(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20230209BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G03B27/62
F16C11/04 F
(21)【出願番号】P 2018247475
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲生
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-091794(JP,A)
【文献】特開2002-131990(JP,A)
【文献】実開昭54-113268(JP,U)
【文献】実開昭55-113469(JP,U)
【文献】実開昭62-107081(JP,U)
【文献】特開2008-190154(JP,A)
【文献】特開平06-067477(JP,A)
【文献】特開昭62-002247(JP,A)
【文献】米国特許第06141909(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1303134(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/58-27-64
G03G 15/00、15/04-15/043、15/047
21/16
H04N 1/00、1/04-1/207
F16C 11/00-11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回動可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に前記支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されたところの前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、を有する原稿圧着板開閉装置において、前記リフト部材が前記支持部材とは前記逆方向に回転した際に当該リフト部材と前記支持部材との間に形成される空間部を塞ぐために、前記リフト部材と前記支持部材又は前記取付部材又は前記第1ヒンジシャフトとの間に設けられた指挟み防止機構を備
え、前記指挟み防止機構は、複数短冊状のプレート部と、これらの各プレート部の両側端部に設けられると共に、互いに一方の側にのみ折り曲げ可能に連結された折り曲げ防止突起とで構成された指挟み防止部を有し、この指挟み防止部の一端部を前記リフト部材に第1取付部を介して取り付け、前記指挟み防止部の他端部を前記支持部材へ第2取付部を介して取り付けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
前記指挟み防止機構は、平板状のプレート部材から成り、このプレート部材を前記リフト部材の後端部側へ取り付けた揺動支持部を介して回動可能となるように取り付けると共に、前記揺動支持部には前記リフト部材の回動時に前記プレート部材に当接して前記空間部側への回動を防止する規制板が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の原稿圧着板開閉装置を用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器に備えられている原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体には、その装置本体の上面後部に対し原稿圧着板が原稿圧着板開閉装置を介して回動可能に取り付けられているものがある。この原稿圧着板開閉装置は、一種のヒンジ機構であり、原稿圧着板をヒンジ軸まわりに回動可能に軸支して、装置本体の上面のコンタクトガラス面上に原稿圧着板を密着させることができると共に、そのコンタクトガラスを露出させることができる。原稿をコンタクトガラス面上にセットするには、原稿圧着板を回動させて(上下方向に開閉させて)コンタクトガラス面を露出(開放)させ、そのコンタクトガラスの面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を閉じて原稿をコンタクトガラス面上に圧着させることにより、原稿をコンタクトガラス面上にセットすることができる。
【0003】
このような原稿圧着板開閉装置の中には、リフト部材及び圧縮コイルスプリングを設けて、厚さに関係なく原稿をコンタクトガラスに密着させることができると共に、圧縮コイルスプリングの付勢力により本来の重量を感じさせることなく原稿圧着板を回転させることができる原稿圧着板開閉装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載されている原稿圧着板開閉装置は、事務機器の装置本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回動可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に支持部材の自由端部に第2ヒンジシャフトを介して回動可能に軸支され、かつ、原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、このリフト部材と前記取付部材の間に設けられ、リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ付勢する圧縮コイルスプリングとを備えている。
