(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】情報処理方法、及び電子楽器
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20230208BHJP
G10H 1/32 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10H1/32 Z
(21)【出願番号】P 2021530472
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2019027616
(87)【国際公開番号】W WO2021005804
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 明寛
(72)【発明者】
【氏名】赤池 孝士
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-88378(JP,A)
【文献】特開2015-52653(JP,A)
【文献】特開2011-204042(JP,A)
【文献】特開2002-41054(JP,A)
【文献】特開2007-256754(JP,A)
【文献】米国特許第8420923(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-7/12
H04W 4/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子楽器と、前記電子楽器と近距離無線通信可能な端末との一方が、前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態にある間、データの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との少なくとも一方を所定パターンで繰り返す動作を含む動作パターンに従った動作を行い、
前記電子楽器と前記端末との他方が、前記読み出し要求の受信時に対応するデータを送信する処理を行い、前記書き込み対象データ及びその書き込み要求の受信時に前記書き込み対象データの書き込み処理を行う
情報処理方法。
【請求項2】
前記所定パターンは、データの読み出し要求の送信の繰り返し、又は、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信の繰り返しである
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記所定パターンは、N回のデータの読み出し要求の送信と、M回の書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信とを交互に繰り返すことである
請求項1又は2のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記動作パターンは、データの読み出し要求の送信によって得られたデータの内容に従って、データの読み出し要求の送信と書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を行うことを含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記動作パターンは、データの読み出し要求の送信と書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を用いた通信の失敗を検出した場合に、データの読み出し要求の送信と書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を行うことを含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記動作パターンは、送信対象のデータがある場合に、書き込み対象データ及びその書き込み要求を送信し、送信対象のデータがない場合に、データの読み出し要求の送信を繰り返し行うことを含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記動作パターンは、送信対象のデータがある場合に、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信を繰り返す中で、所定のタイミングにおいてデータの読み出し要求の送信を行い、送信対象のデータがない場合に、データの読み出し要求の送信を繰り返し行うことを含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記電子楽器が、前記端末から受信する制御情報に基づいて所定の処理を行う
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記端末が、前記電子楽器の演奏操作子となるユーザインタフェースをユーザに提供する処理を行い、前記ユーザインタフェースの操作によって得られた演奏情報を前記電子楽器へ送信し、
前記電子楽器が、前記端末から受信した前記演奏情報を用いた所定の処理を行う
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記端末が、前記端末の認証情報を前記電子楽器に送信し、
前記電子楽器は、前記端末の認証情報が正当と判定する場合に、前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態にある間、所定の機能を使用可能な状態とし、前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態が解除された場合に、前記所定の機能を使用不可の状態にする
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記端末がネットワークを介して受信した前記電子楽器の制御情報を前記電子楽器へ送信する
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記電子楽器は、前記書き込み要求又は前記読み出し要求の電波によって生じる起電力を電源として所定の処理を行う
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記端末が、前記電子楽器から演奏情報を受信し、前記演奏情報に対応する楽譜情報を表示装置に表示する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記端末が、前記電子楽器から演奏情報を受信し、前記演奏情報に対応する楽音を出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記端末が、前記電子楽器から、前記電子楽器の操作に係る情報を受信し、前記操作に係る情報に関連する、前記電子楽器の操作を支援する情報を表示装置に表示する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記端末が、前記電子楽器から受信するデータを編集し、編集後のデータを前記電子楽器に送信する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記電子楽器が、前記端末から受信するデータを編集し、編集後のデータを前記端末へ送信する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記端末が、前記読み出し要求を発行する頻度を、前記端末への非入力の期間に応じて変更する
請求項1から
17のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記電子楽器は、前記端末から受信する電波のエネルギーを用いてデータを前記端末へ送信する
請求項1から
18のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
電子楽器であって、
端末と近距離無線通信可能な通信部と、
前記端末が前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態にある間にデータの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求との送信との少なくとも一方を所定パターンで繰り返す動作を含む動作パターンに従った動作を行う場合において、前記通信部を用いた前記読み出し要求の受信時に対応するデータを送信する処理を行い、前記通信部を介した前記書き込み対象データ及びその書き込み要求の受信時に前記書き込み対象データの書き込み処理を行う処理部と
を含む電子楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、及び電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)の規格に従ったアンテナとの距離が所定の範囲に近づくと、そのアンテナに接続されている無線タグに記憶されている情報の読み取りを行い、複数の読み取りの順番(シーケンス)に応じた処理を行う情報処理装置がある(例えば、特許文献1)。また、携帯端末がNFC通信圏内に位置したことを検知したとき、NFC通信を確立して、BT通信に移行に備えて情報の交換を行い、BT通信により印刷対象の情報を受信し、印刷を行う技術がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-052209号公報
【文献】特開2017-001394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子楽器の有用性を向上させることのできる情報処理方法及び電子楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、電子楽器と、前記電子楽器と近距離無線通信可能な端末との一方が、前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態にある間、データの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求との送信との少なくとも一方を所定パターンで繰り返す動作を含む動作パターンに従った動作を行い、
前記電子楽器と前記端末との他方が、前記読み出し要求の受信時に対応するデータを送信する処理を行い、前記書き込み対象データ及びその書き込み要求の受信時に前記書き込み対象データの書き込み処理を行う
情報処理方法である。
【0006】
また、本発明の他の側面は、電子楽器であって、
端末と近距離無線通信可能な近距離無線通信部と、
前記端末が前記電子楽器と前記端末とが前記近距離無線通信可能な状態にある間にデータの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求との送信との少なくとも一方を所定パターンで繰り返す動作を含む動作パターンに従った動作を行う場合において、前記近距離無線通信部を用いた前記読み出し要求の受信時に対応するデータを送信する処理を行い、前記近距離無線通信部を介した前記書き込み対象データ及びその書き込み要求の受信時に前記書き込み対象データの書き込み処理を行う処理部と
を含む電子楽器である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は実施形態に係る情報処理システムの一例を示す。
【
図2】
図2は電子楽器システムが実行可能な処理の一覧を示す表である。
【
図3】
図3Aは表の項番1に対応する動作例1を示すシーケンス図である。
図3Bは表の項番2に対応する動作例2を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4Aは表の項番3に対応する動作例3を示すシーケンス図である。
図4Bは表の項番4に対応する動作例4を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は動作例5における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は動作例5における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は動作例6における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は動作例6における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は動作例7における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は動作例7における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は動作例8における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は動作例8における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は動作例9における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は動作例9における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は動作例10における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、動作例11における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は動作例12における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は動作例12における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は動作例13における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は動作例13における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は動作例15における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は動作例15における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は動作例16における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は動作例16における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は動作例17における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図26】
図26は動作例17における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は動作例18における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は動作例18における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図29】
図29は動作例19における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図30】
図30は動作例19における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図31】
図31は動作例20における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図32】
図32は動作例20における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図33】
図33は動作例21における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図34】
図34は動作例21における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図35】
