(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】人力駆動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230209BHJP
B62M 6/50 20100101ALI20230209BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/50
(21)【出願番号】P 2018074899
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2020-04-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】寺島 圭司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄俊
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】藤井 昇
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-47083(JP,A)
【文献】特開2018-24416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62M 6/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車両に関する傾斜角が第1所定角度以上であり、かつ、前記人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求がある場合、前記モータによるアシスト力が第1所定値以下になる第1制御状態で前記モータを制御し、
前記第1制御状態において、前記変速機を動作させ、
前記人力駆動車両に関する傾斜角が前記第1所定角度未満の場合、前記変速機を動作させる要求がある場合であっても前記モータの制御状態を前記第1制御状態に変更せず
に前記変速機を動作させ、
前記第1所定角度は、前記人力駆動車両の走行路面が上り勾配であると判定できる角度であ
り、
前記人力駆動車両に関する傾斜角を検出する傾斜検出部をさらに含む、人力駆動車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1制御状態において、前記モータによるアシスト力が0Nmよりも大きい第1所定範囲になるように前記モータを制御可能である、請求項1に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記モータによって前記人力駆動車両をアシストしている状態、および、前記人力駆動車両が走行している状態の少なくとも一方において、前記人力駆動車両に関する傾斜角が第1所定角度以上であり、かつ、前記変速機を動作させる要求がある場合、前記第1制御状態で前記モータを制御する、請求項2に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項4】
前記第1所定範囲は、0Nmよりも大きく、かつ、25Nm以下である、請求項2または3に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項5】
前記傾斜検出部は、前記人力駆動車両に取り付け可能な傾斜センサを含む、請求項
1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項6】
前記傾斜検出部は、前記人力駆動車両の位置情報および地図情報に基づいて、前記人力駆動車両に関する傾斜角を検出する、請求項
1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項7】
前記変速機を動作させる要求は、前記人力駆動車両のクランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の第1回転比率を小さくする要求を含む、請求項1
から6のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力が第1アシスト比率となる第2制御状態で前記モータを制御可能に構成される、請求項1
から7のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記モータが前記第1制御状態で制御され、かつ、第1所定条件が成立した場合、前記モータの制御状態を前記第2制御状態に変更する、請求項
8に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項10】
前記人力駆動車両のクランクの回転角度が所定角度範囲に含まれる場合に、前記第1所定条件が成立する、請求項
9に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項11】
前記所定角度範囲は、前記クランクの上死点および下死点を除く範囲を含む、請求項
10に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項12】
前記第1所定条件は、時間に関する、請求項
9から11のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項13】
前記変速機の動作が完了した場合に、前記第1所定条件が成立する、請求項
9から12のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記モータによるアシスト力が前記第1所定値以下の場合、前記変速機を動作させる要求に応じて前記変速機を動作させる、請求項1
から13のいずれか一項に記載の人力駆動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する人力駆動車両の制御装置の一例を開示している。この制御装置は、人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求がある場合、モータのアシスト力を一時的に停止または低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車両の走行状況に応じて好適にアシスト力を制御できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車両の制御装置は、人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車両に関する傾斜角が第1所定角度以上であり、かつ、前記人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求がある場合、前記モータによるアシスト力が第1所定値以下になる第1制御状態で前記モータを制御する。
第1側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両に関する傾斜角を考慮してモータのアシスト力が制御されるため、アシスト力を好適に制御できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第1制御状態において、前記モータによるアシスト力が0Nmよりも大きい第1所定範囲になるように前記モータを制御可能である。
第2側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、第1制御状態においてアシスト力が急激に変化することを抑制できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記モータによって前記人力駆動車両をアシストしている状態、および、前記人力駆動車両が走行している状態の少なくとも一方において、前記人力駆動車両に関する傾斜角が第1所定角度以上であり、かつ、前記人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求がある場合、前記第1制御状態で前記モータを制御する。
第3側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両に関する傾斜角を考慮してモータのアシスト力が制御されるため、アシスト力を好適に制御できる。
【0008】
前記第2または第3側面に従う第4側面の人力駆動車両の制御装置において、前記第1所定範囲は、0Nmよりも大きく、かつ、25Nm以下である。
