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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230208BHJP
   F23L 17/02 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F23L17/02 602Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019181657
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021055978
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 耕司
(72)【発明者】
【氏名】大倉 由衣
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-071645(JP,U)
【文献】特開平01-266419(JP,A)
【文献】特開平10-213352(JP,A)
【文献】特開2005-106415(JP,A)
【文献】実開昭55-119538(JP,U)
【文献】特開2013-029234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器と、前記筐体上部に位置し前記燃焼器で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口と、前記排気口の前面に前記排気口の前方を覆う前壁を有し上下面が開口した風除手段とを備えた燃焼装置において、前記排気口と前記風除手段との間に、前記排気口から排出される燃焼ガスの流れ方向を規定する整流手段を設け、前記整流手段は前記排気口から排出される燃焼ガスを斜め前上方および斜め前下方に案内するくの字状の案内板を有し、前記案内板の前記くの字を形成する板部の延長線が前記風除手段の前記前壁に重ならない形状とし、前記整流手段は、前記排気口および前記案内板より上方に、前方に向かって張り出す上張出板を有すると共に、前記排気口および前記案内板より下方に、前方に向かって張り出す下張出板を有し、前記下張出板の長さを前記上張出板の長さよりも長くしたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記案内板は、前記くの字状を形成する前記板部として、斜め前上方に延びる上傾斜板と斜め前下方に延びる下傾斜板とを有しており、前記上張出板の先端位置を、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または前記上張出板が前記上傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とし、前記下張出板の先端位置を、前記下張出板が前記下傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするようにしたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記上張出板の先端位置を、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または前記上張出板が前記上傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上傾斜板が前記排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第1斜線を前記排気口上端から前方側に延ばしたときに、前記第1斜線上であって前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とし、前記下張出板の先端位置を、前記下傾斜板が前記排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第2斜線を前記排気口下端から前方側に延ばしたときに、前記第2斜線と前記下張出板が交差する位置よりも前方で、前記下張出板が前記下傾斜板の延長線に重なることがなく、且つ、前記上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするようにしたことを特徴とする請求項2記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気口の前面に風除具が取り付けられた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のものでは、筐体内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器と、筐体を構成する前面板上部に位置し燃焼器で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口と、排気口を前記筐体を構成する