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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ヒータ及びステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20230209BHJP
   H05B 3/34 20060101ALI20230209BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B62D1/06
H05B3/34
H05B3/20 349
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017218776
(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2019089425
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長田 健志
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0105076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0150850(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332656(US,A1)
【文献】特開2002-096737(JP,A)
【文献】特開2008-114680(JP,A)
【文献】特開2015-227067(JP,A)
【文献】特開2016-016790(JP,A)
【文献】米国特許第05743154(US,A)
【文献】米国特許第06495799(US,B1)
【文献】特開2017-091694(JP,A)
【文献】特開2014-162330(JP,A)
【文献】特開2002-104200(JP,A)
【文献】特開2002-096740(JP,A)
【文献】特開2018-073514(JP,A)
【文献】特開2016-072103(JP,A)
【文献】国際公開第2016/156617(WO,A1)
【文献】特開2002-096739(JP,A)
【文献】特開2002-096738(JP,A)
【文献】特開2010-023649(JP,A)
【文献】特開2011-073546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
H05B 3/34
H05B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール用のヒータであって、
前記ヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態で前記リム部の周方向に沿うように形成された一対の側縁部を有する帯状の発熱体と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記一対の側縁部に装着される一対の弾性体とを備え、
前記発熱体は、前記一対の側縁部を有する編地と、前記編地にインレイ編みでインレイされた少なくとも一本のヒータ線とを有し、
前記ヒータが前記リム部の外周側から前記リム部に取り付けられると、前記一対の弾性体が編み込まれた前記一対の側縁部は、前記一対の弾性体の収縮によって前記リム部の内周側に向けて巻き込んで位置する、ヒータ。
【請求項2】
ステアリングホイール用のヒータであって、
前記ヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態で前記リム部の周方向に沿うように形成された一対の側縁部を有する帯状の発熱体と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記一対の側縁部に装着される一対の弾性体とを備え、
前記発熱体は、前記一対の側縁部を有する編地と、前記編地に編み込まれた少なくとも一本のヒータ線とを有し、
前記ヒータが前記リム部の外周側から前記リム部に取り付けられると、前記一対の弾性体が編み込まれた前記一対の側縁部は、前記一対の弾性体の収縮によって前記リム部の内周側に向けて巻き込んで位置する、ヒータ。
【請求項3】
前記一対の弾性体の自然長は、前記一対の側縁部の長さよりも短い、請求項1又は2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記一対の弾性体の自然長は、前記リム部の内周の長さよりも短い、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のヒータと、前記ヒータが取り付けられる環状のリム部とを備える、ステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ及びステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられるヒータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-96739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヒータを環状のリム部に取り付ける従来の取り付け工程では、ヒータの幅方向の中央部をリム部の外周に沿わせてから、ヒータの幅方向の側縁部同士が向かい合うようにヒータをリム部の内周側に巻き込む作業が必要となる。そのため、ヒータをステアリングホイールに取り付ける作業が煩雑となり、工数やコストが膨らんでしまう。