【0005】
これにより、本のような厚物の原稿を複写する場合、コンタクトガラス上に厚物の原稿をセットした後に、原稿圧着板を閉成方向に回転させると、原稿の原稿圧着板開閉装置側の端部に原稿圧着板が接触し、さらに原稿圧着板を下押しすると、リフト部材が第2ヒンジシャフトを支点に支持部材に対し反転し、原稿圧着板をコンタクトガラスに対して水平状態に設置し、厚物の原稿をコンタクトガラス上に圧着させ、かつ外光がコンタクトガラスを介して事務機器の内部に進出するのを防止することができるように構成されている。
そうすると、
図17に示したように、リフト部材の後部と支持部材の後部との間に空間部が生ずる。原稿圧着板開閉装置は、コンタクトガラス上より厚物の原稿を取り去り、一度開成方向へ開くと、リフト部材は支持部材と重なり合う元位置に戻るように構成されているが、リフト部材が反転したままで原稿圧着板を閉じようとすると、原稿圧着板、即ち、リフト部材が元位置に戻らないまま閉じられ、原稿圧着板がその先端側を下げた状態で、しかもリフト部材の後部と支持部材の後部の間に空間部が生じた状態で閉じられることになる。この場合でも一度原稿圧着板を開成方向へ開くと、リフト部材が支持部材に重なり合う元位置に戻すことができるが、装置に対する不知或は誤解により、この操作をせず、操作者が原稿圧着板の後端部へ手を回してリフト部材の部分に手を添えて下押しする場合がある。
そうするとリフト部材と支持部材との間に生じている空間部に指を挟んで怪我をしてしまう場合が生ずるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、従来公知の上記原稿圧着板開閉装置において、上述したような事故を未然に防止することのできる稿圧着板開閉装置並びにその原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願請求項1発明は、原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回動可能に軸支された支持部材と、この支持部材に重なり合うと共に前記支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されたところの前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、を有する原稿圧着板開閉装置において、前記リフト部材が前記支持部材とは前記逆方向に回転した際に当該リフト部材と前記支持部材との間に形成される空間部を塞ぐために、前記リフト部材と前記支持部材又は前記取付部材又は前記第1ヒンジシャフトとの間に設けられた指挟み防止機構を備え、前記指挟み防止機構は、複数短冊状のプレート部と、これらの各プレート部の両側端部に設けられると共に、互いに一方の側にのみ折り曲げ可能に連結された折り曲げ防止突起とで構成された指挟み防止部を有し、この指挟み防止部の一端部を前記リフト部材に第1取付部を介して取り付け、前記指挟み防止部の他端部を前記支持部材へ第2取付部を介して取り付けたことを特徴とする。
【0009】
次に、本願請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置は、前記指挟み防止機構を、平板状のプレート部材で構成し、このプレート部材を前記リフト部材の後端部側へ取り付けた揺動支持部を介して回動可能となるように取り付けると共に、前記揺動支持部には前記リフト部材の回動時に前記プレート部材に当接して前記空間部側への回動を防止する規制板が設けられていることを特徴とする。
【0010】
そして、請求項3に記載の事務機器は、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成したので、本のような厚物の原稿でも原稿圧着板で水平に覆ってコンタクトガラス上に圧着ことができ、外光が装置本体内部へ侵入するのを極力防止でき、そのような作用効果を得ながら、使用者がリフト部材と支持部材の各後部に生じた空間部に指を挟んで怪我をする事故を未然に防止できる安全性の高い原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側面図である。
【
図2】本発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す背面図である。
【
図3】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の指挟み防止機構の一例を示す図で、(a)は斜視図、(b)は側面図及びその一部拡大図である。
【
図4】本発明の原稿圧着板開閉装置のリフト部材が支持部材に対して反転した場合の指挟み防止機構の動作を示す側面図である。
【
図5】
図4に示した原稿圧着板開閉装置の背面図である。
【
図6】本発明の原稿圧着板開閉装置の全開成状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の原稿圧着板開閉装置の指挟み防止機構が内側へは曲がらず、やや湾曲した状態を保つ状態を説明するもので、指挟み防止機構がやや内側へ湾曲した状態を示す図、及びその一部拡大図である。
