(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】堆肥散布機
(51)【国際特許分類】
A01C 3/06 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A01C3/06
(21)【出願番号】P 2019138933
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 政人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真之
(72)【発明者】
【氏名】原田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】牧 洋文
【審査官】小笠原 かれん
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100597(JP,A)
【文献】実開昭56-162914(JP,U)
【文献】特許第3910745(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00- 3/08
A01C 15/00-23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥散布装置内壁に内壁交換板を設けた堆肥散布装置であって、
前記内壁交換板は、前記堆肥散布装置内壁に着脱交換自在に設けられて
おり、前記堆肥散布装置内壁を覆って、堆肥から保護するものであることを特徴とする堆肥散布装置。
【請求項2】
前記内壁交換板は、前記堆肥散布装置内壁に設けられた部材を取り外すことなく前記堆肥散布装置内壁に着脱交換自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載の堆肥散布装置。
【請求項3】
前記内壁交換板は、複数に分割されていることを特徴とする請求項1または2記載の堆肥散布装置。
【請求項4】
前記堆肥散布装置内壁に設けられた部材が、堆肥散布部材であり、前記堆肥散布部材を装着したまま着脱交換できるように複数に分割されている内壁交換板を含むことを特徴とする請求項3記載の堆肥散布装置。
【請求項5】
前記内壁交換板の少なくとも堆肥移動方向上流側の端部に曲折部またはテーパー面が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の堆肥散布装置。
【請求項6】
荷箱後方に、請求項1~5のいずれか1項に記載の堆肥散布装置を設けた堆肥散布機。
【請求項7】
前記荷箱の内壁に、複数に分割されている荷箱内壁交換板を設け、隣接する前記荷箱内壁交換板の取付部材を取り外すことなく、前記荷箱の内壁に着脱交換自在に設けられていることを特徴とする請求項6記載の堆肥散布機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
堆肥散布機は、特許文献1に示したように、車体に上面側と後面側とを開放した荷箱を装架し、それの床部分に、その荷箱に積込んだ堆肥を後方に搬送する床コンベアを設け、荷箱の後面側の開放部に、繰出ビータおよび散布ビータ等を具備する堆肥散布部材を装架したものが知られている。
荷箱の側方にあおり板が設けられ、あおり板を開放することで、堆肥を荷箱に側方から積み込めるようになっているものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、堆肥散布機は、堆肥を積み込む荷箱と、その後部に取り付けられるビータ等の堆肥散布部材を備えた堆肥散布装置を有している。
堆肥は、非常に腐食性の高い組成物からなっており、また、堆肥には未分解の藁等の繊維質の物質が混じっていることが通例である。
堆肥散布装置内壁は、堆肥中の繊維質や融合堆肥に添加された副資材(ベントナイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウムなどの無機資材)などがビータの回転によりこすりつけられ、傷が付きやすい状態に置かれており、特にビータ等の堆肥散布部材の内壁付近が、腐蝕や損傷が起きやすくなっていた。そのため、腐蝕や損傷した壁を丸ごと交換補修せざるを得ず、補修費用が高くなっていた。また、壁全体を交換するには、壁に取り付けられた部材をすべて取り外す必要があり、作業性が悪く補修費用が高くなっていた。
【0005】
本発明の課題は、腐蝕や損傷した堆肥散布装置の内壁の補修費用を低減した堆肥散布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、堆肥散布装置内壁に内壁交換板を設けた堆肥散布装置であって、前記内壁交換板は、前記堆肥散布装置内壁に着脱交換自在に設けられており、前記堆肥散布装置内壁を覆って、堆肥から保護するものであることを特徴とする堆肥散布装置とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
