(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】キャリアレールハウジング、キャリアレールハウジングを有する電子モジュール、および、複数の電子モジュールを有するシステム、特に制御システム
(51)【国際特許分類】
H01R 9/26 20060101AFI20230209BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20230209BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01R9/26
H05K7/12 S
G06F1/16 312N
(21)【出願番号】P 2018199570
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】10 2017 124 706.8
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】メルツ,ロタール
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3133052(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0278228(US,A1)
【文献】実開平02-110387(JP,U)
【文献】特開2013-102142(JP,A)
【文献】実開平02-007887(JP,U)
【文献】実開平02-082081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
H05K 7/12
H05K 7/14
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアレール(2)に、特に2つの、長手方向に延び、かつ外方に向けられた支持脚部(20,21)を有するトップハットレールに装着するのに適したキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)であって、
キャリアレール受容開口(3)であって、その中にキャリアレール(2)の支持脚部(20,21)を挿入可能であるキャリアレール受容開口(3)と、
支持脚部(20,21)をキャリアレール受容開口(3)内の取付目標位置に固定するために形成された係止手段とを含む、キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)において、
キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)は、少なくとも、キャリアレール受容開口(3)の方向に向けて、キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)内に配設され、いくつかのプラグコンタクト(62)を含むプラグコンタクト要素(6)と、そのプラグコンタクト要素(6)のプラグコンタクト(62)の内の少なくともいくつかが投入される少なくとも1つのバスコネクタ(5)とを含み、そのバスコネクタ(5)は、少なくとも1つのさらなるキャリアレールハウジング(1b,1c)のプラグコンタクト要素(6)と結合可能であり、そして係止手段は2つのスライドラッチ(4a,4b)であって、キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)の取付面でスライド可能であるように配設され、ロック位置においてキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)と係止可能であるスライドラッチ(4a,4b)を含み、スライドラッチ(4a,4b)のそれぞれは、第1端部を有し、その第1端部は支持片(44)を有し、その支持片は各片ごとに、キャリアレール受容開口(3)内に延び、したがって、バスコネクタ(5)は、キャリアレール受容開口(3)内において、スライドラッチ(4a,4b)の支持片(44)とプラグコンタクト要素(6)との間に固定され
、
バスコネクタ(5)は、2つの互いに対抗する端部を有する基体(50)を含み、該2つの端部にはそれぞれ傾斜面(51,52)が形成され、傾斜面(51,52)は、バスコネクタ(5)をキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)のキャリアレール受容開口(3)内に挿入する場合、スライドラッチ(4a,4b)を外方に押すように設けられることを特徴とするキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)。
【請求項2】
スライドラッチ(4a,4b)の各々はラッチ要素を備え、キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)は、2つのラッチ受容部(12)を有し、ロック位置において、スライドラッチ(4a,4b)は、ラッチ要素の内の1つの、2つのラッチ受容部(12)のそれぞれにおいて、係合することを特徴とする、請求項1に記載のキャリアレールハウジング(1a,1b,c)。
【請求項3】
ラッチ要素は、曲がり部材(47)として構成され、支持片(44)から、対応するスライドラッチ(4a,4b)の第2端部の方向に延び、ロック位置においてスライドラッチ(4a,4b)に配設されたラッチ受容部(12)内において係合する係止突起部(48)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)。
【請求項4】