【0005】
そこで、本開示では、ステアリングホイールへの取り付けが容易なヒータ、及び該ヒータを備えるステアリングホイールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、
ステアリングホイール用のヒータであって、
前記ヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態で前記リム部の周方向に沿うように形成された一対の側縁部を有する帯状の発熱体と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記一対の側縁部に装着される一対の弾性体とを備え、
前記発熱体は、前記一対の側縁部を有する編地と、前記編地にインレイ編みでインレイされた少なくとも一本のヒータ線とを有し、
前記ヒータが前記リム部の外周側から前記リム部に取り付けられると、前記一対の弾性体が編み込まれた前記一対の側縁部は、前記一対の弾性体の収縮によって前記リム部の内周側に向けて巻き込んで位置する、ヒータが提供される。また、当該ヒータを備えるステアリングホイールが提供される。本開示では、
ステアリングホイール用のヒータであって、
前記ヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態で前記リム部の周方向に沿うように形成された一対の側縁部を有する帯状の発熱体と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記一対の側縁部に装着される一対の弾性体とを備え、
前記発熱体は、前記一対の側縁部を有する編地と、前記編地に編み込まれた少なくとも一本のヒータ線とを有し、
前記ヒータが前記リム部の外周側から前記リム部に取り付けられると、前記一対の弾性体が編み込まれた前記一対の側縁部は、前記一対の弾性体の収縮によって前記リム部の内周側に向けて巻き込んで位置する、ヒータが提供される。また、当該ヒータを備えるステアリングホイールが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヒータがリム部の外周側からリム部に取り付けられると、一対の側縁部は、一対の弾性体の収縮によってリム部の内周側に向けて巻き込んで位置する。よって、ステアリングホイールへの取り付けが容易なヒータ、及び該ヒータを備えるステアリングホイールの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ステアリングホイールの構成の一例を示す正面図である。
図2】ヒータの構成の一例を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態におけるヒータの構成の一例を部分的に示す斜視図である。
図4図3の二点鎖線部A付近の拡大図である。
図5】ヒータに一対の弾性体が装着されている場合と装着されていない場合とを示す図である。
図6】一対の弾性体が装着されていないヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態を示す図である。
図7】一対の弾性体が装着されているヒータがステアリングホイールの環状のリム部に取り付けられた状態を示す図である。
図8】第2の実施形態におけるヒータの構成の一例を部分的に示す斜視図である。
図9図8の二点鎖線部B付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向及びZ軸に平行な方向を表す。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸とY軸を含む平面、Y軸とZ軸とを含む平面、Z軸とX軸とを含む平面を表す。
【0010】
図1は、ステアリングホイールの構成の一例を示す正面図である。図1に示されるステアリングホイール40は、車両を操舵するために運転者により操作される操作部材である。ステアリングホイール40は、例えば、リム部50、ハブ部70、右スポーク部61、左スポーク部62及び下スポーク部63を備える。
【0011】
リム部50は、運転者に把持される環状の部分であり、例えば、円環状に形成された部分でもよいし、楕円等のその他の環状形状に形成された部分でもよい。リム部は、グリップ部とも呼ばれる。リム部50は、外周51と内周52とを有する。外周長D1は、リム部50の外周51の長さを表し、内周長D2は、リム部50の内周52の長さを表す。内周長D2は、外周長D1の長さよりも短い。
【0012】
ハブ部70は、リム部50の内側中央部に位置する部分である。ハブ部70には、車体側のステアリングシャフトが結合されるとともに、エアバッグモジュールが固定されるホーンプレートが取り付けられる。ハブ部70は、リム部50に対してステアリングシャフト側(運転者から見て奥側)にオフセットしている。
【0013】