前面板の上部に形成された穴部に臨ませて、前記排気口から外部に燃焼排気を排出させる燃焼装置において排気口を前記筐体を構成する前面板の上部に形成された穴部に臨ませて、前記排気口から外部に燃焼排気を排出させる燃焼装置において排気口の前面側に風除具を設け、燃焼中において排気口の正面側から排気口へ向かって風が吹いてくる場合であっても、その風を防いで、排気口にかかる風圧が高くならないようにし、不完全燃焼や失火等の不具合が発生するのを防止する燃焼装置があった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-133246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものは、燃焼中に排気口から排出される燃焼ガスが、風除具に当たって跳ね返り、燃焼装置の筐体側に流れて筐体表面に当たり、排気口の上下に位置する燃焼装置の筐体表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生し、美観を損ねてしまうおそれがあり、特に、排気口が前面板上部に位置していることから、排気口の上方よりも排気口より下方に位置する前面板の方が、風除具に当たって跳ね返った燃焼ガスが当たる範囲が大きく、その部分における上記汚れや変色が問題視されるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、筐体内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器と、前記筐体上部に位置し前記燃焼器で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口と、前記排気口の前面に前記排気口の前方を覆う前壁を有し上下面が開口した風除手段とを備えた燃焼装置において、前記排気口と前記風除手段との間に、前記排気口から排出される燃焼ガスの流れ方向を規定する整流手段を設け、前記整流手段は前記排気口から排出される燃焼ガスを斜め前上方および斜め前下方に案内するくの字状の案内板を有し、前記案内板の前記くの字を形成する板部の延長線が前記風除手段の前記前壁に重ならない形状とし、前記整流手段は、前記排気口および前記案内板より上方に、前方に向かって張り出す上張出板を有すると共に、前記排気口および前記案内板より下方に、前方に向かって張り出す下張出板を有し、前記下張出板の長さを前記上張出板の長さよりも長くするものとした。
【0006】
また、請求項2では、前記案内板は、前記くの字状を形成する前記板部として、斜め前上方に延びる上傾斜板と斜め前下方に延びる下傾斜板とを有しており、前記上張出板の先端位置を、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または前記上張出板が前記上傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とし、前記下張出板の先端位置を、前記下張出板が前記下傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするものとした。
【0007】
また、請求項3では、前記上張出板の先端位置を、前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または前記上張出板が前記上傾斜板の前記延長線に重なることがなく、前記上傾斜板が前記排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第1斜線を前記排気口上端から前方側に延ばしたときに、前記第1斜線上であって前記上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とし、前記下張出板の先端位置を、前記下傾斜板が前記排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第2斜線を前記排気口下端から前方側に延ばしたときに、前記第2斜線と前記下張出板が交差する位置よりも前方で、前記下張出板が前記下傾斜板の延長線に重なることがなく、且つ、前記上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするものとした。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、整流手段は排気口から排出される燃焼ガスを斜め前上方および斜め前下方に案内するくの字状の案内板を有し、案内板のくの字を形成する板部の延長線が風除手段の前壁に重ならない形状としたことで、排気口から排出される燃焼ガスの流れが、風除手段の前壁に向かわないよう、案内板によって斜め前上方および斜め前下方に方向付けることができるので、排気口から排出される燃焼ガスが風除手段の前壁に跳ね返って、燃焼装置の筐体側に流れて、排気口の上下に位置する筐体表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0009】
