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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20230209BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
F24F13/20 205
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019509355
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2018010852
(87)【国際公開番号】W WO2018180718
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2017071422
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】矢野 豪之
(72)【発明者】
【氏名】本田 仁郎
(72)【発明者】
【氏名】武曾 浩之
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097838(JP,A)
【文献】特開2003-322377(JP,A)
【文献】中国実用新案第201527014(CN,U)
【文献】特開2007-247920(JP,A)
【文献】中国実用新案第206018759(CN,U)
【文献】特開2010-185617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器の上方に設置され、調理により発生する油煙を捕集するレンジフードであって、
送風機を内部に有する本体と、
設置された場合に奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かうように傾斜する、矩形平板の傾斜面部と前記傾斜面部の上端から手前側に屈曲して延在する庇部とからなり、油煙を捕集するフード部と、
前記傾斜面部に設けられた前記送風機と連通する開口部より大きく、前記フード部と縁部との間で前記送風機が発生させる空気の流れの吸込口を形成する矩形の整流板と、
を備え、
前記フード部の側面は開放されており、
前記庇部の手前側の端部は、前記整流板の手前側の端部よりも手前側に位置し、
前記傾斜面部が水平面となす角度θ1と、前記整流板が水平面となす角度θ2と、前記庇部が水平面となす角度θ3が、(1)式の関係を有するレンジフード。
0<θ3<θ2<θ1 ・・・(1)式
【請求項2】
前記フード部は、前記傾斜面部の下端から延在する底面部をさらに有し、
前記底面部が水平面となす角度θ4は、(2)式の関係を有することを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
0<θ4<θ1 ・・・(2)式
【請求項3】
前記整流板の左右幅より大きい左右幅を有し、前記整流板の下端側に、前記フード部に着脱可能に設けられる油受をさらに備え、
前記油受の手前側端部と前記整流板との間で前記吸込口を形成し、
前記油受の底面が水平面となす角度θ5は、(3)式の関係を有することを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
0<θ5≦θ2 ・・・(3)式
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、設置されたレンジフードの奥側から手前側に向かうにつれて上方に向かうように大きく傾斜し、下方の調理器から上昇してくる油煙等を捕集するフード部を備えるレンジフードは知られている(たとえば、特許文献1が示すレンジフード)。かかるレンジフードでは、フード側面に左右側板を、フード正面に前板を設けることで整流板の周囲に凹部を形成し、油煙等を効率よく捕集するために上昇してくる油煙等を受け止める構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-097838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような構成では左右側板があることで左右からの見通しが悪く、また調理者側に突出するように左右側板や前板が存在することから調理者に対して圧迫感を与えてしまっていた。さらには、整流板の周囲に凹部を形成していることから、凹凸が多く清掃性が悪いものであった。そこで、整流板の周囲における凹部を無くすことが考えられるが、整流板の周囲における凹部を単純に無くすと、前述した上昇してくる油煙等を受け止めることができず、上昇してくる油煙等が捕集しきれずにレンジフード外部に漏れてしまうという問題があった。
