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  • 特許-充填剤を含むシリコーン組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】充填剤を含むシリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/10 20060101AFI20230208BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230208BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
C08L83/10
C08K3/013
C09K5/14 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020515947
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 CN2017104363
(87)【国際公開番号】W WO2019061290
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、チョンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】クレイヤー、ドン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、タッシー
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/155948(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オルガノポリシロキサンと、
(B)充填剤と、
(C)充填剤処理剤と、を含む、組成物であって、前記充填剤処理剤が、一般式(I)及び(II)、
Si-[(CHn1(MeSiO)m1-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (I)
[式中、「Me」はメチル基であり、Rは、4~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、各々、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、n2、m1、m3、及びoは、1~200の整数であり、m2、n3、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]、
(RO)Si-[(CHn1(MeSiO)m1-(CHn4-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (II)
[式中、R及びRは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、m1、m3、o、及びn2は、1~200の整数であり、n3、n4、m2、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]
を有する2つのオルガノポリシロキサンの混合物を含み、
式(I)により表される前記オルガノポリシロキサンの、式(II)により表される前記オルガノポリシロキサンに対するモル比((I)/(II))が、2~15である、組成物。
【請求項2】
前記充填剤の量が、前記組成物の重量に基づいて、50~95重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記充填剤が、熱伝導性充填剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
充填剤を含む、硬化シリコーン材料であって、請求項1に記載の組成物から形成された、硬化シリコーン材料。
【請求項5】
前記充填剤が、熱伝導性充填剤である、請求項4に記載の硬化シリコーン材料。
【請求項6】
前記材料の熱伝導率が、1.5W/m.K以上である、請求項5に記載の硬化シリコーン材料。
【請求項7】
ゴム、ゲル、グリース、スラリー、ペースト、及びポッタントから選択される、請求項4に記載の硬化シリコーン材料。
【請求項8】
シリコーン材料のために使用される、充填剤処理剤であって、前記充填剤処理剤が、一般式(I)及び(II)、
Si-[(CHn1(MeSiO)m1-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (I)
[式中、「Me」はメチル基であり、 は、4~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R 及びR は、各々、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、n2、m1、m3、及びoは、1~200の整数であり、m2、n3、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]、
(RO)Si-[(CHn1(MeSiO)m1-(CHn4-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (II)
[式中、R及びRは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、m1、m3、o、及びn2は、1~200の整数であり、n3、n4、m2、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]
を有する2つのオルガノポリシロキサンの混合物を含み、
式(I)により表される前記オルガノポリシロキサンの、式(II)により表される前記オルガノポリシロキサンに対するモル比((I)/(II))が、2~15である、充填剤処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、充填剤を含むシリコーン組成物に関する。シリコーン組成物は、組成物の良好な取り扱い特性及び成形特性を低下させることなく、大量の充填剤を含むことができるため、組成物は、大量の熱伝導性充填剤を含む必要がある熱伝導性シリコーン組成物に好適である。
【0002】
序論
硬化シリコーン(オルガノポリシロキサン)材料は、多くの場合、機械的強度、電気伝導性、又は熱伝導性などの特性を向上させるために、充填剤を含む。特に、オルガノポリシロキサン自体が熱伝導性ではないため、熱伝導性がいくつかの技術分野で必要である。
【0003】
