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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】逆流防止装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20230208BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20230208BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B60K15/04 C
B60K15/035 A
F02M37/00 301Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019057827
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157865
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】恩田 将成
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】天野 威
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-130937(JP,U)
【文献】特開2006-9850(JP,A)
【文献】特開2011-218693(JP,A)
【文献】特開平11-198665(JP,A)
【文献】実開昭62-10121(JP,U)
【文献】特開2012-87845(JP,A)
【文献】特開2009-73448(JP,A)
【文献】特開2002-46488(JP,A)
【文献】特開2009-137488(JP,A)
【文献】特開2000-249239(JP,A)
【文献】特開平11-348583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00
B60K 11/00- 15/10
F16L 17/00- 19/14
F16L 29/00- 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流防止装置を樹脂製燃料タンクのインレットに取付ける逆流防止装置の取付構造であって、
前記インレットは、前記樹脂製燃料タンクの車外側方向に突出して前記樹脂製燃料タンクと一体に形成されるとともに、
前記樹脂製燃料タンクに形成された燃料透過を防止するバリヤ層が前記インレット内にも連続的に延設され、
前記インレットの車外側方向の先端の外壁には、前記樹脂製燃料タンク側方向に外径が大きくなるように突出した接続部材取付部が形成されており、
前記逆流防止装置は、
開閉可能な逆流防止弁と、
外径が前記インレットの内径以下の内部を燃料が通過可能な筒状のカラー部を有し、
前記カラー部の片方の先端部である第1先端部に前記逆流防止弁が取付けられ、
前記カラー部の他の先端部である第2先端部には、外側に突出する鍔部が形成され、
前記カラー部の前記鍔部より前記樹脂製燃料タンク側の外壁には、外径が前記インレットの内径以上のビード部が形成されており、
前記逆流防止装置を前記第1先端部側から前記インレットに挿入することにより、前記ビード部が前記インレットの内壁と、前記鍔部が前記インレットの前記接続部材取付部の先端に当接して、前記逆流防止装置が前記インレットに取付けられる逆流防止装置の取付構造。
【請求項2】
前記逆流防止装置の前記鍔部には、前記逆流防止弁の向きを把握可能にする切り欠き部が形成されており、前記インレットの前記接続部材取付部の車外側端部には、前記逆流防止装置の前記切り欠き部に係合可能な凸部が形成されている請求項1に記載の逆流防止装置の取付構造。
【請求項3】
前記逆流防止装置の前記カラー部の前記第1先端部側は、斜めに切り欠かれている請求項1又は請求項2に記載の逆流防止装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等車両の樹脂製燃料タンクの入り口であるインレット内に配設され、燃料タンク内部の燃料が給油口方向に逆流することを防止する逆流防止装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の逆流防止装置(「逆止弁」と呼ばれることもある)としては、燃料タンクに予め開けられた、又は、燃料タンク成形後に開けられた孔部に、内部を燃料が通過可能な筒状のインレットを取付け、そのインレットに逆止弁を取付ける場合と、予め燃料タンクにインレットを一体に形成し、そのインレットに逆止弁を取付ける場合がある。