(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】画像診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230208BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20230208BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A61B1/00 712
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B1/313 510
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2021008299
(22)【出願日】2021-01-21
(62)【分割の表示】P 2017056436の分割
【原出願日】2017-03-22
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】堀池 豊和
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-097845(JP,A)
【文献】特開2015-049260(JP,A)
【文献】国際公開第2009/154103(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/039955(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルを接続すると共に、当該カテーテルに収容されたイメージングコアの前記カテーテルの長手方向に沿った移動と回転を行うためのモータドライブユニット(MDU)を有し、前記カテーテルからの信号に基づき、被験者に血管の光干渉断層画像、及び、超音波断層画像を生成する画像診断装置であって、
前記カテーテルにおける前記MDUと接続するためのカテーテルコネクタは、
前記イメージングコアの先端に設けられた光送受信部と光学的に接続される光ファイバを収容すると共に当該光ファイバの端部を露出して保持する第1の円筒部材と、
前記第1の円筒部材に固定され、前記イメージングコアの先端に設けられる超音波送受信部と電気的に接続された複数の接続端子を有する、円筒形状の第2の円筒部材と、
前記第1、第2の円筒部材を回転自在に支持するコネクタ部を有し、
前記MDUにおける前記カテーテルコネクタと接続するためのMDUコネクタは、
前記MDUコネクタに前記カテーテルコネクタが接続された際に、前記第1の円筒部材の前記光ファイバと前記画像診断装置からの光ファイバを光学的に接続する第1の中空円筒部と、
前記MDUコネクタに前記カテーテルコネクタが接続された際に、前記第2の円筒部材の前記接続端子に接続される電極
を有し、前記第1の中空円筒部を収容するための開口部を有する第2の中空円筒部と、を有し、
前記第1の中空円筒部は、前記第2の中空円筒部の一端に形成されている開口を通じて、前記第2の中空円筒部に対して着脱可能であり、
前記第2の中空円筒部の内側面には、前記第1の中空円筒部を予め設定された角度で収容するため、前記第1の中空円筒部の外面に設けられた突起部を案内する案内溝が設けられる
ことを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記カテーテルにおける前記第1の円筒部材には、回転方向の向きを規定するための突起部が設けられ、
前記第1の中空円筒部は、前記第1の円筒部材を収容するための開口部を有し、
当該第1の中空円筒部の前記開口部側には、前記第1の円筒部材の侵入した際の前記突起部のスライド方向を規定する案内壁と、前記案内壁の端部として設けられ、前記突起部が所定角度になった場合に、侵入方向に案内する案内溝と、が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記電極は、前記第2の中空円筒部の前記内側面に設けられ、
前記第1の中空円筒部は、前記第2の中空円筒部の前記開口から、前記第2の中空円筒部の他端側に向かって、前記電極を超える位置まで、前記開口部内に挿入された状態で、前記第2の中空円筒部に装着される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記第2の中空円筒部は、当該第2の中空円筒部の前記開口部側に前記第1の中空円筒部の前記突起部を前記案内溝に案内するためのガイド壁が設けられていることを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルを用いた画像診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管内腔を診断する装置として血管内超音波診断装置(IVUS:IntraVascular Ultra Sound)や光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)が知られている。
【0003】
