(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】2次元光導波路、仮想及び実光波ビームコンバイナ、及びAR機器
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230208BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20230208BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/00 Z
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2021577383
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2020130321
(87)【国際公開番号】W WO2021120981
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】201911294198.8
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521565213
【氏名又は名称】ハンジョウ・グアングリ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,イーヂェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ダル
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジョーペング
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10345519(US,B1)
【文献】特表2017-528739(JP,A)
【文献】特開2003-279763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0132914(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111954989(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102018201525(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底と、入力結合格子と、出力結合格子と、を含む2次元光導波路であって、
前記基底の表面は、入力結合領域、屈折瞳孔拡張領域、及び出力結合領域が分割され、
前記屈折瞳孔拡張領域には、欠陥トラック及び少なくとも2つの欠陥ベルトが設置され、
前記欠陥トラックは、前記入力結合領域から、前記入力結合領域から離れた側に延び、
前記欠陥ベルトの一端は、前記欠陥トラックに接しており、
前記欠陥ベルトの他端は、前記出力結合領域まで延びており、
少なくとも2つの前記欠陥ベルトは、前記欠陥トラックの軸線に沿って分布しており、
前記屈折瞳孔拡張領域における隣接する前記欠陥ベルトの間、前記欠陥ベルトと前記欠陥トラックの間、前記欠陥ベルトと前記屈折瞳孔拡張領域のエッジの間、及び前記欠陥トラックと前記屈折瞳孔拡張領域のエッジの間は、フォトニック結晶領域であり、
前記フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラムが設置され、
前記散乱カラムの軸線は、前記屈折瞳孔拡張領域の表面に垂直であり、
前記入力結合格子は、前記入力結合領域の表面に位置し、
前記出力結合格子は前記出力結合領域の表面に位置する、
ことを特徴とする、2次元光導波路。
【請求項2】
前記欠陥トラックの幅は、前記入力結合領域から前記入力結合領域から離れた側に向かって、徐々に小さくなることを特徴とする、
請求項1に記載の2次元光導波路。
【請求項3】
前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のエッジ部に位置し、
前記欠陥トラックは、前記基底の表面の一方側のエッジ部から前記基底表面の他方側のエッジ部まで延びており、
前記出力結合領域は、前記欠陥トラックの軸線に対して対向して設置された第1の出力結合領域と第2の出力結合領域を含み、
前記欠陥ベルトは、第1の欠陥ベルトと第2の欠陥ベルトを含み、
前記第1の欠陥ベルトは、前記欠陥トラックから前記第1の出力結合領域まで延びており、
前記第2の欠陥ベルトは、前記欠陥トラックから前記第2の出力結合領域まで延びている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の2次元光導波路。
【請求項4】
前記欠陥ベルトは、前記欠陥トラックの軸線に垂直な直線型欠陥ベルト、前記欠陥トラック軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト、折れ線型欠陥ベルトのいずれか又は任意の組み合わせであることを特徴とする、
請求項3に記載の2次元光導波路。
【請求項5】
前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のエッジ部に位置し、
前記出力結合領域は、前記基底の表面の他方側に位置し、
前記欠陥トラックは、前記入力結合領域から前記出力結合領域まで延びており、
前記欠陥ベルトは、欠陥トラックの一方側に位置する第1の欠陥ベルト、及び欠陥トラックの他方側に位置する第2の欠陥ベルトを含み、
前記欠陥ベルトは折れ線型欠陥ベルトである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の2次元光導波路。
【請求項6】
前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、
前記出力結合領域は、前記欠陥トラックの片側に位置する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の2次元光導波路。
【請求項7】
前記欠陥ベルトは、前記欠陥トラックの軸線に垂直な直線型欠陥ベルト、前記欠陥トラック軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト、折れ線型欠陥ベルトのいずれか又は任意の組み合わせであることを特徴とする、
請求項6に記載の2次元光導波路。
【請求項8】
前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、
前記出力結合領域は、前記基底の表面の他方側に位置し、
前記欠陥トラックは、前記入力結合領域から前記出力結合領域まで延びており、
前記欠陥ベルトは、折れ線型欠陥ベルトである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の2次元光導波路。
【請求項9】