さらに、整流手段は、排気口および案内板より上方に、前方に向かって張り出す上張出板を有すると共に、排気口および案内板より下方に、前方に向かって張り出す下張出板を有することで、排気口から出て直上に向かって流れようとする燃焼ガスの流れ、または、排気口から出て直下に向かって流れようとする燃焼ガスの流れを防ぐことができるので、排気口から出て筐体表面を沿うように上昇する燃焼ガスの流れ、または、排気口から出て筐体表面を沿うように下降する燃焼ガスの流れがなく、排気口の上下に位置する筐体表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0010】
その上、下張出板の長さを前記上張出板の長さよりも長くしたことで、排気口と風除手段との間に形成される下面開口の開口面積が上面開口の開口面積より小さくなって、上面開口から排出される燃焼ガス量よりも下面開口から排出される燃焼ガス量の方が少なくなり、そして、上面開口から排出される燃焼ガスの出口位置よりも下面開口から排出される燃焼ガスの出口位置の方が筐体から遠い位置となるので、排気口の上方よりも排気口の下方に位置する筐体の領域が大きかったとしても、燃焼ガスが当たりにくく、排気口より下方に位置する筐体表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0011】
また、請求項2によれば、案内板は、くの字状を形成する板部として、斜め前上方に延びる上傾斜板と斜め前下方に延びる下傾斜板とを有しており、上張出板の先端位置を、上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置としたことで、上張出板が、燃焼装置の上方から降ってくる雨水等が案内板の上傾斜板上に垂れるのを防ぎ、排気口への雨水等の浸入を確実に抑制しつつ、風除手段の前壁側に向かう燃焼ガスの流れを強く形成せずに、外部へスムーズに燃焼ガスの排出を行わせることができ、下張出板の先端位置を、下張出板が下傾斜板の前記延長線に重なることがなく、且つ、上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするものとしたことで、下張出板が、風除手段の前壁側に向かう燃焼ガスの流れを強く形成せずに、外部へスムーズに燃焼ガスの排出を行わせることができるものである。
【0012】
また、請求項3によれば、上張出板の先端位置を、上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置、または上張出板が上傾斜板の延長線に重なることがなく、上傾斜板が排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第1斜線を排気口上端から前方側に延ばしたときに、第1斜線上であって上傾斜板の先端と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置としたことで、上張出板が斜め前上方に向かう燃焼ガスの流れを邪魔する排気抵抗となることがほとんどなく、風除手段の前壁側に向かう燃焼ガスの流れを強く形成せずに、外部へスムーズに燃焼ガスの排出を行わせることができるものである。
【0013】
上記請求項3では、さらに、下張出板の先端位置を、下傾斜板が排気口の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第2斜線を排気口下端から前方側に延ばしたときに、第2斜線と下張出板が交差する位置よりも前方で、下張出板が下傾斜板の延長線に重なることがなく、且つ、上張出板の先端位置と同一鉛直面上の位置よりも前方の位置としている。そうすると、上記下面開口に向かう燃焼ガスの流れとしては、下傾斜板に沿って下傾斜板と略同じ傾斜角度で下方に向かう流れと、下張出板上を沿う流れとの2つの流れが存在する。よって、下面開口側から排出される燃焼ガスの流れ方向は、上記2つの流れ方向を合成した方向となり、下傾斜板の傾斜角度よりも水平に近づく傾斜角度となる。
【0014】
そして、上記下面開口が上記上面開口よりも狭い分、下面開口の開口部分を通過するときの燃焼ガスの流速は、上面開口の開口部分を通過するときの燃焼ガスの流速よりも速くなるので、下面開口からの燃焼ガスは水平寄りの傾斜角度で筐体から遠ざかる方向に勢いよく排出される。結果として、排気口が筐体上部に位置し、排気口より下方に位置する筐体の領域が大きかったとしても、その部分に燃焼ガスが当たることがなく、排気口より下方に位置する筐体表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の燃焼装置を示す斜視図。
図2】同一実施形態の燃焼装置の要部分解斜視図。
図3】同一実施形態の燃焼装置を用いた温水暖房システムを示す概略構成図。
図4】風除具を示す斜視図。
図5】(a)整流具を示す斜視図。(b)整流具の縦断面図。
図6】同一実施形態の燃焼装置の要部断面拡大図。
