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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】積層造形のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/321 20170101AFI20230209BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230209BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20230209BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230209BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230209BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230209BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230209BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230209BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20230209BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/118
B29C64/209
B29C64/295
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y70/10
B29K105:08
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018124087
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2019031074
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】15/642,705
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィレンスキ, マーク スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン, サミュエル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, ニック シャーベ
(72)【発明者】
【氏名】トルレス, ファラオン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-074773(JP,A)
【文献】特開2017-071213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341300(US,A1)
【文献】特開2018-086814(JP,A)
【文献】特開2016-107454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B29C 70/00-70/88
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10
5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(102)を積層造形するためのシステム(100)であって、
細長い繊維(108)を分配するように構成された、繊維供給(122)、
原料ライン(106)を生成するために前記繊維供給(122)から分配された前記細長い繊維(108)に樹脂(110)を付けるように構成された樹脂供給(124)であって、前記原料ライン(106)が、少なくとも部分的に前記樹脂(110)内に封入された前記細長い繊維(108)を備え、前記樹脂(110)が第1の堅くない未硬化状態にある、樹脂供給(124)、
前記樹脂(110)が前記第1の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)を受け入れる堅くする機構(112)であって、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させるように構成され、前記樹脂(110)が前記第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にあるときに、前記原料ライン(106)及び前記樹脂(110)が堅い、堅くする機構(112)、
前記堅くする機構(112)から前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にある前記原料ライン(106)を受け入れる搬送ガイド(116)であって、プリント経路(114)に沿って前記原料ライン(106)を堆積させるように構成された、搬送ガイド(116)、
前記搬送ガイド(116)を通して前記原料ライン(106)を供給するように構成された、供給機構(126)、
前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を通過する際に又は前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を出る際に、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を、前記堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように構成された軟らかくする機構(118)であって、前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)によって前記プリント経路(114)に沿って堆積される前に、前記搬送ガイド(116)を出る前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)が、前記第2の堅くない未硬化状態にあり、前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にあるときよりも、前記樹脂(110)が前記第2の堅くない未硬化状態にあるときに、前記原料ライン(106)及び前記樹脂(110)が堅くない、軟らかくする機構(118)、及び
前記プリント経路(114)に沿って前記搬送ガイド(116)によって堆積された前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を、前記第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ変質させるように構成された、硬化機構(120)を備える、システム(100)。
【請求項2】
前記第1の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPa以下の剛性率を有し、
前記堅い未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPaより大きい剛性率を有し、
前記第2の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPa以下の剛性率を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記堅くする機構(112)が、前記第1の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)から熱を引き出し、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から前記堅い未硬化状態へ変質させるように構成され、
前記軟らかくする機構(118)が、前記堅い未硬化状態にある前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を加熱して、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記堅い未硬化状態から前記第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
制御システム(130)を更に備え、
前記制御システム(130)が、前記原料ライン(106)に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知するように構成された少なくとも1つのセンサ(132)を備え、