曲がり部材(47)のそれぞれは、キャリアレール受容開口(3)から外方にスライドラッチ(4a,4b)がスライドする場合、係止突起部(48)が係合するラッチ受容部(12)と共に協働して、キャリアレール受容開口(3)の方向に作用する復元力を生み出すように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)。
【請求項5】
支持脚部(20,21)は、キャリアレール(2)の取付目標位置においては、バスコネクタ(5)とスライドラッチ(4a,4b)の支持片(44)との間に延びることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載のキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)。
【請求項6】
スライドラッチ(4a,4b)の各々は、取扱い片(45)を有し、該取扱い片(45)が、第1端部の反対側にある第2端部に形成されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載のキャリアレールハウジング(1a,1b,1c)。
【請求項7】
キャリアレール(2)に、特に、トップハットレールに取付け可能である、キャリアレールハウジング(1a,1b,1c)を有する電子モジュール(10a,10b,10c)において、請求項1~
6のいずれか1項に記載のキャリアレールハウジングが実施されることを特徴とする電子モジュール(10a,10b,10c)。
【請求項8】
電子モジュール(10a,10b,10c)を複数有するシステム(100)、特に制御システムにおいて、電子モジュール(10a,10b,10c)の少なくとも1つが請求項
7に従って実施され、バスコネクタ(5)を介して、電気的および機械的に隣接する電子モジュール(10a,10b,10c)と結合されることを特徴とするシステム(100)。
【請求項9】
電子モジュール(10a,10b,10c)の1つは、システム(100)の終了モジュールを形成し、終端プラグ(13)を有することを特徴とする、請求項
8に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアレールに、特に2つの、長手方向に延び、かつ外方に向けられた支持脚部を有するトップハットレールに装着するのに適したキャリアレールハウジングに関し、そのキャリアレールハウジングは、キャリアレール受容開口であって、その中にキャリアレールの支持脚部を挿入可能であるキャリアレール受容開口と、支持脚部をキャリアレール受容開口内の取付目標位置に固定するために形成された係止手段とを含む。さらに、本発明は、電子モジュールに関し、その電子モジュールは、キャリアレールに、特にトップハットレールに装着可能なキャリアレールハウジングを含む。さらにまた、本発明は、キャリアレールに装着可能である複数の電子モジュールを含むシステム、特に制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術水準から、冒頭で挙げたタイプのシステム、特に制御システムであって、複数の電子モジュールからなるモジュールとして構成されるシステムが、様々な実施形態において知られる。これらのシステムのモジュール構成は、システムに所望の機能を付与するために、複数のモジュールを個別に構成することが可能であることによって、用途に特有の構成を可能にする。たとえば、まったく異なった機能を有する制御システムを構成することが可能な電子モジュールには、特に、制御モジュール、インターフェースモジュール、フィールドバスコントローラ、フィールドバスカプラ、1または複数のセンサの入力信号を受信し、場合によっては処理することが可能なインプットモジュール、1または複数の、そこに接続されたアクチュエータに出力信号を出力することが可能である出力モジュール、または組み合わされた入出力モジュール(いわゆるI/Oモジュール)がある。
【0003】
システムが構成される電子モジュールのそれぞれは、キャリアレールハウジングを有し、そのキャリアレールハウジングは、キャリアレールによって、特にトップハットレールによってロックすることが可能なように構成される。電子モジュール間の通信を可能にするために、これらは、バスコネクタを介して対で互いに結合される。さらにまた、バスコネクタを介して電子モジュールに電圧を供給することが可能である。
【0004】
技術水準から知られるキャリアレールハウジングの場合、一方においてキャリアレールハウジングをキャリアレールに固定するための、そして他方において、電子モジュールにバスコネクタを固定するための、様々な考えが利用されており、したがって、キャリアレールにおける、バスコネクタの取付、およびキャリアレールハウジングの取付は、比較的費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、容易に取付け可能である、冒頭であげたタイプのキャリアレールハウジングと、そのタイプに従った電子モジュールとを作製することを課題とする。また、本発明は、簡単な取付と、特に安全な取扱いを可能にするシステム、特に制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決は、請求項1の特徴項の特徴を有する、冒頭で述べたタイプのキャリアレールハウジングと、請求項8の特徴項の特徴を有するタイプの電子モジュールと、請求項9の特徴項の特徴を有する、冒頭で述べたタイプのシステム、特に制御システムとを提供する。従属項は、本発明の好ましいさらなる実施形態に関する。
【0007】
本発明は、キャリアレールに、特に2つの、長手方向に延び、かつ外方に向けられた支持脚部を有するトップハットレールに装着するのに適したキャリアレールハウジングであって、
キャリアレール受容開口であって、その中にキャリアレールの支持脚部を挿入可能であるキャリアレール受容開口と、