後者の技術としては、例えば、以下の2つ技術が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1の技術は、図6に示すように、それぞれ射出成形により分割して別々に成形されたアッパーシェル部110とロアシェル部120から構成される熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク100において、アッパーシェル部110にインレット部200を一体に形成する。インレット部200のアッパーシェル部110の内面側の入口に逆止弁300を設け、インレット部200のアッパーシェル部110の内面側の入口の周囲をアッパーシェル部110から一体に下方に延設した蒸気流出防止壁400で囲み、蒸気流出防止壁400の長さを燃料タンク100内に燃料が満タンの液面よりも下方まで延設する。逆止弁300が開いたときに、蒸気流出防止壁400に逆止弁300の先端が当接し、逆止弁300の開度が規制されることを特徴とする燃料タンク100である。
【0004】
一方、特許文献2の技術は、図7に示すように、逆止弁300は、ハウジング(取付基体311と、取付基体311の下端に装着されたハウジング本体320)と、弁体321と、スプリング500と、Oリング600と、スペーサ700と、リテーナ800と、を主要な構成としている。なお、図7において、上部に記載されているCPは、接続パイプである。
【0005】
逆止弁300をタンク本体TBに装着する作業については、ハウジングは、環状保持部312とハウジング本体320とに分離した状態にあり、ハウジング本体320に弁体321、スプリング500などを予め組み付けた状態にする。この状態から、まず、環状保持部312の収納スペース313に、Oリング600を収納し、Oリング600をスペーサ700で押える。続いて、大口径部314の収容部315内にリテーナ800を挿入し、リテーナ800が取付基体311に支持されるとともに、スペーサ700の下面を支持する。
【0006】
さらに、ハウジング本体320をリテーナ800の中央穴に通して、ハウジング本体320の係合突起322を取付基体311の挿入用切欠316に位置合わせして取付凹所317に挿入し、さらに所定角度回転することにより、取付基体311にハウジング本体320を一体的に組み付ける。
【0007】
このようにアセンブリ化した状態にて、逆止弁300をタンク本体TBの外側から弁取付部TBaに挿入する。弁取付部TBaは、係合突起TBc、TBcの部分でリテーナ800の爪部810に当接し、そして、係合突起TBc、TBcが爪部810、810を乗り越えて爪部810、810に係合するとともに、弁取付部TBaが収納スペース313の内周側に挿入される。これにより逆止弁300がタンク本体TBに対して抜止される。この状態において、弁取付部TBaと逆止弁300のハウジングとの間は、Oリング600によりシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-137488号公報
【文献】特開2002-46488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、樹脂製燃料タンク及び燃料供給経路では、燃料タンク本体のみならず、燃料を供給・保持する経路を構成する樹脂製部品全般及びそれらの締結部分に関し、燃料の透過を抑制することが要望されている。しかしながら、特許文献1では、「アッパーシェル部にインレット部を射出成形により一体に形成し、アッパーシェル部にインレット部との間のシール性を確保する」旨が記載されているが、射出成形によって、現在、燃料タンク本体に用いられている燃料透過防止構造である、例えば、バリヤ層を有する4種6層等の構造をインレット部まで引き続いて形成することは困難である。又、特許文献2においても、「タンク本体TBの側部には、弁取付部TBaがパイプ状に突設されている。弁取付部TBaには、タンク本体TB内を外部に連通する通路TBbが形成されている。また、弁取付部TBaの側部には、後述するように逆止弁を取り付けるための係合突起TBc、TBc(タンク側係合部)が180゜の位置に2カ所形成されている。」旨の記載のみであり、特にタンク本体TBと弁取付部TBa間における燃料透過の抑制については何ら言及されていない。
【0010】
一方、図7から明らかなように、特許文献2に記載された逆止弁300をタンク本体TBに取付けるには、多くの部材を組み合わせる必要があるので、煩雑であり、コストアップに繋がる。また、上述の通り、多くの部材を組み合わせているが、その燃料透過性については、不明である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、燃料透過抑制性能を向上させるとともに、構造が複雑でなく、取付性にも優れ、且つ安価である樹脂製燃料タンクへの逆流防止装置の取付構造を提供する。
