(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】コイル部材及びそれを有する電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
H02K 11/21 20160101AFI20230208BHJP
【FI】
H02K11/21
(21)【出願番号】P 2021544666
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2020079276
(87)【国際公開番号】W WO2020199900
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】201910260683.7
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】袁 波鋒
(72)【発明者】
【氏名】林 元陽
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-109666(JP,A)
【文献】特開2005-354858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0381018(US,A1)
【文献】特開2016-014453(JP,A)
【文献】特開2012-124987(JP,A)
【文献】特開平09-229223(JP,A)
【文献】特開2019-032024(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102142727(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0002931(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10351504(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/21
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形部(10)と、ステータケース(20)と、ステータプレート(30)と、回路基板(40)とを含み、前記ステータケース(20)、前記ステータプレート(30)、及び前記回路基板(40)が何れも前記射出成形部(10)内に設置されるコイル部材であって、
前記射出成形部(10)内に設置される固定部(50)と、
前記固定部(50)に設置され、前記ステータケース(20)と前記ステータプレート(30)の少なくとも一方と前記回路基板(40)とを導電接続するための導電部(60)と、
前記固定部(50)に設置され、前記回路基板(40)に接続されるセンサ(70)と
を更に含
み、
前記固定部(50)には第1の接続部(51)が設置され、前記導電部(60)には第2の接続部(61)が設置され、前記第1の接続部(51)と前記第2の接続部(61)とは接続される、コイル部材。
【請求項2】
前記第1の接続部(51)が突起であり、前記第2の接続部(61)が位置決め孔であり、前記第1の接続部(51)が前記第2の接続部(61)内に穿設され、又は、前記第1の接続部(51)が位置決め孔であり、前記第2の接続部(61)が突起であり、前記第2の接続部(61)が前記第1の接続部(51)内に穿設される、請求項
1に記載のコイル部材。
【請求項3】
前記固定部(50)はプラスチックから製作され、前記第1の接続部(51)が突起であり、前記第2の接続部(61)が位置決め孔であり、
ここで、前記第1の接続部(51)と前記第2の接続部(61)とは、リベット接合又は超音波接合によって固定接続される、
請求項
1に記載のコイル部材。
【請求項4】
前記固定部(50)には第1の取付溝(52)が設置され、前記第1の取付溝(52)内には前記第1の接続部(51)が設置され、
ここで、前記導電部(60)の少なくとも一部が、前記第1の取付溝(52)内に設置される、
請求項
1に記載のコイル部材。
【請求項5】
前記導電部(60)はメタルドームであり、前記導電部(60)は前記回路基板(40)に接続され、前記ステータケース(20)と前記ステータプレート(30)の少なくとも一方が、前記導電部(60)に接続される、請求項1から
4のいずれか1項に記載のコイル部材。
【請求項6】
前記ステータケース(20)はステータプレート(30)に接続され、前記ステータケース(20)と前記ステータプレート(30)の少なくとも一方が、前記導電部(60)に当接される、請求項
5に記載のコイル部材。
【請求項7】
前記導電部(60)は、
前記固定部(50)に接続される第1の導電セグメント(62)と、
前記回路基板(40)に接続される第2の導電セグメント(63)と、
前記ステータケース(20)に当接される湾曲セグメントである当接セグメント(64)と、を含み、