支持脚部をキャリアレール受容開口内の取付目標位置に固定するために形成された係止手段とを含む、キャリアレールハウジングにおいて、
キャリアレールハウジングは、少なくとも、キャリアレール受容開口の方向に向けて、キャリアレールハウジング内に配設され、いくつかのプラグコンタクトを含むプラグコンタクト要素と、そのプラグコンタクト要素のプラグコンタクトの内の少なくともいくつかが投入される少なくとも1つのバスコネクタとを含み、そのバスコネクタは、少なくとも1つのさらなるキャリアレールハウジングのプラグコンタクト要素と結合可能であり、そして係止手段は2つのスライドラッチであって、キャリアレールハウジングの取付面でスライド可能であるように配設され、ロック位置においてキャリアレールハウジングと係止可能であるスライドラッチを含み、スライドラッチのそれぞれは、第1端部を有し、その第1端部は支持片を有し、その支持片は各片ごとに、キャリアレール受容開口内に延び、したがって、バスコネクタは、キャリアレール受容開口内において、スライドラッチの支持片とプラグコンタクト要素との間に固定されることを特徴とするキャリアレールハウジングである。
【0008】
本発明は、スライドラッチの各々はラッチ要素を備え、キャリアレールハウジングは、2つのラッチ受容部を有し、ロック位置において、スライドラッチは、ラッチ要素の内の1つの、2つのラッチ受容部のそれぞれにおいて、係合することを特徴とする。
【0009】
本発明は、ラッチ要素は、曲がり部材として構成され、支持片から、対応するスライドラッチの第2端部の方向に延び、ロック位置においてスライドラッチに配設されたラッチ受容部内において係合する係止突起部を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明は、曲がり部材のそれぞれは、キャリアレール受容開口から外方にスライドラッチがスライドする場合、係止突起部が係合するラッチ受容部と共に協働して、キャリアレール受容開口の方向に作用する復元力を生み出すように構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明は、バスコネクタは、2つの互いに対抗する端部を有する基体を含み、該2つの端部にはそれぞれ傾斜面が形成され、傾斜面は、バスコネクタをキャリアレールハウジングのキャリアレール受容開口内に挿入する場合、スライドラッチを外方に押すように設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明は、支持脚部は、キャリアレールの取付目標位置においては、バスコネクタとスライドラッチの支持片との間に延びることを特徴とする。
【0013】
本発明は、スライドラッチの各々は、取扱い片を有し、該取扱い片が、第1端部の反対側にある第2端部に形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明は、キャリアレールに、特に、トップハットレールに取付け可能である、キャリアレールハウジングを有する電子モジュールにおいて、上述のキャリアレールハウジングが実施されることを特徴とする電子モジュールである。
【0015】
本発明は、電子モジュールを複数有するシステム、特に制御システムにおいて、電子モジュールの少なくとも1つが請求項8に従って実施され、バスコネクタを介して、電気的および機械的に隣接する電子モジュールと結合されることを特徴とするシステムである。
【0016】
本発明は、電子モジュールの1つは、システムの終了モジュールを形成し、終端プラグを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
発明に従ったキャリアレールハウジングは、少なくとも、キャリアレール受容開口の方向に向けて、キャリアレールハウジング内に配設され、いくつかのプラグコンタクトを含むプラグコンタクト要素と、そのプラグコンタクト要素のプラグコンタクトの内の少なくともいくつかが投入される少なくとも1つのバスコネクタとを含み、そのバスコネクタは、少なくとも1つのさらなるキャリアレールハウジングのプラグコンタクト要素と結合可能であり、そして係止手段は2つのスライドラッチであって、キャリアレールハウジングの取付面でスライド可能であるように配設され、ロック位置においてキャリアレールハウジングと係止可能であるスライドラッチを含み、スライドラッチのそれぞれは、第1端部を有し、その第1端部は支持片を有し、その支持片は各片ごとに、キャリアレール受容開口内に延び、したがって、バスコネクタは、キャリアレール受容開口内において、スライドラッチの支持片とプラグコンタクト要素との間に固定される。発明に従ったキャリアレールハウジングは、特に簡単な取付を可能とし、さらにまたバスコネクタのキャリアレールハウジングへの確実な係止を提供する。したがって、バスコネクタを、対応するキャリアレールハウジングに脱落することなく結合させることができる。キャリアレールハウジングへのバスコネクタの取付は、たとえば取付ステーションで自動的に行うことが可能であり、したがって取付コストを低下させることが可能である。
【0018】
好ましい実施形態において、スライドラッチの各々はラッチ要素を備え、キャリアレールハウジングは、2つのラッチ受容部を有し、ロック位置において、スライドラッチは、ラッチ要素の内の1つの、2つのラッチ受容部のそれぞれにおいて、係合する。したがって、係止位置において、ラッチ要素が対応する支持力をもたらすスライドラッチの確実な支持が、キャリアレールハウジングに達成される。
【0019】
特に好ましい実施形態においては、ラッチ要素は、曲がり部材として構成することが可能であって、支持片から、対応するスライドラッチの第2端部の方向に延び、ロック位置においてスライドラッチに配設されたラッチ受容部内において係合する係止突起部を含む。この実施形態は、曲がり部材として実施されるラッチ要素が、機械的に非常に頑丈に構成され、信頼性の高い支持力を調達可能であるという利点を有する。
