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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20230208BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20230208BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230208BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L23/48 L
H01L25/04 C
H01L25/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020528586
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025308
(87)【国際公開番号】W WO2020008545
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-093977(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059702(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0189259(US,A1)
【文献】国際公開第2018/047485(WO,A1)
【文献】特開2011-142172(JP,A)
【文献】特開2005-217072(JP,A)
【文献】特開2012-248658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
H01L 25/07-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板の一方側に設けられた第一電子素子と、
前記第一電子素子の一方側に設けられた第一接続体と、
前記第一接続体の一方側に設けられた第二電子素子と、
前記第二電子素子の一方側に設けられた第二接続体と、
を備え、
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から延びる複数の第一支持部を有し、
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から延びる複数の第二支持部を有し、
少なくとも1つの第一支持部が前記第一ヘッド部から面方向で延びる方向と、少なくとも1つの第二支持部が前記第二ヘッド部から面方向で延びる方向の角度は0度から±45度の範囲となっている電子モジュール。
【請求項2】
前記第一電子素子と前記第二電子素子とは面方向で重複していない請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記第一電子素子の一方側の面は、前記第二電子素子の他方側に位置する前記第一接続体の他方側の面よりも一方側に位置する請求項に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記第一接続体は、他方側に前記第一電子素子が設けられる第一ヘッド領域と、一方側に前記第二電子素子が設けられる第二ヘッド領域と、面方向において第一ヘッド領域と第二ヘッド領域との間に設けられた屈曲部と、を有する請求項2又は3に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から他方側に延びた複数の第一柱部を有し、
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から他方側に延びた第二柱部を有し、
前記第二電子素子、一つの第一柱部及び前記第二柱部は面方向で重複し、その他の一つ以上の第一柱部と第二柱部とは面方向で重複しない請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記第一電子素子、前記第一接続体、前記第二電子素子及び前記第二接続体を封止する封止部をさらに備え、
前記第一電子素子の一方側には前記第一接続体及び前記封止部だけが設けられる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記第一電子素子、前記第一接続体、前記第二電子素子及び前記第二接続体を封止する封止部と、
前記第二接続体の一方側に設けられた第二基板と、をさらに備え、
前記第二基板と前記第一電子素子との厚み方向における間には、前記第一接続体及び封止部又は前記第一接続体、前記封止部及び前記第二基板の他方側に設けられた第二導体層だけが設けられる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記第二接続体の一方側に設けられた第二基板をさらに備え、
前記第二基板と前記第一接続体との間にスペーサが設けられる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から延びる複数の第一支持部を有し、
少なくとも一つの第一支持部は電気的に機能し、少なくとも一つの第一支持部は電気的に機能しない請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から延びる複数の第二支持部を有し、