そこで、本発明では、左右側板などの調理者に対して圧迫感を与えるものや整流板の周囲に凹部を形成するものを無くすと共に、上昇してくる油煙等を効率よく捕集できるレンジフードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、調理器の上方に設置され、調理により発生する油煙を捕集するレンジフードであって、送風機を内部に有する本体と、設置された場合に奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かうように傾斜する、矩形平板の傾斜面部と傾斜面部の上端から手前側に屈曲して延在する庇部とからなり、油煙を捕集するフード部と、傾斜面部に設けられた送風機と連通する開口部より大きく、フード部と縁部との間で送風機が発生させる空気の流れの吸込口を形成する矩形の整流板と、を備え、フード部の側面は開放されており、庇部の手前側の端部は、整流板の手前側の端部よりも手前側に位置し、傾斜面部が水平面となす角度θ1と、整流板が水平面となす角度θ2と、庇部が水平面となす角度θ3が、(1)式の関係を有するレンジフードが提供される。
0<θ3<θ2<θ1 ・・・(1)式
これによれば、整流板が傾斜面部と異なる傾斜角度で取り付けられることで、上方の吸込口が下方の吸込口に比して大きく吸込流量が多い状態となり、かつ庇部が上方に向かって傾斜して延在していることから、レンジフード上方側に漏れようとする油煙等に効果的に吸引力が働き、効率良く油煙を捕集することが可能となるレンジフードを提供できる。すなわち、庇部が上方に向かって傾斜して延在していることで、整流板とフード部との隙間で構成される吸込口からの吸込み力が、庇部が水平な場合よりも上方の領域に伝わりやすくなり、上方へと漏れようとする油煙を効率よく捕集することが可能となる。
また、整流板が傾斜面部の前方で且つ下端側より上端側の方が傾斜面部からの距離が大きくなるように傾斜面部とは異なる傾斜角度で取り付けられていることで、上方に舞い上がるにつれて広く拡散しようとする油煙等の振る舞いに合わせて上方になるほど強く吸込むことが可能となることから、フード左右方向への漏れを低減することが可能となる。
さらに、整流板が側面から視認できるようにフード部の左右側面に側面板等が存在せず、庇部が上方に向かって傾斜して延在していることから、調理者に圧迫感を与えることがなく、整流板の周囲に凹部がなく凹凸が少ないことから清掃性が高いレンジフードを提供できる。
【0006】
さらに、フード部は、傾斜面部の下端から延在する底面部をさらに有し、底面部が水平面となす角度θ4は、(2)式の関係を有することを特徴としてもよい。
0<θ4<θ1 ・・・(2)式
これによれば、底面部が手前側に向けて上方へ傾斜していることで、調理器の奥側から発生する油煙(例えばグリル排気)が底面部に接触した際に、傾斜面部にスムーズに案内され、底面部左右からレンジフード外部へと油煙が漏れてしまうことを低減することができる。
【0007】
さらに、整流板の左右幅より大きい左右幅を有し、整流板の下端側に、フード部に着脱可能に設けられる油受をさらに備え、油受の手前側端部と整流板との間で吸込口を形成し、油受の底面が水平面となす角度θ5は、(3)式の関係を有することを特徴としてもよい。
0<θ5≦θ2 ・・・(3)式
これによれば、油受の底面が手前側に向けて上方へ傾斜し、油受の上端が整流板との間で吸込口を形成することで、油受の底面に接触した油煙等は、傾斜した油受の底面に沿ってスムーズに上方に案内され、吸込口に効率よく吸い込まれる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、左右側板などの調理者に対して圧迫感を与えるものや整流板の周囲に凹部を形成するものを無くすと共に、上昇してくる油煙等を効率よく捕集するレンジフードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第一実施例のレンジフードの6面図。(A)上面図、(B)正面図、(C)底面図、(D)右側面図、(E)背面図、(F)左側面図。
図2】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、(A)右斜め上から見た場合の斜視図、(B)右斜め下から見た場合の斜視図。
図3】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、図1に示したI-I断面における断面図。
図4】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、整流板を外した場合の正面図。
図5】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、(A)整流板付近を拡大した拡大左側面図、(B)拡大左側面図において角度を示した説明図。
図6】本発明に係る第一実施例の変形例のレンジフードの、(A)整流板付近を拡大した拡大左側面図、(B)拡大左側面図において角度を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図5を参照し、本実施例に係るレンジフード100を説明する。レンジフード100は、調理器(図示せず)の上方に設置され、調理により発生し上昇してくる油煙や蒸気などを捕集し、ダクト(図示せず)を介して屋外へ排気するレンジフードである。レンジフード100は、ダクトと接続される本体10と、油煙等を捕集するフード部20と、フード部20との間で空気を吸い込む吸込口50を形成する整流板30と、を備える。
【0011】