ここで、前記第1の導電セグメント(62)は、前記第2の導電セグメント(63)と前記当接セグメント(64)とを接続するように、前記当接セグメント(64)と前記第2の導電セグメント(63)との間に位置する、
請求項
6に記載のコイル部材。
【請求項8】
前記固定部(50)には穿設孔(53)が設置され、前記センサ(70)は、
前記固定部(50)に設置される本体部(71)と、
前記本体部(71)に設置され、前記穿設孔(53)を貫通して前記回路基板(40)に接続されるピン(72)と、を含む、
請求項1から
4のいずれか1項に記載のコイル部材。
【請求項9】
前記固定部(50)の前記回路基板(40)とは逆の一端には第2の取付溝(54)が設置されており、前記本体部(71)は前記第2の取付溝(54)内に設置され、前記固定部(50)の前記導電部(60)とは逆の一側には収容溝(55)が設置されており、前記ピン(72)の一部は前記収容溝(55)内に設置される、請求項
8に記載のコイル部材。
【請求項10】
前記射出成形部(10)には制限溝(11)が設置され、前記固定部(50)は前記制限溝(11)内に設置される、請求項1に記載のコイル部材。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載のコイル部材である、コイル部材を含む電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月2日に中国国家知的財産権局に提出された、出願番号201910260683.7、発明の名称「コイル部材及びそれを有する電子膨張弁」である中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、膨張弁の分野に関し、具体的には、コイル部材及びそれを有する電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の技術における電子膨張弁は、コイルへの通電及び断電中に、コイルのステータプレートとステータケースによって静電気が発生し、この部分の静電気を速やかにコイルから導出しないと、この部分の電荷が他の部品に影響を及ぼすという問題が存在する。
【0004】
しかし、従来の技術における電子膨張弁は、ステータプレートとステータケースによって発生した静電気をコイルから導出するのに適した措置がなく、この部分の電荷の電子膨張弁の他の部品への影響を回避することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、従来の技術におけるステータプレートとステータケースによって発生した静電気を導出できないという問題を解決するために、コイル部材及びそれを有する電子膨張弁を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本出願の一態様によれば、射出成形部と、ステータケースと、ステータプレートと、回路基板とを含み、ステータケース、ステータプレート、及び回路基板が何れも射出成形部内に設置されるコイル部材であって、射出成形部内に設置される固定部と、固定部に設置され、ステータケースとステータプレートの少なくとも一方と回路基板とを導電接続するための導電部と、固定部に設置され、回路基板に接続されるセンサとを更に含むコイル部材を提供する。
【0007】
更に、固定部には第1の接続部が設置され、導電部には第2の接続部が設置され、第1の接続部と第2の接続部とは接続される。
【0008】
更に、第1の接続部が突起であり、第2の接続部が位置決め孔であり、第1の接続部が第2の接続部内に穿設され、又は、第1の接続部が位置決め孔であり、第2の接続部が突起であり、第2の接続部が第1の接続部内に穿設される。
【0009】
更に、固定部はプラスチックから製作され、第1の接続部が突起であり、第2の接続部が位置決め孔であり、ここで、第1の接続部と第2の接続部とは、リベット接合又は超音波接合によって固定接続される。
【0010】
更に、固定部には第1の取付溝が設置され、第1の取付溝内には第1の接続部が設置され、ここで、導電部の少なくとも一部が、第1の取付溝内に設置される。
【0011】
更に、導電部はメタルドームであり、導電部と回路基板とは接続され、ステータケースとステータプレートの少なくとも一方が、導電部に接続される。
【0012】
更に、ステータケースはステータプレートに接続され、ステータケースとステータプレートの少なくとも一方が、導電部に当接される。
【0013】
更に、導電部は、固定部に接続される第1の導電セグメントと、回路基板に接続される第2の導電セグメントと、ステータケースに当接される湾曲セグメントである当接セグメントとを含み、ここで、第1の導電セグメントは、第2の導電セグメントと当接セグメントとを接続するように、当接セグメントと第2の導電セグメントとの間に位置する。
【0014】
更に、固定部には穿設孔が設置され、センサは、固定部に設置される本体部と、本体部に設置され、穿設孔を貫通して回路基板に接続されるピンとを含む。
【0015】