前記欠陥トラックの長さの値範囲は、5mmから50mmであり、端点値を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の2次元光導波路。
【請求項10】
前記欠陥ベルトの幅の値範囲は、0.1mmから5mmであり、端点値を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の2次元光導波路。
【請求項11】
前記出力結合領域は、前記屈折瞳孔拡張領域と重なることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか1項に記載の2次元光導波路。
【請求項12】
仮想及び実光波ビームコンバイナであって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の2次元光導波路を含むことを特徴とする、
仮想及び実光波ビームコンバイナ。
【請求項13】
AR機器であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の2次元光導波路を含むことを特徴とする、
AR機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月16日に中国専利局に提出された、出願番号が201911294198.8であって、発明の名称が「2次元光導波路、仮想及び実光波ビームコンバイナ、及びAR機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容を援用により本願に組み込む。
【0002】
本発明は、拡張現実技術の分野に関し、特に、2次元光導波路、仮想及び実光波ビームコンバイナ、及びAR機器に関する。
【背景技術】
【0003】
情報技術の高度な発展に伴い、拡張現実(Augmented Reality, AR)技術は既に徐々に人々に認識され、受け入れられ、関連する応用技術の開発と製品の研究開発が大きな注目を集める。現在、Apple、Microsoft、Google、Facebook、Huaweiなど、ますます多くのテクノロジージャイアントが買収、投資、自社開発を通じてAR業界に参入する。AR機器は、現実世界に仮想コンテンツを重ねて融合するため、人間の目は仮想画像情報と現実画像情報を同時に受け取ることができ、さらに、娯楽、教育、産業、交通、医療、観光などの幅広い産業に適用される。AR機器のコアコンポーネントは、仮想及び実光波ビームコンバイナ(Combiner)であり、その機能は、仮想画像を人間の目の網膜上に結像し、同時に現実世界の光を透過させて、仮想と現実を融合したAR表示を実現する。プリズム、ハーフミラー、自由曲面ミラー、アレイ導波路などの従来の幾何学的光学デバイスを採用してもよく、表面レリーフ光導波路、ホログラフィック光導波路などの回折光学デバイスを採用してもよい。回折光導波路ディスプレイ技術は、回折格子を利用して光の入射、屈折、及び出射を実現し、全反射の原理に基づいて光の伝送を実現し、コンパクトな構造と軽量なデバイスを実現でき、現在最も競争力のあるAR機器のコア光学デバイスである。
【0004】
現在、AR機器に適用される回折光導波路は、主に入力結合(in-coupling)領域、屈折瞳孔拡張領域、及び出力結合(out-coupling)領域に分けられ、光導波路基底ガラスの異なる領域に異なる格子を作成して、光の伝搬方向を制御する。入力結合領域は、面積が小さく、投写ビームの光導波路への結合を実現する。屈折瞳孔拡張領域は、面積が大きく、主に瞳孔拡張機能を実現する。出力結合領域は、最大の面積を持ち、光ビームの人間の目への出射を実現する。しかしながら、従来技術では、屈折瞳孔拡張効率が低く、結果として結像効率が低下する。従って、屈折瞳孔拡張効率の高い2次元光導波路を提供する方法は、当業者が解決すべき緊急の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、屈折瞳孔拡張効率の高い2次元光導波路を提供することであり、本発明は、屈折瞳孔拡張効率の高い仮想及び実光波ビームコンバイナ及びAR機器も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、基底、入力結合格子及び出力結合格子を含む2次元光導波路を提供し、
前記基底の表面は、入力結合領域、屈折瞳孔拡張領域、及び出力結合領域が分割され、前記屈折瞳孔拡張領域には欠陥トラック及び少なくとも2つの欠陥ベルトが設置され、前記欠陥トラックは、前記入力結合領域から、前記入力結合領域から離れた側に延び、前記欠陥ベルトの一端は前記欠陥トラックに接しており、前記欠陥ベルトの他端は前記出力結合領域まで延びており、少なくとも2つの前記欠陥ベルトは前記欠陥トラックの軸線に沿って分布しており、
前記屈折瞳孔拡張領域における隣接する前記欠陥ベルトの間、前記欠陥ベルトと前記欠陥トラックの間、前記欠陥ベルトと前記屈折瞳孔拡張領域のエッジの間、及び前記欠陥トラックと前記屈折瞳孔拡張領域のエッジの間はフォトニック結晶領域であり、前記フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラムが設置され、前記散乱カラムの軸線は、前記屈折瞳孔拡張領域の表面に垂直であり、
前記入力結合格子は前記入力結合領域の表面に位置し、前記出力結合格子は前記出力結合領域の表面に位置する。
【0007】
任意選択で、前記欠陥トラックの幅は、前記入力結合領域から、前記入力結合領域から離れた側に向かって、徐々に小さくなる。
【0008】
任意選択で、前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のエッジ部に位置し、前記欠陥トラックは、前記基底の表面の一方側のエッジ部から前記基底の表面の他方側のエッジ部まで延びており、前記出力結合領域は、前記欠陥トラックの軸線に対して対向して設置された第1の出力結合領域と第2の出力結合領域を含み、前記欠陥ベルトは、第1の欠陥ベルトと第2の欠陥ベルトを含み、前記第1の欠陥ベルトは前記欠陥トラックから前記第1の出力結合領域まで延びており、前記第2の欠陥ベルトは前記欠陥トラックから前記第2の出力結合領域まで延びている。
【0009】
任意選択で、前記欠陥ベルトは、前記欠陥トラックの軸線に垂直な直線型欠陥ベルト、前記欠陥トラック軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト、折れ線型欠陥ベルトのいずれか又は任意の組み合わせである。
【0010】
任意選択で、前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のエッジ部に位置し、前記出力結合領域は、前記基底の表面の他方側に位置し、前記欠陥トラックは前記入力結合領域から前記出力結合領域まで延びており、前記欠陥ベルトは、欠陥トラックの一方側に位置する第1の欠陥ベルト、及び欠陥トラックの他方側に位置する第2の欠陥ベルトを含み、前記欠陥ベルトは折れ線型欠陥ベルトである。