前記制御システム(130)が、前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記堅くする機構(112)、前記供給機構(126)、前記軟らかくする機構(118)、又は前記硬化機構(120)のうちの少なくとも1つを動的に制御するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記制御システム(130)が、前記堅い未硬化状態にある前記樹脂(110)の堅さを制御するために、前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記堅くする機構(112)を動的に制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記制御システム(130)が、前記原料ライン(106)の供給速度を制御するために、前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記供給機構(126)を動的に制御するように構成されている、請求項4又は5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記制御システム(130)が、前記第2の堅くない未硬化状態にある前記樹脂(110)の堅さを制御するために、前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記軟らかくする機構(118)を動的に制御するように構成されている、請求項4から6のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記制御システム(130)が、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)の硬化速度を制御するために、前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記硬化機構(120)を動的に制御するように構成されている、請求項4から7のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記搬送ガイド(116)が前記プリント経路(114)に沿って前記原料ライン(106)を堆積させる際に、前記搬送ガイド(116)の先の前記プリント経路(114)を加熱するように構成された、プリント経路ヒータ(138)を更に備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)によって堆積された後で、前記原料ライン(106)を加熱するように構成された、堆積原料ラインヒータ(140)を更に備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項11】
物体(102)を積層造形する方法(200)であって、
第1の堅くない未硬化状態にある樹脂(110)を細長い繊維(108)に付けて、少なくとも部分的に前記樹脂(110)内に封入された前記細長い繊維(108)を備える、原料ライン(106)を生成すること、
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)であって、前記樹脂(110)が第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、前記樹脂(110)が堅い未硬化状態にあるときに、前記原料ライン(106)及び前記樹脂(110)が堅い、前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から前記堅い未硬化状態へ変質させること、
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にある状態で、前記原料ライン(106)を搬送ガイド(116)の中へ導入すること、
前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を通過する際に又は前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を出る際に、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させることであって、前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にあるときよりも、前記樹脂(110)が前記第2の堅くない未硬化状態にあるときに、前記原料ライン(106)及び前記樹脂(110)が堅くない、変質させること、
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)が前記第2の堅くない未硬化状態にある状態で、前記搬送ガイド(116)を使用して、プリント経路(114)に沿って前記原料ライン(106)を堆積させること、及び
前記原料ライン(106)が、前記プリント経路(114)に沿って前記搬送ガイド(116)によって堆積された後で、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を少なくとも部分的に硬化させることを含む、方法。
【請求項12】
前記第1の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPa以下の剛性率を有し、
前記堅い未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPaより大きい剛性率を有し、
前記第2の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)が、0.1GPa以下の剛性率を有する、請求項11に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から前記堅い未硬化状態へ変質させることが、前記第1の堅くない未硬化状態にある前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)から熱を引き出すことを含み、
前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を通過する際に又は前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を出る際に、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記堅い未硬化状態から前記第2の堅くない未硬化状態へ変質させることが、前記堅い未硬化状態にある前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を加熱することを含む、請求項11又は12に記載の方法(200)。
【請求項14】
前記原料ライン(106)に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知すること、及び
前記原料ライン(106)に関連する前記少なくとも1つの物理的特性を感知したことに応答して、
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から前記堅い未硬化状態へ変質させること、
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)が前記堅い未硬化状態にある状態で、前記原料ライン(106)を前記搬送ガイド(116)の中へ導入すること、
前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を通過する際に又は前記原料ライン(106)が前記搬送ガイド(116)を出る際に、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記堅い未硬化状態から前記第2の堅くない未硬化状態へ変質させること、又は
前記原料ライン(106)が前記プリント経路(114)に沿って前記搬送ガイド(116)によって堆積された後で、前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を少なくとも部分的に硬化させること、のうちの少なくとも1つを動的に制御することを更に含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項15】
前記原料ライン(106)の前記樹脂(110)を前記第1の堅くない未硬化状態から前記堅い未硬化状態へ変質させることを動的に制御することが、前記堅い未硬化状態にある前記樹脂(110)の堅さを制御することを含む、請求項14に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形プロセスは、部品を製造するためにコンピュータ制御の下で三次元で移動することができるプリントヘッド又はノズルから原材料を分配する又は押し出すことを含み得る。原材料の特性に応じて、プリントヘッドを通るその前進は、困難であり得るか又は望ましくない効果をもたらし得る。例えば、原材料が粘着性の材料であるか又は粘着性の材料を含むときに、その原材料は、べとべとになり、詰まり、又はさもなければプリントヘッドを塞ぎ得る。別の一実施例として、原材料が細長い炭素又は他の繊維を含むときに、繊維は、ねじれ、壊れ、又はさもなければ、曲がり、損傷を受け、若しくはプリントヘッドを詰まらせ得る。更に別の一実施例として、原材料が未硬化若しくは部分的に硬化した硬化性樹脂であり又はそれを含むときに、その樹脂は、望ましくない状態で徐々にプリントヘッドの内側で硬化して、漸進的にプリントヘッドを詰まらせ、プリントヘッドを通る原材料の操作可能な前進を部分的又は完全に妨害し得る。
【発明の概要】
【0003】
したがって、少なくとも上述の懸念に対処することを目的とした装置及び方法が有用となろう。
【0004】
以下の記載は、本発明による主題の実施例の非網羅的なリストであり、それらの実施例は、特許請求されることも又はされないこともあり得る。
【0005】
本発明による主題の一実施例は、物体を積層造形するためのシステムに関する。該システムは、繊維供給、樹脂供給、堅くする機構、搬送ガイド、供給機構、軟らかくする機構、及び硬化機構を備える。繊維供給は、細長い繊維を分配するように構成されている。樹脂供給は、繊維供給から分配された細長い繊維に樹脂を付けて、原料ラインを生成するように構成されている。原料ラインは、少なくとも部分的に樹脂内に封入された細長い繊維を備える。その樹脂は、第1の堅くない未硬化状態にある。堅くする機構は、樹脂が第1の堅くない未硬化状態にある原料ラインを受け入れることとなる。堅くする機構は、原料ラインの樹脂を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させるように構成されている。樹脂が第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、樹脂が堅い未硬化状態にあるときに、原料ライン及び樹脂は堅い。搬送ガイドは、堅くする機構から、樹脂が堅い未硬化状態にある原料ラインを受け入れることとなる。搬送ガイドは、プリント経路に沿って原料ラインを堆積させるように構成されている。供給機構は、搬送ガイドを通して原料ラインを供給するように構成されている。軟らかくする機構は、原料ラインが搬送ガイドを通過する際に又は原料ラインが搬送ガイドを出る際に、原料ラインの樹脂を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように構成されている。それによって、原料ラインが搬送ガイドによってプリント経路に沿って堆積される前に、搬送ガイドを出る原料ラインの樹脂は、第2の堅くない未硬化状態にある。樹脂が堅い未硬化状態にあるときよりも、樹脂が第2の堅くない未硬化状態にあるときに、原料ライン及び樹脂は堅くない。硬化機構は、プリント経路に沿って搬送ガイドによって堆積された原料ラインの樹脂を、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ変質させるように構成されている。
