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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G07G1/00 301G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018193967
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020064330
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 收
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136935(JP,A)
【文献】実開昭55-107655(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売データ処理に用いられる2つ以上の機能部を分けて内蔵するものであって上下に重ねて設置される2つ以上の箱型の筐体と、
2つ以上の前記筐体のうち最下段以外に設置されるものの上辺の少なくとも1つに設けられ、複数の前記筐体に渡って側面を覆うパネルの上辺を保持する上保持部と、
前記上保持部が設けられた前記筐体よりも下段に設置される前記筐体の下辺のうち前記上保持部と対向する位置に設けられ、前記パネルの下辺を保持する下保持部と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記上保持部および前記下保持部は、各々が設けられる前記筐体に対して、着脱自在に構成されている
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記上保持部および前記下保持部が互いの間に保持する前記パネルとして、複数種類から選択的に取り付けられて装置の外観の印象を定めるシートまたは板状の部材が使用可能である
請求項1または2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記上保持部および前記下保持部が互いの間に保持する前記パネルとして、磁石がくっつく板金とフック状部材を引っ掛け可能な網状の部材との一方または両方により構成されて物品を保持可能な保持部材が使用可能である
請求項1~のいずれか1つに記載の販売データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力された商品の情報を集計して、代金の算出や決済などを行う販売データ処理装置が用いられている。販売データ処理装置は近年多様化しており、POS(Point of Sale)端末、セルフレジ、セミセルフレジなどがある。POS端末は、商品情報の入力から決済まで店員の操作によるものである。セルフレジは、セルフPOSとも呼ばれ、客が自身で商品情報の入力から決済まで行うためのものである。セミセルフレジは、店員が入力した商品情報に基づいて算出された代金の決済だけを、客の操作で行うものである。
【0003】
上述のような販売データ処理装置には、従来、筐体の背面部などの広く空いた部分に、広告等を展示するための構成を備えるものがある(例えば特許文献1)。しかしながら、上述のような近年の装置の多様化に伴う各機能部のユニット化や、各部の小型化によって、従来のように広い面積が空くことが少なくなくなってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数のユニットが組み合わされて構成される販売データ処理装置において、例えば広告等の展示に利用可能なスペースを、各ユニットが有する各面よりも広くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の販売データ処理装置は、販売データ処理に用いられる2つ以上の機能部を分けて内蔵するものであって上下に重ねて設置される2つ以上の箱型の筐体と、2つ以上の前記筐体のうち最下段以外に設置されるものの上辺の少なくとも1つに設けられ、複数の前記筐体に渡って側面を覆うパネルの上辺を保持する上保持部と、前記上保持部が設けられた前記筐体よりも下段に設置される前記筐体の下辺のうち前記上保持部と対向する位置に設けられ、前記パネルの下辺を保持する下保持部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1-1】図1-1は、第1の実施形態における販売データ処理装置の外観を示す斜視図である。
図1-2】図1-2は、販売データ処理装置の外観を示す側面図である。
図2-1】図2-1は、パネルが装着された販売データ処理装置の外観を示す斜視図である。
図2-2】図2-2は、パネルをずらした販売データ処理装置の外観を示す斜視図である。
図3図3は、セミセルフレジを構成する販売データ処理装置の設置状態を示す斜視図である。
図4図4は、セルフレジを構成する販売データ処理装置の設置状態を示す斜視図である。
図5図5は、対面POS端末を構成する販売データ処理装置の設置状態を示す斜視図である。
図6図6は、第2の実施形態における販売データ処理装置の外観を示す斜視図である。
図7図7は、第3の実施形態における販売データ処理装置が備える複数のユニットの筐体および保持部の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図面を用いて説明する。図1-1は、第1の実施形態における販売データ処理装置1の外観を示す斜視図である。図1-2は、販売データ処理装置1の外観を示す側面図である。本実施形態の販売データ処理装置1は、上下に重ねて設置される複数の箱型の形状を有するユニット2,3を含み、表示操作部4と、上保持部5および下保持部6を備えている。なお、上下方向は、図中の3軸のZ軸方向である。
【0008】
