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特許7223481ガラス基板に微細パターンを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ガラス基板に微細パターンを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20230209BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20230209BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20230209BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
C03C15/00 D
B23K26/53
B81C1/00
C03C23/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021559609
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 DE2020100333
(87)【国際公開番号】W WO2020224706
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】102019111634.1
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399007154
【氏名又は名称】エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・アンド・エレクトロニクス・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】オストホルト・ローマン
(72)【発明者】
【氏名】アンブロジウス・ノルベルト
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178642(JP,A)
【文献】特表2009-508106(JP,A)
【文献】特表2005-506909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C15/00
C03C23/00
B23K26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板(1)に微細パターンを製造するための方法であって、
最初に、改質箇所が、レーザービームによって、互いに対向する外面(2)と外面(3)との間の少なくとも一部の区域内に生成され、引き続き少なくとも部分的に円錐形の複数の凹部(5)が、前記ガラス基板(1)の少なくとも1つの外面(2,3)内で異方性材料を除去する方式のエッチングプロセスによって形成される当該方法において、 当該エッチング後に、前記エッチングプロセスのエッチング作用に対して抵抗性のある層がキャップ層(6)として、少なくとも個々の凹部(5)を含む領域内で、当該両外面のうちの第1の外面としての一方の外面(2)上に成膜され、その後に、第2の前記外面(3)の形成及び/又は拡大される前記複数の凹部(5)が、前記キャップ層(6)に到達するまで、このキャップ層(6)に面しない第2の前記外面(3)内の材料が除去されるように、前記ガラス基板(1)の別のエッチングプロセスが実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の前記外面(2)のキャップ層(6)が、第2の前記外面(3)の残されている平面部分に対して突出するように、第2の前記外面(3)が、エッチングによって除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
良好な導電性を呈する材料組成から成る前記キャップ層(6)が成膜されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
キャップ層(6)が、第2の前記外面(3)上に成膜されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2の前記外面(3)内の前記複数の凹部(5)が、進行する材料の除去によって第1の前記外面(2)のキャップ層(6)に到達した後に、キャップ層(6)が、第2の前記外面(3)上に成膜されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の凹部(5)のテーパ角度(α)が、第の前記外面(3)のキャップ層(6)及び/又はレーザーパラメータによって調整されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記キャップ層(6)は、前記ガラス基板(1)の第1の前記外面(2)及び/又は第2の前記外面(3)上の少なくとも一部の領域内だけに成膜されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記改質箇所は、両外面(2,3)間の区域内で、前記両外面(2,3)を接続する複数のレーザービームによって片側から生成されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記改質箇所は、前記ガラス基板(1)のそれぞれの表面に対して直角のビーム軸を成すレーザービームによって生成されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのキャップ層(6)が、追加の機能層によって補強されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記改質箇所が生成される間に、前記ガラス基板(1)に対するレーザービームの集光の集光条件が変更されないことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記改質箇所は、複数の単一パルスから成る複数のグループによって生成され、
