(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】メータ読取装置、メータ読取方法、及びメータ読取プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/63 20230101AFI20230208BHJP
G06V 10/772 20220101ALI20230208BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20230208BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230208BHJP
【FI】
H04N5/232 935
G06V10/772
G08C19/00 301B
G06T7/00 300E
H04N5/232 945
(21)【出願番号】P 2022156402
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594191434
【氏名又は名称】東朋テクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000181
【氏名又は名称】岩崎通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 正仁
(72)【発明者】
【氏名】永井 康宏
(72)【発明者】
【氏名】森田 吏貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】本吉 智之
(72)【発明者】
【氏名】新倉 魁
(72)【発明者】
【氏名】三浦 良輔
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 由雅
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-090421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0169593(US,A1)
【文献】特開2014-032039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G06T 7/00
G06V 10/772
G08C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示部と、メータを撮像可能な撮像部と、を有するモバイル機器と、
予め設定された画像であって読取対象となるメータの少なくとも外形を含む画像である基準画像を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から前記メータの前記基準画像を取得する取得処理を実行可能な取得処理部と、
前記取得処理によって取得した前記基準画像と、前記撮像部が現在撮像している前記メータの画像である撮像画像とを重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理を実行可能な表示処理部と、
前記撮像画像を画像解析して当該メータが示す数値を読み取る読取処理を実行可能な画像処理部と、
前記撮像部で撮像した前記メータの画像を前記基準画像として設定し前記記憶装置に記憶させる設定処理を実行可能な設定処理部と、を備え、
前記設定処理は、前記基準画像に対して前記画像解析から除外する領域である除外領域を設定する処理を含む、
メータ読取装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記基準画像と前記撮像画像とが所定以上の割合で一致した場合に自動で前記読取処理を実行する、
請求項1に記載のメータ読取装置。
【請求項3】
前記設定処理は、前記記憶装置に記憶されている前記基準画像を特定するための特定情報を含む二次元コードを生成する処理を含み、
前記取得処理は、前記撮像部で撮像した前記二次元コードに含まれる前記特定情報に基づいて前記メータの前記基準画像を特定し取得する処理を含む、
請求項1に記載のメータ読取装置。
【請求項4】
画像を表示可能な表示部と、メータを撮像可能な撮像部と、を有するモバイル機器と、
予め設定された画像であって読取対象となるメータの少なくとも外形を含む画像である基準画像を記憶する記憶装置と、
を用いて前記メータが示す数値を読み取る方法であって、
前記記憶装置から前記メータの前記基準画像を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得した前記基準画像と、前記撮像部が現在撮像している前記メータの画像である撮像画像とを重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理と、