図35は動作例22における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図36】
図36は動作例22における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図37】
図37は動作例23における電子楽器の処理例を示すフローチャートである。
【
図38】
図38は動作例23における端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図46】
図46は、動作パターン8に関連する処理(読み出し要求の発行の頻度の変更)の例を示す。
【
図48】
図48は、頻度変更の第2の例に係る処理例を示すフローチャートである。
【
図49】
図49は、読み出し要求の頻度を変更する第3の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
電子楽器に関して、電子楽器の操作性向上、電子楽器が具備する(電子楽器に適用可能な)アプリケーションの拡大のために、電子楽器に無線通信機能を搭載することが望まれる。しかし、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどの無線通信技術では機器間での事前の接続処理が必要となるため煩雑である。
【0009】
実施形態では、以下のような目的を達成し得る電子楽器システムについて説明する。すなわち、実施形態では、NFCの特徴である近接通信の手軽さを活用し、ユーザの利便性を向上しつつ、電子楽器と端末(例えばスマートフォン)の間で双方向のデータ通信を実現する。これによって、電子楽器の演奏情報や、機器設定(内部パラメータ)をリアルタイムに端末と電子楽器との間で送受信可能となる。また、実施形態に係る電子楽器システムでは、操作子や表示器のサイズが小さい電子楽器に関して、NFC通信の利用により、端末の有するユーザインタフェース(入力装置及びディスプレイ)を利用可能とする。これにより、電子楽器の操作性を向上させることができる。
【0010】
実施形態では、以下のような構成に関しての説明を行う。例えば、電子楽器に近距離無線通信を行う機能を搭載して、リアルタイムなデータ通信を実施する構成である。例えば、近距離無線通信を用いて、電子楽器に必要な演奏情報(例えば、電子楽器の制御データ:MIDIデータ)を、電子機器とスマートフォン等のモバイル端末との間で送受信可能とする。また、実施形態では、近距離無線通信端末を近接させたままで、リアルタイムに発生するデータ送受信を継続する処理について説明する。
【0011】
本明細書において、「近距離無線通信」の語は、NFC、FeliCa(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)などの通信規格に従って行われる近距離(数m~数cm又はそれ以下)の無線通信を指す。但し、無線通信規格は、上記の例示に制限されない。また、無線通信には、非接触ICカードを用いた通信も含まれるが、除外可能である。以下の実施形態では、近距離無線通信が、NFCの規格に従って行われる例を示す。
【0012】
上記の構成が含まれるように、実施形態では、電子楽器、電子楽器と近距離無線通信可能な端末とを含む電子楽器システムに関して、以下のような情報処理方法について説明する。
(1)電子楽器と、電子楽器と近距離無線通信可能な端末との一方が、電子楽器と端末とが近距離無線通信可能な状態にある間、データの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求との送信との少なくとも一方を所定パターンで繰り返す動作を含む動作パターンに従った動作を行い、
(2)前記電子楽器と前記端末との他方が、前記読み出し要求の受信時に対応するデータを送信する処理を行い、前記書き込み対象データ及びその書き込み要求の受信時に前記書き込み対象データの書き込み処理を行う。
【0013】
所定パターンは、[1]データの読み出し要求の送信の繰り返し、[2]書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信の繰り返し、[3]N回の上記読み出し要求の送信とM回の上記書き込み要求の送信との繰り返し、を含む。
【0014】
動作パターンは、上記所定のパターン[1]~[3]に基づく以下の動作パターン<1>~<3>を含む。
<1>データの読み出し要求の送信の繰り返しを行う。繰り返し回数は2以上の適宜の数である。
<2>書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信の繰り返しを行う。繰り返し回数は2以上の適宜の数である。
<3>N回のデータの読み出し要求の送信と、M回の書き込み対象データ及びその書き込み要求のM回の送信とを交互に行う。N及びMは1以上の整数である。交互に行う回数は適宜設定できる。
【0015】
動作パターンは、さらに、以下の動作パターン<4>~<8>を含み得る。
<4>データの読み出し要求の送信によって得られたデータの内容に従って、データの読み出し要求の送信と書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を行う。
<5>データの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を用いた通信の失敗を検出した場合に、データの読み出し要求の送信を行う。
<6>データの読み出し要求の送信と、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信との一方を用いた通信の失敗を検出した場合に、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信を行う。
<7>送信対象のデータがある場合に、書き込み対象データ及びその書き込み要求を送信し、送信対象のデータがない場合に、データの読み出し要求の送信を繰り返し行う。
<8>送信対象のデータがある場合に、書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信を繰り返す中で、所定のタイミングにおいてデータの読み出し要求の送信を行い、送信対象のデータがない場合に、データの読み出し要求の送信を繰り返し行う。
【0016】
情報処理方法において、電子楽器が、端末から受信する制御情報に基づいて所定の処理を行う構成を採用してもよい。制御情報は、それによって電子楽器が何らかの処理及び動作を行うものであればよい。当該構成により、端末を電子楽器の入力装置として使用することができる。
【0017】
情報処理方法において、端末が、電子楽器の演奏操作子となるユーザインタフェースをユーザに提供する処理を行い、ユーザインタフェースの操作によって得られた演奏情報を上記電子楽器へ送信し、電子楽器が、端末から受信した演奏情報を用いた所定の処理を行う構成を採用してもよい。このようにすれば、端末を用いて電子楽器の演奏操作子を拡張することができる。演奏情報を用いた所定の処理は、演奏情報の記憶、電子楽器で保持する演奏情報の更新、演奏情報に対応する楽音の出力などであるが、これらに制限されない。
【0018】
情報処理方法において、端末が、電子楽器の外観を変化させる制御情報を電子楽器に送信し、電子楽器が、端末から受信した制御情報に応じて電子楽器の外観を変更する処理を行う、構成を採用してもよい。このようにすれば、端末の操作で電子機器の外観を変更できる。
【0019】
情報処理方法において、端末が、端末の認証情報を電子楽器に送信し、電子楽器は、端末の認証情報が正当と判定する場合に、電子楽器と端末とが近距離無線通信可能な状態にある間、所定の機能を使用可能な状態とし、電子楽器と端末とが近距離無線通信可能な状態が解除された場合に、所定の機能を使用不可の状態にする、構成を採用してもよい。このようにすれば、端末と電子楽器との距離を制御することで、所定の機能(特定の機能)のオンオフを行うことができる。
【0020】
情報処理方法において、端末がネットワークを介して受信した電子楽器の制御情報を上記電子楽器へ送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、ネットワークを介した端末の遠隔操作で、電子機器を制御することが可能となる。
【0021】
情報処理方法において、端末が端末の有する時刻情報を電子楽器へ送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、正確な時刻情報を電子楽器に与えて、時刻情報を用いる電子楽器の機能の精度を向上させることができる。
【0022】
情報処理方法において、端末が有するセンサが検出したセンサ値の単位時間あたりの変化量、又は変化量に基づく制御情報を電子楽器に送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、端末が有するセンサの変化量が変化するように端末の位置や傾きなどを変化させることで、電子楽器の動作を制御することができる。制御情報は、電子楽器の動作や処理を制御するものでも、電子楽器が楽音を出力する演奏情報であってもよい。
【0023】
情報処理方法において、端末において検出した位置情報を電子楽器に送信し、電子楽器が、電子楽器の状態を、位置情報に応じた仕向け地に対応する状態に変更する処理を行う。このようにすれは、簡易な手法で電子楽器の状態を仕向け地に対応する状態にすることができる。
【0024】
情報処理方法において、端末が音声入力によって取得した電子楽器の制御情報を端末に送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、音声操作機能を電子楽器に実質的に付与したのと同様の効果が得られる。
【0025】
情報処理方法において、電子楽器は、書き込み要求又は読み出し要求の電波によって生じる起電力を電源として所定の処理を行う、構成を採用してもよい。このようにすれば、電子楽器がバッテリで操作する場合などにおいて、その消費量を抑えることが可能となる。もしくは電源を起動していない、もしくは電源機能を搭載していない機器の動作が可能になる。
【0026】
情報処理方法において、端末が、電子楽器の状態を示す情報を電子楽器がから受信して表示装置に表示する、構成を採用してもよい。このようにすれば、電子楽器が表示装置を有しない場合などにおいて、ユーザが電子楽器の状態を示す情報を参照することができる。
【0027】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から演奏情報を受信し、演奏情報に対応する楽譜情報を表示装置に表示する、構成を採用してもよい。このようにすれば、ユーザは、電子楽器を用いた演奏の際に、楽曲の楽譜を端末の表示装置を表示することで参照することができる。
【0028】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から演奏情報を受信し、演奏情報に対応する楽音を出力する、構成を採用してもよい。このようにすれば、音源を有しない電子機器からの演奏情報に基づく楽音を聴取可能となる。
【0029】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から演奏情報を受信し、演奏情報によって特定される演奏を評価する情報を表示装置に表示する、構成を採用してもよい。このようにすれば、ユーザが評価する情報の参照により、レッスンを受けることができる。
【0030】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から、電子楽器に実装中のファームウェアを示す情報を受信し、最新のファームウェアを示す情報に基づいて、電子楽器のファームウェアの更新の要否を示す情報を表示装置に表示する、構成を採用してもよい。このようにすれば、電子楽器のファームウェアを最新のものに更新し易くなる。
【0031】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から、電子楽器の操作に係る情報を受信し、操作に係る情報に関連する、電子楽器の操作を支援する情報を表示装置に表示する、構成を採用してもよい。このようにすれば、操作を支援する情報の参照によって、ユーザが端末の誤操作を回避できる等、端末の操作性向上を図ることができる。支援情報は、ユーザの助けになるなら何でもよく、手順を示す情報や、取扱説明書の対応頁を示す情報であってもよい。
【0032】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から、電子楽器の操作に係る情報を受信し、動作に係る情報に関連づけられた操作を、端末が有するカメラについて行う、構成を採用してもよい。このようにすれば、電子楽器の操作により端末のカメラの制御を行うことが可能となる。
【0033】
情報処理方法において、端末が、電子楽器から受信するデータを編集し、編集後のデータを電子楽器に送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、適正な内容の情報を電子楽器に返信することができる。
【0034】
情報処理方法において、電子楽器が、上記端末から受信するデータを編集し、編集後のデータを上記端末へ送信する、構成を採用してもよい。このようにすれば、端末の表示装置に、より内容の適正化された情報を表示することができる。
【0035】
また、情報処理方法において、端末が、読み出し要求を発行する頻度を、端末のバッテリの残量に基づいて変更する、構成を採用してもよい。これによって、電力消費を抑えてバッテリの有効利用を図ることを可能にする。
【0036】
また、情報処理方法において、端末が、読み出し要求を発行する頻度を、端末が表示する画面の切り替えに応じて変更する構成を採用してもよい。これによって、読み出し用発行の頻度を、画面を通じて提供される機能やサービスに応じた頻度にすることができ、省電力を図ることもできる。
【0037】
また、情報処理方法において、端末が、読み出し要求を発行する頻度を、端末への非入力の期間に応じて変更する構成を採用してもよい。このようにすれば、非入力期間における無駄なデータ読み出しを回避して消費電力を削減することができる。
【0038】
また、情報処理方法において、電子楽器は、端末から受信する電波のエネルギーを用いてデータを端末へ送信する構成を採用するのが好ましい。このようにすれば、電子楽器を無線送信装置として扱うことを回避することができる。
【0039】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理方法、及び電子楽器について説明する。実施形態の構成は例示であり、実施形態の構成に限定されない。
【0040】
<情報処理システムの構成>
図1は、実施形態に係る情報処理システム(電子楽器システム)の一例を示す。情報処理システムは、電子楽器10と、電子楽器10とNFC通信(近距離無線通信の一例)を行う端末20とを含む。
【0041】
電子楽器10は、例えば、鍵盤楽器(ピアノ、オルガン、シンセサイザなど)、打楽器(ドラムなど)、弦楽器(ギター、バイオリンなど)、管楽器(サクソフォーンなど)などを模した様々な種類の電子楽器を含む。電子楽器の種類は、上記例示に限定されない。
【0042】
電子楽器10は、バスB1に接続された、処理部としてのMCU(Micro Control Unit)11と、入力装置12と、ディスプレイ13と、スピーカ14と、演奏操作子15とを含む。MCU11には、NFCモジュール16が接続されている。NFCモジュール16は、通信部の一例であり、通信IC(Integrated Circuit)16Aと、アンテナ16Bとを含む。NFCモジュール16は、バスB1を介してMCU11に接続されていてもよい。
【0043】
MCU11は、電子楽器10を制御するためのプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)など)、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスクなど)、集積回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)など)の組み合わせにより構成される。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって様々な処理を行う。なお、本実施形態では、MCU11が音源モジュール(シンセサイザ)を構成する回路を含むものとして説明する。音源モジュールは、MCU11と異なる部品として扱われてもよい。電子楽器10が音源モジュールを持たない場合もある。