熱管理は、集積回路(IC)、発光ダイオード(LED)、中央演算ユニット(CPU)、及びプリント回路基板などの電子デバイスのあらゆる態様において重要である。これらのデバイスの性能は、動作温度によって直接を受ける場合がある。これらのデバイスの動作温度を下げることにより、多くの場合、より高い温度での動作と比較して、寿命が長くなり、性能が向上する。
【0004】
通常、電子デバイスによって発生した熱は、熱伝導性材料を使用して除去され、放散される。熱伝導性シリコーン組成物は、2つの表面間の高効率伝熱材料として開発されてきた。組成物は、典型的には、シリコーンマトリックス樹脂中に熱伝導性充填剤の分散体を含み、ゴム、ゲル、グリース、又はポッタントの形態の熱伝導性材料を提供する。シリコーン材料の熱伝導性を向上させるために、大量の熱伝導性充填剤をマトリックス樹脂中に添加する必要がある。
【0005】
しかし、熱伝導性充填剤含有量が多くなることによって、組成物の粘度が高くなるため、組成物の取り扱い特性及び成形特性は実質的に悪くなる。シリコーンマトリックス樹脂中の充填剤の分散を向上させ、取り扱い特性及び成形特性を良好にするために、充填剤処理剤が使用され、シリコーン組成物中に添加されており、例えば、米国特許第6,306,951(B)号、同第8,383,005(B)号、同第6,844,393(B)号、同第8,119,758(B)号、特開平04495749(B)号、米国特許第7,547,743(B)号、特開2013124257(A)号、米国特許第7,329,706(B)号、及び同第7,291,671(B)号に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、大量の充填剤を含有していても、有する取り扱い特性が良好な、シリコーン組成物を提供する。
【0007】
本発明の一態様は、(A)オルガノポリシロキサンと、(B)充填剤と、(C)充填剤処理剤と、を含む、組成物であって、充填剤処理剤が、一般式(I)及び(II)、
式(I):
Si-[(CHn1(MeSiO)m1-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (I)
[式中、「Me」はメチル基であり、R、R、及びRは、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、2~4個の炭素原子を有するアルケニル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基、又は-(OSiR)から選択され、R、R、及びRは、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、n2、m1、m3、及びoは、1~200の整数であり、m2、n3、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]、
式(II):
(RO)Si-[(CHn1(MeSiO)m1-(CHn4-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (II)
[式中、R及びRは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、m1、m3、o、及びn2は、1~200の整数であり、n3、n4、m2、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない]を有する2つのオルガノポリシロキサンの混合物を含む、組成物に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、充填剤を含む、硬化シリコーン材料であって、上記組成物から形成された、硬化シリコーン材料に関する。
【0009】
更に別の態様では、本発明は、シリコーン材料のために使用される充填剤処理剤であって、上記一般式(I)及び(II)を有する2つのオルガノポリシロキサンの混合物を含み、式(I)により表されるオルガノポリシロキサンの、式(II)により表されるオルガノポリシロキサンに対するモル比((I)/(II))が、2~15である、充填剤処理剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】試料の水平流動性を測定する際の、分散試料を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、(A)オルガノポリシロキサンと、(B)充填剤と、(C)2つの特定のオルガノポリシロキサンの混合物を含む充填剤処理剤と、を含む。
【0012】
(A)オルガノポリシロキサン
組成物に使用されるオルガノポリシロキサンは、マトリックスポリマーであり、又は組成物が硬化された後にマトリックスポリマーとなる。オルガノポリシロキサンの一例は、硬化することができる架橋性オルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、分枝鎖状、部分的に分枝状の直鎖状、又はデンドリマー構造であってもよい。好ましくは、オルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、又は部分的に分枝状の直鎖状構造である。オルガノポリシロキサンの粘度は、好ましくは20~100,000mPa・s、より好ましくは50~100,000mPa・s、更により好ましくは100~50,000mPa・sである。組成物がヒドロシリル化反応によって硬化された場合、オルガノポリシロキサンは、少なくとも0.05重量%のシリコーン結合アルケニル基、好ましくは少なくとも0.2重量%のシリコーン結合アルケニル基、より好ましくは少なくとも0.8重量%のシリコーン結合アルケニル基を有する。このようなアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。組成物が縮合反応によって硬化された場合、オルガノポリシロキサンは、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有し、これらの基はシリコーン原子に結合している。シリコーン原子に結合しているヒドロキシル基又は加水分解性基の量は、好ましくは少なくとも0.05重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、更により好ましくは少なくとも0.8重量%である。加水分解性基は、大気中の水分と反応し、ヒドロキシル基となる。オルガノポリシロキサン中のヒドロキシル基を、更に架橋剤で架橋することができる。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基;ビニルオキシ、プロペノキシ、イソプロペノキシ、及び1-エチル-2-メチルビニルオキシなどのアルケノキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、及びメトキシプロポキシなどのアルコキシアルコキシ;アセトキシ及びオクタノイルオキシなどのアシルオキシ基;ジメチルケトキシム及びメチルエチルコトキシムなどのケトキシム基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、及びブチルアミノなどのアミノ基;ジメチルアミノキシ及びジエチルアミノキシなどのアミノキシ基;並びにN-メチルアセタミド及びN-エチルアセタミドなどのアミド基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
オルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン;メチルフェニルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン;シラノール末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;シラノール末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー;(CHSiO1/2シロキサン単位、(CH(CH=CH)SiO1/2シロキサン単位、CHSiO3/2シロキサン単位、及び(CHSi2/2シロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー;シラノール末端ジメチルポリシロキサン;シラノール末端ジネチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー;トリメトキシシロキシ末端ジメチルポリシロキサン;トリメトキシシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー;メチルジメトキシシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、及びこれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
オルガノポリシロキサンの量は、組成物の重量に基づいて、好ましくは1~40重量%、より好ましくは5~30重量%、更により好ましくは5~20重量%である。
【0015】
(B)充填剤
組成物に使用される充填剤は、通常、粒子であり、硬化シリコーン材料の特性を向上させる。このような充填剤の例としては、補強充填剤、電気伝導性充填剤、及び熱伝導性充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明では、熱伝導性充填剤が好ましい。熱伝導性充填剤の熱伝導率は、好ましくは20W/mK以上、より好ましくは50W/mK以上、更により好ましくは100W/mK以上である。このような熱伝導性充填剤の例としては、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭素繊維、カーボンブラック、並びに銀、銅、アルミニウム、ニッケル、及び鉄などの金属粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
充填剤の平均粒径は、好ましくは0.1~200マイクロメートル、より好ましくは0.1~100マイクロメートル、更により好ましくは0.1~50マイクロメートルである。
【0017】
組成物中の充填剤の量は、組成物の重量に基づいて、50~95重量%、好ましくは80~95重量%である。
【0018】
(C)2つの特定のオルガノポリシロキサンの混合物を含む充填剤処理剤
本開示における用語「充填剤処理剤」は、化学的又は物理的に充填剤の表面に結合することができる剤であって、結果として、シリコーン組成物中の充填剤の量を増加させることができるものを意味する。理論に束縛されるものではないが、本発明に使用される充填剤処理剤によって、処理された充填剤とマトリックスポリマーとの相溶性を高めることができ、これにより、組成物は大量の充填剤を含むことができると考えられる。いくつかの場合では、充填剤処理剤は、充填剤の表面上の官能基(ヒドロキシル基など)と反応することができる。
【0019】
組成物に使用される充填剤処理剤は、2つの特定のオルガノポリシロキサンの混合物である。2つのオルガノポリシロキサンは、以下の式(I)及び(II)によって表される。
【0020】
式(I)
Si-[(CHn1(MeSiO)m1-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (I)
【0021】
式(I)中、「Me」は、メチル基である。R、R、及びRは、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、2~4個の炭素原子を有するアルケニル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基、又は-(OSiR)から選択され、R、R、及びRは、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。n1、n2、m1、m3、及びoは、1~200の整数であり、m2、n3、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない。好ましくは、m1及びm3は、5~200の整数である。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、式(I)の化合物は、化学結合又は物理的結合のいずれかによって充填剤の表面に容易に結合することができ、充填剤にオルガノポリシロキサン(マトリックスポリマー)とのより良好な親和性を与えることができ、これにより、大量の充填剤が充填されても、シリコーン組成物を流動性にし、加工性が良好になると考えられる。
【0023】
式(I)により表される化合物の例としては:
VIMeSi(MeSiO)27SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
VIMeSi(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
VIMeSi(MeSiO)125SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