前記撮像画像を画像解析して当該メータが示す数値を読み取る読取処理と、
前記撮像部で撮像した前記メータの画像を前記基準画像として設定し前記記憶装置に記憶させる処理であって、前記基準画像に対して前記画像解析から除外する領域である除外領域を設定する処理を含む設定処理と、
を含むメータ読取方法。
【請求項5】
画像を表示可能な表示部と、メータを撮像可能な撮像部と、予め設定された画像であって読取対象となるメータの少なくとも外形を含む画像である基準画像を記憶する記憶装置と、を制御するコンピュータに、
前記記憶装置から前記メータの前記基準画像を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得した前記基準画像と、前記撮像部が現在撮像している前記メータの画像である撮像画像とを重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理と、
前記撮像画像を画像解析して当該メータが示す数値を読み取る読取処理と、
前記撮像部で撮像した前記メータの画像を前記基準画像として設定し前記記憶装置に記憶させる処理であって、前記基準画像に対して前記画像解析から除外する領域である除外領域を設定する処理を含む設定処理と、
を実行させるためのメータ読取プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メータ読取装置、メータ読取方法、及びメータ読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工場等に設置されている設備のメータを検針するものとして、対象となるメータ付近に固定されたカメラで定期的にメータを撮像し、その撮像したメータの画像を画像解析することでメータの値を読み取る技術が知られている。しかし、このような固定のカメラを用いたいわゆる定点観測では、1台のカメラで1台のメータしか読み取ることができない。そのため、対象となるメータの台数が増えると、メータの台数に応じて必要なカメラの台数も増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メータの台数の増加に伴ってカメラの台数が増加することを抑制するため、カメラを内蔵しているスマートフォンやタブレット等のモバイル機器を用いて、1台のモバイル機器で複数台のメータの読み取りを行うことが考えられる。しかし、モバイル機器を使用してメータを撮像する場合、厳密に以前と同じ位置から撮像することは困難である。これは、モバイル機器自体がユーザの手で持たれることを前提としているからである。
【0005】
すなわち、同一のユーザが毎回同じように撮像したとしても、同じ立ち位置やモバイル機器の持ち方を完全に再現することは困難である。また、モバイル機器を操作するユーザが代わるとユーザの身長も変わるため、撮像時のモバイル機器の高さ位置も大きく異なってくる。これらの事情から、モバイル機器を使用してメータを定点観測する場合には、全く同じ位置で同じ角度で撮像することは困難である。
【0006】
本実施形態は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モバイル機器を用いてメータの値を簡単にかつ確実に読み取るメータ読取装置、メータ読取方法、及びメータ読取プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によるメータ読取装置は、画像を表示可能な表示部と、メータを撮像可能な撮像部と、を有するモバイル機器と、予め設定された画像であって読取対象となるメータの少なくとも外形を含む画像である基準画像を記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記メータの前記基準画像を取得する取得処理を実行可能な取得処理部と、前記取得処理によって取得した前記基準画像と、前記撮像部が現在撮像している前記メータの画像である撮像画像とを重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理を実行可能な表示処理部と、前記撮像画像を画像解析して当該メータが示す数値を読み取る読取処理を実行可能な画像処理部と、前記撮像部で撮像した前記メータの画像を前記基準画像として設定し前記記憶装置に記憶させる設定処理を実行可能な設定処理部と、を備える。前記設定処理は、前記基準画像に対して前記画像解析から除外する領域である除外領域を設定する処理を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態によるメータ読取装置の構成の一例を概念的に示す図
【
図2】一実施形態によるメータ読取装置の電気的構成の一例を概念的に示すブロック図
【
図3】一実施形態によるメータ読取装置の読み取り対象の一例であるアナログメータの基準画像を示す図