【0011】
任意選択で、前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、前記出力結合領域は、前記欠陥トラックの片側に位置する。
【0012】
任意選択で、前記欠陥ベルトは、前記欠陥トラックの軸線に垂直な直線型欠陥ベルト、前記欠陥トラック軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト、折れ線型欠陥ベルトのいずれか又は任意の組み合わせである。
【0013】
任意選択で、前記入力結合領域は、前記基底の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、前記出力結合領域は、前記基底の表面の他方側に位置し、前記欠陥トラックは前記入力結合領域から前記出力結合領域まで延びており、前記欠陥ベルトは折れ線型欠陥ベルトである。
【0014】
任意選択で、前記欠陥トラックの長さの値範囲は、5mmから50mmであり、端点値を含む。
【0015】
任意選択で、前記欠陥ベルトの幅の値範囲は、0.1mmから5mmであり、端点値を含む。
【0016】
任意選択で、前記出力結合領域は、前記屈折瞳孔拡張領域と重なる。
【0017】
本発明は、上記のいずれか1項に記載の2次元光導波路を含む仮想及び実光波ビームコンバイナをさらに提供する。
【0018】
本発明は、上記のいずれか1項に記載の2次元光導波路を含むAR機器をさらに提供する。
【0019】
本発明によって提供される2次元光導波路において、基底の表面は、入力結合領域、屈折瞳孔拡張領域、及び出力結合領域が分割され、屈折瞳孔拡張領域には欠陥トラック及び少なくとも2つの欠陥ベルトが設置され、欠陥トラックは、入力結合領域から、入力結合領域から離れた側に延び、欠陥ベルトの一端は欠陥トラックに接しており、欠陥ベルトの他端は出力結合領域まで延びており、少なくとも2つの欠陥ベルトは欠陥トラックの軸線に沿って分布しており、屈折瞳孔拡張領域における隣接する欠陥ベルトの間、欠陥ベルトと欠陥トラックの間、欠陥ベルトと屈折瞳孔拡張領域のエッジの間、及び欠陥トラックと屈折瞳孔拡張領域のエッジの間はフォトニック結晶領域であり、フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラムが設置され、散乱カラムの軸線は、屈折瞳孔拡張領域の表面に垂直である。
【0020】
フォトニック結晶の存在により、欠陥トラックと欠陥ベルトは、導光ブランチを形成し、入力結合領域から基底に伝送された光は、欠陥トラック及び欠陥ベルトを通って出力結合領域に伝送され、瞳孔拡張機能を実現する。フォトニック結晶は、光の伝搬を完全に阻止することができるため、光は、導光ブランチに沿って大きな角度で低損失で曲げられて伝送されることができ、それにより、2次元光導波路は、より高い屈折瞳孔拡張効率を有する。
【0021】
本発明はまた、仮想及び実光波ビームコンバイナ及びAR機器を提供し、これらも同様に上記の有益効果を有するので、ここでは繰り返さない。
【0022】
本発明の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例又は従来技術の説明に使用する必要のある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な作業なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例による2次元光導波路の概略構造図である。
【
図2】本発明の実施例による第1の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図3】本発明の実施例による第2の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図4】本発明の実施例による第3の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図5】本発明の実施例による第4の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図6】本発明の実施例による第5の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図7】本発明の実施例による第6の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【
図8】本発明の実施例による第7の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の核心は、2次元光導波路を提供することである。従来技術では、第1に、屈折瞳孔拡張領域において、導波路基板の表面に回折格子を作成して、遮光瞳孔拡張機能を実現するが、その屈折瞳孔拡張効率が低く、回折光導波路の全体の回折効率を大幅に低下させる。第2に、1次元格子構造では、屈折瞳孔拡張領域の回折格子は出力結合領域の回折格子と重なることができず、回折光導波路の表示領域の比率が制限される。第3に、回折格子は、反射又は透射の方式でのみ光路制御を提供できるため、回折光導波路の光路の設計の柔軟性と美観性が制限される。
【0025】
本発明によって提供される2次元光導波路において、基底の表面は、入力結合領域、屈折瞳孔拡張領域、及び出力結合領域が分割され、屈折瞳孔拡張領域には欠陥トラック及び少なくとも2つの欠陥ベルトが設置され、欠陥トラックは、入力結合領域から、入力結合領域から離れた側に延び、欠陥ベルトの一端は欠陥トラックに接しており、欠陥ベルトの他端は出力結合領域まで延びており、少なくとも2つの欠陥ベルトは欠陥トラックの軸線に沿って分布しており、屈折瞳孔拡張領域における隣接する欠陥ベルトの間、欠陥ベルトと欠陥トラックの間、欠陥ベルトと屈折瞳孔拡張領域のエッジの間、及び欠陥トラックと屈折瞳孔拡張領域のエッジの間はフォトニック結晶領域であり、フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラムが設置され、散乱カラムの軸線は、屈折瞳孔拡張領域の表面に垂直である。
【0026】
フォトニック結晶の存在により、欠陥トラックと欠陥ベルトは導光ブランチを形成し、入力結合領域から基底に伝送された光は、欠陥トラック及び欠陥ベルトを通って出力結合領域に伝送され、瞳孔拡張機能を実現する。フォトニック結晶は、光の伝搬を完全に阻止することができるため、光は、導光ブランチに沿って大きな角度で低損失で曲げられて伝送されることができ、それにより、2次元光導波路は、より高い屈折瞳孔拡張効率を有する。
【0027】
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるようにするために、以下では、添付の図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の実施例の一部に過ぎない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な作業なしに得た全ての他の実施例は、本出願の保護の範囲に属する。