図7】同一実施形態の燃焼装置の要部から外部に排出される燃焼ガスの流れを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の一実施形態の燃焼装置を図面に基づき説明する。なお、本実施形態では、当該燃焼装置を温水暖房システムに用いた場合について説明している。
【0017】
1は本実施形態の屋外設置型の燃焼装置、2は燃焼装置1の筐体、3は筐体2内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器である。
【0018】
前記筐体2は、前面板2a、上面板2b、側面板2c、底面板2dで構成され、前記前面板2aの上部の位置には穴部4が形成されており、燃焼器3の排気口5を穴部4に臨ませて、燃焼器3で発生した燃焼ガスを排気口5を通じて外部に排出するものである。なお、燃焼装置1内に空気を取り入れる給気口(図示せず)は、筐体2、例えば側面板2cの適宜の箇所に設けられるものである。
【0019】
前記燃焼器3は、送風ファン6からの燃焼用空気の供給を受けて燃料を燃焼させるバーナ7と、バーナ7の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し受熱管8を流通する水や不凍液等の液体の被加熱流体を加熱するフィンチューブ式の熱交換器9と、熱交換器9を通過した後の燃焼ガスが流通する排気集合室10と、排気集合室10を通過した燃焼ガスを外部に排出するための排気口5を有する排気部11とを有しており、排気部11の燃焼ガス流れ方向最下流に形成された開口としての排気口5が、燃焼器3の排気口5に相当するものである。
【0020】
12は被空調空間を加熱する床暖房パネルやパネルコンベクタ等の放熱端末、13は放熱端末12と受熱管8との入水側とを接続し、放熱端末12から戻ってくる被加熱流体を受熱管8に導く戻り管、14は放熱端末12と受熱管8の出水側とを接続し、熱交換器9で加熱された被加熱流体を放熱端末12に導く往き管、15は往き管14に設けられ熱交換器9で加熱された被加熱流体を放熱端末12に循環させる循環ポンプ、16は往き管14に設けられ被加熱流体中の空気と液体とを分離する気水分離器である。
【0021】
17は排気口5の前面側に位置するように排気口5が形成されている面の排気部11に取り付けられ、排気口5の正面側から排気口5へ向かって吹いてくる風を防ぐための風除手段としての風除具であり、図4に示すように、風除具17は、排気口5の左右幅方向の左側を覆い排気部11への取付面を有する左側壁18と、排気口5の左右幅方向の右側を覆い排気部11への取付面を有する右側壁19と、排気口5の前方を覆う前壁20とを有し、左側壁18と前壁20は湾曲するコーナー部を介して繋がると共に、右側壁19と前壁20も湾曲するコーナー部を介して繋がり、左側壁18と右側壁19と前壁20とが一体的に成形され、上下面が開口された略コの字形状をしており、風除具17が排気部11に取り付けられた場合に、風除具17の前壁20は、排気口5と所定の間隔をあけて対向するように位置し、排気口5と風除板17の前壁20の間には空間が形成され、上下面が開口された状態となるものである。なお、風除具17の鉛直方向における長さ(風除具17の下端から上端までの長さ)は排気口5の長さ(排気口5の下端から上端までの長さ)よりも長く、排気口5の前面に風除具17が取り付けられた状態においては、風除具17の下端は排気口5の下端よりも下方に位置し、風除具17の上端は排気口5の上端よりも上方に位置するものである。
【0022】
21は燃焼ガスの排出方向において排気口5と風除具17との間に設けられ、排気口5の前面側に位置するように排気口5が形成されている面の排気部11に取り付けられ、排気口5から外部へ排出される燃焼ガスの流れ方向を規定する整流手段としての整流具であり、図5に示すように、整流具21には、風除具17の前壁20側に向かって斜め前上方に向かって延び排気口5からの燃焼ガスを斜め前上方に導く上傾斜板22と風除具17の前壁20側に向かって斜め前下方に向かって延び排気口5からの燃焼ガスを斜め前下方に導く下傾斜板23とで構成され、排気口5から排出される燃焼ガスを外部に案内する側面視の縦断面形状がくの字状(図5(b)参照。)の案内板24が設けられている。
【0023】
さらに、整流具21には、排気口5および案内板24の上方であって、排気口5が形成されている面の排気部11から風除具17の前壁20に向かって、風除具17の略上端に沿うように略水平に延出する上張出板25と、排気口5および案内板24の下方であって、排気口5が形成されている面の排気部11から風除具17の前壁20に向かって、風除具17の略下端に沿うように略水平に延出する下張出板26とが設けられている。なお、風除具17および整流具21は、例えば、ネジ止めで排気部11に固定してもよく、溶接などのその他の方法で固定してもよい。
【0024】
