(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/34 20060101AFI20230209BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F24C15/34 C
A47J37/06 361
(21)【出願番号】P 2019099962
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】吉野 卓己
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-033512(JP,A)
【文献】特開2011-096484(JP,A)
【文献】特開2003-077627(JP,A)
【文献】特開2000-100553(JP,A)
【文献】特開2010-015763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/34
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口する筐体と、
前記筐体の中央側に設けられるグリル庫と、
前記筐体の前記上部に前記開口を閉塞するように設けられる天板と
を備えた加熱調理器において、
前記天板の下面に設けられ、第一電装部品と第二電装部品を前記天板の前記下面に支持する電装部品支持部と、
前記電装部品支持部に設けられ、空気を取り入れる為の取入口に冷却空気を供給する供給手段と
を備え、
前記電装部品支持部は、左右方向に延びる本体部を備え、
前記本体部の下面における前後方向の一方側には、前記第一電装部品が配置されると共に、前記取入口から供給される前記冷却空気が流れる第一冷却経路が設けられ、
前記本体部の上面における前記前後方向の他方側には、前記第二電装部品が配置されると共に、前記取入口から供給され、前記本体部の前記上面と前記下面を貫通して前記第一冷却経路と連通する貫通孔から流入する前記冷却空気の一部が流れる第二冷却経路が設けられたこと
を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記電装部品支持部は、
前記第一冷却経路の前記冷却空気が流れる方向の下流側の一端部と連通し、前記第一冷却経路を流れた前記冷却空気を前記一方に向けて排出する第一排出部と、
前記第二冷却経路の前記冷却空気が流れる方向の下流側の一端部と連通し、前記第二冷却経路を流れた前記冷却空気を前記他方に向けて排出する第二排出部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記天板と前記グリル庫との間には、前記グリル庫の上部を覆う覆い部が設けられ、
前記一方は前記加熱調理器の後方、前記他方は前記加熱調理器の前方であって、
前記第一排出部は、前記グリル庫と、前記覆い部との間の隙間を通じて前記冷却空気を前記後方に排出すること
を特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記覆い部は、
前記グリル庫の上部を覆う第一覆い板と、
前記第一覆い板の上部を更に覆う第二覆い板と
を備え、
前記第一排出部は、前記第一覆い板と前記第二覆い板の間の隙間を通じて前記冷却空気を前記後方に排出すること
を特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記一方は前記加熱調理器の後方、前記他方は前記加熱調理器の前方であって、
前記第二排出部は、前記前方に前記冷却空気を排出すること
を特徴とする請求項2から4の何れか一に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記本体部は、前記天板の前記下面に対して平行、且つ左右方向に延びる板状に形成され、
前記取入口は、
前記本体部の左端部に設けられた左取入口と、
前記本体部の右端部に設けられた右取入口と
を備え、
前記第一冷却経路には、前記左取入口と前記右取入口から供給される前記冷却空気が流れること
を特徴とする請求項1から5の何れか一に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス天板の下面の前側に異物の進入を検出可能な複数の光センサを備え、当該複数の光センサのうちいずれかが異物の進入を検出した場合、コンロバーナの火力を絞ることができるコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、コンロ本体の上面を覆うガラス天板に、加熱手段の作動を指示する為の静電容量式のタッチスイッチを備えたコンロも知られている(例えば、特許文献2参照)。タッチスイッチは、ガラス天板の表面に印刷されたスイッチマークと、ガラス天板の下面において、該スイッチマークに対向した部分に近接して設けられた操作回路基板とにより構成される。
【0003】
上記特許文献1、2に記載のコンロでは、光センサやタッチスイッチの安定的な作動を保つ為、冷却ファンから供給される空気により、光センサや操作回路基板を冷却するのが一般的である。よって、これら双方の機能を一つのコンロに具備させる場合、例えば、天板の下面に配置したケース内に、光センサと操作回路基板を配置し、共用の冷却ファンで送風して冷却することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-128161号公報
【文献】特開2005-308341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光センサと操作回路基板では、夫々耐熱性が異なるので、最適な冷却を行う為には、光センサに向けて供給する空気と、操作回路基板に向けて供給する空気とが互いに入り混じるのを確実に防止する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、天板の下面側に二つの電装部品を備え、これら二つの電装部品を適切に冷却できる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の加熱調理器は、上部が開口する筐体と、前記筐体の中央側に設けられるグリル庫と、前記筐体の前記上部に前記開口を閉塞するように設けられる天板とを備えた加熱調理器において、前記天板の下面に設けられ、第一電装部品と第二電装部品を前記天板の前記下面に支持する電装部品支持部と、前記電装部品支持部に設けられ、空気を取り入れる為の取入口に冷却空気を供給する供給手段とを備え、前記電装部品支持部は、左右方向に延びる本体部を備え、前記本体部の下面における前後方向の一方側には、前記第一電装部品が配置されると共に、前記取入口から供給される前記冷却空気が流れる第一冷却経路が設けられ、前記本体部の上面における前記前後方向の他方側には、前記第二電装部品が配置されると共に、前記取入口から供給され、前記本体部の前記上面と前記下面を貫通して前記第一冷却経路と連通する貫通孔から流入する前記冷却空気の一部が流れる第二冷却経路が設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の加熱調理器の前記電装部品支持部は、前記第一冷却経路の前記冷却空気が流れる方向の下流側の一端部と連通し、前記第一冷却経路を流れた前記冷却空気を前記一方に向けて排出する第一排出部と、前記第二冷却経路の前記冷却空気が流れる方向の下流側の一端部と連通し、前記第二冷却経路を流れた前記冷却空気を前記他方に向けて排出する第二排出部とを備えるとよい。