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、逆流防止装置を樹脂製燃料タンクのインレットに取付ける逆流防止装置の取付構造であって、インレットは、樹脂製燃料タンクの車外側方向に突出して樹脂製燃料タンクと一体に形成されるとともに、樹脂製燃料タンクに形成された燃料透過を防止するバリヤ層がインレット内にも連続的に延設され、インレットの車外側方向の先端の外壁には、樹脂製燃料タンク側方向に外径が大きくなるように突出した接続部材取付部が形成されており、逆流防止装置は、開閉可能な逆流防止弁と、外径がインレットの内径以下の内部を燃料が通過可能な筒状のカラー部を有し、カラー部の片方の先端部である第1先端部に逆流防止弁が取付けられ、カラー部の他の先端部である第2先端部には、外側に突出する鍔部が形成され、カラー部の鍔部より樹脂製燃料タンク側の外壁には、外径が前記インレットの内径以上のビード部が形成されており、逆流防止装置を第1先端部側からインレットに挿入することにより、ビード部がインレットの内壁と、鍔部がインレットの前記接続部材取付部の先端に当接して、逆流防止装置がインレットに取付けられる逆流防止装置の取付構造である。
【0013】
請求項1の本発明では、インレットは、樹脂製燃料タンクの車外側方向に突出して樹脂製燃料タンクと一体に形成されるとともに、樹脂製燃料タンクに形成された燃料透過を防止するバリヤ層がインレット内にも連続的に延設されているので、樹脂製燃料タンクとインレットの接続部及びインレットからの燃料透過を抑制することができる。
【0014】
なお、インレット内にも連続的に延設される樹脂製燃料タンクに形成された燃料透過を防止するバリヤ層は、インレットの先端部まで延設されることが望ましいが、ホースやバンドなどの被覆部材によって被覆され、被覆材において、燃料透過抑制対策が採られている場合は、被覆材の存在しない部分まで延設されればよい。
【0015】
逆流防止装置は、開閉可能な逆流防止弁と、外径がインレットの内径以下の内部を燃料が通過可能な筒状のカラー部を有し、カラー部の片方の先端部である第1先端部に逆流防止弁が取付けられ、カラー部の他の先端部である第2先端部には、外側に突出する鍔部が形成され、カラー部の鍔部より樹脂製燃料タンク側の外壁には、外径がインレットの内径以上のビード部が形成されているので、逆流防止装置を第1先端部側からインレットの先端部に挿入することにより、ビード部がインレットの内壁に当接して、逆流防止装置とインレット間を押圧し、鍔部がインレットの接続部材取付部の先端に当接することにより、逆流防止装置をインレットに固定することができ、構造が複雑でなく、取付性にも優れている。又、逆流防止装置を安価に製造することができる。
【0018】
請求項の本発明は、逆流防止装置の鍔部には、逆流防止弁の向きを把握可能にする切り欠き部が形成されており、インレットの接続部材取付部の車外側端部には、逆流防止装置の切り欠き部に係合可能な凸部が形成されている逆流防止装置の取付構造である。
【0019】
請求項の本発明は、鍔部には、切り欠き部が形成され、インレットの接続部材取付部の車外側端部には、逆流防止装置の切り欠き部に係合可能な凸部が形成されているので、鍔部に形成された切り欠き部とインレットに形成された凸部が係合することによって、逆流防止装置を、逆流防止弁の向きを常に一定方向にして樹脂製燃料タンク内に挿入することができる。又、そのことにより、樹脂製燃料タンク内における逆流防止弁の開閉の向きのバラツキを防止することができるので、逆流防止装置の正常な作動を確保することができる。
【0020】
請求項の本発明は、逆流防止装置のカラー部の第1先端部側は、斜めに切り欠かれている逆流防止装置の取付構造である。請求項の本発明では、逆流防止装置のカラー部の第1先端部側は、斜めに切り欠かれているので、カラー部の開口面積が大きくなり、インレット部側からの燃料の流量が増加した場合にも対応可能になる。
【発明の効果】
【0021】
インレットは、樹脂製燃料タンクの車外側方向に突出して樹脂製燃料タンクと一体に形成されるとともに、樹脂製燃料タンクに形成された燃料透過を防止するバリヤ層がインレット内にも連続的に延設されているので、樹脂製燃料タンクとインレット部の接続部及びインレット部からの燃料透過を抑制することができる。
【0022】
