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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ファスナー
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/30 20060101AFI20230208BHJP
   A44B 19/04 20060101ALI20230208BHJP
   A44B 19/26 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A44B19/30
A44B19/04
A44B19/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019566292
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 CN2018089607
(87)【国際公開番号】W WO2018219349
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】2017902120
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519184516
【氏名又は名称】エムアールエム エイチケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リッチー,ルーク ジェイムズ
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-161543(JP,A)
【文献】特表2016-515018(JP,A)
【文献】特表2007-529236(JP,A)
【文献】実開平3-011813(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/04
A44B 19/26-19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を定義する一対のストリンガーと、
前記ストリンガーに沿って長さ方向に摺動して前記ストリンガーを結合させて前記ストリンガーの間の開口を閉じるように配置される第1のスライダーであって、該第1のスライダーは一軸端に雄型連結部及び相補的な雌型連結部のうちの一方を有する、第1のスライダーと、
前記ストリンガーに取り付けられる部材であって、該部材は一軸端に前記雄型連結部及び前記雌型連結部のうちの他方を有する、部材と、
を含むファスナーであって、
前記雄型連結部は拡大されたヘッド部に隣接するネック部を含み、前記雌型連結部は、該ヘッド部及び該ネック部を摺動可能に受容できる大きさの横方向スロットを含み、該横方向スロットは幅広部及び幅狭部を有し、前記第1のスライダーと前記部材と間の相対的な回転と、結果として生じる前記ストリンガーの屈曲により、前記ヘッド部が前記横方向スロットへと横方向に挿入でき、前記ストリンガーの曲げ剛性は前記ヘッド部を前記横方向スロット内で維持し、前記雌型連結部の幅広部及び幅狭部の間の肩部は、前記ヘッド部が前記横方向スロット内にある場合に前記ヘッド部に当接して前記第1のスライダーと前記部材とが軸方向に分離するのを防止し、
前記部材は、a)前記ストリンガーに沿って長さ方向に摺動して前記ストリンガーを結合させて前記ストリンガーの間の開口を閉じるように配置される第2のスライダー又はb)前記ストリンガーに配置される固定具である、ファスナー。
【請求項2】
前記ストリンガーの長軸によって定義される平面によって、前記ファスナーは内側と外側とに分けられ、前記第1のスライダーの外側に第1のプルタブ取り付けポストが配置され、前記横方向スロットは、前記雄型連結部と前記雌型連結部とを接続する場合及び接続を外す場合に前記ヘッド部が横方向に通る開口部を有し、該開口部は前記第1のスライダー及び前記部材のうちの一方のそれぞれの外側に配置される、請求項1に記載のファスナー。
【請求項3】
前記雄型連結部及び前記相補的な雌型連結部のうちの前記一方は前記ファスナーの外側に配置され、前記第1のプルタブ取り付けポストから軸方向に突出する、請求項2に記載のファスナー。
【請求項4】
前記雄型連結部が前記雌型連結部に対して横方向に動くのを制限し、前記雄型連結部と前記雌型連結部と係合したことを示す可聴なを提供する戻り止めをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のファスナー。
【請求項5】