【0009】
請求項3の加熱調理器の前記天板と前記グリル庫との間には、前記グリル庫の上部を覆う覆い部が設けられ、前記一方は前記加熱調理器の後方、前記他方は前記加熱調理器の前方であって、前記第一排出部は、前記グリル庫と、前記覆い部との間の隙間を通じて前記冷却空気を前記後方に排出するとよい。
【0010】
請求項4の加熱調理器の前記覆い部は、前記グリル庫の上部を覆う第一覆い板と、前記第一覆い板の上部を更に覆う第二覆い板とを備え、前記第一排出部は、前記第一覆い板と前記第二覆い板の間の隙間を通じて前記冷却空気を前記後方に排出するとよい。
【0011】
請求項5の加熱調理器の前記一方は前記加熱調理器の後方、前記他方は前記加熱調理器の前方であって、前記第二排出部は、前記前方に前記冷却空気を排出するとよい。
【0012】
請求項6の加熱調理器の前記本体部は、前記天板の前記下面に対して平行、且つ左右方向に延びる板状に形成され、前記取入口は、前記本体部の左端部に設けられた左取入口と、前記本体部の右端部に設けられた右取入口とを備え、前記第一冷却経路には、前記左取入口と前記右取入口から供給される前記冷却空気が流れるとよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の加熱調理器によれば、第一冷却経路は本体部の下面、第二冷却経路は本体部の上面に夫々形成されているので、それらの冷却空気は互いに入り混じることなく、下流側に向けて流れる。これにより、第一電装部品と第二電装部品を夫々適切に冷却できる。なお、仮に第二電装部品よりも第一電装部品の耐熱性が低い場合、第二冷却経路よりも第一冷却経路に流れる空気量が多くなるように、貫通孔の開口面積を調節するとよい。この場合、第一冷却経路に流れる空気量と、第二冷却経路に流れる空気量とが互いに異なるが、第一冷却経路と第二冷却経路は、本体部の上面側と下面側に分けて設けられるので、第一冷却経路を流れる空気と、第二冷却経路を流れる空気とが互いに入り混じるのを効果的に防止できる。
【0014】
請求項2の加熱調理器によれば、第一電装部品を冷却した後の冷却空気と、第二電装部品を冷却した後の冷却空気を、互いに反対側である前方と後方に排出する。これにより、一方の冷却経路を通過した冷却空気が、他方の冷却経路の排出部から侵入するのを防止できるので、第一電装部品と第二電装部品をより効果的に冷却できる。
【0015】
請求項3の加熱調理器によれば、グリル庫と覆い部との間の隙間に冷却空気を流すことができるので、グリル庫の熱気によって温められた高温空気が該隙間に留まるのを防止できる。これにより、加熱調理器は、天板の温度上昇を抑制できる。
【0016】
請求項4の加熱調理器によれば、第一覆い板と第二覆い板との間の隙間に冷却空気を流すことができるので、グリル庫の熱気によって温められた高温空気が該隙間に留まるのを防止できる。これにより、加熱調理器は、天板の温度上昇を抑制できる。
【0017】
請求項5の加熱調理器によれば、加熱調理器の前側に位置するグリル扉の取手部に向けて適度に冷却空気を流すことができるので、グリルバーナの燃焼時において、取手部の温度上昇を抑制できる。
【0018】
請求項6の加熱調理器によれば、第一冷却経路には、左取入口と右取入口の両側から冷却空気が供給されるので、第一冷却経路と第二冷却経路に十分な冷却空気を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】天板3の下面に固定したセンサケース40に対して、左ダクト部71と右ダクト部72を介して、左フロントパネル80と右フロントパネル90が接続した状態の斜視図である。
【
図10】W領域内で操作部9が前方に回動した状態を示す図である。
【
図11】センサケース40、右ダクト部72、右フロントパネル90の分解斜視図である。
【
図12】グリル庫10の遮熱板27の上方に、覆い板127が取り付けられた図(変形例)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0021】
図1~
図6を参照し、コンロ1の構造を説明する。
図1に示すコンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。天板3はガラス製である。天板3の上面左側には左バーナ4、上面右側には右バーナ5、上面後側にはグリル用の排気口7が夫々設けられる。天板3の下面には、一部透過性を有する非透過性の印刷が施される。筐体2の前面の中央部には、グリル扉8が手前側に引き出し可能に設けられる。グリル扉8は、筐体2内部に設けられるグリル庫10(
図3、
図4参照)の前側のグリル開口(図示略)を開閉する。グリル扉8の前面の上部には、取手8Aが前方に突出して設けられる。筐体2の前面において、グリル扉8の左側の上下には、化粧板6A、6Bが取り付けられ、右側の上下には、化粧板6C、6Dが取り付けられる。
【0022】
筐体2の前面から右側の化粧板6C、6Dを取り外すと、
図5に示すように、右フロントパネル90の前面が露出する。右フロントパネル90の前面上部には、電源スイッチ19が設けられる。化粧板6Cの前面上部には、開口66が設けられ、該開口66から電源スイッチ19が前方に突出する(
図1参照)。右フロントパネル90の前面下部には、筒状の吸気通路部95と操作部9が設けられる。吸気通路部95は後方に延設され、その前端部には空気入口951が設けられる。空気入口951は、筐体2の底面の前側付近において下向きに開口する。操作部9は、グリル操作用であって、右フロントパネル90の前面下部に回動可能に支持される。吸気通路部95は、空気入口951から外部の空気を内側に取り入れる。
【0023】
筐体2の前面から左側の化粧板6Aと6Bを取り外すと、
図5に示すように、左フロントパネル80の前面が露出する。左フロントパネル80の前面の略中央部には、電池ケース83が手前側に引き出し可能に設けられる。左フロントパネル80の前面下部には、吸気通路部85が設けられる。吸気通路部85は後方に延設され、その前端部には空気入口851が設けられる。空気入口851は、筐体2の底面の前側付近において下向きに開口する。吸気通路部85は、空気入口851から外部の空気を内側に取り入れる。
【0024】
