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  • 特許-部品実装装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230208BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021530362
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2019026905
(87)【国際公開番号】W WO2021005667
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 寿明
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092200(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003336(WO,A1)
【文献】特開2012-039302(JP,A)
【文献】特開平03-257894(JP,A)
【文献】特開2007-042987(JP,A)
【文献】特開平11-346096(JP,A)
【文献】特表2003-536252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
ヘッドと、
一端が前記ヘッドに着脱可能に構成されており、他端が前記部品を吸着可能に構成されているノズルと、
前記ヘッドに装着された前記ノズルの高さ位置を較正するためのセンサと、
前記ノズルの高さ位置を較正する較正処理と、前記部品を前記基板に実装する実装処理と、を実行可能に構成されており、
前記較正処理では、前記ヘッドに装着された前記ノズルを前記センサに対して所定の位置まで移動させるときに前記センサから出力される信号を検出する第1検出動作と、前記センサから出力される信号に基づいて前記ノズルの高さ位置を較正する較正動作と、を実行し、
前記実装処理では、前記ヘッドに装着された前記ノズルを前記センサに対して前記所定の位置まで移動させるときに前記センサから出力される信号を検出する第2検出動作と、前記ノズルに吸着させた前記部品を前記基板に実装する実装動作と、を実行し、
前記第1検出動作及び前記第2検出動作において、前記センサの出力に異常が生じていると判断される場合に、前記センサに異常が生じていることを示すエラー情報を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記較正処理の前記第1検出動作において、前記センサの出力に異常が生じていると判断される場合には、前記較正動作の実行を中止し、
前記実装処理の前記第2検出動作において、前記センサの出力に異常が生じていると判断される場合には、前記実装動作の実行を継続する、部品実装装置。
【請求項2】
前記ヘッドに装着された前記ノズルを撮像するカメラをさらに備えており、
前記制御部は、前記実装処理において、前記第2検出動作における前記センサの出力に異常が生じているか否かに関わらず、前記カメラの撮像画像に基づいて、前記ノズルの高さ方向の位置決めを実行する、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記センサは、接触センサであり、
前記制御部は、前記第1検出動作及び前記第2検出動作において、前記ノズルを前記接触センサに対して前記所定の位置まで移動させることで前記ノズルを前記接触センサに押し当て、
前記接触センサは、前記ノズルが当該接触センサに押し当てられると、前記ノズルが押し当てられたことを示す信号を出力する、請求項1又は2に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に部品を実装する部品実装装置が開示されている。この部品実装装置は、ヘッドと、ノズルと、治具台と、を備えている。ノズルは、一端がヘッドに着脱可能であり、他端が部品を吸着可能に構成されている。この部品実装装置では、ヘッドに装着するノズルを交換した際に、ノズルを治具台に押し当てることにより、ヘッドに対するノズルの摺動性を改善する。これにより、ノズル交換の前後においてヘッドに対するノズルの高さ位置の変動が抑制され、基板に対して好適に部品を実装することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-92200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の部品実装装置では、実際に部品を基板に実装する前(例えば、ノズル交換した直後に行われる実装処理の前)に、基板に対するノズルの高さ位置を較正する場合がある。このような場合、ノズルの高さ位置を検出するためにセンサが用いられる。ノズルの高さ位置は、ノズルをセンサに対して所定の位置まで移動させ、そのときのセンサの出力に基づいて較正される。ノズルの高さ位置の較正後に、基板に部品を実装する動作が実行される。
【0005】
