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  • 特許-シート切断装置及びプリンタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】シート切断装置及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/06 20060101AFI20230208BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20230208BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20230208BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B26D5/06 Z
B41J11/70
B26D1/08
B26D7/22 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019193588
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021065978
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関川 修一
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-346987(JP,A)
【文献】特公平7-96200(JP,B2)
【文献】特開2020-146799(JP,A)
【文献】特開平5-104495(JP,A)
【文献】国際公開第2020/31421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/06
B41J 11/70
B26D 1/08
B26D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動してシートを切断する可動刃と、
前記可動刃を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記可動刃が前記シートを切断する切断位置から待機位置に移動する後退移動の力を、前記待機位置から前記切断位置に移動する前進移動の力より大きくする
ことを特徴とする、シート切断装置。
【請求項2】
前記可動刃の位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部の検知値に基づいて、前記可動刃が前記待機位置にいない時間を計測する時間計測部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記時間計測部が計測した前記待機位置にいない時間が所定の時間を超えた場合、前記可動刃を前記待機位置に移動させる
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記時間計測部が計測した前記待機位置にいない時間が所定の時間を超えた場合、前記後退移動の力を前記前進移動の力より大きくする
ことを特徴とする、請求項2に記載のシート切断装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記駆動部のデューティー比を制御することで、前記後退移動の力を前記前進移動の力より大きくする
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のシート切断装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のシート切断装置を備えた
ことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート切断装置及びプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタにおいて、長尺帯状のシートに所定の印刷を行い、可動刃によってシートを単枚に切断するシート切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、可動刃であるロータリーカッタと、固定刃とからなるカッタを備え、用紙の種類等に応じて、ロータリーカッタが用紙を切断するのに要する時間が変化した場合、チョッパー駆動時に直流モータに供給するパルス信号の周期を制御する構成が開示されている。これにより、ロータリーカッタが用紙切断終了位置からホームポジションまで戻るときの角速度や所要時間を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-261916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成は、用紙切断終了位置からホームポジションまで戻るときのパルス信号の周期を制御するものであるため、用紙を切断しきれなかった場合、用紙が可動刃との間に詰まってしまい、可動刃がホームポジションに戻ることができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、用紙を切断しきれなかった場合でも、可動刃がホームポジションに戻ることができるシート切断装置及びプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のシート切断装置は、可動してシートを切断する可動刃と、前記可動刃を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記可動刃が前記シートを切断する切断位置から待機位置に移動する後退移動の力を、前記待機位置から前記切断位置に移動する前進移動の力より大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のシート切断装置及びプリンタは、用紙を切断しきれなかった場合でも、可動刃がホームポジションに戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のプリンタを示す斜視図である。