【
図8】本発明の原稿圧着板開閉装置の他の実施例を示す側面図である。
【
図9】本発明の原稿圧着板開閉装置のさらに他の実施例を示す側面図である。
【
図10】
図9に示した原稿圧着板開閉装置の背面図である。
【
図11】
図9に示した原稿圧着板開閉装置の指挟み防止機構の拡大分解斜視図ある。
【
図12】
図9に示した原稿圧着板開閉装置の指挟み防止機構の動作を説明する側面図である。
【
図14】
図9に示した原稿圧着板開閉装置の全開成状態を示す側面図である。
【
図15】
図9に示した原稿圧着板開閉装置の指挟み防止機構のプレート部材と揺動支持部の連結部分のA-A線拡大断面図であり、(a)は
図12に示したように、リフト部材が動作した際の状態を示し、(b)は
図14に示したように、原稿圧着板を最大角度まで開いた際の状態を示している。
【
図16】本発明の原稿圧着板開閉装置のさらに他の実施例を示す側面図である。
【
図17】従来公知の原稿圧着板開閉装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明の原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器の実施例を添付した図面に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0014】
図1~
図7は、本発明に係る実施例1の原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器の一例を示す図である。本発明の原稿圧着板開閉装置1は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体2の上面に対し原稿圧着板3を開閉可能に取り付ける一種のヒンジ装置である。
本発明に係る原稿圧着板開閉装置1は、図面に示すように、装置本体2に取り付けられる取付部材4と、その取付部材4の両側板42、42に第1ヒンジシャフト11を介して回動自在に連結される支持部材5と、この支持部材5の両側板52、52に第2ヒンジシャフト12を介して回動自在に連結された状態で原稿圧着板3を取り付けるリフト部材6と、を備え、支持部材5が、通常使用時、原稿圧着板3を装置本体2の上面に接触する閉成位置から最大使用開放位置まで回動し、かつ、支持部材5が、メンテナンス時、さらに最大使用開放位置から最大開放位置まで回動するものである。本発明の原稿圧着板開閉装置1の特徴は、リフト部材6が支持部材5に挿通されている第2ヒンジシャフト12を軸に回動したときに形成される空間部Rに、人の指が入らないように防止する指挟み防止機構7を設けたことにある。尚、第1ヒンジシャフト11と第2ヒンジシャフト12は、図面上1本のものを示したが、これを2分割して取付部材4の両側板42、42と支持部材5の両側板52、52同士、及び支持部材5の両側板52、52とリフト部材6の両側板62、62同士をそれぞれ別々に軸着してもよい。本願発明で第1ヒンジシャフト11と第2ヒンジシャフト12といった場合には、これらのものを含むものとする。
【0015】
取付部材4は、
図1に示すように、装置本体2の後部上端側に取り付けられる底板41と、底板41の両側端部からそれぞれ底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板42、42と、底板41の一端部(後端部)から底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる略矩形状の取付片43と、から構成されている。
【0016】
底板41は、略矩形状に形成され、ビスボルやボルト等で装置本体2に取り付けるための取付孔(図示せず)が設けられている。両側板42、42は、断面略L字状に形成され、底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる取付片42aの先端部(上部)に第1ヒンジシャフト孔46が設けられている。取付片42aの第1ヒンジシャフト孔46より底板41側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置には受圧部材孔47が設けられている。両取付片42aの受圧部材孔47に受圧部材13が挿通されている。尚、この受圧部材13はピン状でなくとも良く、湾曲させた部材や樹脂製のものを両側板42、42間に取り付けてもよい。
【0017】
支持部材5は、上板51と、上板51の端部のうち、後述する一対のスライダー31、32がスライドする方向に沿った両側端部からそれぞれ、取付部材4の両側板42、42を覆うように、上板51に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板52、52と、両側板52、52の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片54、54とから構成され、さらに両側板52,52からは上方へストッパ片55、55が設けられている。なお、このストッパ片55,55は、第2取付部72がリフト部材6の上板61の下面側に取り付ける場合には省略できる場合もある。
【0018】