【0028】
図1及び
図2を参照して、
図1は、本発明の実施例による2次元光導波路の概略構造図であり、
図2は、本発明の実施例による第1の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【0029】
図1を参照して、本発明の実施例では、2次元光導波路は、基底1、入力結合格子、及び出力結合格子を含む。前記基底1の表面は、入力結合領域2、屈折瞳孔拡張領域3、及び出力結合領域4が分割される。前記屈折瞳孔拡張領域3には、欠陥トラック31、及び少なくとも2つの欠陥ベルト32が設置され、前記欠陥トラック31は、前記入力結合領域2から、前記入力結合領域2から離れた側に延び、前記欠陥ベルト32の一端は前記欠陥トラック31に接しており、前記欠陥ベルト32の他端は前記出力結合領域4まで延びており、少なくとも2つの前記欠陥ベルト32は前記欠陥トラック31の軸線に沿って分布している。前記屈折瞳孔拡張領域3における隣接する前記欠陥ベルト32の間、前記欠陥ベルト32と前記欠陥トラック31の間、前記欠陥ベルト32と前記屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間、及び前記欠陥トラック31と前記屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間はフォトニック結晶領域であり、前記フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラム33が設置され、前記散乱カラム33の軸線は、前記屈折瞳孔拡張領域3の表面に垂直である。前記入力結合格子は、前記入力結合領域2の表面に位置し、前記出力結合格子は、前記出力結合領域4の表面に位置する。
【0030】
上記の基底1は、2次元光導波路の主な構成であり、本発明の実施例において、当該基底1は、通常、シート状である。基底1の具体的な材質については、先行技術を参照することができ、ここでは繰り返さない。外部光は、入力結合領域2から基底1に伝送し、屈折瞳孔拡張領域3を通って瞳孔拡張伝送が実行された後、出力結合領域4から基底1の外に伝送する。なお、上記の入力結合領域2、屈折瞳孔拡張領域3、及び出力結合領域4は、通常、基底1の同じ表面に位置する。
【0031】
上記の入力結合領域2の表面に入力結合格子が設置され、出力結合領域4の表面に出力結合格子が設置され、外部光は、入力結合格子を介して基底1に伝送し、対応する屈折瞳孔拡張領域3を通って瞳孔拡張された光は、出力結合格子を介して2次元光導波路の外に伝送する。入力結合格子及び出力結合格子の具体的な構造については、先行技術を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0032】
上記の屈折瞳孔拡張領域3において、さらに、欠陥トラック31、欠陥ベルト32、及びフォトニック結晶領域が分割される。通常、屈折瞳孔拡張領域3には1つの欠陥トラック31のみが設置され、当該欠陥トラック31の一端は入力結合領域2に接しており、入力結合領域2から、基底1の表面の入力結合領域2から離れた側に延びる。これに対応して、外部光は、まず、入力結合領域2から、欠陥トラック31に沿って外側に延びる。なお、入力結合領域2から基底1に伝送する光が欠陥トラック31に完全に伝送できることを保証するために、入力結合領域2に接する上記の欠陥トラック31の端部の幅は、通常、入力結合領域2の幅と同じである。具体的に、上記の入力結合領域2の幅の値は、通常、1mmから20mmの間であり、端点値を含む。これに対応して、入力結合領域2に接する上記の欠陥トラック31の端部の幅の値は、通常、1mmから20mmの間であり、端点値を含む。具体的に、本発明の実施例では、上記の欠陥トラック31の長さの値範囲は、通常、5mmから50mmであり、端点値を含み、ユーザーの着用習慣に適合する。
【0033】
上記の屈折瞳孔拡張領域3には少なくとも2つの欠陥ベルト32が設置され、当該欠陥ベルト32の一端は欠陥トラック31に接しており、欠陥ベルト32の他端は出力結合領域4まで延びて出力結合領域4に接することで、欠陥ベルト32は、具体的に、欠陥トラック31で伝送される光を拡散し、具体的に出力結合領域4に伝送するために使用される。上記の欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の軸線に沿って分布する必要があり、通常の場合、欠陥ベルト32の軸線は、欠陥トラック31の軸線に対して一定の角度をなし、光が欠陥トラック31から欠陥ベルト32に入射する場合、瞳孔拡張機能を実現するために、通常、大きな角度で回転する。なお、上記の欠陥ベルト32は、通常、欠陥トラック31の同じ側又は両側に位置する。光が欠陥トラック31に沿って入力結合領域2から、入力結合領域2から離れた側へ延びる場合、異なるパワーの光が具体的に対応する欠陥ベルト32に伝送して瞳孔拡張機能を実現する。即ち、異なる欠陥ベルト32で伝送される光に対応するパワーは通常異なる。同時に、屈折瞳孔拡張領域3の設置を容易にするために、欠陥トラック31の同じ側に位置する欠陥ベルト32は、通常、互いに平行である。
【0034】
上記の屈折瞳孔拡張領域3にはフォトニック結晶領域が設置される。具体的に、屈折瞳孔拡張領域3における隣接する欠陥ベルト32間、欠陥ベルト32と欠陥トラック31の間、欠陥ベルト32と屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間、及び欠陥トラック31と屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間は、フォトニック結晶領域である。即ち、上記の屈折瞳孔拡張領域3において、欠陥ベルト32及び欠陥トラック31以外の領域は、通常、フォトニック結晶領域である。なお、本発明の実施例において、欠陥トラック31及び欠陥ベルト32は、通常、フォトニック結晶領域の異なる分割によって形成される。即ち、欠陥トラック31を形成するために、欠陥トラック31の軸線の両側にフォトニック結晶領域を設置する必要がある。同時に、欠陥ベルト32を形成するために、欠陥ベルト32軸線の両側にフォトニック結晶領域を設置する必要がある。具体的に、本発明の実施例において、上記の欠陥ベルト32の幅の値範囲は、通常、光の瞳孔拡張領域が有効な瞳孔拡張機能を有することを保証するために、0.1mmから5mmであり、端点値を含む。
【0035】