前記複数の単一パルスから成る複数のグループの期間中に、前記ガラス基板(1)に対するレーザービームの集光の集光条件が変更されないことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数の単一パルスから成る同じグループのこれらの単一パルスが、1μs未満の時間間隔で前記ガラス基板(1)に印加されることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数の単一パルスから成る連続する2つのグループ間の時間間隔が、複数の単一パルスから成る1つのグループ内のこれらの単一パルス間の時間間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する複数の外面にわたって実行される、ガラス基板に微細パターンを製造するための方法に関する。この場合、最初に、改質箇所が、レーザービームによって少なくとも1つの外面内で生成され、引き続き、特に少なくとも部分的に円錐形の複数の凹部による微細パターンが、エッチングプロセス中に異方性材料の除去によって当該ガラス基板の少なくとも1つの外面内に生成される。
【背景技術】
【0002】
この方法の場合、ガラス基板が広範囲にわたって破壊されることなしに、当該ガラス基板が、レーザービームのビーム軸線だけに沿って改質されるように、当該レーザー放射のレーザービームが、当該ガラス基板上に短期間に集光される。その次のステップでは、当該レーザービームによる改質が事前に実行された当該ガラス基板の領域に限定して、異方性材料が除去される。その結果、凹部又は非貫通孔が、当該ガラス基板中に形成される。
【0003】
この場合、当該改質時のレーザーの作用に起因して、基板材料が化学変化する。当該化学変化は、当該基板の物理特性又は外面特性にほとんど影響しない。したがって、特に、当該基板の表面の材料は、当該レーザーの作用によって除去されないか又はほとんど除去されない。このため、レーザーエネルギーの印加は、少数のパルス又は単一パルスに限定され得る。何故なら、当該少数のパルス又は単一パルスは、専ら化学反応の開始及び停止並びに化学反応による改質のために使用される。当該少数のパルス又は単一パルスの作用は、材料の希望した除去のために、後続する方法ステップで初めて使用される。
【0004】
レーザー誘起ディープエッチング技術を用いてガラスを精密加工するためのこのような種類の方法は、用語LIDE(Laser Induced Deep Etching)の下で知られつつある。この場合、当該LIDE法は、精密な凹部及びパターンを最高速度で形成することを可能にし、したがってマイクロシステム技術における材料として益々使用されつつあるガラス用に必要である。当該LIDE技術は、ガラスの全体の厚さにわたる改質を単一レーザーパルスによって実現することを初めて可能にする。当該改質は、貫通孔又は微細切込部のような深いパターンを形成するための基礎である。独国特許出願公開第102013103370号明細書は、複数の非貫通孔をレーザービームによってインターポーザとして使用可能なガラス基板中に形成するためのこのような方法に関する。
【0005】
複数の凹部をレーザービームによって透過性の材料又は透過可能な材料の内部に形成するための方法が、独国特許出願公開第102014113339号明細書から公知である。それぞれの凹部に対して、1つのフィラメントが、レーザーパルスの自己集光と非集光とを交互させることによって当該透過性の材料中に生成される。これにより、連続する直線状の複数の改質部分又はチャネル改質された複数の材料部分が、ほぼ一定の直径で発生する。当該材料の少なくとも改質された領域の異方性材料が除去されることによって、例えばエッチング処理されることによって、当該複数のフィラメントの代わりに、複数の凹部又は複数の非貫通孔が、当該材料中に形成される。
【0006】
こうして、マイクロメカニカルシステム、例えば圧力検出装置又はマイクロフォン用の主要部材をダイアフラムとして形成する複数の架橋パターンを提供することも既に公知である。
【0007】
さらに、層の厚さを希望した残留厚さまで減少させるため、ディープ反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching,DRIE)によって、除去を制御することも可能である。
【0008】
独国特許出願公開第102017216418号明細書は、拡張された平坦な多角形の空洞を有する圧力検出装置、特にマイクロメカニカルシステム(MEMS)に基づく圧力検出装置に関する。
【0009】
