(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】指針装置および時計
(51)【国際特許分類】
G04B 35/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G04B35/00 A
(21)【出願番号】P 2020156285
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 恭平
(72)【発明者】
【氏名】水津 考
(72)【発明者】
【氏名】並木 幸二
(72)【発明者】
【氏名】澤田 亮
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-14978(JP,U)
【文献】実開昭57-77967(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
前記回転体に設けられた指針軸と、
前記指針軸が回転可能に設けられたベース部材と、
前記回転体と前記ベース部材との間に配置され、前記回転体と前記ベース部材との一方の面に大径部が配置され、他方の面に小径部が配置されるほぼ円錐台形の渦巻きばねと、
を備え
、
前記渦巻きばねは、線材を渦巻き状に巻いて、前記小径部を前記大径部よりも伸縮方向に突出させたほぼ円錐台形に形成されている、
前記渦巻きばねは、前記大径部における外周部の前記線材が前記ベース部材に向けて折り曲げられ、前記折り曲げられた線材の端部が前記小径部の内周部における前記線材の端部と共に前記ベース部材に配置されている、
ことを特徴とする指針装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の指針装置において、
前記渦巻きばねは、自由状態における伸縮方向の長さが前記回転体と前記ベース部材との間の間隔よりも長く形成されている、
ことを特徴とする指針装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2のいずれかに記載の指針装置において、
前記渦巻きばねは、前記大径部が前記回転体に配置され、前記小径部が前記ベース部材に配置されている、
ことを特徴とする指針装置。
【請求項4】
請求項1~請求項
3のいずれかに記載の指針装置において、
前記渦巻きばねは、前記回転体の正回転方向と同じ方向に巻かれている、
ことを特徴とする指針装置。
【請求項5】
請求項1~請求項
4のいずれかに記載の指針装置において、
前記渦巻きばねの前記大径部と前記小径部との各端部は、線材の中心軸線に対して鋭角に切断され、且つ切断された鋭角部に面取り部が設けられている、
ことを特徴とする指針装置。
【請求項6】
請求項1~請求項
5のいずれかに記載された指針装置を備えている、
ことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、時計やメータなどの計測機器に用いられる指針装置、およびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計の指針装置においては、特許文献1に記載されているように、指針を運針させる指針車とこの指針車を回転可能に保持する輪列受け部材との間に板ばねを配置させ、この板ばねのばね力によって指針車に負荷を加えて、指針車の回転角度を規制するようにした構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種の板ばねは、円板の両側部を折り曲げ、この折り曲げた両端部を輪列受け部材に当接させ、中心部側を指針車に設けられた突起部に押し当てることにより、指針車に対する板ばねの接触面積を小さくして、板ばねのばね力によって指針車に負荷を加えて、指針車と板ばねとの間の摩擦抵抗によって指針車の回転角度を規制するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような腕時計の指針装置では、指針車が回転する際に、指針車と板ばねとの間の摩擦抵抗によって、板ばねが指針車に対して回転したり、また板ばねが指針車に対して回転せずに止まったりするため、板ばねのばね力による摩擦抵抗が一定でなく、指針車の回転が不安定で、指針車の回転角度にばらつきが生じるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、回転角度のばらつきを抑えて、良好に回転させることができる指針装置、およびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、回転体と、前記回転体に設けられた指針軸と、前記指針軸が回転可能に設けられたベース部材と、前記回転体と前記ベース部材との間に配置され、前記回転体と前記ベース部材との一方の面に大径部が配置され、他方の面に小径部が配置されるほぼ円錐台形の渦巻きばねと、を備え、前記渦巻きばねは、線材を渦巻き状に巻いて、前記小径部を前記大径部よりも伸縮方向に突出させたほぼ円錐台形に形成されている、前記渦巻きばねは、前記大径部における外周部の前記線材が前記ベース部材に向けて折り曲げられ、前記折り曲げられた線材の端部が前記小径部の内周部における前記線材の端部と共に前記ベース部材に配置されている、ことを特徴とする指針装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、回転体の回転角度のばらつきを抑えて、回転体を良好に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を腕時計の指針装置に適用した一実施形態を示した要部の拡大断面図である。
