(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】交通管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230208BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230208BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G08G1/01 E
G08G1/01 D
G08G1/09 A
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019061281
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 哉
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-309735(JP,A)
【文献】特開2010-210284(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082353(WO,A1)
【文献】特開2018-025989(JP,A)
【文献】特開2013-257667(JP,A)
【文献】特開2019-036339(JP,A)
【文献】特開2010-061435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区間を通行する車両の台数を走行車線毎に収集する交通情報収集部と、
前記所定区間の後方に設置されて通過する車両情報を収集する車両感知部と、
交通管制装置と
を備え、
前記交通管制装置は、
前記交通情報収集部で収集し前記所定区間を走行する前記車両の台数及び前記車両感知部で収集した前記車両情報を交通情報として取得する交通情報取得部と、
前記交通情報取得部で取得した前記交通情報に基づいて前記所定区間における渋滞の予兆を前記走行車線毎に検出する交通管理部と
を有する交通管理システムにおいて、
前記交通管理部は、更に、
前記交通情報取得部で取得した前記所定区間を走行する前記車両の台数と該所定区間の区間長とに基づき交通密度を前記走行車線毎に求める交通密度演算部と、
前記交通情報取得部で取得した前記車両感知部で収集した前記車両情報に基づき該車両感知部を通過する前記車両の通過台数から交通量を前記走行車線毎に算出する交通量算出部と、
前記交通密度演算部で求めた前記交通密度を前記交通量算出部で算出した前記交通量で補正して実交通密度を前記走行車線毎に求める実交通密度演算部と、
前記実交通密度演算部で演算した前記走行車線毎の前記実交通密度と予め設定した渋滞の予兆を判定する判定閾値とを比較して渋滞の予兆を示す走行車線を調べる渋滞予兆判定部と、
前記渋滞予兆判定部で渋滞の予兆を示す走行車線が検出された場合、前記車両感知部よりも後方を走行している車両に対して車線変更指示信号を送信する指示信号送信部と
を備えていることを特徴とする交通管理システム。
【請求項2】
前記指示信号送信部は、前記渋滞予兆判定部で渋滞の予兆を示す走行車線が検出された場合、該渋滞の予兆を示す走行車線を走行している車両に対し、走行車線の変更を指示する車線変更指示信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通管理システム。
【請求項3】
前記交通管理部は、更に
前記渋滞予兆判定部で渋滞の予兆を示す走行車線が検出された場合、最も前記実交通密度の低い走行車線を検出する低密度走行車線検出部を
有し、
前記指示信号送信部は、渋滞の予兆を示す走行車線を走行している車両に対し、最も前記実交通密度の低い走行車線への車線変更を指示する前記車線変更指示信号を送信する
ことを特徴とする請求項2記載の交通管理システム。
【請求項4】
前記指示信号送信部は、自動運転で走行している車両に対して自動車線変更制御を実行させるための前記車線変更指示信号を送信する
ことを特徴する請求項1~3の何れか1項に記載の交通管理システム。
【請求項5】
前記指示信号送信部は、道路上に設置された表示設備に対して前記車線変更指示信号を送信し、車線変更指示を表示させる