ユニット2,3は、箱型であって、上下に重ねて設置することを前提に形成されている。本実施形態では、ユニット2をユニット3の上に載置している。重ねられたユニット2,3は、互いの筐体21,31接触面(すなわち筐体21の下面および筐体31の上面)を、ねじ止め等により固定されている。
【0009】
本実施形態のユニット2は、商品の表面に付されたバーコードなどのコード情報を読み取る読取装置を内蔵している。読取装置は、正面に設けられた透明窓22の奥に、商品の表面に光を照射する光源や、照射した光が商品で反射されたものを受光するセンサなどを備えている。
【0010】
本実施形態のユニット3は、レシートなどを発行するプリンタを内蔵している。プリンタは、ユニット3の正面に、レシートの発行口32を備えている。発行口32の下からは、発行されるレシートを支える台33が突出している。プリンタは、スライダやレール等を備えて筐体31に対して引き出し可能に構成されている。オペレータは、ロックを解除した上で、台33をつかんで図中の3軸のX軸方向に引っ張ることにより、プリンタを筐体31から引き出すことができる。プリンタの引き出しは、用紙の補充や交換、修理などの際に、行われる。なお、上述のロックは、プリンタが不必要に筐体31から引き出されることを抑止するもので、店員が所定の操作により解除可能なものである。
【0011】
表示操作部4は、例えば、ディスプレイデバイス41やタッチパネル42を備えて表示およびオペレータによる操作の受け付けを行うものである。ディスプレイデバイス41は、表示操作部4に内蔵された制御部の制御に従って、オペレータに向けた情報を表示する。タッチパネル42は、ディスプレイデバイス41の表層に重ねて設けられ、ディスプレイデバイス41の表示内容に応じた操作を、オペレータから受け付ける。このような表示操作部4は、複数のユニット2,3のうち最上段のユニット2の上面に、ねじ止め等により固定されている。表示操作部4は、上下方向にチルト可能である。
【0012】
以下、説明の便宜上、表示操作部4が向いている方向を、販売データ処理装置1の正面として説明する。
【0013】
レシートを発行するプリンタは、ロール紙を引き出した部分に印字して発行する都合上、奥行き方向(X軸方向)に沿って、奥から、ロール紙、印字部、発行口32の順に配置されている。一般的なレシートの幅が例えば58mm程度であるのに対し、ロール紙の使用前の径は90~100mm程度である。このため、プリンタを内蔵するユニット3は、奥行きが長い直方体となりがちである。そして、それ以外のユニット(つまりユニット2)は、最も長さのあるユニット(つまりユニット3)に合わせた形とされる。これにより、ユニット2,3が重ねられた場合、背面部よりも側面部の面積が広くなる。
【0014】
上保持部5,6は、互いの間に、パネル7を保持する。図2-1は、パネル7が装着された販売データ処理装置1の外観を示す斜視図である。図2-2は、パネル7をずらした販売データ処理装置1の外観を示す斜視図である。
【0015】
上保持部5は、複数のユニット2,3のうち、上段に設置されるユニット2の上辺の少なくとも1つに設けられ、パネル7の上辺を保持する。下保持部6は、複数のユニット2,3のうち、下段に設置されるユニット3の下辺のうち上保持部5と対向する位置に設けられ、パネル7の下辺を保持する。
【0016】
本実施形態の上保持部5は、レール状の部材であって、筐体21の上辺の一つに、着脱自在に取り付け固定されている。同様に、下保持部6も、レール状の部材であって、筐体31の下辺のうち上保持部5と対向する位置に、着脱自在に取り付け固定されている。
【0017】
パネル7は、例えば、シート状または板状の部材である。板状としては、主には平板状、薄板状を想定しているが、パネル7が凹凸を有することを否定するものではない。
【0018】
パネル7は、例えば、広告が印刷された紙(広告紙)に透明な樹脂製のシート(透明シート)を重ねたものである。透明シートは、広告紙の表面(広告内容が示された面)を覆って保護するものであってもよいし、或いは、広告紙を両面から挟むものであってもよい。
【0019】
次に、本実施形態の販売データ処理装置1の設置状態の例を3形態、図3図5により紹介する。
【0020】
図3は、セミセルフレジ101を構成する販売データ処理装置1の設置状態を示す斜視図である。セミセルフレジ101は、販売データ処理装置1と、現金会計機210とを備えている。現金会計機210は、紙幣入出金部と硬貨入出金部とを内蔵しており、紙幣および硬貨による決済を行う。なお、セミセルフレジ101は、電子マネーやクレジットカードによるキャッシュレス決済を行うカードリーダライタをも備えていてもよい。
【0021】
セミセルフレジ101は、客200により操作されるもので、店員300が商品情報読取装置310に読み込ませた商品情報に基づいて算出された代金の決済を、行う。
【0022】
セミセルフレジ101は、例えばL字型のカウンター410に設置されるのであれば、図3に示すように、店員300の立ち位置を囲むように配置される。すなわち、商品情報読取装置310を通過する客200の進行方向に沿った第1の位置Aと、当該第1の位置Aから折れ曲がった第2の位置Bとに、配置される。この配置により、カウンター410内の店員300は、商品情報読取装置310の操作にあたりながら、セミセルフレジ101を操作する客200の様子を知ることができる。
【0023】
図4は、セルフレジ102を構成する販売データ処理装置1の設置状態を示す斜視図である。セルフレジ102は、販売データ処理装置1と、電子マネーやクレジットカードによるキャッシュレス決済を行うカードリーダライタとを備えている。
【0024】
