(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ルシフェラーゼ及びヌクレオシドホスフェートの発光検出のための安定化された配合物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/66 20060101AFI20230208BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20230208BHJP
C12N 9/02 20060101ALN20230208BHJP
【FI】
C12Q1/66
G01N21/78 C
C12N9/02
(21)【出願番号】P 2021086133
(22)【出願日】2021-05-21
(62)【分割の表示】P 2019033815の分割
【原出願日】2014-02-21
【審査請求日】2021-06-18
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593089149
【氏名又は名称】プロメガ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリー マイケル ピー
(72)【発明者】
【氏名】カリ ジェイムズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビンコウスキ ブロック
(72)【発明者】
【氏名】エガース クリストファー トッド
(72)【発明者】
【氏名】ウッド キース ヴィ
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-013893(JP,A)
【文献】特表2003-509051(JP,A)
【文献】Biochem.J.,1996年,Vol.317,p.273-277
【文献】ONE-GloTM Luciferase Assay System: New Substrate, Better Reagent,Luciferase Assay,2007年09月,No.97,p.30-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光シグナルの半減期を増大するための方法であって、
(a)
ルシフェラーゼ、D-ルシフェリン
及びL-ルシフェリン
を含み、本質的にアデノシントリホスフェート(ATP)を含
まない組成物を、少なくとも4時間、0℃~35℃の温度で貯蔵する工程であって、D-ルシフェリン対L-ルシフェリンの濃度比が、
1:1~4:1である工程と、
(b)
ATPを含むサンプルと、前記組成物と接触させて、反応アッセイ混合物を形成する工程と、
を含み、
D-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない相当する反応アッセイ混合物と比較して、発光シグナルの半減期が増大されており、
前記組成物が、貯蔵後に、元々の活性の50%を保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記発光シグナルの半減期が、少なくとも約25%増大する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記D-ルシフェリン対L-ルシフェリンの濃度比が、2:1~4:1である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物におけるL-ルシフェリンの濃度が、少なくとも25μMである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物におけるL-ルシフェリンの濃度が、少なくとも100μMである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記D-ルシフェリンが、D-5’フルオロルシフェリンであり、前記L-ルシフェリンが、L-5’フルオロルシフェリンであり、前記相当する反応アッセイ混合物が、D-5’フルオロルシフェリンを含み、L-5’フルオロルシフェリンを実質的に含まない、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、少なくとも4時間、0℃~25℃の温度で貯蔵される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、少なくとも12時間、0℃~35℃の温度で貯蔵される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、5~9のpHを有する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ルシフェラーゼが、甲虫ルシフェラーゼである、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加成分を更に含むか、前記組成物が、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、
補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト、チオサルフェート、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの追加成分を更に含む、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年2月22日に出願された米国仮出願第61/767,875号、2013年3月14日に出願された米国仮出願第61/783,726号に対する優先権を主張し、両方とも、全体的に本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
本開示は、酵素及び代謝物をアッセイするのに有用な組成物、方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
ルシフェリンは、ラセミ化合物であり、溶液中で、D-ルシフェリンからL-ルシフェリンへと、またはL-ルシフェリンからD-ルシフェリンへとラセミ化する。D-ルシフェリンは、酵素ルシフェラーゼによって光を発生する基質として利用することができ、一方、L-ルシフェリンは、主に阻害性であり、発光を減少させる。貯蔵中のD-ルシフェリンからL-ルシフェリンへのゆっくりとしたラセミ化は、D-ルシフェリン基質の利用可能性の変動及び低下や、L-ルシフェリンの阻害効果に起因して、ルシフェラーゼの活性を活用するアッセイで問題を生じる。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態では、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含み、本質的にATPを含まない組成物が提供される。特定の実施形態では、ATP、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含み、本質的にルシフェラーゼを含まない組成物が提供される。
【0005】
ある実施形態では、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む組成物が提供される。
【0006】
特定の実施形態では、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン、D-ルシフェリン及びATPを含み、L-ルシフェリンの濃度が、D-ルシフェリンの濃度を超える組成物が提供される。
【0007】
ある実施形態では、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む組成物を含み、この組成物が、本質的にATPを含まず、容器に封入されているキットが提供される。キットは、少なくとも1つのさらなる成分、例えば、1つ以上の洗剤、例えば、ドデシルトリアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、リン酸カリウム、消泡剤、バッファー、塩及びキレート化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。
【0008】
ある実施形態では、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、L-ルシフェリンの濃度が、D-ルシフェリンの濃度を超える組成物を含むキットが提供される。キットは、少なくとも1つのさらなる成分、例えば、1つ以上の洗剤、例えば、ドデシルトリアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、リン酸カリウム、消泡剤、バッファー、塩及びキレート化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。
【0009】
ある実施形態では、L-ルシフェリン、D-ルシフェリン及びATPを含む組成物を含み、この組成物が、本質的にルシフェラーゼを含まず、容器に封入されたキットが提供される。キットは、少なくとも1つのさらなる成分、例えば、バッファー、二価のカチオンキレート化剤、マグネシウム塩、イオン性または非イオン性の洗剤、チオール含有化合物、例えば、補酵素AまたはDTT、1つ以上の硫黄含有還元剤またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0010】
ある実施形態では、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む組成物とサンプルとを接触させることと、生成した光を検出及び/または測定し、サンプル中のATPの存在または量を決定することとを含む、サンプル中のATPの存在または量を決定するための方法が提供される。
【0011】
ある実施形態では、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む組成物と、ルシフェラーゼを発現する細胞を含有していてもよいサンプルとを接触させる、サンプル中のルシフェラーゼの存在または量を決定するための方法、キットまたは組成物が提供される。次いで、生成した光を検出及び/または測定し、サンプル中のルシフェラーゼの存在または量を決定する。ルシフェラーゼを発現する細胞を含有するサンプルは、溶解した細胞、未精製細胞抽出物または清澄化した細胞抽出物であってもよい。
【0012】
ある実施形態では、細胞中でルシフェラーゼが発現し、この細胞を、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が約5:95~約75:25でL-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む混合物と接触させる、ルシフェラーゼを発現する細胞からルシフェラーゼ活性を検出するための方法が提供される。ある実施形態では、この混合物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が少なくとも約5:95~約55:45、または少なくとも約5:95~約50:50でL-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む。次いで、生成した光を検出及び/または測定し、細胞中のルシフェラーゼの存在または量を決定する。
【0013】
ある実施形態では、細胞またはサンプルを、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が少なくとも約0.5:1~約2:1でL-ルシフェリン及びD-ルシフェリンと、ルシフェラーゼとを含む混合物と接触させる、細胞または他のサンプル中のヌクレオシドホスフェート、例えば、ATPまたはATP源を検出または定量するための方法が提供される。次いで、生成した光を検出及び/または測定し、細胞中のヌクレオシドホスフェートの存在または量を決定する。
【0014】