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の交通管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車線毎の交通密度を検出して、交通密度の偏りを防止し、渋滞の発生を事前に抑制する交通流れを作ることができるようにした交通管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高速道路の交通を管理する道路管制センタでは、路側に設置されているセンサ(カメラ、トラフィックカウンタ等)から収集されるデータや、各車両の走行状態を示すプローブ情報をクラウドサーバ(交通制装置)で集計して、所定区間毎の交通情報(交通密度、渋滞情報等)を得ている。そして、この交通情報を、付近を走行する車両に報知することで、渋滞の発生を抑制している。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2012-43094号公報)には、車群の先頭を走行している車両の運転者に対して、当該車両を先頭とする車群が形成されていること、或いは車群の増大を抑制する運転操作に関する情報を提供することで、先頭車両の運転者に自車両が車両の流れを妨げていることを気づかせ、車群の増大を抑制する運転操作を促して、渋滞を抑制するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した文献に開示されている交通制御システムで提供する交通情報は、先行車両に対しては有用であるが、後続の車両が同様の情報を取得しても渋滞発生の抑制を期待することはできない。
【0006】
又、通行する車両には、受信設備を備えていない車両、カーナビゲーションシステム等の受信設備を備えてはいるが手動運転専用の車両、情報交通を取得しても、運転者がその指示に従わない運転を行う車両などが混在しているため、意図した交通管制を行うことは困難である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、種々の車両が混在する交通環境下であっても、渋滞の発生を事前に抑制する交通流れを作ることのできる交通管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定区間を通行する車両の台数を走行車線毎に収集する交通情報収集部と、前記所定区間の後方に設置されて通過する車両情報を収集する車両感知部と、交通管制装置とを備え、前記交通管制装置は、前記交通情報収集部で収集し所定区間を走行する前記車両の台数及び前記車両感知部で収集した前記車両情報を交通情報として取得する交通情報取得部と、前記交通情報取得部で取得した前記交通情報に基づいて前記所定区間における渋滞の予兆を前記走行車線毎に検出する交通管理部とを有する交通管理システムにおいて、前記交通管理部は、更に、前記交通情報取得部で取得した前記所定区間を走行する前記車両の台数と該所定区間の区間長とに基づき交通密度を前記走行車線毎に求める交通密度演算部と、前記交通情報取得部で取得した前記車両感知部で収集した前記車両情報に基づき該車両感知部を通過する前記車両の通過台数から交通量を前記走行車線毎に算出する交通量算出部と、前記交通密度演算部で求めた前記交通密度を前記交通量算出部で算出した交通量で補正して実交通密度を前記走行車線毎に求める実交通密度演算部と、前記実交通密度演算部で演算した前記走行車線毎の前記実交通密度と予め設定した渋滞の予兆を判定する判定閾値とを比較して渋滞の予兆を示す走行車線を調べる渋滞予兆判定部と、前記渋滞予兆判定部で渋滞の予兆を示す走行車線が検出された場合、前記車両感知部よりも後方を走行している車両に対して車線変更指示信号を送信する指示信号送信部とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定区間を走行する車両の台数と当該区間長とに基づき交通密度を走行車線毎に求め、又、所定区間の後方に設置された車両感知部で検知した車両感知部を通過する車両の通過台数から交通量を走行車線毎に算出し、この交通密度を交通量で補正して実交通密度を走行車線毎に求め、求めた走行車線毎の実交通密度と予め設定した渋滞の予兆を判定する判定閾値とを比較して渋滞の予兆を示す走行車線を調べ、渋滞の予兆を示す走行車線が検出された場合、車両感知部よりも後方を走行している車両に対して車線変更指示信号を送信するようにしたので、種々の車両が混在する交通環境下であっても、所定区間の交通密度が、車両感知部で検出した通過車両に基づいて算出した交通量で補正されているため、交通密度の偏りを防止して、渋滞の発生を事前に抑制する交通流れを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】車両からクラウドサーバに送信されるプローブ情報の一例を示す説明図
【
図5】走行中の車両に対してクラウド情報を送信する状態を示す説明図
【
図6】別態様による走行中の車両に対してクラウド情報を送信する状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
図1に示す交通管理システムは、交通管制装置としてのクラウドサーバ1と交通情報収集部としての各交通情報センタ2と基地局4とを有し、これらが交通情報送信部としてのインターネット5を介して接続されて構成されている。