超音波は血管組織の比較的深い部位にまで到達する性質を有するので、IVUSで得られる血管断層画像は血管組織の表面だけでなく、深い部位の診断に好適である。一方、光は、超音波ほど深い組織までは到達しないものの、得られる血管内壁の画像はIVUSのそれと比較して非常に高解像度とすることができる。
【0004】
上記の通りなので、最近では、超音波送受信部、光送受信部の両方を収納したカテーテル、すなわち、ハイブリッドタイプのカテーテルを用い、超音波断層画像、光断層画像の両方の画像を生成する画像診断装置が提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
この種の装置の場合、カテーテルは、その内部のイメージングコアの回転と移動を行うためのモータドライブユニットに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-56752号公報
【文献】特開2006-204430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カテーテルの長さは限りがあるので、必然、モータドライブユニットは、手技の際の患者の近くに設置されるので、そのサイズは小さいほど良い。また、手技に応じて繰り返しカテーテルとの脱着が行われるので、その耐性も高いものが望まれる。
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みなされたものであり、モータドライブユニットを小型化、並びに耐性を高めた画像診断装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、例えば本発明の画像診断装置は以下の構成を有する。すなわち、
カテーテルを接続すると共に、当該カテーテルに収容されたイメージングコアの前記カテーテルの長手方向に沿った移動と回転を行うためのモータドライブユニット(MDU)を有し、前記カテーテルからの信号に基づき、被験者に血管の光干渉断層画像、及び、超音波断層画像を生成する画像診断装置であって、
前記カテーテルにおける前記MDUと接続するためのカテーテルコネクタは、
前記イメージングコアの先端に設けられた光送受信部と光学的に接続される光ファイバを収容すると共に当該光ファイバの端部を露出して保持する第1の円筒部材と、
前記第1の円筒部材に固定され、イメージングコアの先端に設けられる超音波送受信部と電気的に接続された複数の接続端子を有する、円筒形状の第2の円筒部材と、
前記第1、第2の円筒部材を回転自在に支持するコネクタ部を有し、
前記MDUにおける前記カテーテルコネクタと接続するためのMDUコネクタは、
前記カテーテルコネクタを接続した際に、前記第1の円筒部材の光ファイバと前記画像診断装置からの光ファイバとを光学的に接続すると共に、前記電気接点部と前記画像診断装置からの光電気信号線とを接続するための、前記カテーテルコネクタを収容する形状を有し、
前記MDUは、前記カテーテルの前記第1の円筒部材から露出する光ファイバ端部の中心位置を、前記イメージングコアの回転中心位置として支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータドライブユニットを小型化、並びに耐性を高めた画像診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態にかかる画像診断装置の外観構成を示す図である。
【
図2】実施形態におけるカテーテルの構造を示す図である。
【
図3】実施形態におけるカテーテルの先端部の構造断面図である。
【
図4】実施形態におけるカテーテルの後端部(MDUとの接続する側)の構造を示す図である。
【
図5】実施形態におけるMDUにおけるカテーテルと接続する部分の構造、及び、接続状態を示す図である。
【
図6】実施形態におけるMDUにおけるカテーテルと接続する部分の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
実施形態における画像診断装置は、IVUS機能とOCT機能を有する。
【0014】
図1は実施形態に係る画像診断装置100の外観構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、画像診断装置100は、カテーテル101と、モータドライブユニット(以下、MDU)102と、操作制御装置103とを備え、MDU102と操作制御装置103とは、信号線や光ファイバを収容したケーブル104により接続されている。
【0016】
操作制御装置103において、111は本体制御部である。この本体制御部111は、カテーテル101内に収容されたイメージングコアで得られた信号(血管組織に向けて出射した超音波の反射波、並びに光の反射波)から、回転中心位置から径方向に向かうラインデータを生成する。そして、ラインデータの補間処理を経て超音波、並びに光干渉に基づくそれぞれの性質の血管断層画像を生成する。
【0017】