両側板52、52の一端部(前端部)には、第2ヒンジシャフト12が挿通される第2ヒンジシャフト孔(図示せず)が設けられていると共に、後述する作動部材14が入り込む切欠部56、56(一方の図示を省略)が設けられている。両側板52、52の他端部(後端部)には、第1ヒンジシャフト挿通孔(図示せず)が設けられている。両側板52、52の第1ヒンジシャフト挿通孔と取付部材4の第1ヒンジシャフト孔46とが軸合わせされてこれら孔に第1ヒンジシャフト11が挿通されることによって、支持部材5が取付部材4に第1ヒンジシャフト11を軸に回動自在に連結されている。
【0019】
支持部材5内には、一対のスライダー31、32が嵌合されている。一対のスライダー31、32は、底面である閉塞面31a、32aを有し、断面矩形の有底筒体状に形成されている。一対のスライダー31、32は、互いの開口部が向き合うように支持部材5内にそれぞれ個別に摺動自在に嵌合されて、この一対のスライダー31、32内に圧縮コイルスプリング21が弾設されている。すなわち、スライダー31、32の凹状の内部が圧縮コイルスプリング21を収容するスプリング収容部31c、32cとして形成されている。圧縮コイルスプリング21は、1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられ、一対のスライダー31、32をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。
【0020】
一対のスライダー31、32は、取付部材4の底板41と支持部材5(上板51)が略平行になっているとき(例えば本発明の原稿圧着板開閉装置1を複写機等に取り付けた場合において装置本体2の上面のコンタクトガラス面上に原稿圧着板3を密着させたとき(原稿圧着板密着時))、支持部材5内に嵌合される長さで形成されている。
【0021】
先端部側のスライダー(第1スライダー)31は、その底面である閉塞面31aの外表面が平坦面に形成されている。この閉塞面31aが圧縮コイルスプリング21の付勢力によって作動部材14を押圧して、支持部材5とリフト部材6とが重なり合うようになっている。この場合、リフト部材6が第2ヒンジシャフト12で支持部材5に連結させる個所を従来公知のものに比べて上方に移動させ、かつ、リフト部材6の上板61の下面側が支持部材5の両側板52、52から上方へ突設させたストッパ片55、55に当接させるように構成して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61との間に間隙を生じさせて上板61の後端部側の第2取付部72に当たってリフト部材6が支持部材5に対して傾斜しないように構成されている。
【0022】
リフト部材6は、原稿圧着板3の後端側にビス等で取り付けられる上板61と、この上板61の両端部からそれぞれ上板61に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板62、62とから構成され、上板61の一端部(後端部)から両側板62、62とは反対側に90°折り曲げて取付片63が形成されている。リフト部材6の両側板62、62の先端部側には第2ヒンジシャフト挿通孔(図示せず)が設けられると共に、第2ヒンジシャフト挿通孔より下側には、作動部材14が挿通される作動部材孔(図示せず)が設けられている。両側板62、62の作動部材孔に作動部材14が挿通されて固定されている。リフト部材6の両側板62、62の第2ヒンジシャフト挿通孔と支持部材5の両側板52、52の第2ヒンジシャフト孔とが軸合わせされてこれら孔に第2ヒンジシャフト12が挿通されることによって、リフト部材6と支持部材5とが第2ヒンジシャフト12を軸に互いに回動自在に連結されている。尚、作動部材14は1本のピン或はシャフト状のものを示したが、別の形態のもの、或はリフト部材6の先端側から一体或は別体に突設したものを用いても良い。作動部材14とはこのものも含むものとする。
【0023】
支持部材5の後端部とリフト部材6の後端部の間に設けられる実施例1の指挟み防止機構7は、
図3に示すように、すだれ状の指挟み防止部73と、指挟み防止部73の上端に接続されたリフト部材6の後端部に取付けられる第1取付部71と、指挟み防止部73の下端に接続された支持部材5の後端部に取付けられる第2取付部72と、から形成され、指挟み防止部73と第1取付部71と第2取付部72は、熱可塑性樹脂により、一方向へ曲がるように一体成型されている。指挟み防止部73は、細長い短冊状を呈した複数のプレート部73a、73a・・・と、これらの各プレート部73a、73a・・・の隣接するもの同士を繋ぐ第1連結部73eと、各プレート部73a、73a・・・の両端部に形成されたところの正面視コの字形状を呈した折曲げ防止突起73d、73d・・・から構成されている。
第1連結部73eと第2連結部74と第3連結部75は、可撓性を有する程度に薄く形成されている。そのため、指挟み防止部73は、第1連結部73eが空間部Rに入り込むことなく曲げることができ、リフト部材6の回動により生じる第1取付部71と第2取付部72の間の距離の変化に対応することができる(
図1及び
図4参照)。
【0024】
そして、各プレート部73a、73a・・・には、各面73c、73c・・・と反対側の各面73b、73b・・・の両端部に正面視コの字形状を呈した折曲げ防止突起73d、73d・・・が各プレート部73a、73a・・・の幅と同じ幅で小間隙76を設けて形成されている。これにより、使用者が指挟み防止部73を空間部Rの内部に押し込もうとしても、折曲げ防止突起73d同士が当接することにより、指挟み防止部73が空間部Rの内部に押し込まれるのを防止することができる。