この例は、コンビニエンスストアなどでよくみられる配置である。この例においても、通常のPOS端末320を操作する店員300の立ち位置を囲むL字型のカウンター420に設置される場合を想定する。セルフレジ102は、カウンター420の、POS端末320の並び方向から折れ曲がった位置に、配置される。この配置により、カウンター420内の店員300は、POS端末320の操作にあたりながら、セルフレジ102を操作する客200の様子を知ることができる。
【0025】
図5は、対面POS端末103を構成する販売データ処理装置1の設置状態を示す斜視図である。対面POS端末103は、販売データ処理装置1と、会計機330とを備えている。会計機330は、紙幣入出金部や硬貨入出金部、電子マネーやクレジットカードによるキャッシュレス決済を行うカードリーダライタを備えており、現金による決済やキャッシュレス決済を行う。
【0026】
さて、販売データ処理装置1において複数のユニット2,3が重ねられた場合、前述のように、背面部よりも側面部の面積が広くなる。このため、図3~5で例示するような使われ方において、装置の背面部よりも側面部の方が、客に見えやすくなる。よって、このような重ねられたユニット2,3の側面部を広く使った広告の展示は、背面部などの他の向きの箇所や、或いは各ユニット2,3単体のいずれかの面を使った場合に比べて、大変に効果的であると考えられる。
【0027】
本実施形態によれば、複数のユニットが組み合わされて構成される販売データ処理装置において、例えば広告等の展示に利用可能なスペースを、各ユニットが有する各面よりも広くすることができる。
これによれば、近年の装置の多様化に伴って各機能部が交換可能・組み合わせ自在にユニット化されたり、さらには各ユニットが小型化されたりすることで、従来のように、広告などに使用するために、空いた広い面積を確保することが難しい中、広告を展示するに足る十分な広さの面積を確保することができる。
【0028】
(変形例1)
なお、パネル7は、例えば着色されたシートなどであってもよい。このように、パネル7として、色柄が異なる複数種類から選択的に取り付けられて装置の外観の印象を定めるシートまたは板状の部材を、採用するようにしてもよい。これによれば、販売データ処理装置1の外観のうち広い面積を占めるパネル7の色柄が容易に変更できるので、容易に装置の印象を変更することができる。またこれにより、店内の印象も変更できる。これは、販売データ処理装置1を多数備える店舗であると、顕著な効果が期待できる。
【0029】
(変形例2)
また、パネル7は、例えば、磁石がくっつく材質の板金であってもよい。このようにすると、マグネットの使用により、備品などの物品を固定することができる。
【0030】
(変形例3)
さらに、本実施形態では、複数のユニットを2台のユニットとして例示しているが、実施にあたっては、3台以上のユニットが重ねられるのであってもよい。また、例えば3段重ねのユニットを販売データ処理装置1が備える場合、パネル7は、最上段から最下段までに渡って存在していてもよいし、或いは、最上段および中段、または中段および最下段、の2段に渡って存在していてもよい。
【0031】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、第1の実施形態で説明した箇所については、詳細な説明を省略し、同じ符号を用いる。
【0032】
図6は、第2の実施形態における販売データ処理装置10の外観を示す斜視図である。本実施形態の販売データ処理装置10の上保持部5と下保持部6とは、互いの間に、網状部材70を保持している。当該網状部材70は、第1の実施形態におけるパネル7に相当するものである。
【0033】
網状部材70は、フック状の部材を引っ掛け可能な網状の部材により構成されて、備品などの物品を、固定ないし吊下げにより保持可能なものである。よって、網状部材70は、例えばS字フック等の使用により、備品などの吊下げを可能にする。
【0034】
なお、本実施形態では、第1の実施形態で説明したパネル7の全体が網状部材70で構成された例について説明したが、実施にあたっては、第1の実施形態で説明したパネル7の一部が網状部材70で構成されていてもよい。例えば、磁石がくっつく素材の板金と網状の部材とが組み合わせられてパネル7が構成されていてもよい。
【0035】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、第1の実施形態で説明した箇所については、詳細な説明を省略し、同じ符号を用いる。
【0036】
図7は、第3の実施形態における販売データ処理装置が備える複数のユニットの筐体20,30および保持部25,36の外観を示す斜視図である。本実施形態の筐体20,30は、アルミニウム材の押出成形により形成されていて、保持部25,36は、筐体20,30に、一体的に設けられている。これにより、筐体20,30を安価に形成することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0037】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…販売データ処理装置
2…ユニット、21…筐体、22…透明窓
3…ユニット、31…筐体、32…発行口、33…台
4…表示操作部、41…ディスプレイデバイス、42…タッチパネル
5…上保持部
6…下保持部
7…パネル
101…セミセルフレジ
102…セルフレジ
103…対面POS端末
200…客
210…現金会計機
300…店員
310…商品情報読取装置
320…POS端末
330…会計機
410,420…カウンター
10…販売データ処理装置、70…網状部材
20,30…筐体、25,36…保持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】実開昭60-95683号公報
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7