【0006】
したがって、該システムは、物体が製造されている間に樹脂と細長い繊維から生成された繊維補強複合材料から該物体を製造するために使用され得る。更に、該システムは、物体の所望の特性を規定するためなどに、物体の全体にわたり所望の且つ/又は所定の方向に方向付けられた細長い繊維を有する、該物体を製造するために使用され得る。更に、樹脂は原料ラインを生成するために細長い繊維に付けられるときに未硬化なので、第1の堅くない未硬化状態の原料ラインは、粘性状態にある樹脂を含む。そのような粘性の、粘つく、又はねばねばした状態にあり続けることが許容されるとすれば、原料ラインの樹脂は、システムによって取り扱うことが困難であり、例えば、システムの供給機構及び搬送ガイドはべとべとになり、又はさもなければシステムの構成要素部品が汚染され得る。更に、樹脂がそのような粘性状態にあるならば、細長い繊維は、搬送ガイドの入口又は範囲内で曲げられ得る。したがって、堅くする機構は、原料ラインを第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させる。それによって、供給機構は、供給機構を汚染する又は供給機構に損傷を与えることなしに、且つ、細長い繊維が、曲がり、壊れ、又はさもなければ損傷を受けることなしに、搬送ガイドの中へ原料ラインを前進させることができる。更に、その後、原料ラインは堅い未硬化状態にあるので、最終的には物体を製造するためにプリント経路に沿って堆積されるように、原料ラインが、搬送ガイドを通って容易に前進することとなる。しかし、その堅い未硬化状態にある原料ラインは、三次元のプリント経路に沿って堆積するには堅過ぎる。したがって、軟らかくする機構が、設けられて、最終的にはプリント経路に沿って堆積させるために、原料ラインを堅い未硬化状態から十分に堅くない未硬化状態、すなわち、第2の堅くない未硬化状態へ変質させる。軟らかくする機構は、軟らかくする機構の構成に応じて、且つ、第2の堅くない未硬化状態にある原料ラインの特性に応じて、原料ラインが搬送ガイドを通過する際又は原料ラインが搬送ガイドを出る際の何れかに、原料ラインを軟らかくし得る。最後に、硬化機構は、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ、樹脂を変質させて、物体が製造されている間に又はその場で、該物体を少なくとも部分的に硬化させる。
【0007】
本発明による主題の別の一実施例は、物体を積層造形する方法に関する。該方法は、第1の堅くない未硬化状態にある樹脂を細長い繊維に付けて、原料ラインを生成することを含む。原料ラインは、少なくとも部分的に樹脂内に封入された細長い繊維を備える。該方法は、原料ラインの樹脂を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させることも含む。樹脂が第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、樹脂が堅い未硬化状態にあるときに、原料ライン及び樹脂は堅い。該方法は、更に、原料ラインの樹脂が堅い未硬化状態にある状態で、原料ラインを搬送ガイドの中へ導入することを含む。該方法は、更に、原料ラインが搬送ガイドを通過する際に又は原料ラインが搬送ガイドを出る際に、原料ラインの樹脂を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させることを含む。樹脂が堅い未硬化状態にあるときよりも、樹脂が第2の堅くない未硬化状態にあるときに、原料ライン及び樹脂は堅くない。該方法は、搬送ガイドを使用して、原料ラインの樹脂が第2の堅くない未硬化状態にある状態で、プリント経路に沿って原料ラインを堆積させることも含む。該方法は、更に、プリント経路に沿って搬送ガイドによって原料ラインが堆積された後で、原料ラインの樹脂を少なくとも部分的に硬化させることを含む。
【0008】
したがって、該方法は、物体が製造されている間に樹脂と細長い繊維から生成された繊維補強複合材料から該物体を製造するために実施され得る。更に、該方法は、物体の所望の特性を規定するためなどに、物体の全体にわたり所望の且つ/又は所定の方向に方向付けられている細長い繊維を有する、該物体を製造するために実施され得る。更に、樹脂は原料ラインを生成するために細長い繊維に付けられるときに未硬化なので、第1の堅くない未硬化状態の原料ラインは、粘性状態の樹脂を含む。そのような粘性の、粘つく、又はねばねばした状態にあり続けることが許容されるとすれば、原料ラインの樹脂は、搬送ガイドの中へ導入されることが困難であり、例えば、潜在的に搬送ガイドをべとべとにし、又は細長い繊維を曲げ、ねじり、若しくは破壊さえし得る。したがって、樹脂を堅い未硬化状態に変質させることは、細長い繊維が、曲がり、壊れ、又は損傷を受けることなしに、且つ、樹脂が関連するシステムを汚染することなしに、原料ラインを搬送ガイドの中へ導入し搬送ガイドを通過させることを容易にする。続いて、原料ラインが搬送ガイドを通過する際に又は原料ラインが搬送ガイドから出る際に、樹脂を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは、物体を積層造形するために、搬送ガイドによって三次元で操作可能に堆積させるのに十分柔軟な原料ラインをもたらす。本方法のある実施態様では、原料ラインの特性に応じて、原料ラインが搬送ガイドを通過する際に、原料ラインを第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは有益であり得る。本方法の他の実施態様では、原料ラインが搬送ガイドを出る際に、原料ラインを第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは有益であり得る。最後に、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ、樹脂を少なくとも部分的に硬化させることは、物体が製造されている際に又はその場で、該物体を硬化させることを可能にする。
【0009】
したがって、本発明の1以上の実施例を一般論として説明したが、次に、添付図面を参照することとなる。それらは必ずしも正寸で描かれている訳ではなく、複数の図を通して、類似の参照記号は同一又は類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1以上の実施例による、物体を積層造形するためのシステムのブロック図である。
図2】本開示の1以上の実施例による、図1のシステムの概略的な表現である。
図3】本開示の1以上の実施例による、物体を積層造形する方法のフロー図である。
図4】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図5】航空機を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の図1において、様々な要素及び/又は構成要素を連結する実線が存在する場合、これらの実線は、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的、及びその他の連結、並びに/又はその組合せを表し得る。本明細書において、「連結され(coupled)」とは、直接的並びに間接的に結合されていることを意味する。例えば、部材Aは部材Bに直接的に結合されるか、又は、例えば、別の部材Cを介して間接的に結合されていてよい。開示される種々の要素間のすべての関係が必ずしも表わされている訳ではないことが、理解されるであろう。そのため、ブロック図に図示されているもの以外の連結も存在し得る。様々な要素及び/又は構成要素を示すブロックを接続する破線が存在する場合、これらの破線は、機能及び目的の点で実線によって表されているものに類似した接続を表わす。しかし、破線によって表わされた接続は、選択的に提供されるか、又は、本開示の代替的な実施例に関するかのどちらかであり得る。同様に、破線で表わされた要素及び/又は構成要素が存在する場合、それらは本開示の代替的な実施例を示す。実線及び/又は破線で示されている1以上の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の例から省略され得る。環境要素が存在する場合、それらは点線で表わされる。分かりやすくするために、仮想的な(架空の)要素も示され得る。図1に示す特徴のうちの幾つかは、図1、他の図面、及び/または付随する開示に記載された他の特徴を含むことを必要とせずに、様々な方法で組み合わされ得ることを(1または複数のかかる組み合わせは本書で明示的に示されていないが)、当業者は理解するであろう。同様に、提示した例には限定されない追加の特徴も、本書で図示され説明されている特徴の一部又は全部と組み合わされ得る。
【0012】
上記の図3及び4では、ブロックは工程及び/又はその一部を表すことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、工程またはその一部の、いかなる特定の順番または従属関係も暗示しない。破線で示されるブロックは、代替的な工程及び/又はその一部を示す。様々なブロックを接続する破線がある場合、その破線は工程又はその一部の代替的な従属関係を表わす。開示されている様々な工程間のすべての従属関係が必ずしも表わされている訳ではないことが、理解されよう。本明細書に明記された1以上の方法の工程を記載している図3及び図4、並びに付随する開示は、必ずしも工程が実行されるべき順序を決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、ある例示的な順番が示されているが、工程の順序は、適切な場合において改変され得ることを理解されたい。したがって、ある特定の工程は、異なる順番で又は同時に実行され得る。更に、当業者であれば、記載された全ての工程を実施する必要はないことを認識するであろう。