固定部の回路基板とは逆の一端には第2の取付溝が設置されており、本体部は第2の取付溝内に設置され、固定部の導電部とは逆の一側には収容溝が設置されており、ピンの一部は収容溝内に設置される。
【0016】
更に、射出成形部には制限溝が設置され、固定部は制限溝内に設置される。
【0017】
本出願の他の態様によれば、上記のコイル部材であるコイル部材を含む電子膨張弁を提供する。
【0018】
本出願のコイル部材は、導電部によってステータケースとステータプレートの少なくとも一方と回路基板との導電接続を実現し、即ち、ステータケースとステータプレートによって発生した静電気を、導電部によって回路基板に送り込んで処理することができ、これによって、ステータケースとステータプレートによって発生した静電気がコイル部材に影響を及ぼすことを回避し、従来の技術におけるステータプレートとステータケースによって発生した静電気を導出できないという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の概略的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定するものではない。
【0020】
【
図1】本出願によるコイル部材の実施例の第1の視野角の構造概念図を示す。
【
図2】本出願によるコイル部材の実施例の第2の視野角の構造概念図を示す。
【
図3】
図2におけるコイル部材のA-A部分の断面構造概念図を示す。
【
図4】本出願によるコイル部材の一部の構造概念図を示す。
【
図5】本出願によるコイル部材の固定部、導電部、及びセンサの第1の視野角の組立構造概念図を示す。
【
図6】本出願によるコイル部材の固定部、導電部、及びセンサの第2の視野角の組立構造概念図を示す。
【
図7】本出願によるコイル部材の固定部の構造概念図を示す。
【
図8】本出願によるコイル部材の導電部の構造概念図を示す。
【
図9】本出願による電子膨張弁の断面構造概念図を示す。
【0021】
ここで、上記の図面は以下の符号を含む。
10、射出成形部;11、制限溝;20、ステータケース;30、ステータプレート;40、回路基板;50、固定部;51、第1の接続部;52、第1の取付溝;53、貫通孔;54、第2の取付溝;55、収容溝;60、導電部;61、第2の接続部;62、第1の導電セグメント;63、第2の導電セグメント;64、当接セグメント;70、センサ;71、本体部;72、ピン;80、巻線;90、弁体;100、ロータ部材;110、スピンドル部材;111、スクリュ部材;112、スピンドル;113、ナット部材。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願における実施例及び実施例における特徴は、矛盾しない場合、互いに組み合わせることができることに留意されたい。以下、図面とともに実施例を参照しながら、本出願を詳細に説明する。
【0023】
以下の詳細な説明は何れも例示的であり、本出願に更なる説明を提供することを目的としていることに留意すべきである。特に明記されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語や科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者が通常理解している意味と同じである。
【0024】
本明細書で用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものにすぎず、本出願による例示的な実施形態を限定することを意図するものではないことに注意すべきである。本明細書で用いられる場合、文脈に別途明確に指摘されていない限り、単数形式は複数形式を含むことも意図し、更に、本明細書において、「含む」及び/又は「含まれる」という用語が用いられる場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、組立体及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味することも理解すべきである。
【0025】
本出願は、
図1から
図8を参照すると、射出成形部10と、ステータケース20と、ステータプレート30と、回路基板40とを含み、ステータケース20、ステータプレート30、及び回路基板40が何れも射出成形部10内に設置されるコイル部材であって、射出成形部10内に設置される固定部50と、固定部50に設置され、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方と回路基板40とを導電接続するための導電部60と、固定部50に設置され、回路基板40に接続されるセンサ70とを更に含むコイル部材を提供する。
【0026】