【
図2】
図1に示された指針装置の秒針車と輪列受け部材との間に渦巻きばねが配置された箇所を示した要部の拡大側面図である。
【
図3】
図2に示された渦巻きばねを上下反転させた自由状態における拡大斜視図である。
【
図4】
図3に示された渦巻きばねの拡大平面図である。
【
図5】
図4に示された渦巻きばねの各端部を示し、(a)は大径部側の外周端部を示した拡大図、(b)は小径部側の内周端部を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図5を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1に示すように、指針装置1を備えている。この指針装置1は、秒針2a、分針2b、時針2cなどの指針2を運針させる時計ムーブメントの一部であり、時計本体である腕時計ケース(図示せず)内に組み込まれるように構成されている。
【0011】
すなわち、この指針装置1は、
図1に示すように、四番車である秒針車3と、二番車である分針車4と、筒車である時針車5と、を備え、これらが同一軸上に配置されている。秒針車3は、回転体である秒針歯車3aとこの秒針歯車3aの中心に設けられた秒針軸3bとを備え、秒針歯車3aが秒針軸3bを中心に回転するように構成されている。この秒針車3は、秒針軸3bの上端部に秒針2aが取り付けられ、秒針軸3bの下端部がベース部材である輪列受け部材6に回転可能に取り付けられるように構成されている。
【0012】
これにより、秒針車3は、
図1に示すように、ステップモータなどの第1の駆動源(図示せず)によって回転する第1中間車7の回転が秒針歯車3aに伝達されて秒針歯車3aが回転し、この秒針歯車3aの回転に伴って秒針軸3bが秒針2aを運針させるように構成されている。この場合、第1中間車7は、第1中間歯車7aと第1カナである第1小歯車7bと第1中間軸7cとを備え、これらが同一軸上に設けられている。この第1中間車7は、第1中間軸7cが輪列受け部材6と中間受け部材8とに回転可能に取り付けられている。
【0013】
また、この第1中間歯車7aは、
図1に示すように、ステップモータなどの第1の駆動源(図示せず)によって回転するものである。第1小歯車7bは、第1中間歯車7aと共に回転して秒針車3を回転させるものであり、この第1小歯車7bに秒針車3の秒針歯車3aが噛み合っている。これにより、第1中間車7は、ステップモータなどの第1の駆動源(図示せず)によって第1中間歯車7aが回転し、この第1中間歯車7aの回転と共に第1小歯車7bが回転し、この第1小歯車7bの回転によって秒針車3を回転させるように構成されている。
【0014】
分針車4は、
図1に示すように、回転体である分針歯車4aとこの分針歯車4aの中心部に設けられた分針軸4bとを備え、分針歯車4aが分針軸4bを中心に回転するように構成されている。分針軸4bは、円筒状の軸であり、上端部に分針2bが取り付けられ、内部に秒針軸3bが回転可能に挿入され、この秒針軸3bの上端部が上方に突出して配置されるように構成されている。この分針軸4bは、中間受け部材8と地板であるメインプレート10とに回転可能に取り付けられている。
【0015】
この場合、分針車4は、
図1に示すように、秒針車3の第1の駆動源と異なるステップモータなどの第2の駆動源(図示せず)の回転が第2中間車11と第3中間車12とを介して分針歯車4aに伝達されて分針歯車4aが回転し、この分針歯車4aの回転に伴って分針軸4bが分針2bを運針させるように構成されている。この場合、第2中間車11は、第2中間歯車11aと第2カナである第2小歯車11bと第2中間軸11cとを備え、これらが同一軸上に設けられている。
【0016】
この第2中間車11は、
図1に示すように、第2中間軸11cが輪列受け部材6とメインプレート10とに回転可能に取り付けられている。第2中間歯車11aは、ステップモータなどの第2の駆動源(図示せず)によって回転するものである。第2小歯車11bは、第2中間歯車11aと共に回転して第3中間車12を回転させるものであり、この第2小歯車11bに第3中間車12の後述する第3中間歯車12aが噛み合っている。
【0017】
これにより、第2中間車11は、
図1に示すように、ステップモータなどの第2の駆動源(図示せず)によって第2中間歯車11aが回転し、この第2中間歯車11aの回転と共に第2小歯車11bが回転し、この第2小歯車11bの回転によって第3中間車12を回転させるように構成されている。
【0018】
また、第3中間車12は、
図1に示すように、第3中間歯車12aと第3カナである第3小歯車12bと第3中間軸12cとを備え、これらが同一軸上に設けられている。この第3中間車12は、第3中間軸12cがメインプレート10と中間受け部材8とに回転可能に取り付けられている。
【0019】
この場合、第3中間歯車12aは、