(OSiMeSiMe-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
17-(MeSiO)25SiMe-(CH-Si(OMe)
17-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)
(C17-(MeSiO)65SiMe-(CH-Si(OMe))、
及び(C17-(MeSiO)115SiMe-(CH-Si(OMe))、
(これらの式中、「Vi」は、ビニル基を意味する)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
式(II)
(RO)Si-[(CHn1(MeSiO)m1-(CHn4-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR (II)
【0025】
式(II)中、R及びRは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、n1、m1、m3、o、及びn2は、1~200の整数であり、n3、n4、m2、r、及びpは、0~200の整数であり、r及びpは、同時に0になることがない。好ましくは、m1及びm3は、5~200の整数である。
【0026】
式(II)により表される化合物の例としては:
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)27SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)125SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)25SiMe-(CH-Si(OMe)
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)65SiMe-(CH-Si(OMe)、及び
(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)115SiMe-(CH-Si(OMe)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
式(I)の化合物の、式(II)の化合物に対するモル比((I)/(II))は、2~15、好ましくは6~12である。
【0028】
2つの特定のオルガノポリシロキサンの混合物は、組成物が大量の熱伝導性充填剤を含んでいても、取り扱い特性が良好である。理論に束縛されるものではないが、2つの特定のオルガノポリシロキサンは組成物中の充填剤処理剤として一緒に働き、充填剤とマトリックスポリマーとの相溶性を高めると考えられる。式(I)及び式(II)の化合物は末端アルコキシ基を有するので、充填剤の表面上のヒドロキシル基と反応することができる。加えて、2つの異なる化合物の混合物によって、大量の充填剤を含む化合物の粘度を低下させることができ、化合物のうちの一方の単独での使用よりも粘度の安定性の向上に役立つことができる。
【0029】
組成物中の充填剤処理剤の量は、組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは0.1~10重量%である。
【0030】
充填剤処理剤は、様々な反応によって調製することができ、その例は、以下のスキーム1~3として示される3つの方法である。
【0031】
スキーム1:
Si-[O-(MeSiO)m3-SiR+HMeSi(MeSiO)m2-(CHn3Si(OR+Pt→RSi-[O-(MeSiO)m3-SiR+RSi-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR+(ORSi-(CHn3-(MeSiO)m2-(CHn2-(MeSi)-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR
【0032】
この反応は、ビス-アルケニル基末端オルガノポリシロキサンと、SiH基を有するオルガノシロキサンとのヒドロシリル化である。ヒドロシリル化の触媒は当該技術分野において公知であるが、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金担持アルミナ、及び白金担持炭素によって例示される。触媒の中でも、白金担持アルミナ及び白金担持炭素が好ましい。[RSi-[O-(MeSiO)m3-SiR]の、[HMeSi(MeSiO)m2-(CHn3Si(OR]に対するモル比は、2~10、好ましくは2~6である。触媒の、[RSi-[O-(MeSiO)m3-SiR]に対する重量比は、触媒からの金属として、0.01~1000ppm、好ましくは0.1~500ppmである。反応温度は基本的に40~120℃であり、反応時間は30~240分である。室温まで冷却した後、得られた混合物を触媒から濾過によって分離することができ、未反応の原料及び副生成物を真空下で除去することができる。
【0033】
スキーム2:
Si-[O-(MeSiO)m3-SiR+HMeSi(MeSiO)m2-(CHn3Si(OR+MeSiOSiHMeOSiMe+Pt→RSi-(CHn1(MeSi)-[O-(MeSiO)m3-(CHn1(MeSi)-SiR+RSi-(CHn1(MeSi)-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR+(ORSi-(CHn3-(MeSiO)m2-(CHn2-(MeSi)-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-(MeSiO)m2-(CHn3-Si(OR
【0034】
この反応は、ビス-アルケニル基末端オルガノポリシロキサンと、SiH基を有するオルガノシロキサンとのヒドロシリル化である。ヒドロシリル化の触媒は当該技術分野において公知であるが、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金担持アルミナ、及び白金担持炭素によって例示される。触媒の中でも、白金担持アルミナ及び白金担持炭素が好ましい。MeSiOSiHMeOSiMeの、HMeSi(MeSiO)m2-(CHn3Si(ORに対するモル比は、2~10、好ましくは3~8である。触媒の、[RSi-[O-(MeSiO)m3-SiR]に対する重量比は、触媒からの金属として、0.01~1000ppm、好ましくは0.1~500ppmである。反応温度は基本的に40~120℃であり、反応時間は30~240分である。室温まで冷却した後、得られた混合物を触媒から濾過によって分離することができ、未反応の原料及び副生成物を真空下で除去することができる。