【0025】
さらに、指挟み防止部73を構成する一番上のプレート部73aが、第2連結部74により第1取付部71と繋がっている。第1取付部71は、リフト部材6の前端側から後端側に水平方向に延び、ビス等でリフト部材6の上板61に取り付けるための取付孔71fが形成された固定板71aと、固定板71aの先端から固定板71aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる前板71bと、前板71bの先端から前板71bに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ固定板71aから離れる方向に延びる天板71cと、天板71cの先端から天板71cに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ前板71bと対向するように延びる取付片71dと、から形成されている。前板71bと、天板71cと、取付片71dは、リフト部材6の上板61の幅と略等しく形成され、それらにより、リフト部材6の取付片63が挿入される第1取付溝71gが形成されている。第1取付部71には、固定板71aが前板71bよりもリフト部材6(上板61)の後端部側に配置した状態で、第1取付溝71gに取付片63が挿入されている。
【0026】
取付片71dは、その先端で、第2連結部74により、プレート部73aと繋がっている。具体的には、第2連結部74により、取付片71dの先端の第1取付溝71gを形成する内縁とは反対側の縁である外縁71eと、プレート部73aとが繋げられている。これにより、取付片71dに接続されるプレート部73aの回動角度を大きくすることができ、そのプレート部73aが、リフト部材6の回動により第1取付部71と第2取付部72が近づくと、第2取付部72とは反対側(上方)に回動し、第1取付部71と第2取付部72が離れると、第2取付部側72側(下方)に回動することができる。なお、第2連結部74により、取付片71dとプレート部73aの側面を繋げてもよいが、プレート部73aの面73cの縁とを繋げるのが好ましい。これにより、指挟み防止部73が使用者により空間部R側に押し込まれたときに、第2連結部74にかかる負担を軽減することができる。第2連結部74は、疲労限度を向上させるために、取付片71dとプレート部73aの間の距離が、プレート部73a同士の距離に比べて、長くなるように形成されていてもよい。
【0027】
また、一番下のプレート部73aと第2取付部72が第3連結部75により繋がっている。第2取付部72は、第1取付部71と同様に、支持部材5の前端側から後端側に水平方向に延び、ビス等で支持部材5の上板51に取り付けるための取付孔72fが形成された固定板72aと、固定板72aの先端から固定板72aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる前板72bと、前板72bの先端から前板72bに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ固定板72aから離れる方向に延びる天板72cと、天板72cの先端から天板72cに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ前板72bと対向するように延びる取付片72dと、から形成されている。前板72bと、天板72cと、取付片72dと、から支持部材5の取付片53が挿入される第2取付溝72gが形成されている。第2取付部72は、固定板72aが前板72bよりも支持部材5(上板51)の後端部側に位置した状態で、第2取付溝72gに取付片53が挿入されている。
【0028】
取付片72dは、その後端で、プレート部73aと第3連結部75により連結されている。具体的には、第3連結部75により、取付片72dの後端の縁72eと、プレート部73aとが繋げられている。これにより、取付片72dに接続されるプレート部73aの回動角度を大きくすることができ、そのプレート部73aが、リフト部材6の回動により第1取付部71と第2取付部72が近づくと、第1取付部71とは反対側(下方)に回動し、第1取付部71と第2取付部72が離れると、第1取付部71側(上方)に回動することができる。なお、第3連結部75により、取付片72dとプレート部73aの側面を繋げてもよいが、プレート部73aの面73bの縁とを繋げるのが好ましい。これにより、指挟み防止部73が使用者により空間部R側に押し込まれたときに、第3連結部75にかかる負担を軽減することができる。第3連結部75も、第2連結部74と同様に、疲労限度を向上させるために、取付片72dとプレート部73aの間の距離が、プレート部73a同士の距離に比べて、長くなるように形成されていてもよい。
【0029】
本実施例の原稿圧着板開閉装置1は、厚さに関係なく原稿を装置本体2の上面に安定して密着させることができる。そして、支持部材5が後述するリフト部材6を介して原稿圧着板3に取り付けられることにより、装置本体の内部に外光が侵入して露光が妨げられるのを極力防止することができる。さらに、指挟み防止機構7により、リフト起動時に形成されるリフト部材6と支持部材5の各後部に形成される空間部Rに人が指などを入れて挟まれてしまうのを防ぐことが出来る。