【0012】
又、各交通情報センタ2は、民間、及び公共期間の管轄におかれ、時々刻々と変化する交通情報(例えば、各区間を走行する車両の台数)、及び環境情報を、予め設定されている各区間において走行車線毎に集計し、クラウドサーバ1に交通情報として送信する。例えば、民間の交通情報センタでは、契約している各プローブ車両から取得したプローブ情報を収集し、収集した情報に基づいて求めた交通情報をクラウドサーバ1に送信する。又、例えば、公共機関の交通情報センタは、道路に予め設置されている車両感知部としての各種車両感知センサ(カメラ、トラフィックカウンタ等)3(
図5、
図6参照)、及び都道府県警察、道路交通管理者等から得られた、各区間における走行車線毎の交通情報を収集してクラウドサーバ1に送信する。
【0013】
図3に示すように、各プローブ車両から交通情報センタ2に送信されるプローブ情報としては、自車両の車両ID、送信日時、現在位置(緯度、経度)、車速、進行している方角等であり、このプローブ情報を受信した交通情報センタ2では、この情報に基づき、所定区間毎の交通情報(混雑情話生、渋滞情報等)を取得する。
【0014】
図2に示すように、クラウドサーバ1は、通信部11、交通情報取得部12,交通管理部13、及び地図データベース部14を備えている。交通情報取得部12は、通信部11を介して、各交通情報センタ2や各基地局4から送信される交通情報を取得して集計する。
【0015】
又、交通管理部13は、交通情報取得部12で集計した交通情報に基づき、各区間の交通密度(台数/区間長)を所定時間(1~2[min])毎に求め、渋滞が発生しそうな予兆を示す区間(エリア)を調べると共に、当該区間での渋滞予兆の傾向を走行車線毎に調べる。そして、この交通情報をリアルタイムに処理し、地図データベース部14に記憶されているグローバルダイナミックマップの道路交通情報を逐次更新する。
【0016】
尚、このグローバルダイナミックマップは、4階層の構造をなしており、最下層の静的情報階層を基盤として、その上に、自動走行をサポートするために必要な付加的地図情報が重畳されている。静的情報階層は、高精度3次元地図情報であり、路面情報、車線情報、交差点情報、3次元構造物、及び恒久的な規制情報等、変化の最も少ない静的な情報が格納された最下層の基盤情報層である。
【0017】
又、この静的情報階層に重畳される付加的地図情報は、3階層に区分されており、下位階層から順に、準静的情報階層、準動的情報階層、動的情報階層を有している。この各階層は時間軸での変化(変動)度合いに応じて区分され、上述した交通情報は、最も変化が多く、リアルタイムに更新する必要がある情報であるため動的情報階層に格納される。尚、このグローバルダイナミックマップは、後述する自動運転可能な車両101を自律走行させるに際し必要とする地図である。
【0018】
更に、クラウドサーバ1はインターネット5を介して路車間通信システム6、及び表示設備としての道路情報板7に接続されている。路車間通信システム6は、道路の所定区間毎に配置されている路側機(例えば、路側ビーコン)6aを有しており、クラウドサーバ1から取得した交通情報に基づき、対応する路側機6aに交通情報を送信する。この交通絵情報は車両に搭載されているカーナビゲーションシステム等で受信されて、運転者に報知される。又、道路情報板7は、
図6に示すように道路上に設置されて、道路交通情報等を文字、絵文字等で表示して、運転者に道路状況を報知するものである。
【0019】
ここで、自動運転可能な車両101の構成について簡単に説明する。この車両101は、自動運転区間においては運転者の操作によらずに、自車両を自律走行させる自動運転支援装置21が搭載されている。この自動運転支援装置10は、ロケータユニット22と車両制御ユニット23とを有し、ロケータユニット22に、交通情報受信機22a、及びGNSS受信機22bが設けられている。
【0020】
このロケータユニット22は、GNSS受信機22bで受信した複数の測位衛星からの測位信号に基づいて自車位置を推定する。又、ロケータユニット22は、交通情報受信機22aから、基地局4、インターネット5を介してクラウドサーバ1にアクセスして、交通情報やグローバルダイナミックマップに格納されている地図情報を取得する。そして、ロケータユニット22は交通情報受信機22aで受信した地図情報に基づき、自車位置を地図上にマップマッチングし、又、入力された目的地と自車位置とを結ぶ走行ルートを構築する。そして、取得した交通情報に基づき走行車線を特定する。
【0021】
車両制御ユニット23は、構築した走行ルートに従い、当該走行ルートに自動運転が可能な区間(自動運転区間)が設定されている場合、当該自動運転区間は自動運転を行う。又、自動運転が設定されていない区間においては、周知の追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)と車線維持(ALK:Active Lane Keep)制御とによる運転支援制御を実行して、自車両を走行させる。