前記ヘッド部は前記ネック部の両側から突出し、前記戻り止めは弾性材料で構成されるクリップを含み、該クリップは一対の対向するアーム部を有し、該アーム部の先端は前記雌型連結部に隣接して配置され、該先端の間に前記横方向スロットが延在し、該先端が前記雄型連結部の両側と係合し、各先端及び前記両側は突起及び相補的な凹部のうちの一方をそれぞれ含む、請求項4に記載のファスナー。
【請求項6】
前記雌型連結部は前記幅広部内に延びて前記ヘッド部と当接して前記横方向スロット内で前記ヘッド部が横方向に動くのを制限するストップ面をさらに含む、請求項5に記載のファスナー。
【請求項7】
前記第1のスライダーは、噛み合わされたストリンガーを受容する主要通路を噛み合わされていないストリンガーを受容する2つの分岐通路に分けるウェッジ面を含み、該ウェッジ面は中心平面の両側に配置され、該ウェッジ面は前記主要通路に隣接する幅狭端から幅広端に前記長手軸の方向に分岐するように先細になっており、前記雌型連結部は前記中心平面の両側に配置される対向するフランジを含む、請求項5又は6に記載のファスナー。
【請求項8】
前記ウェッジ面は前記クリップの外面を構成する、請求項に記載のファスナー。
【請求項9】
前記クリップは、スナップ嵌めにより前記第1のスライダーの凹部で保持される、請求項5乃至のいずれか一項に記載のファスナー。
【請求項10】
前記第1のスライダーは、噛み合わされたストリンガーを受容する主要通路を噛み合わされていないストリンガーを受容する2つの分岐通路に分けるウェッジ面を含み、該ウェッジ面は中心平面の両側に配置され、該ウェッジ面は前記主要通路に隣接する幅狭端から幅広端に前記長手軸の方向に分岐するように先細になっており、前記雄型連結部は前記第1のスライダーの幅広端から突出するリブを含み、該リブの近位端は前記ネック部を形成し、該リブの遠位端は厚さが大きくなって前記ヘッド部を形成する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のファスナー。
【請求項11】
前記リブは、シャックルを受容するように適合された円形の孔をさらに含む、請求項10に記載のファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファスナー(zip fastener)であって、閉められたファスナーをラッチするためのセキュリティー機能(security features)を有するファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
ファスナーは、ある程度のセキュリティが望まれる用途で多く用いられる。閉めたファスナーをロックすることは、例えば、ジッパーの一端にある固定具にスライダーをラッチさせることにより又はジップが2つのスライダーを含む場合には2つのスライダーを互いにラッチさせることにより得られる。
【0003】
閉めたファスナーをロックするのにパドロック等のロックを用いることができるが、この方法は全ての状況において便利でないか又は必要でないことがあり、子供が開けることができないファスナー又は偶発的な盗難をくじくのに十分な程度のセキュリティを有するジッパーを提供することが有利である。とりわけ、これは、片手で開くことが困難な構成を含み得る。特許文献1には、各々が同様のロック式プルタブを有する2つのスライダーを備えるファスナーが記載されている。プルタブは、不意の盗難に対するセキュリティーを提供するスライドアンドターン動作により互いに噛み合わせることができる。しかしながら、このシステムには、ロックプルタブの外観及びその露出位置に関連する欠点がある。その斬新な形状は、望ましくないことに、それがある種のセキュリティー機能を提供することを示唆し、とりわけ広範な製品を製造する製造業者にとって、美観上の理由から全ての製品にロック式プルタブを用いることが望ましくない場合があり、ファスナーアセンブリ内の部品数を減少させるために従来のプルタブを除外することができない。
【0004】
特許文献2は、2つのスライダーに相補的な雄型連結部及び雌型連結部を用いて2つのスライダーを共にロックすることが記載されている。ジッパーを閉めるためにスライダーを共に軸方向に引くことで雄型連結部及び雌型連結部を係合させ、それらは弾性作用によって閉じた状態で維持される。例えば、雌型連結部から雄型連結部を取り外すために、弾性ピン(resilient tongue)が偏向される。この構成の欠点は、一方のスライダーを他方に対して長手方向に動かして連結を解除すること(及びファスナーを開くこと)はよく知られ且つ直感的であるため、カジュアルなセキュリティー(casual security)をほとんど提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第103653566号明細書