【0013】
以下の説明において、記載されている概念の完全な理解をもたらすために、多数の特定の詳細が明記されるが、その概念はこれらの特定事項の一部又は全てがなくとも実施され得る。他の事例においては、記載を不必要に分かりにくくすることを避けるために、既知のデバイス及び/又はプロセスの詳細が省略されている。一部の概念は特定の例と併せて説明されることになるが、それらの例は限定を目的とするものではないことが理解されよう。
【0014】
別途提示されない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単に符号として使用されており、これらの用語が表すアイテムに対して、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図していない。更に、例えば、「第2」のアイテムが言及された場合、例えば、「第1」の若しくはより小さい数のアイテム、及び/又は、「第3」の若しくはより大きい数のアイテムが必要とされたり、除外されたりすることはない。
【0015】
本書における「一実施例」への言及は、その実施例に関連して説明される1以上の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実行態様に含まれることを意味する。明細書内に頻出する「一実施例」という表現は、同一の実施例を表すことも、表さないこともあり得る。
【0016】
本書において、特定の機能を実施する「ように構成/設定された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。換言すると、特定の機能を実施する「ように構成/設定された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、且つ/又は設計される。本明細書で使用される、「ように構成された」という表現は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる改変なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの特性が存在することを意味する。この開示において、特定の機能を実施する「ように構成/設定され」ていると説明されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的には、その機能を実施するよう「適合している(adapted to)」、及び/又は、実施するよう「動作可能である(operative to)」とも説明され得る。
【0017】
本開示による主題の例示的で非網羅的な実施例が、以下で提供される。それらの実施例は、特許請求されることも又はされないこともあり得る、
【0018】
概して図1及び特に図2を参照すると、物体102を積層造形するためのシステム100が開示されている。システム100は、繊維供給122、樹脂供給124、堅くする機構112、搬送ガイド116、供給機構126、軟らかくする機構118、及び硬化機構120を備える。繊維供給122は、細長い繊維108を分配するように構成されている。樹脂供給124は、原料ライン106を生成するために、繊維供給122から分配された細長い繊維108に樹脂110を付けるように構成されている。原料ライン106は、少なくとも部分的に樹脂110内に封入された細長い繊維108を備える。樹脂110は、第1の堅くない未硬化状態にある。堅くする機構112は、樹脂110が第1の堅くない未硬化状態にある原料ライン110を受け入れることとなる。堅くする機構112は、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させるように構成されている。樹脂110が第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、樹脂110が堅い未硬化状態にあるときに、原料ライン106及び樹脂110は堅い。搬送ガイド116は、堅くする機構112から、樹脂110が堅い未硬化状態にある原料ライン106を受け入れることとなる。搬送ガイド116は、プリント経路114に沿って原料ライン106を堆積させるように構成されている。供給機構126は、搬送ガイド116を通して原料ライン106を供給するように構成されている。軟らかくする機構118は、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように構成されている。それによって、原料ライン106が、搬送ガイド116によってプリント経路114に沿って堆積される前に、搬送ガイド116を出る原料ライン106の樹脂110が、第2の堅くない未硬化状態にある。樹脂110が堅い未硬化状態にあるときよりも、樹脂110が第2の堅くない未硬化状態にあるときに、原料ライン106及び樹脂110は堅くない。硬化機構120は、プリント経路114に沿って搬送ガイド116によって堆積された原料ライン106の樹脂110を、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態に変質させるように構成されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例1を特徴付ける。
【0019】
したがって、システム100は、物体102が製造されている間に樹脂110と細長い繊維108から生成された繊維補強複合材料から物体102を製造するために使用され得る更に、システム100は、物体102の所望の特性を規定するためなどに、物体102の全体にわたり所望の且つ/又は所定の方向に方向付けられている細長い繊維108を有する、物体102を製造するために使用され得る。更に、樹脂110は原料ライン106を生成するために細長い繊維108に付けられるときに未硬化なので、第1の堅くない未硬化状態の原料ライン106は、粘性状態の樹脂110を含む。そのような粘性の、粘つく、又はねばねばした状態にあり続けることが許容されるとすれば、原料ライン106の樹脂110は、システム100によって取り扱うことが困難であり、例えば、システムの供給機構126及び搬送ガイド116は、べとべとになり、又はさもなければシステム100の構成要素部品を汚染し得る。更に、樹脂110がそのような粘性状態にあるならば、細長い繊維108は、搬送ガイド116の入口又は範囲内で曲げられ得る。したがって、堅くする機構112は、原料ライン106を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させる。それによって、供給機構126は、供給機構126を汚染する又は供給機構126に損傷を与えることなしに、且つ、細長い繊維108が、曲がり、壊れ、又はさもなければ損傷を受けることなしに、搬送ガイド116の中へ原料ライン106を前進させることができる。更に、その後、原料ライン106は堅い未硬化状態にあるので、最終的には物体102を製造するためにプリント経路114に沿って堆積されるように、原料ライン106が、搬送ガイド116を通って容易に前進することとなる。しかし、その堅い未硬化状態にある原料ライン106は、三次元のプリント経路114に沿って堆積するには堅過ぎる。したがって、軟らかくする機構118が、設けられて、最終的にはプリント経路114に沿って堆積させるために、原料ライン106を堅い未硬化状態から十分に堅くない未硬化状態、すなわち、第2の堅くない未硬化状態へ変質させる。更に、軟らかくする機構118は、原料ライン106の長さが、原料ライン106の以前に堆積した長さに接触して堆積するときに、原料ライン106の2つの隣接する層の間での適切な湿潤又は接着を保証する。軟らかくする機構118は、軟らかくする機構118の構成に応じて、且つ、第2の堅くない未硬化状態にある原料ライン106の特性に応じて、原料ライン106が搬送ガイドを通過する際又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際の何れかに、原料ライン106を軟らかくし得る。最後に、硬化機構120は、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ、樹脂110を変質させて、物体102が製造されている間に又はその場で、物体102を少なくとも部分的に硬化させる。
【0020】
追加的又は代替的には、システム100の幾つかの実施例は3-Dプリンタとして説明され得る。
【0021】
システム100によって製造される物体102の所望の特性に応じて、細長い繊維108は、任意の適切な形態を採り、任意の適切な材料から構築され得る。一実施例では、細長い繊維108が、非限定的に、炭素繊維、ガラス繊維、合成有機繊維、アラミド繊維、天然繊維、木質繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、光ファイバー、繊維束、繊維トウ、繊維織り、繊維編み、ワイヤー、金属ワイヤー、導電性ワイヤー、及びワイヤー束を含む。原料ライン106は、細長い繊維108の単一の構成又は種類から生成され、又は細長い繊維108の1つより多くの構成又は種類から生成され得る。「細長い」によって、細長い繊維108は、例えば、短繊維のセグメントの使用とは異なり、概して、生成されている際に原料ライン106に沿って本来的に連続的であることを意味している。そうは言っても、細長い繊維108は、束にされ、織られ、編まれ、又はさもなければ組み合された繊維の不連続なセグメントを備え得るが、原料ライン106に沿って未だ概して本来的に連続的であると考えられる。細長い繊維108は、その長さを横切る又はその長さに垂直な寸法(例えば、直径又は幅)よりも大幅に長い長さを有する。