図2に示すように、天板3の上面の前側部において、左バーナ4の前側には、左バーナ4を操作する為の左操作部11が設けられ、右バーナ5の前側には、右バーナ5を操作する為の右操作部12が設けられる。左操作部11には、左バーナ4の点火、消火、及び火力の増減等の操作を、指先のタッチで受け付ける複数の受付部と、タイマ時間等を表示する表示部と、使用状態に応じて点灯、又は点滅する発光表示部等が設けられる。右操作部12にも、左操作部11と同様に、右バーナ5の操作に対応する複数の受付部、表示部、発光表示部等が設けられる。左バーナ4と右バーナ5に挟まれる中央部の前側には、グリル使用中に点灯するグリル用発光表示部13が設けられる。左操作部11と右操作部12において、受付部、発光表示部、及びグリル用発光表示部13は、天板3に印刷された透光性を有するボタン、マーク、又は記号等である。表示部は、天板3の非印刷領域であって、透明性を有する窓部である。
【0025】
天板3の下面の前側部には、上面に設けられた左操作部11、右操作部12、グリル用発光表示部13に対応するように、一枚の電装基板100(
図7参照)が接着剤、又は両面テープ等で貼着される。その電装基板100を下方から覆うようにして、センサケース40が固定板3A(
図6参照)を介して固定される。固定板3Aは、天板3の下面に固定される。センサケース40は、電装基板100を内側に収容すると共に、天板3の下面に貼着された電装基板100を下方から支持する。
【0026】
電装基板100の上面において、受付部に対応する位置には、指先のタッチを感知する静電容量方式の感知部が設けられ、表示部に対応する位置には、7セグ表示器が設けられ、発光表示部及びグリル用発光表示部13に対応する位置には、LED等の発光部が設けられる。これらにより、左操作部11と右操作部12において、各受付部における指先のタッチは、電装基板100の各感知部によって感知され、7セグ表示器による表示、及び発光部による発光は、表示部、発光表示部、及びグリル用発光表示部13においてユーザに認識される。なお、センサケース40の具体的構造については後述する。
【0027】
図2に示すように、左操作部11の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部15が設けられ、右操作部12の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部16が設けられ、グリル用発光表示部13の後側には、平面視略矩形状のセンサ用窓部17が設けられる。センサ用窓部15~17は透明性を有する非印刷領域であり、上方から見た場合に天板3下方を透過する。センサ用窓部15の下方には、左から右に4つのセンサ31~34が夫々配置される。センサ用窓部16の下方には、左から右に4つのセンサ35~38が夫々配置される。センサ用窓部17の下方には、1つのセンサ39が配置される。これら9つのセンサ31~39(以下総称する場合は「センサ30」と呼ぶ)は、上方に位置する異物までの距離を測定可能な一般的な測距センサであり、例えば赤外線センサである。これら9つのセンサ31~39は、天板3の下面に固定されたセンサケース40に収容されると共に、天板3の下面側に支持される。
【0028】
ここで、センサ30の構造と機能を説明する。センサ30は、発光部47と受光部48(
図7参照)を備える。なお、
図7に示すセンサケース40において、紙面手前側の面を上面とする。発光部47は上方に向けて赤外光を発光する。受光部48は、発光部47が発光した赤外光が異物に反射した反射光を受光する。センサ30は、受光部48が受光した反射光の強度に基づき、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する。センサ30は、対応するセンサ用窓部15~17の上方に異物(例えば、ユーザの身体の一部等)が侵入した場合、その異物で反射した反射光を、センサ用窓部15~17を介して受光部48で受信し、異物までの距離を測定する。センサ30は、測定した異物までの距離を距離信号として、コンロ1の制御部(図示略)に出力する。制御部は受信した距離信号に基づき、検出した異物の高さが天板3から所定高さ範囲内であると判断した場合に異物有りと判定し、燃焼中のコンロバーナ(左バーナ4、右バーナ5)の火力を速やかに絞る制御を行う。
【0029】
図5、
図6に示すように、センサケース40の左端部と、左フロントパネル80の吸気通路部85の後端開口部(図示略)との間には、上下方向に延びる略筒状の左ダクト部71が接続される。左ダクト部71の内側には、冷却ファン(図示略)が取り付けられる。左ダクト部71は、吸気通路部85内に取り込まれた冷却空気をセンサケース40に供給する。センサケース40の右端部と、右フロントパネル90の吸気通路部95の後端開口部952(
図11参照)との間には、上下方向に延びる略筒状の右ダクト部72が接続される。右ダクト部72の内側には、冷却ファン75が取り付けられる。右ダクト部72は、吸気通路部95内に取り込まれた冷却空気をセンサケース40に供給する。なお、左ダクト部71と右ダクト部72の具体的構造については後述する。
【0030】
図4を参照し、グリル庫10の構造を説明する。グリル庫10は、前面が開口する略直方体状に形成される。グリル庫10は、上火バーナ25と下火バーナ26を備える。上火バーナ25と下火バーナ26はグリルバーナである。上火バーナ25は平面バーナであって、グリル庫10の上壁101の下面略中央部に設けられる。下火バーナ26は、平面視前方に向けて開口する略U字状(馬蹄形状)に形成され、左側炎孔部261と右側炎孔部(図示略)を備える。左側炎孔部261は、左側壁102の内面の高さ方向略中央部に前後方向に延設される。右側炎孔部は、右側壁103の内面の高さ方向略中央部に前後方向に延設される。左側壁102及び右側壁103の夫々において、左側炎孔部261及び右側炎孔部と略同一高さ位置には、複数のスリット状の取入口105が前後方向に並んで設けられる。取入口105は、外側からグリル庫10内に燃焼用の空気を取り入れる。
【0031】
上壁101の上部には、遮熱板27が上方から取り付けられる。遮熱板27は平面視略矩形状で、正面視下側に向けて開口する略コの字状に形成される。遮熱板27と上壁101の間には、前後方向に延びる隙間が設けられる。遮熱板27は、グリル庫10使用時において天板3の温度上昇を抑制する。遮熱板27の前側で、且つ左右方向の略中央部には、上下方向に貫通する貫通口271が設けられる。貫通口271は、平面視略矩形状に形成される。貫通口271には、後述するセンサケース40の接続筒68(
図6参照)が上方から嵌り込んで接続される(
図3参照)。
【0032】