【0020】
有利な実施形態において、曲がり部材のそれぞれは、キャリアレール受容開口から外方にスライドラッチがスライドする場合、係止突起部が係合するラッチ受容部と共に協働して、キャリアレール受容開口の方向に作用する復元力を生み出すように構成することが可能である。それによって、バスコネクタを取付けた後、スライドラッチを自発的に引き戻すことが可能となり、したがって、支持片は再び、片ごとにキャリアレール受容開口内に延び、よってバスコネクタの確実な支持が保証される。
【0021】
特に有利な実施形態では、バスコネクタは、2つの互いに対抗する端部を有する基体を含み、該2つの端部にはそれぞれ傾斜面を形成してもよく、その場合、傾斜面は、バスコネクタをキャリアレールハウジングのキャリアレール受容開口内に挿入する場合、スライドラッチを外方に押すように設けられる。換言すれば、スライドラッチは、バスコネクタをキャリアレール受容開口内に挿入する場合、スライドラッチも、自発的に外方に押され、それによってバスコネクタを回避することになる。
【0022】
好ましい実施形態において、支持脚部は、キャリアレールの取付目標位置においては、バスコネクタとスライドラッチの支持片との間に延びることが可能である。その結果、キャリアレールハウジングが特に確実な、キャリアレールハウジングのキャリアレールでの保持が達成される。さらにまた、キャリアレールハウジング内に配設されたプラグコンタクト要素の接地が、キャリアレールで可能となる。
【0023】
スライドラッチを簡単な方法で、ロック位置から、キャリアレールハウジングともはや係止されないロック解除位置に移動できるようにするために、特に好適な実施例では、スライドラッチの各々は、取扱い片を有し、該取扱い片が、第1端部の反対側にある第2端部に形成される。
【0024】
キャリアレールに、特に、トップハットレールに取付け可能である、キャリアレールハウジングを有する、発明に従った電子モジュールは、請求項8に従えば、請求項1~7のいずれか1項に記載のキャリアレールハウジングが実施されることを特徴とする。発明に従った電子モジュールは、非常に簡単にキャリアレールに取付けることが可能であり、バスコネクタを介して、1または複数の電子モジュールと、特に、信頼できる方法で、機械的かつ電気的に結合され、1つのシステムに、特に、1つの制御システムに組合わされる。電子モジュールのキャリアレールハウジング内には、電子モジュールおよび/または電気機械部品を備えた少なくとも1つのプリント回路基板が収納され、該プリント回路基板は、電子モジュールに特定の機能を提供する。
【0025】
電子モジュールを複数有する、本発明に従ったシステム、特に制御システムは、請求項9に従ったシステムであって、電子モジュールの少なくとも1つが請求項8に従って実施され、バスコネクタを介して、電気的および機械的に隣接する電子モジュールと結合される。電子モジュールは、発明に従ったシステム、特に制御システムを構成し得る電子モジュールであり、特に、制御モジュール、インターフェースモジュール、フィールドバスコントローラ、フィールドバスカプラ、1つまたは複数のセンサを受容可能であり、場合によっては、処理することも可能である入力モジュールでもよく、1つまたは複数のそこに接続されたアクチュエータで、出力信号を出力することが可能である出力モジュール、または入力モジュールと出力モジュールとの組合わせ(いわゆるI/Oモジュール)を含む。したがって、発明に従ったシステムは、特に制御システムは、複数の電子モジュールからモジュール構成することが可能であり、その場合、請求項8に従えば、システムの電子モジュールの総数n個、好ましくは少なくともn-1個の電子モジュールが実施され、したがって、隣接する電子モジュールは、キャリアレールハウジングに脱着不可に取付けられたバスコネクタを介して、互いに結合することが可能である。このような、システムのモジュール構成は、特に有利な方法で、用途に特有の構成を提供可能であり、複数の電子モジュールを、予め製造業者において個別に組合せることが可能であり、そうすることによって、システムに、特に制御システムに、所望の機能性を付与することが可能である。
【0026】
各電子モジュールを1つの供給可能なシステムにまとめることを、好ましい方法で自動化可能である。製造者における電子モジュールの組立工程を終了した後、発明に従ったシステムは、安定した送達準備が整ったユニットを形成し、このユニットは、簡単な方法で、たとえば、スイッチキャビネット内に配設することが可能であるキャリアレールに、取付けることが可能である。電子モジュールの相互結合は非常に安定しており、したがって、製造業者における事前組立から、キャリアレールでの最終取付まで、電子モジュールを保持するための追加の支持構造を要せずに、システムの全処理を行うことができる。したがって、製造業者において予め事前に構成されたシステムを、各電子モジュールに分解することなく、ユニットとしてキャリアレールに固定することが可能である。システムをキャリアレールに取付けた後、さらにまた、有利には、キャリアレールからシステム全体を取り外すことなく、個々の電子モジュールを再び取り外すことも可能である。この場合、システムから取り外されるべき電子モジュールの2つのスライドラッチは、外方に移動され、ロック解除位置に移動され、ロック解除位置では、スライドラッチは、キャリアレールハウジングをキャリアレールにロックしない。隣接する1つ以上の電子モジュールのバスコネクタは、この場合さらにこれらによって保持されている。
【0027】