前記上張出板25は、側面視において、その先端25aが案内板24の上傾斜板22の先端22aよりも前方に位置するように張り出している。前記下張出板26は、側面視において、その先端26aが案内板24の下傾斜板23の先端23aよりも前方に位置するように張り出している。下張出板26の前方への張り出し長さは、上張出板25の前方への張り出し長さよりも長くされ、下張出板26の先端位置26aは、上張出板25の先端位置25aと同一鉛直面上の位置よりも前方に位置しているものである。
【0025】
次に、この一実施形態の燃焼装置1の動作について説明する。
リモコン(図示)により燃焼装置1の運転開始が指示されると、送風ファン6からの燃焼用空気の供給を受けてバーナ7の燃焼が開始され、バーナ7の燃焼により発生した燃焼ガスは、熱交換器9を通過した後、排気集合室10へ流入し、排気集合室10を流通して、排気集合室10から排気部11の排気口5を経て燃焼装置1外へ排出されるものである。また、放熱端末12へと供給される被加熱流体は、循環ポンプ15の駆動によって、受熱管8を流通し、熱交換器9にて燃焼ガスとの熱交換により加熱され、受熱管8から往き管14へ導かれ、放熱端末12に供給されるものである。
【0026】
ここで、図6および図7を用いて、整流具21および風除具17が排気口5前面に取り付けられた状態での主要部分について説明すると共に、排気口5から燃焼装置1外に排出される燃焼ガスの流れについて説明する。
【0027】
まず、排気口5の前面側に風除具17を設けたことにより、燃焼中に排気口5の正面側(前方側)から排気口5へ向かって風が吹いてくる場合であっても、その風を防いで排気口5にかかる風圧を低減させ、排気口5からの燃焼ガスの排出がスムーズに行われ、燃焼や着火が安定し、不完全燃焼や失火や再着火不能等を防止することができるものである。
【0028】
また、前記整流具21は、排気口5の高さ方向(鉛直方向)略中央にくの字状(図6では逆くの字状)の案内板24が位置するように、風除具17の前壁20よりも排気口5に近い位置である排気口5の直前面に対向配置させる。そうすると、燃焼中に排気口5から排出される燃焼ガスは、上傾斜板22に沿うように斜め前上方に向かう流れと下傾斜板23に沿うように斜め前下方に向かう流れとが発生し、排気口5から排出される燃焼ガスは、前記案内板24によって上下に略二分されるようにして外部に案内される。
【0029】
このとき、くの字状の案内板24は、くの字を形成する板部である上傾斜板22および下傾斜板23のそれぞれの先端22a、23aから斜め前方に向かって延びる仮想の延長線L1(図6中の破線参照。)が風除具17の前壁20に重ならないように(言い換えると、くの字を形成する板部である上傾斜板22および下傾斜板23のそれぞれの先端から斜め前方に向かって延びる仮想の延長線L1上に風除具17の前壁20が存在しないように)、くの字の傾斜角度が設定された形状とされており、このような傾斜角度を有する形状とすることで、排気口5から排出される燃焼ガスの流れが、風除具17の前壁20(前壁20のうら面)に向かわないよう、風除具17の前壁20(前壁20のうら面)を避けるように案内板24によって斜め前上方および斜め前下方に方向付けることができるので、排気口5から排出される燃焼ガスが風除具17の前壁20(前壁20のうら面)に跳ね返って、燃焼装置1の筐体2の前面板2a側に流れて前面板2a表面に当たり、排気口5の上下に位置する前面板2a表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0030】
また、整流具21には、鉛直方向において排気口5および案内板24よりも上方に、排気口5の開口面と同一鉛直面から前方(風除具17の前壁20側)に向かって略水平に張り出す上張出板25を設けて、排気口5前面に風除具17を設けて形成された排気口5上方の上面開口の排気口5寄りの一部を閉塞するようにしたことで、排気口5から出て直上に向かって流れようとする燃焼ガスの流れを防ぐことができるので、排気口5から出て前面板2a表面を沿うように上昇する燃焼ガスの流れがなく、排気口5上方に位置する前面板2a表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものであり、さらに、燃焼装置1の上方から降ってくる雨水等が排気口5へ浸入するのを抑制することもできるものである。
【0031】
さらに、上張出板25は、その先端25aの位置が、上傾斜板22の先端22aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置であって、上張出板25が上傾斜板22の延長線L1に重なることがないような位置に設定されており、より具体的には、上傾斜板22が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす仮想の第1斜線L2(図6中の一点鎖線参照。)を排気口5上端(排気口5の開口面上の上端)から前方(風除具17の前壁20)側に延ばしたときに、第1斜線L2上(第1斜線L2と上張出板25の先端25aが交差する位置)であって、上傾斜板22の先端22aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするようにしている。そのようにすることで、上張出板25が、燃焼装置1の上方から降ってくる雨水等が案内板24の上傾斜板22上に垂れるのを防ぎ、排気口5への雨水等の浸入を確実に抑制しつつ、斜め前上方に向かう燃焼ガスの流れを邪魔する排気抵抗となることなく、風除具17の前壁20側に向かう燃焼ガスの流れを強く形成せずに、外部へスムーズに燃焼ガスの排出を行わせることができるものである。