【0044】
入力装置12は、電子楽器10の各種の操作を行うキー、ボタン、スイッチなどである。ディスプレイ13は、情報を表示する。スピーカ14は、楽音(オーディオ)信号に基づく楽音を出力する。楽音には、楽器音と、人や動物の声(音声)と、楽器音及び音声以外の音が含まれる。演奏操作子15は、電子楽器10のユーザが演奏のために操作する鍵盤、打面、ピストンなどである。MCU11は、演奏操作子の操作に応じた演奏データ(例えば、MIDIデータなど)を生成する。MIDIデータは、複数の演奏パラメータを含む。演奏データは、MCU11に含まれる記憶装置に記憶される。記憶装置は、MCU11の外部に設けられていてもよい。
【0045】
MCU11は、MIDIデータに基づく楽音信号を、音源モジュールを用いて生成する。楽音信号の生成は、プログラムの実行によるソフトウェア処理でも、回路によるハードウェア処理でもよい。楽音信号に対応する音声は、スピーカ14から出力される。MCU11は、入力装置12による入力された情報や操作の結果、MIDIに基づく演奏パラメータなどの演奏に係る情報を、ディスプレイ13に表示する。なお、ディスプレイ13は、電子楽器10が必ずしも有する構成要素ではない。また、ディスプレイ13は、LCDを用いて所定の文字のみを表示するような、簡素なものである場合もある。
【0046】
NFCモジュール16の通信IC16Aは、NFCの通信規格にしたがった通信制御を行う。通信IC16Aは、NFCタグデバイスを含む。NFCタグデバイスは、データの記憶領域(メモリ)を有し、アンテナ16Bが読み出し命令の電波を受信した場合に、NFCタグデバイスが有する内蔵メモリに記憶されたデータを読み出す。データは、例えば、読み出し命令の電波の反射波に乗せられて送られる。また、通信IC16AのNFCタグデバイスは、アンテナ16Bがデータ及びデータの書き込み命令の電波を受信した場合に、受信されたデータを内蔵メモリに書き込み(記憶)したり、MCU11に送ったりする。
【0047】
端末20は、スマートフォン、タブレット端末などのスマートデバイス、パーソナルコンピュータ(PC)などの、電子楽器10とNFC通信可能な端末装置である。端末20は、上記の例示に制限されない。また、端末20は固定端末でもよい。
【0048】
端末20は、バスB2に接続された、プロセッサ21、記憶装置22、入力装置23、通信インタフェース(通信IF)24、ディスプレイ25、NFCモジュール26、スピーカ27、音源モジュール(シンセサイザ)28、センサ29、カメラ30、GPS受信機31、マイクロフォン(MIC)32を含んでいる。端末20には、バッテリ33が搭載されており、上記した端末20の各構成要素は、バッテリ33から供給される電力を用いて動作可能である。
【0049】
プロセッサ21は、CPUなどであり、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行して所定の処理を行う。記憶装置22は、主記憶装置(RAM、ROM)と、補助記憶装置(ハードディスク、SSDなど)とを含む。主記憶装置は、データやプログラムの記憶領域、プロセッサ21の作業領域、通信データのバッファ領域として使用される。補助記憶装置は、データやプログラムの記憶に使用される。
【0050】
通信IF24は、所定の無線通信規格に従った通信機能を司る。無線通信規格は、LTE、無線LAN(Wi-Fi)、Bluetooth(登録商標)、BLE、Zigbeeなどであり、端末20は、これらの規格のうちの二以上に対応する通信IFを有することができる。但し、無線通信規格はこれらに制限されない。
【0051】
入力装置23は、情報の入力に用いるキー、ボタン、スイッチ、タッチパネルなどである。ディスプレイ25は情報の表示を行う。スピーカ27は音声を出力する。音源モジュール28は、MIDIなどの演奏データ(演奏パラメータ)に基づく楽音信号を生成する。センサ29は、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサなどの少なくとも一つを有し、所定の物理量を検知する。カメラ30は被写体の撮像を行う。GPS受信機31は、GPS衛星からの電波を受けて位置情報を検出する。MIC32は音声入力に使用される。
【0052】
NFCモジュール26は、通信IC26Aと、アンテナ26Bとを含む。通信IC26Aは、NFCの通信規格にしたがった通信制御を行う。通信IC26Aは、NFCリーダ/ライタデバイスを含む。NFCリーダ/ライタデバイスは、プロセッサ21(アプリケーション)からの指示に従って、NFCタグデバイスからのデータの読み出し命令や、NFCタグデバイスに対するデータの書き込み命令の電波をアンテナ26Bから送る。NFCリーダ/ライタデバイスは、アンテナ26Bから受信されるデータを、プロセッサ21に渡す。読み出し要求や書き込み要求の送信は、端末20と電子楽器10とがNFC通信可能な状態にある(NFCモジュール16がNFCモジュール26からの電波を受信可能な位置関係または環境にある)間、繰り返し行われる。送信の頻度は、データのサイズや属性などによって適宜設定される。このような、読み出し要求や書き込み要求の送信が繰り返し行われることで、NFCタグチップの記憶容量より大きいデータを、MCU11からNFCモジュール経由16で端末20に送信したり、端末20からNFCモジュール16へ送ったりすることができる。電子楽器10及び端末20とのNFC通信において、上述した動作パターン<1>~<8>に従った動作を行うことができる。
【0053】
電子楽器10と端末20とは、NFC通信によって、双方向通信を行うことができる。 一例として、NFCモジュール16(NFCタグデバイス)は、パッシブタイプのモジュール(パッシブタグ)であり、NFCモジュール26(NFCリーダ/ライタ)から供給されるエネルギーを用いて、送信すべきデータをNFCモジュールに渡す。換言すれば、リーダ/ライタからの電波を受けて駆動し、その電波の反射波に、送信対象のデータをのせることによって、リーダ/ライタ側にデータを送信する。もっとも、パッシブタイプの通信方式は、電磁結合方式でも、電磁誘導方式でも電波方式でもよい。
【0054】
上記の説明では、電子楽器10がNFCタグ(パッシブタグ)として動作し、端末20がNFCリーダ/ライタとして動作する構成を例示した。そして、端末20が読み出し要求を電子楽器10に送信し、電子楽器が読み出し要求に応じたデータを端末20に送信する例を示した。また、端末20が書き込み対象のデータ及びその書き込み要求を電子楽器に送ることで、端末20から電子楽器10へデータが送信されることを示した。但し、電子楽器10の通信IC16がNFCリーダ/ライタデバイスを有し、端末20の通信IC26がNFCタグデバイスを有し、電子楽器10からの読み出し/書き込み命令に基づくNFC通信を行ってもよい。換言すれば、電子楽器10の近距離無線通信を行う通信部(通NFCモジュール16)は、パッシブタグを含むものであっても、アクティブタグを含むものであっても、セミアクティブタグを含むものであってもよいが、パッシブタグを含む構成とするのが好ましい。換言すれば、電子楽器10が端末20から受信する電波のエネルギーを用いてデータを端末20へ送信する構成を採用するのが好ましい。
【0055】
図1に示すように、電子楽器10では、NFCモジュールの通信IC16AがMCU11と接続されており、通信IC16AがMCU11から提供されるデータをアンテナ16Bから送信する。データは、通信IC16Aがアクセス可能なメモリに記憶され、通信IC16Aが直接的に取得するデータでもよい。或いは、データがMCU11により管理され、通信IC16AがMCU11を介して取得する(MCU11に提供を要求し、MCU11から供給されるデータを受け取る)構成が採用されてもよい。また、端末20では、NFCモジュール26のアンテナ26Bを介して通信IC26Aが受信したデータを、プロセッサ21へ送ることができる。また、上記と逆方向のデータの送受信を行うこともできる。
【0056】
換言すれば、NFC通信を用いて、機器(電子楽器10、端末20)が有するデータを相手方の機器へ送信することができる。送信対象のデータは、機器でリアルタイムに生成されたデータ、機器が管理する記憶装置から読み出されるデータ、機器が機器の外部から取得するデータなどを含む。送信対象のデータは、電子楽器10に係るデータ(楽器関連データ)を含む。楽器関連データは、例えば、電子楽器10の状態を設定するパラメータ(電子楽器10に施された設定を示すパラメータ:設定パラメータ)や、演奏情報などを含む。演奏情報は、例えばMIDIデータである。設定パラメータは、例えば、MIDIインプリメンテーションのパラメータや、電子楽器10が具備する複数の機能(メニュー)について設定するデータ(コンフィグデータともいう)などを含む。楽器関連データは、一つの電子楽器10に関して固有のデータである場合もあれば、複数の電子楽器10に関して共通なデータである場合もある。
【0057】
<動作例>
以下、電子楽器システムの動作例について説明する。
図2は、電子楽器システムが実行可能な処理(具備可能な機能)の一覧を示す表である。項目番号(No.)1~4は、「基本」に属する処理である。項目番号(No.)5~23は、端末20で実行されるアプリケーションプログラムを用いた「応用」に属する処理である。関連番号は、「応用」と関連する「基本」機能の番号を示す。以下、項番に対応する動作例について説明する。
【0058】
<<動作例1>>
図3Aは、表の項番1に対応する動作例(動作例1)を示すシーケンス図である。動作例1は、電子楽器10に電子楽器10(機器)固有のデータを反映させる動作例である。
図3Aにおいて、端末20のNFCモジュール26(通信IC26A)は、電子楽器10のNFCモジュール16(通信IC16A)との間でNFC通信のリンクを確立すると、電子楽器10の固有データをアンテナ26Bから電子楽器10に送信する(S1)。この送信は、例えば、固有データと書き込み命令(書き込み要求)をNFCモジュール26が送信することにより行われる。もっとも、電子楽器10のデータ受信は、NFCモジュール16が読み出し命令を端末20に送信することによって行われてもよい。固有データと書き込み要求の送信、或いは読み出し命令の送信(S1)は、2回以上、繰り返して行われてもよい(動作パターン<1>又は<2>)。
【0059】
NFCモジュール16では、通信IC16Aは、アンテナ16Bで受信した固有データをMCU11に渡す。MCU11は、固有データの反映処理を行う(S2)。例えば、固有データが演奏情報(MIDIデータ)であれば、MIDIデータに基づく楽音データの生成及び楽音出力の制御をMCU11は行う。或いは、固有データが電子楽器10の状態の設定に用いるパラメータである場合には、そのパラメータ設定をMCU11は行う。動作例1によれば、NFC通信を用いて端末20から電子楽器10に固有データを送り、電子楽器10が固有データの反映を行う。固有データの反映は、MCU11が自動的に行ってもよく、ユーザの操作によって行ってもよい。
【0060】
<<動作例2>>
動作例2は、電子楽器10からの機器固有のデータを端末20が受信する動作例である。
図3Bは、表の項番2に対応する動作例(動作例2)を示すシーケンス図である。
図3Bにおいて、電子楽器10のNFCモジュール16は、端末20のNFCモジュール26との間でNFC通信のリンクを確立すると、NFCモジュール16が電子楽器10の固有データを端末20に送信する(S11)。この送信は、NFCモジュール26から固有データの読み出し命令(読み出し要求)を受けて行われてもよく、NFCモジュール26に対する固有データの書き込み要求の送信によって行われてもよい。S11の動作は、読み出し要求又は書き込み要求の2回以上の繰り返しによって行われてもよい(動作パターン<1>又は<2>)。
【0061】
端末20では、NFCモジュール26を介してプロセッサ21が固有データを受け取り、所定の受信時の処理を行う(S12)。受信時の処理は。単に固有データを記憶装置22に記憶する、ディスプレイ25に表示する、固有データに基づく演奏の再生処理を行う、などがある。また、動作例1におけるS11及びS12の処理が繰り返し行われてもよい。
【0062】
<<動作例3>>
図4Aは、表の項番3に対応する動作例(動作例3)を示すシーケンス図である。
図4Aにおいて、S11(
図3B)と同様の手法(NFC通信)により、固有データが電子楽器10から端末20へ送信される(S21)。
【0063】
S22において、NFCモジュール26が受信した固有データを受け取ったプロセッサ21は、固有データの編集処理を行う。例えば、プロセッサ21は、ディスプレイ25に固有データと、固有データの編集環境となるUI(ユーザインタフェース)を表示し、入力装置23を用いて入力される固有データの編集情報を受け付ける。これによって、固有データ(例えば演奏情報(MIDIデータ))を、電子楽器10から取得して、端末20で編集することができる。編集は、プロセッサ21が所定の自動編集アルゴリズムに従って行われてもよい。
【0064】
編集処理が終了すると、プロセッサ21は、NFCモジュール26に編集後の固有データを渡し、NFCモジュール26が編集後の固有データをその書き込み命令とともに電子楽器10へ送信する(S23)。S23の処理は、
図3AのS1の処理と同様の処理である。電子楽器10では、MCU11が編集後の固有データを受け取り、この固有データに基づく反映処理を行う(S24)。反映処理は、S2の処理と同様の処理である。なお、動作例3の動作は、S21~S23の繰り返しによって行われてもよい。例えば、電子楽器10がS21で書き込み要求を送信し、S23で読み出し要求を送信することが、繰り返し行われて、所望のデータ反映がなされてもよい(動作パターン<3>)。
【0065】
<<動作例4>>
図4Bは、表の項番4に対応する動作例(動作例4)を示すシーケンス図である。
図4Bにおいて、S1(
図3A)と同様の手法(NFC通信)により、固有データが端末20から電子楽器10へ送信される(S31)。
【0066】
S32において、NFCモジュール26が受信した固有データを受け取ったMCU11は、固有データの編集処理を行う。例えば、MCU11は、ディスプレイ13に固有データと、固有データの編集環境となるUI(ユーザインタフェース)を表示し、入力装置12を用いて入力される固有データの編集情報を受け付ける。これによって、固有データ(例えば演奏情報(MIDIデータ))を、端末20から取得して、電子楽器10で編集することができる。編集は、所定の自動編集アルゴリズムに従って行われてもよい。
【0067】
編集処理が終了すると、MCU11は、NFCモジュール16に編集後の固有データを渡し、S11(
図3B)と同様の手法で、NFCモジュール16が編集後の固有データを端末20へ送信する(S33)。端末20では、プロセッサ21が編集後の固有データを受け取り、この固有データに基づく反映処理を行う(S34)。なお、動作例4の動作は、S31~S33の繰り返しによって行われてもよい。例えば、端末20がS31で書き込み要求を送信し、S33で読み出し要求を送信することが、繰り返し行われて所望のデータ反映がなされてもよい(動作パターン<3>)。
【0068】
動作例1~4によれば、電子楽器10と端末20との間でNFC通信を用いて固有データ(MIDIデータ、電子楽器10のコンフィグデータなど)を送受信することができ、固有データを反映することができる。また、電子楽器10と端末20との一方で固有データの編集を行い、その結果を相手装置へ送ることができる。以下に説明する動作例5~23において、動作例1~4において説明した動作パターン<1>~<3>を適用し得る。
【0069】
<<動作例5>>
表の項番5の動作例(動作例5)は、電子楽器10に表示装置を付加する場合の動作(表示機能付加動作)を示す。
図5は、動作例5における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
図5の処理例は、一例として、電子楽器10にインストールされたプログラム(アプリケーション)を実行するMCU11によってなされる。
【0070】