好ましくは、電子モジュールの1つは、システムの終了モジュールを形成することが可能であり、終端プラグを有することが可能である。対応する電子モジュールのプラグコンタクト要素のプラグコンタクトと結合可能である終端プラグは、電気的機能を設けて実施することも、設けずに実施することも可能である。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】バスコネクタをキャリアレールハウジングに取付ける前の、本発明の好ましい実施形態に従った、キャリアレールハウジングを備える電子モジュールの側面図である。
【
図3】キャリアレールハウジングの取付側で取付け可能なスライドラッチの斜視図である。
【
図6】キャリアレールハウジングの取付側におけるスライドラッチ取り付けの詳細をわかりやすく示す、分解詳細斜視図である。
【
図7】キャリアレールハウジングに取付けた後のスライドラッチを示す詳細斜視図である。
【
図8】スライドラッチを取付けた後のキャリアレールハウジングを取付側から見た斜視図である。
【
図9a】キャリアレールハウジングへの取付時のバスコネクタを示す斜視図である。
【
図9b】バスコネクタ取付時の電子モジュールの側面図である。
【
図9c】キャリアレールハウジングでの取付時のバスコネクタを示す別の斜視図である。
【
図10a】バスコネクタを取付けた後の電子モジュールの側面図である。
【
図10b】キャリアレールハウジングに取付けた後のバスコネクタを示す別の斜視図である。
【
図12】複数の電子モジュールを備えたシステム、特に制御システムの、第1電子モジュールへの第2電子モジュール取付時の側面図である。
【
図14】
図12に従ったシステムの、第2電子モジュール取付時の他の側面図である。
【
図15】第2電子モジュール取付後のシステムの平面図である。
【
図16】第3電子モジュールを取付後のシステムの側面図である。
【
図18】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付前の側面図である。
【
図19】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付前の平面図である。
【
図20】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付時の側面図である。
【
図21】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付時の平面図である。
【
図22】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付後の側面図である。
【
図23】
図16に従ったシステムの、キャリアレールへの取付後の平面図である。
【
図24】電子モジュールをキャリアレールから取り外す前のシステムの正面図である。
【
図25】電子モジュールのうちの1つを取外し中の、
図24に従ったシステムの平面図である。
【
図26】電子モジュールの取外し後のシステムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1および
図2を参照すると、本発明の好ましい実施例に従って実施される、キャリアレールハウジングを備える電子モジュール10aが図示されている。キャリアレールハウジング1aは、キャリアレール2に、たとえば、
図18の例に見られるように、好ましくは、トップハットプロフィールを有するトップハットレールに取り付けられ、キャリアレールと係止することが可能なように構成される。この目的のために、キャリアレールハウジング1aは、キャリアレール受容開口3を含み、該キャリアレール受容開口3は、キャリアレール2が、キャリアレールハウジング1aを取付ける場合に一部分ずつその中に受容されて係止され得るような形状と大きさを有する。キャリアレールハウジング1aのキャリアレール2への係止固定を可能にするために、以下においては取付側とも称される、キャリアレールハウジング1aの取付に供されるハウジング側で、キャリアレール2の1つに、キャリアレールハウジング1aに関連して摺動可能に案内される2つのスライドラッチ4a,4bが取り付けられる。
図1の左側に示すスライドラッチ4aの詳細を明らかにするために、このスライドラッチ4aの一部を、
図1の図示においては、またさらなる図においては、意図的に切り取った。
【0031】
図3および
図6~
図8を参照して、以下において、これら2つのスライドラッチ4a,4bの構成の詳細がより詳細に説明される。2つのスライドラッチ4a,4bは同一の構成であり、特に、
図3の斜視図において、および
図6の詳細図において分かるように、この実施例においては、これら2つのスライドラッチ4a,4bの長手方向側面40,41それぞれに、2つの内方に延びる支持突起部42a,42b,43a,43bを含む。キャリアレールハウジング1aは、これら2つのスライドラッチ4a,4bそれぞれのための取付側の互いに向かい合った両端部それぞれに、該スライドラッチ4a,4bの支持突起部42a,42b,43a,43bに対応する4つの案内部70a,70b,71a,71bを含む。これらの案内部70a,70b,71a,71bは、支持突起部42a,42b,43a,43bのそれぞれ1つが、案内部70a,70b,71a,71bの1つに受容される得る形状と大きさを有する。そのようにすることによって、スライドラッチ4a,4bが案内部70a,70b,71a,71b内で摺動可能に案内されることが可能になる。スライドラッチ4a,4bの案内を生じさせる手段は他の方法で構成されてもよい。
【0032】