本体10は、回転することで空気の流れを発生させる送風機11を内部に有する。送風機11は、静圧の高いシロッコファンが好ましい。本体10は、調理器の上方に設置される際、設置場所に設けられたダクトと上面において接続されると共に、ダクトを覆うダクトカバーDと接続される。本体10は、上面と背面は概ね平面で、上面は天井に平行に、背面は壁に平行に(または接するように)形成されているので、互いに直角に交わっている。本体10は、正面側の主要部においては、設置された場合に奥側(背面側/壁側)から手前側(正面側)に向かうにつれて上方へ向かって傾斜するように開口して形成されている。したがって、本体10の側面視の概ねの外形は、直角三角形をなし、三角形の斜辺の部分が開口して、その開口を覆うようにしてフード部20が設けられている。
【0012】
フード部20は、矩形の平板である傾斜面部21と傾斜面部21の上端25から手前側(正面側)に屈曲して延在する庇部22とからなる。本体10の正面側の主要部となる開口は、矩形平板の傾斜面部21に覆われており、上述したように、設置された場合に奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かって傾斜するようにして形成されているので、傾斜面部21は、設置された場合に奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かうように傾斜する平面を構成する。傾斜面部21は、図3および図4に示すように、中央上部に開口部24を有し、送風機11が発生させた空気の流れの流路を形成する。なお、開口部24には、油分を捕獲するフィルタが設けられることが好ましい。このように、傾斜面部21は、開口部24や、整流板30を保持するための留め具等を除き、ほぼ平面のみから構成されており、油分が付着しても清掃が容易な形態となっている。なお、本実施例では、送風機11のオンオフや風量を調整するスイッチ1が、傾斜面部21に設けられている。
【0013】
庇部22は、傾斜面部21の上端25から手前側に屈曲して延在する平面からなる。庇部22は、傾斜面部21の傾斜より緩やかな傾斜(水平面により近い傾斜)をなすように傾斜面部21の上端25で屈曲し、平面が延在して形成されている。庇部22は左右方向全域にわたり前後方向(奥側から手前側の方向)が略等幅となるように形成されており、庇部22自体は、長い細い矩形をなす。また、庇部22は傾斜面部21と同じ左右幅からなることでフード部20の左右方向全域にわたり吸込口からの吸込み力を上方の領域に伝わりやすくしている。
【0014】
なお、フード部20は、本実施例のように、傾斜面部21の下端26から延在する底面部27をさらに有してもよい。底面部27は、傾斜面部21の下端26で傾斜面部21の傾斜より緩やかな傾斜をなすように屈曲し、平面が延在して形成されている。底面部27は左右方向全域にわたり前後方向(奥側から手前側の方向)が略等幅となるように形成され、設置された場合壁と当接することが好ましく、底面部27の端部のうち壁と接触する部分は面で接触することが特に好ましいものである。すなわち、底面部27の端部は背面側において本体10の背面と面一な状態であることが好ましいものである。底面部27があることで、調理器の奥側から発生する油煙(例えば調理器のグリル排気)もフード部の上方(手前側)に誘導することができる。底面部27は傾斜面部21と同じ左右幅からなることでフード部20の左右方向全域にわたり底面部を水平に設けるより油煙をフード部の上方(手前側)に誘導するといった効果を発揮することができる。なお、本実施例では、照明2とリモコン操作を受け付ける赤外線受光部3が、底面部27に設けられている。
【0015】
従来のレンジフードのフード部では油煙等を受け入れて捕集するための凹部を設けるために左右に側板を設けるところ、上述したように、フード部20の傾斜面部21、庇部22、底面部27のそれぞれは概ね平面のみから構成され、側板のような部材を備えていない。したがって、レンジフード100においては、フード部20の側面は開放されており、側面視において、左側面から右側面の方をまた右側面から左側面の方を見通せる形態となっている。無論、フード部20の前面に取り付けられる整流板30も視認できる。これにより、左右の側板などの調理者に対して圧迫感を与えるものや整流板の周囲に凹部を形成するものを無くすことができる。すなわち、整流板30が側面から視認できるようにフード部20の左右側面に側面板等が存在せず、調理者に圧迫感を与えることがなく、整流板30の周囲に凹部がなく凹凸が少ないことから清掃性が高いレンジフード100を提供できる。
【0016】
整流板30は、傾斜面部21に設けられた送風機11と連通する開口部24より大きい矩形の平板であり、傾斜面部21の前面(正面側)に正面視で開口部24を覆うように設けられる。整流板30は、傾斜面部21に設けられた留め金を介して取り付けられる。整流板30である平板の縁部31は、フード部20の正面側の面との間で空気を吸い込む吸込口50を形成する。
【0017】
より具体的には、整流板30において左右に位置する縁部31である側端34は、傾斜面部21との間で吸込口50aを形成し、整流板30において上に位置する縁部31である上端32(手前側の端部)は、傾斜面部21や庇部22との間で吸込口50bを形成し、整流板30において下に位置する縁部31である下端33は、傾斜面部21との間で吸込口50cを形成する。吸込口50bと吸込口50cにおける空気の流入方向に対する垂直な方向の断面は、上端32および下端33は傾斜面部21と平行に設けられているので、矩形である。また、上端32と傾斜面部21の距離は、下端33と傾斜面部21の距離より大きいので、吸込口50bの面積は、吸込口50cの面積より大きい。したがって、吸込口50bの空気の吸込量は、吸込口50cに比して多い。
