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特許7223036アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム
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  • 特許-アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム 図1
  • 特許-アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム 図2
  • 特許-アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム 図3A
  • 特許-アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム 図3B
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  • 特許-アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】アタッチメントシステムを用いて飛行場および舗装道路から冬期障害物を移動させかつ除去する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/07 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
E01H5/07
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020565272
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CA2019050695
(87)【国際公開番号】W WO2019222844
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】62/675,309
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520117086
【氏名又は名称】イーグル エアロスペース,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EAGLE AEROSPACE, LTD.
【住所又は居所原語表記】10 Trent Drive, Campbellford, Ontario K0L 1L0, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ライル マキューン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル マキューン
(72)【発明者】
【氏名】ポール エドワード カドモア
(72)【発明者】
【氏名】タイ シャタック
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2579948(CN,Y)
【文献】米国特許第03964183(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102094401(CN,A)
【文献】中国実用新案第204825767(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104947625(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1410632(CN,A)
【文献】中国実用新案第201125376(CN,Y)
【文献】特開平09-316842(JP,A)
【文献】特開昭61-274004(JP,A)
【文献】特開2005-213811(JP,A)
【文献】実開昭62-099604(JP,U)
【文献】国際公開第95/025849(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/07
E01H 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に移動可能な車両に取り付けられて、表面から障害物を除去するためのシステムであって、
表面から障害物を除去するための第1のスクレーパと、
前記表面から除去された前記障害物を、前記第1の方向とは整列しない第2の方向に運ぶための連続軌道部材を有する第1のコンベヤシステムと、
前記表面から障害物を除去するために前記第1のコンベヤシステムと前記車両との間に位置決めされた第2のスクレーパと、