【0030】
すなわち、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61の下面が支持部材5のストッパ片55、55に当接して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61とが略平行となり、かつ近接するので、リフト部材6の後端部が下方に回動することがない。このため、原稿圧着板3を持ち上げて装置本体2の上面のコンタクトガラス面に原稿を載置する場合、通常、原稿圧着板3のリフト部材6が取り付けられている箇所とは反対側の端部又はその近傍等に設けられている把持部を持って原稿圧着板3を上方に持ち上げると、原稿圧着板3は第1ヒンジシャフト11を軸にのみ回動してコンタクトガラス面が外部に露出する。その露出したコンタクトガラスの面上に原稿を載置する。
【0031】
載置後、持ち上げた原稿圧着板3を降ろすと、原稿圧着板3はコンタクトガラス面と接触する方向に第1ヒンジシャフト11を軸に回動する(下方に移動する)。このとき、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61が支持部材5のストッパ片55、55に当接した状態のまま、つまり、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジシャフト12を軸に回動することないまま、原稿圧着板3が回動する。
【0032】
このとき、コンタクトガラス面に載置されている原稿が紙のように厚さが薄い場合には、原稿圧着板3は、紙に接触するときには面接触する。その結果、原稿の全体が原稿圧着板3に接触して原稿がコンタクトガラス面に押し付けられるので、原稿が安定してコンタクトガラス面に密着することになる。
【0033】
一方、原稿90が
図4に示すように本のように厚さが厚い場合には、原稿圧着板3を回動させる(下方に移動させる)と、原稿90の支持部材5側の端部90a又はその近傍に原稿圧着板3の支持部材5の近傍の一部が接触し、原稿90の支持部材5側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板3との間に空間部が形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板3は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板3の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス面側に押圧すると、作動部材14が第1スライダー31を第2スライダー32側に押圧して圧縮コイルスプリング21の付勢力に抗して第1スライダー31が第2スライダー32側に移動すると共に、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジシャフト12を軸に回動する。すなわち、原稿90の上部を覆うように原稿圧着板3が移動する。例えば、その原稿90の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板3が面接触する。よって、本のように厚い原稿90が安定してコンタクトガラス面に密着することになる。そして、リフト部材6が第2ヒンジシャフト12を軸に回動したときに、リフト部材6の後端部と、支持部材5の後端部との間に空間部Rが形成されるが、
図17に示したように指挟み防止機構7を備えていない場合には、この空間部Rに人の指などが入る虞があるが、この空間部Rが指挟み防止機構7で遮蔽されていることにより、空間部Rに人の指などが入るのを防ぐ事が出来る。また、指挟み防止機構7の指挟み防止部73の上下方向の両端が、所定の範囲で回動可能に取付けられていることにより、支持部材5を最大使用開放位置から最大開放位置まで回動さるときに、指挟み防止部73が支持部材5の回動を阻害するのを防ぐ事ができる。
【0034】
従って、本発明の原稿圧着板開閉装置1は、厚さに関係なく原稿を装置本体2の上面に安定して密着させることができ、そのような効果を得ながら、従来よりも安全に使用者が使用することができる。
【0035】
なお、実施例1では、第2取付部72が支持部材5に取付けられていたが、本発明はこれに限定されない。第2取付部72が取付部材4や第1ヒンジシャフト11に取付けられてもよい。また、第2取付部72がなくてもよい。この場合でも、指挟み防止部73により空間部Rに人の指などが入るのを防ぐ事が出来る。
【0036】
さらに、実施例1のものは、指挟み防止機構7を構成する第1取付部71と指挟み防止部73の間の第2連結部74と第2取付部72と指挟み防止部73の間の第3連結部75が、これに続く指挟み防止部73を構成する複数のプレート部73a、73a・・・同士の間の第1連結部73eよりも肉厚を厚く形成してある。これにより、厚く形成した連結部の部分は曲がりにくくなっている。そのため、指挟み防止部73は、原稿圧着板3が装置本体2の上面に接触する閉位置のときに、第1連結部73eにより折り曲がることになるが、その折り曲がる角度を調整することができ、第1連結部73eにかかる負担を軽減することができる。