図1に示すように、第2中間車11の第2小歯車11bによって回転するものである。第3小歯車12bは、第3中間歯車12aと共に回転して分針車4を回転させるものであり、この第3小歯車12bは、分針車4の分針歯車4aに噛み合い、第3中間車12の回転を分針車4に伝達するように構成されている。
【0020】
これにより、第3中間車12は、
図1に示すように、ステップモータなどの第2の駆動源(図示せず)によって回転した第2中間歯車11aの回転が第2小歯車11bを介して第3中間歯車12aに伝達されて、第3中間歯車12aが回転し、この第3中間歯車12aの回転と共に第3小歯車12bが回転し、この第3小歯車12bの回転によって分針車4を回転させるように構成されている。
【0021】
時針車5は、
図1に示すように、回転体である時針歯車5aとこの時針歯車5aの中心部に設けられた時針軸5bとを備え、時針歯車5aが時針軸5bを中心に回転するように構成されている。この時針軸5bは、円筒状に形成され、上端部に時針2cが取り付けられ、内部に分針軸4bが秒針軸3bと共に回転可能に挿入され、この分針軸4bの上端部が秒針軸3bの上端部と共に上方に突出して配置されるように構成されている。
【0022】
この時針車5は、
図1に示すように、時針歯車5aがメインプレート10上に配置されて歯車押え部材13によって回転可能に押えられるように構成されている。この場合、時針車5は、分針車4の分針歯車4aの回転が日ノ裏車である第4中間車(図示せず)を介して時針歯車5aに伝達されて、時針歯車5aが回転し、この時針歯車5aの回転に伴って時針軸5bが時針2cを運針させるように構成されている。
【0023】
この場合、第4中間車は、図示しないが、第4中間歯車と第4カナである第4小歯車と第4中間軸とを備え、これらが同一軸上に配置されるように構成されている。この場合、第4中間軸は、メインプレート10に回転可能に取り付けられて、メインプレート10の上下に突出して配置されている。第4中間歯車は、メインプレート10上に配置されて時針歯車5aに噛み合って回転するものある。第4小歯車は、メインプレート10の下側に配置されて、分針車4の分針歯車4aに噛み合って第4中間歯車と共に回転するものである。
【0024】
これにより、第4中間車は、図示しないが、ステップモータなどの第2の駆動源(図示せず)によって回転した分針歯車4aの回転が第4小歯車に伝達されて、第4小歯車が回転し、この第4小歯車の回転と共に第4中間歯車が回転し、この第4中間歯車の回転によって時針車5を回転させるように構成されている。
【0025】
ところで、時針車5の時針歯車5aと歯車押え部材13との間には、
図1に示すように第1板ばね14が配置されている。この第1板ばね14は、リング状の円板を皿状に湾曲させたものであり、中心部に時針軸5bが挿入する第1挿入孔14aが設けられている。この第1板ばね14は、第1挿入孔14aの内周縁が時針歯車5aの上面に配置され、外周縁が歯車押え部材13の下面に配置されるように構成されている。
【0026】
これにより、第1板ばね14は、
図1に示すように、時針歯車5aと歯車押え部材13との間にばね力をもって挟まれ、そのばね力によって時針歯車5aに負荷を加えて、時針歯車5aの回転角度を規制することにより、時針車5の回転を安定させて、時針2cを良好に運針させるように構成されている。
【0027】
また、分針車4の分針歯車4aと中間受け部材8との間には、
図1に示すように、第2板ばね15が配置されている。この第2板ばね15は、第1板ばね14と同様、リング状の円板を皿状に湾曲させたものであり、中心部に分針軸4bが挿入する第2挿入孔15aが設けられている。この第2板ばね15は、第1挿入孔15aの内周縁が分針歯車4aの下面に配置され、外周縁が中間受け部材8の上面に配置されるように構成されている。
【0028】
これにより、第2板ばね15は、
図1に示すように、第1板ばね14と同様、分針歯車4aと中間受け部材8との間にばね力をもって挟まれ、そのばね力によって分針歯車4aに負荷を加えて、分針歯車4aの回転角度を規制することにより、分針車4の回転を安定させて、分針2bを良好に運針させるように構成されている。
【0029】
一方、秒針車3の秒針歯車3aと輪列受け部材6との間には、
図1~
図4に示すように、ほぼ円錐台形の渦巻きばね16が秒針軸3bと同一軸上に配置されている。この渦巻きばね16は、線材17を渦巻き状に巻いて、中心部側の小径部16aを外周側の大径部16bよりも伸縮方向に盛り上げたほぼ円錐台形に形成されている。この場合、小径部16aは、その内径が秒針軸3bの外径よりも大きく形成されている。
【0030】
また、渦巻きばね16の線材17は、
図2~
図4に示すように、線径が細く形成され、線材17の全長が線径に対して十分に長く形成されている。すなわち、この線材17は、例えば、ステンレスなどの金属で、線径が約0.1mmと細く、全長が約10mmで線径の100倍程度の長さで線径に比べて十分に長く形成されている。また、この渦巻きばね16は、自由状態における伸縮方向の全体の長さ(高さ)が0.2~0.6mm程度で、好ましくは0.4mm程度に設定されている。
【0031】
このため、渦巻きばね16は、
図2~