【
図4】一実施形態によるメータ読取装置について補助記憶装置に記憶されるデータの一例を概念的に示す図
【
図5】一実施形態によるメータ読取装置について基準画像を表示部に表示した状態の一例を示す図
【
図6】一実施形態によるメータ読取装置について撮像画像を表示部に表示した状態の一例を示す図
【
図7】一実施形態によるメータ読取装置について基準画像と撮像画像とを重ね合わせて表示部に表示した状態の一例を示す図
【
図8】一実施形態によるメータ読取装置について基準画像と撮像画像とを重ね合わせて表示部に表示した状態を写真で示す図
【
図9】一実施形態によるメータ読取装置の読み取り対象の一例であるデジタルメータの基準画像を示す図
【
図10】一実施形態によるメータ読取装置の読み取り対象の一例であるデジタルメータの基準画像に除外領域を設定した場合を示す図
【
図11】一実施形態によるメータ読取装置について、初期設定の際に制御装置で実行される制御内容の一例を示すフローチャート
【
図12】一実施形態によるメータ読取装置について、メータを読み取る際に制御装置で実行される制御内容の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
[メータ読取装置の構成]
以下、一実施形態によるメータ読取装置、メータ読取方法、及びメータ読取プログラムについて、図面を参照しながら説明する。
図1に示すメータ読取装置1は、メータ80の値を読み取ることが可能な装置若しくはシステムである。メータ80は、例えば工場の設備等に設けられて、設備等に関する物理量やその他の数値を表示するための装置である。メータ読取装置1は、例えば
図1に示すように針式のアナログメータ81やセグメント表示式若しくは液晶表示式のデジタルメータ82を読み取りの対象とすることができる。なお、以下の説明では、アナログメータ81やデジタルメータ82等をメータ80と総称することがある。
【0010】
メータ読取装置1は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の市販のモバイル機器10にメータ読取プログラムをインストールして構成することができる。また、メータ読取装置1は、モバイル機器10と、例えばサーバ装置等の専用又は汎用の装置とをインターネット等の電気通信回線によって相互に通信可能に接続されたネットワークシステムで構成することもできる。この場合、複数の装置を接続してメータ読取装置1を構成する場合、メータ読取装置1をメータ読取システムと称しても良い。本実施形態の場合、メータ読取装置1は、例えば1台のモバイル機器10で構成されている。
【0011】
メータ読取装置1は、
図2に示すように、制御装置11、入力部12、表示部13、撮像部14、及び補助記憶装置15を備えている。制御装置11は、演算装置111及び主記憶装置112を有するコンピュータを主体に構成されている。演算装置111は、CPUを含んで構成されており、各種の演算を行う。主記憶装置112は、一時的な書き換え可能な記憶領域であり、例えば演算装置111における演算結果や各種のコンピュータプログラムを一時的に記憶する。
【0012】
入力部12は、ユーザからの入力操作を受け付けるためのユーザインタフェースであり、例えばタッチパネル等で構成することができる。表示部13は、ユーザに対して画像や各種の情報を視覚的に表示するためのユーザインタフェースであり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成することができる。本実施形態の場合、入力部12及び表示部13は、モバイル機器10が備えるタッチパネルディスプレイで構成することができる。撮像部14は、メータ80を撮像する機能を有している。また、撮像部14は、QRコード(登録商標)等の二次元コードを撮像によって取得する機能を有している。本実施形態の場合、撮像部14は、モバイル機器10が備えるカメラで構成することができる。
【0013】
補助記憶装置15は、モバイル機器10をメータ読取装置1として実現させるためのコンピュータプログラムや各種データを記憶する。補助記憶装置15は、有形かつ非一時的なコンピュータ可読媒体で構成される。補助記憶装置15の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。
【0014】
補助記憶装置15は、メータ読取プログラム20及び1つ以上の基準画像30を記憶している。メータ読取プログラム20は、モバイル機器10をメータ読取装置1として実現させるためのコンピュータプログラムの一例である。メータ読取装置1は、メータ読取プログラム20を演算装置111が、補助記憶装置15からメータ読取プログラム20を読み出して主記憶装置112に展開し実行することで、設定処理部16、取得処理部17、表示処理部18、及び画像処理部19をコンピュータ上で仮想的に実現することができる。