111-1はプリンタ及びDVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。なお、処理結果の保存先としては、サーバやUSBメモリ等でも構わず、その種類は問わない。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのモニタ(たとえばLCD)であり、本体制御部111において生成された各種断層画像を表示する。114は、ポインティングデバイス(座標入力装置)としてのマウスである。
【0018】
カテーテル101は、直接血管内に挿入されるものである。そして、カテーテル101は、その長手方向に移動自在であって、且つ、回転自在なイメージングコアを収容する構造を有する。このイメージングコアの先端には、画像診断装置100から伝送されてきた信号に基づき超音波を発生すると共に、血管組織から反射した超音波を受信し電気信号に変換する超音波送受信部、並びに、伝送されてきた光を(測定光)を連続的に血管内に送信するとともに、血管内からの反射光を連続的に受信する光送受信部とを収納したハウジングが設けられる。そして、このハウジングに、MDU102からのイメージングコアの回転と移動力を伝達するための駆動シャフトが接続されている。つまり、イメージングコアは、このハウジングと駆動シャフトで構成される。画像診断装置100では、このイメージングコアを収容したカテーテル101を用いることで血管内部の状態を測定することになる。
【0019】
MDU102は、カテーテル101の後端の接続部と係合する部分を持ち、カテーテル101と接続した状態では、カテーテル101内のイメージングコアにおける超音波送受信部並びに光送受信部と、操作制御装置103との中継装置として機能する。また、MDU102は、内蔵されたモータを駆動させることでカテーテル101の手元外管に対し、手元内管及び駆動シャフトを引っ張る処理を行うと共に、駆動シャフトの回転制御も行う。
【0020】
また、MDU102には、各種スイッチ、ボタンが設けられ、ユーザ(医師等)がこれを操作することで、カテーテル101内のイメージングコアの回転駆動、並びに、プルバック(イメージングコアの移動)が行われることになる。
【0021】
実際の患者の血管のプルバックスキャン処理は公知であるが、ここで簡単に説明する。
【0022】
ユーザはX線像を見ながら、カテーテル101の先端部が診断対象の位置まで移動したことを確認する。そして、ユーザはMDU102を操作してプルバックを指示する。この結果、カテーテル101内の先端に位置し、超音波の送受信部及び光送受信部を収納したハウジングが回転しながら、血管内に沿って移動することになる。
【0023】
超音波送受信部は、例えば1回転の間、512回の超音波の送信と受信を行い、受信した信号をMDU102を介して操作制御装置103に向けて送信する。操作制御装置103は、この信号を受信し、所定の演算処理を行うことで、送受信部の回転中心から放射線方向に延びる512本のラインデータを得る。このラインデータは回転の中心位置では密で、回転中心から離れるに従い互いに粗となる。それ故、人間が視覚する2次元的な画像とするため、操作制御装置103は、各ライン間を補間処理し、ライン間の画素を生成する処理を行う。この結果、血管の軸方向に直交する方向の血管断層画像(超音波断層画像)が生成できる。
【0024】
光送受信部も、超音波送受信部と同様、例えば1回転の間、512回の光の出射と血管組織からの反射光の受信を行い、受信した光(測定光)をMDU102を介して操作制御装置103に向けて送信する。このため、イメージングコアにおける駆動シャフト内には光ファイバが収容され、光送受信部と操作制御装置103とがMDU102を介して光学的に接続されることになる。操作制御装置103は、光送受信部から測定光と、予め既知の長さを経た参照光とをフォトカプラにより合成させて干渉光を生成する。そして、その干渉光はフォトディテクタ、A/D変換器を介してデジタルデータに変換される。得られたデジタルデータに対し、高速フーリエ変換が施され、ラインデータを得る。この後の処理は、超音波送受信部とほぼ同様であり、補間処理を行って、血管軸に直交する面の血管断層画像(光干渉断層画像)が生成される。
【0025】
超音波送受信部の1回転する毎の血管軸上の位置での血管断層画像をつなぎ合わせることで、超音波を用いた血管の3次元画像を生成することもできる。また、光送受信部の1回転毎の血管軸上の位置での血管断層画像をつなぎ合わせることで、光干渉を用いた血管の3次元画像を生成することもできる。医師は、このようなスキャンによって得られた画像から、患者の血管の診断を行うことになる。
【0026】
以上が実施形態におけるプルバックスキャン時における動作概要である。次に、実施形態におけるカテーテル101について
図2を参照して説明する。
【0027】
図2はカテーテル101の外観構成図を示している。カテーテル101は、外管シース200と、外管シース200内に収容され、その送り方向に自在に移動可能に挿入される内管201とで構成される。また、外管シース200の後端もしくはその近傍には係止部200aが設けられ、これがMDU102に固定支持される。また、MDU102は内管201の後端部も把持した状態で図示の右手方向に内管201を引っ張る動作、並びに、内管201内に連結された駆動シャフトに回転させる動作を行う。なお、