右スポーク部61は、ハブ部70の右側部とリム部50の右側部とを連結する部分である。左スポーク部62は、ハブ部70の左側部とリム部50の左側部とを連結する部分である。下スポーク部63は、ハブ部70の下側部とリム部50の下側部とを連結する部分である。なお、スポーク部の本数は、3本に限られず、例えば4本でもよい。
【0014】
図2は、ステアリングホイール40の環状のリム部50に取り付けられる、ステアリングホイール用のヒータ10の構成の一例を示す斜視図である。ヒータ10の長手方向がリム部50の周方向に沿うように、ヒータ10はリム部50に取り付けられる。
【0015】
ヒータ10は、伸縮性を有する帯状の発熱体20を備える。発熱体20は、例えば、通電により発熱する部品である。図2に示される形態では、発熱体20は、発熱体20の長手方向の両側の先端部に設けられる一対の電極21,22を有する。一方の電極21は、発熱体20の一方の先端部20aに設けられ、他方の電極22は、発熱体20の他方の先端部20bに設けられる。一方の電極21は、電源の正極側に接続されるリード線23に接続され、他方の電極22は、電源の負極側に接続されるリード線24に接続される。なお、一対の電極21,22が、発熱体20の長手方向の両側の先端部20a,20bのうち、いずれか一方の先端部のみに設けられてもよい。
【0016】
また、図2に示される形態では、発熱体20は、一対の電極21,22との間に接続される1本又は複数本のヒータ線30を有する。図2は、2本のヒータ線30A,30Bが一対の電極21,22との間に並列に接続されている形態を一部省略して例示している。
【0017】
電極21と電極22との間に電源によって電圧が印加されることにより、1本又は複数本のヒータ線30が全て通電して発熱する。ヒータ線30の発熱により、ヒータ10が取り付けられたリム部50を革又は樹脂等で覆う表面部が温まるので、当該表面部に触れる運転者の手が温められる。
【0018】
一対の電極21,22は、例えば、銅板である。一対の電極21,22とヒータ線30との接続は、はんだ付けでもよいし、導電性接着剤による接着でもよい。
【0019】
発熱体20は、ヒータ10がリム部50に取り付けられた状態でリム部50の周方向に沿うように形成された一対の側縁部25,26を有する。一対の側縁部25,26は、発熱体20の幅方向に向かい合う部位であり、発熱体20の一方の先端部20aから他方の先端部20bまで発熱体20の長手方向に延在する。例えば、発熱体20の幅方向の幅寸法を1とするとき、一対の側縁部25,26の当該幅方向におけるそれぞれの幅寸法は、0よりも大きく0.30以下である。
【0020】
ヒータ10は、発熱体20の長手方向に沿って一対の側縁部25,26に装着される一対のゴム27,28を有する。ゴム27は、一方の側縁部25に装着される弾性体であり、ゴム28は、他方の側縁部26に装着される弾性体である。本実施形態では、一対のゴム27,28は、発熱体20の一方の先端部20aから他方の先端部20bまで発熱体20の長手方向に延在する。なお、図2は、ヒータ10が平面状になるように一対のゴム27,28が引き伸ばされた状態を示している。
【0021】
ゴム27は、先端部20aに固定される一方のゴム端部と、先端部20bに固定される他方のゴム端部とを有する。例えば、一方のゴム端部は、先端部20aに位置する電極21と発熱体20の基材との間に挟まれた状態で固定され、他方のゴム端部は、先端部20bに位置する電極22と発熱体20の基材との間に挟まれた状態で固定される。ゴム28の両側のゴム端部が固定される形態も、ゴム27の場合と同様でよい。
【0022】
図3は、第1の実施形態におけるヒータの構成の一例を部分的に示す斜視図である。図3に示されるヒータ11は、図2に示されるヒータ10の一例である。発熱体20は、一対の側縁部25,26を有する編地34と、編地34に設けられる少なくとも一本のヒータ線30とを有する。ゴム27は、一方の側縁部25に装着され、ゴム28は、他方の側縁部26に装着されている。編地34は、地糸で編まれた帯状の基材である。
【0023】
ヒータ線30の具体例として、銅、銅合金、ステンレス等の単線もしくは撚り糸、又はこれらの金属線と他の有機繊維とを撚り合わせた複合線条などが挙げられる。ヒータ線30の太さは、直径70~80μmであることが好ましいが、この限りではない。ヒータ線30の表面は、他のヒータ線30とショートしないように、ポリウレタンエナメル等によってコーティングされていることが好ましい。
【0024】
ヒータ線30は、例えば、編地34にインレイ編み(inlay stitch)でインレイされている。つまり、ヒータ線30はそれ自体では編地34の編目を作っていない。ヒータ線30はインレイ線として機能するので、ヒータ線30が切れても、編地34の編目は解れない。したがって、地糸と異質のヒータ線30が編地34に含まれていても、編地34の型崩れが生じにくい。また、編地34の強度が安定し、編地34の編目が解れにくくなる。
【0025】
なお、ヒータ線30がそれ自体で編地34の編目を作るように、ヒータ線30が地糸に絡み合って編み込まれることによって、編地34が形成されてもよい。また、ヒータ線30のみで編地34が形成されてもよい。
【0026】