【0015】
基準画像30は、
図3及び
図9に示すように、予め設定された画像であって読取対象となるメータ80の少なくとも外形を含む画像である。
図3の例に示す基準画像31は、基準画像30の一例であり、例えば
図1に示す針式のアナログメータ81を撮影した画像である。基準画像31は、アナログメータ81の外形だけでなく、針811や目盛り812の画像も含んでいる。
図9の例に示す基準画像32は、基準画像30の他の例であり、例えば
図1に示すセグメント表示式のデジタルメータ82を撮影した画像である。基準画像32は、デジタルメータ82の外形だけでなく、セグメント部821の画像も含んでいる。
【0016】
設定処理部16は、設定処理を実行可能である。設定処理は、対象となるメータの画像を基準画像30として設定し、補助記憶装置15に記憶させる処理を含む。
図4は、設定処理により補助記憶装置15に記憶されるデータの一例を示すものである。補助記憶装置15には、基準画像30と、基準画像30に紐づいた特定情報と、が記憶される。特定情報は、例えば少なくともメータの型式を特定可能な情報である。
【0017】
特定情報は、例えば数字、文字、又は記号若しくはこれらを組み合わせたもので構成することができる。特定情報は、例えばメータのシリアルコード等のように、メータの個体を識別可能な情報とすることができる。設定処理部16は、基準画像30の設定に伴い、
図1に示すように、特定情報を含む二次元コード91、92を生成する。すなわち、設定処理は、特定情報を含む二次元コードを生成する処理を含む。ユーザは、生成された二次元コード91、92を例えば印刷し、その印刷物を対応するメータ81、82に貼り付ける等して二次元コード91、92をメータ81、82に固定する。
【0018】
また、設定処理は、例えば基準画像30に、メータ80の値を画像解析により読み取るための初期情報を設定する処理を含む。
図3に示すように、アナログメータ81を撮像した基準画像31の場合、初期情報は、基準画像31におけるアナログメータ81の最大値及び最小値の目盛りの位置と各目盛りの値、及び針811の軸の位置等の情報を含む。
図9に示すように、デジタルメータ82を撮像した基準画像32の場合、初期情報は、基準画像32における各セグメントの位置及び大きさ等の情報を含む。初期情報を設定する処理は、例えばユーザが表示部13に表示される基準画像30を見ながら、入力部12を操作することにより行うように構成できる。設定された初期情報は、基準画像30とともに補助記憶装置15に記憶される。
【0019】
取得処理部17は、取得処理を実行可能である。取得処理は、基準画像30が記憶されている補助記憶装置15から、読み取りの対象となるメータの基準画像30を取得する処理を含む。取得処理は、撮像部14で撮像した二次元コード91、92に含まれる特定情報に基づいてメータの基準画像30を特定し取得する処理を含んでいる。
【0020】
この場合、例えばユーザは、メータ読取装置1で読み取りたいメータ80に設けられている二次元コード91、92を、撮像部14を用いて撮像する。すると、取得処理部17は、撮像した二次元コード91、92に含まれる特定情報を抽出する。そして、取得処理部17は、補助記憶装置15に記憶されている1又は複数の基準画像30の中から、抽出した特定情報に紐づけられた基準画像30を特定し取得する。
【0021】
表示処理部18は、表示処理を実行可能である。表示処理は、取得処理によって取得した例えば
図5に示す基準画像30と、例えば撮像部14が現在撮像しているメータ81の画像である
図6に示す撮像画像40と、を
図7及び
図8に示すように重ね合わせて表示部13に表示させる処理を含む。表示処理部18は、撮像画像40よりも基準画像30の透過率を高く設定して表示部13に表示させる。すなわち、この場合、表示処理部18は、基準画像30を半透明にして表示させる。
【0022】
表示処理部18は、例えば基準画像30と撮像画像40との重ね合わせの割合を決定し、その割合で合成した画像を表示部13に表示させる。この場合、重ね合わせの割合が小さくなるほど、画像の濃さが低くなるつまり薄い表示になることを意味する。例えば表示処理部18は、基準画像30を30%に設定し撮像画像40を70%に設定するなど、基準画像30の濃度を撮像画像40の濃度よりも高く設定して、表示部13に表示させることができる。また、表示処理部18は、基準画像30と撮像画像40とのうち一方をグレースケールで表示し、他方をカラーで表示することもできる。
図8は、実際に基準画像30と撮像画像40とを重ね合わせて表示させた画像である。ユーザは、表示部13に重ね合わせて表示された基準画像30と撮像画像40とが一致するように、モバイル機器10の姿勢やメータ80からの距離等を調整する。