例示的で非排他的な一実施例として、細長い繊維108は、それらの直径又は幅よりも、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも10000倍、少なくとも100000倍、又は少なくとも1000000倍だけ大きい長さを有し得る。
【0022】
樹脂110は、物体102の所望の特性に応じて、且つ、システム100及び硬化機構120の機能性に応じて、任意の適切な形態を採り得る。ある実施例では、樹脂110が、光の選択的な適用によって硬化するように構成された感光性樹脂を含み得る。他の実施例では、樹脂110が、熱又は放射線の選択的な適用によって硬化するように構成された熱硬化性樹脂を含み得る。他の種類の樹脂110も、使用され、システム100の中へ組み込まれ得る。
【0023】
概して図1及び特に図2を参照すると、第1の堅くない未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPa以下の剛性率を有する。堅い未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPaより大きい剛性率を有する。第2の堅くない未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPa以下の剛性率を有する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例2を特徴付けており、実施例2は、上述の実施例1による主題も含む。
【0024】
0.1GPaを剛性率又は堅さの閾値として、原料ライン106は、堅くする機構112によって堅くされたときに、搬送ガイド116の中へ及び搬送ガイド116を通って、供給機構126によって前進させられるのに十分な堅さを有する。更に、0.1GPaの剛性率未満へ原料ライン106を軟らかくすることによって、原料ライン106は、曲がったプリント経路、例えば、二次元又は三次元の湾曲を有するプリント経路114に沿って堆積され得る。しかし、細長い繊維108の剛性、対応するトウ内の細長い繊維108の数、原料ライン106の形状、原料ライン106の直径、樹脂110の特性などに基づくなどして、剛性率の他の閾値が利用され得る。
【0025】
概して図1及び特に図2を参照すると、堅くする機構112は、第1の堅くない未硬化状態にある原料ライン106の樹脂110から熱を引き出して、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させるように構成されている。軟らかくする機構118は、堅い未硬化状態にある原料ライン106の樹脂110を加熱して、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように構成されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例3を特徴付けており、実施例3は、上述の実施例1又は2による主題も含む。
【0026】
堅くする機構112が、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態へ変質させるために、原料ライン106の樹脂110から熱を引き出すときに、堅くする機構112は、供給機構126及び搬送ガイド116を望ましくなく汚染し、べとべとにし、又は損傷を与えることなしに、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ及び搬送ガイド116を通して操作可能に前進させるために、原料ライン106の剛性率又は堅さが供給機構126に対して十分に高くなる程度まで、樹脂110を冷却する。ある実施例では、堅くする機構112が、樹脂110及び/又は原料ライン106を凍結させるものとして説明され得る。その後、樹脂110及び原料ライン106の堅さを逆転させるために、軟らかくする機構118は、プリント経路114に沿った搬送ガイド116による操作可能な堆積のために、樹脂110を第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように、樹脂110を加熱する。
【0027】
堅くする機構112及び軟らかくする機構118は、任意の適切な構成を採り、それぞれ、熱を引き出し、熱を適用するための任意の適切な機構を利用し得る。例えば、堅くする機構112は、樹脂110から熱を引き出すために、冷凍サイクルを利用し得る。更に又は代替的に、堅くする機構112は、樹脂110から熱を引き出すために、原料ライン106を覆ってパスされ及び原料ライン106と接触する冷却流体を利用し得る。ある実施例では、軟らかくする機構118が、原料ライン106が搬送ガイド116を出るところ又はその近くなどにおいて、搬送ガイド116内に操作可能に連結され又は位置付けられたなどの、抵抗ヒータ、誘導ヒータ、若しくは放射ヒータであり、又はそれらを含み得る。更に又は代替的に、軟らかくする機構118は、樹脂110を加熱するレーザー又は加熱された流体の流れを含み又は利用し得る。ある実施例では、硬化機構120が、更に、軟らかくする機構118として働き得る。堅くする機構112及び軟らかくする機構118の他の実施例も、本開示の範囲内にあり、システム100内に組み込まれ得る。
【0028】
概して図1及び特に図2を参照すると、供給機構126は、搬送ガイド116を通して原料ライン106を押すように構成されている。この段落の上述の主題は、本開示の実施例4を特徴付けており、実施例4は、上記の実施例1から3の何れか1つによる主題も含む。
【0029】
供給機構126は、搬送ガイド116の中へ、搬送ガイド116を通して、搬送ガイド116の外へ、原料ライン106を前進させることを促進する。搬送ガイド116を通して原料ライン106を押すように位置付けられることによって、供給機構126は、搬送ガイド116の出口の上流であり、したがって、搬送ガイド116の動き及びプリント経路114に沿った原料ライン106の堆積の外側に位置付けられる。
【0030】
概して図1及び特に図2を参照すると、供給機構126は、原料ライン106の両側と係合し、且つ、搬送ガイド116を通して原料ライン106を押すように選択的に回転するように構成された、対向するローラ又はベルト128を備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例5を特徴付けており、実施例5は、上述の実施例4による主題も含む。
【0031】
対向するローラ又はベルト128は、選択的に回転されたときに、原料ライン106と摩擦を起こしながら係合し、それによって、対向するローラ又はベルト128の間に原料ライン106を供給し、搬送ガイド116の中へ及び搬送ガイド116を通して原料ライン106を押す。更に又は代替的に、供給機構126は、搬送ガイド116を通して原料ライン106を押すように構成された他のピンチ機構を備えてもよい。
【0032】
概して図1及び特に図2を参照すると、システム100は、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知するように構成された少なくとも1つのセンサ132を備える制御システム130を更に備える。制御システム130は、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、堅くする機構112、供給機構126、軟らかくする機構118、又は硬化機構120のうちの少なくとも1つを動的に制御するように構成されている。この段落の上述の主題は、本開示の実施例6を特徴付けており、実施例6は、上記の実施例1から5の何れか1つによる主題も含む。
【0033】
原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知すること、及び、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に基づいて、堅くする機構112、供給機構126、、軟らかくする機構118、及び/又は硬化機構120を動的に制御することによって、システム100は、原料ライン106の堅さ、原料ライン106の供給速度、及び原料ライン106の硬化速度を、リアルタイムで制御し得る。
【0034】
少なくとも1つのセンサ132によって感知され得る、原料ライン106に関連する物理的特性の例示的で非排他的な例は、堅さ、剛性、柔軟性、硬度、粘性、温度、硬化の程度、サイズ、体積分率、及び形状を含む。
【0035】
図2では、制御システム130とシステム100の様々な構成要素との間の通信が、稲妻のマークによって概略的に表されている。かかる通信は、事実上、有線及び/又は無線であり得る。
【0036】
概して図1及び特に図2を参照すると、制御システム130は、堅い未硬化状態にある樹脂110の堅さを制御するために、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、堅くする機構112を動的に制御するように構成されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例7を特徴付けており、実施例7は、上述の実施例6による主題も含む。
【0037】
原料ライン106の少なくとも1つの物理的特性に基づいて、堅くする機構112を動的に制御することによって、堅い未硬化状態にある原料ライン106の堅さは、原料ライン106が、搬送ガイド116の中へ及び搬送ガイド116を通して供給機構126によって操作可能に前進させられるのに十分な堅さを有することを保証するように制御され得る。
【0038】
概して図1及び特に図2を参照すると、制御システム130は、原料ライン106の供給速度を制御するために、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、供給機構126を動的に制御するように構成されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例8を特徴付けており、実施例8は、上述の実施例6又は7による主題も含む。
【0039】