図4に示すように、秒針歯車3aと輪列受け部材6との間隔が0,2~0.1mmである場合、秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置された際に、自由状態における渦巻きばね16の伸縮方向の全体の長さが半分以下の長さに圧縮されるように構成されている。これにより、渦巻きばね16は、線材17の全長が線材17の線径の100倍程度であることにより、低いばね定数で、安定したばね力を秒針歯車3aに付与するように構成されている。
【0032】
この場合、渦巻きばね16は、
図2~
図4に示すように、大径部16bが秒針歯車3aの下面に配置され、小径部16aが輪列受け部材6の上面に配置されるように構成されている。これにより、渦巻きばね16は、秒針歯車3aの下面に対する接触面積が輪列受け部材6の上面に対する接触面積よりも大きくなり、秒針歯車3aの下面に対する渦巻きばね16のばね力による摩擦抵抗が安定して確保されるように構成されている。
【0033】
また、この渦巻きばね16は、
図2~
図4に示すように、大径部16bの外周部の一部が輪列受け部材6に向けて約10°の傾斜角度で折り曲げられている。すなわち、この渦巻きばね16は、大径部16bの外周部の一部に折曲部18が設けられている。このため、この渦巻きばね16は、折曲部18で輪列受け部材6に向けて折り曲げられた線材17の外周端部20が小径部16aの線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6の上面に配置されるように構成されている。
【0034】
この場合、輪列受け部材6に向けて折り曲げられた線材17の外周端部20は、
図2および
図3に示すように、渦巻きばね16の伸縮方向における位置が渦巻きばね16の自由状態における伸縮方向の長さの半分程度の長さ位置に設定されている。このため、渦巻きばね16は、秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置された際に、渦巻きばね16が伸縮方向の長さの半分以下の長さに圧縮されることにより、線材17の外周端部20が約10°の傾斜角度をもって輪列受け部材6の上面に押し当られるように構成されている。
【0035】
これにより、渦巻きばね16は、
図1~
図4に示すように、大径部16bの線材17の外周端部20が秒針歯車3aの下面に配置されず、大径部16bの外周部における折曲部18が配置される。このため、この渦巻きばね16は、折曲部18の湾曲面によって大径部16bが秒針歯車3aの下面に対して引っ掛かることなく滑らかに回転し、大径部16bの線材17の外周端部20と小径部16aの線材17の内周端部21とが輪列受け部材6の上面に押し当てられて、輪列受け部材6に対して回転しないように構成されている。
【0036】
また、この渦巻きばね16は、
図1~
図4に示すように、回転体である秒針歯車3aの正回転方向、つまり秒針2aが運針する方向である時計回り方向と同じ方向に線材17が巻かれている。すなわち、この渦巻きばね16は、小径部16aの線材17の内周端部21から大径部16bの線材17の外周端部20に向けて時計回り方向に線材17が渦巻き状に巻かれている。
【0037】
これにより、この渦巻きばね16は、
図2~
図4に示すように、秒針2aが運針する時計回り方向に秒針車3が回転する際に、大径部16bの線材17の外周端部20が輪列受け部材6の上面に引っ掛かり、輪列受け部材6に対する時計回り方向への回転が阻止されるように構成されている。
【0038】
また、この渦巻きばね16は、
図2~
図4に示すように、秒針2aが運針する時計回り方向と反対方向に秒針車3が回転する際に、小径部16aの線材17の内周端部21が輪列受け部材6の上面に引っ掛かり、輪列受け部材6に対する反時計回り方向への回転が阻止されるように構成されている。これにより、渦巻きばね16は、秒針車3が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれの方向に回転しても、輪列受け部材6に対して回転しないように構成されている。
【0039】
この場合、渦巻きばね16の大径部16bにおける線材17の外周端部20は、
図4および
図5に示すように、線材17の中心軸線に対して傾いて切断されることにより、線材17の外周面側が鋭角になるように形成されている。すなわち、大径部16bにおける線材17の外周端部20は、線材17の外周面側が鋭角になるように、渦巻きばね16の放射線方向に対して傾いて切断されている。
【0040】
この場合、大径部16bにおける線材17の外周端部20は、
図5(a)に示すように、切断された鋭角部に第1面取り部20aが設けられている。この第1面取り部20aは、切断時に生じるバリを取り除くためのものであり、半径が約5μmの小さい円弧状に形成されている。これにより、大径部16bにおける線材17の外周端部20は、秒針2aが運針する時計回り方向に秒針車3が回転する際に、輪列受け部材6の上面に引っ掛かり易くなるように形成されている。
【0041】
同様に、渦巻きばね16の小径部16aにおける線材17の内周端部21は、
図4および
図5に示すように、線材17の外周端部20と同様、線材17の中心軸線に対して傾いて切断されることにより、線材17の外周面側が鋭角になるように形成されている。すなわち、小径部16aにおける線材17の内周端部21は、線材17の外周面側が鋭角になるように、渦巻きばね16の放射線方向に対して傾いて切断されている。
【0042】
この場合、小径部16aにおける線材17の内周端部21は、