【0023】
画像処理部19は、画像解析により、判定処理及び読取処理を実行可能である。判定処理は、基準画像30と撮像画像40とを比較し、両者が所定以上の割合で一致しているか否かを判定する処理を含む。判定処理において、基準画像30と撮像画像40とが所定以上の割合で一致している場合、撮像画像40が基準画像30と概ね同一位置でかつ同一角度で撮像されたものであると判断できる。読取処理は、撮像画像40を画像解析して当該メータ80が示す数値を読み取る処理を含む。判定処理及び読取処理に用いる画像解析は、例えば深層学習を使用しない方法であり、例えば画像30、40を二値化し、各画素を白又は黒に変換して行う。二値化は、例えば大津の二値化を採用することができる。
【0024】
画像処理部19は、判定処理において、二値化した基準画像30及び撮像画像40における白又は黒の画素数を比較する。基準画像30と撮像画像40とで白又は黒の画素数が予め設定された範囲内に収まっていれば、基準画像30と撮像画像40との形状が概ね一致していると判断できる。つまり、この場合、画像処理部19は、メータ80からモバイル機器10までの距離やメータ80に対するモバイル機器10の角度が、概ね一致していると判断する。
【0025】
基準画像30と撮像画像40とで白又は黒の画素数が予め設定された範囲内に収まっている場合、画像処理部19は、基準画像30と撮像画像40とを二値化したものについて画素の位置毎に排他的理論和を取る。画像処理部19は、基準画像30の二値化において黒であった部分について同一位置で画素の白黒が異なっていた画素数つまり、排他的理論和で真となった画素数を数えて、その画素数が所定の範囲内に収まっていれば、基準画像30を基準とした撮像画像40の回転角度も概ね一致していると判断する。
【0026】
そして、画像処理部19は、上述した画像処理の結果、基準画像30と撮像画像40とが所定以上の割合で一致すると、撮像画像40からメータの値を読み取ることが可能であると判断し、ユーザの操作によらず、自動で読取処理を実行する。これにより、撮像画像40で撮像されたメータ81、82が示す値が自動で読み取られる。この場合、表示処理部18は、基準画像30と撮像画像40との一致割合や、読み取ったメータ81、82の値等を、表示部13に数値等で表示しても良い。また、所定以上の割合で一致するとは、画像処理部19が撮像画像40からメータの値を読み取ることが出来る程度に、撮像画像40の形状や姿勢が基準画像30と一致していることを意味する。
【0027】
ここで、例えば
図9に示すようなセグメント表示式のデジタルメータ82の場合、セグメント部821は、アナログメータ81の針811に比べて変化が大きい領域となる。例えば
図9のセグメント部821は、「81.2」を示している。この場合、セグメント表示の「1」と「2」とでは、数値としては近い値だが、表示としてはセグメントの表示個数が2つと5つで大きく異なる。このため、判定処理を実行する際に、変化の大きいセグメント部821が基準画像30に含まれていると、画像としての違いが大きくなり易く、その結果、判定処理の精度が低下するおそれがある。
【0028】
そこで、設定処理は、
図10に示すように、除外領域Aを設定する処理を含む。除外領域Aは、基準画像30に対して判定処理の際に画像解析から除外する領域である。ユーザは、例えば除外領域Aを任意に設定することができる。この場合、メータ読取装置1は、例えばユーザが設定処理により基準画像30を設定する際に、ユーザが表示部13に表示される基準画像30を見ながら入力部12を操作して除外領域Aを決定する構成とすることができる。このため、ユーザは、例えばデジタルメータ82のセグメント部821の画像を含んだ領域のように、画像として変化の大きい領域を除外領域Aに設定することができる。
【0029】
図10の例では、除外領域Aを斜線で示しているが、実際には背景色又は白若しくは黒の一色で塗り潰される。これにより、変化の大きい領域を除外領域Aとして設定し、その除外領域Aを判定処理における画像解析から除外することで、変化の大きい領域の影響を低減して画像解析の精度を高めることができる。なお、撮像画像40についても、基準画像30に設定された除外領域Aと同じ位置に除外領域Aを設定しても良い。
【0030】
次に、
図11及び
図12を参照して、メータ読取装置1で実行される制御フローについて説明する。なお、以下の説明において、各処理部16~19で実行される処理は、制御装置11が実行するものとして説明する。
【0031】
[初期設定の制御フロー]
まず、メータ読取装置1の初期設定時における制御フローの一例について