第4側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、第1制御状態においてアシスト力が急激に変化することを抑制できる。
【0009】
前記第1~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の人力駆動車両の制御装置において、前記人力駆動車両に関する傾斜角を検出する傾斜検出部をさらに含む。
第5側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両に関する傾斜角を容易に検出できる。
【0010】
前記第5側面に従う第6側面の人力駆動車両の制御装置において、前記傾斜検出部は、前記人力駆動車両に取り付け可能な傾斜センサを含む。
第6側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両に関する傾斜角を容易に検出できる。
【0011】
前記第5または第6側面に従う第7側面の人力駆動車両の制御装置において、前記傾斜検出部は、前記人力駆動車両の位置情報および地図情報に基づいて、前記人力駆動車両に関する傾斜角を検出する。
第7側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両に関する傾斜角を好適に検出できる。
【0012】
前記第1~第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車両の制御装置において、前記人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求は、前記人力駆動車両のクランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の第1回転比率を小さくする要求を含む。
第8側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、第1回転比率を小さくする要求がある場合にアシスト力を好適に制御できる。
【0013】
前記第1~第8側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力が第1アシスト比率となる第2制御状態で前記モータを制御可能に構成される。
第9側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、モータのアシスト力を多様に制御できる。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記モータが前記第1制御状態で制御され、かつ、第1所定条件が成立した場合、前記モータの制御状態を前記第2制御状態に変更する。
第10側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、モータの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に好適に切り替えることができる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の人力駆動車両の制御装置において、前記人力駆動車両のクランクの回転角度が所定角度範囲に含まれる場合に、前記第1所定条件が成立する。
第11側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、クランクの回転角度に基づいて第1所定条件が決められるため、第1所定条件を容易に決めることができる。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の人力駆動車両の制御装置において、前記所定角度範囲は、前記クランクの上死点および下死点を除く範囲を含む。
第12側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、クランクの回転角度が上死点および下死点以外の場合にモータの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。
【0017】
前記第10~第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車両の制御装置において、前記第1所定条件は、時間に関する。
第13側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、時間に基づいてモータの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。
【0018】
前記第10~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車両の制御装置において、前記変速機の動作が完了した場合に、前記第1所定条件が成立する。
第14側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、変速機の動作が完了した場合にモータの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。
【0019】
前記第1~第14側面のいずれか1つに従う第15側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記モータによるアシスト力が前記第1所定値以下の場合、前記変速機を動作させる要求に応じて前記変速機を動作させる。
第15側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、変速機を好適に動作できる。
【0020】
本発明の第16側面に従う人力駆動車両の制御装置は、人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記モータによって前記人力駆動車両をアシストしている状態および前記人力駆動車両が走行している状態の少なくとも一方において、前記人力駆動車両に設けられる変速機を動作させる要求がある場合、前記モータによるアシスト力を0Nmよりも大きく、かつ、25Nm以下の第1所定範囲になるように制御する。
第16側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、変速機を動作させる要求がある場合にアシスト力を好適に制御できる。
【0021】
本発明の第17側面に従う人力駆動車両の制御装置は、人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車両のクランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の第2回転比率を大きくする要求がある場合、前記モータによるアシスト力が増加するように前記モータを制御する。
第17側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーにかかる負荷を好適に低減できる。
【0022】
本発明の第18側面に従う人力駆動車両の制御装置は、人力駆動車両の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記モータによって前記人力駆動車両をアシストしている状態、前記人力駆動車両が走行している状態、および、前記人力駆動車両の加速度が所定加速度以上の状態、の少なくとも1つの状態において、前記人力駆動車両に関する傾斜角が第2所定角度未満であり、かつ、前記人力駆動車両のクランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の第3回転比率を大きくする要求がある場合、前記モータによるアシスト力を増加させる第3制御状態で前記モータを制御する。
第18側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーの加速要求がある場合にモータのアシスト力を好適に制御できる。
【0023】
前記第18側面に従う第19側面の人力駆動車両の制御装置において、前記人力駆動車両が走行している状態は、前記モータによって前記人力駆動車両の推進をアシストしていない状態を含む。
第19側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両の推進をアシストしていない状態においてライダーの加速要求があった場合にモータのアシスト力を好適に制御できる。