図5(b)に示すように、切断された鋭角部に第2面取り部21aが設けられている。この第2面取り部21aは、線材17の外周端部20と同様、切断時に生じるバリを取り除くためのものであり、半径が約5μmの小さい円弧状に形成されている。これにより、小径部16aにおける線材17の内周端部21は、秒針2aが運針する時計回り方向と反対方向に秒針車3が回転する際に、輪列受け部材6の上面に引っ掛かり易くなるように形成されている。
【0043】
次に、この腕時計の指針装置1の作用について説明する。
まず、分針車4と時針車5とについて説明する。分針車4は、ステップモータなどの第2の駆動源の回転が第2中間車11と第3中間車12とを介して分針歯車4aに伝達されて、分針歯車4aが回転し、この分針歯車4aと共に分針軸4bが回転して分針2bを運針させる。
【0044】
このときには、分針車4の分針歯車4aと中間受け部材8との間に配置されている第2板ばね15のばね力によって、分針歯車4aに負荷が加わり、この負荷による分針歯車4aと第2板ばね15との間の摩擦抵抗によって分針歯車4aの回転角度が規制される。これにより、分針車4は、その回転が安定し、分針2bを良好に運針させる。
【0045】
時針車5は、分針車4の回転が第4中間車(図示せず)を介して時針歯車5aに伝達されて、時針歯車5aが回転し、この時針歯車5aと共に時針軸5bが回転して時針2cを運針させる。このときには、時針車5の時針歯車5aと歯車押え部材13との間に配置されている第1板ばね14のばね力によって、時針歯車5aに負荷が加わり、この負荷による時針車5と第1板バネ14との間の破擦抵抗によって、分針車4と同様、時針歯車5aの回転角度が規制される。これにより、時針車5は、その回転が安定して、時針2cを良好に運針させる。
【0046】
一方、秒針車3は、ステップモータなどの第1の駆動源の回転が第1中間車11を介して秒針歯車3aに伝達されて、秒針歯車3aが回転し、この秒針歯車3aと共に秒針軸3bが回転して、秒針2aを運針させる。このときには、秒針車3の秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置されているほぼ円錐台形の渦巻きばね16のばね力によって、秒針歯車3aに負荷が加わる。
【0047】
このため、秒針車3は、渦巻きばね16のばね力によって秒針歯車3aに加わった負荷によって、秒針歯車3aと渦巻きばね16との間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって秒針歯車3aの回転角度が規制される。これにより、秒針車3は、その回転が安定して、秒針2aを精度良く安定させて正確に且つ良好に運針させる。
【0048】
すなわち、渦巻きばね16は、線径の細い線材17を渦巻き状に巻いて、中心部側の小径部16aが外周側の大径部16bよりも伸縮方向に盛り上げられたほぼ円錐台形に形成されているので、線材17の全長が線径に対して十分に長く形成され、これにより渦巻きばね16のばね力のコントロールが容易になり、低いばね定数で、安定したばね力が秒針歯車3aに付与される。
【0049】
また、この渦巻きばね16を秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に秒針軸3bと同一軸上に配置する際には、自由状態の渦巻きばね16における伸縮方向の全体の長さが秒針歯車3aと輪列受け部材6との間の間隔よりも長いので、自由状態の渦巻きばね16における伸縮方向の全体の長さを半分以下に圧縮させて、渦巻きばね16の大径部16bを秒針歯車3aの下面に配置させ、小径部16aを輪列受け部材6の上面に配置させる。
【0050】
このときには、秒針歯車3aの下面に対する渦巻きばね16の大径部16bの接触面積が輪列受け部材6の上面に対する渦巻きばね16の小径部16aの接触面積よりも大きくなる。このため、秒針歯車3aの下面に渦巻きばね16のばね力が広い面積で安定して加わり、秒針歯車3aと渦巻きばね16の大径部16bとの間に摩擦抵抗が広い面積で安定して確保される。
【0051】
これにより、秒針車3が回転する際には、秒針歯車3aと渦巻きばね16の大径部16bとの間に広い面積で安定して確保された摩擦抵抗によって、秒針歯車3aの回転角度が正確に且つ良好に規制され、秒針歯車3aの回転が安定して、秒針歯車3aが精度良く回転して、秒針2aが正確に且つ良好に運針する。
【0052】
また、このときには、渦巻きばね16の大径部16bの外周部の一部が折曲部18によって輪列受け部材6に向けて折り曲げられ、この折り曲げられた線材17の外周端部20が小径部16aの線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6の上面に配置されるので、秒針車3が回転する際に、渦巻きばね16が秒針歯車3aに対して相対的に回転しても、輪列受け部材6に対する渦巻きばね16の回転が阻止される。
【0053】
この場合、秒針車3が回転する際には、渦巻きばね16の大径部16bの線材17の外周端部20が秒針歯車3aに配置されることがなく、大径部16bの外周部における折曲部18が秒針歯車3aの下面に配置されているので、この折曲部18の湾曲面によって渦巻きばね16が秒針歯車3aに引っ掛かることなく、秒針歯車3aが渦巻きばね16に対して円滑に回転する。