ある実施形態では、ルシフェラーゼ反応を行うための方法が提供される。L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含む混合物を約0℃~約35℃の温度で所定期間貯蔵する。この混合物をルシフェラーゼ活性アッセイで使用する場合、光の出力(すなわち、発光)が測定される。この混合物を、ルシフェラーゼを含有するか、またはルシフェラーゼを発現するサンプルまたはサンプルの一部、ATPまたはATP源と接触させ、反応アッセイを作成する。次いで、反応アッセイ中に生成した光を検出する。所定期間貯蔵した混合物を含有する反応アッセイは、特定の実施形態では、貯蔵期間開始時(時間t=0)に混合物を含有する相当するアッセイの光の出力の少なくとも約50%または少なくとも約90%の光の出力を生成する。特定の実施形態では、貯蔵期間は、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約4時間またはそれ以上であってもよい。
【0015】
ある実施形態では、ルシフェラーゼ反応のための成分を配合するための方法が提供される。D-ルシフェリンとL-ルシフェリンを合わせて混合物を作成し、これを、約0℃~約35℃の温度で所定期間、例えば、約1時間、2時間、3時間または4時間、または1週間または2週間貯蔵する。ルシフェラーゼ活性アッセイで使用されるとき、この混合物によって光の出力(すなわち、発光)が生成し、この期間の後に生成した光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%または少なくとも約90%である。
【0016】
本開示は、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含む組成物に関する。この組成物は、本質的にATPを含まない。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1であってもよい。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45であってもよい。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。ルシフェラーゼは、甲虫ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼまたはクリックビートルルシフェラーゼであってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。この組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。
【0017】
本開示は、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む組成物に関する。この組成物は、本質的にルシフェラーゼを含まない。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1であってもよい。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45であってもよい。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。このルシフェラーゼは、甲虫ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼまたはクリックビートルルシフェラーゼであってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。この組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。
【0018】
本開示は、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、L-ルシフェリンの濃度が、D-ルシフェリンの濃度を超える組成物に関する。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。ルシフェラーゼは、甲虫ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼまたはクリックビートルルシフェラーゼであってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。この組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。
【0019】
本開示は、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有する組成物に関する。この組成物は、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含んでいてもよく、この組成物は、本質的にATPを含まない。ルシフェラーゼは、甲虫ルシフェラーゼであってもよい。甲虫ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼまたはクリックビートルルシフェラーゼであってもよい。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1であってもよい。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45であってもよい。この反応混合物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を生じさせるだろう。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。
【0020】
本開示は、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有する組成物に関する。この組成物は、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、この組成物は、本質的にルシフェラーゼを含む。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1であってもよい。この組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45であってもよい。この反応混合物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。
【0021】
本開示は、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有する組成物に関する。この組成物は、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、L-ルシフェリンの濃度が、D-ルシフェリンの濃度を超える。この反応混合物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。この組成物は、pHが少なくとも約5であり、約9未満であってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、さらに、バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つのさらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、さらに、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも2つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも3つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも4つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、少なくとも5つの前記さらなる成分を含んでいてもよい。この組成物は、マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。この組成物は、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含んでいてもよい。
【0022】
本開示は、少なくとも1つの容器に封入された、上に記載したような組成物を含むキットに関する。
【0023】
本開示は、第1の容器に封入された、上に記載したような組成物と、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含む第2の容器とを備える、キットに関する。この組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。
【0024】
本開示は、上に記載したような組成物とサンプルとを接触させることと、生成した光を検出することによってサンプル中のATPの存在または量を決定することとを含む、サンプル中のATPの存在または量を決定するための方法に関する。サンプルは、無傷の細胞を含んでいてもよい。サンプルは、未精製細胞溶解物または清澄化した細胞溶解物を含んでいてもよい。細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。サンプルは、ATPを生成するかまたはATPを使用する精製された酵素を含んでいてもよい。組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したときに比較される、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。
【0025】
本開示は、ルシフェラーゼを発現する細胞においてルシフェラーゼ活性を検出するための方法であって、この方法は、細胞内でルシフェラーゼを発現することと;ルシフェラーゼ、細胞、またはこれらの組み合わせと、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が(i)少なくとも約5:95~約75:25、(ii)少なくとも約5:95~約50:50、(iii)約5:95~約25:75、または(iv)少なくとも約5:95~約20:80で、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含む混合物とを接触させることと;発光を検出することを含む、方法に関する。細胞を溶解してもよく、ルシフェラーゼを含む溶解した細胞を前記混合物と接触させてもよい。溶解した細胞を清澄化し、ルシフェラーゼを含む清澄化した細胞抽出物を作成してもよく、清澄化した細胞抽出物を前記混合物と接触させる。細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞であってもよい。混合物は、発光シグナルの半減期を長くするだろう。細胞は、ルシフェラーゼコード配列で一時的にトランスフェクトされてもよい。混合物は、pHが少なくとも約6.5から約7.8未満、またはpHが少なくとも約6.6から少なくとも約6.8であってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンである。この組成物は、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、向上した貯蔵寿命及び/または安定性を有するだろう。混合物は、pHが約5~約9であってもよい。
【0026】
本開示は、ルシフェラーゼ反応を行うための方法に関する。この方法は、(a)L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含む組成物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間の期間貯蔵し、貯蔵した混合物は、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイにおいてサンプルと合わせたとき、光の出力を生成することができ、この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%であることと;(b)工程(a)の後、貯蔵した混合物と(i)前記サンプル、(ii)ATPまたはATP源、ルシフェラーゼ、またはこれらの組み合わせを合わせて反応アッセイを作成することと、生成した光を検出することとを含む。この期間は、少なくとも約12時間であってもよく、この温度は、約0℃~約6℃または約20℃~約35℃である。サンプルは、ルシフェラーゼを含んでいてもよく、混合物は、ATPを含む。サンプルは、ATPを含んでいてもよく、混合物は、ルシフェラーゼを含む。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約75%であってもよい。混合物は、本質的にATPまたはルシフェラーゼを含まなくてもよい。この温度は、約20℃~約35℃であってもよい。この温度は、約0℃~約6℃であってもよく、この期間は、少なくとも約2週間である。この期間は、少なくとも約12週間であってもよい。この期間は、少なくとも約26週間であってもよい。この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%であってもよい。この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%であってもよい。この方法は、工程(b)の後に、貯蔵した混合物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATPまたはATP源、または(iii)これらの組み合わせを合わせ、第2の混合物を作成することと、第2の混合物中で生成した光を検出することとをさらに含んでいてもよい。混合物は、pHが約5~約9であってもよい。混合物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25であってもよい。