本出願のコイル部材は、導電部60によってステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方と回路基板40との導電接続を実現し、即ち、ステータケース20及びステータプレート30によって発生した静電気を、導電部60によって回路基板40に送り込んで処理することができ、これによって、ステータケース20及びステータプレート30によって発生した静電気がコイル部材に影響を及ぼすことを回避し、従来の技術におけるステータプレートとステータケースによって発生した静電気を導出できないという問題を解決する。
【0027】
本実施例では、導電部60を固定部50に設置し、固定部50を射出成形部10内に設置することで、導電部60を固定部50を介して射出成形部10内に安定的に設置させることができ、コイル部材の稼働中に導電部60が変位する等の問題が発生せず、導電部60によるステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方と回路基板40との導電接続の実現を確保することができる。
【0028】
本実施例では、ステータケース20とステータプレート30によって発生した静電気が回路基板40に伝達された後、回路基板40がそれについてフィルタリング等の処理を行い、これにより、静電気による影響を低減し、最終的にそれを導出する。
【0029】
図3に示すように、本実施例では、コイル部材がロータの移動信号を取得できるように、コイル部材は固定部50に設置され、回路基板40に接続されるセンサ70を更に含む。
【0030】
本実施例では、センサ70と導電部60とは、何れも固定部50を介して射出成形部10に設置され、且つ何れも回路基板40に接続されるため、固定部50の設置は、センサ70及び導電部60の安定性を確保するだけでなく、取付空間全体を節約することができる。
【0031】
本実施例では、センサ70は、ロータの変位信号、例えば回転信号又は移動信号を取得するために用いられ、センサ70は、ホールセンサであってもよいし、又は位置センサであってもよい。
【0032】
図5及び
図8に示すように、導電部60を固定部50に安定的に設置できるように、固定部50には第1の接続部51が設置され、導電部60には第2の接続部61が設置され、第1の接続部51と第2の接続部61とは接続される。
【0033】
本実施例では、固定部50及び導電部60は、第1の接続部51及び第2の接続部61によって安定的な接続を実現する。
【0034】
本実施例では、固定部50と導電部60との接続を更に向上できるように、第1の接続部51は少なくとも2つであり、第2の接続部61は少なくとも2つであり、少なくとも2つの第1の接続部51と少なくとも2つの第2の接続部61とは、一対一に対応して設置される。
【0035】
第1の接続部51及び第2の接続部61の具体的な構造については、第1の接続部51が突起であり、第2の接続部61が位置決め孔であり、第1の接続部51が第2の接続部61内に穿設され、又は、第1の接続部51が位置決め孔であり、第2の接続部61が突起であり、第2の接続部61が第1の接続部51内に穿設される。
【0036】
好ましくは、固定部50はプラスチックから製作され、第1の接続部51が突起であり、第2の接続部61が位置決め孔であり、ここで、第1の接続部51と第2の接続部61とは、リベット接合又は超音波接合によって固定接続される。
【0037】
本実施例では、固定部50はプラスチック製品であり、第1の接続部51は固定部50における突起であり、具体的な取付中に、第1の接続部51は第2の接続部61内に穿設され、そして、第1の接続部51が変形するように、リベット接合又は超音波接合で第1の接続部51に対して処理を行い、最終的に、第2の接続部61への被覆を実現し、即ち、位置決め孔の孔口に1つの位置決めキャップを形成し、これにより、第1の接続部51と第2の接続部61との安定的な接続を確保する。
【0038】
取付の利便性と構造のコンパクトさを考慮すると、
図5に示すように、固定部50には第1の取付溝52が設置されており、第1の取付溝52の中には第1の接続部51が設置され、ここで、導電部60の少なくとも一部が、第1の取付溝52内に設置される。
【0039】
本実施例では、第1の取付溝52は矩形溝であり、固定部50のセグメントの一部は第1の取付溝52内に設置される。
【0040】
好ましくは、導電部60はメタルドームであり、導電部60と回路基板40とは接続され、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方が、導電部60に接続される。
【0041】
本実施例では、導電部60はメタルドームであり、メタルドームは、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方に押し付き、即ち、第1の取付溝52の溝壁と、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方との間に挟まれている。
【0042】
好ましくは、ステータケース20はステータプレート30に接続され、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方が、導電部60に当接される。