グリル庫10の後部には、筒状のダクト部28が設けられる。ダクト部28は、グリル庫10内と、上壁101及び遮熱板27の間の隙間と夫々連通する。ダクト部28は、グリル庫10の後部から後方に対して斜め上方に延設され、その上端部には、グリル排気口281が設けられる。グリル排気口281は、天板3の排気口7の直下に配置される(
図3参照)。これにより、グリル庫10内の燃焼排気は、ダクト部28を流れ、グリル排気口281と排気口7を介して外部に排出される。
【0033】
図7、
図8を参照し、センサケース40の構造を説明する。なお、
図8に示すセンサケース40において、紙面手前側の面を下面とする。センサケース40は、左右方向に延びる樹脂製の構造物である。センサケース40は、本体部41を備える。本体部41は、平面視左右方向に延びるケース体であり、前側部44と後側部45を備える。
【0034】
前側部44の構造を説明する。
図7に示すように、前側部44は、本体部41の前側部分であって、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。前側部44の上面は、天板3の下面に対向する面である。前側部44の上面には、基板収容部50が設けられる。基板収容部50は、上方に向けて開口する箱状に形成される。センサケース40が天板3の下面に固定された状態で、基板収容部50の内側に、天板3の下面に貼着された電装基板100が収容される。前側部44の下面の左端部には、左筒部42が下方に突出して設けられ、下面の右端部には、右筒部43が下方に突出して設けられる。
【0035】
基板収容部50の底面には、5つの凸部51A~51Eが突設される。凸部51Aは底面の左右方向略中央部、凸部51Bは底面の左前角部、凸部51Cは底面の右前角部、凸部51Dは凸部51Aと51Bの間で且つ後側の位置、凸部51Eは凸部51Aと51Cの間で且つ後側の位置に突設される。凸部51Bは平面視前後方向に延びる帯状に形成され、基板収容部50の内側を左右に分断する。凸部51A~51Eの夫々の上面には、弾性体(図示略)が貼着される。凸部51A~51Eの夫々の上面は、弾性体を介して、天板3の下面に貼着された電装基板100の下面に密着する。これにより、電装基板100は、基板収容部50の内側において、底面から浮いた状態で下方から安定して支持される。
【0036】
基板収容部50の底面の左端部であって凸部51Bの後側には、左流入口52が設けられ、右端部であって凸部51Cの後側には右流入口53が設けられる。左流入口52は左筒部42内と連通し、右流入口53は右筒部43内と連通する。基板収容部50の底面における左右方向略中央部であって、前側部分には、左右方向に並ぶ前側排出口54A、54B(
図8参照)が設けられる。基板収容部50の中央部において、左側の前側排出口54Aは、凸部51Aよりも左側に設けられる。右側の前側排出口54Bは、凸部51Aよりも右側に設けられる。前側排出口54A、54Bは下方に向けて開口する。前側排出口54Aの後方には、開口部55が設けられる。開口部55の内側には、電装基板100のコネクタ部100A(
図8参照)が配置される。このような基板収容部50の内側には、左側基板経路50Aと右側基板経路50Bが形成される。左側基板経路50Aは、凸部51Aよりも左側に形成され、右側基板経路50Bは、基板収容部50の凸部51Aよりも右側に形成される。左側基板経路50Aには、左流入口52から流入した冷却空気が流れ、前側排出口54Aから排出される。右側基板経路50Bには、右流入口53から流入した冷却空気が流れ、前側排出口54Bから排出される。
【0037】
後側部45の構造を説明する。
図8に示すように、後側部45は、本体部41の後側部分であって、平面視左右方向に延びる。後側部45の上面は、天板3の下面に対向する面である。後側部45の下面には、センサ収容部60が設けられる。センサ収容部60は、底面視二つの円弧が左右方向に並ぶ細長い波状であって、下方に向けて開口する箱状に形成される。センサ収容部60は、左センサ収容部61、右センサ収容部62、中央センサ収容部63を備える。左センサ収容部61はセンサ収容部60の左側、右センサ収容部62はセンサ収容部60の右側、中央センサ収容部63はセンサ収容部60の中央側に設けられる。左センサ収容部61と右センサ収容部62は、底面視後方に凹となるように略円弧状に湾曲する。中央センサ収容部63は、底面視略矩形状に形成される。
【0038】
左センサ収容部61の内側には、左側から右側に向かって順に、4つのセンサ31~34が固定される。センサ31~34の夫々の発光部47と受光部48は、後側部45の上面側に形成される筒状の凹部451内に露出する(
図7参照)。センサケース40が天板3の下面に固定された状態で、センサ31~34は、天板3のセンサ用窓部15の直下に支持される。左センサ収容部61の内側には、左側センサ経路60Aが形成される。左側センサ経路60Aには、左端側から中央に向けて冷却空気が流れる。左センサ収容部61の左端部には、前側部44側に向けて延びる前方突出部611が設けられる。前方突出部611の底面には、上記の左流入口52が設けられる。左流入口52は、左筒部42の上方に配置され、基板収容部50と左センサ収容部61を互いに連通する。
【0039】
右センサ収容部62の内側には、左側から右側に向かって順に、4つのセンサ35~38が固定される。センサ35~38の夫々の発光部47と受光部48も、後側部45の上面側に形成される筒状の凹部451内に露出する(
図7参照)。センサケース40が天板3の下面に固定された状態で、センサ35~38は、天板3のセンサ用窓部16の直下に支持される。右センサ収容部62の内側には、右側センサ経路60Bが形成される。右側センサ経路60Bには、右端側から中央に向けて冷却空気が流れる。右センサ収容部62の右端部には、前側部44側に向けて延びる前方突出部621が設けられる。前方突出部621の底面には、上記の右流入口53が設けられる。右流入口53は、右筒部43の上方に配置され、基板収容部50と右センサ収容部62を互いに連通する。
【0040】
中央センサ収容部63の内側中央部には、センサ39が固定される。センサ39の発光部47と受光部48も、後側部45の上面側に露出する(
図7参照)。センサケース40が天板3の下面に固定された状態で、センサ39は、天板3のセンサ用窓部17の直下に支持される。中央センサ収容部63の内側において、センサ39の左側に隣接する位置には、仕切壁631が立設される。仕切壁631は前後方向に延び、中央センサ収容部63の内側を、左センサ収容部61側の左側センサ経路60Aと、右センサ収容部62側の右側センサ経路60Bとに仕切る。
【0041】