【0024】
前記第18または第19側面に従う第20側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力が第2アシスト比率となる第4制御状態で前記モータを制御可能である。
第20側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、モータのアシスト力を多様に制御できる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第3制御状態において、前記人力駆動力に対する前記モータによるアシスト力が、前記第2アシスト比率よりも大きい第3アシスト比率となるように前記モータを制御する。
第21側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーの負荷を好適に低減できる。
【0026】
前記22側面に従う第20側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第3制御状態において、前記人力駆動力に対して前記第2アシスト比率よりも大きい第3アシスト比率となるアシスト力に、所定のアシスト力を加えた第1アシスト力を発生させるようにモータを制御する。
第22側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーの負荷を好適に低減できる。
【0027】
前記第20側面に従う第23側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第3制御状態において、前記人力駆動力に対して前記第2アシスト比率に、所定のアシスト力を加えた第2アシスト力を発生させるようにモータを制御する。
第23側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーの負荷を好適に低減できる。
【0028】
前記第22または第23側面に従う第24側面の人力駆動車両の制御装置において、前記所定のアシスト力は、前記第3回転比率および前記第3回転比率の変化量の少なくとも一方に応じて変更される。
第24側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、所定のアシスト力が好適に設定される。
【0029】
前記第24側面に従う第25側面の人力駆動車両の制御装置において、前記第3回転比率の変化量が増加するほど、前記所定のアシスト力は増加する。
第25側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、ライダーの負荷を好適に低減できる。
【0030】
前記第20~第25側面のいずれか1つに従う第26側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記モータの制御状態を前記第3制御状態に変更した後、第2所定条件が成立した場合に、前記第4制御状態に変更する。
第26側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、第2所定条件が成立した場合にモータの制御状態を第3制御状態から第4制御状態に好適に切り替えることができる。
【0031】
前記第26側面に従う第27側面の人力駆動車両の制御装置において、前記第2所定条件は、前記人力駆動車両のクランクの回転速度、および、前記クランクの回転角度、の一方の状態を含む。
第27側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、クランクの回転速度、および、クランクの回転角度に基づいてモータの制御状態を第3制御状態から第4制御状態に好適に切り替えることができる。
【0032】
前記第27側面に従う第28側面の人力駆動車両の制御装置において、前記クランクの回転速度が55rpm以上になると、前記第2所定条件が成立する。
第28側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、クランクの回転速度が55rpm以上の場合にアシスト力を好適に低下させることができる。
【0033】
前記第18~第28側面のいずれか1つに従う第29側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車両の前記クランクの回転速度が所定値以上の場合、前記第3制御状態での前記モータの制御を禁止する。
第29側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、クランクの回転速度が所定値以上の場合にアシスト力が増加しない。
【0034】
前記第18~第29側面のいずれか1つに従う第30側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第3回転比率を変更する直前、前記第3回転比率を変更するとき、または、前記第3回転比率を変更した直後に、前記第3制御状態での前記モータの制御を開始する。
第30側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、変速機を好適に動作できる。
【0035】
前記第18~第30側面のいずれか1つに従う第31側面の人力駆動車両の制御装置において、前記制御部は、前記第3制御状態において、前記第3回転比率を変更する直前、前記第3回転比率を変更するとき、および、前記第3回転比率を変更した直後、の少なくともいずれか2つのタイミングで段階的に前記アシスト力を増加させる。
第31側面に従う人力駆動車両の制御装置によれば、アシスト力を好適に増加できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に関する人力駆動車両の制御装置によれば、人力駆動車両の走行状況に応じてアシスト力を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車両の制御装置が搭載される、人力駆動車両の側面図。
【
図3】
図2の制御部が実行するアシスト制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図2の制御部が実行するアシスト制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】第2実施形態の制御装置の制御部が実行するアシスト制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図6】第3実施形態の制御装置の制御部が実行するアシスト制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図7】第4実施形態の制御装置の制御部が実行するアシスト制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
図1を参照して、人力駆動車両の制御装置10が搭載される人力駆動車両Aについて説明する。ここで、人力駆動車両は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車両には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車両には含まれない。通常、人力駆動車両には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車両Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車両Aの推進を補助するアシスト装置E3を含む自転車(e-bike)である。より具体的には、図示される人力駆動車両Aは、シティサイクルである。人力駆動車両Aの種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、または、クロスバイクであってもよい。以下では、人力駆動車両の制御装置10を単に制御装置10と称する。
【0039】
人力駆動車両Aは、本体A1、ハンドルバーA2、駆動輪A3、ハンドルステムA4、駆動機構B、操作部C、バッテリユニットD、ドライブユニットE、および、制御装置10を備える。本体A1はフレームA5を備える。駆動輪A3は、前輪A31および後輪A32を備える。