【0043】
本実施例では、ステータケース20はステータプレート30に接続され、即ち、ステータケース20とステータプレート30とは、常に導電連通状態にあるため、ステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方と導電部60とを接続させた後、ステータケース20とステータプレート30とを、何れも回路基板40に導電連通させる。
【0044】
本実施例では、導電部60はステータケース20に圧設されている。
【0045】
図8に示すように、導電部60の具体的な構造については、導電部60は、固定部50に接続される第1の導電セグメント62と、回路基板40に接続される第2の導電セグメント63と、ステータケース20に当接される湾曲セグメントである当接セグメント64とを含み、ここで、第1の導電セグメント62は、第2の導電セグメント63と当接セグメント64とを接続するように、当接セグメント64と第2の導電セグメント63との間に位置する。
【0046】
本実施例では、導電部60は、第1の導電セグメント62、第2の導電セグメント63、及び当接セグメント64からなり、ここで、第1の導電セグメント62は、第2の導電セグメント63と当接セグメント64とを接続するために用いられ、第2の導電セグメント63と回路基板40とは溶接され、第1の導電セグメント62には、固定部50における第1の接続部51に接続されるための第2の接続部61が設置されており、当接セグメント64はステータケース20に圧設されている。
【0047】
本実施例では、第1の導電セグメント62及び第2の導電セグメント63は、何れも矩形体であり、第1の導電セグメント62の幅は、第2の導電セグメント63の幅よりも大きい。
【0048】
本実施例では、第1の導電セグメント62は固定部50の第1の取付溝52内に設置されており、当接セグメント64の第1の取付溝52に向ける投影も第1の取付溝52内に位置している。
【0049】
センサ70と固定部50の具体的な取付構造については、
図6に示すように、固定部50には穿設孔53が設置されており、センサ70は、固定部50に設置される本体部71と、本体部71に設置され、穿設孔53を貫通して回路基板40に接続されるピン72とを含む。
【0050】
本実施例では、本体部71におけるピン72は穿設孔53を貫通して回路基板40に接続されるが、本体部71自体は、固定部50との接続関係がなく、最終的にはピン72や穿設孔53によって固定と位置決めが行われる。
【0051】
好ましくは、固定部50の回路基板40とは逆の一端には第2の取付溝54が設置されており、本体部71は第2の取付溝54内に設置され、固定部50の導電部60とは逆の一側には収容溝55が設置されており、ピン72の一部は収容溝55内に設置される。
【0052】
本実施例では、第2の取付溝54は矩形キャビティであり、第2の取付溝54及び第1の取付溝52はそれぞれ固定部50の両側に位置しており、収容溝55の溝壁には、何れも穿設孔53が設置されており、即ち、第2の取付溝54と収容溝55との間、及び導電部60と収容溝55との間には、何れも穿設孔53を有する。
【0053】
本実施例では、穿設孔53は複数個であり、複数の穿設孔53は、ピン72の延在方向に沿って間隔を空けて設置されており、ここで、穿設孔53は、固定部50の導電部60とは逆の一側に設置されている。
【0054】
本実施例では、ピン72は3本であり、それに応じて穿設孔53は3組である。
【0055】
図4に示すように、固定部50を射出成形部10に安定的に設置できるように、射出成形部10には制限溝11が設置されており、固定部50は制限溝11内に設置される。
【0056】
本実施例では、制限溝11は矩形溝であり、固定部50のセグメントの一部は制限溝11内に設置される。
【0057】
本出願では、上記のコイル部材であるコイル部材を含む電子膨張弁を更に提供する。
【0058】
図9に示すように、本出願の電子膨張弁は少なくともコイル部材及び弁体90を含む。コイル部材は、少なくとも、位置決め片と、巻線80と、回路基板40と、ステータプレート30と、ステータケース20と、ステータケース20を覆う導電しないモールドケース(射出成形部10)とを含む。コイル部材内部は、導電部60によりステータケース20を回路基板40に導電接触させる。この電子膨張弁の構造設計は、コイル内部のステータプレート30及びステータケース20がメタルドーム(導電部60)を介して回路基板40に導通することを確保できる。電子膨張弁の作動中、ステータプレート30とステータケース20の静電気は、回路基板で処理された後に接地され、これによって、コイルによって発生した静電気の他の部品への影響や、他の部品によって発生した静電気の電子膨張弁への影響を回避する。
【0059】