原料ライン106の1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、供給機構126を動的に制御することによって、原料ライン106の供給速度は、堅くする機構112が、原料ライン106を適切に堅くするための十分な時間を有し、且つ/又は、それによって、軟らかくする機構118が、原料ライン106を適切に軟らかくするための十分な時間を有することを保証するように制御され得る。
【0040】
概して図1及び特に図2を参照すると、制御システム130は、第2の堅くない未硬化状態にある樹脂110の堅さを制御するために、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、軟らかくする機構118を動的に制御するように構成されている。この段落の上述の主題は、本開示の実施例9を特徴付けており、実施例9は、上記の実施例6から8の何れか1つによる主題も含む。
【0041】
原料ライン106の1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、軟らかくする機構118を動的に制御することによって、原料ライン106の第2の堅くない未硬化状態が、プリント経路114に沿った搬送ガイド116による操作可能な堆積ために原料ライン106が十分な柔軟性を有することを保証するように制御され得る。更に、軟らかくする機構118を動的に制御することは、原料ライン106の長さが、原料ライン106の以前に堆積した長さに接触して堆積されるときに、原料ライン106の2つの隣接する層の間での適切な湿潤又は接着を保証する。
【0042】
概して図1及び特に図2を参照すると、制御システム130は、原料ライン106の樹脂110の硬化速度を制御するために、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、硬化機構120を動的に制御するように構成されている。この段落の上述の主題は、本開示の実施例10を特徴付けており、実施例10は、上記の実施例6から9の何れか1つによる主題も含む。
【0043】
原料ライン106の1つの物理的特性に少なくとも部分的に基づいて、硬化機構120を動的に制御することによって、硬化エネルギーの強度又は電力が、物体102がシステム100によって製造されている際に、所望の程度の硬化又は硬化速度が原料ラインに分け与えられることを保証するように制御され得る。
【0044】
概して図1及び特に図2を参照すると、システム100は、表面134と駆動アセンブリ136とを更に備える。プリント経路114は、表面134に対して静止している。駆動アセンブリ136は、物体102を積層造形するために、搬送ガイド116又は表面134のうちの少なくとも一方を互いに対して操作可能に且つ選択的に移動させるように構成されている。この段落の上述の主題は、本開示の実施例11を特徴付けており、実施例11は、上記の実施例1から10の何れか1つによる主題も含む。
【0045】
駆動アセンブリ136は、搬送ガイド116を介して原料ライン106が堆積される際に、物体102が原料ライン106から製造されるように、搬送ガイド116と表面134との間の相対移動を促進する。
【0046】
駆動アセンブリ136は、任意の適切な形態を採り得る。それによって、搬送ガイド116と表面134は、物体102の積層造形のために三次元で互いに対して操作可能に移動され得る。ある実施例では、駆動アセンブリ136がロボットアームであり、搬送ガイド116がロボットアームのエンドエフェクタとして説明され得る。駆動アセンブリ136は、例えば、互いに対して垂直な三次元で、互いに対して少なくとも3つの自由度を有する三次元で、互いに対して少なくとも6つの自由度を有する三次元で、互いに対して少なくとも9つの自由度を有する三次元で、且つ/又は互いに対して少なくとも12個の自由度を有する三次元でを含む、任意の多数の自由度で、搬送ガイド116と表面134との間の相対移動を提供し得る。
【0047】
概して図1及び特に図2を参照すると、システム100は、搬送ガイド116がプリント経路114に沿って原料ライン106を堆積させる際に、搬送ガイド116の先のプリント経路114を加熱するように構成された、プリント経路ヒータ138を更に備える。この段落の上述の主題は、本開示の実施例12を特徴付けており、実施例12は、上記の実施例1から11の何れか1つによる主題も含む。
【0048】
搬送ガイド116がプリント経路114に沿って原料ライン106を堆積させる際に、搬送ガイド116の先のプリント経路114を加熱することによって、プリント経路ヒータ138は、それに接触して原料ライン106が堆積されるところの表面を準備する。例えば、原料ライン106が、硬化機構120により既に硬化した又は少なくとも部分的に硬化した原料ライン106の以前の長さに接触して堆積するときに、原料ライン106の以前の長さを加熱することは、原料ライン106の2つの層の間の湿潤及び接着を促進する。
【0049】
ある実施例において、プリント経路ヒータ138は、例えば、プリント経路ヒータ138が原料ライン106内の細長い繊維108に誘導的に且つ/又は電気的に接続された状態で、誘導加熱及び/又は抵抗加熱を利用し得る。更に又は代替的に、プリント経路ヒータ138は、プリント経路114を加熱するための放射ヒータ及び/又はレーザーを備え得る。
【0050】
概して図1及び特に図2を参照すると、システム100は、原料ライン106が搬送ガイド116によって堆積した後で、原料ライン106を加熱するように構成された、堆積原料ラインヒータ140を更に備える。この段落の上述の主題は、本開示の実施例13を特徴付けており、実施例13は、上記の実施例1から12の何れか1つによる主題も含む。
【0051】
原料ライン106が搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106を加熱することによって、堆積原料ラインヒータ140は、既に堆積した原料ライン106に接触する後続の原料ライン106の堆積及び接着のために、既に堆積した原料ライン106を適切に準備する。例えば、硬化機構120によって原料ライン106の長さが硬化した又は部分的に硬化したときに、原料ライン106の長さの後続の又は同時発生的な加熱は、原料ライン106の長さに接触して堆積する原料ライン106の後続の層との間の接着を促進し得る。更に、原料ライン106が搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106を加熱することは、原料ライン106の硬化の程度を高め、原料ライン106の樹脂110の硬化の動力学又は硬化速度を制御するために使用され得る。
【0052】
ある実施例において、堆積原料ラインヒータ140は、例えば、堆積原料ラインヒータ140が原料ライン106内の細長い繊維108に誘導的に且つ/又は電気的に接続された状態で、誘導加熱及び/又は抵抗加熱を利用し得る。更に又は代替的に、堆積原料ラインヒータ140は、原料ライン106を加熱するための放射ヒータ及び/又はレーザーを備え得る。
【0053】
概して図1及び特に図2を参照すると、物体102を積層造形する方法200が開示されている。方法200は、原料ライン106を生成するために、第1の堅くない未硬化状態にある樹脂110を細長い繊維108に付けること(ブロック202)を含む。原料ライン106は、少なくとも部分的に樹脂110内に封入された細長い繊維108を備える。方法200は、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させること(ブロック204)も含む。樹脂110が第1の堅くない未硬化状態にあるときよりも、樹脂110が堅い未硬化状態にあるときに、原料ライン106及び樹脂110は堅い。方法200は、原料ライン106の樹脂110が堅い未硬化状態にある状態で、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入すること(ブロック206)を更に含む。方法200は、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させること(ブロック208)を更に含む。樹脂110が堅い未硬化状態にあるときよりも、樹脂110が第2の堅くない未硬化状態にあるときに、原料ライン106及び樹脂110は堅くない。方法200は、原料ライン106の樹脂110が第2の堅くない未硬化状態にある状態で、搬送ガイド116を使用して、原料ライン106をプリント経路114に沿って堆積させること(ブロック210)も含む。方法200は、原料ライン106が、プリント経路114に沿って搬送ガイド116によって堆積した後で、原料ライン106の樹脂110を少なくとも部分的に硬化させること(ブロック212)を更に含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例14を特徴付ける。
【0054】