【0054】
また、渦巻きばね16が秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に圧縮されて配置される際には、大径部16bの線材17の外周端部20が約10°の傾斜角度で小径部16aの線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6の上面に押し当られる。このため、秒針車3が回転する際には、渦巻きばね16が秒針歯車3aに対して相対的に回転しても、輪列受け部材6に対する回転が確実に阻止される。
【0055】
また、この渦巻きばね16は、回転体である秒針歯車3aの正回転方向、つまり秒針2aが運針する方向である時計回り方向と同じ方向に巻かれている。すなわち、この渦巻きばね16は、小径部16aの線材17の内周端部21から大径部16bの線材17の外周端部20に向けて時計回り方向に線材17が渦巻き状に巻かれている。
【0056】
このため、秒針2aが運針する時計回り方向に秒針車3が回転する際には、渦巻きばね16の大径部16bにおける線材17の外周端部20が輪列受け部材6の上面に引っ掛かり、渦巻きばね16の時計回り方向への回転が阻止される。この場合、渦巻きばね16の大径部16bにおける線材17の外周端部20は、線材17の中心軸線に対して傾いて切断され、この切断された鋭角部に第1面取り部20aが設けられている。
【0057】
これにより、秒針2aが運針する時計回り方向に秒針車3が回転する際には、線材17の外周端部20が鋭角部の第1面取り部20aによって輪列受け部材6の上面に時計回り方向に引っ掛かるので、渦巻きばね16の時計回り方向への回転が確実に且つ良好に阻止される。これにより、線材17の外周端部20による輪列受け部材6の上面の削れが防げる。
【0058】
また、秒針2aが運針する時計回り方向と反対方向に秒針車3が回転する際には、渦巻きばね16の小径部16aにおける線材17の内周端部21が輪列受け部材6の上面に引っ掛かり、渦巻きばね16の反時計回り方向への回転が阻止される。この場合にも、渦巻きばね16の小径部16aにおける線材17の内周端部21は、線材17の中心軸線に対して傾いて切断され、この切断された鋭角部に第2面取り部21aが設けられている。
【0059】
これにより、秒針2aが運針する時計回り方向と反対方向に秒針車3が回転する際には、線材17の内周端部21が鋭角部の第2面取り部21aによって輪列受け部材6の上面に反時計回り方向に引っ掛かるので、渦巻きばね16の反時計回り方向への回転が確実に且つ良好に阻止される。これにより、線材17の内周端部21による輪列受け部材6の上面の削れが防げる。
【0060】
このように、この腕時計の指針装置1によれば、回転体である秒針歯車3aと、この秒針歯車3aに設けられた指針軸である秒針軸3bと、この秒針軸3bが回転可能に設けられたベース部材である輪列受け部材6と、秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置され、秒針歯車3aと輪列受け部材6との一方の面に大径部16bが配置され、他方の面に小径部16aが配置されるほぼ円錐台形の渦巻きばね16と、を備えていることにより、秒針歯車3aの回転角度のばらつきを抑えて、秒針歯車3aを良好に回転させることができる。
【0061】
すなわち、この指針装置1では、ほぼ円錐台形の渦巻きばね16が秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置された際に、渦巻きばね16の大径部16bを秒針歯車3aと輪列受け部材6との一方の面に配置させることができ、渦巻きばね16の小径部16aを秒針歯車3aと輪列受け部材6との他方の面に配置させることができる。
【0062】
これにより、この指針装置1では、渦巻きばね16のばね力によって秒針歯車3aに負荷を加えて、渦巻きばね16と秒針歯車3aとの間に摩擦抵抗を確保することができるので、渦巻きばね16のばね力による摩擦抵抗によって秒針歯車3aの回転角度を一定に規制することができ、これにより秒針歯車3aの回転角度のばらつきを抑えることができ、秒針歯車3aの回転を安定させて、秒針歯車3aを良好に回転させることができる。
【0063】
この場合、この指針装置1では、渦巻きばね16が、線材17を渦巻き状に巻いて、中心部側の小径部16aが外周側の大径部16bよりも伸縮方向に盛り上げられたほぼ円錐台形に形成されていることにより、線材17の全長を線径に対して十分に長く形成することができ、これにより渦巻きばね16のばね力のコントロールが容易にでき、低いばね定数で、安定したばね力を秒針歯車3aに付与することができるので、渦巻きばね16と秒針歯車3aとの間に適切な摩擦抵抗を確保することができる。
【0064】
また、この指針装置1では、自由状態における渦巻きばね16の伸縮方向の長さ(高さ)が秒針歯車3aと輪列受け部材6との間の間隔よりも長いことにより、渦巻きばね16を秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置する際に、渦巻きばね16を圧縮させて配置させることができる。これにより、渦巻きばね16の大径部16bを秒針歯車3aと輪列受け部材6との一方の面にばね力をもって確実に且つ良好に配置させることができ、渦巻きばね16の小径部16aを秒針歯車3aと輪列受け部材6との他方の面にばね力をもって確実に且つ良好に配置させることができる。