図11を参照して説明する。初期設定は、メータ80の基準画像30をメータ読取装置1に登録し、メータ読取装置1でメータ80を読み取り可能に設定する処理である。制御装置11は、ステップS11において、例えばユーザの操作を受けて、モバイル機器10の撮像部14を用いてメータ80を撮像する。次に、制御装置11は、ステップS12において、入力部12に対するユーザの操作等に基づいて、撮像した基準画像30に対して除外領域Aの設定を行う。なお、例えば除外領域Aの設定が不要であるとユーザが判断した場合等、制御装置11は、除外領域Aの設定を行わない。
【0032】
次に、制御装置11は、ステップS13において初期情報の設定を行い、基準画像30に対してメータ80の目盛りやセグメント部の位置等の情報を設定する。次に、制御装置11は、ステップS14において、基準画像30に特定情報を付与するとともに、特定情報を含んだ二次元コード91、92を生成する。そして、制御装置11は、ステップS15において、特定情報とともに基準画像30を設定して補助記憶装置15に記憶させることで基準画像30を登録する。このようにして、初期設定に関する一連の処理が完了する。そして、これにより、モバイル機器10は、登録された基準画像30に対応するメータ80について、メータ読取装置1としての機能を発揮させることができる。
【0033】
[メータの読み取り時の制御フロー]
次に、メータ読取装置1によるメータ80の読み取り時に制御装置11で実行される制御フローの一例について
図12を参照して説明する。制御装置11は、メータ80の読み取りに関する制御フローを開始すると、まず、ステップS21において、モバイル機器10の撮像部14で二次元コード91、92が読み取られたか否かを判断する。二次元コード91、92が読み取られていない場合(ステップS21でNO)、制御装置11はステップS21を繰り返す。
【0034】
モバイル機器10の撮像部14で二次元コード91、92が読み取られると(ステップS21でYES)、制御装置11は、ステップS22へ処理を移行させる。制御装置11は、ステップS22において取得処理を実行し、ステップS21で取得した二次元コードに含まれる特定情報に基づいて、補助記憶装置15に記憶されている基準画像30を取得する。次に、制御装置11は、ステップS23において表示処理及び判定処理を実行し、撮像画像40と基準画像30とを重ね合わせて表示部13に表示させるとともに、画像解析により撮像画像40と基準画像30との一致度合いを判定する。
【0035】
このとき、ユーザは、表示部13に重ね合わせて表示された撮像画像40と基準画像30とを見ながら、撮像画像40と基準画像30とが一致するように、モバイル機器10の位置や姿勢等を調整する。制御装置11は、撮像画像40と基準画像30との一致度合いを数値や図形等で表示部13に表示しても良い。制御装置11は、撮像画像40と基準画像30との一致度合いが所定未満である場合(ステップS24でNO)、ステップS23を繰り返す。そして、撮像画像40と基準画像30との一致度合いが所定以上になると(ステップS24でYES)、制御装置11は、ステップS25へ処理を進める。
【0036】
制御装置11は、ステップS25において読取処理を実行し、撮像画像40を画像処理して撮像画像40に含まれるメータ80の値を読み取る。そして、制御装置11は、ステップS26において、ステップS25における読取処理の結果を、例えば表示部13に表示させるとともに補助記憶装置15に記憶させる。この場合、読取処理の結果には、特定情報及び撮像の実施日時及び時刻等の情報を含めても良い。そして、制御装置11は、ステップS21に処理を戻し、ステップS21以降を繰り返す。
【0037】
[メータ読取プログラム、及び記憶媒体]
上述した各処理は、
図2に示すように、メータ読取プログラム20に従って実行される。メータ読取プログラム20の流通は、例えば、メータ読取プログラム20を記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行うことができる。更に、メータ読取プログラム20をサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、インターネット等の電気通信回線を介して、サーバコンピュータからモバイル機器10等のコンピュータにメータ読取プログラム20を転送することにより、メータ読取プログラム20を流通させる構成としてもよい。
【0038】
メータ読取プログラム20を実行するモバイル機器10は、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたメータ読取プログラム20若しくはサーバコンピュータから転送されたメータ読取プログラム20を、一旦、自己の補助記憶装置15に格納する。そして、モバイル機器10は、補助記憶装置15に格納されたメータ読取プログラム20を読み取り、読み取ったメータ読取プログラム20に従った処理を実行する。
【0039】