さらに、欧州特許出願公開第2503859号明細書には、基板の第1主面と第2主面とを接続し、導体で充填されている貫通孔を有する当該基板が記載されている。当該基板の垂直横断面では、当該貫通孔は台形を成す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許出願公開第102013103370号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014113339号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017216418号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2503859号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、このような微細パターン用の製造方法を提供すること、特に、複雑な微細パターン用の製造方法も提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1に記載の微細パターンを製造するための方法によって解決される。当該方法の好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明によれば、エッチングプロセスのエッチング作用に対して抵抗性のある層が、構造的に平坦でないキャップ層の形式の第1の外面として、両外面のうちの専ら一方の外面上の少なくとも個々の凹部を含む領域内に成膜される。その後に、エッチングプロセスが続行されるか、又は、ガラス基板の別のエッチングプロセスが実行される。その結果、当該キャップ層に面しない第2の外面の別の複数の凹部が、当該キャップ層に到達し、当該キャップ層が、それぞれの当該凹部内で露出され、当該第2の凹部を通じてアクセス可能になるまで、当該別の複数の凹部の材料が除去される。したがって、本発明によれば、まず第一に、これらの凹部を架橋する3次元のキャップ層を製造するための可能性が提供される。このため、最初に、当該ガラス基板の両外面内の互いに対向する複数の凹部が、既知の改質と引き続く異方性エッチングとによって、当該両外面のうちの少なくとも1つの外面内に、特に両外面内に形成される。規則的に、例えば既定のパターンにしたがって形成された複数の凹部を有するか、又は(形、向き及び大きさが、実行される改質の種類によって決定される)不規則的に形成された複数の凹部を有する、こうして提供されたパターンは、成膜すべきキャップ層のための土台を形成する。この場合、このキャップ層は、一方では、後続するエッチング加工時にさらなるエッチング除去から保護するためのエッチングレジストの機能を果たすが、他方では、当該ガラス基板から製造すべき製品で必要なものである。当該材料の除去による簡単な形状では、規則的な円錐形の凹部が形成される。また、この輪郭は、当該凹部上に成膜されたキャップ層に合致する。引き続き、当該凹部が、最終的に当該キャップ層に到達し、このキャップ層が、当該第2の外面からアクセス可能になるまで、異方性材料の除去が、当該キャップ層に面しない第2の外面から続行されることによって、希望した突出構造が形成される。当該第2の外面内の凹部が拡張されることによって、当該第2の外面内の凹部を通じて露出された当該キャップ層の下面が、希望した大きさになった時に、当該エッチングは終了される。したがって、突出構造を有するガラス基板が最初に得られる。当該突出構造は、一方では、ほぼ任意の輪郭又は形状を有し、他方では、同時に当該凹部の分離面又は境界面として使用される。この場合、当該キャップ層は、それぞれの使用目的に適合された特性を有し得る。
【0014】
当該方法の好適な実施の形態によれば、第1の外面のキャップ層が、第2の外面の残っている平面から突出するように、第2の外面が、エッチングによって除去される。したがって、当該エッチングプロセスは、第1の外面のキャップ層の到達時に終了されないで、続行されることによって、当該第2の外面の材料が平坦に除去される。その結果、当該ガラス基板の材料の厚さが減少される。したがって、当該残っている材料の厚さが、当該凹部の方向の当該キャップ層の延在部分よりも小さいように、当該エッチングプロセスは調整され得ることが容易に分かる。その結果、これにより、当該キャップ層の頂点が、当該第2の外面と同じ平面内に残っているか又は当該第2の外面に対して突出する。したがって、キャップ層の離間した複数の突出部分から成るパターンが、ガラス基板に形成される。これにより、これらの突出部分は、特に、複雑な電気微細パターン同士を最適に接触させるためにも使用され得る。
【0015】
ガラス基板が、エッチングプロセスによって完全に除去され、結果としてキャップ層だけが残る実施の形態も考えられるが、凹部内に突出しているキャップ層の突出部分が、ガラス基板の領域によって分離されていること、特に電気絶縁されていることが有益であると実証されている。
【0016】
特に、当該キャップ層は、例えば良好な導電特性を有し得る。その結果、当該第2の外面の凹部は、底面が当該キャップ層によって電気接触部として形成されている、例えば試料容器として使用され得る。これにより、当該ガラス基板は、当該凹部内の物質の特定の特性を測定するためのセンサとして適している。
【0017】
第2の外面が、同様にキャップ層を有することによって、本発明の方法の同様に非常に優れた実施の形態が得られる。この場合、特に好ましくは、キャップ層が、第2の外面上に成膜される。その後に、当該第2の外面内の複数の凹部が、進行する材料の除去によって第1の外面のキャップ層に到達する。第2のキャップ層が、既に事前に形成された複数の凹部を除いた第2の外面上に成膜されることによって、さらなる材料の除去が、これらの凹部の内壁面に限定される一方で、これらの凹部間の第2の外面の領域は、当該第2のキャップ層によってさらなる材料の除去から最適に保護されている。こうして、これらの凹部の形状、特にこれらの凹部のアスペクト比が、希望通りに調整され得る。
【0018】
非常に好適な方法では、凹部のテーパ角度が、第2の外面のキャップ層及び/又はレーザーパラメータによって調整される。この場合、当該第2の外面のキャップ層は、エッチングプロセスの中断後に成膜され得て、当該テーパ角度の先行するエッチング期間に対するエッチングプロセスの残留期間によって、特に改質する軸方向に異なって調整され得る。当該テーパ角度は、非常に短い間隔で改質を複数回実行することによって先行する改質に対して調整され得る。