【0027】
本開示は、ルシフェラーゼ反応のための成分を配合するための方法に関する。この方法は、(a)D-ルシフェリン及びL-ルシフェリンを合わせて混合物を作成することと;(b)約0℃~約35℃の温度で少なくとも約2日間の期間、混合物を貯蔵することとを含む。この混合物は、ルシフェラーゼを含むアッセイにおいてサンプルと合わせると光の出力を生成することができ、この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である。この混合物は、本質的にATPまたはルシフェラーゼを含まなくてもよい。この温度は、約20℃~約35℃であってもよい。この温度は、約0℃~約6℃であってもよく、この期間は、少なくとも約2週間である。この期間は、少なくとも約12週間であってもよい。この期間は、少なくとも約26週間であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%であってもよい。この方法は、工程(b)の後に、貯蔵した混合物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATPまたはATP源、または(iii)これらの組み合わせを合わせ、第2の混合物を作成することと、第2の混合物中で生成した光を検出することとをさらに含んでいてもよい。混合物は、pHが約5~約9であってもよい。混合物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25であってもよい。
【0028】
本開示は、発光シグナルの半減期を長くするための方法に関する。この方法は、(a)ルシフェラーゼを含むサンプルと、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む混合物とを接触させ、反応アッセイを作成することと;(b)発光を検出することとを含み、D-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない相当する反応アッセイと比較して、発光シグナルの半減期が長い。発光シグナルの半減期は、少なくとも約25%長くなってもよい。発光シグナルの半減期は、少なくとも約5倍長くなってもよい。サンプルは、ルシフェラーゼを発現する細胞を含んでいてもよい。細胞を溶解し、サンプルは、ルシフェラーゼを含む溶解した細胞を含んでいてもよい。サンプルは、ルシフェラーゼを含む清澄化した細胞抽出物を含んでいてもよい。細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。D-ルシフェリンは、D-5’フルオロルシフェリンであってもよく、L-ルシフェリンは、L-5’フルオロルシフェリンであり、相当する反応アッセイは、D-5’フルオロルシフェリンを含み、L-5’フルオロルシフェリンを実質的に含まない。
【0029】
本開示は、ルシフェラーゼ反応を行うための方法に関する。この方法は、(a)組成物と、サンプル及びATPまたはATP源、ルシフェラーゼ、またはこれらの組み合わせとを合わせて反応アッセイを作成し、前記組成物がL-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含むことと;(b)生成した光を検出することとを含み、前記組成物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間貯蔵したとき、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、前記組成物が、向上した安定性を有する。貯蔵した組成物は、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイにおいてサンプルと合わせたとき、光の出力を生成することができ、この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である。向上した安定性は、向上した貯蔵寿命及び/または向上したシグナル安定性を含んでいてもよい。この期間は、少なくとも約12時間であってもよく、この温度は、約0℃~約6℃または約20℃~約35℃である。サンプルは、ルシフェラーゼを含んでいてもよく、組成物は、ATPを含んでいてもよい。サンプルは、ATPを含んでいてもよく、組成物は、ルシフェラーゼを含む。この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約75%であってもよい。組成物は、本質的にATPまたはルシフェラーゼを含まなくてもよい。この温度は、約20℃~約35℃であってもよい。この温度は、約0℃~約6℃であってもよく、この期間は、少なくとも約2週間である。この期間は、少なくとも約12週間であってもよい。この期間は、少なくとも約26週間であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%であってもよい。この方法は、工程(b)の後に、前記組成物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATPまたはATP源、または(iii)これらの組み合わせを合わせて混合物を作成することと、この混合物中で生成した光を検出することとをさらに含んでいてもよい。組成物は、pHが約5~約9であってもよい。組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25であってもよい。
【0030】
本開示は、ルシフェラーゼ反応のための成分を配合するための方法であって、この方法が、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンを合わせて組成物を作成することを含み、前記組成物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間貯蔵したとき、L-ルシフェリンを含まない組成物と比較して、前記組成物が、向上した安定性を有し、貯蔵した組成物は、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイにおいてサンプルと合わせたとき、光の出力を生成することができ、この期間の後の光の出力が、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である方法に関する。向上した安定性は、向上した貯蔵寿命及び/または向上したシグナル安定性を含んでいてもよい。組成物は、本質的にATPまたはルシフェラーゼを含んでいなくてもよい。この温度は、約20℃~約35℃であってもよい。この温度は、約0℃~約6℃であってもよく、この期間は、少なくとも約2週間である。この期間は、少なくとも約12週間であってもよい。この期間は、少なくとも約26週間であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%であってもよい。この期間の後の光の出力は、この期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%であってもよい。この方法は、工程(b)の後に、組成物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATPまたはATP源、または(iii)これらの組み合わせを合わせて混合物を作成することと、この混合物中で生成した光を検出することとをさらに含んでいてもよい。組成物は、pHが約5~約9であってもよい。組成物は、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25であってもよい。
【0031】
本発明の他の態様は、詳細な記載及び添付の図面を考慮することによって明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、異なる温度で異なる時間、ルシフェリン混合物を貯蔵した後、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含有するアッセイから検出される発光を示すグラフである。
【
図2】
図2は、種々の時間ルシフェリンを貯蔵した後、D-ルシフェリンを含有するアッセイ、またはD-ルシフェリンとL-ルシフェリンの両方を含有するアッセイから検出される発光を示すグラフである。
【
図3】
図3は、種々の時間ルシフェリンを貯蔵した後、D-ルシフェリンを含有するアッセイ、またはD-ルシフェリンとL-ルシフェリンの両方を含有するアッセイから検出される発光を示すグラフである。
【
図4】
図4は、ルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬における異なるD-/L-ルシフェリン(5’-フルオロルシフェリン)比率が、発光(4A)及びシグナル半減期(4B)に与える影響を示すグラフを示す。
【
図5】
図5は、異なるD-/L-ルシフェリン(5’-フルオロルシフェリン)比率が、ルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬の安定性に与える影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
貯蔵中の液体配合物におけるD-ルシフェリンからL-ルシフェリンへのラセミ化によって、ルシフェリンのD-エナンチオマー及びL-エナンチオマーの混合物が生じ、その中で、D-ルシフェリンは、ルシフェラーゼ酵素によって光を発生する基質として利用することができる。ルシフェラーゼのために利用可能なD-ルシフェリンの量が予測できないことは、ルシフェラーゼ活性を測定することに依存するアッセイ、例えば、サンプル中の代謝物(例えば、ATP)の量を測定するアッセイでは問題である。アッセイ中のL-ルシフェリンの存在も、ルシフェラーゼ酵素の阻害剤として作用するため、問題であろう。
【0034】
ある実施形態では、混合物で提供されるD-ルシフェリンとL-ルシフェリンの両方を含む組成物が開示される。ある実施形態では、この組成物をルシフェラーゼとともに使用し、ATPを利用する酵素(例えば、キナーゼ)の活性を測定することができ、ATPの量または濃度を測定することができ、ATPの中間産物を介し、サンプル中の特定の代謝物を測定することができ、所定期間にわたって安定な測定を提供することができ、またはこれらの組み合わせを得ることができる。ある実施形態では、組成物を使用し、細胞によって発現するルシフェラーゼの量を検出または測定することができる。驚くべきことに、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの両方を含む組成物は、実質的に純粋なD-ルシフェリンを含有する組成物、またはD-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない組成物、例えば、痕跡量のL-ルシフェリンを含む組成物よりも優れた安定性を示し、アッセイ性能の低下は最低限である。例えば、優れた安定性は、L-ルシフェリンが、存在するルシフェリン全体の少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%または少なくとも約75%またはそれ以上存在するとき、またはL-ルシフェリンの量が、存在するD-ルシフェリンの量を超えるときに生じるだろう。ATPの中間産物を介して測定可能な代謝物としては、限定されないが、ヌクレオシドジホスフェート、例えば、アデノシンジホスフェート(ADP)、グアノシンジホスフェート(GDP)、ウリジンジホスフェート(UDP)、及びアデノシンモノホスフェート(AMP)が挙げられる。特定の実施形態では、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物を含む組成物は、場合によりルシフェラーゼを含み、場合により、ATP、他のヌクレオシドトリホスフェート、ヌクレオシドジホスフェート、ヌクレオシドモノホスフェートまたはこれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよい。他の実施形態では、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物を含む組成物、例えば、L-ルシフェリンの濃度がD-ルシフェリンの濃度を超える混合物は、場合により、ATPを含んでいてもよい。