さらにまた、2つのスライドラッチ4a,4bのそれぞれは、第1端部を有し、該第1端部は、対応するスライドラッチ4a,4bの目標の取付位置に一部分ずつ、キャリアレールハウジング1aのキャリアレール受容開口3内に延びて、スライドラッチ4a,4bの支持片44を形成する。第1端部に対向する、2つのスライドラッチ4a,4bの第2端部には、把持開口46を備える取扱い片45が形成されている。第2端部に、したがって取扱い片45に向けられている、支持片44の領域にはさらに、両スライドラッチ4a,4bの長手側面40,41間で長手方向に延び、遊端部にはキャリアレールハウジング1aの取付側に向けられた係止突起部48を含む曲がり部材47が形成される。
【0033】
キャリアレールハウジング1aの取付側には、2つのラッチ受容部12(または、別の実施形態では、アバットメント)が形成され、これらはそれぞれ、2つのスライドラッチ4a,4bの1つに割り当てられている。
図1においては、左側のスライドラッチ4aに割り当てられている、2つのスライドラッチ受容部の内の1つが示されている。これら2つのラッチ受容部のそれぞれは、キャリアレールハウジング1aの取付側に配設されて、対応するラッチ受容部12に割り当てられたスライドラッチ4a,4bの曲がり部材47の係止突起部48と共に協働するように形成されている。対応するラッチ受容部12内に係止突起部48を噛み合わせることによってスライドラッチ4a,4bを、キャリアレールハウジング1aの取付側のロック位置に静止して固定することが可能である。スライドラッチ4a,4bの曲がり部材47は、スライドラッチ4a,4bの固定位置に適切な保持力をもたらし、したがって係止突起部48をラッチ受容部12に保持することが可能である。
スライドラッチ4a,4bの機能のさらなる詳細について、以下において詳しく説明する。
【0034】
キャリアレールハウジング1a内には、電子モジュール10aに特定の機能を提供する、電子および/または電気機械式の部品を有する少なくとも1つのプリント回路基板がある。たとえば、システム100を構成することが可能である電子モジュール10a,10b,10cについては、特に、制御モジュール、インターフェースモジュール、フィールドバスコネクタ、1または複数のセンサの入力信号を受信し、場合によっては処理することが可能である入力モジュール、出力信号を1または複数のそこに接続されたアクチュエータに出力することが可能である出力モジュール、または入力モジュールと出力モジュールとの組み合わせ(いわゆるI/Oモジュール)がある。複数の電子モジュール10a,10b,10cから、システム100、特に制御システムをモジュール構成とすることが可能である。システム100のモジュール構成は、複数の電子モジュール10a,10b,10cを個々に取付、システム100に所望の機能を付与することによって、特に好ましい方法において、その用途特有の構成が可能となる。
【0035】
第1電子モジュール10aを、機械的構造が第1電子モジュール10aと同一である第2電子モジュール10bと、許容された方法で、電気的にそしてさらに機械的に結合可能とするために、第1キャリアレールハウジング1aには、バスコネクタ5と、そしてプラグコンタクト要素6とが設けられ、これらについては、
図4および
図5に詳細に示されている。
図5に示されているように、第1キャリアレールハウジング1a内に収容されたプラグコンタクト要素6は、いくつかのプラグコンタクト62を備える2つのプラグコンタクト列60,61を有し、これらのプラグコンタクトは、キャリアレール受容開口3の方向に向いている。図においては、2つのプラグコンタクト列60,61のそれぞれにおいて、合計8つのプラグコンタクト62が設けられている。プラグコンタクト要素6の互いに対向する2つの端面のそれぞれには、さらに、接地ばね63,64も取付けされている。適切に実施されるプラグコンタクト要素6は、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1b内にも収容される。
【0036】
図4に示された、2つの隣接した電子モジュール10a,10bを結合するバスコネクタ5は、それぞれ傾斜面51,52が形成された、互いに対向する2つの端部を有する基体50を含む。さらにまた、バスコネクタ5は、互いに平行に延びて、隙間55によって互いに間隔を隔てられた2つの接続ソケット列53,54を備えている。この場合の2つの接続ソケット列53,54の各々は、8つの接続ソケット56を有する。換言すれば、2つの接続ソケット列53,54それぞれにおける接続ソケット56の数は、プラグコンタクト要素6の2つのプラグコンタクト列60,61におけるプラグコンタクト62の数に相当する。
【0037】
2つの隣接する電子モジュール10a,10bのキャリアレールハウジング1a,1bを互いに結合するために、第1キャリアレールハウジング1aのプラグコンタクト要素6の第1プラグコンタクト列60のプラグコンタクト62が、バスコネクタ5の第1接続ソケット列53の接続ソケット56内に差し込まれる。さらに、第2キャリアレールハウジング1bのプラグコンタクト要素6の第2プラグコンタクト列61の第2プラグコンタクト62は、バスコネクタ5の第2接続ソケット列54の接続ソケット62内に差し込まれる。バスコネクタ5は、特に、2つの隣接して互いに配設された電子モジュール1a,1b間でのデータ通信を可能にする。
【0038】
図1、
図9a~
図11を参照して、バスコネクタ5の取付の詳細と、バスコネクタ5と第1電子モジュール10aのキャリアレールハウジング1aとの機械的結合とについて以下に詳しく説明する。
図1および
図9に明らかなように、バスコネクタ5は、キャリアレール側から、対応するキャリアレールハウジング1aのキャリアレール受容開口3内に挿入される。
図9bおよび
図9cから明らかなように、取付プロセスの間、バスコネクタ5の2つの外側傾斜面51,52のそれぞれは、2つのスライドラッチ4a,4bの一方の支持片44を押圧する。それによって、スライドラッチ4a、4bは、軸方向外方に変位し、バスコネクタ5を回避し、したがって、バスコネクタ5のための道を開放する。この状況は、