【0019】
キャップ層は、第1の外面及び/又は第2の外面の全体に成膜される必要はなくて、部分領域に限定され得ることは明らかである。さらに、キャップ層の材料特性が、当該外面の異なる領域内で異なってもよく又は異なる層厚を有してもよい。
【0020】
両外面内の改質箇所が、当該両外面をそれぞれ接続する複数のレーザービームによって片側から生成されることによって、本発明の別の非常に実用的な実施の形態が達成される。すなわち、凹部が、当該両外面を接続するレーザービームのレーザー軸に沿った改質によって形成されることによって、後続するエッチングプロセス時に形成される当該凹部は同軸である。したがって、第1の外面の凹部の円錐形のキャップ層が、第2の外面の対向する凹部と中心合わせされている。
【0021】
改質箇所のビーム軸線の中心軸線と、これに応じて後続して形成される凹部の中心軸線とは、それぞれの表面と特に直角を成すが、これとは違って、当該凹部の軸線が、キャップ層に対して傾いて配置されているように、異なる角度位置も調整され得る。
【0022】
この場合、レーザービームの集光が、当該レーザービームのビーム軸線に沿った空間的なビームフォーミングを実行するように、エネルギーが、レーザービームによってガラス基板中に印加される。これにより、ビーム軸線に沿って空間的に広げられた改質箇所が、ガラス基板中に生成される。当該改質箇所は、引き続くエッチング媒体の作用時に、異方性材料の除去に起因する連続するエッチングによって、希望した微細パターンを当該ガラス基板中の改質箇所のそれぞれの領域内で生成される。当該ガラス基板を(当該ガラス基板の諸特性が、不本意に変更され得る)急激なエネルギーの印加に曝させないため、当該改質箇所は、複数の単一パルスから成る複数のグループによって生成されてもよい。同じグループ内のこれらの単一パルスの時間間隔は、1μsよりも小さい。この場合、連続する2つのグループ間の時間間隔は、これらの単一パルス間の時間間隔の数倍である。この場合、希望した改質箇所が、それぞれのグループの複数の単一パルスの強度を加算することによって生成される。この場合、当該レーザービームの集光が、それぞれのグループの期間中に当該ガラス基板に対して変更されない。
【0023】
第1の外面及び/又は第2の外面上に形成されたキャップ層は、エッチングによる腐食に対する保護作用に加えて、製造すべき製品にとって必須な特性も有し得る。好適な実施の形態によれば、少なくとも1つのキャップ層が、例えば特別な電気特性を有し得る追加の機能層によって補強され得る。
【0024】
本発明の方法によって製造可能な製品は、極めて多様であり、広範囲に及び列挙され得ない。センサ及び接触素子に加えて、電圧が、対向するキャップ層同士に印加される場合、当該方法は、例えば電子銃にも適している。
【0025】
本発明は、様々な実施の形態で可能である。本発明の原理をさらに説明するため、これらの実施の形態のうちの1つの実施の形態が、図で示されていて、以下で説明される。当該横断面はそれぞれ原理を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】対向する外面と外面との間にわたるレーザー改質後のガラス基板を示す。
図2】両側からのエッチングプロセス後の複数の円錐形の凹部を有するガラス基板を示す。
図3】第1の外面に成膜されたガラス基板を示す。
図4】さらなるエッチングプロセス後の片側から拡大された凹部を有するガラス基板を示す。
図5】続行されたエッチングプロセス後の減少した材料厚さを有するガラス基板を示す。
図6】第2の外面にさらに成膜されたガラス基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、ガラス基板1に微細パターンを製造するための本発明の方法を図1~6に基づいて詳しく説明する。この場合、より理解しやすくするため、ガラス基板1の小部分だけが示されている。ここでは、最初に、互いに対向する外面2と外面3との間にわたるレーザー改質領域が、ガラス基板1中に形成される。
【0028】
これにより、引き続くエッチングプロセスで引き起こされた異方性材料の除去によって、図2に示された複数の円錐形の凹部5が、ガラス基板1に形成される。
【0029】
希望した寸法dを有する複数の凹部5が形成されると、当該エッチングプロセスが中断され、エッチングによる腐食に対して抵抗性のある、ここでは金属層として形成されたキャップ層6が、上方の第1の外面2に成膜される。図示されているように、キャップ層6は、外面2の事前に形成された輪郭に沿って形成され、図3において認識できるように、第1の外面2のその他の平坦な延在部分間のこれらの凹部5の領域内に、複数の凹円錐形の凹部を形成する。
【0030】
引き続き、こうして成膜されたガラス基板1はさらにエッチングされる。この場合、凹部5の材料がさらに除去され、キャップ層6に面しない第2の外面3にあるこの凹部5の寸法Dがさらに大きくなる。その一方で、エッチングレジストとしてのキャップ層6によって保護された第1の外面2は不変に維持される。図4に示されているように、最終的に、凹部5の深さ寸法が、キャップ層6の裏面7に到達し、エッチングプロセスが終了するまで、当該深さ寸法Tが、当該材料を除去し続けることによって増大される。これにより、これらの凹部5間を架橋するキャップ層6が、本発明にしたがって、特に規則的な微細パターンにしたがう3次元構造の特性を得る。すなわち、キャップ層6が、第2の外面3の複数の凹部5の方向に突出することによって、こうして提供された当該パターンが、例えばセンサとして使用され得る。この場合、凹部5は、物質の試料を収容する。