【0022】
自動運転において、車両制御ユニット23は、ロケータユニット22で設定した走行車線、例えば、第1走行車線(
図5、
図6参照)を走行させる。又、その際、クラウドサーバ1から、車両101が現在走行している車線(例えば、第1走行車線)は、前方において渋滞の発生しそうな予兆があるため、車線変更の指示信号が発信されている場合は、当該指示に従い、車線変更を行う。
【0023】
この渋滞予兆車線の検出、及び車線変更の指示は、上述したクラウドサーバ1の交通管理部13において、交通情報取得部12で集計した交通情報に基づき、所定区間長(例えば、1~2[Km])毎に求められる。
【0024】
この交通管理部13で求める渋滞予兆の検出、及び車線変更の指示は、具体的には、
図4に示す交通管理処理ルーチンにおいて行われる。このルーチンでは、先ずステップS1で、交通情報取得部12で集計した交通情報を読込み、ステップS2で、各区間における走行車線毎の交通密度K’を求める。尚、このステップS2での処理が、本発明の交通密度演算部に対応している。
【0025】
例えば、所定区間を走行する各車両の速度が徐々に低下した場合、各車両の車間距離が次第に狭くなり、交通密度K’が高くなる。この交通密度K’は、その区間内に存在する車両の台数から推定する(台数/区間長)。因みに、この交通密度K’に特定の区間を走行する車両の平均車速(空間平均速度)Vaを乗算すれば、当該区間の交通量Qを知ることができる(Q=K’・Va)。
【0026】
ところで、交通情報取得部12で集計した区間毎の交通情報は、交通情報センタ2で取得した交通情報に基づいている。各交通情報センタ2では、プローブ車両から取得したプローブ情報、道路に予め設置されている各種車両感知センサ3、及び都道府県警察、道路交通管理者等から得られた交通情報に基づいて、各区間の交通密度K’を求めている。
【0027】
この場合、交通管理処理ルーチンにおいて、予め設定されている区間A(
図5、
図6参照)の交通情報を交通情報取得部12から取得して交通密度K’を求め、この交通密度K’の増加傾向から、走行車線毎の渋滞の予兆を検出することは可能である。
【0028】
しかし、渋滞の予兆を検出するだけでは、渋滞の発生を抑制することはできない。特定区間Aでの渋滞の発生を抑制するには、後続の車両を交通密度K’の高い走行車線から交通密度K’の低い走行車線へ振り分ける必要がある。この場合、全ての車両が自動運転可能な車両101であれば、クラウドサーバ1からの車線変更の指示により、意図する走行車線に自動車線変更(ALC:Auto Lane Changing)制御により振り分けることができる。又、カーナビゲーションシステムが搭載されている手動運転専用の車両102(
図5、
図6参照)であれば、路車間通信システム6の路側機6aからカーナビゲーションシステムに対して車線変更の指示を出力し、運転者に車線変更を促すことができる。
【0029】
しかし、同一区間を走行している車両には、カーナビゲーションシステムのような受信設備を備えていない車両103も走行しており、更に、受信設備を備えている車両102を運転している運転者が車線変更の指示に従わない場合もある。或いは自動運転が可能な車両101であっても上述したACCとALK制御とによる運転支援制御で直進走行している場合、運転者があえてハンドル操作による車線変更をせず、そのまま直進走行を継続させている場合もある。
【0030】
このように道路には種々の車両が混在して走行しており、車線変更の指示に従わない後続車両が上述した区間Aに進入した場合、各走行車線において交通密度の偏りが生じる可能性がある。
【0031】
そのため、本実施形態では、渋滞の予兆が検出された区間Aに進入する車両を検出し、この車両の通過台数Cで交通密度K’を補正して実際の交通密度(実交通密度)Kを検出するようにしている。
【0032】
すなわち、ステップS3では、上述した車両感知センサ3で検出した、対象区間の走行車線毎の通過車両情報(通過台数C)を読込む。
【0033】
次いで、ステップS4で、単位時間(1~2[min]程度)あたりの通過台数Cから、各区間に進入する走行車線毎の交通量U(C/時間)を算出する。尚、このステップS4での処理が、本発明の交通量算出部に対応している。
【0034】
その後、ステップS5へ進み、この交通量Uで交通密度K’を補正して、各区間の走行車線毎の実際の交通密度(実交通密度)Kを求める。即ち、交通量Uを当該区間の区間長で除算し、その値を交通密度K’に加算して、実交通密度Kを算出する。尚、このステップS5での処理が、本発明の実交通密度演算部に対応している。