図2における符号201aはプライミングポート(外管シース200と内管201内の空気を排出するための液体(生理食塩水が一般的)の注入口)である。
【0028】
図3は実施形態におけるカテーテル101の先端部(血管に挿入される側)の断面構造を示している。
【0029】
内管201は外管シース200に挿入されている。外管シース200におけるシース310は、少なくともその先端部では、光の透過を維持するための透明な材質で構成されている。また、シース310の先端には、外管シース200と内管201内の気泡を排出し、プライミング液でシース内を満たすためのプライミング孔320が設けられている。OCTの場合、光路の媒質が空気であっても光干渉断層画像を構築する際その影響は少ない。しかし、超音波の伝搬経路上に空気があると、空気とカテーテルシース素材、もしくは血液との音響インピーダンスの差が大きいために、生体組織に超音波が到達する前にシースや血液界面で反射してしまい、撮像に十分なエネルギーが生体組織へ透過しない。そこで超音波が拡散してしまい大きく減衰してしまう。実施形態の内管201は、OCTだけでなく、IVUS用としても利用されることを想定しているため、空気を外部排出するためのプライミング孔320を設けている。図示の符号360が、
図2のプライミングポート201aから注入されたプライミング液を示している。
【0030】
また、シース310内には、図示の矢印373に沿って回転自在なイメージングコア350が収容されている。このイメージングコア350の先端には、超音波送受信部351、光送受信部352、及び、それらを収容するハウジング353が設けられている。また、このハウジング353は、駆動シャフト330に支持される。駆動シャフト330は柔軟で、かつMDU102からの回転をよく伝送できる特性を有する素材であり、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。この駆動シャフト330は内管201とほぼ同じ長さを有することになる。また、駆動シャフト330の内部には、超音波送受信部351と電気的に接続される信号線ケーブル341、及び、光送受信部352と光学的に接続されるシングルモードファイバ342がその長手方向に収容されている。
【0031】
超音波送受信部351は、実施形態のイメージングコア350がIVUS用として機能するためであり、信号線ケーブル341から印加された信号に従って図示矢印371aに向けて超音波を送信し、血管組織からの反射波371bを受信した場合には、その受信した超音波を電気信号として信号線341を介してMDU102(最終的には操作制御装置103)に向けて送信することになる。実際に血管内に挿入されスキャンする際には、駆動シャフト330及びイメージングコア350が矢印373に沿って回転することになるので、超音波送受信部351は回転軸に直交する面内で超音波の送信と受信を繰り返すこととなる。この結果、血管軸に直交する断層画像を得ることが可能になる。
【0032】
また、光送受信部352は実施形態のイメージングコア350がOCT用として機能するためのものであり、図示の回転中心軸に対して、ほぼ45度の傾斜角のミラーと、半球状のボールレンズで構成される。シングルモードファイバ342を介して導かれた光は、ミラーにより進行方向に対して約90度の方向に反射され、レンズを介して矢印372aの血管組織に向けて照射される。そして、血管組織からの反射光(矢印372b)はレンズを介して、今度はシングルモードファイバ342を介してMDU102(最終的には操作制御装置103)に向けて、送信されることになる。スキャン中は、イメージングコア350が回転することになり、IVUSと同様に、血管断層画像を再構成するためのデータが取得可能となる。
【0033】
本実施形態の特徴とする点は、MDU102における、カテーテル101(の内管201)を接続する構造にある。そこでまず、カテーテル101のMDU102と接続する後端部分の構造を説明し、その上で、実施形態におけるカテーテル101の接続部の構造を説明する。
【0034】
図4(a)はカテーテル101の内管201の後端部401(MDU102と接続する端部)のコネクタ部の断面構造図を示している。そして、同図(b)はMDU102側から見た内管201のコネクタ部の正面図である。簡略化あるいは一部省略していることに注意されたい。
【0035】
まず、
図4を参照し、実施形態の内管シース201の後端部401の構造を説明する。
【0036】
駆動シャフト330の後端には、断面が円形を成す第1円筒部材410が支持されている。この第1円筒部材410は、後端部401とゴムパッキン402を介して回転自在に支持されている。よって第1円筒部材410における、少なくともパッキン402に接する箇所の表面は摩擦が小さくなっている。これによって後端部401と第1円筒部材410との間は液密状態を維持されている。
【0037】