【文献】欧州特許出願公開第20027444号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の欠点を克服するか又は実質的に改善することであり、より一般的には、改善されたファスナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ファスナーが提供される。ファスナーは、
長手軸を定義する一対のストリンガーと、
前記ストリンガーに沿って長さ方向に摺動して前記ストリンガーを結合させて前記ストリンガーの間の開口を閉じるように配置される第1のスライダーであって、該第1のスライダーは一軸端に雄型連結部及び相補的な雌型連結部のうちの一方を有する、第1のスライダーと、
前記ストリンガーのうちの少なくとも一方に固定される部材であって、該部材は一軸端に前記雄型連結部及び前記雌型連結部のうちの他方を有する、部材と、を含み、
前記雄型連結部は大きくなったヘッド部に隣接するネック部を含み、前記雌型連結部は、該ヘッド部及び該ネック部を摺動可能に受容できる(slidably receive)大きさの横方向スロット(transverse slot)を含み、該横方向スロットは幅広部及び幅狭部を有し、前記第1のスライダーと前記部材と間の相対的な回転と、結果として生じる前記ストリンガーの屈曲により、前記ヘッド部が前記スロットへと横方向に挿入でき、前記ストリンガーの曲げ剛性は前記ヘッド部を前記スロット内で維持し、前記雌型連結部の幅広部及び幅狭部の間の肩部は、前記ヘッド部が前記スロット内にある場合に前記ヘッド部に当接して前記第1のスライダーと前記部材とが軸方向に分離するのを防止し、
前記部材は、a)前記ストリンガーに沿って長さ方向に摺動して前記ストリンガーを結合させて前記ストリンガーの間の開口を閉じるように配置される第2のスライダー又はb)前記ストリンガーのうちの少なくとも一方に配置される固定具である。
【0008】
この種類のファスナーでは、ストリンガーの屈曲柔軟性及びストリンガーとスライダーとの間のアソビにより閉じた状態で又は近くで手動で横方向に(部材と第1のスライダーとを)相対的に動かすことができる。一般的な用途では、ファスナーは、ストリンガーが固定される材料も柔軟であるハンドバッグ、財布、旅行鞄、スポーツバッグ、バックパック等のソフトバッグにおけるセキュリティーのために用いられる。しかしながら、必要となる横方向の動きは十分小さいため、ブリーフケースやスーツケース等のハードシェルを有するカバンにも用いることができる。
【0009】
前記ストリンガーの長軸によって定義される平面によって、前記ファスナーは内側と外側とに分けられ、前記第1のスライダーの外側に第1のプルタブ取り付けポストが配置され、前記横方向スロットは、前記雄型連結部と前記雌型連結部とを接続する場合及び接続を外す場合に前記ヘッド部が横方向に通る開口部を有し、該開口部は前記第1のスライダー及び前記部材のうちの一方のそれぞれの外側に配置されることが好ましい。開口を容易に見えるように配置することで雄部と雌部とを係合させるのに必要な動作を簡単且つ直感的にするのに役立つ。前記雄型連結部及び前記相補的な雌型連結部のうちの前記一方は前記ファスナーの外側に配置され、前記第1のプルタブ取り付けポストから軸方向に突出することが好ましい。
【0010】
ファスナーは前記雄型連結部が前記雌型連結部に対して横方向に動くのを制限する戻り止めをさらに含むことが好ましい。戻り止めは前記雄型連結部と前記雌型連結部との係合の可聴な印しを提供することが好ましい。互いに接続されるスライダー間の小さな相対動作のおかげで、適切な接続を視覚的に確認するのは困難であり得るため、係合の可聴な印しは有益である。
【0011】
前記ヘッド部は前記ネック部の両側から突出し、前記戻り止めは弾性材料で構成されるクリップを含み、該クリップは一対の対向するアーム部を有し、該アーム部の先端は前記雌型連結部に隣接して配置され、該先端の間に前記横方向スロットが延在し、該先端が前記雄型連結部の両側と係合し、各先端及び前記両側は突起及び相補的な凹部のうちの一方をそれぞれ含むことが好ましい。
【0012】
前記ヘッド部は対向するランプを含み、該ランプは、前記雄型連結部と前記雌型連結部との接続の際に前記アーム部の端部を広げて離して前記雄型連結部の両側に係合させることが好ましい。
【0013】
前記雌型連結部は前記幅広部内に延びて前記ヘッド部と当接して前記スロット内で前記ヘッド部が横方向に動くのを制限するストップ面をさらに含むことが好ましい。
【0014】
前記第1のスライダーは、噛み合わされたストリンガーを受容する主要通路(main channel that receives)を噛み合わされていないストリンガーを受容する2つの分岐通路に分けるウェッジ面を含み、該ウェッジ面は中心平面の両側に配置され、該ウェッジ面は前記主要通路に隣接する幅狭端から幅広端に前記長手方向に分岐(diverge)するように先細になっており、前記雌型連結部は前記中心平面の両側に配置される対向するフランジを含むことが好ましい。