図2】実施例1のプリンタのカバーが開いた状態を示す斜視図である。
図3】実施例1のプリンタの縦断面を示す断面図である。
図4】実施例1の可動刃が待機位置にあるプリンタの縦断面を示す断面図である。
図5】実施例1の可動刃が切断位置にあるプリンタの縦断面を示す断面図である。
図6】実施例1のカッターユニットの機能構成を示すブロック図である。
図7】実施例1のカッターユニットの制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるシート切断装置及びプリンタを実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1におけるプリンタは、昇華型熱転写方式のプリンタに適用される。
【0012】
[プリンタの構成]
図1は、実施例1のプリンタを示す斜視図である。図2は、実施例1のプリンタのカバーが開いた状態を示す斜視図である。図3は、実施例1のプリンタの縦断面を示す断面図である。以下、実施例1のプリンタの構成を説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、プリンタ1は、箱状のケース2と、ケース2の上面に形成された上開口2aに設けられる上カバー3と、ケース2の前面に形成された前開口2bに設けられる前カバー4と、を備える。
【0014】
図3に示すように、ケース2の内部には、主要構成要素として、記録媒体としてのシートSを供給するロール紙Rと、インクリボンTと、サーマルヘッド5と、プラテンローラ6と、駆動ローラ21と、シート切断装置としてのカッターユニット40と、を備える。
【0015】
ロール紙Rから繰り出されたシートSは、駆動ローラ21と、従動ローラ23とに架け回されて、搬送経路X1を繰出方向D1に搬送され、排出口8から排出される。
【0016】
ロール紙Rは、モータに接続されたロール紙ホルダ31により、回転可能に保持される。
【0017】
駆動ローラ21と従動ローラ23は、ケース2に取り付けられ、搬送経路X1に沿って配置される。駆動ローラ21は、モータに接続され、正方向と、正方向とは逆の負方向との何れかに回転可能とする。駆動ローラ21の対向する位置には、対向ローラ22が配置される。
【0018】
対向ローラ22は、ケース2に取り付けられ、搬送経路X1に沿って配置される。対向ローラ22は、駆動ローラ21に対して、移動可能に構成される。シートSの搬送時には、対向ローラ22は、駆動ローラ21に当接し、駆動ローラ21に従動して回転する。駆動ローラ21が正方向に回転することで、駆動ローラ21と対向ローラ22がシートSを挟んだ状態で、シートSを繰出方向D1へ搬送する。駆動ローラ21が正方向とは反対の負方向に回転することで、駆動ローラ21と対向ローラ22がシートSを挟んだ状態で、シートSを引戻方向D2へ搬送する。シートSの搬送時以外には、対向ローラ22は、駆動ローラ21から離れる。
【0019】
サーマルヘッド5は、上カバー3に取り付けられ、搬送経路X1に沿って配置される。サーマルヘッド5は、シートSの繰出方向D1において、駆動ローラ21の下流に配置される。
【0020】
プラテンローラ6は、ケース2に取り付けられ、搬送経路X1に沿ってサーマルヘッド5に対向するように配置される。
【0021】
カッターユニット40は、ケース2に取り付けられ、搬送経路X1に沿って、繰出方向D1において排出口8の手前に配置される。カッターユニット40は、搬送経路X1を搬送されるシートSを切断する。
【0022】
インクリボンTは、例えば、イエローY、マゼンタM及びシアンCの各インク領域、並びにオーバーコートOPの領域が、長手方向に繰り返し配置された帯状のシートである。インクリボンTは、インクリボンTを繰り出すリボン供給リール32と、インクリボンTを巻き取るリボン巻取リール33と、により保持される。
【0023】
リボン巻取リール33は、モータに接続され、回転方向Kに回転する。リボン巻取リール33が、回転方向Kに回転すると、インクリボンTが、リボン供給リール32から繰り出される。リボン供給リール32から繰り出されたインクリボンTは、リボン搬送方向D3に搬送され、従動ローラ25,26を介して、サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間を通過して、リボン巻取リール33に巻き取られる。
【0024】
このように構成されたプリンタ1は、プリンタ1に画像データが入力され、印画動作が開始されると、図3に示すように、ロール紙ホルダ31が回転すると共に、駆動ローラ21が正方向に回転することで、ロール紙Rから繰り出されたシートSが、搬送経路X1にて繰出方向D1に搬送される。
【0025】
次いで、シートSが引戻方向D2に搬送されると共に、サーマルヘッド5によって、シートSに画像が形成される。
【0026】
サーマルヘッド5は、シートSとインクリボンTとを介して、プラテンローラ6に押圧された状態で、発熱して、インクリボンTに塗布された昇華性染料インクをシートSの上に転写することで、シートSに画像を形成する。
【0027】
そして、各色(イエローY、マゼンタM、シアンC、オーバーコートOP)の画像の形成に合わせて、シートSが引戻方向D2と繰出方向D1に繰り返し往復して搬送され、シートSの同一領域に各色を組み合わせた画像が形成される。
【0028】
次いで、シートSは、搬送経路X1を繰出方向D1に搬送され、カッターユニット40によって切断されて、排出口8より排出される。
【0029】
[カッターユニットの構成]
図4は、実施例1の可動刃が待機位置にあるプリンタ1の縦断面を示す断面図である。図5は、実施例1の可動刃が切断位置にあるプリンタ1の縦断面を示す断面図である。以下、実施例1のカッターユニット40の構成を説明する。
【0030】