従来の技術では、センサはノズルの高さ位置を較正するために用いられるため、実際に部品を実装する処理が開始されると、次の較正処理が行われるまでセンサの出力は監視されない。このため、部品の実装時には、センサに異常が生じているか否かを把握することができない。したがって、センサの異常は、再度ノズルの高さ位置を較正するときや、定期的なメンテナンスを行うときに初めて判明する。このように、従来では、上記したタイミングで初めてセンサの異常を把握することができるため、異常が生じたセンサを交換等するためにノズルの高さ位置の較正やメンテナンス等に余分な時間を要していた。このため、生産効率が低下するという問題があった。本明細書では、部品実装装置に設けられ、ノズルの高さ位置を較正するために用いられるセンサの異常を早期に把握することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品実装装置は、基板に部品を実装する。前記部品実装装置は、ヘッドと、一端が前記ヘッドに着脱可能に構成されており、他端が前記部品を吸着可能に構成されているノズルと、前記ヘッドに装着された前記ノズルの高さ位置を較正するためのセンサと、制御部と、を備えている。前記制御部は、前記ノズルの高さ位置を較正する較正処理と、前記部品を前記基板に実装する実装処理と、を実行可能に構成されている。前記制御部は、前記較正処理では、前記ヘッドに装着された前記ノズルを前記センサに対して移動させることによって前記センサの出力を検出する第1検出動作と、前記センサの出力に基づいて前記ノズルの高さ位置を較正する較正動作と、を実行し、前記実装処理では、前記ヘッドに装着された前記ノズルを前記センサに対して移動させることによって前記センサの出力を検出する第2検出動作と、前記ノズルに吸着させた前記部品を前記基板に実装する実装動作と、を実行し、前記第1検出動作及び前記第2検出動作において、前記センサの出力に異常が生じていると判断される場合に、前記センサに異常が生じていることを示すエラー情報を出力する。
【0007】
上記の部品実装装置では、制御部が、較正処理と実装処理の双方において、センサの出力を監視する。そして、制御部は、センサの出力に異常が生じていると判断される場合には、実行中の処理が較正処理であるか実装処理であるかに関わらずエラー情報を出力する。このため、ユーザは、センサに異常が生じていることを早期に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る部品実装装置の構成を模式的に示す側面図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】部品実装装置が実行する較正処理のフローチャート。
図4】部品実装装置が実行する実装処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示する一実施形態では、制御部は、較正処理の第1検出動作において、センサの出力に異常が生じていると判断される場合には、較正動作の実行を中止してもよく、実装処理の第2検出動作において、センサの出力に異常が生じていると判断される場合には、実装動作の実行を継続してもよい。
【0010】
上記の構成では、較正処理においてセンサの出力に異常が生じていると判断される場合には、較正動作を適切に実行することができないため、較正動作の実行を中止する。一方、実装処理では、センサの出力に異常が生じても、当該異常が実装動作の精度等に影響することがほとんどない。したがって、実装処理においてセンサの出力に異常が生じていると判断されても、実装動作の実行を継続することによって、部品実装装置の稼働を停止する時間を短縮することができる。このため、生産効率の低下をより抑制することができる。
【0011】
本明細書に開示する一実施形態では、ヘッドに装着されたノズルを撮像するカメラをさらに備えてもよい。制御部は、実装処理において、カメラの撮像画像に基づいて、ノズルの高さ方向の位置決めを実行してもよい。
【0012】
このような構成によれば、較正処理において位置決めされたノズルの高さ方向の位置が、例えば、繰り返しの実装動作により変動した場合であっても、実装処理の実行中に適切な高さ位置にノズルを位置決めし直すことができる。
【0013】
本明細書に開示する一実施形態では、センサは、接触センサであってもよい。制御部は、第1検出動作及び第2検出動作において、ノズルを接触センサに対して所定の位置まで移動させることでノズルを接触センサに押し当ててよい。接触センサは、ノズルが接触センサに押し当てられると、ノズルが押し当てられたことを示す信号を出力してもよい。
【0014】
このような構成によれば、接触センサから出力される二値の値(例えば、ON・OFF)に基づいて、ノズルの高さ位置を容易に把握することができる。したがって、簡易な構成によりノズルの高さ位置を較正することができる。
【0015】
(実施例)