【0031】
しかしながら、図5において明らかであるように、当該エッチングプロセスは、上記とは異なって進行されてもよい。この場合、キャップ層6の輪郭が、最終的に第2の外面3の平面から高さhだけ突出するまで、ガラス基板1の材料の厚さが、進行される材料の除去によって大幅に減少される。キャップ層6の円錐形の領域の頂点が、例えば回路基板用の突出している接触点を形成する。これにより、このような回路基板の接触の著しい簡易化が達成され得る。
【0032】
さらに、図6に示された実施の形態の場合、キャップ層6としての金属層が、第2の外面3にも成膜され得る。この金属層は、材料の除去のプロセス、例えばテーパ角度αを制御するために、エッチングプロセス中の中間段階として成膜されてもよく、又はエッチングプロセスの完了後に希望した製品、例えば電子銃を製造するために成膜され得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
ガラス基板(1)に微細パターンを製造するための方法であって、
最初に、改質箇所が、レーザービームによって、互いに対向する外面(2)と外面(3)との間の少なくとも一部の区域内に生成され、引き続き、特に少なくとも部分的に円錐形の複数の凹部(5)が、前記ガラス基板(1)の少なくとも1つの外面(2,3)内で異方性材料を除去する方式のエッチングプロセスによって形成される当該方法において、 当該エッチング後に、前記エッチングプロセスのエッチング作用に対して抵抗性のある層がキャップ層(6)として、少なくとも個々の凹部(5)を含む領域内で、当該両外面のうちの第1の外面としての一方の外面(2)上にだけ成膜され、その後に、第2の前記外面(3)の形成及び/又は拡大される前記複数の凹部(5)が、前記キャップ層(6)に到達するまで、このキャップ層(6)に面しない第2の前記外面(3)内の材料が除去されるように、前記ガラス基板(1)の別のエッチングプロセスが実行される当該方法。
2.
第1の前記外面(2)のキャップ層(6)が、第2の前記外面(3)の残されている平面部分に対して突出するように、第2の前記外面(3)が、エッチングによって除去される上記1に記載の方法。
3.
良好な導電性を呈する材料組成から成る前記キャップ層(6)が成膜される上記1又は2に記載の方法。
4.
キャップ層(6)が、第2の前記外面(3)上に成膜される上記1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.
第2の前記外面(3)内の前記複数の凹部(5)が、進行する材料の除去によって第1の前記外面(2)のキャップ層(6)に到達した後に、キャップ層(6)が、第2の前記外面(3)上に成膜される上記1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.
前記複数の凹部(5)のテーパ角度(α)が、第1の前記外面(2)のキャップ層(6)及び/又はレーザーパラメータによって調整される上記1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.
前記キャップ層(6)は、前記ガラス基板(1)の第1の前記外面(2)及び/又は第2の前記外面(3)上の少なくとも一部の領域内だけに成膜される上記1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.
前記改質箇所は、両外面(2,3)間の区域内で、前記両外面(2,3)を接続する複数のレーザービームによって片側から生成される上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.
前記改質箇所は、前記ガラス基板(1)のそれぞれの表面に対して直角のビーム軸を成すレーザービームによって生成される上記1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.
少なくとも1つのキャップ層(6)が、追加の機能層によって補強される上記1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.
前記改質箇所が生成される間に、前記ガラス基板(1)に対するレーザービームの集光が変更されない上記1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.
前記改質箇所は、複数の単一パルスから成る1つのグループによって生成され、
前記複数の単一パルスから成る1つのグループの期間中に、前記ガラス基板(1)に対するレーザービームの集光が変更されない上記1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.
複数の単一パルスから成る同じグループのこれらの単一パルスが、1μs未満の時間間隔で前記ガラス基板(1)に印加される上記1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.
複数の単一パルスから成る連続する2つのグループ間の時間間隔が、複数の単一パルスから成る1つのグループ内のこれらの単一パルス間の時間間隔よりも大きい上記1~13のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0033】
1 ガラス基板
2 外面
3 外面
4 レーザー改質領域
5 凹部
6 キャップ層
7 裏面
T 深さ寸法
d,D 寸法
h 高さ
α テーパ角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6