図5のS001において、MCU11は、電子楽器10のNFCモジュール16(通信IC16)が、端末20のNFCモジュール26とNFC通信が可能なエリア(NFC通信検知エリア)内に入っているか否かを判定する。この判定は、NFCモジュール26のアンテナ26Bからの電波がアンテナ16Bで受信(検知)されているか否かを以てなされる。
【0071】
エリア内に入っていない(NFCモジュールを検知していない)と判定される場合、MCU11は、動作例5の動作を終了するかを判定する(S002)。S002において動作を終了すると判定する場合には
図5の処理を終了し、そうでない場合には、処理をS001に戻す。
【0072】
S001において、端末20のNFCモジュール26の近接により、電子楽器10と端末20とがNFC通信可能なエリア内に入ったと判定する場合には、MCU11は処理をS003に進める。
【0073】
S003では、MCU11は、電子楽器10の機器情報(電子楽器10の識別情報:機器ID)を示すデータを読み出して通信IC16Aに渡す。通信IC16Aは、端末側のアンテナ26BからのNFC送信出力に対して応答するためのインピーダンスコントロールを通信IC16Aが行い、アンテナ16Bから送信すべきデータを端末20へ渡す。すなわち、アンテナ26Bから供給されるエネルギーを用いて、送信対象のデータを供給(送信)する。また、通信IC16Aは、アンテナ16Bから受信される電波の復調・復号処理を行い、端末20から送信された機器情報に対する応答結果を示すデータをMCU11に渡す。
【0074】
S004では、MCU11は、電子楽器10と端末20との双方が認証済みの状態(通信が許可された状態)であるか否かを判定する。認証済みの状態でないと判定する場合、MCU11は、電子楽器10と端末20との間の認証作業を開始する。認証作業は、以下の手順を行うことによって行われる。
(1)電子楽器10の認証要求を端末20へ送信する。
(2)端末20で行われた認証要求に対する処理の結果を受信する。
(3)認証要求に対する処理の結果に基づいて端末20との通信を許可するか否かを判定する。
【0075】
端末20との通信が許可される場合、認証が正常に終了したとの扱いとなり、認証済みの状態となる。これに対し、通信が許可されない場合、認証が正常に終了していないとの扱いとなる。
【0076】
S006において、MCU11は、認証が正常に終了したかを判定する。認証が正常に終了したと判定しない場合、動作例5の動作を終了する。認証が正常に終了したと判定する場合(認証済みの場合)、MCU11は、処理をS007に進める。
【0077】
S007では、動作例5の動作を継続するか否かをMCU11は判定する。動作を継続すると判定する場合、処理がS008に進む。S008では、MCU11は、電子楽器10と端末20とが通信可能なエリア内に存するか否かを判定する。S008の処理はS001の処理と同様の処理である。S008において、両者がエリア内に存しないと判定する場合、MCU11は、処理をS001に戻し、端末20の再度の近接を待ち受ける状態となる。これに対し、両者がエリア内に存すると判定する場合、処理がS008Aに進む。なお、S008にて、両者がエリア内に存しないと判定する場合、動作例5の動作を終了するようにしてもよい。
【0078】
S008Aでは、MCU11は、図示しないカウンタのカウント値をリセットしてカウントを開始し、カウント値が閾値Thに達したかを判定する。カウント値が閾値Thに達したと判定されるまで、S008Aの処理が繰り返される。カウント値が閾値Thに達したと判定される場合、処理がS009に進む。閾値は適宜設置可能である。カウント値のカウントダウンによって、カウント値が0になった場合に、閾値Thに達した、と判定するようにしてもよい。
【0079】
S009では、電子楽器10の操作によって電子楽器10に発生した固有データを端末20へ送信する処理をMCU11は行う。例えば、ユーザは、入力装置12を操作して、電子楽器10に施す設定に対応するパラメータ(内部パラメータ)を示す情報を入力する。MCU11は、入力された情報を通信IC16Aに渡す。
【0080】
通信IC16Aは、MCU11から受け取った送信対象のデータを、NFCモジュール26から供給されるエネルギーを用いて、アンテナ16BからNFCモジュール26に送る。S009の処理の後、処理がS007に戻る。従って、端末20を電子楽器10から遠ざけるなどによって、端末20と電子楽器10との両者がエリア外となるまでの間、電子楽器10で発生したデータを、S009の処理で端末20へ送ることができる。
【0081】
図6は、動作例5における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図6の処理例は、一例として、端末20にインストールされたプログラム(アプリケーション)を実行するプロセッサ21によってなされる。
【0082】
図6に示すS101~S106の処理は、S001~S006の処理と同じであるため、説明を省略する。端末20のプロセッサ21は、電子楽器10との間での認証作業が成功(双方の認証が正常に完了)することによって、電子楽器10との間でデータを送受信可能な状態となる。
【0083】
S107、S108、S108Aの処理は、S007、S008、S008Aの処理と同じである。S109では、プロセッサ21は、アンテナ26Bで受信され、通信IC26Aで復調された電子楽器10からのデータを取得する。
【0084】
S110において、プロセッサ21は、通信IC26Aから受け取ったデータの中に、ディスプレイ25の表示状態を変更することを要するデータが含まれているかを判定する。該当のデータが含まれていれば、プロセッサ21は、ディスプレイ25に対する表示制御を行い、ディスプレイ25の表示内容を変更する(S111)。これによって、ディスプレイ25に対し、電子楽器10から受信されたデータ、例えば、電子楽器10の最新の設定パラメータを示す情報などを表示することができる。S110の処理が終わると、処理がS107に戻る。
【0085】
従って、S107やS108でNOの判定がなされるまで、端末20のディスプレイ25には、電子楽器10から受信されるデータに基づく情報が表示され、データの内容に応じて表示内容が変更される。
【0086】
動作例5によれば、以下の利点がある。すなわち、機器(電子楽器10)がその内部設定状態(内部パラメータの状態)を表示することができない構成(例えば、ディスプレイを有しない構成)である場合がある。このような場合に、端末20を電子楽器10に近づけて(例えば電子楽器10の筐体上に置いて)、両者が通信可能なエリア内に存する状態にする。すると、通信IC16Aと通信IC26Aとの間で認証が行われ、NFC通信可能な状態となる。
【0087】
実施形態に係る電子楽器システムでは、電子楽器10と端末20との両者がエリア内に存する限り、電子楽器10はデータを送る状態を継続する(データの送信処理を繰り返す)。一方、端末20は、両者がエリア内に存する限り、電子楽器10から送信されるデータを受信する状態を継続する(データの受信処理を繰り返す)。これによって、端末20のディスプレイ25に、電子楽器10から受信したデータに基づく所望の情報を表示することができ、表示内容を、電子楽器10におけるデータの更新状況に応じて変更することができる。
【0088】
このように、端末20は、NFC通信によって、電子楽器10の表示装置(ディスプレイ)として動作する。通常のNFC通信であれば、両者の近接に合わせて一度だけデータの送受信が行われるが、本実施形態では、NFC通信(データの送受信)が継続的に繰り返し行われる。これによって、電子楽器10に対する操作で新たに発生したデータに基づく情報を、端末20のディスプレイ25にリアルタイムに表示することができる。
【0089】
ユーザはディスプレイ25の画面を参照することで、電子楽器10の内部設定状態(設定パラメータ)を目視確認することができる。このため、ディスプレイを有しない、或いはディスプレイの表示態様に制限のある電子楽器において、ユーザの利便性向上や、電子楽器としての有用性を向上させることが可能になる。
【0090】
なお、上記した説明では、電子楽器10から送信するデータの例として、電子楽器10で新たに生成される内部パラメータのデータとした。但し、データは、演奏操作子15の操作(ユーザの演奏動作)によって生じるMIDIデータ(演奏情報)であってもよい。また、データは、リアルタイムに発生するものに限定されず、記憶装置から読み出して送信されるものであってもよい。データの種類は、内部パラメータやMIDIデータに制限されない。
【0091】
動作例5によれば、さらに、以下のような利点[1]及び[2]を得ることができる。
[1]電子楽器10と端末20とを近接状態にする、或いは両者を近接状態の距離よりも離れた状態にするという、ユーザの操作によって、両者間の通信状態のオン/オフ制御を行うことができる。
[2]電子楽器10と端末20の双方の認証作業がアプリケーション(アプリケーションレイヤ)の制御(MCU11とプロセッサ21による)で実施される。これによって、下記の例のような柔軟な通信が近接動作にて可能となる。
[例1]複数の端末20と複数の電子楽器10とを自由な順序、組み合わせで通信させることができる。
[例2]通信停止後、再度通信復帰させた時に直前の状態から継続可能である。
[例3]近接という物理動作で双方の機器の通信を開始するため、目視で明確にターゲットとする通信対象機器を把握することが容易である。
【0092】
<<動作例6>>
図2の表における項番6の動作(動作例6)は、電子楽器10に操作子を付加する動作である。動作例6では、端末20のディスプレイ25の画面に演奏操作子を示すGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を表示させて、ユーザがGUIの操作により、電子楽器10の演奏操作子15、或いは電子楽器10に係る追加の演奏操作子を操作した場合の効果を得る。
【0093】
図7は、動作例6における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
図7におけるS001~S008Aの処理は、動作例5(
図5)と同じであるので、再度の説明は省略する。S008でYesとの判定がなされた場合、処理がS010に進む。端末20を電子楽器10の筐体上に置くことなどによって、端末20と電子楽器10とを近接させると、S001~S008の処理が行われ、両者間でのNFC通信が繰り返し継続される状態となる。
【0094】
S010では、MCU11は、NFCモジュール16を用いて、端末20(演奏操作子のGUI)の操作によって発生した情報(操作情報)を示すデータを受信する。動作例6では、操作情報は、端末20でのGUIの操作によって生じたMIDIデータである場合について説明するが、操作情報はMIDIデータに限定されない。
【0095】
S011では、MCU11は、S010で受信されたデータによって、電子楽器10が保持するデータ(例えば、演奏操作子15の操作に応じて生成したMIDIデータ)の更新が必要か否かを判定する。S010のタイミングで受信されたデータがない場合、受信されたデータによる更新が必要ないと判定する場合は、MCU11は処理をS007に戻す。これに対し、更新が必要と判定する場合は、処理がS012に進む。
【0096】
S012では、MCU11は、保有データの更新など、受信データの反映処理を行う。例えば、MCU11は、電子楽器10が保持するMIDIデータを、端末20から受信されたMIDIデータに基づいて更新する。S012の処理が終了すると、処理がS007に戻る。
【0097】
図8は、動作例6における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図8に示すS101~S108Aの処理は、動作例5(
図6)と同じであるので説明を省略する。S108AにてYesの判定がなされると、処理がS112に進む。S112では、プロセッサ21は、記憶装置22に示される画面データを用いて、端末20のディスプレイ25に、電子楽器10の演奏操作子を示すGUIが表示される。ユーザは、ディスプレイ25のタッチパネル操作により、GUIを操作することができる。GUIは、電子楽器10が具備する演奏操作子15を模したものでも、演奏操作子15と異なる演奏操作子(追加の演奏操作子)を模したものでもよい。動作例6では、追加の演奏操作子を模したGUIが表示された例について説明する。
【0098】
S108、S108A、S112のループにおいて、ユーザがGUIを操作すると、プロセッサ21は、GUIの操作に対応するMIDIデータを生成し、S112において、NFCモジュール26を用いて、MIDIデータを電子楽器10に送信する。
【0099】
なお、端末20のユーザが端末20の入力装置23を操作して上記した演奏操作子のGUIをディスプレイ25に呼び出してから、
図8の処理が開始されるようにしてもよい。
【0100】
動作例6によれば、端末20を、追加の演奏操作子として使用することができる。例えば、電子楽器10が鍵盤楽器である場合に、端末20のプロセッサ21(アプリ)がGUIとして追加の鍵盤をディスプレイ25に表示し、その鍵盤を操作すると、電子楽器10の演奏操作子15の操作によって出すことのできない音(例えば、1オクターブ高い/低い音)のMIDIデータが生成されるようにする。
【0101】
電子楽器10において、演奏操作子15の操作に応じた音声がスピーカ14から出力される状態となっている場合(演奏状態の場合)では、追加の演奏操作子を操作すると、その操作に対応するMIDIデータが電子楽器10に送信され、MCU11がそのMIDIデータに対応する楽音をスピーカ14から出力させる。
【0102】
このように、動作例6によれば、電子楽器10を拡張したのと同様の効果を得ることができる。なお、追加の演奏操作子とともに、又は追加の演奏操作子の代わりに、演奏操作子15の一部を模したGUIが、実際の演奏操作子15より大きく表示されてもよい。これにより、演奏操作子15の一部が操作しにくい場合(演奏操作子15が小さい、手の届きにくい箇所にあるなど)において、ディスプレイ25のタッチによって、容易に該当の演奏操作子15を操作したのと同様の効果を得る(同様の音声を出力させる)ことができる。
【0103】
動作例6によれば、電子楽器10を簡便な方法で拡張することができ、演奏の幅を広げることができる。また、電子楽器10の操作性向上、すなわちユーザの利便性向上を図ることができる。また、動作例6によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0104】
<<動作例7>>
図2の表における項番7の動作例(動作例7)は、電子楽器10の外観状態を端末からの操作で変化させる動作を示す。動作例7では、NFC通信により、電子楽器10の外観変更用データを電子楽器10に送り、電子楽器10の外観を変更させる。外観の変更は、電子楽器10が備える表示器(ディスプレイ13)の表示態様の変更、発行部品(ランプ、LED)の点灯、点滅状態の変更、電子楽器10の可動部品の位置変更などである。
【0105】
外観変更用データは、例えば、表示器や発光部品のコントローラ(IC)や、可動部品の位置制御を行うモータ及びアクチュエータのコントローラに対する制御パラメータを示す。外観変更用データは、予め用意したデータセットでもよく、端末20が具備するカメラ30やペン入力機能を用いて生成されたデータであってもよい。すなわち、外観変更用データの生成方法は問わない。
【0106】
図9は、動作例7における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
図9におけるS001~S008、S008Aの処理は、動作例5(
図5)と同じであるので、再度の説明は省略する。S008AでYesとの判定がなされた場合、処理がS013に進む。S013では、MCU11は、端末20からのデータを受信する。S014では、MCU11は、S013で受信したデータに外観変更用データが含まれているか否かを判定することによって行う。
【0107】
S013で外観変更用データが受信されたデータに含まれていないと判定される場合には、処理がS007に戻り、そうでない場合には、処理がS015に進む。S015では、MCU11は、外観変更用データに基づいて、制御対象(表示器、発行部品、発動機など)のコントローラを制御する(設定されたパラメータの変更を行う)。これによって、制御対象の変化が起こり、電子楽器10の外観が変更される。