図4は、図3に示される二点鎖線部A付近の拡大図である。編地34は、例えば、地糸31で鎖編みにより編まれている。鎖編みは、地糸31が同じウェールを移動する編み方である。なお、編目のたての連なりをウェールといい、編目のよこの連なりをコースという。図4において、1,2と列記された数字は、ウェールの列数を表す。
【0027】
地糸31の素材の具体例として、綿、ウール、麻等の有機天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル等の有機合成繊維、あるいはこれらの混織糸等が挙げられる。地糸31の太さは、75デニール程度であるが、この限りではない。
【0028】
図4に示される編地34には、ヒータ線30とは別のインレイ線が、インレイ編みでインレイされている。図4には、2種類のインレイ糸32,33が例示されている。インレイ糸32は、隣り合う複数列のウェールに絡み合ってインレイされている。インレイ糸33は、隣り合う複数列のウェールに絡み合ってインレイされている。このように、ヒータ線30とは別のインレイ線が編地34にインレイ編みでインレイされていることにより、鎖編みで編まれた編地34が解れることを防止することができる。なお、インレイ線がウェールに絡む数は、これに限られない。また、ヒータ線30とは別のインレイ線の種類は、2種類に限られず、3種類以上でもよい。
【0029】
インレイ糸32,33は、互いに逆向きの方向から編地34の共通の編目に絡んでいる。これにより、ヒータ線30入りの編地34がより安定的に形成される。例えば、2列目のウェールにおいて、インレイ糸32は、コース方向の一方の側から、編目36Aに絡んでいて、インレイ糸33は、コース方向の他方の側から、同じ編目36Aに絡んでいる。また、同じ2列目のウェールにおいて、インレイ糸32は、コース方向の他方の側から、編目36Aにウェール方向に隣接する編目36Bに絡んでいて、インレイ糸33は、コース方向の一方の側から、同じ編目36Bに絡んでいる。2列目以外の他の列のウェールについても同様に、インレイ糸32,33は、互いに逆向きの方向から編地34の共通の編目に絡んでいる。なお、共通の編目に絡むインレイ糸の本数は、2本に限られず、3本以上でもよい。
【0030】
ゴム27は、側縁部25に延在する少なくとも一つのウェールに編み込まれ、例えば、当該ウェールにインレイ編みでインレイされている。なお、図4には示されていないが、もう一方のゴム28は、側縁部26に延在する少なくとも一つのウェールに編み込まれ、例えば、当該ウェールにインレイ編みでインレイされている。
【0031】
また、本実施形態では、一対の側縁部25,26に延在する一対のゴム27,28は、それぞれ、帯状の編地34の幅方向において、最も外側のウェールに編み込まれている。しかしながら、一対の側縁部25,26に延在する一対のゴム27,28は、それぞれ、帯状の編地34の幅方向において、最も外側のウェールに対して内寄りに位置するウェール(例えば、側縁から2列目のウェール)に編み込まれてもよい。
【0032】
図5は、ヒータに一対の弾性体が装着されている場合と装着されていない場合とを示す図である。図5の上段に示されるヒータ11では、一対のゴム27,28が一対の側縁部25,26に装着されている。これに対し、図5の下段に示されるヒータ19は、一対のゴムが一対の側縁部25,26に装着されていない。図5は、ヒータ11,19のいずれにも引っ張り荷重がかかっていない自然状態を示す。
【0033】
下段のヒータ19では、一対の側縁部25,26のそれぞれにゴムが装着されていないため、編地34は、平面的な形状に保たれている。一方、上段のヒータ11では、一対の側縁部25,26に一対のゴム27,28が装着されているため、編地34は、一対のゴム27,28の収縮によって編地34の長手方向に収縮している。例えば、一対のゴム27,28の自然長は、発熱体20の一対の側縁部25,26の長さよりも短く、一対のゴム27,28のそれぞれの両側のゴム端部は、発熱体20の両側の先端部にそれぞれ固定されている。
【0034】
図6は、一対のゴムが装着されていないヒータ19がステアリングホイールの環状のリム部50に取り付けられた状態を示す図である。図6は、上段に、正面視図、中段に、正面視でのa付近での拡大図、下段に、正面視でのb付近での拡大図を示す。
【0035】
図6に示されるように、ヒータ19がリム部50の外周側からリム部50に取り付けられても、一対の側縁部25,26のそれぞれにゴムが装着されていないため、一対の側縁部25,26は、リム部50の内周側に向けて巻き込まずに離れたままである。したがって、ヒータ19の側縁部25,26同士がリム部50の内周側で向かい合うようにヒータ19をリム部50の内周側に巻き込む作業が必要となる。また、一対の側縁部25,26のそれぞれにゴムが装着されていないため、ヒータ19をリム部50の内周側に巻き込んだ状態で何らかの仮止めをしなければ、一対の側縁部25,26は互いに離れ、ヒータ19はリム部50から離れてしまう。
【0036】
これに対し、図7は、一対のゴムが装着されているヒータ11がステアリングホイールの環状のリム部50に取り付けられた状態を示す図である。図7は、上段に、正面視図、中段に、正面視でのc付近での拡大図、下段に、正面視でのd付近での拡大図を示す。
【0037】