上記構造を備える後側部45の下面側に対して、センサ収容部60の内側を閉じるように、蓋部65が複数のネジで固定される。蓋部65は、センサ収容部60の形状に対応するように、左蓋部651、右蓋部652、中央蓋部653を備える。左蓋部651、右蓋部652、中央蓋部653の夫々の形状は、左センサ収容部61、右センサ収容部62、中央センサ収容部63の夫々の形状に対応する。左蓋部651の左端部には、上下方向に延びる左筒部42が設けられる。左筒部42の上端開口部は、左センサ収容部61の前方突出部611に配置される。左筒部42の下端開口部である空気の取入口421は、前方突出部611から下方に突出する。取入口421には、矩形枠状の弾性体422が固定される。右蓋部652の右端部にも、上下方向に延びる右筒部43が設けられる。右筒部43の上端開口部は、右センサ収容部62の前方突出部621に配置される。右筒部43の下端開口部である空気の取入口431は、前方突出部621から下方に突出する。取入口431には、矩形枠状の弾性体432が固定される。
【0042】
中央蓋部653の下面には、下方に突出する略四角筒状の接続筒68が設けられる。接続筒68は、中央センサ収容部63の内側と連通する。接続筒68の下方に突出する下端部には、底面視略矩形枠状の弾性体69が貼着される。接続筒68の内側には、仕切壁681が設けられる。仕切壁681は、接続筒68の内側を左右に仕切る。後側部45の下面側に蓋部65を固定した状態では、仕切壁681の下端部は、中央センサ収容部63の仕切壁631の上端部に当接する。接続筒68は、弾性体69を介して、グリル庫10の遮熱板27の貫通口271に上方から装着可能である。接続筒68は、貫通口271に装着した状態で、遮熱板27の下側の隙間と連通する。
【0043】
図9~
図11を参照し、右フロントパネル90の構造を説明する。
図9に示すように、右フロントパネル90は、正面視縦長略矩形状に形成され、前壁部91と後方筒部92を備える。前壁部91は正面視上下方向に長い略矩形状に形成され、本体部91Aと枠部91Bを備える。本体部91Aは前壁部91の上側に設けられ、正面視略矩形状に形成される。本体部91Aは、電源スイッチ19を前面の右上部に備える。本体部91Aの前面には、化粧板6C(
図1参照)が取り付けられる。本体部91Aの背面側には、後方に突出する略円筒状の支持柱94が設けられる(
図11参照)。支持柱94の後端部には、後方に向けて開口する固定穴941が設けられる。支持柱94の側面と、本体部91Aの背面との間には、平面視略三角形状の補助リブ942が設けられる。補助リブ942は、支持柱94を補強する。
【0044】
枠部91Bは、前壁部91の下側に設けられ、正面視略矩形枠状に形成される。枠部91Bの下部の左右両側には、一対の軸支部911、912が設けられる。これら一対の軸支部911、912には、略三角柱状の操作部9の下部が回動可能に軸支される。操作部9の前面には、矩形状の開口部9Bが設けられ、その開口部9Bの内側に吸気通路部95が配置される。操作部9の前面には、化粧板6D(
図1参照)が固定される。化粧板6Dの上部を指で後方に押し込むと、操作部9は、右フロントパネル90の前面に設けられたロック機構98によるロックが外れ、下部を基点に前方に回動する。その結果、
図10に示すように、操作部9の背面側に設けられたグリル用の操作パネル9Aが前方に引き出される。
【0045】
後方筒部92は、枠部91Bの後部から後方に突出して設けられる。後方筒部92は略四角筒状に形成される。後方筒部92の後端側開口の上部には、固定板93が設けられる。固定板93には、本体部731の前面に固定する為の二つの固定穴931が設けられる。後方筒部92の底面には、吸気通路部95が設けられる。吸気通路部95は、前後方向に延びる略四角筒状に形成される。吸気通路部95の前端部には、その開口を塞ぐようにして、板状の閉塞部955が設けられ、その下側に空気入口951が設けられる。閉塞部955の下端部は、吸気通路部95の底面の前端部よりも前方に位置する。それ故、空気入口951は下向きに開口し、底面視左右方向に長いスリット状に形成される。更に、閉塞部955の下端部の位置は、後方筒部92の底面よりも高い。それ故、空気入口951は、前向きにも開口し、正面視左右方向に長いスリット状に形成される。
【0046】
空気入口951の左右両側には、一対の傾斜部96が配置される。一対の傾斜部96は、吸気通路部95の左右一対の側壁956の夫々の前端部の下側角部に設けられ、後方から前方に向けて上り傾斜する。
図11に示すように、吸気通路部95の後端部には、後端開口部952が設けられる。後端開口部952は後方に向けて開口し、背面視略矩形状に形成される。後端開口部952の上端部には、上方に向けてリブ状に突出する突出部953が設けられる。
【0047】
なお、詳述しないが、左フロントパネル80も、右フロントパネル90と同様に、前壁部81と後方筒部82を備える(
図6参照)。後方筒部82の底面には、吸気通路部85が設けられる(
図5参照)。吸気通路部85の前端部には、その開口を塞ぐようにして板状の閉塞部855が設けられ、その下側に、空気入口851が設けられる。
【0048】
図11を参照し、右ダクト部72の構造を説明する。右ダクト部72は、前側ケース部73、後側ケース部74、冷却ファン75を備える。前側ケース部73は、本体部731と前側流路形成部732を備える。本体部731は背面視略矩形状に形成され、右フロントパネル90の後方筒部92の後端側の開口部と略同一形状である。本体部731の前面の下側には、前方に突出する挿入筒部735が設けられる。挿入筒部735は略四角筒状に形成される。
【0049】
前側流路形成部732は、本体部731の背面下部からやや右側に傾斜して上方に延び、本体部731の上端部から更に上方に突出して延びる。前側流路形成部732の長さ方向に直交する断面は、後方に向けて開口する略コの字状である。前側流路形成部732の上方に突出する部分の左側面には、左方に突出する固定片737が設けられる。固定片737には、前後方向に貫通する固定穴(図示略)が設けられる。前側流路形成部732の下端部には、ファン取付部734が設けられる。ファン取付部734は背面視略矩形状で、後方に向けて開口する略箱状に形成される。本体部731の内面であって、ファン取付部734の内側には、前後方向に挿通する挿通孔733が設けられる。挿通孔733は背面視略円形状に形成される。挿通孔733は、挿入筒部735の内側と連通する。
【0050】
後側ケース部74は、蓋状部741と後側流路形成部742を備える。蓋状部741は、後側ケース部74の下部に設けられる。蓋状部741は、前側ケース部73のファン取付部734と略同一形状で、前方に向けて開口する略箱状に形成される。蓋状部741の左下部には、略矩形状に形成された切欠き部743が設けられる。後側流路形成部742は、前側ケース部73の前側流路形成部732と対応する形状を有し、蓋状部741の上部からやや右側に傾斜して上方に延びる。後側流路形成部742の長さ方向に直交する断面は、前方に向けて開口する略コの字状である。
【0051】