【0108】
図10は、動作例7における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図10に示すS101~S108Aの処理は、動作例5の処理(
図6)と同じであるので説明を省略する。S108AにてYesの判定がなされると、処理がS113に進む。S113では、プロセッサ21は、例えば、記憶装置22に記憶されていた外観変更用データを読み出し、NFCモジュール26を用いて、外観変更用データを電子楽器10へ送信する。S113の処理が終了すると、処理がS108に戻る。S113において、ユーザが外観変更用データを入力するためのGUIをディスプレイ25に表示してもよい。
【0109】
動作例7によれば、端末20を用いて電子楽器10の外観を変更することができる。これによって、電子楽器10の外観にユーザの独自性を表現することが可能になる。また、電子楽器10の機能拡張を図ることができる。また、動作例7によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0110】
<<動作例8>>
図2の表における項番8の動作例(動作例8)は、電子楽器10の演奏情報を端末20に送信し、楽譜をディスプレイ25に表示させる動作を示す。
図11は、動作例8における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0111】
図11におけるS001~S008Aの処理は、動作例5の処理(
図5)と同じであるので、再度の説明は省略する。S008AでYesとの判定がなされた場合、処理がS016に進む。S016において、ユーザが演奏操作子15の操作(演奏)を行うと、MCU11は、演奏情報(MIDIデータ)を生成する。MCU11は、MIDIデータをNFCモジュール16を用いて端末20へ送信する。
【0112】
図12は、動作例8における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図12に示すS101~S106の処理は、動作例5の処理(
図6)と同じであるので説明を省略する。S104又はS106にてYesの判定がなされると、処理がS106Aに進む。S106Aでは、プロセッサ21は、楽譜表示用のアプリケーションを実行して楽譜表示画面をディスプレイ25に表示させる。また、プロセッサ21は、演奏情報の読み出し要求を電子楽器10に送信して、電子楽器10からの演奏情報を受付可能な状態となる。その後、処理がS107に進む。S107、S108、及びS108Aの処理は動作例5(
図6)で説明したのと同様の処理である。
【0113】
S108Aが終了してS114に進むと、プロセッサ21は、データ受信処理を行い、受信されたデータに演奏情報(MIDIデータ)が含まれているか否かを判定する(S115)。演奏情報が含まれていないと判定する場合には、処理がS106Aに戻り、演奏情報が含まれていると判定する場合には、処理がS116に進む。
【0114】
S116では、プロセッサ21は、演奏情報を用いて楽譜情報を生成し、楽譜情報に基づく楽譜を、ディスプレイ25の楽譜表示画面に表示する。端末20が電子楽器10とNFC通信を繰り返し継続することで、電子楽器10を用いた演奏の演奏情報がリアルタイムで端末20に送信され、演奏情報に対応する楽譜がディスプレイ25に表示される。
【0115】
動作例8によれば、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性向上を図ることができる。また、動作例8によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0116】
<<動作例9>>
図2の表における項番9の動作例(動作例9)は、電子楽器10の固有データを端末20に送信し、端末20で表示させる動作を示す。
図13は、動作例9における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0117】
図13におけるS001~S007の処理は、動作例5の処理(
図5)と同じであるので、再度の説明は省略する。但し、
図13のS007でYesの判定がなされた場合、処理がS008Aに進み、カウント値が閾値Th以上になると、処理がS018に進む。S007においてエリア外と判定された場合(S007、No)、処理がS017に進む。S017では、MCU11が動作例9の動作を終了するかを判定する。動作を終了すると判定される場合、動作例9の動作が終了し、そうでなければ処理がS007に戻る。
【0118】
S018では、MCU11は、端末20が電子楽器10に対して行った通信要求が何であるかを判定する。S018において、通信要求が読み出し要求(Read)であると判定される場合には、処理がS019に進む。これに対し、通信要求が書き込み対象のデータ及び書き込み要求(Write)であると判定する場合には処理がS020に進み、通信要求が届いていない(Not request)と判定される場合には処理がS007に戻る。但し、通信要求が届いていない場合に処理がS001に戻るようにしてもよい。なお、
図13において、S008Aの処理は、S107とS118との間の代わりに、S018とS020の間、及びS018とS019の間にあってもよい。また、固有データの受信と送信との間で閾値Thが同じでも異なっていてもよい。
【0119】
S019では、MCU11は、読み出し要求に従って、電子楽器10の固有データ(電子楽器10に施された設定パラメータ)を記憶装置から読み出して端末20へ送信する処理を行う。その後、処理がS007に戻る。但し、S001に戻ってもよい。
【0120】
S020では、MCU11は、端末20から受信された書き込み対象のデータ(電子楽器10の固有データ)を書き込み要求に従って記憶装置に書き込む。これによって、固有データが上書き(更新)され、端末20でなされた固有データの変更が電子楽器10に反映される。固有データ、すなわち設定パラメータの変更により、MIDIインプリメンテーションや電子楽器10の状態が変わる。なお、S020の処理が終了すると、処理がS007に戻る。但し、S001に戻ってもよい。
【0121】
図14は、動作例9における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図14に示すS101~S107の処理は、動作例5における処理(
図6)と同じであるので説明を省略する。但し、
図14のS107でNOの判定がなされた場合、処理がS117に進み、そうでないと判定された場合、処理がS108Aに進む。S117では、プロセッサ21が動作例9の動作を終了するかを判定する。動作を終了すると判定される場合、動作例9の動作が終了し、そうでなければ処理がS107に戻る。S108Aでは、カウント値が閾値以上と判定されるまで、カウンタのカウントが行われ、カウント値が閾値以上と判定された場合は、処理がS118に進む。
【0122】
S118では、プロセッサ21は、端末20が電子楽器10に対して行う(行った)通信要求が何であるかを判定する。S118において、通信要求として読み出し要求(Read)を電子楽器10に行った判定される場合には、処理がS119に進む。これに対し、通信要求として書き込み要求(Write)を電子楽器10に要求すると判定する場合には処理がS120に進む。通信要求をしない又はしていない(Not request)と判定される場合には処理がS107に戻る。但し、通信要求をしない又はしていない場合に処理がS001に戻るようにしてもよい。
【0123】
S119では、MCU11は、読み出し要求に応じて電子楽器10から送信された固有データを受信して、ディスプレイ25に表示する。また、MCU11は、ユーザが入力装置23を用いて固有データを編集可能な環境を提供し、ユーザによる編集入力を受け付ける。プロセッサ21は、編集された固有データを記憶装置22に記憶する。その後、処理がS007に戻る。但し、S001に戻ってもよい。
【0124】
S120では、書き込み要求に従って、送信対象の固有データ(S119で編集された固有データ)を、NFCモジュール26を用いて電子楽器10へ送信する処理を行う。その後、処理がS007に戻る。但し、S001に戻ってもよい。なお、
図14において、S108Aの処理は、S107とS118との間の代わりに、S118とS120の間、及びS118とS119の間にあってもよい。また、固有データの受信と送信との間で閾値Thが同じでも異なっていてもよい。
【0125】
動作例9によれば、電子楽器10に施された設定パラメータ(固有データ)を、端末20が電子楽器10から読み出して、端末20のディスプレイ25に表示することができる。このとき、端末20は、設定パラメータの編集入力を受け付けて、編集後の設定パラメータを記憶し、電子楽器10へ送信することができる。電子楽器10では、編集後の設定パラメータを用いて設定パラメータの更新(上書き)を行う。これによって、端末20のMIDIインプリメンテーションや状態(メニュー)が変更される。
【0126】
電子楽器10がディスプレイを有しない場合や、ディスプレイのスペックが低い場合に、端末20を用いて固有データの表示及び編集を可能とすることで、ユーザの利便性向上及び電子楽器の有用性向上を図ることができる。また、動作例9によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0127】
<<動作例10>>
図2の表における項番10の動作例(動作例10)は、電子楽器10の演奏情報を端末20に送信し、端末20から演奏情報に基づく楽音を出力する動作を示す。動作例10における電子楽器10の処理は、動作例8における電子楽器10の処理(
図11)と同じであるので説明を省略する。換言すれば、動作例10においても、端末20を電子楽器10に近接させて、NFC通信により電子楽器10で発生した演奏情報(MIDIデータ)を端末20へ送信する。
【0128】
図15は、動作例10における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図15に示すS101~S106の処理は、動作例5における端末20の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S104又はS106にてYesの判定がなされると、処理がS106Bに進む。S106Bでは、プロセッサ21は、音源の音色表示用のアプリケーションを実行して音色表示画面をディスプレイ25に表示させる。また、プロセッサ21は、演奏情報の読み出し要求を電子楽器10に送信し、電子楽器10からの演奏情報を受付可能な状態となる。その後、処理がS107に進む。S107、S108及びS108Aは動作例5(
図6)で説明したのと同様の処理である。
【0129】
S108AからS121に処理が進むと、プロセッサ21は、データ受信処理を行い、受信されたデータに演奏情報(MIDIデータ)が含まれているか否かを判定する(S122)。演奏情報が含まれていないと判定する場合には、処理がS106Bに戻り、演奏情報が含まれていると判定する場合には、処理がS123に進む。
【0130】
S123では、プロセッサ21は、音源モジュール28を用いて演奏情報に基づく楽音信号を生成し、楽音信号に対応する楽音をスピーカ27から出力させる。また、プロセッサ21は、演奏情報に基づいて、楽音信号に基づく音色を示す情報をディスプレイ25に表示する。なお、音色表示はオプションである。
【0131】
動作例10によれば、電子楽器10が音源モジュール(シンセサイザ)を持たない、或いは音源モジュールの性能が貧弱な場合に、端末20を利用して電子楽器10の演奏による楽音を端末20から出力させることができる。これによって、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性向上を図ることができる。また、動作例10によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0132】
<<動作例11>>
図2の表における項番11の動作例(動作例11)は、電子楽器10の演奏情報を端末20に送信し、演奏状態の判定を行う動作を示す。動作例11における電子楽器10の処理は、動作例8における電子楽器10の処理(
図11)と同じであるので説明を省略する。動作例11においても、電子楽器10から端末20への演奏情報(MIDIデータ)の送信が行われる。
【0133】
図16は、動作例11における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図16の処理例は、S106C及びS123Aの処理を除き、動作例10(
図15)と同じである。
【0134】
S106Cの処理は、S104及びS106にてYesの判定がなされた場合に行われる。S106Cにおいて、プロセッサ21は、ユーザのレッスン用のアプリケーションを実行してレッスン画面をディスプレイ25に表示させる。また、プロセッサ21は、演奏情報の読み出し要求を電子楽器10に送信し、電子楽器10からの演奏情報を受付可能な状態となる。
【0135】
S123Aでは、プロセッサ21は、レッスン関連情報として、演奏情報に基づくユーザの演奏状態を示す情報、お手本の演奏状態を示す情報、お手本との比較に基づくユーザの演奏の評価点や講評を示す情報などをレッスン画面に表示する。ユーザはレッスン画面を参照して、演奏の改善点などを認識し得る。これによって、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性向上を図ることができる。また、動作例11によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0136】
<<動作例12>>
図2の表における項番12の動作例(動作例12)は、電子楽器10の機器情報ファームウェア関連情報)を端末20に送信し、ファームウェアの更新確認を行う動作を示す。
図17は、動作例12における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0137】
図17に示す処理は、S016Aの処理を除き、動作例8における電子楽器10の処理(
図11)と同じである。動作例8のS016では演奏情報を端末20へ送信するのに対し、
図17のS016Aでは、MCU11は、電子楽器10の機器情報を端末20に送信する。機器情報は、例えば、電子楽器10に搭載されたファームウェアのバージョンなどを示すファームウェア関連情報である。
【0138】
なお、動作例12では、S016Aにおいて、MCU11が端末20からのファームウェア関連情報の読み出し要求を受けてファームウェア関連情報を端末20に送信する。但し、ユーザの入力装置12の操作によって、電子楽器がS106Aでファームウェア関連情報を送信する設定が予め施されてもよい。
【0139】
図18は、動作例12における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図18の処理例は、S106D、S124、S125、S126の処理を除き、動作例11(
図16)と同じである。
【0140】
S106Dは、S104及びS106にてYesの判定がなされた場合に行われる。S106Dにおいて、プロセッサ21は、ファームウェア確認用のアプリケーションを実行してファームウェアの確認画面をディスプレイ25に表示させる。また、プロセッサ21は、ファームウェア関連情報の読み出し要求を電子楽器10に送信し、電子楽器10からファームウェア関連情報を受付可能な状態となる。
【0141】
S121において、プロセッサ21は、電子楽器10からのファームウェア関連情報を受信すると、ファームウェアの最新バージョンを示す情報を取得してファームウェア関連情報と比較し、ファームウェア関連情報が最新バージョンのファームウェアを示すか否かを判定する(S124)。
【0142】
ファームウェア関連情報が最新バージョンのファームウェアを示すと判定する場合には、プロセッサ21は、ディスプレイ25の確認画面に、ファームウェアが最新バージョンであることを示す情報を表示する(S125)。これに対し、ファームウェア関連情報が最新バージョンのファームウェアを示さないと判定する場合には、プロセッサ21は、ディスプレイ25の確認画面に、ファームウェアを最新バージョンへ更新することを促すことを表示する(S126)。