また、第1円筒部材410は、ファイバ342をその中心軸に固定把持しており、ファイバ342の端部がファイバ端342aとして露出している。また、第1円筒部材410は、その先端側面の1カ所に突起部411が設けられている。また、第1円筒部材410には、その回転の軸のブレを抑制するための、及び、第1円筒部材410と同径かそれよりも外径が大きい第2円筒部材423に固定(一体構造でも良い)されている。そして、第2円筒部材423は、後端部401に回転自在に支持されている。結果、ファイバ342は、その中心を回転軸となるように後端部401に支持されていることになる。
【0038】
第2円筒部材423の側面には、イメージングコア350の超音波送受信部351と電気的に接続するための、電極321a乃至321c(3極)が等間隔に設けられている。電極312a乃至312cは、MDU102に内管201の後端部を差し込んで接続した際に、MDU102側の電極と電気的に接続する構造であれば良く、その種類は問わない。実施形態における電極321a乃至321cは、例えば金属板バネであるものとする。なお、電極321a乃至321cを等間隔に設ける理由は、第1、第2円筒部410、423を含むイメージングコア350の重心位置が、ファイバ342の中心位置に実質的に一致させることで、重心に偏りが無くなり、安定した回転を得るためである。また、電極は板バネに限らず、例えばカテーテル側はピン電極、MDU側では、それを受けるソケットピン電極でも良い。
【0039】
また、第1円筒部材410から露出しているファイバ端342aの端面は、図示のように、軸方向に直角なものだけではなく、所定角度θだけ傾いた面となっているものもある。MDU102に収納されたファイバの端面も、同様に直角だけでなくファイバ端面342aと面接続するために、同じ角度θの傾斜面を有する。両者のファイバ端面が、軸に対して90度だけではなく、傾斜角θを有する理由は、その接続面での反射光の影響を少なくするためである。
【0040】
上記の通りなので、より反射光の影響を少なくするためには傾斜した光ファイバ端面を有したカテーテル101(の内管201)を、MDU102に装着する際、それぞれの傾斜しているファイバ端面どうしが面接続、より厳密には、回転方向に対する位相ずれが発生しないように接続する必要がある。つまり、MDU102に対して、第1円筒部材410が決まった向きで接続しなければならない。このため、第1円筒部材410の先端部には突起部411を設け、MDU102には、その突起部411を案内するガイド溝が設けられるようにした(詳細後述)。
【0041】
なお、第2円筒部423に設けられた電極321a乃至321c(実施形態では3極)も、それぞれ電極の固有の性質(1つはグランド、残り2つが超音波の送受信の電極)を有している。つまり、電極312a乃至321cは、MDU102に設けられた、それぞれに対応する正しい電極と電気的に接続しなければならない。第2円筒部423は第1円筒部410と一体となっている。それ故、カテーテル101の内管201をMDU102に装着する際、それぞれのファイバ端面どうしが面接続されるとともに、両者は意図した電極どうしを電気的に正しく接続できる。
【0042】
以上が、実施形態におけるカテーテル101の内管201の、MDU102と接続する部分の構造の説明である。
【0043】
図5(a)は、実施形態におけるMDU102の、カテーテル101の内管201と接続するコネクタ部の一部断面図であり、同図(b)は、カテーテル101との接続状態の断面図である。
【0044】
MDU102には、MDU102が有する駆動モータからの駆動力に従って、図示の一点鎖線530を回転軸として回転するコネクタ部510が設けられている。このコネクタ部510は、内管201における第1円筒部材410及び第2円筒部材423を嵌入(収容)するための開口部513が設けられている。また、MDU102は、コネクタ部510を保護するための円筒状のカバー520を有する。
【0045】
コネクタ部510の開口部513の内側面には、カテーテル101を接続した際に、その第2円筒部材423に設けられた電極321a乃至321cと電気的に接続するための電極511a乃至511cが設けられている。これらの電極511a乃至511cは、電極321a乃至321cと同様に等間隔に設けられている。これら電極511a乃至511cと接続された信号線512a乃至512cがコネクタ部501に収容され、図示の右手側に導かれている。
【0046】
実施形態におけるコネクタ部510は、脱着自在なアダプタ部550を収容している。このアダプタ部550は円筒状の構造を有する。
【0047】
図6(a)は、アダプタ部550を除いたコネクタ部501の断面図を示し、同図(b)はアダプタ部550の断面図を示している。
【0048】
アダプタ部550の開口面に対する反対面には、フェルール551が固定されている。このフェルール551の両端面551a、551bは、カテーテル101におけるファイバ端面342aと同じ角度の傾斜面を成している。アダプタ部550におけるフェルール551の端面551aが、カテーテル101のファイバ端面342aと同じ角度の傾斜面となっているのは、両者が面接続するためである。それ故、アダプタ部550の内側面には、カテーテル101の第1円筒部410の突起部411を案内するためのガイド溝552が設けられている。また、ユーザがカテーテル101の向き(正確には第1円筒部410の向き)を気にせずに、MDU102に差し込むだけで、第1円筒部410の突起部411がガイド溝552に案内されるようにすることが望ましい。そこで、実施形態におけるアダプタ部550における、その開口面からガイド溝552に至る範囲には、突起部411の回転向きを規制するためのガイド壁553を設けた。