本発明の実施例では、上記のフォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラム33が設置され、散乱カラム33の軸線は、屈折瞳孔拡張領域3の表面に垂直である。散乱カラム33の設置により、フォトニック結晶領域にフォトニック結晶を形成し、即ち、上記の散乱カラム33の屈折率は基底1の屈折率と異なり、散乱カラム33は、フォトニック結晶領域に周期的かつ規則的に分布して、フォトニック結晶を形成する。なお、上記の散乱カラム33は、屈折瞳孔拡張領域3の表面に垂直な方向に設置され、これにより、フォトニック結晶が、出力結合領域4から入射した光が欠陥トラック31及び欠陥ベルト32に沿って伝送するのを制限できることが保証される。
【0036】
本発明の実施例において、散乱カラム33の具体的な形状について、特に限定されず、当該散乱カラム33は、状況に応じて、具体的に、円柱、三角柱、直方体などとすることができる。同時に、本発明の実施例において、隣接する散乱カラム33間の分布の形状について、同様に特に限定されず、隣接する散乱カラム33の間は、正三角形、正方形、又は長方形に配列することができるが、本発明の実施例において、特に限定されない。通常の場合に、本発明の実施例において、散乱カラム33は気柱であり、即ち、当該フォトニック結晶は、通常、基底1の表面のフォトニック結晶領域に小さな穴をエッチングすることによって形成される。もちろん、本発明の実施例において、散乱カラム33の材質は、特に限定されず、具体的な状況に応じて設定する。もちろん、散乱カラム33の屈折率、サイズ、散乱カラム33間の間隔及び配列方式、ならびに散乱カラム33及び基底1の屈折率などのパラメータは共に、フォトニック結晶が制限できる光の波長範囲を決定する。従って、特定の波長の光が本発明の実施例で提供される2次元光導波路において伝送されることを保証するために、散乱カラム33の屈折率は一定の制約条件を満たす必要がある。
【0037】
本発明の実施例では、フォトニック結晶は、作動波長内の光に対してフォトニックバンドギャップ効果を有するので、光が欠陥トラック31及び欠陥ベルト32に沿ってのみ伝送できることが保証される。欠陥トラック31の軸線方向に関して、異なる機能の光が対応する欠陥ベルト32で伝送されて、瞳孔拡張機能を実現する。なお、ビームパワー比を実現するための成熟した方法は、欠陥ベルト32の幅の制御、欠陥トラック31及び欠陥ベルト32の間の境界における散乱カラム33の調整などを含む。本開示は、ビームパワー比の方法を限定しない。
【0038】
好ましくは、本発明の実施例では、前記欠陥トラック31の幅は、前記入力結合領域2から、前記入力結合領域2から離れた側に向かって徐々に小さくなり、即ち、上記の欠陥トラック31の幅は、光伝送方向に沿って徐々に小さくなる。欠陥トラック31を上記の構造に設置することにより、できるだけ多くの光が欠陥ベルト32に伝送されて、最終的にできるだけ多くの光が出力結合領域4に伝送されることを保証することができる。欠陥トラック31の具体的な幅のパラメータは、実際の状況に応じて設定することができる。本発明の実施例において、特に限定されない。
【0039】
図2を参照して、好ましくは、本発明の実施例では、前記出力結合領域4は、前記屈折瞳孔拡張領域3と重なる。この場合、出力結合領域4の表面に設置された出力結合格子は、
図2の紙面に垂直な方向に屈折瞳孔拡張領域3をカバーし、通常、具体的には、屈折瞳孔拡張領域3における欠陥トラック31の片側の欠陥ベルト32及びフォトニック結晶領域をカバーする。即ち、上記の出力結合格子は、屈折瞳孔拡張領域3から欠陥トラック31まで延びる領域を具体的にカバーしている。もちろん、上記の出力結合格子は、欠陥トラック31をカバーすることもでき、具体的な状況に応じて設定する。ここで、特に限定されない。出力結合領域4を屈折瞳孔拡張領域3に重ねることにより、出力結合領域4の面積の割合を大幅に増やすことができる。
【0040】
本発明の実施例によって提供される2次元光導波路において、基底1の表面は、入力結合領域2、屈折瞳孔拡張領域3、及び出力結合領域4が分割される。屈折瞳孔拡張領域3には、欠陥トラック31、及び少なくとも2つの欠陥ベルト32が設置され、欠陥トラック31が入力結合領域2から、入力結合領域2から離れた側へ延び、欠陥ベルト32の一端は欠陥トラック31に接しており、欠陥ベルト32の他端は出力結合領域4まで延びており、少なくとも2つの欠陥ベルト32は欠陥トラック31の軸線に沿って分布しており、屈折瞳孔拡張領域3における隣接する欠陥ベルト32の間、欠陥ベルト32と欠陥トラック31との間、欠陥ベルト32と屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間、及び欠陥トラック31と屈折瞳孔拡張領域3のエッジの間はフォトニック結晶領域であり、フォトニック結晶領域には、フォトニック結晶を形成するために、複数の散乱カラム33が設置され、散乱カラム33の軸線は、屈折瞳孔拡張領域3の表面に垂直である。
【0041】
フォトニック結晶の存在により、欠陥トラック31と欠陥ベルト32は、導光ブランチを構成し、入力結合領域2から基底1に伝送される光は、欠陥トラック31及び欠陥ベルト32を通って出力結合領域4に伝送して、瞳孔拡張機能を実現する。フォトニック結晶は、光の伝搬を完全に阻止することができるので、光は、導光ブランチに沿って大きな角度で低損失で曲げられて伝送されることができ、これにより、2次元光導波路は、より高い屈折瞳孔拡張効率を有する。
【0042】
本発明によって提供される2次元光導波路の具体的な構造について、後述する発明実施例では、詳細に紹介する。
【0043】
図3及び
図4を参照して、
図3は、本発明の実施例による第2の具体的な2次元光導波路の概略構造図であり、
図4は、本発明の実施例による第3の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【0044】
上記の発明実施例とは異なり、本発明の実施例は、上記の発明実施例に基づいて、さらに2次元光導波路の構造を具体的に限定する。他の内容は、既に上記の発明実施例で詳細に紹介されており、ここでは繰り返さない。
【0045】
図3及び
図4を参照して、本発明の実施例では、前記入力結合領域2は、前記基底1の表面の一方側のエッジ部に位置し、前記欠陥トラック31は、前記基底1の表面の一方側のエッジ部から前記基底1の表面の他方側のエッジ部まで延びており、前記出力結合領域4は、前記欠陥トラック31の軸線に対して対向して設置される第1の出力結合領域41及び第2の出力結合領域42を含み、前記欠陥ベルト32は第1の欠陥ベルト321及び第2の欠陥ベルト322を含み、前記第1の欠陥ベルト321は前記欠陥トラック31から前記第1の出力結合領域41まで延びており、前記第2の欠陥ベルト322は前記欠陥トラック31から前記第2の出力結合領域42まで延びる。
【0046】