したがって、方法200は、物体102が製造されている間に樹脂110と細長い繊維108から生成された繊維補強複合材料から物体102を製造するために実施され得る更に、方法200は、物体102の所望の特性を規定するためなどに、物体102の全体にわたり所望の且つ/又は所定の方向に方向付けられている細長い繊維108を有する、物体102を製造するために実施され得る。更に、樹脂110は原料ライン106を生成するために細長い繊維108に付けられるときに未硬化なので、第1の堅くない未硬化状態の原料ライン106は、粘性状態の樹脂110を含む。そのような粘性の、粘つく、又はねばねばした状態にあり続けることが許容されるとすれば、原料ライン106の樹脂110は、搬送ガイド116の中へ導入されることが困難であり、例えば、潜在的に搬送ガイド116をべとべとにし、又は細長い繊維108を曲げ、ねじり、若しくは破壊さえし得る。したがって、樹脂110を堅い未硬化状態に変質させることは、細長い繊維108が、曲がり、壊れ、又はさもなければ損傷を受けることなしに、且つ、樹脂110が関連するシステム(例えば、本明細書ではシステム100)を汚染することなしに、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入し搬送ガイド116を通過させることを容易にする。続いて、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116から出る際に、樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは、物体102を積層造形するために搬送ガイド116によって三次元内で操作可能に堆積させるのに十分柔軟な原料ライン106をもたらす。方法200のある実施態様では、原料ライン106の特性に応じて、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に、原料ライン106を第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは有益であり得る。方法200の他の実施態様では、原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106を第2の堅くない未硬化状態へ変質させることは有益であり得る。最後に、第2の堅くない未硬化状態から少なくとも部分的に硬化した状態へ、樹脂110を少なくとも部分的に硬化させることは、物体102が製造されている際に又はその場で、物体102を硬化させることを可能にする。
【0055】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、第1の堅くない未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPa以下の剛性率を有する。堅い未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPaより大きい剛性率を有する。第2の堅くない未硬化状態にある原料ライン106は、0.1GPa以下の剛性率を有する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例15を特徴付けており、実施例15は、上述の実施例14による主題も含む。
【0056】
0.1GPaを剛性率又は堅さの閾値として、原料ライン106は、堅くする機構112によって堅くされたときに、細長い繊維108が、曲がり、壊れ、又はさもなければ損傷を受けることなしに、搬送ガイド116の中へ導入されるのに十分な堅さを有する。更に、0.1GPa未満の剛性率を有するときに、原料ライン106は、曲がったプリント経路、例えば、二次元又は三次元の湾曲を有するプリント経路114に沿って堆積し得る。しかし、細長い繊維108の剛性、対応するトウ内の細長い繊維108の数、原料ライン106の形状、原料ライン106の直径、樹脂110の特性などに基づくなどして、剛性率の他の閾値が利用され得る。
【0057】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させること(ブロック204)は、第1の堅くない未硬化状態にある原料ライン106の樹脂110から熱を引き出すこと(ブロック214)を含む。更に、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させること(ブロック208)は、堅い未硬化状態にある原料ライン106の樹脂110を加熱すること(ブロック216)も含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例16を特徴付けており、実施例16は、上述の実施例14又は15による主題も含む。
【0058】
原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態へ変質させるために、原料ライン106の樹脂110から熱を引き出すことは、細長い繊維108が、曲がり、壊れ、又はさもなければ損傷を受けることなしに、その剛性率又は堅さが、原料ライン106が搬送ガイド116の中へ導入されるのに十分高い程度になるように樹脂110冷却する。方法200のある実施態様では、樹脂110から熱を引き出すことが、樹脂110を凍結させることとして説明され得る。その後、樹脂110及び原料ライン106の堅さを逆転させるために、樹脂110を第2の堅くない未硬化状態へ変質させるように樹脂110を加熱することは、プリント経路114に沿った搬送ガイド116による原料ライン106の操作可能な堆積を容易にする。
【0059】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106の樹脂110が堅い未硬化状態にある状態で、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入すること(ブロック206)は、原料ライン106の樹脂110が堅い未硬化状態にある状態で、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ押すこと(ブロック218)を含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例17を特徴付けており、実施例17は、上記の実施例14から16の何れか1つによる主題も含む。
【0060】
原料ライン106を搬送ガイド116の中へ押すことによって、関連する積層造形システム(例えば、本明細書ではシステム100)の供給機構(例えば、供給機構126)は、搬送ガイド116の上流に位置付けられ、したがって、プリント経路114に対して操作可能に移動する搬送ガイド116の通り道の外側にあり得る。
【0061】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、搬送ガイド116の中へ原料ライン106を押すこと(ブロック218)は、対向するローラ又はベルト128によって実行される。対向するローラ又はベルト128は、搬送ガイド116を通して原料ライン106を押すために、原料ライン106の両側と係合し選択的に回転する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例18を特徴付けており、実施例18は、上述の実施例17による主題も含む。
【0062】
対向するローラ又はベルト128は、選択的に回転されたときに、原料ライン106と摩擦を起こしながら係合し、それによって、対向するローラ又はベルト128の間に原料ライン106を供給し、搬送ガイド116の中へ及び搬送ガイド116を通して原料ライン106を押す。
【0063】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200は、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知すること(ブロック220)を更に含む。方法200は、原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知したこと(ブロック220)に応答して、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させること(ブロック204)、原料ライン106の樹脂110が堅い未硬化状態にある状態で、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入すること(ブロック206)、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させること(ブロック208)、又は原料ライン106がプリント経路114に沿って搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106の樹脂110を少なくとも部分的に硬化させること(ブロック212)、のうちの少なくとも1つを動的に制御すること(ブロック222)も含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例19を特徴付けており、実施例19は、上記の実施例14から18の何れか1つによる主題も含む。
【0064】
原料ライン106に関連する少なくとも1つの物理的特性を感知することによって、方法200の実施態様は、原料ライン106の堅さ、原料ライン106の供給速度、及び原料ライン106の硬化速度を、リアルタイムで制御し得る。
【0065】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させること(ブロック204)を動的に制御すること(ブロック222)は、堅い未硬化状態にある樹脂110の堅さを制御すること(ブロック224)を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例20を特徴付けており、実施例20は、上述の実施例19による主題も含む。
【0066】
樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させることを動的に制御することによって、堅い未硬化状態にある原料ライン106の堅さは、原料ライン106が、搬送ガイド116の中へ操作可能に導入され及び搬送ガイド116を通って操作可能に前進するのに十分な堅さを有することを保証するように制御され得る。
【0067】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106の樹脂110が堅い未硬化状態にある状態で、原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入すること(ブロック206)を動的に制御すること(ブロック222)は、原料ライン106の供給速度を制御すること(ブロック226)を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例21を特徴付けており、実施例21は、上述の実施例19又は20による主題も含む。
【0068】
原料ライン106を搬送ガイド116の中へ導入することを動的に制御することによって、原料ライン106の供給速度は、搬送ガイド116の中へのその導入の前に、原料ライン106を適切に堅くするための十分な時間を有し、且つ/又は、搬送ガイド116によるプリント経路114に沿った操作可能な堆積の前に、原料ライン106を適切に軟らかくするための十分な時間を有することを保証するように制御され得る。