【0018】
上端32と傾斜面部21の距離が下端33と傾斜面部21の距離より大きく設けられているので、吸込口50aにおける空気の流入方向に対する垂直な方向の断面は、矩形ではなく、下端33側で小さく上端32側で大きくなる概ね三角形をなす。そうすると、吸込口50aの空気の吸込量は、上下方向で均一ではなく、下端33から上端32に行くに従い、徐々に大きくなるように変化する。
【0019】
なお、整流板30の上端32と傾斜面部21の距離が下端33と傾斜面部21の距離より大きく設けられているが、整流板30の手前側の端部となる上端32は、庇部22の端部23(庇部22の手前側端部)より奥側(背面側)に位置する。すなわち、庇部22の端部23は、整流板30の手前側の端部となる上端32よりも手前側に位置する。これにより、整流板30の上端32から上昇しようとする油煙の拡散を庇部22で防止することができる。
【0020】
なお、レンジフード100は、整流板30の下端33側にフード部20と着脱可能に油受40をさらに設けてもよい。油受40の上端42(手前側端部)は、整流板30の下端33より、手前側に位置する。油受40は、整流板30の左右幅より大きい左右幅を有することで、整流板30に付着した油分が下端33から垂れても、その油分を受け止めて回収することができる。油受40の上端42(手前側端部)と整流板30との間で吸込口50dを形成し、吸込口50dは、整流板30の下端33と傾斜面部21の間の吸込口50cと連通する。油受40は、油受40を形成する面の中で上昇してくる油煙が主に接触する面を底面41として備える。
【0021】
図5を参照して、レンジフード100が設置された場合に奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かうように傾斜する傾斜面部21、整流板30、庇部22、底面部27、および油受40の底面41の傾斜角度の関係について説明する。ここで、本図(B)が示すように、傾斜面部21が水平面となす角度を角度θ1、整流板30が水平面となす角度を角度θ2、庇部22が水平面となす角度を角度θ3、底面部27が水平面となす角度を角度θ4、油受40の底面41が水平面となす角度を角度θ5とする。
【0022】
レンジフード100においては、傾斜面部21が水平面となす角度θ1と、整流板30が水平面となす角度θ2と、庇部22が水平面となす角度θ3が、(1)式の関係を有する。
0<θ3<θ2<θ1 ・・・(1)式
【0023】
すなわち、
整流板30が水平面となす角度θ2 < 傾斜面部21が水平面となす角度θ1
の関係があり、整流板30は、上端32と傾斜面部21の距離が下端33と傾斜面部21の距離より大きくなるように、傾斜面部21とは異なる傾斜角度で取り付けられる。これにより、整流板30の上側の吸込口50bの空気の吸込量は、下側の吸込口50cに比して多くなると共に、整流板30の左右側部の吸込口50aの空気の吸込量は、下端33から上端32に行くに従い大きくなるように変化する。そうすると、上方に舞い上がるにつれて広く拡散しようとする油煙等の振る舞いに合わせて、下側から上側の吸込口になるにつれて吸込量が多くなるので、フード部の左右方向への漏れを低減することが可能となる。
【0024】
また、レンジフード100においては、
庇部22が水平面となす角度θ3 < 整流板30が水平面となす角度θ2
の関係があり、庇部22は、傾斜面部21の傾斜より緩やかな傾斜(水平面により近い傾斜)をなすように傾斜面部21の上端25で屈曲し、平面が延在して形成される。仮に、庇部22が水平面となす角度θ3が整流板30が水平面となす角度θ2以上の場合、整流板30の上端32は、庇部22と吸込口50bを形成することができないため、油煙を効率よく捕集することできない。
【0025】
また、レンジフード100においては、
0< 庇部22が水平面となす角度θ3
の関係があり、庇部22は、奥側から手前側に向かうにつれて上方へ向かうように傾斜する。このように、0 < 角度θ3 < 角度θ2の関係を有することで、レンジフード100の上方側に漏れようとする油煙等に効果的に吸引力が働き、効率良く油煙を捕集することが可能となる。すなわち、庇部22が上方に向かって傾斜して延在していることで、整流板30とフード部20との隙間で構成される吸込口50bからの吸込み力が、庇部22が水平な場合よりも上方の領域に伝わりやすくなり、上方へと漏れようとする油煙を効率よく捕集することが可能となる。また、庇部22が上方に向かって傾斜して延在していることから、調理者に圧迫感を与えることが少ない。
【0026】
また、レンジフード100においては、底面部27を備える場合、底面部27が水平面となす角度θ4と傾斜面部21が水平面となす角度θ1は、(2)式の関係を有してもよい。
0<θ4<θ1 ・・・(2)式
【0027】