図9bおよび
図9cに示されている。
【0039】
これら2つのスライドラッチ4a,4bの外方への変位によって、曲がり部材47の軽度な曲がりが付随し、そのように曲がった時に、係止突起部48が、キャリアレールハウジング1の取付側でラッチ受容部12内にしっかりと押圧されて、ラッチ受容部12と噛み合う。2つのスライドラッチ4a,4bの曲がり部材47のこの曲がりによって、キャリアレール受容開口3の方向に働く復元力が生じる。バスコネクタ5は、両スライドラッチ4a,4bを通過し、取付目標位置に置かれ、そこで、プラグコンタクト要素6の第1プラグコンタクト列60のプラグコンタクト62が、バスコネクタ5の第1接続ソケット列53の接続ソケット56内に差し込まれ、スライドラッチ4a,4bは、それらに作用する復元力によって自ら再びキャリアレール受容開口3の方向に移動する。
図10aおよび
図10bから明らかなように、スライドラッチ4a,4bの遊端部の支持片44は、バスコネクタ5が、両スライドラッチ4a,4bを介してその取付目標位置に固定されるように、バスコネクタ5の取付目標位置において、バスコネクタ5の遊端部を越えて延びている。それによって、バスコネクタを、対応するキャリアレールハウジング1aと脱着不可に結合させることが可能となる。バスコネクタのキャリアレールハウジング1aへの取付は、たとえば、取付ステーションで自動的に実施することも可能である。
【0040】
図12~
図17を参照して、システム100の構成、特に、総計3つの電子モジュール10a,10b,10cを含む制御システムについて詳細に説明する。
図12~
図15に示す第1取付工程では、第2電子モジュール10bが第1電子モジュール10aに電気的かつ機械的に接続されている。両電子モジュール10a,10bには、上述したタイプのプラグコンタクト要素6、およびバスコネクタ5が設けられ、該バスコネクタ5は、先に説明した方法で電子モジュール1a,1bのキャリアレールハウジング1a,1bで取付けられ、対応するキャリアレールハウジング1a,1bのスライドラッチ4a,4bの助けを借りて、取付目標位置に支持される。プラグコンタクト要素6とバスコネクタ5とは、CAN-BUS規格に従って実施することが可能である。さらにまた、プラグ接続を介して、第1電子モジュール10aから第2電子モジュール10bまでの、そして第2電子モジュール10bから第3電子モジュール10cまでの(そして場合によってはさらなる電子モジュールも)、駆動のための電力供給も行うことが可能である。さらにまた、これらのプラグ接続を介して、電子モジュール1b,1cに接続されたセンサ、および/または、適切な接続プラグを介して、電子モジュール1b,1cにタップさせることが可能であるアクチュエータを駆動するための供給電圧が提供されると考えることも可能である。
【0041】
第2電子モジュール10bを取付ける場合、そのキャリアレールハウジング1bは、第1電子モジュール10aのキャリアレールハウジング1aに取り付けられ、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bのキャリアレール受容開口3内の第1電子モジュール10aのバスコネクタ5まで摺動されるようにシフトされる。組立工程の間、第1電子モジュール10aのキャリアレールハウジング1aに固定されるバスコネクタ5の2つの外側傾斜面51,52の各々が、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bの2つのスライドラッチ4a,4bの支持片44の1つを押圧する。これにより、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bのスライドラッチ4a,4bは、軸方向外方に変位し、バスコネクタ5を回避し、したがって、第2キャリアレールハウジング1bのプラグコンタクト要素6のプラグコンタクト列61のプラグコンタクト62を、第1電子モジュール10aのキャリアレールハウジング1aのバスコネクタ5の第2接続ソケット列54の接続ソケット62内に差し込み可能とすることが達成される。この状況は、
図14に示されている。
【0042】
第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bのこれら2つのスライドラッチ4a,4bの外方への変位によって、曲がり部材47の軽度な曲がりが付随し、そのような曲がりによって、係止突起部48が、キャリアレールハウジング1bの取付側でラッチ受容部12内にしっかりと押圧されて、ラッチ受容部12と噛み合う。2つのスライドラッチ4a,4bの曲がり部材47のこの曲がりによって、キャリアレール受容開口3の方向に働く復元力が生じる。第1電子モジュール10aのバスコネクタ5が、第2電子モジュール10bの両スライドラッチ4a,4bを通過し、第2電子モジュール10bのプラグコンタクト要素6の第2プラグコンタクト列61のプラグコンタクト62が、第1電子モジュール10aのバスコネクタ5の第2接続ソケット列54の接続ソケット56内に差し込まれる取付目標位置に、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bがあるとき、第2電子モジュール10bのスライドラッチ4a,4bは、それらに作用する復元力によって自ら再びキャリアレール受容開口3の方向に移動する。第2電子モジュール10bのスライドラッチ4a,4bの遊端部の支持片44は、第1電子モジュール10aのバスコネクタ5が、第2電子モジュール10bの両スライドラッチ4a,4bを介してその取付目標位置に固定されるように、第1電子モジュール10aのバスコネクタ5の遊端部を越えて延びている。2つの電子モジュール10a,10bのスライドラッチ4a,4bの曲がり部材47は、ロック位置において支持力だけをもたらす。