まず、入力結合領域2は、通常、本発明の実施例によって提供される2次元光導波路に基づくAR機器などの画像の表示を容易にするために、基底1の表面のエッジ部に位置する。本発明の実施例では、入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のエッジ部に位置し、通常、当該入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のエッジ部の中央領域に位置する。上記の欠陥トラック31は、基底1の表面の一方側のエッジ部、即ち、入力結合領域2から、基底1の表面の他方側のエッジ部まで延びているため、光は基底1の表面の一方側のエッジ部から他方側のエッジ部まで延びる。
【0047】
上記の出力結合領域4は、第1の出力結合領域41及び第2の出力結合領域42を含み、当該第1の出力結合領域41及び第2の出力結合領域42は、欠陥トラック31の軸線に対して対向して設置され、即ち、入力結合領域2が基底1の表面の左側に位置する場合、欠陥トラック31は左側から右側に延びることになり、上記の第1の出力結合領域41は、通常、基底1の表面の上側に位置し、第2の出力結合領域42は、通常、基底1の表面の下側に位置する。これに対応して、上記の欠陥ベルト32は、第1の欠陥ベルト321及び第2の欠陥ベルト322を含み、第1の欠陥ベルト321は、欠陥トラック31から第1の出力結合領域41まで延びて、光の一部を第1の出力結合領域41に伝送して結像させ、第2の欠陥ベルト322は、欠陥トラック31から第2の出力結合領域42まで延びて、光の一部を第2の出力結合領域42に伝送して結像させる。
【0048】
本発明の実施例では、第1の欠陥ベルト321、第2の欠陥ベルト322、第1の出力結合領域41、及び第2の出力結合領域42の設置により、入力結合領域2から伝送された光を両側に伝送させて、1つの画像を表示する。具体的に、上記の欠陥ベルト32は、前記欠陥トラック31の軸線に垂直な直線型欠陥ベルト32、前記欠陥トラック31の軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト32、折れ線型欠陥ベルト32のいずれか又は任意の組み合わせである。上記の欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の軸線を中心とし、欠陥トラック31の軸線に垂直な方向に延びることで、直線型欠陥ベルト32を形成することができる。上記の欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の軸線を中心として、斜線に沿って延びることで、斜線型欠陥ベルト32を形成してもよい。上記の欠陥ベルト32は、光を出力結合領域4に伝送させる折れ線型欠陥ベルト32であってもよい。もちろん、本発明の実施例において、欠陥ベルト32の具体的な形状について、特に限定されず、具体的な状況に応じて設定する。
【0049】
なお、本発明の実施例において、入力結合領域2は、光が水平方向に伝送されるように、基底1の表面の左側又は右側に位置してもよい。入力結合領域2は、光が垂直方向に伝送されるように、基底1の表面の上側又は下側に位置してもよい。本発明の実施例において、特に限定されない。
【0050】
本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、入力結合領域2が2次元光導波路の中心軸付近に位置するので、両側のテンプルにプロジェクターが設置されたARメガネに適しており、既存のメガネの形に非常にマッチし、メガネの形をデザインする必要がなく、適用性が広く、汎用性が強い。
【0051】
本発明によって提供される2次元光導波路の具体的な構造について、以下の発明の実施例において詳細に紹介する。
【0052】
図5を参照して、
図5は、本発明の実施例による第4の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【0053】
上記の発明実施例とは異なり、本発明の実施例は上記の発明実施例に基づいて、さらに2次元光導波路の構造を具体的に限定する。他の内容は、既に上記の発明実施例で詳細に紹介されており、ここでは繰り返さない。
【0054】
図5を参照して、本発明の実施例では、前記入力結合領域2は、前記基底1の表面の一方側のエッジ部に位置し、前記出力結合領域4は、前記基底1の表面の他方側に位置し、前記欠陥トラック31は、前記入力結合領域2から前記出力結合領域4まで延びる。前記欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の一方側に位置する第1の欠陥ベルト321、及び欠陥トラック31の他方側に位置する第2の欠陥ベルト322を含み、前記欠陥ベルト32は、折れ線型欠陥ベルト32である。
【0055】
上記の入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のエッジ部に位置し、出力結合領域4は、前記基底1の表面の他方側に位置する。即ち、入力結合領域2と出力結合領域4は、基底1の表面に対向して設置される。この場合、上記の欠陥トラック31は、入力結合領域2から出力結合領域4まで延びており、上記の欠陥ベルト32は、折れ線状欠陥ベルト32であり、当該欠陥ベルト32の一端は欠陥トラック31に接しており、欠陥ベルト32は出力結合領域4に向かって折り曲げられ、最終的に出力結合領域4まで延びて、光を出力結合領域4に伝送する。
【0056】
具体的に、上記の欠陥ベルト32は、第1の欠陥ベルト321と第2の欠陥ベルト322を含み、第1の欠陥ベルト321と第2の欠陥ベルト322は、欠陥ベルト32の両側にそれぞれ位置し、欠陥トラック31の両側から出力結合領域4に光を伝送する。
【0057】
なお、本発明の実施例において、入力結合領域2は、光が水平方向に伝送されるように、基底1の表面の左側又は右側に位置してもよい。入力結合領域2は、光が垂直方向に伝送されるように、基底1の表面の上側又は下側に位置してもよい。本発明の実施例において、特に限定されない。
【0058】
本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、入力結合領域2が2次元光導波路の中心軸付近に位置するので、両側のテンプルにプロジェクターが設置されたARメガネに適しており、既存のメガネの形に非常にマッチし、メガネの形をデザインする必要がなく、適用性が広く、汎用性が強い。
【0059】
本発明によって提供される2次元光導波路の具体的な構造について、以下の発明実施例において詳細に紹介する。
【0060】
図6及び
図7を参照して、
図6は、本発明の実施例による第5の具体的な2次元光導波路の概略構造図であり、
図7は、本発明の実施例による第6の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【0061】
上記の発明実施例とは異なり、本発明の実施例は上記の発明実施例に基づいて、さらに2次元光導波路の構造を具体的に限定する。他の内容は、既に上記の発明実施例で詳細に紹介されており、ここでは繰り返さない。
【0062】
図6及び