少なくとも一つの第二支持部は電気的に機能し、少なくとも一つの第二支持部は電気的に機能しない請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続体を有する電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子素子が封止樹脂内に設けられた電子モジュールが従来から知られている。このような電子モジュールに関して小型化することが望まれている。小型化する一つの手段として、電子素子を層状に積み重ねていく態様を採用することが考えられる。このような態様としては国際公開公報2016/067383が知られている。
【0003】
しかしながら、この国際公開公報2016/067383では、電子素子に含まれる半導体素子が対向する二つの基板に設けられることが提案されているだけである。また、基板を2つ設けた場合には製造コストがかかったり面方向の大きさが大きくなったりすることから、可能であれば基板を1つだけにしたいという顧客がいる。他方、放熱効果を鑑みると基板を2つ設けたいという顧客もいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い放熱効果を得ることができ、一つの基板しか設けられていなくても実用化できる電子モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[概念1]
本発明による電子モジュールは、
第一基板と、
前記第一基板の一方側に設けられた第一電子素子と、
前記第一電子素子の一方側に設けられた第一接続体と、
前記第一接続体の一方側に設けられた第二電子素子と、
前記第二電子素子の一方側に設けられた第二接続体と、
を備え、
前記第一電子素子と前記第二電子素子と概念面方向で重複しなくてもよい。
【0006】
[概念2]
本発明の概念1による電子モジュールにおいて、
前記第一電子素子の一方側の面は、前記第二電子素子の他方側に位置する前記第一接続体の他方側の面よりも一方側に位置してもよい。
【0007】
[概念3]
本発明の概念1又は2のいずれかによる電子モジュールにおいて、
前記第一接続体は、他方側に前記第一電子素子が設けられる第一ヘッド領域と、一方側に前記第二電子素子が設けられる第二ヘッド領域と、面方向において第一ヘッド領域と第二ヘッド領域との間に設けられた屈曲部と、を有してもよい。
【0008】
[概念4]
本発明の概念1乃至3のいずれか1つによる電子モジュールにおいて、
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から他方側に延びた複数の第一柱部を有し、
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から他方側に延びた第二柱部を有し、
前記第二電子素子、一つの第一柱部及び前記第二柱部は面方向で重複し、その他の一つ以上の第一柱部と第二柱部とは面方向で重複しなくてもよい。
【0009】
[概念5]
本発明の概念1乃至4のいずれか1つによる電子モジュールは、
前記第一電子素子、前記第一接続体、前記第二電子素子及び前記第二接続体を封止する封止部をさらに備え、
前記第一電子素子の一方側には前記第一接続体及び前記封止部だけが設けられてもよい。
【0010】
[概念6]
本発明の概念1乃至4のいずれか1つによる電子モジュールは、
前記第一電子素子、前記第一接続体、前記第二電子素子及び前記第二接続体を封止する封止部と、
前記第二接続体の一方側に設けられた第二基板と、をさらに備え、
前記第二基板と前記第一電子素子との厚み方向における間には、前記第一接続体及び封止部又は前記第一接続体、前記封止部及び前記第二基板の他方側に設けられた第二導体層だけが設けられてもよい。
【0011】
[概念7]
本発明の概念1乃至4のいずれか1つによる電子モジュールは、
前記第二接続体の一方側に設けられた第二基板をさらに備え、
前記第二基板と前記第一接続体との間にスペーサが設けられてもよい。
【0012】
[概念8]
本発明の概念1乃至7のいずれか1つによる電子モジュールにおいて、
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から延びる複数の第一支持部を有し、
少なくとも一つの第一支持部は電気的に機能し、少なくとも一つの第一支持部は電気的に機能しなくてもよい。
【0013】
[概念9]
本発明の概念1乃至8のいずれか1つによる電子モジュールにおいて、
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から延びる複数の第二支持部を有し、
少なくとも一つの第二支持部は電気的に機能し、少なくとも一つの第二支持部は電気的に機能しなくてもよい。
【0014】
[概念10]
本発明の概念1乃至9のいずれか1つによる電子モジュールにおいて、
前記第一接続体は、第一ヘッド部と、前記第一ヘッド部から延びる複数の第一支持部を有し、
前記第二接続体は、第二ヘッド部と、前記第二ヘッド部から延びる複数の第二支持部を有し、