前記表面から除去された前記障害物を、前記第1の方向とは整列しない第3の方向に運ぶための連続軌道部材を有し、前記車両と前記第2のスクレーパとの間に位置決めされた第2のコンベヤシステムと、
前記表面上の前記障害物を粉砕するための複数の歯を有し、前記第1のコンベヤシステムと前記第2のコンベヤシステムとの間に位置決めされた氷・圧縮ブレーカと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記氷・圧縮ブレーカは、前記表面に対して鉛直方向に調節可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記表面上の前記障害物を払い落とすための複数のブラシを有し、前記氷・圧縮ブレーカと前記第2のコンベヤシステムとの間に位置決めされたスイーパーブラシをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のブラシは、定置であるかまたは前記スイーパーブラシの鉛直方向軸線を中心として回転可能である、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記スイーパーブラシは、前記表面上の前記障害物に割り込んでばらばらにするために、前記表面に対して鉛直方向に調節可能である、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
高速空気流を発生させかつ該高速空気流を前記表面に向けるための吹出し口を有し、前記第2のコンベヤシステムと前記車両との間に位置決めされたブロワ機構をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記ブロワ機構は、前記表面に対して鉛直方向に調節可能である、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のコンベヤシステムは、前記表面に対して所定の角度で配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記角度は90度である、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して直交している、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の方向は、ユーザおよび/または制御装置により変更可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のコンベヤシステムおよび前記第2のコンベヤシステムの少なくとも一方の速度は、前記第1のコンベヤシステムおよび前記第2のコンベヤシステムの少なくとも一方の遠位端部から放出される前記障害物の所望の速度に基づき変更されるようになっている、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のコンベヤシステムまたは前記第2のコンベヤシステムの遠位端部を通過した前記障害物を、所定の方向に所望の距離で放出するように構成され、前記第1のコンベヤシステムまたは前記第2のコンベヤシステムの前記遠位端部に配置されたブロワ機構をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のコンベヤシステムと前記第2のコンベヤシステムとの間に配置されて封止エリアを画成するカバーをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記車両は、当該システムの運転を制御するための制御装置を有している、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記制御装置は、当該システムに対する所定の位置で前記表面の状態を示す信号をそれぞれ前記制御装置に供給する1つ以上のセンサに接続されている、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
表面から障害物を除去するための方法であって、
除去システムを第1の方向に移動させるステップと、
前記除去システムのスクレーパを表面に接触させ、該表面から障害物を掻き取るステップと、
前記除去システムの第1のコンベヤシステムを作動させ、前記障害物を前記除去システムに対して前記第1の方向とは整列しない第2の方向に運ぶステップと、
前記表面上の障害物を粉砕するステップと、
前記除去システムの第2のコンベヤシステムを作動させ、前記障害物を前記除去システムに対して前記第1の方向とは整列しない第3の方向に運ぶステップと、
を含む方法。
【請求項18】
前記除去システムの前記第1のコンベヤシステムを作動させる前記ステップの後に、前記障害物を所定の方向および距離に放出するステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