【0035】
D-ルシフェリンとしては、化合物(D-(-)-2-(6’-ヒドロキシ-2’-ベンゾチアゾリル)-チアゾリン-4-カルボン酸)が挙げられ、L-ルシフェリンとしては、化合物(L-(-)-2-(6’-ヒドロキシ-2’-ベンゾチアゾリル)-チアゾリン-4-カルボン酸)及びこれらの塩形態が挙げられる。本明細書で使用する場合、D-異性体形態またはL-異性体形態のいずれかによらず、ルシフェリンは、塩形態、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、または他のアルカリ塩またはアルカリ土類塩、遊離酸及びルシフェリン誘導体及びこれらの塩形態、例えば、クロロルシフェリン及びフルオロルシフェリン、例えば、5’-フルオロルシフェリン、7’-フルオロルシフェリン及び5’-クロロルシフェリン及び7’-クロロルシフェリン、及び米国出願公開第2009-0075309号(開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる)に開示されるその他のものが挙げられる。
【0036】
D-ルシフェリン及びL-ルシフェリン(D-ルシフェリン:L-ルシフェリン)は、少なくとも約0.25:1、少なくとも約0.3:1、少なくとも約0.4:1、少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1、少なくとも約0.8:1、少なくとも約0.9:1、少なくとも約1:1及び約4未満:1、約3.75未満:1、約3.5未満:1、約3.25未満:1、約3未満:1、約2.75未満:1、約2.5未満:1、約2.25未満:1、約2未満:1、約1.9未満:1、約1.8未満:1、約1.7未満:1、約1.6未満:1、約1.5未満:1、約1.4未満:1、約1.3未満:1、約1.25未満:1、約1.2未満:1または約1.1未満:1の比率で存在していてもよい。
【0037】
L-ルシフェリン及びD-ルシフェリン(L-ルシフェリン:D-ルシフェリン)は、少なくとも約0.1:99.9、少なくとも約1:99、少なくとも約2:98、少なくとも約3:97、少なくとも約4:96、少なくとも約5:95、少なくとも約10:90、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約35:65、少なくとも約40:60、少なくとも約45:55、少なくとも約49:51、または少なくとも約50:50及び約99未満:0.1、約99未満:1、約98未満:2、約97未満:3、約96未満:4、約95未満:5、約90未満:10、約85未満:15、約80未満:20、約75未満:25、約70未満:30、約65未満:35、約60未満:40、約55未満:45、約51未満:49、または約50未満:50の比率で存在していてもよい。
【0038】
D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及び場合によりルシフェラーゼを含む混合物は、ヌクレオシドトリホスフェート、ヌクレオシドジホスフェートまたはこれらの任意の組み合わせを実質的に含まなくてもよく、または任意の量のヌクレオシドトリホスフェート、ヌクレオシドジホスフェートまたはこれらの任意の組み合わせを除外してもよい。例えば、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及び場合によりルシフェラーゼを含む混合物は、ATP、GTP、CTP、m5UTP、UTPまたはこれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよく、または任意の量のATP、GTP、CTP、m5UTP、UTPまたはこれらの組み合わせを除外してもよい。D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及び場合によりルシフェラーゼを含む混合物は、ADP、GDP、CDP、m5UDP、UDPまたはこれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよく、または任意の量のADP、GDP、CDP、m5UDP、UDPまたはこれらの組み合わせを除外してもよい。D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及び場合によりルシフェラーゼを含む混合物は、約50μM未満のATP、約10μM未満のATP、約5μM未満のATP、約1μM未満のATP、約0.5μM未満のATP、約0.1μM未満のATP、約0.05μMのATP、約0.01μM未満のATP、約0.005μM未満のATP、または約0.001μM未満のATP、または約0.0001μM未満のATPまたは本明細書に記載する他のヌクレオシドトリホスフェートを含んでいてもよい。
【0039】
ある実施形態では、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及び場合によりルシフェラーゼを含む混合物は、少なくとも0.005μMのATP、少なくとも約0.01のATP、少なくとも約0.05μMのATP、少なくとも約0.1μMのATP、少なくとも約0.5μMのATP、少なくとも約1μMのATP、少なくとも約5μMのATP、少なくとも約10μMμMのATP、少なくとも約50μMのATP及び約10mM未満のATP、約5mM未満のATP、約4mM未満のATP、約3mM未満のATP、約2mM未満のATP、約1mM未満のATP、約0.5mM未満のATPを含んでいてもよい。例えば、このような混合物は、L-ルシフェリン:D-ルシフェリンの比率が、1より大きい:1、1.1より大きい:1、1.2より大きい:1、1.3より大きい:1、1.4より大きい:1、1.5より大きい:1、1.6より大きい:1、1.7より大きい:1、1.8より大きい:1、1.9より大きい:1、2より大きい:1、2.25より大きい:1、2.5より大きい:1、2.75より大きい:1、または3より大きい:1であってもよい。
【0040】
D-ルシフェリンとL-ルシフェリンを含む混合物は、場合により、任意の量のヌクレオシドトリホスフェート(例えば、ATP、GTP、CTP)、ヌクレオシドジホスフェート(例えば、ADP、GDP、CDP)またはこれらの任意の組み合わせを実質的に含んでいてもよい。
【0041】
D-ルシフェリンとL-ルシフェリンを含む混合物は、長期間にわたって安定なままであり、安定性は、この混合物をルシフェラーゼ活性アッセイに使用したときの光の出力によって測定される。向上した安定性は、向上した貯蔵寿命/安定性及び/または向上したシグナル安定性であってもよい。22℃で8時間後または4℃で4日後に約10%の活性の消失を示し得る従来の配合物とは対照的に、本発明の配合物は、向上した安定性、すなわち、向上した貯蔵寿命/安定性を示す。例えば、約4℃の温度(例えば、約1℃~約6℃)または約20℃~25℃または約20℃~約35℃、例えば、約22℃(例えば、約20℃~約25℃、約20℃~約35℃、約22℃~約35℃、約22℃~約30℃、約25℃~約35℃、または約25℃~約30℃)で貯蔵したとき、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間またはそれより長い貯蔵期間の後、元々の活性の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が検出される(元々の活性は、所与の一連の条件で、T=0でのルシフェラーゼ活性アッセイで測定され、その後の活性は、後の時間点で、実質的に同じ条件で測定される)。例えば、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンの約50:50の混合物を用いる本明細書に記載する方法、組成物及びキットは、約20℃~約25℃、約20℃~約35℃、約22℃~約35℃、約22℃~約30℃、約25℃~約35℃、または約25℃~約30℃の温度で少なくとも約2ヶ月間インキュベートした後、元々の活性の少なくとも約50%が残っているだろう。
【0042】
ルシフェラーゼ活性アッセイは、例えば、使用する酵素に最適なpHのバッファー中、ルシフェラーゼ、ルシフェリン(例えば、1mM)、ATP(例えば、3mM)、MgSO4(例えば、15mM)を含む。使用するルシフェラーゼの活性を最適化または安定化するために、他の任意要素の成分が存在していてもよい。ルシフェラーゼ活性アッセイの例は、実施例において本明細書に記載される。ある実施形態では、ルシフェラーゼを精製してもよく、または、サンプル(例えば、レポーター遺伝子)中で発現してもよい。
【0043】
D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物を含むキット、方法及び組成物が本明細書で提供される。このキット、方法及び組成物は、1つ以上のルシフェラーゼを含んでいてもよく、またはこのキット、方法及び組成物を使用し、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用い、トランスフェクトされた原核細胞またはトランスフェクトされた真核細胞中、ルシフェラーゼをアッセイしてもよい。細胞は、例えば、細菌細胞、例えば、E.coli、Streptomyces spp.、Bacillus spp.、Staphylococcus spp.など、哺乳動物細胞、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、例えば、類人猿及びヒトの細胞、哺乳動物細胞株、例えば、CHO、COS、HEK293、HeLa、CV-1、SH-SY5Y及びNIH 3T3細胞、植物細胞(双子葉植物または単子葉植物)または真菌細胞、例えば、酵母、例えば、Pichia、SaccharomycesまたはSchizosaccharomycesであってもよい。
【0044】
基質としてルシフェリンを利用するルシフェラーゼとしては、甲虫ルシフェラーゼ、例えば、一般的なホタル(Lampyridae科)のルシフェラーゼが挙げられる。甲虫ルシフェラーゼは、多くは、文献ではホタルルシフェラーゼと呼ばれる。しかし、ホタルルシフェラーゼは、実際に、甲虫ルシフェラーゼ綱のサブグループである。甲虫ルシフェラーゼは、クリックビートルルシフェラーゼ、例えば、Pyrophorus plagiophthalamus由来のルシフェラーゼも含む。甲虫ルシフェラーゼは、甲虫自身のランタンまたは当該技術分野で知られているタンパク質発現から精製されてもよい。
【0045】
甲虫ルシフェラーゼ、特に、北アメリカのホタルPhotinus pyralisまたはPhoturis pennsylvanicaに由来するホタルルシフェラーゼは、当該技術分野でよく知られている。P.pyralisルシフェラーゼ(LucPpy)は、遺伝子のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質によって計算される場合、約550のアミノ酸(61kDa)からなる。Photuris pennsylvanicaホタルルシフェラーゼ(LucPpe2)は、545アミノ酸残基からなる(GenBank 2190534;Yeら、1997)。LucPpe2から誘導される変異ルシフェラーゼ(例えば、熱に安定及び/または化学物質に安定)は、LucPpe2m78(78-0B10としても知られる)、LucPpe2m90(90-1B5としても知られる)、LucPpe2ml33(133-1B2としても知られる)及びLucPpe2ml46(146-1H2としても知られる)を含んでいてもよい。しかし、本明細書に記載する限定事項を満たす任意のルシフェラーゼを、本発明の組成物、方法及びキットに使用してもよい。熱に安定及び/または化学物質に安定なルシフェラーゼ(例えば、LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2ml33及びLucPpe2ml46)を誘導する方法は、PCT/US99/30925号に開示される。