前記第一支持部が前記第一ヘッド部から面方向で延びる方向と、前記第二支持部が前記第二ヘッド部から面方向で延びる方向の角度は0度から±45度の範囲となってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様において、第一電子素子と第二電子素子とを面方向で重複させない態様を採用した場合には、高い放熱効果を得ることができる。また、このような態様を採用することから、一つの基板しか設けられていなくても実用化でき、一つの基板を設ける態様と二つの基板を設ける態様とを適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる電子モジュールの封止部内の構成を示した側方図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる電子モジュールの平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる電子モジュールの封止部内の構成を拡大した側方図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる第一接続体の斜視図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる第一接続体の側方図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる第二接続体の平面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる第二接続体を他方側(裏面側)から見た斜視図である。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる電子モジュールの外観を示した斜視図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる第一電子素子及び第二電子素子を示した側方図である。
図10図10(a)は本発明の第2の実施の形態で用いられうる電子モジュールを示した側方図であり、図10(b)は図10(a)において第二基板が設けられていない態様を示した側方図である。
図11図11(a)は本発明の第3の実施の形態で用いられうる電子モジュールを示した側方図であり、図11(b)は図11(a)において第二基板及びスペーサが設けられていない態様を示した側方図である。
図12図12は、図1に示した態様において、第二基板及びスペーサが設けられた態様を示した側方図である。
図13図13は、本発明の第4の実施の形態で用いられうる第一接続体及び第二接続体の関係を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
《構成》
本実施の形態において、「一方側」は図1の上方側を意味し、「他方側」は図1の下方側を意味する。図1の上下方向を「第一方向」と呼び、左右方向を「第二方向」と呼び、紙面の表裏方向を「第三方向」と呼ぶ。第二方向及び第三方向を含む方向を「面方向」という。
【0018】
本実施の形態の電子モジュールは、図1に示すように、第一基板11と、第一基板11の一方側に設けられた第一電子素子13と、第一電子素子13の一方側に設けられた第一接続体60と、第一接続体60の一方側に設けられた第二電子素子23と、第二電子素子23の一方側に設けられた第二接続体70と、を有してもよい。第一電子素子13と第二電子素子23とは面方向で重複していなくてもよい。但し、このような態様に限られることはなく、第一電子素子13と第二電子素子23とは面方向で重複してもよい。第一電子素子13はその一部又は全部が第二電子素子23と面方向で重複してもよい。第二電子素子23はその一部又は全部が第一電子素子13と面方向で重複してもよい。また、第二接続体70は設けられなくてもよい。
【0019】
第一基板11の一方側には銅等の金属からなる第一導体層12が設けられてもよい。この第一導体層12にはんだ等の導電性接着剤を介して第一電子素子13が設けられてもよい。
【0020】
第一電子素子13と第一接続体60との間、第一接続体60と第二電子素子23との間及び第二電子素子23と第二接続体70との間には、はんだ等の導電性接着剤(図示せず)が設けられてもよい。
【0021】
図3に示すように、第一電子素子13の一方側の面(図3の上面)は、第二電子素子23の他方側に位置する第一接続体60の他方側の面(図3の下面)60bよりも一方側に位置してもよい。図3に示す態様では、第一接続体60の他方側の面60bは、後述する第一柱部62bの他方側の面となっている。但し、このような態様に限られることはなく、第一電子素子13の一方側の面は、第二電子素子23の他方側に位置する第一接続体60の他方側の面60bよりも他方側(下方側)に位置してもよい。
【0022】
第一接続体60は屈曲部69を有し、面方向において屈曲部69を挟んで第一電子素子13と第二電子素子23が設けられてもよい。より具体的には、図4及び図5に示すように、第一接続体60が、他方側に第一電子素子13が設けられる第一ヘッド領域61aと、一方側に第二電子素子23が設けられる第二ヘッド領域61bと、面方向において第一ヘッド領域61aと第二ヘッド領域61bとの間に設けられた屈曲部69と、を有する態様を採用してもよい。
【0023】
図8に示すように、第一電子素子13、第一接続体60、第二電子素子23及び第二接続体70を封止する封止樹脂等からなる封止部90が設けられてもよい。
【0024】
電子モジュール内において、第二接続体70の一方側及び第一接続体60のうち第一電子素子13が設けられた領域の一方側(第一ヘッド領域61aのうちの一部の一方側)には封止部90だけが設けられ、他の部材は設けられないような態様であってもよい(図3参照)。
【0025】