冷却ファン75は、前側ケース部73のファン取付部734の内側に後方から取り付けられる。冷却ファン75の空気の吸込口(図示略)は、挿通孔733側に配置される。冷却ファンの空気の送風口(図示略)は、前側流路形成部732に向けて上方に配置される。ファン取付部734に冷却ファン75が取り付けられた前側ケース部73に対して、後方から後側ケース部74が取り付けられ、複数のネジで固定される。これにより、右ダクト部72が構成される。前側流路形成部732と後側流路形成部742の内側には、冷却ファン75によって吸い込まれた空気が下方から上方に向かって流れる空気流路が形成される。右ダクト部72の上端部には、流出口721が設けられる。流出口721は上方に向けて開口し、右ダクト部72の空気流路の出口となる。
【0052】
右ダクト部72において、ファン取付部734に取り付けられた冷却ファン75のハーネス(図示略)は、切欠き部743によって形成される矩形状の開口部(図示略)から外部に引き出される。そして、この開口部は、冷却ファン75のケーシングの外側面によって閉塞される。開口部の周縁部とケーシングの外側面は密着している。これにより、コンロ1は、冷却ファン75の電気的な接続を保ちながらも、右ダクト部72の内側の空気流路内への高温空気の侵入を防止できる。
【0053】
なお、詳述しないが、左ダクト部71の構造も、右ダクト部72の構造と同様である。左ダクト部71の内側には、冷却ファン(図示略)が取り付けられると共に、その冷却ファンによって吸い込まれた空気が下方から上方に向かって流れる空気流路が形成される。左ダクト部71の上端部には、流出口711(
図6参照)が設けられる。流出口711は上方に向けて開口し、左ダクト部71の空気流路の出口となる。
【0054】
図11を参照し、右フロントパネル90に対する右ダクト部72の固定方法の一例を説明する。右フロントパネル90の後方筒部92の後端側の開口部に対し、該開口部を後方から閉塞するように、右ダクト部72の前側ケース部73の本体部731が位置決めされる。後方筒部92の後端側の開口端、及び固定板93は、本体部731の前面に密着する。これにより、後方筒部92の後端側の開口部は、本体部731によって閉塞される。
【0055】
さらに、右フロントパネル90の吸気通路部95の後端開口部952の内側に対し、右ダクト部72の挿入筒部735が嵌り込まれる。後端開口部952は、本体部731の前面に密着する。突出部953は、本体部731の前面に密着する(
図9参照)。この状態で、右フロントパネル90に対して、右ダクト部72が複数のネジで固定される。これにより、右フロントパネル90の吸気通路部95と、右ダクト部72の内側の空気流路とが互いに連通する。よって、吸気通路部95の空気入口951から右ダクト部72の流出口721まで延びる吸気ダクトが形成される。
【0056】
このように、右ダクト部72の挿入筒部735が右フロントパネル90の吸気通路部95の後端開口部952の内側に嵌り込み、更にこの挿入筒部735を取り囲むように、右ダクト部72の本体部731と、右フロントパネル90の後方筒部92の後端側の開口部とが密着するように構成されるので、挿入筒部735は二重に気密される。
【0057】
さらに、右フロントパネル90の本体部91Aの背面から後方に突出する支持柱94の後端部の固定穴941に対し、右ダクト部72の固定片737の固定孔が位置決めされ、ネジが締結される。これにより、右ダクト部72において上方に突出する部分は、右フロントパネル90の支持柱94によって強固に支持される。なお、左フロントパネル80への左ダクト部71の固定構造は、右フロントパネル90への右ダクト部72の固定構造と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
図6、
図11を参照し、センサケース40の左筒部42及び右筒部43と、左ダクト部71及び右ダクト部72との接続方法の一例を説明する。天板3は、筐体2の上部開口を閉塞するように載置される。このとき、
図6に示すように、天板3の下面に固定されたセンサケース40の左筒部42の取入口421は、左ダクト部71の流出口711に位置決めされ、弾性体422(
図8参照)を介して密着して接続する。これにより、左フロントパネル80の吸気通路部85と、左ダクト部71内の空気流路と、センサケース40の左筒部42内とを、互いに連通させることができる。一方、右筒部43の取入口431は、右ダクト部72の流出口721に位置決めされ、弾性体432(
図8参照)を介して密着して接続する。これにより、右フロントパネル90の吸気通路部95と、右ダクト部72内の空気流路と、センサケース40の右筒部43内とを、互いに連通させることができる。この状態で、天板3が筐体2の上部開口にネジで固定される。
【0059】
図5~
図8を参照し、吸気通路部85、95の空気入口851、951から吸い込まれた空気がセンサケース40に供給されるまでの流れを説明する。コンロ1において、グリル庫10の使用時は、グリル庫10周囲の温度が上昇する。このため、センサケース40内に収容される電装基板100、及び9つのセンサ31~39を冷却するのが好ましい。そこで、コンロ1の制御部は、左ダクト部71内の冷却ファンと、右ダクト部72内の冷却ファン75を共に駆動する。
【0060】
左ダクト部71内の冷却ファンが駆動すると、左フロントパネル80の前側下部において、外部の空気が空気入口851から吸気通路部85内に吸い込まれる。空気入口851は、筐体2の底面の近傍において下向きに開口しているので、グリル庫10周囲の高温空気が吸気通路部85内に吸い込まれるのを効果的に防止できる。吸気通路部85内に吸い込まれた空気は、センサケース40に向けて供給される冷却空気として、吸気通路部85内を後方に流れる。冷却空気は、吸気通路部85の後端開口部(図示略)から出て、左ダクト部71内を上方に流れる。左ダクト部71内を流れた冷却空気は、センサケース40の左筒部42の取入口421から内側に流入する。
【0061】
右ダクト部72内の冷却ファン75が駆動すると、右フロントパネル90の前側下部において、外部の空気が空気入口951から吸気通路部95内に吸い込まれる。空気入口951も、筐体2の底面の近傍において下向きに開口しているので、グリル庫10周囲の高温空気が吸気通路部95内に吸い込まれるのを効果的に防止できる。また、上記の通り、右ダクト部72の本体部731と、右フロントパネル90の後方筒部92の後端側の開口部とが密着していることから、右ダクト部72の挿入筒部735は二重に気密される。これにより、筐体2内の高温空気が、右フロントパネル90の後方筒部92を介して前方に流れ、空気入口951に吸い込まれるのを効果的に防止できる。なお、この構成は、左フロントパネル80側においても同様である。
【0062】
そして、吸気通路部95内に吸い込まれた空気は、センサケース40に向けて供給される冷却空気として、吸気通路部95内を後方に流れる。冷却空気は、吸気通路部95の後端開口部952から出て、右ダクト部72内を上方に流れる。右ダクト部72内を流れた冷却空気は、センサケース40の右筒部43の取入口431から内側に流入する。