【0015】
前記ウェッジ面は前記クリップの外面を含むことが好ましい。
【0016】
前記クリップは、スナップ嵌めにより前記第1のスライダーの凹部で保持されることが好ましい。
【0017】
前記第1のスライダーは、噛み合わされたストリンガーを受容する主要通路を噛み合わされていないストリンガーを受容する2つの分岐通路に分けるウェッジ面を含み、該ウェッジ面は中心平面の両側に配置され、該ウェッジ面は前記主要通路に隣接する幅狭端から幅広端に前記長手方向に分岐するように先細になっており、前記雄型連結部は前記第1のスライダーの幅広端から突出するリブを含み、該リブの近位端は前記ネック部を形成し、該リブの遠位端は厚さが大きくなって前記ヘッド部を形成することが好ましい。
【0018】
雄部は第1のスライダーの幅広端から突出するリブを含むことが好ましい。フランジの近位端はネック部を形成し、該リブの遠位端は厚さが大きくなってヘッド部を形成する。各スライダーの主要通路及び分岐通路は、端部が長手方向に先細になった内壁及び外壁に隣接され、固定具は各外壁から突出し、プルタブを受容するように適合され、第1のスライダー側ではリブは固定具に接続される。
【0019】
前記リブは、シャックルを受容するように適合された円形の孔をさらに含むことが好ましい。
【0020】
本発明では、雄型連結部及び雌型連結部を小さく作ることができ、材料が非常に少なくて済み、係合及び係合解除のための横方向の動きも少なくて済むため有利である。 開いた状態になる動きを制限するために相互に係合されていなくても、ファスナーはその大きさ及び場所のおかげで、小さな物であっても通ることができない程度に閉めることができる。そのため、カジュアルなセキュリティー又は子供の安全対策が必要ない物でも、それを組み込むことができるため、製造業者は部品の数を減らしながらも、幅広い用途をカバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい形態を以下で例示的に説明する。
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るファスナーの外側から見た図であり、離間された2つのスライダーを示す。
図2図2は、互いに連結された図1のスライダーを示す長手横断面の断面図である。
図3図3は、図1のスライダーの斜視図である。
図4図4は、図1のスライダーの分解斜視図である。
図5図5は、互いに連結された図1のスライダーを示す垂直横断面の断面図である。
図6図6は、図1のスライダーの内側から見た図である。
図7図7は、図6の線AAに沿った部分断面図である。
図8図8は、スライダーを連結する間の一連の段階を示すための、離間した状態にある図1のスライダーの斜視図である。
図9図9は、スライダーを連結する間の一連の段階を示すための、中間状態にある図1のスライダーの斜視図である(1つのスライダー及びクリップの一部を断面で示す)。
図10図10は、スライダーを連結する間の一連の段階を示すための、連結された状態にある図1のスライダーの斜視図である。
図11図11は、本発明の第2の実施形態に係るファスナーの斜視図であり、離間されたスライダー及び固定具を示す。
図12図12は、相互に連結された図11のスライダー及び固定具の斜視図である。
図13図13は、図11の固定具の平面図である。
図14図14は、本発明の第3の実施形態に係るスライダーの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2を参照して、ファスナー20の第1の実施形態は、概して第1のスライダー10及び第2のスライダー11を含む。第1のスライダー10及び第2のスライダー11の双方は、一対のストリンガー(stringers)12、13(概略的に図示)と係合する。一対のストリンガー12、13はよく知られた方法でメッシュ歯14により互いに接続され得る。加えて、2つのプルタブ15、16(破線の輪郭で示す)が設けられ、それらは、ユーザーがストリンガー12、13に沿ってスライダー10、11を引くための改善された梃を可能にするためにスライダー10、11の外側にそれぞれ接続され得る。ストリンガー12、13に沿ったスライダー10、11間の相対動作はファスナー20を開閉するか、より具体的には、ストリンガー12、13とスライダー10、11との間の開口17を開閉する。
【0023】