【0065】
すなわち、この指針装置1では、渦巻きばね16を秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置する際に、自由状態の渦巻きばね16における伸縮方向の長さを半分以下の長さに圧縮させて、渦巻きばね16を秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置させることにより、渦巻きばね16のばね力によって渦巻きばね16の大径部16bを秒針歯車3aと輪列受け部材6との一方の面に確実に且つ良好に押し付けることができると共に、渦巻きばね16の小径部16aを秒針歯車3aと輪列受け部材6との他方の面に確実に且つ良好に押し付けることができる。
【0066】
また、この指針装置1では、渦巻きばね16の大径部16bが秒針歯車3aの下面に配置され、渦巻きばね16の小径部16aが輪列受け部材6の上面に配置されていることにより、秒針歯車3aの下面に対する渦巻きばね16の接触面積を輪列受け部材6の上面に対する渦巻きばね16の接触面積よりも大きくすることができ、これにより秒針歯車3aの下面に渦巻きばね16のばね力を安定させて良好に付与することができるので、秒針歯車3aと渦巻きばね16の大径部16bとの間に適切な摩擦抵抗を確保することができる。
【0067】
また、この指針装置1では、渦巻きばね16の大径部16bの外周部における線材17が輪列受け部材6に向けて折り曲げられ、この折り曲げられた線材17の外周端部20が小径部16aの内周部における線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6に配置されていることにより、秒針車3が回転する際に、渦巻きばね16が秒針歯車3aに対して相対的に回転しても、輪列受け部材6に対する渦巻きばね16の回転を阻止することができる。
【0068】
すなわち、この指針装置1では、渦巻きばね16の大径部16bにおける外周部の一部に折曲部18が輪列受け部材6に向けて約10°の傾斜角度で折り曲げられているので、自由状態の渦巻きばね16における伸縮方向の長さを半分以下の長さに圧縮させて、渦巻きばね16を秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置させた際に、折り曲げられた線材17の外周端部20を約10°の傾斜角度で小径部16aの線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6の上面に確実に且つ良好に押し当ることができる。
【0069】
このため、この指針装置1では、渦巻きばね16の大径部16bの線材17の外周端部20が秒針歯車3aに配置されることがなく、大径部16bの外周部における折曲部18を秒針歯車3aの下面に配置させることができ、この折曲部18の湾曲面によって渦巻きばね16が秒針歯車3aに引っ掛かることなく、秒針歯車3aを渦巻きばね16に対して円滑に回転させることができる。
【0070】
また、この指針装置1では、線材17の外周端部20が約10°の傾斜角度をもって小径部16aの線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6の上面に押し当てられていることにより、秒針車3が回転する際に、渦巻きばね16が秒針歯車3aに対して相対的に回転しても、輪列受け部材6に対する渦巻きばね16の回転を確実に且つ良好に阻止することができる。
【0071】
また、この指針装置1では、渦巻きばね16の線材17が秒針歯車3aの秒針2aの運針方向である時計回り方向の正回転方向と同じ方向に巻かれていることにより、秒針歯車3aが時計回り方向の正回転方向に回転する際に、渦巻きばね16の大径部16bにおける線材17の外周端部20を輪列受け部材6に引っ掛けることができ、また秒針歯車3aが正回転方向と反対方向に回転する際に、渦巻きばね16の小径部16aにおける線材17の内周端部21を輪列受け部材6に引っ掛けることができる。
【0072】
さらに、この指針装置1では、渦巻きばね16の大径部16bの外周端部20と小径部16aの内周端部21とがそれぞれ線材17の中心軸線に対して鋭角に切断され、且つ切断された鋭角部に第1面取り部20aと第2面取り部21aとが設けられていることにより、大径部16bの線材17の外周端部20の第1面取り部20aと小径部16aの線材17の内周端部21の第2面取り部21aとによって、線材17の外周端部20と内周端部21とを輪列受け部材6の上面に引っ掛け易くすることができる。
【0073】
すなわち、この指針装置1では、秒針2aが運針する時計回り方向に秒針車3が回転する際に、線材17の外周端部20を鋭角部の第1面取り部20aによって輪列受け部材6の上面に時計回り方向に引っ掛かることができるので、渦巻きばね16の時計回り方向への回転を確実に且つ良好に阻止することができると共に、線材17の外周端部20による輪列受け部材6の上面の削れを防ぐことができる。
【0074】
また、この指針装置1では、秒針2aが運針する時計回り方向と反対方向に秒針車3が回転する際に、線材17の内周端部21を鋭角部の第2面取り部21aによって輪列受け部材6の上面に反時計回り方向に引っ掛けることができるので、渦巻きばね16の反時計回り方向への回転を確実に且つ良好に阻止することができると共に、線材17の内周端部21による輪列受け部材6の上面の削れを防ぐことができる。