障害物を粉砕する前記ステップの後に、前記表面に沿って前記障害物を掃くステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記第2のコンベヤシステムを作動させる前記ステップの後に、前記障害物を第4の所定の方向に吹き飛ばすステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を処理する方法、特に舗装道路上の冬期障害物を横方向に移動させ、除去し、押し退け、かき分け、掃き、エアブローし、かつ運ぶ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面から冬期障害物(すなわち雪、氷、雪泥等)を除去するための従来のシステムは、スノープラウ、剛毛スイーパーおよびエアブロワならびにロータリープラウ式のスノーブロワのうちの1つを利用する。しかしながら、従来の冬期障害物除去システムの効率は、冬期障害物を道路および飛行場の舗装道路の側方に押し退けるために必要なエネルギのほとんどではないにしてもその多くが浪費されているという点で、制限されている。特に押し退け用スノープラウには、押し退け用スノープラウの目的が冬期障害物を横方向に移動させることであるにもかかわらず、冬期障害物を車両移動方向に見て縦方向に移動させるために多大なエネルギが費やされる。剛毛スイーパーを利用するシステムには、水平軸線上で回転し、飛行場の滑走路および誘導路等のエリアに設けられた舗装道路と接触する剛毛を曲げる、多大なエネルギが費やされる。エアブロワを利用するシステムには、飛行場の滑走路等のエリアの表面にわたり水平方向に空気を吹き出す、多大なエネルギが費やされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、障害物の除去効率を向上させることができるシステムおよび/または方法を提供する。本発明は、より精力的な清掃手段および舗装道路の清掃手段を提供することができる。本発明は、舗装道路上に残す冬期障害物をより少なくする一方で、航空機のブレーキ性能および方向安定性をも向上させることができる。よって、本発明は、化学物質または摩擦を増大させる研磨材の適用の必要性を低下させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
表面から障害物を除去するためのシステムを提供する。本システムは、第1の方向に移動可能な車両に取り付けられる。本システムは、表面から障害物を除去するための第1のスクレーパを備えている。第1のコンベヤシステムは、表面から除去した障害物を第1の方向とは整列しない第2の方向に運ぶための連続軌道部材を備えている。第2のスクレーパが、表面から障害物を除去する。第2のスクレーパは、第1のコンベヤと車両との間に位置決めされている。第2のコンベヤシステムが、車両と第2のスクレーパとの間に位置決めされている。第2のコンベヤシステムは、表面から除去した障害物を第1の方向とは整列しない第3の方向に運ぶための連続軌道部材を備えている。氷・圧縮ブレーカが、第1のコンベヤシステムと第2のコンベヤシステムとの間に位置決めされている。氷・圧縮ブレーカは、表面上の障害物を粉砕するための複数の歯を有している。
【0005】
本システムは、氷・圧縮ブレーカが表面に対して鉛直方向に調節可能であるようにも構成されている。
【0006】
本システムはさらに、氷・圧縮ブレーカと第2のコンベヤシステムとの間に位置決めされたスイーパーブラシを備えている。スイーパーブラシは、表面上の障害物を払い落とすための複数のブラシを有していてよい。
【0007】
本システムは、スイーパーブラシの鉛直方向軸線を中心として複数のブラシが回転可能に取り付けられているように構成することができる。
【0008】
本システムは、表面上の障害物に割り込んでばらばらにするために、スイーパーブラシが、表面に対して鉛直方向に調節可能であるように構成することができる。
【0009】
本システムは、第2のコンベヤシステムと車両との間または第2のコンベヤシステムの後ろに位置決めされたブロワ機構を備えていてよいことが考慮される。ブロワ機構は、高速空気流を発生させることができ、高速空気流を表面に向けるための吹出し口を有していてよい。
【0010】
エアブロワ機構は、表面に対して鉛直方向に調節可能であってよい。
【0011】
第1のコンベヤシステムは、表面に対して所定の角度で配置されることができることが考慮される。
【0012】
上述の角度は、0~90度であってよいことが考慮される。
【0013】
本システムにおける第2の方向は、第1の方向に対して直交していてよいことが考慮される。
【0014】
第2の方向は、ユーザおよび/または制御装置により変更可能であってよいことが考慮される。
【0015】