又、逆流防止装置は、開閉可能な逆流防止弁と、外径がインレットの内径以下の内部を燃料が通過可能な筒状のカラー部を有し、カラー部の片方の先端部である第1先端部に逆流防止弁が取付けられ、カラー部の他の先端部である第2先端部には、外側に突出する鍔部が形成され、カラー部の鍔部より樹脂製燃料タンク側の外壁には、外径が前記インレットの内径以上のビード部が形成されているので、逆流防止装置を第1先端部側からインレットの先端部に挿入することにより、ビード部がインレットの内壁に当接して、逆流防止装置とインレット間を押圧し、鍔部がインレットの前記接続部材取付部の先端に当接することにより、逆流防止装置をインレットに固定することができ、構造が複雑でなく、取付性にも優れている。又、逆流防止装置を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態を示すものであり、樹脂製燃料タンクの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示すものであり、逆流防止装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態を示すものであり、逆流防止装置の断面図である。
図4図2のA部拡大図である。
図5】本発明の実施形態を示すものであり、逆流防止装置を燃料タンクに取付けた場合の断面模式図である。
図6】従来の燃料タンクのインレット部の断面図である(特許文献1)。
図7】従来の逆止弁をタンク本体に組み付ける前の状態を分解して示す断面図である(特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から図5に基づき、本発明の実施形態の樹脂製燃料タンク1(以下、「燃料タンク」という。)への逆流防止装置の取付構造を説明する。図1は、本発明の実施の形態の燃料タンク1の斜視図である。燃料タンク1は、主にブロー成形により製造されている。タンク外壁のタンク上壁11とタンク底壁12は、一体的に形成され、材料としては、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材とし、燃料の透過性の極めて少ないバリヤ層10には、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EvOH)を使用している。そして、その構造は、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/再生材層/主材構造の4種6層の構造となっている。なお、燃料タンク1の内側から、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/主材の3種5層としてもよい。
【0025】
本発明の実施の形態で製造される燃料タンク1は、図1に示すように、その燃料タンク1に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔13が上面に形成されている。また、燃料タンク1の側面又は上面には、インレットパイプ(図示せず)から燃料を注入する断面が円形のインレット2が形成されている。
【0026】
又、燃料タンク1の周囲には外周リブ14が全周に亘り形成されており、外周リブ14のコーナー部等の所定箇所には、数箇所に亘り取付用孔15が形成され、取付用孔15と車体をボルト締めすることにより、燃料タンク1を車体に取付けている。さらに、燃料タンク1の上面には、内部の燃料蒸気を回収するホース等を接続する各種のホース取付部16が形成されている。
【0027】
図2は、逆流防止装置3の外観図である。なお、本図には、燃料タンク1とインレット2も併せて示し、逆流防止装置3をインレット2に取付けるときの位置関係が把握できるように示してある。図2及び図3に示すように、逆流防止装置3は、インレット2と同様に断面が円形であり、外径がインレット2より僅かに小さい筒状のカラー部31を有している。燃料タンク1側の第1先端部32は斜めに切り欠かれており、切り欠かれた先端は、一旦内側に曲げられ、その後外側に再度曲げられている。そして、その先端に逆流防止弁33が、バネ4を介して取付けられている。
【0028】
上記の形状によって、逆流防止弁33が、バネ4を介して取付けられても、逆流防止弁33をカラー部31の外径内に納まるように取付けることができ、逆流防止装置3をインレット2に挿入することができる。又、カラー部31を斜めに切り欠くことにより、開口面積を大きくすることができるので、燃料の流量が増加したときにも開いた逆流防止弁33とカラー部31との隙間から確実に燃料が燃料タンク1内に流入することができる。
【0029】
カラー部31及び逆流防止弁33の材料は、機械的特性、耐燃料性、耐疲労性等バランスの良いポリアセタール(POM)を用いた。なお、カラー部31及び逆流防止弁33については、ナイロンを用いても良いし、別々の材料を用いてもよい。さらに、上記のカラー部31の内部に、燃料タンク1にバリヤ層として使用されているエチレン-ビニルアルコール共重合体(EvOH)を形成してもよい。加えて、カラー部31と逆流防止弁33の少なくとも一方を、例えば、ステンレスのような金属を用いて製作してもよい。