従来、壁全体を交換補修しなければならなかったところ、本発明によれば、内壁交換板のみを交換するだけで足りるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る堆肥散布機の前上部からの斜視図
【
図3】実施例1に係る堆肥散布機の後部からの斜視図
【
図4】実施例1に係る堆肥散布機からビータを取り除いた後上部からの斜視図
【
図5】実施例1に係る堆肥散布装置側内壁に内壁交換板を取り付ける説明図
【
図6】実施例1に係る第5内壁交換板の態様であって(A)平板状の第5内壁交換板を採用した場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図(B)第5内壁交換板端部に曲折部を設けた内壁交換板を採用した場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図
【
図7】実施例1に係る内壁交換板の態様であって、内壁交換板端部をテーパー面とした場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図
【
図8】実施例2に係る縦ビータ堆肥散布装置の態様であって、(A)後部上方からの斜視図(B)背面上方からの斜視図
【
図9】実施例2に係る縦ビータ堆肥散布装置の態様であって、内壁交換板を縦ビータ堆肥散布装置側内壁に取り付ける説明図
【
図10】実施例3に係る縦ビータ堆肥散布装置の態様であって、(A)後部上方からの斜視図(B)背面上方からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(堆肥散布部材)
本発明でいう、「堆肥散布部材」は、堆肥を散布する機能を有する部材であればどのようなものでもよい。後述する実施例1の堆肥散布部材は、アッパービータ(堆肥散布部材)101とメインビータ(堆肥散布部材)102で構成されている。また、後述する実施例2または実施例3のような、縦ビータ(堆肥散布部材)403でもよい。さらに、実施例としては示していないがブロードキャスタの散布装置に採用されているような羽根を備えた円盤を回転する堆肥散布部材も含まれ、以下の実施例に限定されるものではない。
【0010】
<実施例1>
実施例1は、横ビータタイプの堆肥散布装置10に関する実施例である。
図1は、実施例1に係る堆肥散布機1の前上部からの斜視図であり、また、
図2は、実施例1に係る堆肥散布機1の側面図である。
図1および
図2に示すように、堆肥散布機1は、荷箱30後方にアタッチメントとして取り付けられる堆肥散布装置10から構成される。
【0011】
(荷箱)
荷箱30の後部には、
図1に示すようにアッパービータ(堆肥散布部材)101およびメインビータ(堆肥散布部材)102が備えられた堆肥散布装置10が取り付けられている。
堆肥散布装置10は、堆肥散布装置側壁104に横設されたアッパービータ従動軸1011を有するアッパービータ(堆肥散布部材)101、メインビータ従動軸1021を有するメインビータ(堆肥散布部材)102などで構成されている。そして、
図1では、堆肥散布装置底内壁106が見えている。
図2に示されているように、荷箱30の側面には、サイドボード305が設けられており、複数設けけられたサイドボード蝶番3051を軸に開閉可能に構成されている。さらに、サイドボード305の上部には、積載した堆肥が移動時にこぼれないようにするために、サイドウイング304が設けられており、同じく複数設けられたサイドウイング蝶番3041を軸に開閉可能に構成されている。
サイドボード305およびサイドウイング304は、いわゆる「あおり板」である。サイドウイング304を開放することで、堆肥をサイドボード305で囲まれた荷箱30へ、ホイールローダー等により側面から効率的に積み込むこともできる。
また、サイドウイング304およびサイドボード305を開放することで、メンテナンスや洗浄等を容易に行うこともできる。
【0012】
堆肥散布装置側壁104とサイドボード305との間および堆肥散布装置側壁104とサイドウイング304との間には開閉を容易にするため、わずかなすき間306(
図6参照)が設けられている。
【0013】
台車301に装着された荷箱30は、図示しないトラクターで牽引されるように構成されている。荷箱30の底面には、
図1に示すように床コンベア302が設けられており、積載された堆肥を堆肥散布装置10に向けて送るように構成されている。
【0014】
(堆肥散布装置)
図3は、実施例1に係る堆肥散布機1の後部からの斜視図である。堆肥散布装置10には、アッパービータ(堆肥散布部材)101とメインビータ(堆肥散布部材)102が備えられている。堆肥散布装置側壁104に、アッパービータ従動軸1011とメインビータ従動軸1021が装着され、駆動機構により回転するように構成されている。
アッパービータ(堆肥散布部材)101とメインビータ(堆肥散布部材)102には、それぞれブレード103が多数設けられており、床コンベア302で送られてくる堆肥を後方に満遍なく散布するようになっている。