また、このメータ読取プログラム20の別の実行形態として、モバイル機器10が可搬型記録媒体から直接メータ読取プログラム20を読み取り、そのメータ読取プログラム20に従った処理を実行することとしても良い。更に、モバイル機器10にサーバコンピュータからメータ読取プログラム20が転送されるたびに、逐次、受け取ったメータ読取プログラム20に従った処理を実行することとしても良い。
【0040】
また、サーバコンピュータからモバイル機器10へのメータ読取プログラム20の転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としても良い。すなわち、モバイル機器10と通信可能に接続された外部のサーバコンピュータが、メータ読取プログラム20及び基準画像30を記憶する記憶装置、及び各処理部16~19を備える構成でも良い。なお、本実施形態におけるコンピュータプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってコンピュータプログラムに準ずるもの、つまりコンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等を含むものとする。
【0041】
実施形態によるメータ読取装置1は、モバイル機器10と、補助記憶装置15と、取得処理部17と、表示処理部18と、画像処理部19と、を備える。モバイル機器10は、画像を表示可能な表示部13と、メータ80を撮像可能な撮像部14と、を有する。補助記憶装置15は、記憶装置の一例であり、予め設定された画像であって読取対象となるメータ80の少なくとも外形を含む画像である基準画像30を記憶する。取得処理部17は、補助記憶装置15からメータ80の基準画像30を取得する取得処理を実行可能である。表示処理部18は、取得処理によって取得した基準画像30と、撮像部14が現在撮像しているメータ80の画像である撮像画像40とを重ね合わせて表示部13に表示させる表示処理を実行可能である。そして、画像処理部19は、撮像画像40を画像解析して当該メータ80が示す数値を読み取る読取処理を実行可能である。
【0042】
また、実施形態によるメータ読取方法は、モバイル機器10と、記憶装置の一例である補助記憶装置15と、を用いてメータ80が示す数値を読み取る方法である。メータ読取方法は、補助記憶装置15からメータ80の基準画像30を取得する取得処理と、取得処理によって取得した基準画像30と、撮像部14が現在撮像しているメータ80の画像である撮像画像40とを重ね合わせて表示部13に表示させる表示処理と、撮像画像40を画像解析して当該メータ80が示す数値を読み取る読取処理と、を含む。
【0043】
そして、実施形態によるメータ読取プログラム20は、表示部13と、撮像部14と、補助記憶装置15と、を制御する制御装置11に、補助記憶装置15からメータ80の基準画像30を取得する取得処理と、取得処理によって取得した基準画像30と撮像部14が現在撮像しているメータ80の画像である撮像画像40とを重ね合わせて表示部13に表示させる表示処理と、撮像画像40を画像解析してメータ80が示す数値を読み取る読取処理と、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0044】
ここで、本実施形態のように、深層学習を使用せずに画像解析を利用してメータ80を自動で読み取る装置においては、ユーザ等が、基準画像30に対して、メータ80を読み取るための初期情報を設定する必要がある。例えば針式のアナログメータ81の場合、初期情報は、アナログメータ81の最大値及び最小値の目盛りの位置と各目盛りの値、及び針811の軸の位置等の情報である。7セグメントや液晶パネル等を用いたデジタルメータ82の場合、初期情報は、各セグメントの位置及び大きさ等の情報である。
【0045】
この場合、モバイル機器10の撮像部14とメータ80との位置関係が基準画像30を撮像したときと撮像画像40とを撮像したときとで同一であれば、画像処理部19は、基準画像30に設定された初期情報に従って撮像画像40からメータ80の値を問題無く読み取ることができる。しかし、モバイル機器10の撮像部14とメータ80との位置関係が基準画像30を撮像したときと撮像画像40とを撮像したときとでずれていると、画像処理部19は、正確な画像解析が出来なくなり、メータ80の読み取り結果に誤差が発生したり、読み取り不良が発生したりする。
【0046】
これに対し、本実施形態によれば、表示処理部18は、予め設定されたメータ80の基準画像30と、撮像部14が現在撮像しているメータ80の撮像画像40と、をモバイル機器10の表示部13に重ね合わせて表示する。これによれば、ユーザは、撮像画像40が基準画像30に一致するようにモバイル機器10の位置や姿勢を調整することで、基準画像30と同じ位置でかつ同じ姿勢で撮像することができる。これにより、撮像画像40を用いた画像認識の精度が向上し、その結果、モバイル機器10を用いてメータ80の値を簡単にかつ確実に読み取ることができるようになる。