【0040】
駆動機構Bは、人力駆動力を後輪A32に伝達する。駆動機構Bは、フロントスプロケットB1、リアスプロケットB2、チェーンB3、クランク機構F、および、一対のペダルB4を含む。なお、駆動機構Bは、例えば、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0041】
クランク機構Fは、クランクF1、右クランクアームF2、および、左クランクアームF3を含む。クランクF1は、フレームA5に設けられるボトムブラケット(図示略)に回転可能に支持される。右クランクアームF2および左クランクアームF3は、それぞれクランクF1に連結される。一対のペダルB4の一方は右クランクアームF2に回転可能に支持される。一対のペダルB4の他方は左クランクアームF3に回転可能に支持される。
【0042】
フロントスプロケットB1は、クランクF1に連結される。クランクF1の回転軸心はフロントスプロケットB1の回転軸心と同軸である。フロントスプロケットB1をクランクF1と連結するための構造は、任意に選択可能である。クランクF1とフロントスプロケットB1との間にワンウェイクラッチ(図示略)が設けられる。ワンウェイクラッチは、前転するクランクF1の回転速度が、フロントスプロケットB1の回転速度よりも速い場合に、クランクF1の回転をフロントスプロケットB1に伝達する。なお、ワンウェイクラッチは省略されてもよい。
【0043】
リアスプロケットB2は、後輪A32のハブに支持される。チェーンB3は、フロントスプロケットB1およびリアスプロケットB2に巻き掛けられる。一対のペダルB4に加えられる人力駆動力によってクランクF1およびフロントスプロケットB1が前転する場合、チェーンB3およびリアスプロケットB2を介して伝達される人力駆動力によって後輪A32が前転する。
【0044】
操作部Cは、ハンドルバーA2に取り付けられる。操作部Cは、制御装置10の制御部12(
図2参照)と有線または無線によって通信可能に接続されている。
図2に示されるように、操作部Cは、第1操作部C1および第2操作部C2を含む。操作者によって第1操作部C1が操作されるとき、操作部CはクランクF1の回転速度に対する駆動輪A3の回転速度の比率RAを小さくする信号(以下「シフトダウン信号」)を制御部12に送信する。操作者によって第2操作部C2が操作されるとき、操作部Cは比率RAを大きくする信号(以下「シフトアップ信号」)を制御部12に送信する。
【0045】
バッテリユニットDは、バッテリD1、および、バッテリD1をフレームA5に着脱可能に取り付けるためのバッテリホルダD2を備えている。バッテリD1は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリD1は、充電池によって構成される。バッテリD1は、ドライブユニットEのモータE32(
図2参照)に電気的に接続される。バッテリD1はモータE32に電力を供給する。
【0046】
ドライブユニットEは、ハウジングE1、変速装置E2(
図2参照)、および、アシスト装置E3を含む。ハウジングE1は、A5に設けられる。変速装置E2(
図2参照)およびアシスト装置E3は、ハウジングE1に収容される。
【0047】
図2に示されるように、変速装置E2は、変速機E21およびアクチュエータE22を含む。変速機E21は、クランクF1(
図1参照)に入力された回転を変速してフロントスプロケットB1(
図1参照)に伝達する。変速装置E2は、比率RAを変更する。変速機E21の一例は、遊星歯車機構(図示略)を含む内装変速機である。変速装置E2は、アクチュエータE22の駆動によって変速機E21の遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態が変更されることにより、比率RAを段階的に変更する。変速機E21は、外装変速機であってもよい。
【0048】
アシスト装置E3は、駆動回路E31およびモータE32を含む。駆動回路E31は、バッテリD1からモータE32に供給される電力を制御する。モータE32は、人力駆動車両Aの推進をアシストする。モータE32は、電気モータによって構成される。モータE32は、クランクF1または変速機E21に結合される。モータE32とクランクF1または変速機E21との間の動力伝達経路には、クランクF1の回転力によってモータE32が回転しないようにワンウェイクラッチ(図示略)が設けられることが好ましい。
【0049】
図2に示されるように、制御装置10は、制御部12を含む。制御部12は人力駆動車両Aの推進をアシストするモータE32を制御する。制御装置10は、好ましくは、傾斜検出部14をさらに備える。このため、傾斜角θAを容易に検出できる。制御装置10は、好ましくは、回転角センサ16、車速センサ18、トルクセンサ20、および、記憶部22をさらに備える。
【0050】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部12は、1つまたは複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。記憶部22には、各種の制御プログラム、および、各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。
【0051】
傾斜検出部14は人力駆動車両Aに関する傾斜角θAを検出する。傾斜角θAは、人力駆動車両Aのピッチ角DA、人力駆動車両Aの走行路面に対する人力駆動車両Aの傾斜角、および、人力駆動車両Aの走行路面の傾斜角の少なくとも1つを含む。傾斜検出部14は、有線または無線によって制御部12と通信可能に接続されている。傾斜検出部14は傾斜センサ14Aを備える。傾斜センサ14Aは人力駆動車両Aに取り付け可能である。このため、傾斜角θAを容易に検出できる。傾斜センサ14Aは、例えば、フレームA5またはドライブユニットEに取り付けられる。傾斜センサ14Aは人力駆動車両Aの位置情報および地図情報に基づいて、人力駆動車両Aに関する傾斜角θAを検出する。このため、傾斜角θAを好適に検出できる。傾斜センサ14Aは、GPS(global positioning system)受信機を含み、インターネットに接続可能に構成される。傾斜センサ14Aは、GPSおよびインターネットから、人力駆動車両Aが走行する場所の地図データ、人力駆動車両Aの走行路面の勾配、および、人力駆動車両Aの走行路面の状態の少なくとも1つを取得する。傾斜センサ14Aは、インターネットに接続されなくてもよく、この場合、記憶部22に地図データが記憶される。
【0052】
傾斜検出部14は、3軸のジャイロセンサ14Bおよび3軸の加速度センサ14Cをさらに備える。傾斜検出部14の出力は、3軸のそれぞれの姿勢角度、および、3軸のそれぞれの加速度の情報を含む。なお、3軸の姿勢角度は、ピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCである。ジャイロセンサ14Bの3軸と、加速度センサ14Cの3軸とは一致することが好ましい。ジャイロセンサ14Bおよび3軸の加速度センサ14Cは、本体A1(
図1参照)の左右方向とピッチ角DAの軸の延びる方向とが略一致するようにフレームA5またはドライブユニットEに取り付けられることが好ましい。
【0053】
回転角センサ16は、クランクF1の回転速度およびクランクF1の回転角度を検出する。回転角センサ16は有線または無線によって制御部12と通信可能に接続されている。回転角センサ16は、フレームA5(
図1参照)に取り付けられる。回転角センサ16は、第1の磁石(図示略)の磁界を検出する第1の素子(図示略)と、第2の磁石(図示略)との位置関係に応じた信号を出力する第2の素子(図示略)とを含む。第1の磁石は、
図1に示すクランクF1、右クランクアームF2、または、左クランクアームF3に設けられ、クランクF1に同軸に配置される。第1の磁石は、環状の磁石であって、周方向に複数の磁極が交互に並んで配置されている。第1の素子は、フレームA5またはハウジングE1に対するクランクF1の回転位相を検出する。第1の素子は、クランクF1が1回転するとき、360°を同極の磁極の数で割った角度を1周期とした信号を出力する。回転角センサ16が検出可能なクランクF1の回転角度の最小値は、180°以下であり、好ましくは15
°であり、さらに好ましくは、6