【0015】
図3からも分かるように、堆肥散布装置側内壁1041と両ビータ(101、102)の両端に設けられたブレード103は近接している。そのため藁等の未分解繊維質や副資材(ベントナイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウムなどの無機資材)を含む堆肥が、両ビータ(101、102)の回転に伴い堆肥散布装置側内壁1041にこすりつけられる。このように堆肥散布装置側内壁1041は、傷つき、腐蝕しやすい状態に置かれており、腐蝕や損傷した場合には交換を要することとなる。
【0016】
(内壁交換板)
図4は、説明のため実施例1に係る堆肥散布機からビータを取り除いた後上部からの斜視図である。傷つき腐蝕しやすい堆肥散布装置側内壁1041を覆うように、第1内壁交換板20a、第2内壁交換板20b、第3内壁交換板20c、第4内壁交換板20dおよび第5内壁交換板20eが取り付けられている。
堆肥散布装置側壁104には、アッパービータ従動軸1011を装着するアッパービータ従動軸受け孔107が設けられ、加えて、メインビータ従動軸1021を装着するメインビータ従動軸受け孔108が設けられている。
【0017】
図5は、実施例1に係る堆肥散布装置側内壁1041に内壁交換板20を取り付ける説明図であり、説明のためにアッパービータ(堆肥散布部材)101とメインビータ(堆肥散布部材)102は省略されている。内壁交換板20は、第1内壁交換板20a~第5内壁交換板20eの5つに分割されており、両ビータ(101,102)を装着したまま着脱交換できるようになっている。
そのため、第1内壁交換板20aと第2内壁交換板20bの側部には、それぞれアッパービータ従動軸1011を取り囲むように切り欠かかれたアッパービータ従動軸嵌合部201が設けられており、アッパービータ(堆肥散布部材)101を装着したまま第1内壁交換板20aと第2内壁交換板20bを、着脱交換できるようになっている。
【0018】
第3内壁交換板20cと第4内壁交換板20dも同様であり、メインビータ従動軸1021を取り囲むように切りかかれたメインビータ従動軸嵌合部202が設けられている。メインビータ(堆肥散布部材)102を装着したまま、第3内壁交換板20cと第4内壁交換板20dを着脱交換できるようになっている。
【0019】
このように、実施例1の堆肥散布装置10は、アッパービータ(堆肥散布部材)101およびメインビータ(堆肥散布部材)102を装着したまま着脱交換できるように複数に分割されている内壁交換板20を含んでおり、第5内壁交換板20eは、残った堆肥散布装置側内壁1041の部分を覆うべく設けられている。そして、隣接する内壁交換板20同士は、密に接合している。
【0020】
従来のように堆肥散布装置側内壁1041の一部が腐食や損傷しても堆肥散布装置側内壁1041の全部を交換する必要があったところ、実施例1では腐蝕や損傷が起きた一部の内壁交換板20のみの着脱交換で済み、コストが安くなる。
【0021】
また、従来のように、堆肥散布装置側内壁1041の全部を交換するには、アッパービータ(堆肥散布部材)101およびメインビータ(堆肥散布部材)102を取り外す必要があった。本発明では、アッパービータ(堆肥散布部材)101を装着したまま、第1内壁交換板20aと第2内壁交換板20bを取り外すことができる。
同様に、メインビータ(堆肥散布部材)102を装着したまま、第3内壁交換板20cと第4内壁交換板20dを取り外すことができる。
【0022】
いずれの内壁交換板20も、堆肥散布装置内壁、すなわち、堆肥散布装置側内壁1041や堆肥散布装置底内壁106に設けられた部材を取り外すことなく単独で着脱交換自在に取り付けられている。また、各々の内壁交換板20は、取り外すに際し、隣接する内壁交換板20の取付部材を取り外す必要はなく、単独で着脱交換自在に設けられている。
このため、着脱交換の作業性を著しく高めることができる。
【0023】
実施例1では、第1内壁交換板20a~第5内壁交換板20eの5つの内壁交換板20で堆肥散布装置側内壁1041を覆ったが、腐蝕や損傷が予想される部位が特にある場合は、そこだけを着脱交換できるように、さらに内壁交換板20を分割し、6つ以上の内壁交換板20を採用してもよい。このように構成すると、腐蝕や損傷が起きやすい部分だけ交換することができ、さらに交換補修のコストを低減できる。
【0024】
また、堆肥散布装置底内壁106(
図4参照)を複数に分割された内壁交換板20で覆ってもよい。
【0025】
以上は、複数に分割された内壁交換板20を中心に説明してきたが、実施例1の堆肥散布装置底内壁106などは、1枚の内壁交換板20で、堆肥散布装置底内壁106全面を覆うこともでき、堆肥散布装置底内壁106自体を交換するより、交換の費用も交換の作業性もよくなる。
また、特に腐蝕や損傷が予想される堆肥散布装置底内壁106の堆肥散布装置側内壁1041の一部分だけ内壁交換板20を設けることもできる。