【0063】
ここで、
図10に示すように、右フロントパネル90において、操作部9を前側に引き出して使用している場合、操作部9の前面に固定された化粧板6Dは、上端側が前方に倒れて傾斜した状態となり、吸気通路部95の空気入口951から前方に離間する。この場合、空気入口951から空気を十分に取り込むことができる。これに対し、
図9に示すように、操作部9が右フロントパネル90の枠部91B内に収納された状態では、化粧板6Dは垂直方向に立った姿勢となるので、吸気通路部95の空気入口951の前側を閉塞した状態となる。しかしながら、空気入口951の左右両側には、一対の傾斜部96が配置されるので、化粧板6Dと一対の傾斜部96の間に形成された隙間を介して、横方向から空気を十分に取り込むことができる。また、操作部9の姿勢に関わらず、空気入口951は下向きに開口しており、化粧板6Dによっては閉塞されない。よって、コンロ1は、空気入口951から吸気通路部95内に空気を十分に取り入れることができる。
【0064】
図7、
図8を参照し、センサケース40内における冷却空気の流れを説明する。左筒部42内に流入した冷却空気は、前方突出部611に設けられた左流入口52によって、本体部41の下面側と上面側に所定の比率で分流される。一方、右筒部43内に流入した冷却空気も、前方突出部621に設けられた右流入口53によって、本体部41の下面側と上面側に所定の比率で分流される。なお、本実施形態において、電装基板100とセンサ31~39では、センサ31~39の方が耐熱性が低い。更に、センサ31~39の方が、電装基板100よりも奥側に位置するため、グリル庫10内の上火バーナ25からの熱の影響を受けやすい。これらの理由から、本実施形態では、センサ収容部60に流れる空気量が、基板収容部50に流れる空気量よりも多くなるように、左流入口52及び右流入口53の開口面積を決定するとよい。
【0065】
本体部41の下面側に分流された冷却空気の流れを説明する。
図8に示すように、左筒部42内から本体部41の下面側に流れた冷却空気は、後側部45の下面側に設けられたセンサ収容部60に左端側から流入する。冷却空気は、センサ収容部60の左側センサ経路60Aを左端側から中央側に向けて流れる。これにより、センサ31~35が冷却空気によって冷却される。左側センサ経路60Aを中央側に流れた冷却空気は、中央蓋部653に設けられた接続筒68を介して外部に流出する。一方、右筒部43内から本体部41の下面側に流れた冷却空気は、センサ収容部60に右端側から流入する。冷却空気は、センサ収容部60の右側センサ経路60Bを右端側から中央側に向けて流れる。これにより、センサ36~39が冷却空気によって冷却される。右側センサ経路60Bを中央側に流れた冷却空気は、中央蓋部653に設けられた接続筒68を介して外部に流出する。接続筒68の下端部に貼着された弾性体69が、遮熱板27の貫通口271の周縁部と密着するので、接続筒68と貫通口271の隙間から冷却空気が外部に漏れるのを防止できる。
【0066】
そして、接続筒68を介して外部に流出した冷却空気は、遮熱板27とグリル庫10の上壁101との間の隙間を後方に流れる(
図3参照)。これにより、遮熱板27とグリル庫10の上壁101との間の隙間に、高温空気が留まるのを防止できるので、天板3の温度上昇を抑制できる。隙間を後方に流れた冷却空気はダクト部28内に流入し、グリル庫10からの燃焼排気と共に、グリル排気口281及び排気口7より外部に排出される。
【0067】
本体部41の上面側に分流された冷却空気の流れを説明する。
図7に示すように、左筒部42内から、前方突出部611の左流入口52を介して後側部45の上面側に流れた冷却空気は、基板収容部50に左端側から流入する。冷却空気は、基板収容部50の左側基板経路50Aを左端側から中央側に向けて流れる。これにより、電装基板100の左半分が冷却空気によって冷却される。左側基板経路50Aを中央側に流れた冷却空気は、前側排出口54Aから外部に排出される。一方、右筒部43内から、前方突出部621の右流入口53を介して後側部45の上面側に流れた冷却空気は、基板収容部50に右端側から流入する。冷却空気は、基板収容部50の右側基板経路50Bを右端側から中央側に向けて流れる。これにより、電装基板100の右半分が冷却空気によって冷却される。右側基板経路50Bを中央側に流れた冷却空気は、前側排出口54Bから外部に排出される。ここで、前側排出口54A、54Bの下方には、グリル扉8の取手8Aが位置する。前側排出口54A、54Bから排出された冷却空気は、取手8Aに向けて流れる。これにより、取手8Aは、冷却空気によって冷却されるので、温度上昇を抑制できる。
【0068】
このように、センサケース40において、センサ31~39が配置されるセンサ収容部60は、本体部41の後側部45の下面に設けられ、電装基板100が配置される基板収容部50は、本体部41の前側部44の上面に設けられる。これにより、センサ収容部60内に形成された左側センサ経路60Aと右側センサ経路60B(以下纏めて呼ぶ場合は、経路60A、60Bと呼ぶ)を流れる冷却空気と、基板収容部50内に形成された左側基板経路50Aと右側基板経路50B(以下纏めて呼ぶ場合は、経路50A、50Bと呼ぶ)を流れる冷却空気は、本体部41の後側部45の下面と、前側部44の上面とに互いに区画される。つまり、経路60A、60Bと経路50A、50Bは、本体部41の上面と下面で区画されると共に、前後方向に互いにずらした位置に配置される。
【0069】
ここで、センサ31~39と電装基板100の耐熱性の違いから、センサ収容部60の経路60A、60Bに流れる空気量と、基板収容部50の経路50A、50Bに流れる空気量は互いに異なるが、上記の通り、経路60A、60Bと経路50A、50Bは互いに区画されている。従って、経路60A、60Bを流れる冷却空気と、経路50A、50Bを流れる冷却空気は互いに入り混じることなく、下流側に向けて流れる。よって、センサケース40は、センサ31~39と電装基板100を夫々適切に冷却できる。
【0070】
また、基板収容部50内の経路50A、50Bを流れた冷却空気は、接続筒68を介してセンサケース40の後側に排出される。一方、センサ収容部60の経路60A、60Bを流れた冷却空気は、前側排出口54A、54Bを介してセンサケース40の前側に排出される。つまり、センサケース40は、夫々の経路を流れた冷却空気を互いに反対側の前後方向に排出するので、前側排出口54A、54Bから排出された冷却空気が接続筒68内に侵入したり、接続筒68から排出された冷却空気が前側排出口54A、54B内に侵入するのを防止できる。
【0071】