第1のコンベヤシステムおよび第2のコンベヤシステムの少なくとも一方の速度は、第1のコンベヤシステムおよび第2のコンベヤシステムの少なくとも一方の遠位端部から放出される障害物の所望の速度に基づき変更可能であることが考慮される。
【0016】
本システムは、第1のコンベヤシステムまたは第2のコンベヤシステムの遠位端部に配置されたブロワ機構をも備えていてよいことが考慮される。ブロワ機構は、第1のコンベヤシステムまたは第2のコンベヤシステムの遠位端部を通過した障害物を、所定の方向に所望の距離で放出するように構成されることができる。
【0017】
さらに、第1のコンベヤシステムと第2のコンベヤシステムとの間に配置され封止エリアを画成するカバーが配置されてよいことが考慮される。
【0018】
車両は、本システムの運転を制御するための制御装置を備えていてよいことが考慮される。
【0019】
制御装置は、本システムに対する所定の位置で表面の状態を示す信号をそれぞれ制御装置に供給する1つ以上のセンサに接続されることができることも考慮される。
【0020】
また、表面から障害物を除去するための方法も提供する。本方法は、除去システムを第1の方向に移動させるステップと、除去システムのスクレーパを表面に接触させ、表面から障害物を掻き取るステップと、除去システムの第1のコンベヤシステムを作動させ、障害物をシステムに対して第1の方向とは整列しない第2の方向に運ぶステップと、表面上の障害物を粉砕するステップと、除去システムの第2のコンベヤシステムを作動させ、障害物をシステムに対して第1の方向とは整列しない第3の方向に運ぶステップと、を含んでいてよい。
【0021】
本方法はさらに、除去システムの第1のコンベヤシステムを作動させるステップの後に、障害物を所定の方向および距離に放出するステップを含んでいてよい。
【0022】
さらに、本方法は、障害物を粉砕するステップの後に、表面に沿って障害物を掃くステップを含んでいてよいことが考慮される。
【0023】
本方法は、除去システムの第2のコンベヤシステムを作動させるステップの後に、障害物を第4の所定の方向に吹き飛ばすステップを含んでいてよいことも考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の固定面モールドボードスノープラウの側面図である。
図2】第1のコンベヤシステム、氷・圧縮ブレーカ、スイーパーブラシ、第2のコンベヤシステムおよびブロワ機構を含む障害物除去システムを示す、本発明の側面図である。
図3A】冬期障害物を横方向に移動させるためのコンベヤを示す、本発明の第1および第2のコンベヤシステムの1つの実施形態の側面図である。
図3B】冬期障害物を同時に異なる横方向に運ぶための、両端を突き合わせて配置された図3Aに示したシステムを2つ示す、図3Aに示した実施形態の平面図である。
図4】冬期障害物を、車両に対して縦方向に移動させてから横方向に移動させるための複数のコンベヤを示す、本発明の第1および第2のコンベヤシステムの第2の実施形態の側面図である。
図5】ロータリープラウ式のスノーブロワまたは変向システム(ロータリープラウ式のスノーブロワおよびまたは変向システムは、冬期障害物をユーザが選択した方向に向け直すまたは変向させる)へ冬期障害物を運ぶためのコンベヤシステムを示す、本発明の第1および第2のコンベヤシステムの第3の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、従来の湾曲したモールドボードスノープラウ10が示されている。スノープラウ10は、車両(図示せず)に取り付け可能であり、表面14、例えば空港の滑走路に沿って掻き取るように構成された切断縁12を有している。スノープラウ10の使用中に車両が縦方向“A”に動くと、冬期障害物16、例えば雪、氷、雪泥等および/または屑をスノープラウ10の正面に集めることができる。しかし、冬期障害物16が表面14から除去されてスノープラウ10に集まることにより、車両は表面14から冬期障害物16を除去するために、より多くのエネルギを消費することが必要になる。いくつかの例では、車両により要求されるエネルギ量を減らすために、スノープラウ10は移動方向“A”に対して曲げられている。しかし、スノープラウ10を角度付けた場合でも依然として、車両からのかなりの量のエネルギを必要とする。
【0026】
図2を参照すると、本発明の1つの実施形態によるシステム70が示されている。システム70は、表面14から個々の冬期障害物16および結合した冬期障害物16を除去するように構成されている。システム70は次の、第1のコンベヤシステム72A、第2のコンベヤシステム72B、氷・圧縮ブレーカ82、精力的な「ガッターブラシ型」のスイーパーブラシ92および空気搬送システム96のうちの1つ以上を備えていてよい。
【0027】