【0035】
スキーム3:
HSi-[O-(MeSiO)m3-SiHR+Vi(CHn1CH+Vi(CHn2-2Si(OR+Pt→RSi-[O-(MeSiO)m3-SiR+RSi-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)(CHn2-Si(OR+(RO)Si-(CHn2-(MeSi)-[O-(MeSiO)m3-(MeSi)-(CHn2-Si(OR
【0036】
この反応は、ビス-水素基末端オルガノポリシロキサンと、アルケン及びアルケニルトリメトキシシランとのヒドロシリル化である。ヒドロシリル化の触媒は当該技術分野において公知であるが、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金担持アルミナ、及び白金担持炭素によって例示される。触媒の中でも、白金担持アルミナ及び白金担持炭素が好ましい。Vi(CHn1CHの、Vi(CHn2-2Si(ORに対するモル比は、2~10、好ましくは3~8である。触媒の、[RHSi-[O-(MeSiO)m3-SiHR]に対する重量比は、触媒からの金属として、0.01~1000ppm、好ましくは0.1~500ppmである。反応温度は基本的に40~120℃であり、反応時間は30~240分である。室温まで冷却した後、得られた混合物を触媒から濾過によって分離することができ、未反応の原料及び副生成物を真空下で除去することができる。
【0037】
(D)他の成分
本発明の組成物を、硬化剤によって硬化させることができる。
【0038】
組成物をヒドロシリル化反応によって硬化させるとき、硬化剤は、白金触媒、及び1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンを含む。オルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、部分的に分枝状の直鎖状、環状、及びデンドリマー構造であってもよい。オルガノポリシロキサンは、ホモポリマー、若しくはコポリマー、又はこのようなポリマーの混合物であってもよい。オルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー;ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー;(CHSiO1/2シロキサン単位、(CHHSiO1/2シロキサン単位、及びSiO4/2シロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー、並びにこれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。オルガノポリシロキサンの量は、成分(A)中のマトリックス樹脂の1モルのSiVi基当たり、好ましくは0.2~2.0モルのオルガノポリシロキサンのSiHが存在するように設定される。
【0039】
好適な白金触媒は当該技術分野において公知であり、例としては、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金担持アルミナ、及び白金担持炭素が挙げられるが、これらに限定されない。白金触媒の量は、SiViオルガノポリシロキサンとSiHオルガノポリシロキサンとの合わせた重量に対して、触媒からの白金金属として、好ましくは0.1~500ppmである。
【0040】
組成物を縮合反応によって硬化させるとき、硬化剤は、各分子中に少なくとも3個のケイ素結合加水分解性基を有するシラン又はシロキサンオリゴマー、及び任意選択的に縮合触媒を含む。このようなシラン及びシロキサンオリゴマーの例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、及びエチルオルトシリケートが挙げられるが、これらに限定されない。シラン又はシロキサンオリゴマーの量は、(A)成分と硬化剤との合計に対して、好ましくは70~99重量部である。
【0041】
縮合触媒は当該技術分野において公知であり、例としては、ジブチルスズジアセテート、(テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、亜鉛ナフテート、及び3-アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。縮合触媒の量は、(A)成分と硬化剤との100部に対して、好ましくは5~15重量部である。
【0042】
組成物は、任意選択的に他の成分;例えば、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及びヒュームド酸化チタンなどの補強充填剤;顔料;染料;安定剤;難燃剤;可塑剤;及び接着促進剤を含んでもよい。特に、組成物をヒドロシリル化反応によって硬化させることができる場合、組成物は、阻害剤を更に含むことにより、組成物の硬化速度を調節し、その取り扱いを向上させることができる。このような阻害剤の例としては、2-メチル-3-ブチン-2-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノールなどのアセチレン化合物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、及び3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエンイン化合物;ヒドラジン化合物;ホスフィン化合物、並びにメルカプタン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような阻害剤の含有量は様々であり、必要な硬化速度に依存するが、一例は、組成物の総量に対して、0.0001~1.0重量%である。
【0043】
組成物を調製する際、充填剤処理剤(成分C)を充填剤(成分B)と予備混合して、充填剤の表面を前処理することができ、次いで、表面処理された充填剤をオルガノポリシロキサン(成分A)と混合することができる。又は、充填剤(成分B)をオルガノポリシロキサン(成分A)と混合することができ、次いで、充填処理剤(成分C)を、成分Aと成分Bとの混合物に添加することができる。他の場合では、オルガノポリシロキサン(成分A)、充填剤(成分B)、及び充填剤処理剤(成分C)を、一度に混合することができる。
【0044】
本発明の組成物は、典型的には、1部又は2部のいずれかとして配合される。
【0045】