【0075】
なお、上述した実施形態では、渦巻きばね16の大径部16bを秒針歯車3aの下面に配置し、この渦巻きばね16の小径部16aを輪列受け部材6の上面に配置させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば渦巻きばね16の大径部16bを輪列受け部材6の上面に配置し、この渦巻きばね16の小径部16aを秒針歯車3aの下面に配置させても良い。
【0076】
この場合、上述した実施形態では、渦巻きばね16の大径部16bの外周部における線材17を輪列受け部材6に向けて折り曲げ、この折り曲げた線材17の外周端部20を小径部16aの内周部における線材17の内周端部21と共に輪列受け部材6に配置させたが、この発明は、これに限らず、例えば、渦巻きばね16の大径部16bの外周部における線材17を秒針歯車3aに向けて折り曲げ、この折り曲げた線材17の外周端部20を小径部16aの内周部における線材17の内周端部21と共に秒針歯車3aに配置させても良い。
【0077】
また、上述した実施形態では、分針車4の分針歯車4aと中間受け部材8との間に第2板ばね15を配置し、時針車5の時針歯車5aと歯車押え部材13との間に第1板ばね14を配置した場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば、第1板ばね14と第2板ばね15とに替えて、秒針車3の秒針歯車3aと輪列受け部材6との間に配置された渦巻きばね16と同じ渦巻きばねを配置しても良い。
【0078】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、例えばメータや計器類などの測定機器にも適用することができる。
【0079】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0080】
(付記)
請求項1に記載の発明は、回転体と、前記回転体に設けられた指針軸と、前記指針軸が回転可能に設けられたベース部材と、前記回転体と前記ベース部材との間に配置され、前記回転体と前記ベース部材との一方の面に大径部が配置され、他方の面に小径部が配置されるほぼ円錐台形の渦巻きばねと、を備えていることを特徴とする指針装置である。
【0081】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の指針装置において、前記渦巻きばねは、線材を渦巻き状に巻いて、前記小径部を前記大径部よりも伸縮方向に突出させたほぼ円錐台形に形成されている、ことを特徴とする指針装置である。
【0082】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の指針装置において、前記渦巻きばねは、自由状態における伸縮方向の長さが前記回転体と前記ベース部材との間の間隔よりも長く形成されている、ことを特徴とする指針装置である。
【0083】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の指針装置において、前記渦巻きばねは、前記大径部が前記回転体に配置され、前記小径部が前記ベース部材に配置されている、ことを特徴とする指針装置である。
【0084】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の指針装置において、前記渦巻きばねは、前記大径部における外周部の前記線材が前記ベース部材に向けて折り曲げられ、前記折り曲げられた線材の端部が前記小径部の内周部における前記線材の端部と共に前記ベース部材に配置されている、ことを特徴とする指針装置である。
【0085】
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項5のいずれかに記載の指針装置において、前記渦巻きばねは、前記回転体の正回転方向と同じ方向に巻かれている、ことを特徴とする指針装置である。
【0086】
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかに記載の指針装置において、前記渦巻きばねの前記大径部と前記小径部との各端部は、線材の中心軸線に対して鋭角に切断され、且つ切断された鋭角部に面取り部が設けられている、ことを特徴とする指針装置である。
【0087】
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載された指針装置を備えている、ことを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0088】
1 指針装置
2 指針
2a 秒針
2b 分針
2c 時針
3 秒針車
3a 秒針歯車
3b 秒針軸
4 分針車
4a 分針歯車
4b 分針軸
5 時針車
5a 時針歯車
5b 時針軸
6 輪列受け部材
8 中間受け部材
10 メインプレート
13 歯車押え部材
14 第1板ばね
15 第2板ばね
16 渦巻きばね
16a 小径部
16b 大径部
17 線材
18 折曲部
20 外周端部
20a 第1面取り部
21 内周端部
21a 第2面取り部