K=K’+(U/区間長)
因みに、上述した実交通密度K’から求めた交通量Qに、通過台数Cから求めた交通量Uを加算すれば、通過台数Cが当該区間に到達した際の交通量を求めることができる。
【0035】
その後、ステップS6へ進み、実交通密度Kと渋滞の予兆を判定する閾値(予兆判定閾値)Koとを、走行車線毎に比較し、渋滞の予兆を示す走行車線かあるか否かを調べる。尚、このステップS6での処理が、本発明の渋滞予兆判定部に対応している。
【0036】
この予兆判定閾値Koは、渋滞と見なされる交通密度Kの80~90[%]程度の値に設定されている。但し、予兆判定閾値Koは、これに限定されるものではなく、例えば、一般道路と高速道路とでは異なる値に設定するようにしても良い。
【0037】
そして、K≦Koの場合、渋滞の兆候はないと判定し、ルーチンを抜ける。一方、K>Koの場合、渋滞の予兆ありと判定し、ステップS7へ進む。ステップS7では、当該区間の車道において最も実交通密度Kの低い走行車線を検出し、ステップS8へ進む。尚、このステップS7での処理が、本発明の低密度走行車線検出部に対応している。
【0038】
ステップS8では、渋滞の兆候がある走行車線を走行し、やがて当該区間Aに進入する後方の区間(報知区間)B(
図5、
図6参照)を走行している車両に対し、最も交通密度Kの低い車線への車線変更を指示して、ルーチンを抜ける。尚、このステップS8での処理が、本発明の指示信号送信部に対応している。
【0039】
例えば、
図5、
図6に示すように、3車線の道路の区間Aにおいて、第1走行車線の交通密度Kが予兆判定閾値Koよりも高いと判定された場合(K>Ko)、第2走行車線と第3走行車線の交通密度Kの内、最も低い交通密度Kを有する走行車線(図においては、第3走行車線)への車線変更を、報知区間Bの第1走行車線を走行している車両に指示する。
【0040】
この車線変更の指示は、クラウドサーバ1からのクラウド情報として、インターネット5を介して交通情報センタ2、基地局4、路車間通信システム6、及び道路情報板7に送信される。
【0041】
すると、自動運転により走行している車両101(
図1参照)は、基地局4から送信されるクラウド情報を交通情報受信機22aが受信し、ロケータユニット22の地図情報に反映させる。その結果、当該車両101は、クラウドサーバ1からの車線変更の指示に従い、自動車線変更(ALC:Auto Lane Change)制御を実行して、交通密度の低い車線へ進路変更する。
【0042】
又、路車間通信システム6は、報知区間Bの路側に設置されている路側機(例えば、路上ビーコン)6aから車線変更指示信号を出力する。すると、車両102に搭載されているカーナビゲーションシステム等の受信設備は、路側機6aを介してクラウドサーバ1からの車線変更指示信号を受信し、モニタに車線変更を示す絵文字を表示し、更に、音声により運転者に車線変更を報知する。これにより、当該車両102を操作している運転者は、自らの操舵により、指示された走行車線(第3走行車線)への進路変更を行う。
【0043】
一方、報知区間Bの前方に設置されている道路情報板7には、第1走行車線を走行している車両に対して、第3走行車線への車線変更指示として進路変更を促す情報が、絵文字と文字との双方で表示される。これにより、受信設備を搭載していない車両103を運転している運転者に対しても、道路情報板7に表示されている情報を視認させることで、第3走行車線へ進路変更を促すことができる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、区間Aに設定されている第1~第3走行車線を走行する車両の各交通密度Kの偏りが防止され、渋滞の発生を抑制することができる。その結果、種々の車両が混在する交通環境下であっても、渋滞の発生を事前に抑制する交通流れを作ることができる。
【0045】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば交通密度K’は、区間長あたりの各車両間の総車間距離から算出するようにしても良い(K’=総車間距離/区間長)。
【符号の説明】
【0046】
1…クラウドサーバ、
2…交通情報センタ、
3…車両感知センサ、
4…基地局、
5…インターネット、
6…路車間通信システム、
6a…路側機、
7…道路情報板、
10…自動運転支援装置、
11…通信部、
12…交通情報取得部、
13…交通管理部、
14…地図データベース部、
21…自動運転支援装置、
22…ロケータユニット、
22a…交通情報受信機、
22b…GNSS受信機、
23…車両制御ユニット、
101,102,103…車両、
A…区間、
B…報知区間、
C…通過車両情報、
K…実交通密度、
K’…交通密度、
Ko…予兆判定閾値、
U…交通量、
Va…空間平均速度