【0143】
動作例12によれば、ユーザは、端末20を用いて電子楽器10のファームウェアのバージョンを確認でき、必要に応じて最新バージョンへ更新することが可能となる。動作例12によれば、ユーザの利便性向上や電子楽器10の有用性向上を図ることができる。また、動作例12によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0144】
<<動作例13>>
図2の表における項番13の動作例(動作例13)は、電子楽器10の操作情報を端末20に送信し、端末20が操作ガイダンス情報をユーザに提供する動作を示す。
図19は、動作例13における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0145】
図19に示す処理は、S016Bの処理を除き、動作例12における電子楽器10の処理(
図15)動作と同じである。動作例12のS016Aでは機器情報を端末20へ送信する。これに対し、
図19のS016Bでは、MCU11は、電子楽器10の操作情報を端末20に送信する。操作情報は、例えば、ユーザの電子楽器10の操作履歴を示す情報である。操作履歴が電子楽器10に具備された機器についてのものである場合、その機器を特定する情報と操作情報とが送信されてもよい。
【0146】
なお、動作例13では、S016Bにおいて、MCU11が端末20からの操作情報の読み出し要求を受けて操作情報を端末20に送信する。但し、ユーザの入力装置12の操作によって、電子楽器がS106Bで操作情報を送信する設定が予め施されてもよい。
【0147】
図20は、動作例13における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図20の処理例は、S106E、S127、S128の処理を除き、動作例12(
図18)と同じである。
【0148】
S106Eは、S104及びS106にてYesの判定がなされた場合に行われる。S106Eにおいて、プロセッサ21は、電子楽器10の操作を支援するアプリケーションを実行し、操作ガイド画面をディスプレイ25に表示させる。また、プロセッサ21は、操作情報の読み出し要求を電子楽器10に送信し、電子楽器10からの操作情報を受付可能な状態となる。
【0149】
S127において、プロセッサ21は、S121で受信される、電子楽器10からのデータ又は情報が操作情報を含んでいるかを判定する。操作情報が含まれていると判定する場合には、プロセッサ21は処理をS128に進め、そうでない場合には処理をS108に戻す。
【0150】
S128では、ガイド画面に、ユーザに知らせる操作支援情報(操作ガイド)を表示する。動作例13によれば、ユーザは、端末20のガイド画面を参照して、電子楽器10の操作を学習することができる。これによって、ユーザの利便性向上や電子楽器10の有用性向上を図ることができる。また、動作例12によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0151】
<<動作例14>>
図2の表における項番14の動作例(動作例14)は、動作例13とほぼ同様である。S128において、プロセッサ21は、操作支援情報として、電子楽器10の取扱説明書の該当頁をガイド画面に表示する。これによっても、ユーザに対し、有用な情報を提供することができる。
【0152】
<<動作例15>>
図2の表における項番15の動作例(動作例15)は、電子楽器10の特定機能のオンオフを端末20との距離に応じて制御する動作を示す。
図21は、動作例15における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0153】
図21におけるS001~S008、S008Aの処理は、動作例5における電子楽器10の処理(
図5)と同様であるので説明を省略する。但し、動作例15では、S002でYesの判定がなされた場合、S006、S007、S008でNOの判定がなされた場合には、電子楽器10が具備する特定の機能を無効化(ディスエーブル)する(S025)。
【0154】
S008でYesの判定がなされると、処理がS022に進む。S022では、MCU11は、端末20からユーザ認証情報を受信する。S023では、MCU11は、ユーザ認証情報が電子楽器10の使用が許可された者の情報であるか(ユーザ認証情報が適正(OK)か)を判定する。ユーザ認証情報が適正であると判定する場合には、MCU21は、電子楽器10が具備する特定の機能を有効化(イネーブル状態)にする(S024)。これに対し、ユーザ認証情報が適正でないと判定する場合には、処理がS025に進み、特定の機能が無効化される。
【0155】
図22は、動作例15における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図12に示すS101~S106の処理は、動作例5の処理(
図6)と同じであるので説明を省略する。S104又はS106にてYesの判定がなされると、処理がS106Fに進む。
【0156】
S106Fでは、プロセッサ21は、例えば、記憶装置22に記憶されているユーザ認証状態を示す情報の内容を確認する。プロセッサ21は、ユーザが特定の機能を使用できる電子楽器を示す情報(例えば、記憶装置22に記憶)を参照して、認証状態パラメータ(ユーザが特定の機能を使用できる楽器を示す)を設定する。
【0157】
S107、S108及びS108Aの処理は、動作例5(
図6)と同じである。S108AにてYesの判定がなされると、S129の処理が行われる。S129において、プロセッサ21は、通信相手の電子楽器10に対するユーザ認証が済んでいるか否かを判定する。認証が済んでいないと判定する場合には、プロセッサ21は、ユーザ認証情報(S106Fでセットした認証状態パラメータを含む)を電子楽器10へ送信する。S129で認証済みと判定する場合、及びS130の処理が終了した場合には、プロセッサ21は処理をS107に戻す。
【0158】
動作例15によれば、NFC通信を用いてユーザ認証情報を端末20から電子楽器10に送信することにより、電子楽器10が有する特定の機能の有効化を図ることができる。換言すれば、電子楽器10の個人認証が可能である。また、動作例15によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0159】
<<動作例16>>
図2の表における項番16の動作例(動作例16)は、端末20を用いて電子楽器10を遠隔操作する動作を示す。
図1に示すように、端末20は、ネットワーク1を介して、端末50と通信可能であり、端末50を操作することで、ネットワーク1経由で端末20を遠隔操作することができる。動作例16では、端末20を電子楽器10に近接させた状態で、端末20の遠隔操作が行われる。
図23は、動作例16における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0160】
図23におけるS001~S008、S008Aの処理は、動作例5における処理(
図5)と同様であるので説明を省略する。S026では、MCU11は、端末20からのデータ受信を行う。S027では、MCU11は、S026で受信されたデータに操作情報が含まれているかを判定する。操作情報が含まれていなければ、処理がS007に戻り、操作情報が含まれていれば、MCU11は、操作情報に従って電子楽器10の動作や状態を制御する(S029)。
【0161】
図24は、動作例16における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図24に示すS101~S106、S107、S108、S108Aの処理は、動作例5の処理(
図6)と同じであるので説明を省略する。
【0162】
図24において、S104及びS106のそれぞれでYesの判定がなされると、処理がS106Gに進む。S106Gでは、端末20のプロセッサ21が、端末20を、ネットワーク1経由で、端末20と異なる端末(例えば、
図1の端末50)からの電子楽器10の操作情報(遠隔操作の情報)を受け付ける状態にする。
【0163】
端末20のプロセッサ21は、ネットワーク1経由で端末50から送信された操作情報を受信して受け付け(S107A)、NFCモジュール26を用いて電子楽器10へ送信する。このような操作情報を電子楽器10が受信し(S131)、操作情報に基づく制御を行う。
【0164】
動作例16によれば、端末20を用いて、ネットワーク1経由で電子楽器10を遠隔操作することが可能となる。これによって、ユーザの利便性の向上と電子楽器10の有用性向上とを図ることができる。また、動作例16によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0165】
<<動作例17>>
図2の表における項番17の動作例(動作例17)は、電子楽器10に対し、端末20が有する時刻情報を送信する動作である。
図25は、動作例17における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0166】
図25に示す処理は、S030の処理を除き、動作例5の処理(
図5)と同じである。このため、
図25に関して、S030以外の処理の説明は省略する。S030では、端末20から時刻情報を受信して、時刻情報を用いる電子楽器10内のアプリケーションの更新処理など、時刻情報を用いた所定の処理を行う。
【0167】
図26は、動作例17における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図26に示す処理は、S132の処理を除き、動作例5の処理(
図6)と同じである。このため、
図26に関して、S132以外の処理の説明は省略する。S132では、端末20のプロセッサ21は、端末20に実装された内蔵時計が示す時刻情報を、NFCモジュール26を用いて電子楽器10に送信する。
【0168】
動作例17によれば、電子楽器10が時計を有しない場合に、端末20から時刻情報を供給して、電子楽器10のアプリケーションが使用する時刻を更新又は補正することができる。これによって、ユーザが電子楽器10の時刻の時刻合わせをする手間が省かれるので、ユーザの利便性向上が図られるとともに、電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例17によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0169】
<<動作例18>>
図2の表における項番18の動作例(動作例18)は、端末20が具備するセンサ29(
図1)により検知した物理量などのセンサデータを電子楽器10へ送る動作を示す。センサ29は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサのうちの少なくとも1つを含み、プロセッサ21は、それぞれのセンサから得られる物理量の単位時間あたりの変化量を算出することができる。変化量は、電子楽器10の演奏操作子の操作量として扱われる。換言すれば、センサ値の差分に応じた楽音を出力するためのMIDIデータが生成され、電子楽器10に送信される。
図27は、動作例18における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0170】
図27に示す処理は、S031の処理を除き、動作例5の処理(
図5)と同じである。このため、
図27に関して、S031以外の処理の説明は省略する。S031では、MCU11は、端末20から演奏情報を受信し、演奏情報に対応する動作、例えば、演奏情報に応じた楽音信号の生成及び楽音信号に基づく楽音の出力を行う。
【0171】
図28は、動作例18における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図28に示す処理のうち、S101~S108、S108Aの処理は動作例5の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S107Bの処理は、S107でYesの判定がなされた場合に実行され、プロセッサ21は、端末20内のセンサ29を用いてセンサ値を得る。S133では、過去に得たセンサ値と、今回取得したセンサ値とを比較して、これらの差分(単位時間あたりの変化量)に対応する演奏情報を生成する。S134では、演奏情報を電子楽器10に送信するとともに、次のS133での比較のために、今回のセンサ値を記憶装置22に記憶する。このセンサ値は、次のS133において過去のセンサ値として使用される。
【0172】
動作例18によれば、端末20が有するセンサ29のセンサ値の変化量に応じた演奏情報を電子楽器10に送信し、その演奏情報に応じた楽音を出力させる。このように、端末20を電子楽器10の演奏操作子として使用することができ、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例18によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。演奏情報の代わりに、変化量に応じた電子楽器10の制御情報を生成して電子楽器に送信することもでき、電子楽器10が制御情報に応じた動作を行うことも可能である。
【0173】
<<動作例19>>
図2の表における項番19の動作例(動作例19)は、電子楽器10の操作に応じて、端末20が有するカメラ30を用いた撮像を行う動作を示す。
図29は、動作例19における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0174】
図29に示す処理は、S032の処理を除き、動作例5の処理(
図5)と同じである。このため、
図29に関してS032以外の処理の説明は省略する。S032では、MCU11は、電子楽器10の操作に応じたカメラ30の操作情報(制御情報)を端末20へ送信する。電子楽器10の演奏操作子15の操作など、所定の電子楽器10の操作と、カメラ30の操作内容(制御内容)とが予め関連づけられており、MCU11は、所定の電子楽器10の操作を検知すると、対応するカメラ30の操作情報を記憶装置から取得して、端末20へ送信する処理を行う。但し、カメラ30に対する操作情操が電子楽器10に入力され、この操作情報が端末20へ送信されるようにしてもよい。操作情報は、S032にて入力装置13の操作に応じてリアルタイムに生成される操作情報であっても、電子楽器10の有する記憶装置に記憶されており、S032にて入力装置13の操作によって読み出されるものであってもよい。
【0175】
図30は、動作例19における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図29に示す処理のうち、S101~S108、S108Aの処理は動作例5における端末20の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S106Hでは、プロセッサ21は、撮像用のアプリケーションを実行し、カメラ30を用いた撮像画面をディスプレイ25に表示するとともに、電子楽器10からのカメラ30の操作情報を受け付ける状態となる。プロセッサ21は、電子楽器10から送信されたデータを受信し(S135)、データにカメラ30の操作情報が含まれていると判定される場合に(S136のYes)、操作情報に応じたカメラ30の制御(ピント調整、フラッシュのオンオフ、シャッターを切る、など)を行う(S137)。
【0176】
動作例19によれば、電子楽器10の操作によって、端末20が有するカメラ30の動作を制御することができる。これにより、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例19によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0177】
<<動作例20>>
図2の表における項番20の動作例(動作例20)は、端末20が有するGPS受信機を用いて取得した端末20の位置情報を電子楽器10へ送信し、位置情報に応じた制御や動作を電子楽器10に行わせる動作を示す。
図31は、動作例20における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0178】