°である。第2の磁石は、クランクF1、右クランクアームF2、または、左クランクアームF3に設けられ、クランクF1に同軸に配置される。第2の素子は、フレームA5またはハウジングE1に対するクランクF1の基準角度を検出する。基準角度の一例は、クランクF1の上死点または下死点である。第2の素子は、クランク軸の1回転を1周期とした信号を出力する。なお、クランクF1の上死点は、右クランクアームF2および左クランクアームF3が、路面と直交する方向に延び、かつ、一方のペダルB4が路面から最も遠い位置にある状態を示す。クランクF1の下死点は、右クランクアームF2、または、左クランクアームF3が、路面と直交する方向に延び、かつ、他方のペダルB4が路面から最も遠い位置にある状態を示す。上死点および下死点の位相差は180°であることが好ましい。
【0054】
車速センサ18は、有線または無線によって制御部12と通信可能に接続されている。車速センサ18は、フロントフォークA6(
図1参照)、チェーンステイA7(
図1参照)、または、シートステイA9(
図1参照)に取り付けられる。車速センサ18がフロントフォークA6に取り付けられる場合、車速センサ18は、前輪A31のスポークA8に取り付けられる磁石24との相対位置の変化に応じた値を制御部12に出力する。車速センサ18がチェーンステイA7またはシートステイA9に取り付けられる場合、車速センサ18は、後輪A32のスポークA10に取り付けられる磁石(図示略)との相対位置の変化に応じた値を制御部12に出力する。車速センサ18は、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含むことが好ましい。なお、車速センサ18はGPS通信によって車速を検出してもよい。
【0055】
トルクセンサ20は、人力駆動力に応じた信号を出力する。トルクセンサ20は、クランクF1(
図1参照)に与えられる人力駆動力を検出する。トルクセンサ20は、例えば、クランクF1からフロントスプロケットB1までの間、クランクF1、フロントスプロケットB1、右クランクアームF2、左クランクアームF3、または、ペダルB4に設けられる。トルクセンサ20は、例えば、歪センサ、磁歪センサ、光学センサおよび圧力センサなどを用いて実現することができ、右クランクアームF2、左クランクアームF3、または、ペダルB4に加えられる人力駆動力に応じた信号を出力するセンサであれば、いずれのセンサを採用することもできる。
【0056】
制御部12は、傾斜センサ14Aの出力に基づいて傾斜角θAを算出する。別の例では、制御部12は、ジャイロセンサ14B、加速度センサ14C、および、車速センサ18の出力に基づいて、傾斜角θAを算出する。傾斜角θAは、本体A1(
図1参照)の左右方向に延びる軸まわりの人力駆動車両Aの前後方向の傾斜角度である。すなわち、傾斜角θAは、人力駆動車両Aのピッチ角DAである。傾斜角θAは、本体A1が水平な場所に設置されるときに0°になるように設定されている。このため、傾斜角θAは、人力駆動車両Aの走行路面の勾配と相関する。
【0057】
制御部12は、ジャイロセンサ14Bの出力からピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCを算出する。制御部12は、加速度センサ14Cから本体A1(
図1参照)の前後方向についての第1加速度ベクトルを算出する。制御部12は、車速センサ18の出力から第2加速度ベクトルを算出する。制御部12は、第1加速度ベクトルおよび第2加速度ベクトルに基づいて、ピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCを補正し、ピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCに含まれる誤差を低減する。具体的には、制御部12は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分に基づいてピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCのそれぞれの補正角度を算出する。制御部12は、補正角度をピッチ角DA、ロー角DB、および、ヨー角DCに加算する。制御部12は、補正されたピッチ角DA、ロー角DB、ヨー角DC、および、人力駆動車両Aの傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角θAを算出する。なお、ジャイロセンサ14Bおよび加速度センサ14Cが本体A1(
図1参照)の左右方向とピッチ角DAの軸の延びる方向とが略一致するように人力駆動車両Aに取り付けられているとき、ピッチ角DA、ロー角DB、および、人力駆動車両Aの傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角θAを算出することができる。また、ジャイロセンサ14Bおよび加速度センサ14Cが本体A1(
図1参照)の左右方向とピッチ角DAの軸の延びる方向とが略一致し、かつ、本体A1(
図1参照)の前後方向とロー角DBの軸とが略一致するように人力駆動車両Aに取り付けられているとき、ピッチ角DAおよび人力駆動車両Aの傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角θAを算出することができる。
【0058】
制御部12は、回転角センサ16の出力に基づいてクランクF1の回転角度θBを算出する。制御部12は、クランクF1の上死点または下死点を0°としてクランクF1の回転角度θBを算出する。クランクF1の回転角度θBは0°以上360°未満である。
【0059】
制御部12は、回転角センサ16の出力に基づいて、クランクF1の回転速度を算出する。制御部12は、車速センサ18の出力、および、予め記憶部22に記憶されている前輪A31(
図1参照)の周長に基づいて、人力駆動車両Aの単位時間あたりの走行距離(以下「車速V」)を算出する。制御部12は、トルクセンサ20の出力に基づいて単位時間あたりの人力駆動力を算出する。
【0060】
制御部12は、操作部Cからのシフトアップ信号およびシフトダウン信号に基づいて変速機E21を制御する変速制御を実行する。制御部12は、シフトアップ信号が入力されたとき、比率RAが大きくなるように変速機E21を動作させる。制御部12はシフトダウン信号が入力されたとき、比率RAが小さくなるように変速機E21を動作させる。
【0061】
制御部12は、モータE32を制御する。制御部12は、人力駆動力および車速Vに基づいてモータE32を制御するアシスト制御を実行する。制御部12が実行するアシスト制御の概要は次のとおりである。制御部12は、車速Vが予め設定される所定速度以上である場合、および、クランクF1に人力駆動力が入力されていない場合の少なくとも一方の場合、モータE32の駆動を停止する。所定速度は、例えば時速25km/hである。制御部12は、モータE32の出力が予め定められている所定の出力以下となるようにモータE32を制御する。
【0062】
制御部12は、人力駆動車両Aに関する傾斜角θAが第1所定角度以上であり、かつ、人力駆動車両Aに設けられる変速機E21を動作させる要求がある場合、モータE32によるアシスト力が第1所定値以下になる第1制御状態でモータE32を制御する。第1所定角度は、例えば、人力駆動車両Aの走行路面が上り勾配であると判定できる角度である。制御部12は、変速機E21を動作させる要求がある場合であっても、傾斜角θAが第1所定角度未満の場合、モータE32の制御状態を第1制御状態に変更しない。制御部12は、第1制御状態において、モータE32によるアシスト力が0Nmよりも大きい第1所定範囲になるようにモータE32を制御可能である。このため、第1制御状態においてアシスト力が急激に変化することを抑制できる。第1所定範囲は、例えば、0Nmよりも大きく、かつ、25Nm以下である。このため、第1制御状態においてアシスト力が急激に変化することを抑制できる。一例では、制御部12は、第1制御状態において、モータE32のアシスト力が20Nm以下となるようにモータE32を制御する。制御部12は、モータE32によって人力駆動車両Aをアシストしている状態(以下「アシスト状態」)、および、人力駆動車両Aが走行している状態(以下「車両走行状態」)の少なくとも一方において、人力駆動車両Aに関する傾斜角θAが第1所定角度以上であり、かつ、人力駆動車両Aに設けられる変速機E21を動作させる要求がある場合、第1制御状態でモータE32を制御する。