第一電子素子13はスイッチング素子であってもよいし、制御素子であってもよい。第一電子素子13がスイッチング素子である場合には、第一電子素子13はMOSFETやIGBT等であってもよい。第二電子素子23はスイッチング素子であってもよいし、制御素子であってもよい。第二電子素子23がスイッチング素子である場合には、第二電子素子23はMOSFETやIGBT等であってもよい。第一電子素子13及び第二電子素子23の各々は半導体素子から構成されてもよく、半導体材料としてはシリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム等であってもよい。第一電子素子13の他方側の面は第一導体層12とはんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。
【0026】
図3乃至図5に示すように、第一接続体60は、第一ヘッド部61と、第一ヘッド部61から他方側に延びた第一柱部62を有してもよい。第一接続体60は、第一電子素子13の一方側に位置する第一ヘッド領域61a及び第一柱部62aと、第二電子素子23の他方側に位置する第一ヘッド領域61b及び第一柱部62bと、を有してもよい。第一接続体60は断面が略T字形状となってもよい。
【0027】
図3に示すように、第一ヘッド領域61aの他方側に第一電子素子13が設けられ、第二ヘッド領域61bの一方側に第二電子素子23が設けられてもよい。
【0028】
図6及び図7に示すように、第二接続体70は、第二ヘッド部71と、第二ヘッド部71から他方側に延びた第二柱部72を有してもよい。第二接続体70も断面が略T字形状となってもよい。
【0029】
前述した第一柱部62及び第一柱部62bのように、第一接続体60は、複数の第一柱部62(62a,62b)を有してもよい。そのうちの一つの第一柱部62と第二柱部72とは面方向で重複し、その他の一つ以上の第一柱部62と第二柱部72とは面方向で重複しなくてもよい。図3に示す態様では、第一柱部62bと第二柱部72とが面方向で重複し、第一柱部62aと第二柱部72とは面方向で重複していない。
【0030】
図4に示すように、第一接続体60は、第一ヘッド部61から延びる一つ又は複数の第一支持部63を有してもよい。複数の第一支持部63が設けられる場合には、少なくとも一つの第一支持部63が電気的に機能し、少なくとも一つの第一支持部63が電気的に機能しないような態様を採用してもよい。図4に示す態様では、一つの第一支持部63だけが電気的に機能し、その他の5つの第一支持部63が電気的に機能しないような態様を採用してもよい。
【0031】
図6に示すように、第二接続体70は、第二ヘッド部71から延びる一つ又は複数の第二支持部73を有してもよい。複数の第二支持部73が設けられる場合には、少なくとも一つの第二支持部73が電気的に機能し、少なくとも一つの第二支持部73が電気的に機能しないような態様を採用してもよい。図6に示す態様では、一つの第二支持部73だけが電気的に機能し、その他の3つの第二支持部73が電気的に機能しないような態様を採用してもよい。
【0032】
図2に示すように、第一電子素子13の一方側に第三接続体80が設けられてもよい。第二電子素子23の一方側に第四接続体85が設けられてもよい。第三接続体80及び第四接続体85としては、一般的な接続子を利用してもよい。
【0033】
図9(a)に示すように、第一電子素子13は、一方側の面に第一素子第一電極(例えば第一ソース電極)13sと第一素子第二電極(例えば第一ゲート電極)13gとを有し、図9(b)に示すように、第二電子素子23は、一方側の面に第二素子第一電極(例えば第二ソース電極)23sと第二素子第二電極(例えば第二ゲート電極)23gを有してもよい。この場合、第二接続体70の例えば第二柱部72が第二電子素子23の第二素子第一電極23sに導電性接着剤を介して接続され、第四接続体85が第二電子素子23の第二素子第二電極23gに導電性接着剤を介して接続されてもよい。また、第一接続体60は第一電子素子13の第一素子第一電極13sと第二電子素子23の他方側に設けられた第二素子第三電極(例えば第二ドレイン電極)23dとを導電性接着剤を介して接続してもよい。なお、第一接続体60の第一柱部62が他方側に位置する第一電子素子13の第一素子第一電極13sに導電性接着剤を介して当接し、第一接続体60の第二ヘッド領域61bが一方側に位置する第二素子第三電極23dに導電性接着剤を介して当接してもよい。第一電子素子13の第一素子第二電極13gは導電性接着剤を介して接続子等からなる第三接続体80に接続され、当該第三接続体80は導電性接着剤を介して第一導体層12に接続されてもよい。
【0034】
このような態様とは異なり、第一電子素子13は、他方側の面に第一素子第一電極13sと第一素子第二電極13gを有し、一方側の面に第一素子第三電極13dを有してもよい。また、第二電子素子23は、他方側の面に第二素子第一電極23sと第二素子第二電極23gを有し、一方側の面に第二素子第三電極23dを有してもよい。この場合、第二接続体70が第二素子第三電極23dに接続されてもよい。また、第一接続体60は第一電子素子13の一方側に設けられた第一素子第三電極13dと第二電子素子23の他方側に設けられた第二素子第一電極23sとを電気的に接続してもよい。
【0035】
図2に示すように、第一導体層12は端子部5と接続されてもよく、端子部5の先端側は封止部90の外方に露出して、外部装置と接続可能となってもよい。