【0046】
単離及び/または精製されたルシフェラーゼを使用してもよい。ルシフェラーゼの天然環境の汚染要素は、典型的には、ルシフェラーゼアッセイを妨害する物質であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質系物質または非タンパク質系物質を含んでいてもよい。純度を確認するための一技術は、クマシーブルーまたは銀染色を用い、非還元条件または還元条件でSDS-PAGE分析を適用することである。
【0047】
本発明の組成物、キット及び方法で有用なルシフェラーゼとしては、安定なシグナルを生成するもの、及び/または熱に安定及び/または化学物質に安定なものが挙げられ、すなわち、ルシフェラーゼ反応が開始したときの発光と比較して、30分あたりの発光の消失が50%未満であると定義される、ルシフェラーゼ反応において向上した発光持続期間が得られるか、またはもっと高い温度でもっと大きな酵素安定性を有する。例示的なルシフェラーゼは、米国特許第6,132,983号;第6,171,808号;第6,265,177号;第6,602,677号;第7,241,584号;第7,906,298号;及び第8,030,017号;及び米国特許出願第2003-0068801号、第2006-0183212号、第2009-0137019号、第2011-0177540号及び第2012-0009647号に開示され、それぞれの開示内容は、全体的に本明細書に参考として組み込まれる。
【0048】
本発明の組成物、キット及び方法におけるルシフェラーゼとしては、「閃光」シグナルを生成し、光の出力の半減期が約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、約10分未満、約5分未満、約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満のルシフェラーゼも挙げられる。
【0049】
ルシフェラーゼとしては、50℃で少なくとも2時間、または50℃で少なくとも5時間の上昇した熱安定性を示すものが挙げられる。熱に安定なルシフェラーゼとしては、適切な水溶液に溶解するとき、半減期が約50℃で約2時間より長く、50℃で約5時間より長く、50℃で約10時間より長く、約60℃で約5時間より長く、約60℃で約10時間より長く、約60℃で約24時間より長く、約22℃で約3ヶ月より長く、または22℃で約6ヶ月より長い安定性を有するものが挙げられる。
【0050】
特定の実施形態では、本明細書に記載するようなL-ルシフェリンとD-ルシフェリンのラセミ混合物を含む反応混合物中に存在するルシフェラーゼの量を増やし、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンのラセミ混合物を含まない同様の反応混合物と実質的に同等の光の出力を得てもよい。例えば、ルシフェラーゼの量を、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンのラセミ混合物を含まない同様の反応混合物中のルシフェラーゼの量の少なくとも約120%、少なくとも約150%、少なくとも約200%(2倍)、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約500%(5倍)、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%(10倍)まで増やし、実質的に同等の光の出力を達成してもよい。
【0051】
特定の実施形態では、本明細書に記載する組成物、方法及びキットは、ルシフェラーゼ反応中に生成した発光シグナルの半減期が長くなり、すなわち、シグナル安定性が向上する。D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物を含む本明細書に記載する組成物、方法及びキットは、発光シグナル(ルシフェラーゼ反応中に生成する光)の半減期を、純粋なD-ルシフェリンを含むか、またはD-ルシフェリンを含み、実質的にL-ルシフェリンを含まない、例えば、痕跡量のL-ルシフェリンを含むルシフェラーゼ反応から生成する発光シグナルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、または少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、または少なくとも約500%長くしてもよい。ある実施形態では、実質的に純粋なD-ルシフェリンを含むか、またはD-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない、例えば、痕跡量のL-ルシフェリンを含むルシフェラーゼ反応から生成する発光シグナルと比較して、発光シグナルの半減期の少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約15倍、または少なくとも約20倍の向上が達成される。
【0052】
光の出力は、相対的光量単位(RLU)で測定することができる。ある実施形態では、発光反応の初期の光の出力は、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物を使用するときより低い。例えば、初期の光の出力は、実質的に純粋なD-ルシフェリンを含むか、またはD-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない、例えば、痕跡量のL-ルシフェリンを含む発光反応と比較して、初期の光の出力の約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満であってもよい。ある実施形態では、もっと低い初期の光の出力は、本明細書で記載されるように、発光反応の半減期の向上を伴う。
【0053】
本明細書に記載するキット、方法及び組成物において、ルシフェラーゼは、L-ルシフェリンとD-ルシフェリンを含有する溶液(例えば、水溶液)で与えられてもよく、または、例えば、D-ルシフェリン及びL-ルシフェリンとは別個の容器中、脱水した形態または乾燥した形態で与えられてもよく、使用前に可溶化する。ある実施形態では、ルシフェラーゼは、可溶化した形態のD-ルシフェリン及びL-ルシフェリンとは別個の容器中に与えられる。ルシフェリンの量は、D-ルシフェリン、L-ルシフェリンまたはD-ルシフェリンとL-ルシフェリンのいずれかによらず、本明細書に記載される組成物、キット及び方法において、少なくとも約1nM、少なくとも約5nM、少なくとも約10nM、少なくとも約50nM、少なくとも約100nM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約1μM、少なくとも約5μM、少なくとも約10μM、少なくとも約25μM、少なくとも約50μM、少なくとも約100μM、少なくとも約250μM、少なくとも約0.5mM、少なくとも約1mM及び約50mM未満、約40mM未満、約30mM未満、約30mM未満、約10mM未満、約5mM未満、約4mM未満、約3mM未満、または約2mM未満であってもよい。
【0054】
本明細書に記載するキット、組成物及び方法は、本明細書に記載するD-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物に加え、1つ以上のさらなる成分、例えば、ルシフェラーゼ;バッファー、例えば、クエン酸またはクエン酸バッファー、MES、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、またはHEPES;無機ホスフェート、例えば、ピロホスフェートまたはリン酸カリウムの形態で;キレート化剤、例えば、EDTA、CDTAまたは1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸;塩、例えば、フッ化ナトリウム、硫酸マグネシウム;界面活性剤または洗剤、例えば、TERGITOL(登録商標)(例えば、非イオン性ノニルフェノールエトキシレート)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)またはTHESIT(登録商標)(ヒドロキシポリエトキシドデカン);消泡剤、例えば、INDUSTROL(登録商標)DF204(有機消泡剤)またはMAZU(登録商標)DF(シリコーン消泡剤);タンパク質安定化剤、例えば、ゼラチン、PRIONEX(登録商標)10%(ゼラチン、A型)またはアルブミン(例えば、BSA、HSA)またはグリセロール;アデノシントリホスフェート(ATP)またはアデノシンモノホスフェート(AMP)を含んでいてもよい。他の成分としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピリジン、クラウンエーテル、またはシクロデキストリンが挙げられるだろう。さらなる成分としては、例えば、チオール化合物、例えば、補酵素A、還元剤、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、または還元剤として作用する硫黄含有化合物、例えば、スルファイト、チオサルフェートのうち、1つ以上が挙げられるだろう。
【0055】
キット、組成物及び方法に含まれ得る洗剤としては、カチオン性、アニオン性、非イオン性または両性イオン性の洗剤が挙げられる。洗剤は、例えば、Tergitol(登録商標)洗剤(ポリグリコールエーテル(非イオン性))、Brij 35(登録商標)洗剤(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル)、Brij 58(登録商標)洗剤(ポリオキシエチレン20セチルエーテル(HO(CH2CH2O)20C16H33))、Triton X-100(登録商標)洗剤(4-(1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール(t-Oct-C6H4--(OCH2CH2)xOH、x=9-10))、Triton X-305(登録商標)洗剤(4)-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール)、Triton N101(登録商標)洗剤(ポリオキシエチレン-9,10分枝鎖ノニルフェニルエーテル)、CHAPS(登録商標)洗剤(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、Chapso(登録商標)洗剤(3-([3-コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート)、Bigchap(登録商標)洗剤(N,N-ビス(3-D-グルコンアミドプロピル)コラミド)、Thesit(登録商標)洗剤(ポリエチレングリコール400ドデシルエーテル(HO(CH2CH2O)n(CH2)11CH3))、Pluronic L64(登録商標)洗剤(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))、Rhodasurf 870(登録商標)洗剤(ポリエトキシル化(20)オレイルアルコール)、Chemal LA-9(登録商標)洗剤(ポリオキシエチレン9ラウリルアルコール)、Sulfonyl 465(登録商標)洗剤(2,4,7,9-テトラメチル-5-デセイン-4,7-ジオールエトキシレート10)、デオキシコレート、CTA 3、Pierce C08(登録商標)洗剤(C8=オクチル-β-D-グルコピラノシド)、またはPierce C10(登録商標)洗剤(n-デシル-.β.-D-マルトシド(C10アルキル側鎖))を含んでいてもよい。
【0056】