第1のコンベヤシステム72Aおよび/または第2のコンベヤシステム72Bは、参照により本明細書に援用される国際出願番号PCT/CA2019/050002に詳細に記載されたコンベヤシステム20と同じものであってよい。ここで、システム20を簡単に説明する。図3Aを参照すると、システム20は従来のモールドボードスノープラウ10(図1)を代替しており、一般に、スクレーパ22およびコンベヤ24を備えている。スクレーパ22は、表面14から冬期障害物16を除去するために十分に剛性である一方で、表面14を傷付けない材料から製造することができる。スクレーパ22の前縁22aは、スクレーパ22が表面14からの冬期障害物16の除去を支援することができるように曲げられていてもよいし、または先鋭化されていてもよい。スクレーパ22の後縁22bは、コンベヤ24の前縁24aの上に位置決めされていてよい。
【0028】
コンベヤ24は、冬期障害物16を乗せて(図3Aを示す頁に図示したように)横方向“B”に運ぶように構成された、1つまたは複数の別個のコンベヤ部材26であってよい。コンベヤ24は、可変速度コンベヤおよび/または可逆コンベヤであってよいことが考慮される。コンベヤ24は、冬期障害物16がコンベヤ24の一方の端部から横方向“B”に降ろされる速度および方向をオペレータが変えることを可能にすることが考慮される。
【0029】
図3Aに示す実施形態では、コンベヤ24は、コンベヤ24の後縁24bが鉛直方向においてコンベヤ24の前縁24aよりも高くなるように、表面14に対して所定の角度で配置されている。コンベヤ24は、表面14に対して90度の角度で配置されてもよいことが考慮される(例えば図2を参照)。
【0030】
システム20の全幅は、従来のスノープラウ10の幅よりも小さくてもよいことが考慮される。なぜならば、冬期障害物16を横方向に運ぶためにシステム20を所定の角度に位置決めする必要はないからである。換言すると、従来のスノープラウ10とは異なり、システム20は、冬期障害物16をスノープラウ10の後縁に排出するために、余弦でもって角度付けられたスノープラウ10の幅に依存していない。代わりに、システム20は冬期障害物16をシステム20の左側または右側に排出する、横方向コンベヤ24を提供する。横方向コンベヤ24は従来のスノープラウ10と比べ、車両が縦方向に押さねばならない冬期障害物の量が大幅に減少されているため、より広幅のシステム20の使用をも可能にする。
【0031】
また、システム20は可逆的であるため、オペレータが必要とするのは、冬期障害物16を車両の所望の側に排出するために横方向コンベヤ24の搬送方向を選択することのみであることも考慮される。
【0032】
システム20は、従来のモールドボードスノープラウ10の後縁から排出される前に縦方向に押圧されて積み重ねられる過剰な量の冬期障害物16によって発生しがちな、表面14の組織中への冬期障害物16の圧縮量も減少させることができることも考慮される。システム20は、表面14の組織中および組織上に押圧される冬期障害物16の量を減少させることができ、これにより、清掃される表面上での牽引力を達成または維持するために必要とされる化学物質または研磨材の量を減少させる。
【0033】
横方向コンベヤ24は、歩道から空港の商業滑走路まで延びる表面14を清掃するために、長さ2.5~300フィートであってよいことが考慮される。
【0034】
図3Bに示す別の実施形態では、2つのシステム20,30が車両18に取り付けられかつ互いに端部を突き合わせて配置されている。第1のシステム20は冬期障害物16を、車両18の移動方向(すなわち方向“A”)に対して垂直な線に対して角度θの第1の方向21で横方向に移動させる。第2のシステム30は冬期障害物16を、方向“A”に対して垂直な線に対して角度θの第2の方向31で横方向に移動させる。図示の実施形態では、角度θは約20°であり、θも約20°である。第1の方向21および第2の方向31は、互いに対して180°未満であるように図示されている。角度θおよびθは可変であるため、第1の方向21と第2の方向31との間の角度は180°超または180°未満になり得ることが考慮される。
【0035】
ユーザが角度θおよびθを手動で調節することを可能にするために、2つのシステム20,30には制御装置100を接続してもよいことも考慮される。制御装置100は、車両18の速度および/または表面14の状態および表面14から除去される冬期障害物16の量に基づき、角度θおよびθを自動調節するようにプログラム可能であることも考慮される。
【0036】