スライダー10、11の前端は互いに対向して配置され、それぞれ雄部21及び雌部22を有する。スライダー10、11の各後端は、長手方向に先細であり且つ主要通路23を取り囲む同様の形状の本体19を含む。主要通路23は分岐して、長手方向で整合する中心平面26の両側に2つの分岐通路24、25を形成する。各スライダー10、11の対向するウェッジ面90、91及び92、93の相互に傾斜した対は、噛み合わされたストリンガーを受容する主要通路23を噛み合わされていないストリンガー12、13を受容する2つの分岐通路24、25に分ける。各スライダー10、11では、各対90、91、92、93のウェッジ面は本体19が先細になっているため同じ方向に傾斜され、主要通路23に隣接する後方の幅狭端28から幅広端29へと長手方向に分岐する。第1のスライダー10では、ウェッジ状のウェブ45にウェッジ面90、91が形成される。ウェブ45は本体19と一体になり、中心平面26の両側で対称である。
【0024】
図3に最も分かり易く示すように、本体19は対向する内壁30及び外壁31をさらに含み得る。内壁30及び外壁31の長手方向の端は、一体の側壁32、33と交わるように湾曲されてもよい。内壁30、外壁31の端は長手方向に先細になっていてもよい。側壁32、33の各々は主要通路23の一部と、2つの分岐通路24、25のうちの一方の一部と隣接するのに対して、内壁30、外壁31は、それらの内側及び外側のそれぞれで分岐通路24、25及び主要通路23の双方に隣接する。側壁32、33の各々は、長手方向スロット36によって2つの部分に割かれ得る。
【0025】
図3及び図4で最も分かり易く示すプルタブ取付ポスト40、140は、プルタブ15、16のうちの一方の開口を受容するために、スライダー10、11の外壁31から突出し得る。プルタブ取付ポスト40、140は、近位端41、141のみが本体19に接続され、外側に延びる脚部と、自由端42、142で終端する長手延在部とを含み得る。プルタブ取付ポスト40、140はファスナー20の外側にある。ファスナー20の外側は、中心平面26に直交するストリンガー13、14の長軸により定義される長手横断面(longitudinal-transverse plane)27の外側にある。
【0026】
図1及び図3を参照して、雄型連結部21は、幅広端29から長手方向に突出するリブの形状を概ね有し、中心平面26によって概して二分され得る。また、雄型連結部21は、プルタブ取付ポスト40の脚部から長手方向に突出し得る。リブは、幅広端29及びプルタブ取付ポスト40と一体であり得る。雄型連結部21の遠位端は、両側で厚さが大きくなって拡大された形のヘッド部50を形成し、雄型連結部45自体の対向する略平坦な側面53、54は、ヘッド部50に隣接して配置されるネック部51を形成する。雄型結合部21はスライダー10の外側に配置される。側面53、54にある凹部56は、ファスナー20の内側のリブに形成されてもよい。
【0027】
図4及び図7で最も分かり易く示すように、スライダー11上の雌型連結部22は、中心平面26の両側で幅広端29から突出する対向するフランジ60、61を含み得る。雌型連結部22は、プルタブ取付ポスト140の脚部から長手方向にも突出し得る。フランジ60、61は、幅広端29及びプルタブ取付ポスト140と一体であり、それらの間に、ヘッド部50及びネック部51をそれぞれ摺動可能に受容できる大きさの幅広部37及び幅狭部38を有する横方向スロット35を定義し得る。幅広部37と幅狭部38との間に肩部39が配置され、ヘッド部50と当接してヘッド部50が横方向スロット35内にある場合に、スライダー10、11が軸方向に分離するのを防止する。スライダー11の外側には、横方向スロット35の開口部43が配置される。開口部43の反対側で、ストップ面39がスロット35の内端を閉じ、ヘッド部50と当接してその横方向の移動を制限し得る。
【0028】
雄型連結部21及び各本体19は一体形成されて(スライダー10を形成し)てもよく、雌型連結部22及びその各本体19も同様に一体形成されてもよく、ダイカストにより製造され得る。
【0029】
図3図5を参照して、ファスナー20は、スライダー11に取り付けられるクリップ70をさらに含む。クリップ70は弾性材料でできており、V字状を有する。クリップ70は中心平面26の両側で互いに対向する一対のアーム部71、72を含み、一対のアーム部71、72は一端47で互いに一体化され、反対側にそれぞれ自由端73、74を有する。雄部21、雌部22の連結に際して、端部73、74の突起46は、突起46が凹部56に入る前に、先ず対向する側面53、54に当接する。この当接動作により、雄部21、雌部22の間の適切な係合を示す可聴なスナップ音が生じる。端部73、74において、フランジ60、61の外面81、82は、それらが隣接するクリップ70のウェッジ面92、93の端部と同一平面上にあり得る。アーム部71、72の間及び一端47と突起46に隣接する肩部48、49との間のクリップ70にある開口44は、内側プレート30と外側プレート31との間に延在するウェブ45の形状と相補的な形状を有する。クリップ70は、アーム部71、72のうちの1つがウェブ45のいずれかの側にある状態でスライダー11の本体に挿入することにより取り付けられる。肩部48、49は、クリップ70が挿入された場合に弾性的に離れるように促され、ウェブ45の係合面52に戻り、クリップ70を定位置で永久的に保持するスナップ嵌めを形成する。