【0069】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106が搬送ガイド116を通過する際に又は原料ライン106が搬送ガイド116を出る際に、原料ライン106の樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させること(ブロック208)を動的に制御すること(ブロック222)は、第2の堅くない未硬化状態にある樹脂110の堅さを制御すること(ブロック228)を含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例22を特徴付けており、実施例22は、上記の実施例19から21の何れか1つによる主題も含む。
【0070】
樹脂110を堅い未硬化状態から第2の堅くない未硬化状態へ変質させることを制御することによって、原料ライン106の第2の堅くない未硬化状態は、プリント経路114に沿った搬送ガイド116による操作可能な堆積のために原料ライン106が十分な柔軟性を有することを保証するように制御され得る。
【0071】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106がプリント経路114に沿って搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106の樹脂110を少なくとも部分的に硬化させること(ブロック212)を動的に制御すること(222)は、原料ライン106の樹脂110の硬化速度を制御すること(ブロック230)を含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例23を特徴付けており、実施例23は、上記の実施例19から22の何れか1つによる主題も含む。
【0072】
樹脂110を少なくとも部分的に硬化させることを動的に制御することによって、物体102が製造されている際に原料ライン106に分け与えられる硬化速度が制御され得る。
【0073】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200は、搬送ガイド116がプリント経路114に沿って原料ライン106を堆積させる際に、搬送ガイド116の先のプリント経路114を加熱すること(ブロック232)を更に含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例24を特徴付けており、実施例24は、上記の実施例14から23の何れか1つによる主題も含む。
【0074】
搬送ガイド116がプリント経路114に沿って原料ライン106を堆積させる際に、搬送ガイド116の先のプリント経路114を加熱することによって、それに接触して原料ライン106が堆積するところの表面が適切に準備される。例えば、原料ライン106が、既に硬化した又は少なくとも部分的に硬化した原料ライン106の以前の長さに接触して堆積しているときに、原料ライン106の以前の長さを加熱することは、原料ライン106の2つの層の間の湿潤及び接着を促進する。
【0075】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200は、原料ライン106がプリント経路114沿って搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106を加熱すること(ブロック234)を更に含む。この段落の上述の主題は、本開示の実施例25を特徴付けており、実施例25は、上記の実施例14から24の何れか1つによる主題も含む。
【0076】
原料ライン106が搬送ガイド116によって堆積された後で、原料ライン106を加熱することによって、堆積された原料ライン106が、それ自身に接触する原料ライン106の後続の堆積及び接着のために適切に準備される。例えば、原料ライン106の長さが硬化した又は部分的に硬化したときに、原料ライン106の長さの後続の又は同時発生的な加熱は、原料ライン106の長さに接触して堆積する原料ライン106の後続の層との間の接着を促進し得る。
【0077】
概して図1及び図2並びに特に図3を参照すると、方法200によれば、原料ライン106を生成するために、第1の堅くない状態にある樹脂110を細長い繊維108に付けること(ブロック202)は、原料ライン106を生成するために、第1の堅くない未硬化状態にある樹脂110を閾値温度未満の細長い繊維108に付けることを含む。更に、原料ライン106を生成するために、第1の堅くない未硬化状態にある樹脂110を閾値温度未満の細長い繊維108に付けること(ブロック204)は、原料ライン106の樹脂110を第1の堅くない未硬化状態から堅い未硬化状態へ変質させる。この段落の上述の主題は、本開示の実施例26を特徴付けており、実施例26は、上記の実施例14から25の何れか1つによる主題も含む。
【0078】
樹脂110を閾値温度未満の細長い繊維108に付けることによって、細長い繊維108は、熱質量又はヒートシンクとして作用して、樹脂110から熱を引き出し、それによって、樹脂110を堅い未硬化状態へ変質させる。閾値温度は、樹脂110の特性、及び堅い未硬化状態にある樹脂110の所望の堅さに応じる。
【0079】
本開示の実施例は、図4に示した航空機の製造及び保守方法1100、並びに図5に示した航空機1102に照らして説明することができる。製造前の段階で、例示的な方法1100は、航空機1102の仕様及び設計(ブロック1104)と材料の調達(ブロック1106)とを含み得る。製造段階では、航空機1102の構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)と、システムインテグレーション(ブロック1110)とが行われ得る。その後、航空機1102は認可及び納品(ブロック1112)を経て運航(ブロック1114)に供され得る。運航中、航空機1102には、定期的な整備及び保守(ブロック1116)が予定され得る。定期的な整備及び保守は、航空機1102の1以上のシステムの改変、再構成、改修などを含み得る。
【0080】
例示的な方法1100のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施され得る。この明細書の解釈上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがそれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0081】
図5に示すように、例示的な方法1100によって製造された航空機1102は、複数の高レベルのシステム1120及び内装1122を有する機体1118を含むことができる。高レベルシステム1120の例は、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び環境システム1130のうちの1以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれ得る。航空宇宙産業の例を示したが、本明細書で開示されている原理は、自動車産業のような他の産業にも適用され得る。そのため、本書で開示されている原理は、航空機1102に加え、陸上ビークル、海洋ビークル、宇宙ビークルなどといった他のビークルにも適用し得る。
【0082】
本明細書で示され、説明されている装置(複数可)及び方法(複数可)は、製造及び保守方法1100の、1以上の任意の段階において用いられ得る。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1102の運航(ブロック1114)期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の様態で製作又は製造され得る。また、装置(複数可)、方法(複数可)又はそれらの組み合わせの1以上の実施例は、例えば、航空機1102の組立てを著しく効率化するか、又はコストを削減することにより、製造段階1108及び1110において利用され得る。同様に、装置又は方法を実現する1以上の実施例、或いはそれらの組み合わせは、限定するわけではないが例としては、航空機1102の運航(ブロック1114)期間中に、及び/又は整備及び保守(ブロック1116)において、利用され得る。
【0083】
本明細書で開示されている装置及び方法の種々の実施例は、多種多様な構成要素、特徴及び機能を含む。本明細書で開示されている装置(複数可)及び方法(複数可)の様々な例は、本明細書で開示されている装置(複数可)及び方法(複数可)のその他の例のうちの任意のものの、任意の構成要素、特徴及び機能を、任意の組み合わせにおいて含む可能性があり、且つ、かかる可能性は全て本開示の範囲に含まれると意図されていることを理解すべきである。
【0084】
上記の説明及び添付図面に提示された教示を利用して、本開示が関係する当業者には、本明細書に明記された例示の多数の修正例が、想起されるであろう。
【0085】
したがって、本開示は例示された特定の例に限定されることがないこと、及び、変形例及びその他の例は付随する特許請求の範囲に含まれると意図されていることを理解されたい。更に、上述の記載及びこれに関連する図面では、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに照らして本開示の実施例が記載されているが、代替的な実行形態によって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供され得ることは理解されるべきである。そのため、付随する特許請求の範囲で括弧でくくられた参照番号は、例示目的でのみ提示されており、特許請求される主題の範囲を本開示内で提供される特定の例に限定することを意図しているわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5