図7を参照して、本発明の実施例では、前記入力結合領域2は、前記基底1の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、前記出力結合領域4は、前記欠陥トラック31の片側に位置する。
【0063】
上記の基底1は、通常、長方形又は角丸長方形などの長方形に類似する形状である。この場合、基底1のエッジ部は、具体的に、四隅に位置するコーナーエッジ部を含む。本発明の実施例では、入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置する。これに対応して、上記の欠陥トラック31は、基底1の表面の一方側の辺に沿って延びる。この場合、上記の入力結合領域2は、通常、欠陥トラック31の片側にのみ設置される。この場合、欠陥ベルト32は、光を入力結合領域2に伝送して結像させるように、欠陥トラック31から入力結合領域2まで延びる。この場合、上記の入力結合領域2及び欠陥トラック31は、通常、AR機器の視野のエッジに位置するので、本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、ユーザーの視線に影響を与えない。
【0064】
具体的に、上記の欠陥ベルト32は、前記欠陥トラック31の軸線に垂直な直線型欠陥ベルト32、前記欠陥トラック31の軸線に垂直でない斜線型欠陥ベルト32、折れ線型欠陥ベルト32のいずれか又は任意の組み合わせである。上記の欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の軸線を中心として、欠陥トラック31の軸線に垂直な方向に延びることで、直線型欠陥ベルト32を形成してもよい。上記の欠陥ベルト32は、欠陥トラック31の軸線を中心として、斜線に沿って延びることで、斜線型欠陥ベルト32を形成してもよい。上記の欠陥ベルト32は、光を出力結合領域4に伝送するように、折れ線型欠陥ベルト32であってもよい。もちろん、本発明の実施例において、欠陥ベルト32の具体的な形状について、特に限定されず、具体的な状況に応じて設定する。
【0065】
なお、本発明の実施例において、光は水平方向又は垂直方向に伝送することができ、本発明の実施例において、特に限定されない。
【0066】
本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、入力結合領域2が屈折瞳孔拡張領域3の片側に設置され、欠陥トラック31が基底1の一方側の辺に沿って延びるので、プロジェクターはメガネの両側のテンプル又はレンズの上部に設置されることができ、既存のメガネの形に非常にマッチし、メガネの形をデザインする必要がなく、適用性が広く、汎用性が強い。
【0067】
本発明によって提供される2次元光導波路の具体的な構造について、以下の発明実施例において詳細に紹介する。
【0068】
図8を参照して、
図8は、本発明の実施例による第7の具体的な2次元光導波路の概略構造図である。
【0069】
上記の発明実施例とは異なり、本発明の実施例は上記の発明実施例に基づいて、さらに2次元光導波路の構造を具体的に限定する。他の内容は、既に上記の発明実施例で詳細に紹介されており、ここでは繰り返さない。
【0070】
図8を参照して、本発明の実施例では、前記入力結合領域2は、前記基底1の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、前記出力結合領域4は、前記基底1の表面の他方側に位置し、前記欠陥トラック31は、前記入力結合領域2から前記出力結合領域4まで延びており、前記欠陥ベルト32は、折れ線型欠陥ベルト32である。
【0071】
上記の基底1は、通常、長方形又は角丸長方形などの長方形に類似する形状である。この場合、基底1のエッジ部は、具体的に、四隅に位置するコーナーエッジ部を含む。本発明の実施例では、入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置する。これに対応して、上記の欠陥トラック31は、基底1の表面の一方側の辺に沿って延びる。本発明の実施例では、入力結合領域2は、基底1の表面の一方側のコーナーエッジ部に位置し、出力結合領域4は、上記の基底1の表面の他方側に位置する。即ち、入力結合領域2と出力結合領域4は、基底1の表面に対向して設置される。この場合、上記の欠陥トラック31は、入力結合領域2から出力結合領域4まで延びており、上記の欠陥ベルト32は、折れ線状欠陥ベルト32であり、当該欠陥ベルト32の一端は欠陥トラック31に接しており、欠陥ベルト32は出力結合領域4に向かって折り曲げられ、最終的に出力結合領域4まで延びて、出力結合領域4に光を伝送する。本発明の実施例では、上記の入力結合領域2及び欠陥トラック31は、通常、AR機器の視野のエッジに位置するので、本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、ユーザーの視線に影響を与えない。
【0072】
なお、本発明の実施例において、光は水平方向又は垂直方向に伝送することができ、本発明の実施例において、特に限定されない。
【0073】
本発明の実施例によって提供される2次元光導波路は、入力結合領域2が屈折瞳孔拡張領域3の片側に設置され、欠陥トラック31が基底1の一方側の辺に沿って延びるので、プロジェクターはメガネの両側のテンプル又はレンズの上部に設置されることができ、既存のメガネの形に非常にマッチし、メガネの形をデザインする必要がなく、適用性が広く、汎用性が強い。
【0074】
以下、具体的な2次元光導波路を提供する。本発明の実施例では、基底1の表面は、入力結合領域2、屈折瞳孔拡張領域3、及び出力結合領域4が分割される。入力結合領域2は、屈折瞳孔拡張領域3の左側に設置され、2次元光導波路の平面の入力結合領域2に垂直に入射するビームは、導波シート内を入力結合領域2から右に伝送するビームとなる。屈折瞳孔拡張領域3には、予め設定された構造のフォトニック結晶が設置され、フォトニック結晶は、導波路平面上に特別に配置された一連の円筒状の空気柱であり、孔型は水平ラインアレイ分布であり、フォトニック結晶構造は、導波路面の垂直方向に導波路の厚さに等しい一様な構造である。屈折瞳孔拡張領域3は、左から右に向かって幅が徐々に小さくなる欠陥トラック31を示し、欠陥トラック31は、左から右に向かって、下に向かって少なくとも2つの欠陥ベルト32を導き、前記欠陥ベルト32は斜線型である。このような欠陥トラック31と欠陥ベルト32は導光の役割を果たし、屈折瞳孔拡張領域3において左から右に伝送するビームは、特定のパワーに応じて光の一部を欠陥ベルト32に分割することで、ビーム全体の連続的な下向きの伝搬を実現する。欠陥トラック31と空気柱の幅を設計することにより、欠陥トラック31上の光は各サブ欠陥ベルト32に分割される。本実施例では、欠陥トラック31は、10本の下向きの欠陥ベルト32を導出する。本実施例では、光波の波長は640nmであり、2次元光導波路の材質は比誘電率20のポリマーを使用し、屈折瞳孔拡張領域3の孔のデューティー比は0.492であり、計算とシミュレーションにより、分割比は75:1.5である。欠陥トラック31の幅は、入力結合領域2と同じ5mmであり、欠陥トラック31の長さは、出力結合領域4と同じ30mmであり、欠陥ベルト32の幅は、5mmであり、屈折瞳孔拡張領域3の全幅範囲は、40mmであり、出力結合領域4は屈折瞳孔拡張領域3と重なっている。