【0030】
図8図10を参照して、使用に際して、スライダー10、11が共に引かれると、スライダー10、11は、ヘッド部50を横方向スロット35の開口部43から横方向に変位させるのに十分なように互いに対して横方向に第1の横方向に回転及び/又は変位される。プルタブ15、16の各々を各手で持つため、これには両手が必要となる(明確にするために、図8図10には示していない)。例えば、スライダー10は静止したままであるのに対して、スライダー11は図9に示す中間状態になるように回転される。図9では、フランジ60の一部がクリップ70の一部とともに切り取られた状態を示している。この動きは図示のように小さく、ストリンガー12、13を曲げる必要があるが(明確にするために、図8図10には示していない)、スライダー10、11の自由な長手方向の摺動を制限し得る顕著な摩擦又は結合を生じさせるには不十分である。続いて、第1の方向と反対の第2の横方向への相対的な回転及び/直線的な変位により、ヘッド部50が開口部43に横方向に入る。もちろん、この第2の横方向への動きは、元の状態に戻ろうとするストリンガー12、13により支援される。第2の横方向に継続的に移動することで、ヘッド部50がストップ面39の方に摺動される。ヘッド部50がストップ面39に到達するか又は接触すると、突起46は可聴なクリック音を伴って凹部56にスナップ留めされる。戻り止め作用(detent actuation)の触覚及び可聴なフィードバックは、スライダー10、11が適切に接続されたことを示す。この閉まった状態では、ヘッド部50は、肩部39によってリップ63の間で長手方向に引かれることが抑制され、協働する端部73、74と凹部56の戻り止め作用は、ヘッド部50が開口端68を通って外に出て雄部21及び雌部22をリリースすることを抑制する。戻り止めクリップ70及びストリンガー13、14の曲げ剛性の両方により、ヘッド部50がスロット35内で維持されるようにする。
【0031】
第1のスライダー10上の雄型連結部21は、シャックルを受容するように適合された孔55をさらに含む。同様の孔57がフランジ60、61の各々に配置され、同軸に整列され得る。孔55は、閉まった状態で孔57と整合するように配置される。このようにして、パドロックは、より高度のセキュリティーが望まれる場合に用いることができ、そのシャックル(図示せず)は、スライダー10、11を接続するために孔55、57を貫通する。
【0032】
図11図13を参照して、本発明のファスナー220の第2の実施形態は、雄部21、雌部22のうちの一方を有するスライダー11(ファスナー20と同様の形状であり、同じ参照番号で特定される)を含み、前の実施形態で、第2のスライダーに配置された雄部21、雌部22のうちの他方は、ストリンガーの長手端に固定される固定具58に形成される。そのため、雄型連結部21も同様に雌型連結部22と対向するため、ファスナー220は、ファスナー20のものに対応する方法で閉められた状態で保持できる。固定具58は、固定具58を取り付けるためにファスナーを受容するための孔62を有するフランジ59を雄型連結部21の横方向に含み得る。シャックルを受容するように適合された孔56も固定具58に形成されてもよい。
【0033】
図14は、本発明のファスナー320の第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、雌部22が配置されるスライダー311の点で前述した実施形態とは異なり、スライダー311の本体319は、内壁30及び外壁31をそれぞれ含む内側部64及び外側部34のアセンブリであり得る。内側部64及び外側部34のそれぞれは一体の部品であってよく、ウェブ45は、外側部34と一体であり得る。スライダーをこのように分離することで、長手横断面27の両側で又はそれに平行に分離することにより、ファスナーがバッグに組み付けられた場合に、ファスナを修理できる。ウェブ45内の横方向開口に受容されるネジ65は、内側部64と外側部34とを接続され得る。
【0034】
本発明の態様を説明してきたが、それは例示に過ぎず、その範囲から逸脱することなく修正及び追加を行うことができることを理解すべきである。
図1
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図14