以下、図面を参照して、実施例の部品実装装置10(以下、単に実装装置10という。)について説明する。実装装置10は、回路基板2に電子部品4を装着する装置である。実装装置10は、表面実装機やチップマウンタと称される。通常、実装装置10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機とともに併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0016】
図1及び図2に示すように、実装装置10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動機構18と、コンベア20と、撮像ユニット21と、ノズル収容部24と、ノズルホルダ26と、センサ28と、タッチパネル30と、制御部32を備える。
【0017】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されず、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、または、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0018】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを有しており、複数のスロットのそれぞれには、部品フィーダ12が着脱可能に設置される。フィーダ保持部14は、実装装置10に固定されたものであってもよいし、実装装置10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0019】
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6や、後述する較正処理で用いられる較正用ノズル8をその保持部16aに着脱可能に構成されている。保持部16aは、移動ベース17に固定されている。装着ヘッド16は、装着したノズル6、8をZ方向(すなわち、鉛直方向)に移動させるためのアクチュエータ(不図示)を備えており、部品フィーダ12や回路基板2、又はセンサ28に対して、ノズル6、8を近接及び離反させる。例えば、装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4を吸着ノズル6によって吸着するとともに、吸着ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に実装することができる。なお、装着ヘッド16は、単一の保持部16aを有するものに限られず、複数の保持部16aを有するものであってもよい。
【0020】
ヘッド移動機構18は、移動ベース17をX方向及びY方向(すなわち、水平方向)に移動させるロボットである。ヘッド移動機構18は、移動ベース17を案内するガイドレールや、移動ベース17をガイドレールに沿って移動させるアクチュエータ等によって構成される。ヘッド移動機構18は、部品フィーダ12及びコンベア20の上方に配置されている。
【0021】
コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。本実施例では、コンベア20は、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられるとともに、回路基板2を下方から支持する支持装置(不図示)と、ベルトコンベアを駆動するアクチュエータ(不図示)によって構成される。回路基板2は、X方向に搬送される。
【0022】
撮像ユニット21は、移動ベース17に取り付けられている。このため、装着ヘッド16が移動すると、撮像ユニット21も一体となって移動する。撮像ユニット21は、カメラ支持部22とカメラ23を備えている。カメラ支持部22は、移動ベース17に取り付けられている。カメラ支持部22には、カメラ23が取り付けられている。カメラ23は、吸着ノズル6の側方(図面Y軸方向)に配置されている。カメラ23は、装着ヘッド16に装着された吸着ノズル6全体(すなわち、装着ヘッド16の保持部16aの下端から吸着ノズル6の下端まで)を含む範囲を水平方向から撮像する。カメラ23によって撮像された画像は、電子部品4の実装時に吸着ノズル6の高さ方向の位置決めを実行するために用いられる。カメラ23には、例えば、CCDカメラが用いられる。
【0023】
ノズル収容部24は、部品フィーダ12とコンベア20との間に配置されている。ノズル収容部24は、複数の吸着ノズル6や較正用ノズル8を収容可能であり、装着ヘッド16との間でノズル6、8の受け渡しを行う。詳細には、各ノズル6、8は、ノズル収容部24に取り付けられたノズルホルダ26に収容されている。ノズルホルダ26には、複数種類のノズル6、8が収容可能となっている。ノズルホルダ26は、ノズル収容部24に対して着脱可能であり、例えば作業者がノズルホルダ26の吸着ノズル6を交換するときに、ノズル収容部24から取り外される。
【0024】