図4に示すように、カッターユニット40は、可動刃41と、繰出方向D1で可動刃41より下流に配置される固定刃42と、可動刃41を駆動する駆動部70と、可動刃41の位置を検知する位置検知部50と、を備える。
【0031】
可動刃41は、ギアを介して駆動部70に接続され、図4に示す待機位置(ホームポジション)Q1と、図5に示す切断位置Q2との間を鉛直方向に移動可能に構成される。駆動部70としては、PWM(Pulse Width Modulation)制御が可能なDCモータとすることができる。駆動部70としてのステッピングモータは、正方向と、正方向とは逆の負方向との何れかに回転可能とする。
【0032】
可動刃41は、駆動部70が正方向に回転することで、待機位置Q1から切断位置Q2へ移動する。さらに駆動部70が正方向に回転することで、可動刃41は、切断位置Q2から待機位置Q1へ移動する。可動刃41は、駆動部70が負方向に回転することで、待機位置Q1から切断位置Q2へ移動することもできる。
【0033】
図4に示すように、待機位置Q1では、可動刃41の下端は、搬送経路X1より上方にあり、シートSが可動刃41に邪魔されずに、排出口8より排出されるようになっている。すなわち、待機位置Q1は、可動刃41によるシートSの切断を待機する位置であり、シートSが排出口8より排出される際に、可動刃41が待機する位置である。
【0034】
図5に示すように、切断位置Q2は、可動刃41の下端は、待機位置Q1より下方の位置であり、搬送経路X1を超えた位置である。切断位置Q2では、可動刃41は、カッターユニット40の筐体に固定された固定刃42と共に、シートSを切断する。
【0035】
図4及び図5に示すように、可動刃41の待機位置Q1から切断位置Q2への下方E1への移動を前進移動とし、可動刃41の切断位置Q2から待機位置Q1への上方E2への移動を後退移動とする。
【0036】
位置検知部50は、例えば、フォトインタラプタとすることができる。位置検知部50は、ロータリーエンコーダによって発光部から受光部に至る光路が開放又は遮断される位置を監視することで、可動刃41の位置情報を検知する。
【0037】
このように構成されたカッターユニット40は、搬送経路X1に沿ってシートSが所定の位置に搬送されるまで、可動刃41は待機位置Q1にある。シートSが所定の位置(カット位置)まで搬送されると、駆動部70が正方向に回転し、可動刃41は、待機位置Q1から切断位置Q2に向かって下方E1に前進移動をする。この際、シートSは、可動刃41と固定刃42とによって切断される。その後、さらに、駆動部70が正方向に回転
すると、図示しない伝動機構により可動刃41は反転して、切断位置Q2から待機位置Q1に向かって上方E2に後退移動をする。
【0038】
[カッターユニットの機能構成]
図6は、実施例1のカッターユニット40の機能構成を示すブロック図である。以下、実施例1のカッターユニット40の機能構成を説明する。
【0039】
図6に示すように、カッターユニット40は、位置検知部50が検知した検知情報が制御部60に入力され、制御部60で制御された情報が駆動部70に出力される。
【0040】
位置検知部50は、可動刃41の位置情報を検知して、その検知情報を制御部60に入力する。
【0041】
制御部60は、記憶部61と、時間計測部62と、駆動制御部63と、を備える。
【0042】
記憶部61は、シートSを切断するのに通常要する時間に所定のマージンを設けた所定の時間を記憶する。この所定の時間は、具体的には、可動刃41が待機位置Q1から前進移動して、切断位置Q2を介して、後退移動して、再び待機位置Q1に戻ってくるまでの通常の時間に、所定のマージンを加えた時間である。すなわち、この所定の時間は、カッターユニット40が、シートSを切断するのに、通常要する時間に所定のマージンを加えた時間である。
【0043】
時間計測部62は、位置検知部50が検知した可動刃41の位置情報に基づいて、可動刃41が待機位置Q1にいない時間を計測する。
【0044】
駆動制御部63は、時間計測部62の可動刃41が待機位置Q1にいない時間の計測情報に基づいて、駆動部70の駆動を制御するための処理を実行する。
【0045】
駆動制御部63で処理された情報は、駆動部70に送信される。駆動部70は、駆動制御部63で処理された情報に基づいて、可動刃41の駆動を制御する。
【0046】
[カッターユニットの制御部による処理の流れ]
図7は、実施例1のカッターユニットの制御部60による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1のカッターユニットの制御部60による処理の流れを説明する。
【0047】
搬送経路X1に沿ってシートSが所定の位置(カット位置)まで搬送されると、図7に示すように、駆動制御部63は、例えば、デューティー比を50%にして、駆動部70を正回転させ、可動刃41の待機位置Q1から切断位置Q2までの前進移動から、切断位置Q2から待機位置Q1までの後退移動までの一連の切断動作を開始する(ステップS101)。
【0048】
ここで、デューティー比を50%で前進移動する可動刃41は、シートSを切断するのに十分な力を有する。
【0049】
次いで、駆動制御部63は、位置検知部50が検知した可動刃41の位置情報に基づいて、可動刃41が待機位置Q1に戻ったか否かを判断する(ステップS102)。可動刃41が待機位置Q1に戻ったと判断した場合(ステップS102でYES)、処理を終了する。一方、可動刃41が待機位置Q1に戻っていないと判断した場合(ステップS102でNO)、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えたか否かを判断する(ステップS103)。
【0050】
時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていないと判断した場合(ステップS103でNO)、ステップS102に戻る。一方、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていると判断した場合(ステップS103でYES)、駆動制御部63は、例えば、デューティー比を100%にして、駆動部70を負回転させ、待機位置Q1に戻し(ステップS104)、処理を終了する。