ヒータ11がその長手方向に引き伸ばされると、一対のゴム27,28も同じ方向に引き伸ばされる。図7に示されるように、ヒータ11は引き伸ばされた状態でリム部50の外周側からリム部50に取り付けられると、一対の側縁部25,26は、一対のゴム27,28の収縮によってリム部50の内周側に向けて自ずと巻き込んで位置する。したがって、ヒータ11の側縁部25,26同士がリム部50の内周側で向かい合うようにヒータ11をリム部50の内周側に巻き込む作業が、簡単になる又は不要になる。また、ヒータ11をリム部50に仮止めしなくても、一対のゴム27,28の収縮力によって、ヒータ11をリム部50の内周側に巻き込んだままリム部50に取り付けた状態を保つことが可能となる。したがって、本実施形態におけるヒータ11によれば、ヒータ11を環状のリム部50に容易に取り付けることが可能となる。
【0038】
図2に示されるように、一対の側縁部25,26の長さをL1とし、一対のゴム27,28の自然長をL2とする。L2をL1よりも短くすることによって、ヒータ11は一対のゴム27,28の収縮によってリム部50に密着しやすくなるので、ヒータ11をリム部50に巻くときの作業性が向上する。後述のヒータ12についても同様である。
【0039】
また、自然長L2は、内周長D2(リム部50の内周52の長さ。図1参照)よりも短くすることが好ましい。これにより、一対の側縁部25,26は、一対のゴム27,28の収縮によってリム部50の内周側に向けて自ずと巻き込みやすくなるので、リム部50に巻かれた状態でのヒータ11のしわやよれを抑えることができる。後述のヒータ12についても同様である。
【0040】
図8は、第2の実施形態におけるヒータの構成の一例を部分的に示す斜視図である。図8に示されるヒータ12は、図2に示されるヒータ10の一例である。第2の実施形態において、上掲の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。発熱体20は、一対の側縁部35,36を有するマット状基材37と、マット状基材37に設けられる少なくとも一本のヒータ線30とを有する。一対の側縁部35,36は、ヒータ12がリム部50に取り付けられた状態でリム部50の円周方向に沿うように形成される。
【0041】
図9は、図8に示される二点鎖線部B付近の拡大図である。マット状基材37は、例えば、ウレタンスポンジ又は不織布等の帯状の基材である。ゴム27は、側縁部35に糸29で縫い付けられている。なお、図9には示されていないが、もう一方のゴム28は、側縁部36に糸29で縫い付けられている。
【0042】
第2の実施形態においても、ヒータ12がその長手方向に引き伸ばされると、一対のゴム27,28も同じ方向に引き伸ばされる。図7に示される第1の実施形態の場合と同様、ヒータ12は引き伸ばされた状態でリム部50の外周側からリム部50に取り付けられると、一対の側縁部35,36は、一対のゴム27,28の収縮によってリム部50の内周側に向けて自ずと巻き込んで位置する。したがって、ヒータ12の側縁部35,36同士がリム部50の内周側で向かい合うようにヒータ12をリム部50の内周側に巻き込む作業が、簡単になる又は不要になる。また、ヒータ12をリム部50に仮止めしなくても、一対のゴム27,28の収縮力によって、ヒータ12をリム部50の内周側に巻き込んだままリム部50に取り付けた状態を保つことが可能となる。したがって、本実施形態におけるヒータ12によれば、ヒータ12を環状のリム部50に容易に取り付けることが可能となる。
【0043】
以上、ヒータ及びステアリングホイールを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0044】
例えば、ゴム27等の弾性体の本数は、一本に限られず、複数本でもよい。同様に、ゴム28等の弾性体の本数は、一本に限られず、複数本でもよい。また、一対の弾性体の形状は、線状又は紐状に限られず、帯状などの他の形状でもよい。また、一対の弾性体は、ゴムに限られず、ウレタン等の他の部材でもよい。
【0045】
また、例えば、編地の形態は、地糸で鎖編みにより編まれる形態に限られず、地糸でデンビー編みなどの他の経編みにより編まれる形態でもよい。また、地糸で経編みにより編まれた編地にヒータ線がインレイ編みでインレイされる形態に限られず、地糸で緯編みにより編まれた編地にヒータ線がインレイ編みでインレイされる形態でもよい。
【0046】
また、例えば、ヒータをステアリングホイールに取り付ける工程では、ヒータがリム部に取り付けられた後、ヒータが取り付けられたリム部を革又は樹脂等で覆う表面部が形成される。しかしながら、ヒータが革等の表面部の内側に取り付けられた後、当該表面部の内側に取り付けられたヒータがリム部に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10,11,12 ヒータ
19 ヒータ
20 発熱体
25,26 側縁部
27,28 ゴム
29 糸
30 ヒータ線
34 編地
35,36 側縁部
37 マット状基材
40 ステアリングホイール
50 リム部
51 外周
52 内周
70 ハブ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9