また、センサケース40の本体部41は、天板3の下面に対して平行、且つ左右方向に延びる板状に形成され、その左右の両端部に、左筒部42の取入口421と、右筒部43の取入口431を備える。センサ収容部60の経路60A、経路60Bには、取入口421、431から供給される冷却空気が流れ、基板収容部50の経路50A、50Bには、取入口421、431から供給されて、左流入口52と右流入口53から流入する冷却空気の一部が流れる。これにより、経路60A、60B、及び経路50A、50Bに対して、十分な冷却空気を左右両側から供給できる。
【0072】
以上説明したように、上記実施形態のコンロ1は、筐体2、グリル庫10、天板3、センサケース40、左ダクト部71、右ダクト部72を備える。センサケース40は天板3の下面に設けられ、センサ31~39と電装基板100を天板3の下面に支持する。左ダクト部71と右ダクト部72の夫々は、冷却ファン75を内部に備え、センサケース40に設けられた取入口421、431に冷却空気を供給する。センサケース40は、左右方向に延びる本体部41を備える。本体部41の後側部45の下面には、センサ31~39が配置される左側センサ経路60Aと右側センサ経路60Bが設けられる。経路60A、60Bには、取入口421、431から供給される冷却空気が流れる。一方、本体部41の前側部44の上面には、電装基板100が配置される左側基板経路50Aと右側基板経路50Bが設けられる。経路50A、50Bには、左流入口52と右流入口53から流入する冷却空気の一部が流れる。これにより、センサ収容部60の経路60A、60Bを流れる冷却空気と、基板収容部50の経路50A、50Bを流れる冷却空気は、本体部41の後側部45の下面と、前側部44の上面とに互いに区画される。従って、経路60A、60Bを流れる冷却空気と、経路50A、50Bを流れる冷却空気は互いに入り混じることなく、下流側に向けて流れる。よって、センサケース40は、センサ31~39と電装基板100を夫々適切に冷却できる。
【0073】
上記説明において、コンロ1は本発明の「加熱調理器」の一例である。センサケース40は本発明の「電装部品支持部」の一例である。センサ31~39は本発明の「第一電装部品」の一例である。電装基板100は本発明の「第二電装部品」の一例である。冷却ファン75は本発明の「供給手段」の一例である。左側センサ経路60Aと右側センサ経路60Bは、本発明の「第一冷却経路」の一例である。左側基板経路50Aと右側基板経路50Bは、本発明の「第二冷却経路」の一例である。左流入口52と右流入口53は、本発明の「貫通孔」の一例である。接続筒68は、本発明の「第一排出部」の一例である。前側排出口54A、54Bは、本発明の「第二排出部」の一例である。左筒部42の取入口421は、本発明の「左取入口」の一例である。右筒部43の取入口431は、本発明の「右取入口」の一例である。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、センサケース40の接続筒68から排出される冷却空気を、グリル庫10と遮熱板27の間の隙間に流すように構成されているが、例えば、
図12に示す変形例のように、遮熱板27と天板3の間に、さらに別の覆い板127を設け、遮熱板27と覆い板127の間の隙間に冷却空気を流すように構成してもよい。覆い板127は平面視略矩形状で、正面視下側に向けて開口する略コの字状に形成される。覆い板127は、遮熱板27の上部を覆うように配置される。覆い板127の前側部には、貫通口128が設けられる。貫通口128には、センサケース40の接続筒68が上方から接続される。この構成の場合、遮熱板27において、
図4に示す貫通口271は不要である。この構成により、接続筒68から排出された冷却空気は、遮熱板27と覆い板127の間の隙間を後方に流れるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
なお、遮熱板27と覆い板127の間の隙間を後方に流れた冷却空気は、上記実施形態と同様に、ダクト部28を介して外部に排出するのが好ましいが、例えばダクト部28を介さずに、天板3の排気口7から直接排出するようにしてもよい。このような変形例において、遮熱板27と覆い板127は、本発明の「覆い部」の一例であり、遮熱板27は本発明の「第一覆い板」、覆い板127は本発明の「第二覆い板」の一例である。
【0076】
また、上記実施形態では、左フロントパネル80の空気入口851、及び右フロントパネル90の空気入口951から外部の空気を取り込み、左ダクト部71と右ダクト部72を用いることで、天板3の下面に固定されたセンサケース40にまで供給するが、外部の空気を取り込む高さ位置は、筐体2の底面より高くてもよい。
【0077】
上記実施形態のセンサケース40では、基板収容部50を本体部41の上面に、センサ収容部60を下面に設けるが、反対でもよい。また、上記実施形態では、基板収容部50を前側部44に、センサ収容部60を後側部45に設けるが、反対でもよい。
【0078】
上記実施形態のセンサケース40は、基板収容部50内の経路を流れた冷却空気を前側排出口54A、54Bから前側に排出し、センサ収容部60内の経路を流れた冷却空気を接続筒68から後側に排出するが、夫々の排出方向については種々変更可能であり、例えば、同一方向に排出してもよく、一か所の排出口からまとめて排出するようにしてもよい。また、二方向のみならず、例えば途中で分岐させて複数の方向に排出するようにしてもよい。
【0079】
コンロ1は、グリル庫10の左右両側に、左ダクト部71と右ダクト部72を備えるが、何れか一方のみでもよい。その場合、センサケース40に対して、左右のうち片方から冷却空気を供給するようにすればよい。また、左フロントパネル80と右フロントパネル90の吸気通路部85、95も何れか一方のみにすればよい。
【0080】
本実施形態のセンサケース40は、電装基板100と、センサ31~39を収容して支持するものであるが、その他の電装部品を収容して支持するものであってもよい。
【0081】
上記実施形態のコンロ1は、ビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。また、コンロバーナの数は、上記実施形態では二つであるが、一つ、又は三つ以上であってもよい。
【0082】
天板3上における複数のセンサ30の配置、個数、場所についても、上記実施形態に限らず、自由に変更可能である。中央のセンサ39は省略してもよい。センサ30は赤外光を発光する赤外線センサであるが、異物を検出可能なセンサであればよい。
【符号の説明】
【0083】
1 コンロ
2 筐体
3 天板
10 グリル庫
27 遮熱板
31~39 センサ
40 センサケース
50A 左側基板経路
50B 右側基板経路
52 左流入口
53 右流入口
54A、54B 前側排出口
60A 左側センサ経路
60B 右側センサ経路
68 接続筒
71 左ダクト部
72 右ダクト部
75 冷却ファン
100 電装基板
421、431 取入口