【0032】
また、上張出板25の先端25aの位置は、上傾斜板22の先端22aと同一鉛直面上の位置としてもよく、この場合でも上記と同様に、上張出板25が、燃焼装置1の上方から降ってくる雨水等が案内板24の上傾斜板22上に垂れるのを防ぎ、排気口5への雨水等の浸入を確実に抑制しつつ、斜め前上方に向かう燃焼ガスの流れを邪魔する排気抵抗となることなく、風除具17の前壁20側に向かう燃焼ガスの流れを強く形成せずに、外部へスムーズに燃焼ガスの排出を行わせることができるという効果を発揮するものである。
【0033】
上記の第1斜線L2のなす角度は、上傾斜板22が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度としているが、ここで言う略同一角度とは、上傾斜板22が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度を基準角度として、基準角度から±5°の範囲内の角度とするものである。
【0034】
また、整流具21には、鉛直方向において排気口5および案内板24よりも下方に、排気口5の開口面と同一鉛直面から前方(風除具17の前壁20側)に向かって略水平に張り出す下張出板26を設けて、排気口5前面に風除具17を設けて形成された排気口5下方の下面開口の一部を閉塞するようにしたことで、排気口5から出て直下に向かって流れようとする燃焼ガスの流れを防ぐことができるので、排気口5から出て前面板2a表面を沿うように下降する燃焼ガスの流れがなく、排気口5下方に位置する前面板2a表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0035】
さらに、下張出板26は、その張り出し長さが上張出板25よりも長くされており、下張出板26の先端26aの位置が、上張出板25の先端位置25aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置であって、下張出板26が下傾斜板23の延長線L1に重なることがないような位置に設定されており、より具体的には、下張出板26の先端26aの位置は、下傾斜板23が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす仮想 の第2斜線L3(図6中の二点鎖線参照。)を排気口5下端(排気口5の開口面上の下端)から前方(風除具17の前壁20)側に延ばしたときに、第2斜線L3と下張出板26が交差する位置よりも前方で、下張出板26が下傾斜板23の延長線L1に重なることがなく、且つ、上張出板25の先端位置25aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置に設定されている。なお、予め行った試験(燃焼ガスの流れ方や騒音値等を調べる試験)から、下張出板26の先端26aの位置を、図6に示されているように、下張出板26が排気口5前面に風除具17を設けて形成された排気口5下方の下面開口の略半分を閉塞するような位置に設定することがより好ましい。
【0036】
上記の第2斜線L3のなす角度は、下傾斜板23が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度としているが、ここで言う略同一角度とは、下傾斜板23が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度を基準角度として、基準角度から±5°の範囲内の角度とするものである。
【0037】
前記上張出板25の先端25aの位置と前記下張出板26の先端25aの位置を、先に説明したような位置に設定したことにより、排気口5前面に風除具17を設けて形成された排気口5上方の上面開口は、上張出板25によって略1/3が閉塞されると共に、排気口5下方の下面開口は下張出板26によって略半分が閉塞され(図6、7参照。)、上面開口の開口面積の方が下面開口の開口面積よりも大きくなる。そうすると、上面開口側が下面開口側よりも排気抵抗が小さくなるため、排気口5から排出され上傾斜板22に沿って上方に向かう燃焼ガス量の方が下傾斜板23に沿って下方に向かう燃焼ガス量よりも多くなる。
【0038】