本明細書に記載する方法、キット及び組成物、またはD-ルシフェリン及びL-ルシフェリンを利用する本明細書に記載するアッセイに使用されるD-ルシフェリンとL-ルシフェリンを含有する混合物は、pHが、少なくとも約5、少なくとも約5.1、少なくとも約5.2、少なくとも約5.3、少なくとも約5.4、少なくとも約5.5、少なくとも約5.6、少なくとも約5.7、少なくとも約5.8、少なくとも約5.9、少なくとも約6、少なくとも約6.1、少なくとも約6.2、少なくとも約6.3、少なくとも約6.4、少なくとも約6.5、少なくとも約6.6、少なくとも約6.7、少なくとも約6.8、少なくとも約6.9、少なくとも約7、少なくとも約7.1、少なくとも約7.2、少なくとも約7.3、少なくとも約7.4、少なくとも約7.5、少なくとも約7.6、少なくとも約7.7、少なくとも約7.8、少なくとも約7.9、少なくとも約8、少なくとも約8.1、少なくとも約8.2、少なくとも約8.3、少なくとも約8.4、または少なくとも約8.5、約9未満、約8.9未満、約8.8未満、約8.7未満、約8.6未満、約8.5未満、約8.4未満、約8.3未満、約8.2未満、約8.1未満、約8未満、約7.9未満、約7.8未満、約7.7未満、約7.6未満、約7.5未満、約7.4未満、約7.3未満、約7.2未満、約7.1未満、約7未満、約6.9未満、約6.8未満、約6.7未満、約6.6未満、または約6.5未満であってもよい。pHは、迅速な速度での明るい発光を促進する環境(例えば、約8~9のpH)、またはもっと持続的な発光を与えるもっと遅い速度の発光を促進する環境(例えば、約7.5未満または約7未満のpH)を与えるように、混合物組成物またはアッセイ中で維持されていてもよい。
【0057】
所定期間貯蔵される前に、本明細書に記載する任意の比率でD-ルシフェリンとL-ルシフェリンを合わせてもよい。本明細書に開示されるキットまたは組成物のルシフェラーゼ、ATP、または任意の他の成分を、場合により、貯蔵前にD-ルシフェリンとL-ルシフェリンの混合物と合わせてもよい。混合物を、少なくとも約-85℃、少なくとも約-80℃、少なくとも約-75℃、少なくとも約-50℃、少なくとも約-40℃、少なくとも約-30℃、少なくとも約-25℃、少なくとも約-20℃、少なくとも約0℃、少なくとも約1℃、少なくとも約2℃、少なくとも約3℃または少なくとも約4℃、約45℃未満、約40℃未満、約38℃未満、約35℃未満、約30℃未満、約25℃未満、約22℃未満、約21℃未満、約20℃未満、約15℃未満、約10℃未満、約8℃未満、または約6℃未満の温度で所定期間貯蔵してもよい。貯蔵のための所定期間は、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約12ヶ月間であってもよい。貯蔵期間後に残っているD-ルシフェリンの量は、貯蔵前の混合物中のD-ルシフェリンの初期の量の少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、または少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約54%、少なくとも約53%、少なくとも約52%、または少なくとも約51%であってもよい。貯蔵期間後に残っているD-ルシフェリンの量は、例えば、配合物が、貯蔵前に、D-ルシフェリンより多くのL-ルシフェリンを含む場合、貯蔵前の混合物中のD-ルシフェリンの初期の量の少なくとも約101%、少なくとも約105%、少なくとも約110%、少なくとも約115%、少なくとも約120%、少なくとも約125%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約750%、少なくとも約1000%であってもよい。
【0058】
本明細書に開示する組成物及びキットを使用し、光を生成するルシフェラーゼ-ルシフェリン反応によってサンプル中のATPの存在または量をアッセイしてもよい。ATPは、ATPを利用する反応(例えば、キナーゼ反応)の後のサンプル中に存在していてもよく、サンプル中のATPの量及び生成した光は、ATPを利用する酵素の活性の量と逆比例する。サンプルは、無傷の細胞を含有していてもよく、未精製細胞溶解物または清澄化した細胞溶解物を含有していてもよく、またはATPを生成するか、またはATPを使用する精製された酵素を含んでいてもよい。細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。
【0059】
本明細書に開示する組成物及びキットを使用し、サンプル中のルシフェラーゼの存在または量をアッセイしてもよい。ルシフェラーゼは、ルシフェラーゼ遺伝子、例えば、レポーター遺伝子のトランスフェクション(例えば、一時的または安定なトランスフェクション)後のサンプルに存在していてもよい。サンプルは、無傷の細胞、未精製細胞溶解物または清澄化した細胞溶解物を含有していてもよく、または、例えば、全動物イメージングのために全動物を含んでいてもよい。ルシフェラーゼは、細胞を含まない抽出物(例えば、ウサギ網状赤血球溶解物または小麦胚芽翻訳系)におけるルシフェラーゼコード配列の発現後のサンプル中に存在していてもよい。細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。
【0060】
本発明は、その適用において、本記載に記載されるか、または以下の図面に示される成分の構築及び配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の様式で実施することができるか、または行うことができる。
【0061】
本明細書で引用される任意の数値範囲は、下限値から上限値までのすべての値を含むことが理解されるべきである。例えば、ある濃度範囲が1%~50%と述べられている場合、例えば、2%~40%、10%~30%、または1%~3%などの値が、本明細書に明示的に挙げられていることを意図する。本明細書に引用される任意の数値範囲が、少なくともその下限値から、上限値がないすべての値、及び下限値がなく、その上限値までのすべての値を含むことも理解されるべきである。これらは、具体的に意図される単なる例であり、その最小値と、挙げられている最大値自体を含め、その間の数値範囲のあらゆる可能な組み合わせが、本出願に明示的に述べられていると考えられる。
【0062】
本発明が、その適用において、本記載に記載される成分の構築及び配置の詳細に限定されないことも理解されるべきである。また、本明細書に使用される用語及び専門用語は、記載の目的のためであり、限定するとみなすべきではないことを理解すべきである。本発明を記述する観点で、「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」及び同様の指示語の使用は、本明細書に特に指示がなく、内容と明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈すべきである。「~を含む(comprising)」、「~を有する(having)」、「~を含む(including)」及び「~を含有する(containing)」という用語は、特記しない限り、非限定の用語として解釈すべきである(すなわち、「限定されないが、~を含む」を意味する)。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に特に指示がなく、内容と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書に引用される特許明細書、特許及び文献は、具体的に、かつ完全に、全体的に参考として組み込まれる。矛盾する解釈が可能である場合、本開示に従う。
【0063】
本明細書に提供される任意の実施例または例示的な言語及びすべての実施例または例示的な言語の使用(例えば、「例えば」)は、単に、本開示の態様及び実施形態を示すことを意図しており、特許請求の範囲を限定しない。
【実施例】
【0064】
(実施例1:促進された安定性)
5mMのL-ルシフェリンをCellTiter-Glo(Ultra-Gloルシフェラーゼ及び5mMのD-ルシフェリンを含有するATP検出試薬、Promega Corporation)に溶解した。小分けし、種々の時間、種々の温度に放置し、次いで、-80℃で貯蔵した。すべてのサンプルを同時に室温まで解凍し、次いで、1μMのATP水溶液と1:1で混合した。10分後にLuminescence(RLU)を測定した。結果を
図1に示す。
【0065】
もっと高温での崩壊速度から、アレニウス式を使用し、もっと低い温度での崩壊速度を計算した。22℃で、性能の10%消失が8.6日目に起こると計算された。4℃で、それぞれ4.2ヶ月及び2年で10%及び50%の消失が計算された。-20℃で、20年で10%の消失が計算された。
【0066】
(実施例2:22℃でのリアルタイム安定性。)
CellTiter-Gloに5mMのL-ルシフェリンを含むもの及び含まないものの小分け分を種々の時間、22℃で放置し、次いで、-80℃で貯蔵した。すべてのサンプルを同時に室温まで解凍し、次いで、1μMのATP水溶液と1:1で混合した。10分後にLuminescence(RLU)を測定した。結果を
図2に示す。
【0067】
22℃で、それぞれ、CellTiter-Gloで、L-ルシフェリンを含むもの及び含まないものについて、約12時間または約2週間で、性能の10%の消失が起こった。
【0068】
(実施例3-ルシフェリン及び5’-フルオロルシフェリンの比較)
5mMのL-異性体ルシフェリンまたはフルオロルシフェリンを、5mMのそれぞれのD-異性体を含有する試薬(500mMのMES、pH6、400mMのKCl、3mMのCDTA、20mMのMgSO4、2mMのNaF、15μMのテトラナトリウムピロホスフェート、2%のThesit、1%のDTAB、0.2%のMazu及び0.21mg/mlのUltra-Glo)に溶解した。次いで、CellTiter-Gloを含むそれぞれの試薬を、2μMのATP水溶液と1:1で混合し、長期間にわたって発光(RLU)を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
【0070】
D-異性体を比較するとき、光の出力において中程度の差しか存在しないが、5’-フルオロルシフェリンの異性体混合物は、ほぼ同じシグナル半減期を有するルシフェリンよりもかなり明るい。
【0071】
(実施例4。天然のホタルルシフェラーゼを含有する試薬の向上した安定性)
1mMのL-ルシフェリンを、1mMのD-ルシフェリン及び13.54μg/mlの天然ホタルルシフェラーゼ(QuantiLum(登録商標)組み換えルシフェラーゼ、Promega、Madison WI)を含有する試薬(50mMの酢酸Mg、25mMのトリスアセテート、pH7.75、0.1mMのEDTA、0.002%のアジド、0.5mMのDTT、1.3mg/mlのBSA)に溶解した。小分け分を種々の時間、22℃で放置し、次いで、-80℃で貯蔵した。すべてのサンプルを同時に室温まで解凍し、次いで、注入によって20μMのATP水溶液と1:1で混合した。10秒の崩壊後、発光(RLU)を測定し、10秒間積分した。結果を
図3に示す。
【0072】
22℃で、L-異性体のルシフェリンを含む試薬、または含まない試薬を用い、それぞれ約5時間及び約50時間で性能の10%消失が起こった。
【0073】
(実施例5。ルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬中の異なるD-/L-ルシフェリンの比率が、発光及びシグナル半減期に与える影響)
ホタルルシフェラーゼ(CMV-Fluc)を安定に発現するHEK293細胞を、100μlの完全培地(DMEM+10%のFBS+1×NEAA(非必須アミノ酸))中、2.5×l05細胞/mlで白色96ウェルプレートに置いた。次いで、この細胞を37℃、5% CO2で一晩インキュベートした。一晩インキュベーションした後、このプレートを22℃で平衡状態にした。100:0;95:5;90:10;85:15;80:20;または75:25のD-/L-5’-フルオロルシフェリンの1mMのルシフェリンを含むホタルルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬100μlを上述の細胞に加え(n=3)、3分間混合しつつインキュベーションした。GloMax(登録商標)Multi+を用い、22℃で発光を3分ごとに5時間測定した。
【0074】