図31に示す処理は、S033の処理を除き、動作例5の処理(
図5)と同じである。このため、
図31に関してS033以外の処理の説明は省略する。S033では、MCU11は、端末20から受信される端末20の位置情報に応じた所定の制御や動作を行う。例えば、MCU11は、位置情報で示される位置と仕向け地との対応関係に基づいて、電子楽器10が仕向け地(電子楽器10の輸出(流通)場所)に対応する仕様となるように、電子楽器10の所定の機能や、電子楽器10が有するコンテンツのオン/オフなどを行う。
【0179】
図32は、動作例20における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図32に示す処理のうち、S101~S108、S108Aの処理は動作例5における端末20の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S107Cでは、プロセッサ21は、GPS受信機31を用いて端末20の現在位置を示す情報を取得する。S138では、S107Cで取得した位置情報を電子楽器10へ送信する。
【0180】
動作例20によれば、端末20からの位置情報を得て電子楽器10が電子楽器10の状態を仕向け地に応じた設定(仕向け地対応の仕様への変更)を行う。すなわち、位置情報に基づく動作又は制御を行う。これにより、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例20によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0181】
<<動作例21>>
図2の表における項番21の動作例(動作例21)は、端末20のボイスアシスタント機能による制御情報を電子楽器10へ送信して電子楽器10を操作する動作を示す。
図33は、動作例21における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0182】
図33に示す処理は、S034の処理を除き、動作例5における電子楽器10の処理(
図5)と同じであるため、S034以外の処理の説明は省略する。S034では、MCU11は、端末20から受信される端末20のボイスアシスタント機能に基づく制御情報を受信し、その制御情報に応じた所定の制御や動作を行う。例えば、MCU11は、制御情報に応じた機能のオンオフや、状態の変更、パラメータの変更などを行う。
【0183】
図34は、動作例21における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図32に示す処理のうち、S101~S107、S108、S108Aの処理は動作例5の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S106Iでは、プロセッサ21は、ボイスアシスタント用のアプリケーションを実行し、ボイスアシスタント待受画面をディスプレイ25に表示するとともに、MIC32から入力される音声コマンド(音声入力)を受け付ける状態となる。S107Dでは、プロセッサ21は、音声コマンドに応じた制御情報を生成する。S139にて電子楽器10へ送信すべき制御情報があると判定すると、プロセッサ21は、S140で制御情報を電子楽器10へ送信する。
【0184】
動作例21によれば、端末20に入力された音声コマンドに基づく制御情報が電子楽器10へ送信され、電子楽器10が制御情報に応じた動作や制御を行う。これにより、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例21によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0185】
<<動作例22>>
図2の表における項番22の動作例(動作例22)は、端末20のNFC送信波(NFCモジュール26が送信する電波)による起電力にて電子楽器10を起動し、発音処理を行う動作を示す。
図35は、動作例22における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0186】
S041では、電子楽器10の起動指示が入力されたか(例えば、電源スイッチが投入されたか)が判定される。起動指示が入力されたと判定する場合には、処理がS043に進み、そうでないと判定する場合には処理がS042に進む。
【0187】
S043では、電子楽器10は、電源オン状態となり、MCU11は、演奏操作子15の操作に応じた発音(MIDIデータの生成及びこれにもとづく楽音出力処理)を行う。S044では、MCU11は、電源スイッチがオフにされることなどによって、電源供給が停止されたかを判定する。電源供給が停止されていると判定される場合、処理がS046に進む。電源供給が停止されていないと判定される場合、MCU11は、動作停止が必要かの判定を行い(S045)、必要であると判定する場合には、処理がS046に進む。S046では、電源がオフにされ(S046)、
図35の処理が終了する。S045にて動作停止の必要がないと判定する場合には処理がS043に戻る。
【0188】
S041でNOの判定がなされた場合、S042において、端末20と電子楽器10とがNFC通信可能なエリア内に存するか否かが判定される。エリア内に存しないと判定される場合には処理がS041に戻る。これに対し、エリア内に存すると判定される場合には、アンテナ16BでNFCモジュール26からの電波を受信することにより発生する起電力により発生した電力がMCU11に供給され(S047)、MCU11が演奏操作子15の操作に応じてMIDIデータを生成し、それに応じた楽音をスピーカ14から出力する(発音する)状態となる(S048)。S049では、端末20が電子楽器10とNFC通信可能なエリア外に出たかが判定され、そうである場合には、S046に処理が進み、そうでない場合には、S047に処理が戻る。
【0189】
図36は、動作例22における端末20の処理例を示すフローチャートである。S141において、端末20が電子楽器10と通信可能なエリア内にあるかが判定される。エリア内にないと判定される場合には処理がS141に戻り、エリア内にあると判定される場合には処理がS142に進む。
【0190】
S142では、電子楽器10とのNFC通信を開始し、電子楽器10にて起電力を生じさせる電波を送信(放射)する。電波の送信は継続的に行う。また、必要に応じてデータの送受信を行う。S143では、端末20が上記したエリアの外に位置するかを判定する。エリアの外に位置すると判定されない場合には処理がS142に戻り、エリアの外に位置すると判定される場合には処理がS144に処理が進む。S144では、起電力を発生させるための電波の送信を停止し、
図36の処理を終了する。
【0191】
動作例22によれば、端末20と電子楽器10とが所定のエリア内に存する(NFC通信可能な)場合に端末20が電波を電子楽器10に送信し、電子楽器10が電波の受信により生じた起電力による電力で楽音出力などの所定の動作を行う。これによって、電子楽器10がバッテリからの電力で動作する場合において、バッテリの電力消費量を削減することができる。また、電子楽器10(製品)が電源投入していない状態である場合や、製品が電源機能を搭載していない場合であっても、製品の起動が可能になる。これにより、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例22によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。なお、上記した動作例22の説明では、電子楽器10の動作用電力を電波供給により供給しているが、電波供給は、単に電子楽器10の電源をオンにする(電源スイッチをオンにしたのと同様の状態にする)ものであってもよい。
【0192】
<<動作例23>>
図2の表における項番23の動作例(動作例23)は、端末20がクラウドサービスから得た情報を電子楽器10に送信する動作を示す。
図37は、動作例23における電子楽器10の処理例を示すフローチャートである。
【0193】
図37に示す処理は、S047の処理を除き、動作例5における電子楽器10の処理(
図5)と同じであるため、S047以外の処理の説明は省略する。S047では、MCU11は、端末20から受信される制御情報を受信し、その制御情報に応じた所定の制御や動作を行う。例えば、MCU11は、制御情報に応じた機能のオンオフや、状態の変更、パラメータの変更などを行う。
【0194】
図38は、動作例23における端末20の処理例を示すフローチャートである。
図32に示す処理のうち、S101~S106、S107、S108、S108Aの処理は動作例5における端末20の処理(
図6)と同じであるため説明を省略する。S106Jでは、プロセッサ21は、クラウド接続用のアプリケーションを実行し、ネットワーク1(クラウド)を介して所定のサーバ(端末50)との接続を確立し、サーバとの間でデータを送受信可能な状態となる。
【0195】
S107Eでは、プロセッサ21は、サーバとの間で、電子楽器10からのデータをサーバに送信したり、電子楽器10向けのデータをサーバから受信したりする。S151では、電子楽器10へ送信すべきデータがあるかを判定し、送信すべきデータがあると判定する場合に、そのデータをNFC通信によって電子楽器10へ送信する(S152)。また、S152にて、電子楽器10から、サーバへ送信すべきデータを、NFC通信により受信する。
【0196】
動作例23によれば、端末20を中継装置として用いて、電子楽器10とサーバとの間でデータの送受信を行うことができる。これによって、電子楽器10は、サーバによって提供されるサービスを利用することができる。これにより、ユーザの利便性向上及び電子楽器10の有用性の向上が図られる。また、動作例21によれば、動作例5で説明した[1]及び[2]の利点を得ることもできる。
【0197】
<適用例1>
以下、適用例について説明する。
図39は、動作例8に対応する適用例(適用例1)を示す。適用例1では、電子楽器10(電子ピアノ)は、NFCモジュール16(アンテナ及びNFCタグデバイス)を内蔵している。電子楽器10はディスプレイを有しない。例えば電子ピアノの上に端末20を置くと、端末20のNFCモジュール26(アンテナ及びNFCリーダ/ライタデバイス)と電子楽器10のNFCモジュール16とがNFC通信可能なエリアに存する状態(近接状態)となる。このとき、電子楽器10から、演奏情報として、演奏対象の曲名を示す情報がNFC通信により端末20に受信され、アプリケーション(プロセッサ21)に供給されると、プロセッサは、曲名に対応する楽譜が表示される表示画面をディスプレイ25に表示する。これによってユーザは、楽譜を見ながら演奏することができる。
【0198】
また、NFCモジュール26とNFCモジュール16とが通信可能な状態において、電子楽器10のMCU11は、電子楽器10の状態を示す情報(電子楽器10に対し、現在施されている設定を示す情報をNFC通信により端末20に送り、端末20は、ディスプレイ25に、設定を示す情報を表示する。これにより、ユーザは、電子機器10の状態を端末20を用いて知ることができる。また、ユーザは、端末20に設定を変更する情報を入力し、電子楽器10に送信する指示を与えると、その変更に係る情報が電子楽器10に送信され、MCU11が設定の変更処理を行う。これにより、端末20からのデータ(変更の情報)が電子楽器10に反映される。
【0199】
<適用例2>
図40A~Cは、動作例5に対応する適用例(適用例2)を示す。適用例2に係る電子楽器10は、電子サクソフォーンであり、
図40Aには、電子楽器10の正面が示されている。電子楽器10の下端部に、NFCモジュール16(アンテナ及びNFCタグデバイス)が設けられている(実際は内蔵)。
図40Bは、
図40Aの背面の部分拡大図を示す。背面には、セブンセグメント方式のLCDを用いた簡易なディスプレイ13が設けられており、電子楽器10の状態をコード(番号など)で表示する。
図40Cは端末20を示し、端末20をNFCモジュール16に近づけると、端末20に内蔵されたNFCモジュール26(アンテナ及びNFCリーダ/ライタデバイス)とNFCモジュール16とが通信可能な状態となる。電子楽器10のMCU11は、電子楽器10の状態を示す情報(現在電子楽器10に施されている設定を示す情報をNFC通信により端末20に送信する。端末20は、ディスプレイ25に、設定を示す情報を詳細表示する。これにより、ユーザは、電子機器10の状態の詳細を、理解し易い表示形式で参照することができる。なお、適用例2と同様に、ユーザは、端末20に設定を変更する情報を入力し、電子楽器10に送信する指示を与えることができる。すると、その変更に係る情報が電子楽器10に送信され、MCU11が設定の変更処理を行う。
【0200】
<適用例3>
図41A及びBは、動作例10に対応する適用例(適用例3)を示す。適用例3に係る電子楽器10は、キーボードである(
図41A)。電子楽器10の左端部に、NFCモジュール16(アンテナ及びNFCタグデバイス)が設けられている(実際は内蔵)。電子楽器10は、音源モジュールを持たない。
図41Bは、端末20を示し、端末20をNFCモジュール16に近づけると、端末20に内蔵されたNFCモジュール26(アンテナ及びNFCリーダ/ライタデバイス)とNFCモジュール16とが通信可能な状態となる。この状態で、ユーザが、演奏操作子15(鍵盤)を操作して演奏を行うと、その演奏情報(MIDIデータ)がNFC通信により電子楽器10から端末20へ送信される。端末20のプロセッサ21は、MIDIデータに基づく楽音信号を音源モジュール28を用いて生成し、スピーカ27から出力する。これにより、ユーザの演奏による楽音を聴取できる。また、プロセッサ21は、ディスプレイ25に、MIDIデータに基づく演奏楽音の音色を示す情報(グラフ)を表示する。これによって、ユーザは、端末20を用いて自身の演奏に係る楽音を聞くことができるとともに、ディスプレイ25の参照によって音色を把握することができる。
【0201】
<動作パターン4~8の説明>
(動作パターン<4>)
図42は、動作パターン<4>に係る処理例を示す。処理の主体は、一例として、電子楽器10のMCU11又は端末20のプロセッサ21である。一例として、端末20のプロセッサ21とするが、MCU11やそれ以外でもよい。
【0202】
S201では、プロセッサ21は、電子楽器10へ向けたデータの読み出し要求の送信により、電子楽器10から送られてきたデータを受信する。S202では、プロセッサ21は、受信データの内容を判定する。S203では、プロセッサ21は、受信データの内容に従って、読み出し要求の送信又は書き込み対象データ及び書き込み要求の送信を行う。例えば、プロセッサ21は、S202でデータの終端判定を行い、受信データが終端部分を含まない場合には、次のデータを取得するための読み出し要求を送信し、終端部分を含む場合には、データの受信終了などを示すデータ及びその書き込み要求を送信する。但し、データの内容や、データの内容に基づく判断は適宜設定可能である。
【0203】
(動作パターン<5>、<6>)
図43は、動作パターン<5>及び<6>に係る処理例を示す。処理の主体は、一例として、電子楽器10のMCU11又は端末20のプロセッサ21である。一例として、端末20のプロセッサ21とするが、MCU11やそれ以外でもよい。
【0204】
S211では、プロセッサ21は、電子楽器10へ向けたデータの読み出し要求の送信、又は書き込み対象データ及びその書き込み要求の送信を行う。S212では、読み出し要求又は書き込み要求を用いた通信が失敗か成功かを判定する。例えば、読み出し又は書き込み要求に対する応答が所定期間内に受信されない場合、通信が失敗と判定する。通信の成否の判断手法は、上記に制限されない。
【0205】
S212において、通信が成功と判定される場合は、処理が終了する。これに対し、通信が失敗と判定される場合は、プロセッサ21は、読み出し要求又は書き込み要求の送信を行う。このとき、S211で送信した要求を再送信する動作であっても、逆であってもよい。S211で読み出し要求を送信し、S213で書き込み要求を送信するケースは、例えば、失敗を示す情報の記録を通信相手に要求する場合などである。S211で書き込み要求を送信し、S213で読み出し要求を送信するケースは、書き込み要求データの生成に用いるデータを通信相手から再入手する場合などである。