【0051】
すなわち、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていると判断した場合、後退移動の力を前進移動の力より大きくする。
【0052】
[カッターユニットの作用]
実施例1のカッターユニットの作用を説明する。
【0053】
実施例1のシート切断装置(カッターユニット40)は、可動してシートSを切断する可動刃41と、可動刃41を駆動する駆動部70と、駆動部70を制御する駆動制御部63と、を備え、駆動制御部63は、可動刃41がシートSを切断する切断位置Q2から待機位置Q1に移動する後退移動の力を、待機位置Q1から切断位置Q2に移動する前進移動の力より大きくする(図6)。
【0054】
ところで、例えば、シートが2枚重なって搬送されたり、厚紙が搬送されたりして、シート切断装置においてシートを切断しきれなかった場合に、可動刃と固定刃との間にシートが詰まってしまうことがある。この場合、可動刃は、前進移動も後退移動もできなくなってしまう。
【0055】
実施例1では、後退移動の力を前進移動の力より大きくすることで、シートSを切断しきれなかった場合に、可動刃41を後退移動させて待機位置Q1に戻すことができる。そのため、シートSを切断しきれなかった場合に、切断しきれなかったシートSを容易に取り除くことができる。
【0056】
実施例1のシート切断装置(カッターユニット40)では、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えた場合、可動刃41を待機位置Q1に移動させる(図6)。
【0057】
これにより、例えば、シートが2枚重なって搬送されたり、厚紙が搬送されたりして、シートを切断しきれなかった場合、可動刃41を前進移動させ過ぎないようにすることができる。そのため、可動刃41と固定刃42の間にシートSが詰まってしまうことを防止して、可動刃41を待機位置Q1に戻すようにすることができる。その結果、シートSを切断しきれなかった場合に、切断しきれなかったシートSを容易に取り除くことができる。
【0058】
実施例1のシート切断装置(カッターユニット40)では、可動刃41の位置を検知する位置検知部50と、位置検知部50の検知値に基づいて、可動刃41が待機位置Q1にいない時間を計測する時間計測部62と、を備え、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えた場合、後退移動の力を前進移動の力より大きくする(図6)。
【0059】
これにより、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えたエラー時のみ、後退移動の力を前進移動の力より大きくすることができる。一方、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えない通常時は、後退移動の力と、前進移動の力とを同じにすることができる。そのため、電力消費を極力抑えることができる。
【0060】
実施例1のシート切断装置(カッターユニット40)では、駆動制御部63は、駆動部70のデューティー比を制御することで、後退移動の力を前進移動の力より大きくする。
【0061】
これにより、簡易な構成で、後退移動の力を前進移動の力より大きくすることができる。
【0062】
以上、本発明のシート切断装置及びプリンタを実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
【0063】
実施例1では、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていると判断した場合、後退移動の力を前進移動の力より大きくする例を示した。しかし、駆動制御部は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていないと判断した場合でも、後退移動の力を前進移動の力より大きくしてもよい。
【0064】
実施例1では、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていると判断した場合、後退移動の力を前進移動の力より大きくする例を示した。しかし、駆動制御部63は、時間計測部62が計測した待機位置Q1にいない時間が所定の時間を超えていると判断した場合、後退移動の力を前進移動と同じにしてもよいし、小さくしてもよい。
【0065】
実施例1では、駆動制御部63は、デューティー比を100%、又は、50%にして、駆動部70を駆動する例を示した。しかし、デューティー比は、この態様に限定されるものではない。
【0066】
実施例1では、可動刃41が固定刃42の上方から下降するように移動する例を示した。しかし、可動刃は、固定刃の下方から上昇するように移動してもよい。
【0067】
実施例1では、カッターユニット40は、可動刃41と固定刃42から構成される例を示した。しかし、カッターユニット40は、2つの可動刃から構成されるものであってもよい。
【0068】
実施例1では、駆動部70は、DCモータとする例を示した。しかし、駆動部は、トルク制御が可能なモータであってもよい。
【0069】
実施例1では、本発明を昇華型熱転写方式のプリンタ1とする例を示した。しかし、本発明は、カッターユニットを備える他のプリンタにも適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 プリンタ
40 カッターユニット(シート切断装置)
41 可動刃
50 位置検知部
62 時間計測部
63 駆動制御部
70 駆動部
Q1 待機位置
Q2 切断位置
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7