図4は、異なるD-/L-ルシフェリンの比率が、初期の発光(RLU)(A)及びシグナル半減期(B)に与える影響を示す。この発光を指数関数型崩壊にフィッティングすることによって、シグナル半減期を計算した。
【0075】
(実施例6。異なるD-/L-ルシフェリンの比率が、ルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬の安定性に与える影響)
種々の比率のD-/L-5’-フルオロルシフェリン(100:0;90:10;80:20;70:30;60:40;及び50:50)を含むホタルルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬を作成した。それぞれの試薬を180μlの小分けに分注し、22℃の水中、種々の時間(0日間、1日間、2日間、3日間、4日間または5日間)インキュベーションした。それぞれの期間の後、それぞれの比率を有する試薬の小分け分を-80℃で凍結した。この期間が終わった後、すべての小分け分を解凍し、ピペットで上下させることにより混合し、96ウェルプレートの3連のウェルに50μlを移し、次いで、22℃で平衡状態にした。精製したホタルルシフェラーゼ(QuantiLum)を、0.1%のPrionexを追加したDMEMで0.69μg/mlになるように希釈し、50μlをそれぞれのウェルに加え、3分間混合した。GloMax(登録商標)Multi+ルミノメータで発光を読み取った。
【0076】
図5は、D-/L-5’フルオロルシフェリンの比率が50:50に近づくにつれて、ルシフェラーゼレポーターアッセイ試薬の向上した室温安定性を示す。
【0077】
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含み、本質的にATPを含まない、組成物。
〔2〕D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、本質的にルシフェラーゼを含まない、組成物。
〔3〕D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む組成物であって、前記L-ルシフェリンの濃度が、前記D-ルシフェリンの濃度を超える、組成物。
〔4〕L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔5〕L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔6〕約5以上約9未満のpHを有する、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔7〕前記ルシフェラーゼが、甲虫ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕前記D-ルシフェリンが、D-5’フルオロルシフェリンであり、前記L-ルシフェリンが、L-5’フルオロルシフェリンである、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔9〕バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの更なる成分を更に含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔10〕硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含む、前記〔9〕に記載の組成物。
〔11〕1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つの更なる成分を更に含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔12〕フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を更に含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔13〕少なくとも2つの前記更なる成分を含む、前記〔9〕、〔11〕又は〔12〕に記載の組成物。
〔14〕少なくとも3つの前記更なる成分を含む、前記〔9〕、〔11〕又は〔12〕に記載の組成物。
〔15〕少なくとも4つの前記更なる成分を含む、前記〔9〕、〔11〕又は〔12〕に記載の組成物。
〔16〕少なくとも5つの前記更なる成分を含む、前記〔9〕、〔11〕又は〔12〕に記載の組成物。
〔17〕マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔18〕クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔19〕前記甲虫ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼ又はクリックビートルルシフェラーゼである、前記〔7〕に記載の組成物。
〔20〕実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔21〕増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する組成物であって、ルシフェラーゼ、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含み、本質的にATPを含まない、前記組成物。
〔22〕前記ルシフェラーゼが甲虫ルシフェラーゼである、前記〔21〕に記載の組成物。
〔23〕前記甲虫ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼ又はクリックビートルルシフェラーゼである、前記〔21〕又は〔22〕に記載の組成物。
〔24〕増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する組成物であって、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、本質的にルシフェラーゼを含まない、前記組成物。
〔25〕L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約0.5:1~約2:1である、前記〔21〕~〔24〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔26〕L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約55:45である、前記〔21〕~〔24〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔27〕増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する組成物であって、前記組成物が、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含み、L-ルシフェリンの濃度が、D-ルシフェリンの濃度を超える、前記組成物。
〔28〕反応混合物が、実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、増大した貯蔵寿命を有する及び/又は安定性が生じる、前記〔21〕~〔27〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔29〕約5以上約9未満のpHを有する、前記〔21〕~〔28〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔30〕前記D-ルシフェリンが、D-5’フルオロルシフェリンであり、前記L-ルシフェリンが、L-5’フルオロルシフェリンである、前記〔21〕~〔29〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔31〕バッファー、タンパク質安定化剤、マグネシウムイオン、金属キレート化剤、洗剤、消泡剤、無機ホスフェート、ピロホスフェート、AMP、補酵素A、還元剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの更なる成分を更に含む、前記〔21〕~〔30〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔32〕硫酸マグネシウム及びtrans-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含む、前記〔31〕に記載の組成物。
〔33〕1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、Tergitol洗剤、Mazu消泡剤、硫酸マグネシウム、ATP、補酵素A、ピロホスフェート、DTT、スルファイト及びチオサルフェートから選択される少なくとも1つの更なる成分を更に含む、前記〔21〕~〔32〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔34〕フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を更に含む、前記〔21〕~〔33〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔35〕少なくとも2つの前記更なる成分を含む、前記〔31〕、〔33〕又は〔34〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔36〕少なくとも3つの前記更なる成分を含む、前記〔31〕、〔33〕又は〔34〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔37〕少なくとも4つの前記更なる成分を含む、前記〔31〕、〔33〕又は〔34〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔38〕少なくとも5つの前記更なる成分を含む、前記〔31〕、〔33〕又は〔34〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔39〕マグネシウムイオン、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記〔21〕~〔30〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔40〕クエン酸バッファー、HEPESバッファー、マグネシウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、リン酸カリウム、消泡剤、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン及びAMPを含む、前記〔21〕~〔30〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔41〕少なくとも1つの容器に封入された前記〔1〕~〔40〕のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。
〔42〕第1の容器に封入された前記〔1〕~〔8〕及び〔19〕~〔30〕のいずれか一項に記載の組成物と、クエン酸バッファー、MESバッファー、フッ化ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシポリエトキシドデカン、消泡剤、ピロホスフェート、リン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びAMPから選択される少なくとも1つの成分を含む第2の容器とを備える、キット。
〔43〕実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、前記組成物が、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する、前記〔41〕又は〔42〕に記載のキット。
〔44〕前記〔1〕、〔4〕~〔17〕、〔19〕~23、25、26及び28~39のいずれか一項に記載の組成物とサンプルとを接触させる工程と、生成される発光を検出することによってサンプル中のATPの存在又は量を決定する工程とを含む、サンプル中のATPの存在又は量を決定するための方法。
〔45〕前記サンプルが無傷の細胞を含む、前記〔44〕に記載の方法。