センサ28は、図2に示すように、一対のコンベア20の内側に設けられている。本実施例では、センサ28は、物体の接触の有無を検知する接触センサである。センサ28は、その上面に物体が接触していることを示す「ON」と、その上面に物体が接触していないことを示す「OFF」のいずれかの値を出力する。センサ28による出力結果は、制御部32に入力される。センサ28の上面の高さ位置は、コンベア20によって搬送される回路基板2の上面の高さ位置と略等しい。なお、センサ28は、接触センサに限られず、タッチダウンセンサや距離センサ等、センサ28に対する物体の位置を検出可能なものであればよい。
【0025】
タッチパネル30は、作業者に各種の情報を提供する表示装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付けるユーザインターフェースである。
【0026】
制御部32は、CPU、ROM、RAMを備えるコンピュータにより構成されている。制御部32は、各部品フィーダ12、フィーダ保持部14、装着ヘッド16、移動ベース17、ヘッド移動機構18、コンベア20、撮像ユニット21、ノズル収容部24、ノズルホルダ26、センサ28、及びタッチパネル30と通信可能に接続されている。制御部32は、上記各部を制御することにより、吸着ノズル6の高さ位置の較正、回路基板2への電子部品4の実装、回路基板2の搬送、各種情報の表示等を実行する。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、実装装置10の制御部32により実行される処理について説明する。制御部32は、装着ヘッド16に装着された較正用ノズル8の高さ位置を較正する較正処理と、電子部品4を回路基板2へ実装する実装処理とを実行する。
【0028】
(較正処理)
まず、図3を参照して、制御部32が実行する較正処理について説明する。較正処理は、ジョブの生産開始時や、装着ヘッド16に装着すべき吸着ノズル6を交換する際に実行される。S10において、制御部32は、ヘッド移動機構18により装着ヘッド16をノズルホルダ26の上方に移動させ、ノズルホルダ26に収容された複数のノズルから、較正用ノズル8を装着ヘッド16に装着させる。
【0029】
S12において、制御部32は、装着ヘッド16をセンサ28の上方へ移動させた後、較正用ノズル8を下降させて、較正用ノズル8の下端部をセンサ28の上面に押し当てる。
【0030】
S14において、制御部32は、センサ28の出力に異常が生じているか否かを判断する。上述したように、センサ28は、「ON」と「OFF」のいずれかの値を出力する。したがって、正常時には、較正用ノズル8を下方に移動させてセンサ28に押し当てると、センサ28の出力は、「OFF」から「ON」に変化する。しかしながら、例えばセンサ28が故障していると、センサ28が常時「ON」または「OFF」の値を出力する等の異常が生じる。このように、較正用ノズル8をセンサ28に押し当てる動作を実行したにもかかわらず、当該動作に応じた出力値が検出されない場合には、制御部32は、センサ28の出力に異常生じていると判断して、S16へ進む。
【0031】
S16において、制御部32は、センサ28の出力に異常が生じていることを示すエラー情報をタッチパネル30に表示する。これにより、作業者は、センサ28の出力に異常が生じている(例えば、センサ28が故障している)ことを認識することができる。なお、エラー情報の出力態様は、タッチパネル30への画像の表示に限られず、例えば、音声等によって出力する態様であってもよいし、外部装置(例えば、管理サーバ)にエラー情報を出力する態様であってもよい。そして、S18において、制御部32は、較正用ノズル8の高さ位置を較正する動作を中止する。
【0032】
一方、センサ28の出力に異常が生じていないと判断される場合(S14でNO)、制御部32は、S20において、較正動作を実行する。上述したように、センサ28の上面の高さ位置は、電子部品4を実装する対象である回路基板2の上面の高さ位置と略同じ高さに設定されている。したがって、制御部32は、センサ28の出力が「OFF」から「ON」に変化する高さ位置が回路基板2の上面の高さ位置に略等しいことに基づいて、較正用ノズル8の高さ位置を適切な高さ位置に較正する。すなわち、装着ヘッド16の高さ方向の位置を調整して、較正用ノズル8の高さ位置が適切な高さ位置となるように較正する。
【0033】
S22において、制御部32は、較正動作が完了したか否かを判断する。制御部32は、較正動作が完了していない場合(S22でNO)には、S20へ戻り、較正動作が完了した場合(S22でYES)には、一連の処理を終了する。
【0034】
(実装処理)
次に、図4を参照して、制御部32が実行する実装処理について説明する。実装処理は、上述した較正処理に続いて実行される。S30において、制御部32は、ヘッド移動機構18により装着ヘッド16をノズルホルダ26の上方に移動させ、ノズルホルダ26に収容された複数のノズルから、ジョブの生産に使用すべき吸着ノズル6を装着ヘッド16に装着させる。
【0035】
S32において、制御部32は、装着ヘッド16をセンサ28の上方へ移動させた後、吸着ノズル6を下降させて、吸着ノズル6の下端部をセンサ28の上面に押し当てる。これによって、吸着ノズル6の摺動性の改善又は確保が実行される。