第1のコンベヤシステム72Aおよび/または第2のコンベヤシステム72Bは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願番号PCT/CA2019/050002に詳細に記載されたコンベヤシステム40と同じものであってよいことも考慮される。図4を参照すると、コンベヤシステム40は一般に、スクレーパ42、鉛直方向リフトコンベヤ44および1つ以上の横方向コンベヤ46を備えている。スクレーパ42は、上述したスクレーパ22と同じものであり、以下で詳細に説明はしない。スクレーパ42の前縁42aは、表面14に係合しており、スクレーパ42の後縁42bは、鉛直方向リフトコンベヤ44の前縁44aの上に位置決めされている。鉛直方向リフトコンベヤ44は、車両(図示せず)の移動方向“A”とは反対の方向“C”でスクレーパ42の後縁42bを通過する冬期障害物16を搬送するように構成することができる。鉛直方向リフトコンベヤ44の後縁44bは、横方向コンベヤ46の前縁46aの上に位置決めすることができる。この場合、1つ以上の横方向コンベヤ46が冬期障害物16を所望の横方向に排出してよい。鉛直方向リフトコンベヤ44は、オペレータが車両の縦方向速度を上げ、これにより従来のスノープラウ10を利用した車両に比べて、より迅速に表面14を清掃することを可能にすることも考慮される。
【0037】
図示の実施形態では、横方向コンベヤ46は表面14に対して平行に配置されている。横方向コンベヤ46が冬期障害物16を横方向に移動させる限り、横方向コンベヤ46は、表面14に対して任意の角度、例えば直角、45度、60度等であってよいことが考慮される。
【0038】
図示の実施形態では、横方向コンベヤ46と鉛直方向リフトコンベヤ44とは、従来のベルトコンベヤとして示されている。横方向コンベヤ46および鉛直方向リフトコンベヤ44は、分割式の軌道コンベヤであってよくかつ/または冬期障害物16を所望の方向に運ぶ効率を上げるためにカップあるいはスコップを有していてよいことが考慮される。
【0039】
さらに、第1のコンベヤシステム72Aおよび/または第2のコンベヤシステム72Bは、参照により本明細書に援用される国際出願番号PCT/CA2019/050002に詳細に記載されたシステム60を含んでよいことが考慮される。図5を参照すると、システム60は上で詳述したシステム20と同様のものである。システム60は、横方向コンベヤ62と、横方向コンベヤ62のいずれかのまたは両方の端部に配置され得る変向機構64とを備えている。変向機構64は、横方向コンベヤ62のいずれかの端部から排出される冬期障害物16が、横方向コンベヤ62の各端部に対して上方、下方、前方および後方から選択式に変向されるように展開することができる。冬期障害物16のこの変向は、車道、道路ガードレール、空港滑走路のエッジライト、滑走路または道路の交差点、信号またはその他の対象物といった対象物の内部または上部への冬期障害物16の排出を回避することができる。変向機構64は、所望の方向に冬期障害物16を排出するための複数の羽根またはブレードを備えた運搬装置(図示せず)であってもよいことが考慮される。
【0040】
上で詳述したように、一般に各システム72A,72Bは、スクレーパ74a,74bおよび横方向コンベヤ76a,76bを備えている。横方向コンベヤ76a,76bは、オペレータまたは制御装置100により選択された場合、冬期障害物16を乗せて横方向“B”に搬送するように構成されている。上述したように、システム72A,72Bは、上で詳述したシステム20,40,60のうちの1つ以上を含んでいてよい。
【0041】
図2に戻って参照すると、氷・圧縮ブレーカ82は、第1のコンベヤシステム72Aと第2のコンベヤシステム72Bとの間に位置決めされている。氷・圧縮ブレーカ82は円筒体84を有しており、円筒体84は、円筒体84の円筒面から突出する複数の歯86を備えている。円筒体84は、横方向“B”と整合する中心軸線を中心として回転可能である。氷・圧縮ブレーカ82は、複数の歯86を表面14に対して正しい位置に位置決めすることを支援するキャスタホイール87の間に位置決めされている。氷・圧縮ブレーカ82は、第1のコンベヤシステム72Aまたは従来のモールドボードプラウ(図示せず)の切断縁の下を通過した、表面14上の硬い冬期障害物16を粉砕するために、鉛直方向に可動であってよい。
【0042】
スイーパーブラシ92は、氷・圧縮ブレーカ82と第2のコンベヤシステム72Bとの間に位置決めされている。スイーパーブラシ92は、定置でありかつ/または鉛直方向軸線94aを中心として回転するように構成された複数の個別ブラシ部材94を有している。スイーパーブラシ92は、第1のコンベヤシステム72Aまたは従来のモールドボードプラウ(図示せず)を通過した後で氷・圧縮ブレーカ82により粉砕された硬い冬期障害物16に割り込んでばらばらにするために、鉛直方向に可動であってもよい。
【0043】