ここで、上張出板25の先端25aの位置は、上傾斜板22の先端22aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置であって、上張出板25が上傾斜板22の延長線L1に重なることがないような位置、より具体的には、上傾斜板22が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第1斜線L2(図6中の一点鎖線参照。)を排気口5上端(排気口5の開口面上の上端)から前方(風除具17の前壁20)側に延ばしたときに、第1斜線L2上であって、上傾斜板22の先端22aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするため、図7の矢印Huで示したように、上面開口側から排出される燃焼ガス量は多いが、上傾斜板22に沿って上方に向かう燃焼ガスは、風除具17の前壁20側に向かう燃焼ガスの流れを形成せず、上張出板25にはほとんど邪魔されることなく、上傾斜板22と略同じ傾斜角度で外部へスムーズに排気される。
【0039】
一方、下張出板26の先端26aの位置は、上張出板25の先端位置25aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置であって、下張出板26が下傾斜板23の延長線L1に重なることがないような位置、より具体的には、下傾斜板23が排気口5の開口面と同一鉛直面に対してなす角度と略同一角度をなす第2斜線L3(図6中の二点鎖線参照。)を排気口5下端(排気口5の開口面上の下端)から前方(風除具17の前壁20)側に延ばしたときに、第2斜線L3と下張出板26が交差する位置よりも前方で、下張出板26が下傾斜板23の延長線L1に重なることがなく、且つ、上張出板25の先端位置25aと同一鉛直面上の位置よりも前方の位置とするため、上記下面開口に向かう燃焼ガスの流れとしては、下傾斜板23に沿って下傾斜板23と略同じ傾斜角度で下方に向かう流れと、下張出板26上を沿う流れとの2つの流れが存在する(図7の下傾斜板23と下張出板26との間に表した2本の矢印参照)。よって、下面開口側から排出される燃焼ガスの流れ方向は、上記2つの流れ方向を合成した方向となり、図7の矢印Hdで示したように、下傾斜板23の傾斜角度よりも水平に近づく傾斜角度(前面板2aから遠ざかる方向の傾斜角度)となる。
【0040】
さらに、下張出板26の張り出し長さを上張出板25の張り出し長さよりも長くして、上記下面開口の開口面積を上記上面開口の開口面積より小さくしたことで、上面開口から排出される燃焼ガス量よりも下面開口から排出される燃焼ガス量の方が少なく、そして、上面開口から排出される燃焼ガスの出口位置よりも下面開口から排出される燃焼ガスの出口位置の方が前面板2aから遠い位置となるので、排気口5の上方よりも排気口5下方に位置する前面板2aの領域が大きかったとしても、燃焼ガスが当たりにくく、排気口5より下方に位置する前面板2a表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0041】
また、上記下面開口が上記上面開口よりも狭い分、下面開口の開口部分(下張出板26で閉塞されていない部分)を通過するときの燃焼ガスの流速は、上面開口の開口部分(上張出板25で閉塞されていない部分)を通過するときの燃焼ガスの流速よりも速くなるので、図7の矢印Hdで示したように、下面開口からの燃焼ガスは水平寄りの傾斜角度で前面板2aから遠ざかる方向に勢いよく排出される。結果として、排気口5が前面板2aの上部に位置し、排気口5より下方に位置する前面板2aの領域が大きかったとしても、その部分に燃焼ガスが当たることがなく、排気口5より下方に位置する前面板2a表面が燃焼ガス中に含まれるススなどによって汚れる、または燃焼ガスの熱による変色が発生といった不具合を防止することができ、美観を損ねることがないものである。
【0042】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、風除具17と整流具21とは独立した部材としているが、例えば、風除具17に整流具21の構成(案内板24、上張出板25、下張出板26)を併せ持たせて1つの部材としてもよいものであり、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
また、本実施形態では、燃焼装置1を、放熱端末12に循環させる被加熱流体を加熱する温水暖房用のボイラとして用いているが、受熱管8の入水側に戻り管13の代わりに給水管を接続すると共に、受熱管8の出水側に往き管14の代わりに出湯管を接続して、燃焼装置1を所定箇所に設けた給湯栓に湯水を供給する給湯機として用いてもよいものである。
【0044】
また、本実施形態では、燃焼装置1を顕熱回収型としたが、燃焼装置1は潜熱熱交換器や中和器等を備え、顕熱のみならず潜熱も回収する潜熱回収型であってもよいものである。
【符号の説明】
【0045】
1 燃焼装置
2 筐体
3 燃焼器
5 排気口
17 風除具
20 前壁
21 整流具
22 上傾斜板
23 下傾斜板
24 案内板
25 上張出板
26 下張出板
L1 延長線
L2 第1斜線
L3 第2斜線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7