【0047】
また、本実施形態において、メータ80の撮像にモバイル機器10を用いる。モバイル機器10は、固定位置に設置された従来のカメラと異なり、ユーザが簡単に持ち運ぶことができる。このため、1台のモバイル機器10で複数のメータ80を撮像することができ、対象とするメータ80の数を簡単かつ低コストで増加させることができる。その結果、本実施形態によれば、カメラを固定して運用する従来構成と比べて、メータ読取装置1の設置や運用のコストを低減することができる。
【0048】
モバイル機器10は、ユーザが手で持って扱うことを前提としたものであるため、シャッターの押下時に手ブレが生じることがある。そして、この手ブレは、メータ80の値を読み取る際の画像認識に悪影響を与えることがある。
【0049】
そこで、本実施形態において、画像処理部19は、基準画像30と撮像画像40とが所定以上の割合で一致した場合に自動で読取処理を実行する。これによれば、ユーザがモバイル機器10のシャッターを押下する必要が無いため、手ブレの発生を防ぎ、その結果、画像認識の精度を高めることができる。
【0050】
また、メータ読取装置1は、設定処理部16を更に備える。設定処理部16は、撮像部14で撮像したメータ80の画像を基準画像30として設定し補助記憶装置15に記憶させる設定処理を実行可能である。これによれば、ユーザ自身が、メータ80を撮像して基準画像30を設定することができるため、多種のメータ80に対応することができる。
【0051】
形状が同じ同一種類のメータ80について、基準画像30を共通化すること等も考えられる。しかし、同一種類のメータ80であっても使用環境や使用期間は様々であるため、経年劣化や汚れ、変色等により、各メータ80の外観が異なる場合がある。そのため、同一種類のメータ80について共通の基準画像30を準備すると、各メータ80の使用状態によっては画像解析の精度が劣る場合がある。
【0052】
これに対し、本実施形態によれば、ユーザが自分で簡単に、読み取りの対象となるメータ80の個々について基準画像30を設定することができる。その結果、メータ80の経年劣化や汚れ、変色等により各メータ80の外観に違いがあっても、精度良く画像解析を行うことができる。
【0053】
また、設定処理は、基準画像30に対して画像解析から除外する領域である除外領域Aを設定する処理を含む。これによれば、例えばデジタルメータ82のセグメント部821のように、変化の大きい領域を除外領域Aとして設定し、その除外領域Aを判定処理における画像解析から除外することで、変化の大きい領域の影響を低減して画像解析の精度を高めることができる。
【0054】
また、設定処理は、補助記憶装置15に記憶されている基準画像30を特定するための特定情報を含む二次元コード91、92を生成する処理を含む。そして、取得処理は、撮像部14で撮像した二次元コード91、92に含まれる特定情報に基づいて補助記憶装置15からメータ80の基準画像30を特定し取得する処理を含む。これによれば、1つのモバイル機器10で複数のメータ80を読み取る場合に、ユーザは、今から読み取ろうとしているメータ80の基準画像30を手動で呼び出す必要が無くなる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0055】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0056】
1…メータ読取装置、10…モバイル機器、13…表示部、14…撮像部、15…記憶装置(補助記憶装置)、16…設定処理部、17…取得処理部、18…表示処理部、19…画像処理部、20…メータ読取プログラム、30…基準画像、31…基準画像、40…撮像画像、62…基準画像、80、81、82…メータ、91、92…二次元コード、A…除外領域
【要約】 (修正有)
【課題】モバイル機器を用いてメータの値を簡単にかつ確実に読み取るメータ読取装置、メータ読取方法及びメータ読取プログラムを提供する。
【解決手段】メータ読取装置は、画像を表示可能な表示部13と、メータを撮像可能な撮像部14と、を有するモバイル機器と、予め設定された画像であって読取対象となるメータの少なくとも外形を含む画像である基準画像を記憶する補助記憶装置と、補助記憶装置からメータの基準画像を取得する取得処理を実行可能な取得処理部17と、取得処理によって取得した基準画像と、撮像部が現在撮像しているメータの画像である撮像画像とを重ね合わせて表示部に表示させる表示処理を実行可能な表示処理部18と、撮像画像を画像解析して当該メータが示す数値を読み取る読取処理を実行可能な画像処理部19と、を備える。
【選択図】
図2