第2のコンベヤシステム72Bの後ろには空気搬送システム96が、ばらばらにされた冬期障害物16を第2のコンベヤシステム72Bの下または前方に吹き飛ばして運ぶために位置決めされていてよい。空気搬送システム96は、高圧空気流を第2のコンベヤシステム72Bの下に吹き付けるように構成された高圧ブロワであってよい。遊離した冬期障害物16を制御エリア101内に封じ込めるために、カバー99が氷・圧縮ブレーカ82とスイーパーブラシ92とを覆っていてよい。
【0044】
システム70の運転中、(システム70が取り付けられた)車両110は方向“A”に移動して、表面14から冬期障害物16を除去する。制御装置100は、遠隔操作で無線により、または局所的に車上で、車両およびシステム70の様々なコンポーネントに接続され、これらの動作を制御する。制御装置100は、従来のコンピュータユニットであってよく、命令および入力を処理しかつ出力命令を生成する中央処理装置(CPU)、ユーザからの命令およびシステム70の様々なコンポーネントからの信号を受け取る入力ユニット、CPUからの命令をシステム70の様々なコンポーネントに伝送するための出力ユニットおよび受け取ったかつ/またはCPUにより生成されたデータを保存するための保存ユニットを備えている。様々な制御線路(図示せず)が、制御装置100からシステム70のコンポーネントまで延在していてよい。制御線路(図示せず)は、各コンポーネントと制御装置100との間に電力および/または信号を送るように構成することができることが考慮される。制御線路(図示せず)は、固定配線、Wi-Fi、イーサネット等およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、制御装置100とシステム70の様々なコンポーネントとの間の一般に知られた別の有線および/または無線通信形式を表すものであってもよいことも考慮される。
【0045】
制御装置100は、システム70内の様々な段または場所におけるシステム70の効率を確認するために、センサ120A,120B,120C(図2に略示)に接続することができる。センサ120Aは未処理の表面14の状態を確認することができ、センサ120Bは氷・圧縮ブレーカ82および/またはスイーパーブラシ92により処理された後の表面14の状態を確認することができ、センサ120Cは空気搬送システム96により処理された後の表面14の状態を確認することができることが考慮される。
【0046】
運転中、冬期障害物16は第1のコンベヤシステム72Aにより表面14から掻き取られ、車両110の片側または両側へ横方向“B”に搬送される。第1のコンベヤシステム72Aの下を通過した表面14上の冬期障害物16は、氷・圧縮ブレーカ82により粉砕される。上述したように、表面14に対する氷・圧縮ブレーカ82の位置は、表面14に対する損傷を最小にするように、氷・圧縮ブレーカ82に設けられた複数の歯86が冬期障害物16を粉砕するように選択されている。
【0047】
氷・圧縮ブレーカ82により遊離した冬期障害物16は、次いでさらにスイーパーブラシ92により粉砕される。粉砕された冬期障害物16は、第2のコンベヤシステム72Bにより表面14から掻き取られ、車両110の片側または両側へ搬送される。第2のコンベヤシステム72Bの下を通過した冬期障害物16は全て、空気搬送システム96により第2のコンベヤシステム72Bの前方に吹き戻される。よってシステム70は、従来の水平方向軸線スイーパーおよび水平方向、横方向に向けられたエアブロワよりも清浄な表面を残すようになっている。
【0048】
制御装置100は、第1のコンベヤシステム72A、氷・圧縮ブレーカ82、スイーパーブラシ92、第2のコンベヤシステム72Bおよび空気搬送システム96の運転/位置を調節するためにセンサ120A,120B,120Cからの信号を用いて、表面14からの障害物16の除去を改良することができることが考慮される。例えば、上述のコンポーネントの鉛直方向位置は、表面14からより多くの障害物16を除去するために必要に応じて上昇してよくかつ/または下降してよい。制御装置100は、センサ120A,120B,120Cからの信号を常時監視して、システム70の上述のコンポーネントの運転を別個にまたはまとめて調節するようにプログラムされることができる。制御装置100は、車両110の速度に基づきシステム70の運転を調節するようにプログラムされることができることが考慮される。
【0049】
本発明を、上述した実施形態の例を参照して説明した。この明細書を読んで理解することで、修正や変更が生じて別の態様が生じることになる。本発明の1つ以上の態様が組み込まれた実施形態の例は、これらが添付の請求項の範囲内に入りかつそれらと均等である限り、このような修正や変更を全て含むことを意図したものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5