〔46〕前記サンプルが、未精製細胞溶解物又は清澄化した細胞溶解物を含む、前記〔44〕に記載の方法。
〔47〕前記細胞が、原核細胞又は真核細胞である、前記〔45〕又は〔46〕に記載の方法。
〔48〕前記サンプルが、ATPを生成するか又はATPを使用する精製された酵素を含む、前記〔44〕~〔47〕のいずれか一項に記載の方法。
〔49〕前記組成物が、実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したときに比較される、増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する、前記〔44〕~〔48〕のいずれか一項に記載の方法。
〔50〕ルシフェラーゼを発現する細胞においてルシフェラーゼ活性を検出するための方法であって、前記細胞内でルシフェラーゼを発現する工程と、前記ルシフェラーゼ、前記細胞、又はこれらの組み合わせと混合物とを接触させる工程であって、前記混合物が、(i)少なくとも約5:95~約75:25、(ii)少なくとも約5:95~約50:50、(iii)約5:95~約25:75、又は(iv)少なくとも約5:95~約20:80のL-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率で、L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む工程と、発光を検出する工程とを含む、方法。
〔51〕前記細胞を溶解し、前記ルシフェラーゼを含む溶解した細胞を前記混合物と接触させる、前記〔50〕に記載の方法。
〔52〕前記溶解した細胞を清澄化し、前記ルシフェラーゼを含む清澄化した細胞抽出物を形成し、前記清澄化した細胞抽出物を前記混合物と接触させる、前記〔51〕に記載の方法。
〔53〕前記細胞が、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞である、前記〔50〕~〔52〕のいずれか一項に記載の方法。
〔54〕前記混合物が、発光シグナルの半減期を増大させる、前記〔50〕~〔53〕のいずれか一項に記載の方法。
〔55〕前記細胞が、ルシフェラーゼコード配列で一時的にトランスフェクトされる、前記〔50〕~〔54〕のいずれか一項に記載の方法。
〔56〕前記混合物が、少なくとも約6.5から約7.8未満のpH、又は少なくとも約6.6から少なくとも約6.8のpHを有する、前記〔50〕~〔55〕のいずれか一項に記載の方法。
〔57〕前記D-ルシフェリンが、D-5’フルオロルシフェリンであり、前記L-ルシフェリンが、L-5’フルオロルシフェリンである、前記〔50〕~〔56〕のいずれか一項に記載の方法。
〔58〕前記組成物が、実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、約0℃~約35℃の温度で貯蔵したとき、増大した貯蔵寿命及び/又は安定性を有する、前記〔50〕~〔57〕のいずれか一項に記載の方法。
〔59〕ルシフェラーゼ反応を行うための方法であって、以下の工程、
(a)L-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む混合物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間の期間貯蔵する工程であって、前記貯蔵された混合物が、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイ中、サンプルと合わせると、光の出力を生成することができ、且つ、前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である工程と、
(b)工程(a)の後、前記貯蔵された混合物を、(i)サンプル及び(ii)ATP又はATP源、ルシフェラーゼ、又はこれらの組み合わせと合わせ、反応アッセイを形成し、生成される発光を検出する工程と、
を含む、方法。
〔60〕前記期間が、少なくとも約12時間であり、前記温度が、約0℃~約6℃又は約20℃~約35℃である、前記〔59〕に記載の方法。
〔61〕前記サンプルがルシフェラーゼを含み、前記混合物がATPを含む、前記〔59〕又は〔60〕に記載の方法。
〔62〕前記サンプルがATPを含み、前記混合物がルシフェラーゼを含む、前記〔59〕又は〔60〕に記載の方法。
〔63〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約75%である、前記〔59〕~〔62〕のいずれか一項に記載の方法。
〔64〕ルシフェラーゼ反応のための成分を配合するための方法であって、以下の工程、
(a)D-ルシフェリン及びL-ルシフェリンを合わせて混合物を形成する工程と、
(b)約0℃~約35℃の温度で少なくとも約2日間の期間、前記混合物を貯蔵する工程と、
を含み、前記混合物が、ルシフェラーゼを含むアッセイにおいてサンプルと合わせると光の出力を生成することができ、前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である、前記方法。
〔65〕前記混合物が、ATP又はルシフェラーゼを本質的に含まない、前記〔59〕~〔64〕のいずれか一項に記載の方法。
〔66〕前記温度が、約20℃~約35℃である、前記〔59〕~〔65〕のいずれか一項に記載の方法。
〔67〕前記温度が約0℃~約6℃であり、前記期間が少なくとも約2週間である、前記〔59〕~〔66〕に記載の方法。
〔68〕前記期間が、少なくとも約12週間である、前記〔59〕~〔67〕のいずれか一項に記載の方法。
〔69〕前記期間が、少なくとも約26週間である、前記〔59〕~〔68〕のいずれか一項に記載の方法。
〔70〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%である、前記〔59〕~〔69〕のいずれか一項に記載の方法。
〔71〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である、前記〔59〕~〔70〕のいずれか一項に記載の方法。
〔72〕工程(b)の後に、前記貯蔵された混合物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATP又はATP源、又は(iii)これらの組み合わせを合わせ、第2の混合物を形成する工程と、前記第2の混合物中で生成される発光を検出する工程とを更に含む、前記〔64〕~〔71〕のいずれか一項に記載の方法。
〔73〕前記混合物が、約5~約9のpHを有する、前記〔50〕~〔55〕又は〔57〕~〔72〕のいずれか一項に記載の方法。
〔74〕前記混合物は、L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25である、前記〔59〕~〔73〕のいずれか一項に記載の方法。
〔75〕発光シグナルの半減期を増大するための方法であって、以下の工程、
(a)ルシフェラーゼを含むサンプルと、D-ルシフェリン、L-ルシフェリン及びATPを含む混合物とを接触させて、反応アッセイを形成する工程と、
(b)発光を検出する工程と、
を含み、D-ルシフェリンを含み、L-ルシフェリンを実質的に含まない相当する反応アッセイと比較して、前記発光シグナルの半減期が増大する、前記方法。
〔76〕前記発光シグナルの半減期が、少なくとも約25%増大する、前記〔75〕に記載の方法。
〔77〕前記発光シグナルの半減期が、少なくとも約5倍増大する、前記〔75〕に記載の方法。
〔78〕前記サンプルが、前記ルシフェラーゼを発現する細胞を含む、前記〔75〕~〔77〕のいずれか一項に記載の方法。
〔79〕前記細胞が溶解され、サンプルが前記ルシフェラーゼを含む前記溶解した細胞を含む、前記〔78〕に記載の方法。
〔80〕サンプルが、前記ルシフェラーゼを含む清澄化した細胞抽出物を含む、前記〔75〕~〔77〕のいずれか一項に記載の方法。
〔81〕前記細胞が、原核細胞又は真核細胞である、前記〔78〕~〔80〕のいずれか一項に記載の方法。
〔82〕前記D-ルシフェリンが、D-5’フルオロルシフェリンであり、前記L-ルシフェリンが、L-5’フルオロルシフェリンであり、前記相当する反応アッセイが、D-5’フルオロルシフェリンを含み、L-5’フルオロルシフェリンを実質的に含まない、前記〔75〕~〔81〕のいずれか一項に記載の方法。
〔83〕ルシフェラーゼ反応を行うための方法であって、以下の工程、
(a)組成物と、サンプル及びATP又はATP源、ルシフェラーゼ、又はこれらの組み合わせとを合わせて反応アッセイを形成する工程であって、前記組成物がL-ルシフェリン及びD-ルシフェリンを含む工程と、
(b)生成される発光を検出する工程と、
を含み、前記組成物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間の期間貯蔵したとき、実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、前記組成物が、増大した安定性を有し、貯蔵された組成物が、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイにおいてサンプルと合わせたとき、光の出力を生成することができ、前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である、前記方法。
〔84〕増大した安定性が、増大した貯蔵寿命及び/又は増大したシグナル安定性を含む、前記〔83〕に記載の方法。
〔85〕前記期間が少なくとも約12時間であり、前記温度が約0℃~約6℃又は約20℃~約35℃である、前記〔83〕又は〔84〕に記載の方法。
〔86〕前記サンプルがルシフェラーゼを含み、前記組成物がATPを含む、前記〔83〕~〔85〕のいずれか一項に記載の方法。
〔87〕前記サンプルがATPを含み、前記組成物がルシフェラーゼを含む、前記〔83〕~〔85〕に記載の方法。
〔88〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約75%である、前記〔83〕~〔87〕のいずれか一項に記載の方法。
〔89〕ルシフェラーゼ反応のための成分を配合するための方法であって、D-ルシフェリンとL-ルシフェリンを合わせて組成物を形成する工程を含み、前記組成物を約0℃~約35℃の温度で少なくとも約4時間の期間貯蔵したとき、実質的にL-ルシフェリンを有さない組成物と比較して、前記組成物が、増大した安定性を有し、前記貯蔵された組成物が、ルシフェラーゼ及びATPを含むアッセイにおいて前記サンプルと合わせたとき、光の出力を生成することができ、前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である、前記方法。
〔90〕増大した安定性が、増大した貯蔵寿命及び/又は増大したシグナル安定性を含む、前記〔89〕に記載の方法。
〔91〕前記組成物が、ATP又はルシフェラーゼを本質的に含まない、前記〔83〕~〔90〕のいずれか一項に記載の方法。
〔92〕前記温度が、約20℃~約35℃である、前記〔83〕~〔91〕のいずれか一項に記載の方法。
〔93〕前記温度が約0℃~約6℃であり、前記期間が少なくとも約2週間である、前記〔83〕~〔92〕に記載の方法。
〔94〕前記期間が、少なくとも約12週間である、前記〔83〕~〔93〕のいずれか一項に記載の方法。
〔95〕前記期間が、少なくとも約26週間である、前記〔83〕~〔94〕のいずれか一項に記載の方法。
〔96〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約90%である、前記〔83〕~〔95〕のいずれか一項に記載の方法。
〔97〕前記期間の後の光の出力が、前記期間の開始時の光の出力の少なくとも約50%である、前記〔83〕~〔96〕のいずれか一項に記載の方法。
〔98〕工程(b)の後に、前記組成物と(i)ルシフェラーゼ、(ii)ATP又はATP源、又は(iii)これらの組み合わせを合わせて混合物を形成する工程と、前記混合物において生成される発光を検出する工程とを更に含む、前記〔83〕~〔97〕のいずれか一項に記載の方法。
〔99〕前記組成物が、約5~約9のpHを有する、前記〔83〕~〔98〕のいずれか一項に記載の方法。
〔100〕前記組成物は、L-ルシフェリン対D-ルシフェリンの比率が、少なくとも約5:95~約75:25である、前記〔83〕~〔99〕のいずれか一項に記載の方法。