傾斜角θAを考慮してモータE32のアシスト力が制御されるため、アシスト力を好適に制御できる。アシスト状態は、例えば、モータE32がアシスト力を出力している状態である。車両走行状態は、例えば、車速センサ18により検出される車速Vが0超の状態である。人力駆動車両Aに設けられる変速機E21を動作させる要求は、人力駆動車両AのクランクF1の回転速度に対する駆動輪A3の回転速度の第1回転比率を小さくする要求を含む。このため、第1回転比率を小さくする要求がある場合にアシスト力を好適に制御できる。人力駆動車両Aに設けられる変速機E21を動作させる要求は、第1回転比率を大きくする要求を含む。制御部12は、人力駆動力に対するモータE32によるアシスト力が第1アシスト比率となる第2制御状態でモータE32を制御可能に構成される。このため、モータE32のアシスト力を多様に制御できる。制御部12は、モータE32が第1制御状態で制御され、かつ、第1所定条件が成立した場合、モータE32の制御状態を第2制御状態に変更する。このため、モータE32の制御状態を第1制御状態から第2制御状態に好適に切り替えることができる。人力駆動車両AのクランクF1の回転角度が所定角度範囲に含まれる場合に、第1所定条件が成立する。クランクF1の回転角度に基づいて第1所定条件が決められるため、第1所定条件を容易に決めることができる。所定角度範囲は、クランクF1の上死点および下死点を除く範囲を含む。このため、クランクF1の回転角度が上死点および下死点以外の場合にモータE32の制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。制御部12は、モータE32によるアシスト力が第1所定値以下の場合、変速機E21を動作させる要求に応じて変速機E21を動作させる。このため、変速機E21を好適に動作できる。
【0063】
図3を参照して、アシスト制御の一例について説明する。アシスト制御は、人力駆動車両Aの状態がアシスト状態、および、車両走行状態の少なくとも一方の状態の場合に実行される。
【0064】
制御部12は、ステップS11において、操作部Cの出力に基づいて、変速機E21を動作させる要求があるか否かを判定する。制御部12は、操作部Cからシフトアップ信号またはシフトダウン信号が入力されたことに基づいて、変速機E21を動作させる要求があると判定する。ステップS11の判定結果が否定の場合、制御部12はステップS11の判定処理を繰り返し実行する。ステップS11の判定結果が肯定の場合、制御部12はステップS12の処理を実行する。
【0065】
制御部12は、ステップS12において、傾斜検出部14の出力に基づいて、傾斜角θAが第1所定角度以上か否かを判定する。ステップS12の判定結果が否定の場合、制御部12は本制御を終了する。ステップS12の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS13の処理を実行する。
【0066】
制御部12は、ステップS13において、車速センサ18の出力に基づいて、車速Vが所定速度未満か否かを判定する。ステップS13の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS13の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS14の処理を実行する。
【0067】
制御部12は、ステップS14において、トルクセンサ20の出力に基づいて、クランクF1に人力駆動力が入力されているか否かを判定する。ステップS14の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS14の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS15の処理を実行する。
【0068】
制御部12は、ステップS15において、モータE32のアシスト力が第1所定値以下か否かを判定する。ステップS15の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS16の処理を実行する。
【0069】
制御部12は、ステップS16において、変速機E21を動作させる要求に応じて変速機E21を動作させる。制御部12は、操作部Cからシフトアップ信号が入力されている場合、比率RAが大きくなるように変速機E21を動作させる。制御部12は、操作部Cからシフトダウン信号が入力されている場合、比率RAが小さくなるように変速機E21を動作させる。
【0070】
ステップS15の判定結果が否定の場合、制御部12は、
図4に示されるステップS17の処理を実行する。制御部12は、ステップS17において、モータ
E32の制御状態を第1制御状態に変更する。このため、モータE32のアシスト力が第1所定範囲に設定される。制御部12はステップS18において、変速機E21を動作させる要求に応じて変速機E21を動作させる。変速機E21の具体的な動作の態様は、ステップS16の場合と同様である。
【0071】
制御部12は、ステップS19において、回転角センサ16の出力に基づいて、第1所定条件が成立しているか否かを判定する。ステップS19の判定結果が否定の場合、すなわち、クランクF1の回転角度が第1所定角度範囲に含まれない場合、制御部12は、ステップS19の判定処理を再び実行する。ステップS19の判定結果が肯定の場合、すなわち、クランクF1の回転角度が第1所定角度範囲に含まれる場合、制御部12は、ステップS20の処理を実行する。制御部12は、ステップS20において、モータE32の制御状態を第1制御状態から第2制御状態に変更する。
【0072】
第1実施形態の制御装置10によれば、次のような作用および効果が得られる。
人力駆動車両Aに関する傾斜角θAを考慮してモータE32のアシスト力が制御されるため、アシスト力を好適に制御できる。
【0073】
(第2実施形態)
図5を参照して、第2実施形態の制御装置10について説明する。第2実施形態の制御装置10は、アシスト制御の内容が異なる点以外は第1実施形態の制御装置10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
制御装置10は、人力駆動車両Aの推進をアシストするモータE32を制御する制御部12を含む。制御部12は、モータE32によって人力駆動車両Aをアシストしている状態(アシスト状態)、および、人力駆動車両Aが走行している状態(車両走行状態)の少なくとも一方において、人力駆動車両Aに設けられる変速機E21を動作させる要求がある場合、モータE32によるアシスト力を0Nmよりも大きく、かつ、25Nm以下の第1所定範囲になるように制御する。
【0075】
図5を参照して、第2実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御の一例について説明する。アシスト制御は、人力駆動車両Aの状態がアシスト状態、および、車両走行状態の少なくとも一方の状態の場合に実行される。
【0076】
制御部12は、ステップS21において、操作部Cの出力に基づいて、変速機E21を動作させる要求があるか否かを判定する。制御部12は、操作部Cからシフトアップ信号またはシフトダウン信号が入力されたことに基づいて、変速機E21を動作させる要求があると判定する。ステップS21の判定結果が否定の場合、制御部12はステップS21の判定処理を繰り返し実行する。ステップS21の判定結果が肯定の場合、制御部12はステップS22の処理を実行する。
【0077】
制御部12は、ステップS22において、車速センサ18の出力に基づいて、車速Vが所定速度未満か否かを判定する。ステップS22の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS22の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS23の処理を実行する。
【0078】
制御部12は、ステップS23において、トルクセンサ20の出力に基づいて、クランクF1に人力駆動力が入力されているか否かを判定する。ステップS23の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS23の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS24の処理を実行する。