【0075】
以下、本発明によって提供される仮想及び実光波ビームコンバイナを紹介するが、後述する仮想及び実光波ビームコンバイナと上述した2次元光導波路の構造は相互に参照することができる。
【0076】
本発明の実施例によって提供される仮想及び実光波ビームコンバイナは、上記の発明実施例のいずれかによって提供される2次元光導波路を含み、通常、前記2次元光導波路の表面に位置する保護ガラスと、前記2次元光導波路に光通信で接続された色変換デバイスも含む。保護ガラス及び色変換デバイスの具体的な構造について、先行技術を参照することができ、ここでは繰り返さない。なお、本開示は、光導波路保護ガラス、色変換デバイスなどを特に限定しなく、仮想及び実光波ビームコンバイナ(Combiner)も特に限定しなく、本発明で開示した2次元光導波路を含む仮想及び実光波ビームコンバイナ(Combiner)であればよい。他の内容については、先行技術を参照することができ、ここではこれ以上の説明は行わない。
【0077】
以下、本発明によって提供されるAR機器を紹介するが、後述するAR機器と上述した2次元光導波路の構造は相互に参照することができる。
【0078】
本発明の実施例によって提供されるAR機器は、上記の発明実施例のいずれかに記載の2次元光導波路を含み、通常、投写表示モジュール、計算モジュール、及び感知モジュールも含む。前記感知モジュールは、方位情報を取得するために使用され、前記計算モジュールは、方位情報に従って投写表示モジュールにおける画像ソースを制御して、対応する画像を生成するために使用され、前記画像は、前記入力結合格子を介して前記入力結合領域2に伝送される。
【0079】
上記の感知モジュールは、方位情報を感知するために使用され、計算モジュールは、方位情報に従って投写表示モジュールにおける画像ソースを制御して、対応する画像を生成するために使用され、当該画像は、入力結合格子を介して入力結合領域2に伝送される。もちろん、上記の感知モジュールには、通常、カメラ、IMU(慣性計測ユニット)、その他のセンサーなど、異なるパラメータを測定するための多くのデバイスが含まれる。感知モジュールの具体的な構成及び具体的なプロセスは、実際の状況に応じて設定することができ、特に限定するものではない。なお、本発明の実施例は、投写表示ユニットにおける画像ソースを特に限定しないが、好ましくは、当該投写表示ユニットにおける画像ソースは、LCoS、DMD、OLED、microLED、LBSのうちのいずれか1つ又は複数であってもよく、前記画像ソースに対応する光学設計と光学伝達プリズムが装備されており、拡大された画像を導波路入力結合領域2に入力する。
【0080】
なお、本開示は、AR機器を特に限定しないが、好ましくは、前記AR機器は、ARメガネ、ARヘルメットデバイス、及びARヘッドアップディスプレイ(HUD)のうちのいずれか1つ又は複数である。
【0081】
本明細書における各実施例は漸進的に説明され、各実施例では、主に他の実施例との相違点を説明し、各実施例間の同一又は類似の部分は互いに参照すればよい。
【0082】
専門家は、本明細書に開示されている実施例で説明した例のユニット及びアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はその2つの組み合わせによって実現できることをさらに理解することができる。ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記の説明では、各実施例の構成及びステップは、機能の観点から一般的に説明された。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアで実行されるかは、技術案の特定の応用と設計制約条件によって決まる。専門家は、特定の応用ごとに異なる方法を使用して、説明された機能を実現することができるが、そのような実現は、本発明の範囲を超えると考えるべきではない。
【0083】
本明細書に開示されている実施例で説明した方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又はその2つの組み合わせによって直接実施することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内部メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的にプログラマブルROM、電気的に消去可能なプログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に配置することができる。
【0084】
最後に、本明細書では、例えば、第1及び第2などの関係用語は、あるエンティティ又は動作を他のエンティティ又は動作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティ又は動作の間に任意のこのような実際の関係又は順序が存在することは、必ずしも必要又は暗示されるものではない。また、「含む」及び「有する」という用語及びそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。一連の要素を含むプロセス、方法、製品、又はデバイスは、それらの要素だけでなく、明示的に記載されていない他の要素、又はプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有の要素も含まれる。これ以上の制限がない場合、「・・・を含む」という文で定義された要素は、その要素を含む手順、方法、製品又はデバイスに他の同一の要素があることを除外するものではない。
【0085】
以上、本発明によって提供される2次元光導波路、仮想及び実光波ビームコンバイナ、及びAR機器について詳細に紹介した。本明細書では、具体的な例を適用して、本発明の原理及び実施形態を説明した。以上の実施例の説明は、本発明の方法とコアアイデアの理解を助けるためにのみ使用される。なお、当業者にとって、本出願の原理から逸脱することなく、本発明に若干の改善及び修正を加えることができ、これらの改善及び修正も本発明の請求項の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…基底
2…入力結合領域
3…屈折瞳孔拡張領域
31…欠陥トラック
32…欠陥ベルト
321…第1の欠陥ベルト
322…第2の欠陥ベルト
33…散乱カラム
4…出力結合領域
41…第1の出力結合領域
42…第2の出力結合領域。