本出願で提供される電子膨張弁において、コイルのモールディングハウジングは一体射出成形であり、コイルに回路基板カバーケースが一体成形され、回路基板の取付キャビティ内に、ホールスイッチ固定部材(固定部50)を制限及び固定するための1つの制限溝11が設置され、ホールスイッチ固定部材に、ステータケース20と回路基板40とを導通するためのメタルドーム(導電部60)が装着される。ステータプレート30とステータケース20とは、一体に装着されて、良好な電気的接触を形成しているため、導電部60がその中の1つであるステータケース20と電気的接触を形成するとき、導電部60は、コイル内部の全てのステータプレート及びステータケースに電気的接触される。メタルドームにより、コイルにおけるステータプレート30とステータケース20の静電気は、回路基板40で処理された後に接地される。
【0060】
本出願で提供される電子膨張弁において、
図9に示すように、電子膨張弁は、ロータ部材100及びスピンドル部材110を更に含み、コイル部材は、回転磁界を発生させるために弁体90に嵌合され、ロータ部材100は弁体内に取り付けられ、スピンドル部材110は、上下に接続されるスクリュ部材111及びスピンドル112を含み、スピンドル部材110の上部は、ロータ部材100を貫通してそれに固定接続され、中間部には、ナット部材113がその外側を囲むように設置され、ナット部材113とスクリュ部材111とはネジ係合され、ナット部材113の外周には、スピンドルの上下ストロークを制御するためのストッパ部材が設置されている。通電時、ロータ部材100はコイル部材の駆動力を受けて回転し、ロータ部材100に固定接続されたスクリュ部材111を連動して共に回転させ、ナット部材113とスクリュ部材111との間のネジの嵌合作用で、スクリュ部材111は回転すると同時にナット部材113に対して上下動し、更にスピンドル112を連動して上下動させ、スピンドル112の開度調節を実現する。
【0061】
以上の説明から分かるように、本出願の上述の実施例は、以下の技術的効果を奏する。
【0062】
本出願のコイル部材は、導電部60によってステータケース20とステータプレート30の少なくとも一方と回路基板40との導電接続を実現し、即ち、ステータケース20及びステータプレート30によって発生した静電気を、導電部60によって回路基板40に送り込んで処理することができ、これによって、ステータケース20及びステータプレート30によって発生した静電気がコイル部材に影響を及ぼすことを回避し、従来の技術におけるステータプレートとステータケースによって発生した静電気を導出できないという問題を解決する。
【0063】
本出願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、類似した対象を区別するためのものであり、特定の順序又は前後の順序を説明するために用いられる必要はないことを留意されたい。このように用いられるデータは、必要に応じて、ここで説明する本出願の実施形態を、例えば、ここで図示又は説明した以外の順序で実施できるように、置き換えることができることを理解すべきである。更に、「含む」及び「有する」という用語、並びにそれらの任意の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品或いは装置は、必ずしも明示的に列挙されたそれらのステップ又はユニットに限定されず、明示的に列挙されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品或いは装置に固有のその他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0064】
説明の便宜上、ここでは「・・・の上に」、「・・・の上方に」、「・・・の上面に」、「上側の」等のような空間相対用語を用いて、図に示すような1つのデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間位置関係を説明することができる。空間相対用語は、デバイスの図に記載された方位以外の使用又は操作中の異なる方位を包含することを意図するものであることを理解すべきである。例えば、図面中のデバイスの上下が倒置されると、「他のデバイス又は構造の上方に」又は「他のデバイス又は構造の上に」と説明されたデバイスは、その後「他のデバイス又は構造の下方に」又は「他のデバイス又は構造の下に」と位置付けられることになる。よって、例示的な用語「・・・の上方に」は、「・・・の上方に」及び「・・・の下方に」の2つの方位を含むことができる。このデバイスは、他の異なる方法で位置付けし(90度回転又は他の方位に位置する)、且つここで用いられる空間の相対的な説明について対応する解釈をすることもできる。
【0065】
以上の説明は、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を限定するためのものではなく、当業者において本出願は様々な変更及び変化が可能である。本出願の主旨及び原則内でなされた任意の修正、同等の置換、改良等は、何れも本出願の保護範囲内に包含されるべきである。