【0079】
制御部12は、ステップS24において、モータE32のアシスト力が第1所定値以下か否かを判定する。ステップS24の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS25の処理を実行する。
【0080】
制御部12は、ステップS25において、変速機E21を動作させる要求に応じて変速機E21を動作させる。制御部12は、操作部Cからシフトアップ信号が入力されている場合、比率RAが大きくなるように変速機E21を動作させる。制御部12は、操作部Cからシフトダウン信号が入力されている場合、比率RAが小さくなるように変速機E21を動作させる。
【0081】
ステップS24の判定結果が否定の場合、制御部12は、ステップS26の処理を実行する。制御部12は、ステップS26において、モータE32のアシスト力を第1所定範囲となるように設定する。制御部12はステップS27において、変速機E21を動作させる要求に応じて変速機E21を動作させる。変速機E21の具体的な動作の態様は、ステップS25の場合と同様である。
【0082】
第2実施形態の制御装置10によれば、次のような作用および効果が得られる。
変速機E21を動作させる要求がある場合にモータE32のアシスト力が第1所定範囲に設定されるため、アシスト力を好適に制御できる。
【0083】
(第3実施形態)
図6を参照して、第3実施形態の制御装置10について説明する。第3実施形態の制御装置10は、アシスト制御の内容が異なる点以外は第1実施形態の制御装置10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0084】
制御装置10は、人力駆動車両Aの推進をアシストするモータE32を制御する制御部12を含む。制御部12は、人力駆動車両AのクランクF1の回転速度に対する駆動輪A3の回転速度の第2回転比率を大きくする要求がある場合、モータE32によるアシスト力が増加するようにモータE32を制御する。
【0085】
図6を参照して、第3実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御の一例について説明する。アシスト制御は、人力駆動車両Aの状態がアシスト状態、および、車両走行状態の少なくとも一方の状態の場合に実行される。
【0086】
制御部12は、ステップS31において、操作部Cの出力に基づいて、第2回転比率を大きくする要求があるか否かを判定する。制御部12は、例えば、操作部Cからシフトアップ信号が入力されたことに基づいて、第2回転比率を大きくする要求があると判定する。ステップS31の判定結果が否定の場合、制御部12はステップS31の判定処理を繰り返し実行する。ステップS31の判定結果が肯定の場合、制御部12はステップS32の処理を実行する。
【0087】
制御部12は、ステップS32において、車速センサ18の出力に基づいて、車速Vが所定速度未満か否かを判定する。ステップS32の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS32の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS33の処理を実行する。
【0088】
制御部12は、ステップS33において、トルクセンサ20の出力に基づいて、クランクF1に人力駆動力が入力されているか否かを判定する。ステップS33の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS33の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS34の処理を実行する。制御部12は、ステップS34において、モータE32のアシスト力が増加するようにモータE32を制御する。
【0089】
第3実施形態の制御装置10によれば、次のような作用および効果が得られる。
第2回転比率を大きくする要求がある場合に、アシスト力が増加されるため、ライダーにかかる負荷を好適に低減できる。
【0090】
(第4実施形態)
図7を参照して、第4実施形態の制御装置10について説明する。第4実施形態の制御装置10は、アシスト制御の内容が異なる点以外は第1実施形態の制御装置10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
制御装置10は、人力駆動車両Aの推進をアシストするモータE32を制御する制御部12を含む。制御部12は、モータE32によって人力駆動車両Aの推進をアシストしている状態(アシスト状態)、人力駆動車両Aが走行している状態(車両走行状態)、および、人力駆動車両Aの加速度が所定加速度以上の状態(以下「所定加速状態」)、の少なくとも1つの状態において、人力駆動車両Aに関する傾斜角θAが第2所定角度未満であり、かつ、人力駆動車両AのクランクF1の回転速度に対する駆動輪A3の回転速度の第3回転比率を大きくする要求がある場合、モータE32によるアシスト力を増加させる第3制御状態でモータE32を制御する。第2所定角度は、例えば、人力駆動車両Aの走行路面が下り勾配であると判定できる角度である。第2所定角度は、例えば、人力駆動車両Aの走行路面が平坦であると判定できる角度である。第2所定角度は、例えば、人力駆動車両Aの走行路面が所定角度未満の登り勾配であると判定できる角度である。人力駆動車両Aが走行している状態は、モータE32によって人力駆動車両Aの推進をアシストしていない状態を含む。このため、人力駆動車両Aの推進をアシストしていない状態においてライダーの加速要求があった場合にモータE32のアシスト力を好適に制御できる。制御部12は、人力駆動力に対するモータE32によるアシスト力が第2アシスト比率となる第4制御状態でモータE32を制御可能である。このため、モータE32のアシスト力を多様に制御できる。制御部12は、第3制御状態において、人力駆動力に対するモータE32によるアシスト力が、第2アシスト比率よりも大きい第3アシスト比率となるようにモータE32を制御する。このため、ライダーの負荷を好適に低減できる。制御部12は、モータE32の制御状態を第3制御状態に変更した後、第2所定条件が成立した場合に、第4制御状態に変更する。このため、第2所定条件が成立した場合にモータE32の制御状態を第3制御状態から第4制御状態に好適に切り替えることができる。第2所定条件は、人力駆動車両AのクランクF1の回転速度、および、クランクF1の回転角度、の一方の状態を含む。このため、クランクF1の回転速度、および、クランクF1の回転角度に基づいてモータE32の制御状態を第3制御状態から第4制御状態に好適に切り替えることができる。一例では、クランクF1の回転速度が55rpm以上になると、第2所定条件が成立する。このため、クランクF1の回転速度が55rpm以上の場合にアシスト力を好適に低下させることができる。より好ましい例では、クランクF1の回転速度が60rpm以上になると、第2所定条件が成立する。一例では、クランクF1の回転角度が360°以上の場合に第2所定条件が成立する。より好ましくは、クランクF1の回転角度が270°以上の場合に第2所定条件が成立する。さらに好ましくは、クランクF1の回転角度が180°以上の場合に第2所定条件が成立する。制御部12は、人力駆動車両AのクランクF1の回転速度が所定値以上の場合、第3制御状態でのモータE32の制御を禁止する。このため、クランクF1の回転速度が所定値以上の場合にアシスト力が増加しない。所定値の一例は、70rpmである。所定値のより好ましい一例は、65rpmである。所定値のさらに好ましい一例は、61rpmである。制御部12は、第3回転比率を変更する直前、第3回転比率を変更するとき、または、第3回転比率を変更した直後に、第3制御状態でのモータE32の制御を開始する。このため、変速機E21を好適に動作できる。制御部12は、第3制御状態において、第3回転比率を変更する直前、第3回転比率を変更するとき、および、第3回転比率を変更した直後、の少なくともいずれか2つのタイミングで段階的にアシスト力を増加させる。このため、アシスト力を好適に増加できる。
【0092】