【0036】
第一基板11としては、セラミック基板、絶縁樹脂層等を採用することができる。導電性接着剤としては、はんだの他、AgやCuを主成分とする材料を用いることもできる。第一接続体60及び第二接続体70の材料としてはCu等の金属を用いることができる。なお、第一基板11としては例えば回路パターニングを施した金属基板を用いることもでき、この場合には、第一基板11が第一導体層12を兼ねることになる。
【0037】
端子部5と第一導体層12との接合は、はんだ等の導電性接着剤を利用する態様だけではなく、レーザ溶接を利用してもよいし、超音波接合を利用してもよい。
【0038】
図1に示すように、第一基板11の他方側の面には銅等からなる第一放熱板19が設けられてもよい。この第一放熱板19はヒートシンク等の冷却体に当接されてもよい。
【0039】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果について説明する。なお、「効果」で説明するあらゆる態様を、上記構成で採用することができる。
【0040】
本実施の形態において、図1に示すように、第一電子素子13と第二電子素子23とを面方向で重複させない態様を採用した場合には、一定程度の放熱性を保つことができる。このため、後述するような第二基板21を設けない態様でも高い放熱効果を得ることができる。このため、製造者としては、後述する他の実施の形態で示すような第二基板21を設ける態様と第二基板21を設けない態様とを容易に選択することもできる。この結果、顧客の要望に従って、第二基板21を設ける態様及び第二基板21を設けない態様の両方のいずれも採用することができる。第二基板21を設ける態様でも図1に示すような電子ユニットを採用することから、生産効率を高めることができ、製造原価を抑えることができる。
【0041】
第一電子素子13と第二電子素子23とを面方向で重複させない態様を採用することで、第二電子素子23を設ける側の領域(第二ヘッド領域61b)を第一電子素子13を設ける側の領域(第一ヘッド領域61a)と比較して屈曲部69を用いて他方側に位置づけることできる。このような態様を採用した場合には、厚み方向(第一方向)での大きさ(厚み)を小さくすることができる。
【0042】
図3の右側で示すように、第二電子素子23、一つの第一柱部62b及び第二柱部72が面方向で重複する態様を採用した場合には、第二電子素子23からの熱を第一柱部62bを介して直接的に第一基板11側に逃がし、かつ第二電子素子23からの熱を第二柱部72、第二ヘッド部71及び第二支持部73を介して逃がすことができる。
【0043】
図3の左側で示すように、電子モジュール内において、第二接続体70の一方側には封止部90だけが設けられ、第一電子素子13の一方側には第一接続体60及び封止部90だけが設けられ、他の部材は設けられないような態様を採用した場合には、後述する他の実施の形態と比較して部品点数を減らすとともに厚み方向の大きさを小さくすることを期待できる。
【0044】
図4に示すように第一接続体60が第一ヘッド部61から延びる複数の第一支持部63を有する態様を採用した場合には、第一支持部63を介して熱を第一基板11側に逃がすことができる。また、少なくとも一つの第一支持部63が電気的に機能し、かつ少なくとも一つの第一支持部63が電気的に機能しない態様を採用することで、第一支持部63の一部を電気的な態様で用いつつ、その他の第一支持部63を放熱用に利用できる。
【0045】
図6に示すように第二接続体70が第二ヘッド部71から延びる複数の第二支持部73を有する態様を採用した場合には、第二支持部73を介して熱を第二基板21側に逃がすことができる。また、少なくとも一つの第二支持部73が電気的に機能し、かつ少なくとも一つの第二支持部73が電気的に機能しない態様を採用することで、第二支持部73の一部を電気的な態様で用いつつ、その他の第二支持部73を放熱用に利用できる。
【0046】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0047】
本実施の形態では、図10(a)で示すように、第二接続体70の一方側に第二基板21が設けられている。この態様では、第二基板21又は第二導体層22と第二接続体70は導電性接着剤を介して当接する又は何ら材料を介することなく直接当接し、第二基板21と第一電子素子13との厚み方向(つまり第一方向)における間には、第一接続体60及び封止部90だけが設けられる。なお、図10(b)では、図10(a)に示した態様において第二基板21が設けられていない態様を示している。図10に示す態様では、第1の実施の形態における第一柱部62a及び第二柱部72は設けられておらず、屈曲部69も設けられていない。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0048】
図10(a)に示すように第二基板21を設けることもできる。このような第二基板21を設けるかどうかは顧客からの要望にしたがって決められてもよい。このような第二基板21を設けることで、第二電子素子23からの熱を第二接続体70を介して第二基板21へと逃がすことができ、放熱効果を高めることができる。
【0049】
また、図10(b)に示すように、第二基板21を設けない態様を採用することもできる。この場合には、第二基板21を設けない分、製造コストを下げることができ、また厚み方向(つまり第一方向)での大きさを小さくすることができる。図10(b)に示す態様では、第一電子素子13の一方側には第一接続体60及び封止部90だけが設けられることになる。