【0026】
(内壁交換板の材質)
内壁交換板20の材質は、防錆性が高く堅牢な材質であることが好ましい。しかし、腐蝕や損傷が起きやすい堆肥散布部材(101、102)付近から遠く離れた部位については腐蝕や損傷が起きにくいため、当該部位に取り付けられる内壁交換板20については、当該部位に適した適度な防錆性と堅牢性を備えたコストの安い材質のものを採用することもできる。
また、樹脂等の基材に、鋼板を張り合わせた複合材料であってもよい。
【0027】
(内壁交換板端部)
隣接する内壁交換板20の端部同士は、密に接触していることが好ましい。隣接する内壁交換板20間に隙間があると、保護すべき堆肥散布装置側内壁1041に入り込んでしまうし、すき間があることで内壁交換板20が粘稠で重たい堆肥の流れによる抵抗を受け、内壁交換板20がめくれ上がることもあり得る。
【0028】
第5内壁交換板20eと第2内壁交換板20bは、その端部が荷箱30側に面している点で、他の内壁交換板20と比較して特殊である。荷箱30には、先に説明したように、堆肥の積み込みを容易にするために、外開きに開くあおり板となっているサイドボード305とサイドウイング304が設けられている。
【0029】
図6には、実施例1に係る内壁交換板20の態様であって、
図6(A)には、平板状の内壁交換板20を採用した場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図が示されている。
第5内壁交換板20eの厚み分だけ、堆肥散布装置側壁104の位置をずらす等して、第5内壁交換板20eとサイドボード内壁3052との間に段差ができないように工夫することもできる。しかし、あおり板であるサイドウイング304を垂直に精度よく立てることが難しいため、どうしてもサイドボード305と第5内壁交換板20eとの間やサイドウイング304と第2内壁交換板20bとの間に部分的に段差が生じることが避けられない。
【0030】
第5内壁交換板20eとして、平板状の内壁交換板20を採用した場合、サイドボード305側(堆肥移動方向上流側)の第5内壁交換板20e端部は、堆肥の流れにより矢印で示す圧力を受け、堆肥散布装置側内壁1041からめくれ上がるおそれがある。そのため、サイドボード305側の第5内壁交換板20e端部付近を特に強固に固定することで、めくれ上がりを回避できる。
サイドボード305との面を揃えるため、第5内壁交換板20eの厚み分だけ、堆肥散布装置側壁104の位置をずらすなどの工夫をすることを妨げるものではないが、そのような工夫をせずとも堆肥の流れによる圧力に対して対応することができる。
【0031】
本発明の内壁交換板20は、既存の堆肥散布機1に設置することも可能である。その場合、堆肥散布装置側壁104の位置をずらすことができないから、上記対応や後述する対応は有効である。
【0032】
図6(B)には、内壁交換板端部に曲折部205を設けた内壁交換板20を採用した場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図が示されている。サイドボード305と堆肥散布装置側壁104の間およびサイドウイング304と堆肥散布装置側壁104の間には、開閉をスムーズにするために、若干のすき間306が設けられている。第5内壁交換板20eのサイドボード305側の端部には、すき間306に向かって曲がる曲折部205が設けられており、曲折部205により、堆肥の流れによって生じる圧力を逃がすような対応がとられている。また、第5内壁交換板20eは、堆肥散布装置側内壁1041を保護するだけでなく、すき間306に入り込む堆肥から、堆肥散布装置側壁104の端部も保護できる。
さらに、平板状の内壁交換板20採用したときと比べて、第5内壁交換板20eのサイドボード305側端部付近を強固に固定する必要がなくなる。
【0033】
また、
図7は、実施例1に係る内壁交換板20の態様であって、内壁交換板端部をテーパー面206とした場合に、堆肥の流れが与える影響の説明図である。
図7に示すように、サイドボード内壁3052に沿って流れる堆肥の圧力は、堆肥散布装置側内壁1041から第5内壁交換板20eを引きはがそうとするが、第5内壁交換板20eの端部をテーパー面206とする対応を取ることにより、圧力を逃がすことができる。
【0034】
以上は、サイドボード305に面する第5内壁交換板20eの端部についての説明であったが、サイドウイング304に面する第2内壁交換板20bの端部も同様であり、平板状とした場合には、端部付近を強固に取り付ける、曲折部を設ける、テーパー面とするなど、めくれ上がりに対する対応を施すのが好ましい。
【0035】
(実施例2)
図8(A)は、実施例2に係る縦ビータ堆肥散布装置40の態様であって、後部上方からの斜視図である。一対の縦ビータ(堆肥散布部材)403の縦ビータ従動軸4032の各々には、縦ビータブレード4031が設けられている。また、各々の縦ビータ従動軸4032の最下部には、堆肥を散布する機能を有する羽根4034を上面に複数備えた円盤4033が取り付けられている。縦ビータ従動軸4032は、その下方から、縦ビータ堆肥散布装置40の側面に設けられた駆動ボックス402を介して駆動している。