【0206】
(動作パターン<7>)
図44は、動作パターン<7>に係る処理例を示す。処理の主体は、一例として、電子楽器10のMCU11又は端末20のプロセッサ21である。一例として、端末20のプロセッサ21とするが、MCU11やそれ以外でもよい。
【0207】
S221では、送信対象のデータの有無が判定される。送信対象のデータがあると判定する場合には、プロセッサ21は、送信対象のデータを書き込み対象データとする書き込み要求を送信する処理を行う(S222)。これに対し、送信対象のデータがないと判定する場合には、プロセッサ21は、データの読み出し要求を送信する(S223)。S224では、
図44の処理を終了するか否かが判定され、終了しない場合には処理がS221に戻る。
【0208】
図44の処理によれば、送信対象のデータがない状況では、読み出し要求の送信(S223)が繰り返され、送信対象のデータが発生すると(S221、Yes)、その書き込み要求が送信される(S222)。例えば、端末20が、電子楽器10から演奏情報などをリアルタイムに受信しながら、電子楽器10に次の動作の指示を送る場合などが想定される。
【0209】
(動作パターン<8>)
図45は、動作パターン<8>に係る処理例を示す。処理の主体は、一例として、電子楽器10のMCU11又は端末20のプロセッサ21である。一例として、端末20のプロセッサ21とするが、MCU11やそれ以外でもよい。
【0210】
S231では、送信対象のデータの有無が判定される。送信対象のデータがあると判定する場合には、プロセッサ21は、データの読み出しタイミングか否かを判定する(S232)。読み出しタイミングは、例えば周期的なタイマの満了などによって決定される。或いは、S232において、S008AやS108Aで示したような、カウント値が閾値Th以上になることを待つようにしてもよい。このとき、読み出しタイミングでないと判定されると、プロセッサ21は、送信対象のデータ及びその書き込み要求の送信を行う(S233)。
【0211】
一方、送信対象のデータがないと判定される場合、読み出しタイミングであると判定される場合には、データの読み出し要求の送信をプロセッサ21は行う(S234)。S235では、
図45の処理を終了するか否かが判定され、終了しないと判定される場合、処理がS231に戻る。
【0212】
このようにして、動作パターン<8>では、送信対象のデータがある場合には、送信対象のデータ及びその書き込み要求の送信が繰り返し実行される。但し、このような送信の繰り返し中に、所定の読み出しタイミングが到来すると、データの読み出し要求の送信が行われる。動作パターン<8>は、例えば、データの書き込みを行っている間に、次の指示を取得する場合などに使用される。
【0213】
動作パターン<1>~<8>は適宜組み合わせることができる。また、動作パターン<4>~<8>は、上述した動作例5~23に適宜組み入れることができる。
【0214】
<読み出し要求の頻度変更>
<<第1の例>>
以下、読み出し要求の頻度を変更する処理の第1の例について説明する。上記の動作パターン<8>の周期的な読み出し要求のタイミング判定(S232)は、例えば、
図5などで説明したS008Aの処理、又は
図6などで説明したS108Aの処理を適用し、カウント値が閾値Th以上となるのを契機に行うことを例示した。
【0215】
閾値Thの変更によって、カウント値が閾値以上になるまでの時間を変更することができる。これは、S008A、S108Aの処理が周期的に到来する場合において、閾値Thの長さを変更することで、電子楽器10と端末20との間でデータの送受信が行われる頻度を変更できることを意味する。
【0216】
頻度(閾値Thの大きさ)は、例えば、端末20にインストールされ、電子楽器10から取得するデータを用いて目的の処理を行うアプリケーション(アプリ)の種類に応じて決定できる。例えば、アプリが電子楽器10から取得するデータがリアルタイム性の高いものであれば、高い頻度が設定される。これに対し、アプリが扱うデータが電子楽器10の現在の設定パラメータのような、リアルタイム性の低いデータである場合は、低い頻度を設定できる。頻度(閾値の大きさ)は、端末20のユーザのマニュアル操作によって変更可能としてもよい。
【0217】
例えば、動作例8に対応する適用例1において、端末20にインストールされるアプリケーションに関しては、楽譜のリアルタイム表示のため、読み出し要求の頻度を決める閾値Thの値は、最小値、又は小さい値がデフォルト値として設定される。一方、高い頻度で電子楽器10からのデータ読み出しを行うことは、バッテリ33の残量が頻度の低い場合に比べて早く低下することを意味する。
【0218】
そこで、
図46に示すS301~S304の処理が、
図12のS108からS108Aの間に行われてもよい。S301では、プロセッサ21は、バッテリ33(
図1)の残量(バッテリ電圧測定によって得られる)が、閾値Th2を下回るかを判定する。残量が閾値Th2を下回ると判定される場合には、処理がS302に進み、そうでない場合には、処理がS303に進む。
【0219】
S302では、プロセッサ21は、ディスプレイ25に、バッテリ残量の低下と、頻度の変更(例えば頻度の低下)の要否を伺う画面を表示する。ユーザは、ディスプレイ25を参照して、変更の要否を入力する。
【0220】
S303では、プロセッサ21は、S302にて変更を示す入力があったか否かを判定する。変更を示す入力があったと判定される場合には、プロセッサ21は、閾値Thを変更する(S304)。適用例1に関しては、閾値Thの大きさを少なくとも一段階上げる。閾値Thの値が大きくなることで、閾値Thにカウント値が達するまでの時間が長くなり、頻度が下がる。その後、処理がS108Aに進む。また、S303にて、変更不要を示す入力があったと判定される場合にも、処理がS108Aに進む。この場合、閾値の変更は行われない。
【0221】
図46の処理によれば、適用例1において、端末20が楽譜を表示する処理中に、バッテリ33の残量が閾値を下回ると、ディスプレイ25に頻度(閾値)変更の要否を問い合わせる画面(ボックス)が表示され、これに対して変更を入力すると、閾値が大きい値に変更されて、頻度が低下する。これにより、ディスプレイ25に表示される楽譜の更新頻度は低下するが、バッテリ33の残量低下速度が遅くなるため、サービスを継続して受けることが可能となる。
【0222】
図46の処理は、適用例1(動作例8、
図12)への適用に制限されるものではない。動作例8以外の動作例における、S108とS108Aの間にS301~S304の処理を挿入してもよい。また、S301~S304の処理は、読み出し要求の送信側が電子楽器10の場合に適用されてもよい。換言すれば、
図5などのS008とS008Aとの間に、S301~S304の処理が挿入されてもよい。また、閾値の変更は閾値を大きくする方向だけでなく小さくする方向であってもよい。例えば、閾値Th2を上回る程度に回復した場合に、閾値Thを一段階以上小さくして頻度を上げてもよい。このように、端末20が、データの読み出し要求を発行する頻度を、端末20のバッテリ33の残量に基づいて変更する構成を採用してもよい。
【0223】
<<第2の例>>
読み出し要求の頻度を変更する処理の第2の例について説明する。第1の例において、頻度(閾値Th)は、データのリアルタイム性に応じて変更し得ることを説明した。データがリアルタイム性を有するか否かは、端末20に表示される、電子楽器10の操作乃至制御用のアプリの画面と関連を持つ場合がある。
【0224】
例えば、端末20にインストールされるアプリの一つに、演奏の楽曲のリズムやテンポに応じた演奏子の操作指示を示す情報を電子楽器10から受信し端末20のディスプレイ25に表示するアプリがある。操作指示は、例えば、ディスプレイ25に楽曲の楽譜を表示する画面(楽譜表示画面)を表示し、表示された楽譜中の、現在の演奏位置に当たる部分を特別な態様で表示する(例えば、色を変えるなど)ことによってなされる。この場合、楽譜中の色を変える部分を示す情報(操作指示)は、リアルタイム性を要求されるため、電子楽器10に対するデータの読み出し要求は、高い頻度で行われる。
【0225】
一方、当該アプリを用いて、電子楽器10の状態パラメータの設定(コンフィグ設定)を行うことを可能にする場合がある。このとき、アプリは、ディスプレイ25にコンフィグ画面を表示し、現在の状態パラメータを示す情報を電子楽器10から読み出して、コンフィグ画面に表示する。このような、状態パラメータを示す情報についてリアルタイム性は要求されない。
【0226】
このように、端末の1つのアプリの中に、2つの状態(モード)があり、高い頻度が要求される、楽譜表示画面(モード1) と 、低い頻度で問題がない端末20と電子楽器10との 設定情報の 送受信画面(コンフィグ画面:モード2)とがある場合がある。すなわち、ディスプレイ25に表示される画面に応じて、表示に係るデータの読み出し速度(読み出し要求の頻度)が異なる場合がある。第2の例では、ユーザの画面操作に伴い、頻度を変更する例、すなわち、画面に応じて読み出し要求の頻度を変える例を説明する。
【0227】
図47は、頻度変更に用いるテーブルの例を示す。テーブルは記憶装置22に記憶され、プロセッサ21により参照される。第2の例に係るアプリでは、画面毎に読み出し要求の頻度(閾値Th)が管理される。すなわち、画面(例えば、楽譜表示画面、コンフィグ画面など)の夫々と、閾値Thとの対応関係を示すテーブルが、記憶装置22に記憶される。
図47に示すテーブルの例では、画面の識別子(SC1、SC2、SC3、・・・)と、画面のそれぞれに対応する閾値Th(Th001、Th002、Th003、・・・)とが対応づけて記憶されている。画面の識別子には、画面に割り当てられた番号や、画面の表示用データが記憶されたアドレスなどが用いられる。閾値Thとして、画面に応じた値が設定される。第2の例では、コンフィグ画面(識別子:SC2)に対応する閾値Th(Th002)として、楽譜表示画面(識別子SC1)に対応する閾値Th(Th001)より小さい値が設定される。
【0228】
図48は、頻度変更の第2の例に係る処理例を示すフローチャートであり、S008又はS108と、S008AとS108Aとの間に実行される、S401~S404の処理を示す。S401の開始の時点で、ディスプレイ25には楽譜表示画面(SC1)が表示されていると仮定する。S401では、プロセッサ21は、入力装置23の操作などによって、画面の切り替え指示が入力されたか否かを判定する。このとき、画面切り替え指示が入力されたと判定される場合には、処理がS402に進み、そうでない場合には、処理がS403に進む。
【0229】
S402では、プロセッサ21は、画面の切り替え処理を行う。例えば、画面切り替え指示の入力によって得られる切り替え先の画面を示す情報(画面識別子)をプロセッサ21は取得し、該当する画面のデータを読み出してディスプレイ25に表示する制御を行う。一例として、これまで表示されていた楽譜表示画面がコンフィグ画面に切り替えられたと仮定する。
【0230】
S403では、プロセッサ21は、画面と閾値Thとの対応テーブル(
図47)を参照し、コンフィグ画面の画面識別子SC2に対応する閾値Th(Th002)を取得し、現在の閾値Th(Th001)と比較することによって、閾値Thの変更の要否を判定する。閾値Thの変更要と判定される場合には、処理がS404に進み、そうでない場合には、処理がS008A(S108A)に進む。
【0231】
S404では、対応テーブルから読み出された閾値Th(Th002)を新たな閾値Thとして設定する。その後、処理がS008A(S108A)に進む。これによって、コンフィグ画面が表示されている間、読み出し要求の頻度が低下する。なお、S401において、コンフィグ画面から楽譜表示画面への切り替え指示が入力された場合には、S402及びS403の処理を経て、閾値Thが楽譜表示画面(SC1)に対応する値(Th001)に変更される(元に戻る)。これによって、読み出し要求の頻度が上がる。
【0232】
第2の例によれば、端末20が、読み出し要求を発行する頻度(閾値Th)を、端末20が表示する画面の切り替えに応じて変更する。これによって、画面を通じてユーザに提供する機能に応じた頻度でデータを読み出すことができる。また、画面切り替えに応じて頻度が変更されることで、データの読み出し頻度をリアルタイム性の高低に応じた頻度にすることができ、無駄なデータ読み出し要求の発行を回避して消費電力を削減することができる。
【0233】
なお、第2の例では、一つのアプリにおいて表示が制御される2つの画面の切り替えにおいて、頻度が変更される例を示した。但し、2つの画面は、異なるアプリによって表示制御されるもの(画面切り替えのトリガ発生によって他のアプリが起動し、そのアプリが切り替え後の画面を表示する)であってもよい。S402の処理を、S404の後にして、閾値Thが変更されてから画面を切り替えるようにしてもよい。
【0234】
<<第3の例>>
図49は、読み出し要求の頻度(閾値Th)を変更する第3の例を示すフローチャートである。
図49のフローチャート(S501~S505)は、例えば、S008又はS108の次に挿入される。
【0235】
S501において、プロセッサ21は、端末20に対する入力の有無を判定する。入力ありと判定される場合には、処理がS505へ進む。これに対し、入力なしと判定される場合には、処理がS502に進む。
【0236】
S502では、プロセッサ21は、非入力の時間を計数するためのカウンタのカウント値をインクリメント(1加算)する。S503では、プロセッサ21は、カウント値が所定の閾値Th3(非入力時間の閾値)以上か否かを判定する。カウント値が閾値Th3以上であると判定する場合には、処理がS504へ進み、そうでないと判定される場合には、処理がS501に戻る。
【0237】
S504へ処理が進んだ場合には、プロセッサ21は、読み出し要求の頻度に係る閾値Thの値を所定値に下げる。入力がないことは、ユーザがアプリを使用していない可能性がある。アプリ不使用の場合、通常の頻度でのデータの読み出しは不要であるため、頻度を低下させて、読み出し要求発行による電力消費を抑える。S504の処理は、閾値Thの現在値(設定値)を、或る記憶領域に記憶されている低下時の閾値Thの値に書き替えることにより行う。このとき、プロセッサ21は元の値を所定の記憶領域(退避場所)に退避させる。
【0238】
S504が終了すると、処理が次のステップへ進む。次のステップは、例えば、S008A、S108A、S301、S401のいずれかである。後述する、S506においてNoの判定がなされた場合、S507の処理が終了した場合も同様である。
【0239】
S505に処理が進んだ場合には、プロセッサ21はカウンタをリセットする。S506では、閾値Thの現在値がS504によって低下させた値か否かをプロセッサ21は判定する。この判定は、例えば、退避場所に退避した元の値があるか否か(なければNULL)によって行うことができる。但し、他の方法でもよい。
【0240】
閾値Thの現在値がS504によって低下させた値と判定される場合には、プロセッサ21は、閾値Thの値を元の値に戻す(S507)。この処理は、例えば、退避していた元の値で閾値Thの現在値を書き替えることにより行われる。S507の処理が終了した場合、及び閾値Thの現在値が低下させた値でないと判定する場合(例えば、退避場所の値がNULLである場合)には(S506のNo)、S506の処理が終了して、次のステップへ進む。
【0241】
以上のようにして、第3の例では、端末20が、読み出し要求を発行する頻度(閾値Th)を、端末20への非入力の期間に応じて変更する。すなわち、非入力時間が閾値Th3以上になると、頻度を低下させて省電力を図る。一方、入力があると、低下させた閾値を元に戻して(上げて)、所望の読み出し要求の頻度にする。実施形態にて示した構成は、目的を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0242】
10・・・電子楽器
11・・・MCU
12,23・・・入力装置
13,25・・・ディスプレイ
14,27・・・スピーカ
20・・・端末
21・・・プロセッサ
22・・・記憶装置
24・・・通信インタフェース
29・・・センサ
28・・・音源モジュール
30・・・カメラ
31・・・GPS受信機