【0050】
図10に示す態様では、第一柱部62a及び第二柱部72が設けられていない分、厚み方向での大きさを小さくすることができる。他方、第一電子素子13及び第二電子素子23からの熱を逃がす観点からすると、第1の実施の形態のように第一柱部62a及び第二柱部72が設けられている方が有益である。
【0051】
第二基板21の他方側の面に第二導体層22(図12参照)が設けられてもよい。この場合には、第二基板21と第一電子素子13との厚み方向(つまり第一方向)における間には、第一接続体60、封止部90及び第二導体層22だけが設けられる。
【0052】
第二導体層22と第二基板21とがはんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。第二基板21としては、セラミック基板、絶縁樹脂層等を採用することができる。第二基板21としては例えば回路パターニングを施した金属基板を用いることもでき、この場合には、第二基板21が第二導体層を兼ねることになる。
【0053】
第二基板21の一方側の面はヒートシンク等の冷却体に当接されて放熱が促されてもよい。
【0054】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0055】
本実施の形態でも、第2の実施の形態と同様、第二接続体70の一方側に第二基板21が設けられる。但し、第2の実施の形態とは異なり、図11(a)に示すように、第二基板21と第一接続体60との間に、第二基板21又は第二導体層22の一方側の面と第一接続体60の他方側の面に当接するスペーサ150が設けられる。その他の構成については、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。なお、図11(b)では、図11(a)に示した態様において第二基板21及びスペーサ150が設けられていない態様を示している。
【0056】
本実施の形態のように、スペーサ150が設けられることで、第一電子素子13で発生する熱を当該スペーサ150を介して第二基板21へ効果的に逃がすことができ、放熱効果を高めることができる。スペーサ150としては銅等の金属を用いてもよいし、放熱絶縁性部材であってもよい。また、このようなスペーサ150を設けることで第二基板21の他方側の面を支えることができ、封止部90を封止樹脂で形成する際に第二基板21の厚み方向での位置がずれてしまう可能性を低減できる。
【0057】
図12図1に示した態様において、スペーサ150及び第二基板21が設けられた態様を示している。図12で示すように、第二基板21の一方側には第二放熱板29が設けられてもよい。また、第二基板21の面方向の大きさは第一基板11の面方向の大きさよりも小さくなってもよい。
【0058】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0059】
本実施の形態では、第一支持部63が第一ヘッド部61から面方向で延びる方向と、第二支持部73が第二ヘッド部71から面方向で延びる方向の角度が0度から±45度の範囲となっている。図13に示す態様では、全ての第一支持部63及び全ての第二支持部73に関して、第一支持部63が第一ヘッド部61から面方向で延びる方向と、第二支持部73が第二ヘッド部71から面方向で延びる方向は同じ方向(第二方向)となっており、これらの方向の角度は面方向において0度となっている。なお、支持部63,73とは、ヘッド部61,71よりも小さな幅を有し面方向で突出している部分のことを意味しており、図13に示す態様では第三方向における幅がヘッド部61,71よりも小さく、第二方向に沿って面方向で突出している部分のことを意味している。その他の構成については、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0060】
本実施の形態のように第一支持部63が第一ヘッド部61から面方向で延びる方向と、第二支持部73が第二ヘッド部71から面方向で延びる方向は0度から±45度の範囲となっている態様を採用することで、第一接続体61及び第二接続体71の幅方向(図13では第三方向)の大きさを小さくすることができ、ひいては電子装置の幅方向の大きさを小さくすることができる。この観点からすると、第一支持部63が第一ヘッド部61から面方向で延びる方向と第二支持部73が第二ヘッド部71から面方向で延びる方向は0度であることが有益であり、全ての第一支持部63及び全ての第二支持部73において、第一支持部63が第一ヘッド部61から面方向で延びる方向と第二支持部73が第二ヘッド部71から面方向で延びる方向が0度であることが有益である。
【0061】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0062】
11 第一基板
13 第一電子素子
21 第二基板
23 第二電子素子
60 第一接続体
60b 第一接続体の他方側の面
61 第一ヘッド部
61a 第一ヘッド領域
61b 第二ヘッド領域
63 第一支持部
69 屈曲部
70 第二接続体
71 第二ヘッド部
73 第二支持部
90 封止部
150 スペーサ
図1
図2
図3
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図13