図7を参照して、第4実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御の一例について説明する。アシスト制御は、人力駆動車両Aの状態がアシスト状態、車両走行状態、および、所定加速状態の少なくとも1つの状態の場合に実行される。
【0093】
制御部12は、ステップS41において、操作部Cの出力に基づいて、第3回転比率を大きくする要求があるか否かを判定する。制御部12は、例えば、操作部Cからシフトアップ信号が入力されたことに基づいて、第3回転比率を大きくする要求があると判定する。ステップS41の判定結果が否定の場合、制御部12はステップS41の判定処理を繰り返し実行する。ステップS41の判定結果が肯定の場合、制御部12はステップS42の処理を実行する。
【0094】
制御部12はステップS42において、傾斜検出部14の出力に基づいて、傾斜角θAが第2所定角度未満か否かを判定する。ステップS42の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS42の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS43の処理を実行する。
【0095】
制御部12は、ステップS43において、車速センサ18の出力に基づいて、車速Vが所定速度未満か否かを判定する。ステップS43の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS43の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS44の処理を実行する。
【0096】
制御部12は、ステップS44において、トルクセンサ20の出力に基づいて、クランクF1に人力駆動力が入力されているか否かを判定する。ステップS44の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS44の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS45の処理を実行する。
【0097】
制御部12は、ステップS45において、回転角センサ16の出力に基づいて、クランクF1の回転速度が所定値未満か否かを判定する。ステップS45の判定結果が否定の場合、制御部12は、本制御を終了する。ステップS45の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS46の処理を実行する。
【0098】
制御部12は、ステップS46において、モータE32の制御状態を第3制御状態に変更する。このため、モータE32によるアシスト力が、第3アシスト比率となるように設定される。
【0099】
制御部12は、ステップS47において、第3回転比率が大きくなるように、変速機E21を動作させる。制御部12は、第3回転比率を変更する直前に第3制御状態でのモータE32の制御を開始する。なお、制御部12は、第3回転比率を変更するとき、または、第3回転比率を変更した直後に、第3制御状態でのモータE32の制御を開始するようにしてもよい。また、制御部12は、第3回転比率を変更する直前、第3回転比率を変更するとき、および、第3回転比率を変更した直後、の少なくともいずれか2つのタイミングで段階的にアシスト力を増加させることが好ましい。
【0100】
制御部12は、ステップS48において、回転角センサ16の出力に基づいて、第2所定条件が成立しているか否かを判定する。制御部12は、例えば、クランクF1の回転速度が55rpm以上である場合に、第2所定条件が成立したと判定する。ステップS48の判定結果が否定の場合、制御部12は、ステップS48の処理を再び実行する。制御部12は、ステップS48の判定結果が肯定の場合、ステップS49の処理を実行する。制御部12は、ステップS49において、モータE32の制御状態を第3制御状態から第4制御状態に変更する。
【0101】
第4実施形態の制御装置10によれば、次のような作用および効果が得られる。
ライダーの加速要求に基づいて、モータE32のアシスト力を好適に制御できる。
【0102】
(変形例)
上記実施形態は、本発明に関する人力駆動車両の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する人力駆動車両の制御装置は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0103】
・第1実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御に関する第1所定条件は任意に変更可能である。一例では、第1所定条件は、時間に関する。このため、時間に基づいてモータE32の制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。この変形例の制御装置10の制御部12は、アシスト制御のステップS19において、起点から一定時間経過したか否かを判定する。起点の一例は、制御部12がシフトアップ信号またはシフトダウン信号を受信したとき、ならびに、変速機E21が変速動作を実行したときである。一定時間は、例えば、変速機E21の動作が完了すると想定される時間である。制御部12は、起点から一定時間が経過している場合にステップS20の処理を実行する。一方、制御部12は起点から一定時間が経過していない場合、ステップS20の判定処理を再び実行する。別の例では、変速機E21の動作が完了した場合に、第1所定条件が成立する。このため、変速機E21の動作が完了した場合にモータE32の制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えることができる。変速機E21の動作の完了は、例えば、モータE32の動作の完了、比率RAが変速機E21を動作させる要求に対応する比率RAに変化したこと、および、変速機E21の動作が完了したことである。なお、変速機E21の動作が完了したことは、変速機E21に設けられるセンサ、または、人力駆動車両Aのうちの変速機E21以外の場所に設けられるセンサにより検出される。
【0104】
・第1実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御の内容は任意に変更可能である。一例では、制御装置10は、
図3に示されるアシスト制御において、ステップS12の処理をステップS11の処理よりも先に実行する。すなわち、この変形例の制御装置10の制御部12は、ステップS12において、傾斜検出部14の出力に基づいて、傾斜角θAが第1所定角度以上か否かを判定する。ステップS12の判定結果が否定の場合、制御部12はステップS12の判定処理を繰り返し実行する。ステップS12の判定結果が肯定の場合、制御部12は、ステップS11の処理を実行する。制御部12は、ステップS11において、操作部Cの出力に基づいて、変速機E21を動作させる要求があるか否かを判定する。制御部12は、操作部Cからシフトアップ信号またはシフトダウン信号が入力されたことに基づいて、変速機E21を動作させる要求があると判定する。ステップS11の判定結果が否定の場合、本制御を終了する。ステップS11の判定結果が肯定の場合、制御部12はステップS13の処理を実行する。
【0105】
・第4実施形態の制御装置10が実行するアシスト制御の第3制御状態において、人力駆動力に対するモータE32によるアシスト力は任意に変更可能である。一例では、制御部12は、第3制御状態において、人力駆動力に対して第2アシスト比率よりも大きい第3アシスト比率となるアシスト力に、所定のアシスト力を加えた第1アシスト力を発生させるようにモータE32を制御する。このため、ライダーの負荷を好適に低減できる。別の例では、制御部12は、第3制御状態において、人力駆動力に対して第2アシスト比率に、所定のアシスト力を加えた第2アシスト力を発生させるようにモータE32を制御する。このため、ライダーの負荷を好適に低減できる。これらの変形例における所定のアシスト力は、第3回転比率および第3回転比率の変化量の少なくとも一方に応じて変更される。このため、所定のアシスト力が好適に設定される。一例では、第3回転比率の変化量が増加するほど、所定のアシスト力は増加する。このため、ライダーの負荷を好適に低減できる。
【符号の説明】
【0106】
10…制御装置、12…制御部、14…傾斜検出部、14A…傾斜センサ。