これによれば、底面部27が手前側に向けて上方へ傾斜していることで、調理器の奥側から発生する油煙(例えばグリル排気)が底面部27に接触した際に、傾斜面部21にスムーズに案内され、底面部27の左右からレンジフード外部へと油煙が漏れてしまうことを低減することができる。また、底面部27が傾斜面部21の傾斜より緩やかな傾斜をなすように傾斜面部21の下端26で屈曲し、平面が延在して形成されることで、レンジフード100の奥側(背面側/壁側)と調理器との間の空間が広く確保でき、使用者に圧迫感を与えずに使用勝手の良い状況を確保することができる。
【0028】
また、レンジフード100においては、油受40を備える場合、油受40の底面41が水平面となす角度θ5と整流板30が水平面となす角度θ2は、(3)式の関係を有してもよい。
0<θ5≦θ2 ・・・(3)式
【0029】
これによれば、油受40の底面41が手前側に向けて上方へ傾斜し、油受40の上端42が整流板30との間で吸込口50dを形成することで、油受40の底面41に接触した油煙等は、傾斜した油受40の底面41に沿ってスムーズに上方に案内され、吸込口50dに効率よく吸い込まれる。また、油受40の底面41の角度θ5が整流板30の角度θ2以下であることで、油受40の底面41下端と傾斜面部21との段差を少なくすることが可能であり、フード部に沿って上昇してきた油煙が遮られる(段差に衝突する)ことが少なくなるため、油煙が遮られる(段差に衝突する)ことで左右方向に拡散してしまうことを低減することができる。
【0030】
<第一実施例の変形例>
図6を参照し、本実施例における変形例を説明する。なお、重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に述べる。異なる構成要素は、庇部22Aおよび底面部27Aである。フード部20Aは、矩形の平板である傾斜面部21と、傾斜面部21の上端25から手前側(正面側)に湾曲して延在する庇部22Aと、傾斜面部21の下端26から壁側に湾曲して延在する底面部27Aを有する。
【0031】
庇部22Aの、傾斜面部21の上端25における接線が水平面となす角度は、傾斜面部21が水平面となす角度θ1と同じである。そこから、庇部22Aは、整流板30の上端32の方へ大きな曲率で湾曲し、整流板30の上端32と間で吸込口を形成する。なお、本変形例において、庇部22Aが水平面となす角度θ3とは、本図(B)に示すように、庇部22Aの根元である傾斜面部21の上端25と、庇部22Aの先端である端部23Aとを結んだ直線が水平面となす角度のことである。
【0032】
底面部27Aの、傾斜面部21の下端26における接線が水平面となす角度は、傾斜面部21が水平面となす角度θ1と同じである。そこから、底面部27Aは、壁の方へ大きな曲率で湾曲し、壁面と当接する。なお、底面部27Aが水平面となす角度θ4とは、本図(B)に示すように、底面部27Aの根元である傾斜面部21の下端26と、底面部27Aの先端とを結んだ直線が水平面となす角度のことである。
【0033】
本変形例においても、傾斜面部21が水平面となす角度を角度θ1、整流板30が水平面となす角度を角度θ2、庇部22Aが水平面となす角度を角度θ3、底面部27Aが水平面となす角度を角度θ4、油受40の底面41が水平面となす角度を角度θ5において、上述した(1)式、(2)式、(3)式の関係が成立する。これにより、整流板30が傾斜面部21と異なる傾斜角度で取り付けられることで、上方の吸込口が下方の吸込口に比して大きく吸込流量が多い状態となり、かつ庇部22Aが整流板30の上端32を取り囲むようにして吸込口を形成することから、レンジフード上方側に漏れようとする油煙等に効果的に吸引力が働き、効率良く油煙を捕集することが可能となるレンジフードを提供できる。
【0034】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、適用例、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。例えば実施例では、本体10は、調理器の上方に設置される際、設置場所に設けられたダクトと上面において接続される構造としているが、本体10の背面側(後側)や側面側でダクトと接続される構造としても良く、その場合には実施例で存在したダクトカバーDは設けずとも良いものである。また、本体10の上面においてダクト接続される場合においても、ダクトの接続方向は上方側でも背面側でも側方側でも良いものであり、接続にはL型ダクトやフレキシブルダクト等の一般的に使用されるダクト接続方法を採用できる。すなわちどのような排気方向であっても本発明は適用できるものであり、特定の排気方向に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
100 レンジフード
1 スイッチ
2 照明
3 赤外線受光部
10 本体
11 送風機
20 フード部
21 傾斜面部
22 庇部
23 庇部の端部
24 開口部(フィルタ)
25 傾斜面部の上端
26 傾斜面部の下端
27 底面部
30 整流板
31 縁部
32 整流板の上端(手前側端部)
33 整流板の下端
34 整流板の側端
40 油受
41 底面
42 油受の上端(手前側端部)
50 吸込口
D ダクトカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6