本発明の組成物が架橋性オルガノポリシロキサンを含むとき、組成物は硬化され、充填剤を含む硬化シリコーン材料を形成することができる。別の場合では、非反応性ポリマーマトリックスが使用されるとき、組成物を、硬化ステップなしで使用することができる。材料は、ゴム、ゲル、グリース、スラリー、ペースト、及びポッタントであってもよい。
【0046】
充填剤が熱伝導性充填剤であるとき、硬化材料は、熱伝導性である。硬化材料の熱伝導率は、好ましくは1.0W/m.K以上、より好ましくは1.5W/m.K以上、更により好ましくは2.0W/m.K以上である。
【実施例
【0047】
<表面処理剤の合成>
C-1:88.7gのジビニル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)(粘度30mPa・s、ビニル含有量2.4重量%)、5.7gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金担持アルミナ触媒の白金含有量1%、組成物中の白金金属の濃度30ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0048】
C-2:105.4gのジビニル末端PDMS(粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%)、3.5gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.2gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0049】
C-3:154.5gのジビニル末端PDMS(粘度200mPa・s、ビニル含有量0.6重量%)、2.1gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0050】
C-4:135gのジビニル末端PDMS(粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%)、4.6gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、10.7gの(MeSiO)SiHMe、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を65℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0051】
C-5:135gのジハイドロジェン末端PDMS(粘度30mPa・s、水素含有量0.11重量%)、6.4gのヘキセニルトリメトキシシラン、10.5gの1-オクテン、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を65℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0052】
C-6:146.9gのジハイドロジェン末端PDMS(粘度60mPa・s、水素含有量0.06重量%)、4.5gのヘキセニルトリメトキシシラン、7.4gの1-オクテン、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を65℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0053】
C-7:214.3gのジハイドロジェン末端PDMS(粘度90mPa・s、水素含有量0.04重量%)、4.6gのヘキセニルトリメトキシシラン、7.6gの1-オクテン、及び0.45gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を65℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0054】
C-8:107.6gのジハイドロジェン末端PDMS(粘度200mPa・s、水素含有量0.013重量%)、1.2gのヘキセニルトリメトキシシラン、2.1gの1-オクテン、及び0.3gの、白金担持アルミナ(白金金属として30ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を65℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0055】
C-11:84.3gのジビニル末端PDMS(粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%)、5.6gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.2gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0056】
C-12:120.6ggのジビニル末端PDMS(粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%)、5.6gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.2gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0057】
C-13:105.4gのジビニル末端PDMS(粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%)、2.8gのHMeSiOMeSiCSi(OMe)、及び0.2gの、白金担持アルミナ(白金金属として20ppm)を、250mLフラスコに添加した。原料を100℃で4時間混合した。25℃まで冷却した後、混合物を濾過して、触媒粉末を除去し、180℃/<1Torrでストリッピングした。
【0058】
下記の成分を表1~表4に示す比率(重量%)で混合することにより、実施例1~15及び比較例1~4を調製した。
【0059】
表1、表2、及び表4について:(A)、(B)、(C)を高速ミキサにより混合し、D-2、D-3、D-4、及びD-5を添加し混合して、D-1を最後に添加し混合した。
【0060】
表3について:(A)、(B)、(C)を室温で10分間混合し、120℃まで加熱して、60分間混合した。40℃を下回るまで冷却した後、D-2、D-3、D-4、及びD-5を添加し均一に混合して、D-1を最後に添加し均一に混合した。
【0061】
<測定>
以下の方法及び機器を使用して、成分の特性を分析した。
[粘度]スピンドル21番を備えるBrookfield HADV II粘度計、1RPM、25℃。
[熱伝導率]ホットディスク、硬化試料(80℃、30分)、厚さ9mm。