【0036】
図8(B)には、背面上方からの斜視図が示されている。荷箱30から床コンベア302によって運ばれた堆肥は、縦ビータ従動軸4032に設けられた縦ビータブレード4031と円盤4033により後方に広く散布される。その際、円盤4033の回転により堆肥が縦ビータ堆肥散布装置底内壁406にこすり付けられるため、縦ビータ堆肥散布装置底内壁406が腐蝕や損傷するおそれがある。複数の内壁交換板20が、縦ビータ従動軸4032最下部に設けられた円盤4033を取り外すことなく交換補修ができるように分割され、縦ビータ堆肥散布装置底内壁406に取り付けられる。腐蝕や損傷が著しい内壁交換板20のみを交換できるため、交換補修のコストを低減し作業効率を向上できる。
【0037】
図9には、実施例2に係る縦ビータ堆肥散布装置40の態様であって、内壁交換板20を縦ビータ堆肥散布装置側内壁404に取り付ける説明図が示されている。縦ビータ堆肥散布装置側内壁404もまた、縦ビータブレード4031の回転に伴い腐蝕や損傷を受ける。
図9に示すように、内壁交換板20を、縦ビータ堆肥散布装置側内壁404に取り付けてもよいし、図示していないが堆肥散布装置上内壁に取り付けてもよい。
いずれの内壁交換板20も、堆肥散布装置内壁に設けられた部材を取り外すことなく単独で着脱交換自在に取り付けられている。
【0038】
(実施例3)
実施例3は、縦ビータ堆肥散布装置40の実施例であるが、縦ビータ従動軸4032の上部から駆動伝達する上部駆動伝達方式の実施例である。駆動伝達方式の相違以外は、実施例2と共通しており、重複説明は適宜省略する。
【0039】
図10(A)の後部上方からの斜視図に示されているように、縦ビータ堆肥散布装置40の側方に上下方向に、駆動ボックス402が設けられており、一対の縦ビータ従動軸4032を上方から駆動伝達するように構成されている。縦ビータ堆肥散布装置底内壁406に近接して羽根4034を取り付けた円盤4033が縦ビータ従動軸4032に設けられている。
【0040】
図10(B)に示すように、縦ビータ堆肥散布装置底内壁406には、円盤4033や縦ビータ従動軸4032を取り外すことなく着脱交換できる複数に分割された内壁交換板20が取り付けられている。
また、
図10(A)に示した縦ビータ堆肥散布装置側内壁404を覆うように複数に分割された内壁交換板20が、取り付けられている。
【0041】
(変形例1)
以上は、内壁交換板20で、堆肥散布装置側内壁(1041、404)や堆肥散布装置底内壁(106、406)に内壁交換板20を着脱交換自在に設けた態様であったが、サイドボード305の内壁などの荷箱30の内壁に、複数に分割された荷箱内壁交換板308を設けることができる。
図10(A)には、サイドボード上部内壁交換板3081、サイドボード下部内壁交換板3082、荷箱底面内壁交換板3083が設けられており、これらの内壁交換板(3081、3082、3083)は、複数に分割されて荷箱30の内壁を覆っており、着脱交換自在に設けられている。図示していないが荷箱のフロントボード309に荷箱内壁交換板308を着脱交換自在に設けてもよい。
【0042】
以上、本発明に係る実施例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0043】
また、前述の各実施例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 堆肥散布機
10 堆肥散布装置
101 アッパービータ(堆肥散布部材)
1011 アッパービータ従動軸
102 メインビータ(堆肥散布部材)
1021 メインビータ従動軸
103 ブレード
104 堆肥散布装置側壁
1041 堆肥散布装置側内壁
106 堆肥散布装置底内壁
107 アッパービータ従動軸受け孔
108 メインビータ従動軸受け孔
20 内壁交換板
20a 第1内壁交換板
20b 第2内壁交換板
20c 第3内壁交換板
20d 第4内壁交換板
20e 第5内壁交換板
201 アッパービータ従動軸嵌合部
202 メインビータ従動軸嵌合部
205 曲折部
206 テーパー面
30 荷箱
301 台車
302 床コンベア
304 サイドウイング
3041 サイドウイング蝶番
305 サイドボード
3051 サイドボード蝶番
3052 サイドボード内壁
306 すき間
308 荷箱内壁交換板
3081 サイドボード上部内壁交換板
3082 サイドボード下部内壁交換板
3083 荷箱底面内壁交換板
309 フロントボード
40 縦ビータ堆肥散布装置
402 駆動ボックス
403 縦ビータ(堆肥散布部材)
4031 縦ビータブレード
4032 縦ビータ従動軸
4033 円盤
4034 羽根
404 縦ビータ堆肥散布装置側内壁
406 縦ビータ堆肥散布装置底内壁