しかし、この構成は連結部の厚さを全部他の連結部と同じ厚さに構成してもよい。
【実施例2】
【0037】
図8は、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の実施例2を示している。この実施例2に係る原稿圧着板開閉装置1Aが実施例1に係る原稿圧着板開閉装置1と異なる点は、実施例2の指挟み防止機構7の指挟み防止部73が、第1連結部73eだけでなく、形状調節用連結部73gも備える点である。それ以外の構成要素については、実施例1の構成要素と同様であるので、それらについては実施例1のものと同一の指示記号を付すると共に、その説明も省略する。
【0038】
形状調節用連結部73gは、一部の第1連結部73e、或は第2連結部74や第3連結部75に代えて、プレート部73a同士や、プレート部73aと第1取付部71や第2取付部72を繋ぐために用いられるものであり、第1連結部73eと同様に可撓性を有するが、第1連結部73eよりも厚さが厚く形成されている。そのため、形状調節用連結部73gは、第1連結部73eよりも折り曲がりにくくなっており、第1取付部71と第2取付部72の間の距離が短くなった時の指挟み防止部73の形状を変えることができる。つまり、指挟み防止部73が後端側に出っ張らないようにすることもできる。
【実施例3】
【0039】
図9~
図15は、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の実施例3を示している。この実施例3に係る原稿圧着板開閉装置1Bが実施例1及び実施例2に係る原稿圧着板開閉装置1及び1Aと異なる点は、実施例3の原稿圧着板開閉装置1Bの指挟み防止機構8が、実施例1や2のすだれ状の指挟み防止部を平板状の1枚のプレート部材85で構成した点である。この指挟み防止機構8のプレート部材85と揺動支持部81以外の構成は、実施例1及び2と同じであるので、同一の指示記号を付すと共に、その説明を省略する。また、支持部材5は、実施例1と2に示した取付片53を省略してある。
【0040】
この実施例3に係る指挟み防止機構8は、平板状の一枚のプレート部材85と、このプレート部材85をリフト部材6に対して一方向に揺動可能に支持する揺動支持部81から成り、プレート部材85の上端部両側部には、内側に突起85c、85cを設けた支持板85b、85bが設けられている。揺動支持部81は、リフト部材6の前端側から後端側に水平方向に延び、ビス等でリフト部材6の上板61に取り付けるための取付孔81fが形成された固定板81aと、固定板81aの先端から固定板81aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる前板81bと、前板81bの先端から前板81bに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ固定板81aから離れる方向に延びる天板81cと、天板81cの先端から天板81cに対して直交する方向(略直交する方向も含む)でかつ前板81bと対向するように延びる取付片81dと、取付片81dの先端から同一直線状に延びる規制板81eと、から形成されている。前板81bと、天板81cと、取付片81dと、からリフト部材6の取付片63が挿入される第3取付溝82が形成されている。揺動支持部81には、固定板81aが前板81bよりもリフト部材6(上板61)の後端部側に配置した状態で、第3取付溝82に取付片63が挿入されている。
【0041】
取付片81dは、その両側面に突起85cが嵌る窪み81gが形成され、かつ、装置本体2の上面のコンタクトガラス面上に原稿圧着板3が密着している状態(閉位置(
図9参照))において、プレート部材85が支持部材5と当接しない程度に空間部が形成されるように、厚さが厚く形成されており、取付片81dの後端部のプレート部材85と対向している面が、プレート部材85の回動を阻害しないように、湾曲して形成されている。
【0042】
規制板81eは、プレート部材85が空間部R側に押されたときにプレート部材85と当接して回動を規制することができる程度に厚さが厚く形成されている。
【0043】
なお、プレート部材85は、これを実施例1と2のプレート部73aよりも幅の広い複数枚に分割して、互いを連結部材で一方向へ屈曲可能に連結しても良い。
【0044】
また、指挟み防止機構8を設ける場合には、
図16に示したように支持部材5に実施例1と2に示した取付片53とストッパ片55,55を設けなくてもよい。この場合には、リフト部材6の上板61が、支持部材5の上板51と当接することになる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上詳細に説明したように本発明は、簡単な構成で、リフト機構を有するとくに複写機などのような事務機器の安全性を考慮した原稿圧着開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 原稿圧着板開閉装置
2 装置本体
3 原稿圧着板
4 取付部材
5 支持部材
6 リフト部材
7 指挟み防止機構
8 指挟み防止機構
85 プレート部
11 第1ヒンジシャフト
12 第2ヒンジシャフト
13 カムピン
14 作動部材
21 圧縮コイルスプリング
31 第1スライダー
32 第2スライダー