【0036】
S34において、制御部32は、センサ28の出力に異常が生じているか否かを判断する。センサ28の出力に異常が生じているか否かの判断態様は、図3のS14と同様である。制御部32は、センサ28の出力に異常が生じていると判断される場合(S34でYES)にはS36へ進み、センサ28の出力に異常が生じていないと判断される場合(S34でNO)にはS38へ進む。
【0037】
S36において、制御部32は、エラー情報をタッチパネル30に表示する。これにより、作業者は、センサ28の出力に異常が生じていることを認識することができる。制御部32は、S36の処理を実行すると、S38へ進む。
【0038】
S38において、制御部32は、カメラ23の撮像画像を取得する。すなわち、制御部32は、カメラ23によって撮像された吸着ノズル6全体の画像を取得する。そして、S40において、制御部32は、カメラ23によって撮像された画像(吸着ノズル6全体の画像)に基づいて、吸着ノズル6の高さ方向の位置決めを実行する。すなわち、制御部32は、装着ヘッド16に装着された吸着ノズル6のZ方向の長さを調整する。これにより、部品フィーダ12や回路基板2に対して適切な高さ位置に吸着ノズル6が位置決めされる。
【0039】
S42において、制御部32は、実装動作を実行する。すなわち、制御部32は、生産すべきジョブに従って、回路基板2に対して所定の電子部品4を実装する。
【0040】
S44において、制御部32は、実装動作が完了したか否かを判断する。制御部32は、実装動作が完了していない場合(S44でNO)にはS42へ戻り、実装動作が完了した場合(S44でYES)には、一連の処理を終了する。
【0041】
上述したように、本実施例の実装装置10では、較正処理と実装処理の双方において、センサ28の出力が監視される。そして、制御部32は、センサ28の出力に異常が生じていると判断される場合(図3のS14でYES、図4のS34でYES)には、実行中の処理が較正処理であるか実装処理であるかに関わらずエラー情報を出力する(S16、S36)。このように、本実施例の実装装置10では、実装装置10が実行する処理内容に関わらず、センサ28の異常を出力するため、作業者は、センサ28に異常が生じていることを早期に把握することができる。
【0042】
また、実装処理では、センサ28の出力の異常は、実装動作の精度等にほとんど影響しない。すなわち、センサ28の出力に基づく較正用ノズル8の高さ位置の較正は、装着ヘッド16の高さ方向の位置決めのために行われる。また、S40によって、吸着ノズル6の高さ方向の位置決めは行われている。このため、実装処理中にセンサ28の出力に異常が生じても、実装動作の精度等にほとんど影響しない。このため、本実施例の実装装置10では、実装処理を実行中にセンサ28に異常が生じていると判断された場合(図4のS34でYES)、エラー情報は出力する(S36)ものの、実装動作は中止することなく継続する(S42)。このため、生産効率の低下を抑制することができる。
【0043】
また、本実施例の実装装置10では、実装処理において、吸着ノズル6をセンサ28に押し当てる動作を実行する(S32)。これにより、吸着ノズル6の装着ヘッド16に対する摺動性が改善される。これにより、電子部品4の吸着や、回路基板2への電子部品4の実装の前後において、装着ヘッド16に対する吸着ノズル6の高さ位置が変動することが抑制される。
【0044】
なお、上述した実施例では、実装処理においてセンサ28の出力に異常が生じた場合(S34でNO)にも、実装動作を実行した(S42)。しかしながら、実装処理においてセンサ28の出力に異常が生じていると判断される場合には、実装動作を中止してもよい。この場合、S38以降の処理を省略可能である。
【0045】
また、図4において、S38及びS40の処理は実行しなくてもよい。すなわち、カメラ23による吸着ノズル6の高さ方向の位置決め処理は省略可能である。このような構成であっても、較正処理において、較正用ノズル8の高さ位置(すなわち、装着ヘッド16の高さ位置)が較正されているため、回路基板2に対して適切に電子部品4を実装することができる。
【0046】
また、本実施例では、較正処理(図3)と実装処理(図4)とをこの順に実施する態様について説明した。しかしながら、較正処理及び実装処理の実施順序は限定されない。また、較正処理及び実装処理は、独立して実施されてもよい。
【0047】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
2:回路基板、4:電子部品、6:ノズル、8:較正用ノズル、10:部品実装装置、12:部品フィーダ、14:フィーダ保持部、16:装着ヘッド、16a:保持部、17:移動ベース、18:ヘッド移動機構、20:コンベア、21:撮像ユニット、22:カメラ支持部、23:カメラ、24:ノズル収容部、26:ノズルホルダ、28:センサ、30:タッチパネル、32:制御部
図1
図2
図3
図4