(S116)。
【0068】
ステップS115において、積雪判定部270が車両に積雪したと判定した場合、通信部290は、端末30に判定結果を送信し、端末30が判定結果を出力することでユーザに対して判定結果が通知される(S117)。
【0069】
ここまで、本実施形態に係る積雪検知システムの動作を説明した。なお、本明細書の積雪検知システムの処理における各ステップは、必ずしも流れ図に記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、積雪検知システムの処理における各ステップは、流れ図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよいし、積雪検知システムの処理のいずれかのステップは省略されてもよい。
【0070】
<3.結び>
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、車両の荷重の変化に基づいて、車両への積雪を検知することが可能となる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば、上記実施形態では、車両が積雪検知装置20を備える場合について説明したが、本発明に係る積雪検知装置20の機能は、クラウドシステム上やユーザによって使用される端末30に備えられてもよい。この場合、車両は荷重センサ10の検出結果や、シフトポジションセンサ40、気温センサ50を備える場合はこれらの検出結果を通信部を介してクラウドシステム上又は、ユーザによって使用される端末30に送信し、クラウドシステム又は端末30は受信した検出結果に基づいて積雪の判定を行う。
【符号の説明】
【0073】
1 積雪検知システム
10 荷重センサ
20 積雪検知装置
30 端末
40 シフトポジションセンサ
50 気温センサ
210 荷重比較部
220 荷重変化量算出部
230 基準荷重設定部
240 荷重増加時間算出部
250 状態判定部
260 環境把握部
270 積雪判定部
280 記憶部
290 通信部