【0030】
カラー部31の燃料タンク1とは反対側の第2先端部34には、外側に突出する鍔部35が形成されている。そして、鍔部35には、鍔部35の一部が切り欠かれた切り欠き部37が形成されている。又、鍔部35の燃料タンク1側には、カラー部31の外壁の径が、カラー部31の外径より大きく、インレット2の内径以上のビード部36が形成されている。
【0031】
なお、ビード部36は、カラー部31の全周に亘って形成しても良いが、全周には限られず、カラー部31の開口側から見た時に、例えば、十字状に4点、又は、60°間隔に6点形成してもよい。つまり、ビード部36がインレット2の内壁を押圧してカラー部31をインレット2の内壁に固定できればよい。
【0032】
一方、インレット2の先端部の外壁には、燃料タンク1側方向に外径が大きくなるように突出した接続部材取付部21が形成されており、さらに接続部材取付部21より燃料タンク1とは反対側には、カラー部31の鍔部35の切り欠き部37に挿入可能な凸部23が形成されている。
【0033】
その結果、逆流防止装置3をカラー部31の第1先端部32側からインレット2に挿入することにより、ビード部36がインレット2の内壁を押圧し、鍔部35がインレット2の先端に当接することにより、逆流防止装置3をインレット2に、挿入・固定することができる。又、カラー部31の鍔部35に形成された切り欠き部37とインレット2の先端部に形成された凸部23が係合することによって、逆流防止装置3を逆流防止弁33の向きを常に一定方向にして燃料タンク1内に挿入することができるので、燃料タンク1内における逆流防止弁33の開閉の向きのバラツキを防止することができ、逆流防止装置3の正常な作動を確保することができる。
【0034】
図4に示すように、インレット2の接続部材取付部21の接続部材当接面22は、インレット2の他の外壁面に比較して高い面精度を有している。なお、インレットの接続部材取付部の接続部材当接面における高い面精度とは、例えば、表面粗さに関する最大高さRzを指標とする場合に、通常のインレットの他の外壁面の成形面における100μmオーダーの表面粗さに比較し、1桁低い10μmオーダーの表面粗さであることをいう。従来の仕上げ記号の表記では、▽▽に該当する。本実施形態におけるインレット2の接続部材取付部21の接続部材当接面22における面精度は、表面粗さに関する最大高さRzを指標とし、Rz12.5又はRz25に設定した。Rzに続く数値は、長さの単位μmを表す。その結果、接続部材(本実施形態では、フィラーホース5)の内面と接続部材当接面22の間に高いシール性を確保することができる。
【0035】
図5は、図1から図4に示した逆流防止装置3をインレット2が一体成形された燃料タンク1に取付けた場合の断面模式図である。
【0036】
カラー部31と逆流防止弁33をバネ4を介して一体化した逆流防止装置3を逆流防止弁33側を燃料タンク側にし、カラー部31の上流側の鍔部35を手で持ち、インレット2の車外側から挿入する。そして、カラー部31の鍔部35を回して、鍔部35の切り欠き部37をインレット2の凸部23内に挿入して、さらに押し込んで、逆流防止装置3をインレット2に組み付ける。次に、インレット2の外側にフィラーホース5を被せる。そして、最後に、フィラーホース5の外側からホースバンド6によってインレット2にフィラーホース5を固定する。
【0037】
本実施形態において、燃料タンク1に形成された燃料透過を防止するバリヤ層10がインレット2に連続的に延設される領域は、図5に示すように、インレット2の車外側の先端部まで延びているが、図5から明らかなように、インレット2の外径側には、フィラーホース5及びホースバンド6が存在する。フィラーホース5においても、燃料透過性が考慮されて材料が決められている。したがって、燃料タンク1に形成された燃料透過を防止するバリヤ層10がインレット2に連続的に延設される領域は、図5においては、フィラーホース5によって覆われた位置よりも少し車外側まで延設されておれば、燃料透過を抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 樹脂製燃料タンク(燃料タンク)
10 バリヤ層
2 インレット
3 逆流防止装置
4 バネ
5 フィラーホース
6 ホースバンド
21 接続部材取付部
22 接続部材当接
23 凸部
31 カラー部
32 第1先端部
33 逆流防止弁
34 第2先端部
35 鍔部
36 ビード部
37 切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7