[硬度]ショアA、硬化試料(80℃、30分)、厚さ9mm。
[引張強度及び伸び]ASTM D412参照、シート厚さ2mm、80℃で30分間硬化。
[アルミニウムに対する重ね剪断]ASTM D-816参照、2つのQパネル(Alclad2024T3)を、厚さ2mmの組成物(接着面積:25mm×25mm)で接着し、次いで80℃、30分で硬化させた。1つの積層体を引張試験機に置き、剪断によって引き離し、強度を記録する。
[水平流動性]1mLの試料をガラス上に分与し、広げて円を室温で4時間かけて形成した後、図1に示すように球体の断面直径(mm)を記録した。水平流動性は、図1におけるD1とD2との合計である。
【0062】
<成分A~D>
A-1:ジビニル末端PDMS、25℃での粘度70mPa・s、ビニル含有量1.2重量%
A-2:ジビニル末端PDMS、25℃での粘度200mPa・s、ビニル含有量0.6重量%
B-1:不定形アルミナ粉末、平均粒径4マイクロメートル
B-2:球状アルミナ粉末、平均粒径40マイクロメートル
C-1:VIMeSiO(MeSiO)27SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)27SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)27SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-2:VIMeSiO(MeSiO)58SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-3:VIMeSiO(MeSiO)125SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)125SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OSiMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)125SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-4:(OSiMeSiMe-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-SiMe(OSiMeと、(OSiMeSiMe-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-5:C17-(MeSiO)25SiMe-C17と、C17-(MeSiO)25SiMe-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)25SiMe-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-6:C17-(MeSiO)45SiMe-C17と、C17-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-7:C17-(MeSiO)65SiMe-C17と、C17-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)65SiMe-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-8:C17-(MeSiO)115SiMe-C17と、C17-(MeSiO)45SiMe-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)115SiMe-(CH-Si(OMe)との、混合物(モル比は、56:38:6である)
C-9:ViMeSiO(MeSiO)27Si(OMe)
C-10:MeSiO(MeSiO)130Si(OMe)
C-11:VIMeSiO(MeSiO)58SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物
(モル比は、50:25:25である)
C-12:VIMeSiO(MeSiO)58SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物
(モル比は、46:42:12である)
C-13:VIMeSiO(MeSiO)58SiMeViと、VIMeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)と、(OMe)Si-(CH-(MeSiO)-(CH-MeSiO(MeSiO)58SiMe-(CH-(MeSiO)-(CH-Si(OMe)との、混合物
(モル比は、32:64:4である)
D-1:1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(白金)、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサンにて希釈
D-2:ジハイドロジェン末端PDMS、25℃での粘度10mPa・s、水素含有量0.14重量%
D-3:ジハイドロジェン末端PDMS、25℃での粘度10mPa・s、水素含有量0.33重量%
D-4:架橋剤として、トリメチルシリル末端ジメチル、メチルハイドロジェンシロキサン、25℃での粘度5mPa・s、水素含有量0.36重量%
D-5:カーボンブラック顔料
D-6:阻害剤、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン

【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、本発明による充填剤表面処理剤を含有する組成物により、多い伝導性充填剤充填量で低粘度を維持するための、モノ-Si(OMe)オリゴマー処理剤よりも良好な安定性が得られる。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示すように、ビニル末端基を有する本発明による充填剤表面処理剤を含有する組成物により、アルキル末端基よりも硬い弾性率が得られる。
【0067】
実施例12:
【表3】
【0068】
表3に示すように、本発明による充填剤表面処理剤を用いた組成物により、大量の伝導性充填剤を充填しても、低粘度/高流動性、良好なレベルの引張特性及び接着性が示される。
【0069】
【表4】
【0070】
表4に示すように、式(I)と(II)とのモル比を変化させた本発明による充填剤表面処理剤を含有する組成物は、多い伝導性充填剤充填量で低粘度を維持するために効果的である。
図1