【0049】
図6(c)は、このアダプタ部550における開口部556の一部透過した斜視図を示している。図示の如く、ガイド壁553は、開口面に一番近い位置を頂点554として、その両側面に沿って傾斜して設けられ、頂点554に対して反対側にガイド溝553が位置するようにした。上記の構造であるため、ユーザがカテーテル101をMDU102に差し込んだとき、第1円筒部410の突起部411がガイド壁の頂点554からずれていれば、単にカテーテル100を差し込んでいけば、カテーテル101の内管201が回動していき、最終的にファイバ端面342aとアダプタ部550のファイバ端面551aとが面接続させることができる。なお、ユーザがカテーテル101をMDU102に差し込んだとき、第1円筒部410の突起部411がガイド壁の頂点554と、たまたま一致することも起こり得る。しかし、この場合、ユーザはカテーテル101を多少ひねってMDU102に差し込むだけで良いので、ユーザの操作はごく単純なものとすることができる。
【0050】
上記の通り、カテーテル101のファイバ端面342aとアダプタ部550のファイバ端面551aとは面接続できることになる。
【0051】
一方、アダプタ部550の他方のファイバ端面551bと、コネクタ部510における、MDU102の回転部(不図示)から延びるファイバ端面511aも、互いに面接続させる必要がある。そのためには、アダプタ部550をコネクタ部510に収納する際に、アダプタ部550の回転の向きが、予め規定された向きとなるようにしなければならない。そこで、実施形態におけるアダプタ部550には、その開口部に対して反対側の外側面の位置に突起部555を設けた。そして、コネクタ部510の内側側面には、突起部555を案内するガイド溝502を設けた。ユーザは、アダプタ部550を交換する際には、新品のアダプタ部550の突起部555をこのガイド溝502に合わせて挿入操作を行うだけでファイバの面接続が行えることになる。なお、コネクタ部510の内側に、アダプタ部550のガイド壁553と同様のガイド壁を設けても構わない。
【0052】
ここで、カテーテル100とMDU102間の光ファイバとを接続する際に、アダプタ部550を介在させた理由を説明する。
【0053】
一度の手技に利用したカテーテル100は感染症等を防止するために破棄扱いとなる。それ故、MDU102に対するカテーテルの抜き差しは、手技の回数と同じとなる。従って、MDU102側のファイバ端面は、何度もカテーテルのファイバとの接続が行われることになり、必然、その表面に傷がつき、光干渉による断層画像の精度が劣化しかねない。一旦、無視できない傷がついてしまうと、MDU102と制御装置103とを結ぶケーブル104の交換という事態にまで発展しかねない。
【0054】
本実施形態によれば、カテーテル101内のファイバ端面342aと直接的に接続するのは、上記実施形態で説明したアダプタ部550である。しかも、このアダプタ部550は、
図6(b)に示す如く、電気信号線等を含まず、フェルール551を含むものの、専ら樹脂等で構成できる単純なものである。それ故、フェルール551の端面551aに仮に傷がついたとしても、アダプタ部550を交換することで、高い精度の光接続が復元できる。また、新品のアダプタ部550は装着する際には、突起部555をガイド溝502に合わせて挿入するだけ、或いは、ガイド壁を有する場合には単純に、回動するに任せて差し込む操作を行うだけで正しい接続が行えるので、操作者に係る負担は無視できる程度である。
【0055】
以上であるが、上記実施形態によれば、カテーテル101をMDU102に接続したとき、カテーテル101内のイメージングコア350が収容するファイバ342の中心が、イメージングコア350の回転中心軸として保持される。この結果、ファイバ342の中心が、回転中心位置からずれる場合と比較して、MDU102の構造をコンパクト化することができる。
【0056】
また、実施形態によれば、ユーザにしてみれば、カテーテル101をMDU102に差し込むという単純な操作を行うことで、カテーテル101及びMDU102内の光ファイバが高い精度で接続され、且つ、超音波診断用の信号線どうしも正しく接続させることができる。
【0057】
更に、実施形態によれば、MDU102における、カテーテル内の光ファイバと光学的に接続する部分は、電気回路や信号線を含まない単純な構造で、且つ、交換可能なアダプタ部550としている。従って、必要に応じてアダプタ550を交換するだけで、低コストでカテーテル101と操作制御装置103との光学的な接続を復元できるようになる。
【0058】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0059】
101…カテーテル、102…MDU、103…画像診断装置、501…コネクタ部、550…アダプタ部