【0043】
図17および
図18に示されるように、類似の方法で、第3電子モジュール10cは、システム100を、特に制御システムを保持するために、第2電子モジュール10bで取付けることが可能である。第3電子モジュール10cは、この場合、システム100の終了モジュールを構成し、したがって、さらなる電子モジュールを接続するためのバスコネクタ5を有していない。代わりに、第3電子モジュール10cは、終端プラグ13を有し、この終端プラグ13は、第3電子モジュール10cのキャリアレールハウジング1cのキャリアレール受容開口3において、取付けられることができる。終端プラグ13は、これがただ単に、1つの接続ソケット列130を有しているだけという点において、バスコネクタ5とは構造的に異なる。基本的には、電気的機能を有する終端プラグも、電気的機能を有さない終端プラグも実施可能である。取付けた後に、終端プラグ13は、第3電子モジュール10cのスライドラッチ4a,4bによって固定され、好ましくは、キャリアレール受容開口3内で、保持される。
【0044】
提供可能なシステム100に、個々の電子モジュール10a,10b,10cを集めて構成することは、有利な方法で自動化することができる。電子モジュール1a,1b,1cの取付工程が完了した後、
図16および
図17に示されるシステム100は、簡単な方法で、キャリアレール2に搭載できる、安定した、発送準備の整ったユニットを形成している。電子モジュール10a,10b,10cの電気的かつ機械的な相互結合は非常に安定しており、製造業者における取付前から、キャリアレール2での最終取付まで、システム100の全取扱いが、電子モジュール10a,10b,10cを保持するために、追加のキャリアレールを要せずに可能である。製造業者において予め予備的に構成されたシステム100は、各電子モジュール10a,10b,10cに分解せずに、予備的に取付けられ、そして予備的に構成されたユニットとして、キャリアレール2に実装することが可能である。キャリアレール2におけるシステム100の取付工程の詳細を、以下において、
図18~
図23を参照して説明する。
【0045】
キャリアレール2は、トップハットレールであり、2つの、外方に曲げられた、キャリアレールの長手方向に延びる支持片20,21を有しており、該支持片が、システム100の取付において、電子モジュール10a,10b,10cのキャリアレールハウジング1a,1b,1cのキャリアレール受容開口3内に係止され、そこに固定されることが可能である。システム100は、単一のステップにおいて、トップハットキャリアレール2で取付けることが可能である。支持脚部20,21をキャリアレールハウジング1a、1b、1cのキャリアレール受容開口3に挿入するとき、遊端部を有する支持脚部20,21は、キャリアレールハウジング1a,1b,1cのスライドラッチ4a,4bの支持片に係合する。これによって、キャリアレールハウジング1a,1b,1cのスライドラッチ4a,4bは、軸方向外方に変位させられて、トップハットレール2の支持脚部20,21を回避する。この状況は
図8に示されている。キャリアレールハウジング1a,1b,1cのスライドラッチ4a,4bの外方へのこの変位によって、両スライドラッチ4a,4bの曲がり部材47の軽度な曲がりが付随し、そのように曲がった時に、係止突起部48が、キャリアレールハウジング1a,1b,1cの取付側でラッチ受容部12内にしっかりと押圧されて、ラッチ受容部12と噛み合う。2つのスライドラッチ4a,4bの曲がり部材47のこの曲がりによって、電子モジュール10a,10b,10cのキャリアレールハウジング1a,1b,1cのキャリアレール受容開口3の方向に働く復元力が生じる。キャリアレール2の支持脚部20,21が、キャリアレールハウジング1a,1b,1cのスライドラッチ4a,4bを通過する時、スライドラッチ4a,4bは、それらに作用する復元力によって自ら再び、キャリアレールハウジング1a,1b,1cのキャリアレール受容開口3の方向に移動する。支持脚部20,21は、キャリアレール2の取付目標位置において、第1電子モジュール10aおよび第2電子モジュール10bのスライドラッチ4a,4bの支持片44と第1電子モジュール10aおよび第2電子モジュール10bのバスコネクタ5との間に、またはスライドラッチ4a,4bの支持片44と第3電子モジュール10cの終端プラグ13との間に延在する。このようにして、システム100は、キャリアレール2に固定される。スライドラッチ4a,4bの曲がり部材47がその支持力だけをもたらす取付目標位置において、全電子モジュール1a,1b,1cのプラグコンタクト要素6の接地スプリング63,64が、さらに、キャリアレール2の支持脚部20,21と接触する。
【0046】
あるいは、上述した取付工程に代わって、システム100は、キャリアレール2の一方の側に配設された後、キャリアレール2の支持脚部20,21が、スライドラッチ4a,4bの支持片44と、第1電子モジュール10aおよび第2電子モジュール10bのバスコネクタ5との間に、またはスライドラッチ4a,4bの支持片44と、第3電子モジュール10cの終端プラグ13との間に延在する取付目標位置に支持脚部20,21を通すために、システム100はその向きを変えてもよい。
【0047】
キャリアレール2でシステム100を取付けた後、基本的には、全システム100をキャリアレール2から遠ざけることを要せずに、各電子モジュール1a,1b,1cを再び脱着することは可能である。
図24~
図26を参照して、以下において、電子モジュール1a,1b,1cの脱着を詳細に説明する。
図24は、システム100を再度示しており、システム100は、3つの電子モジュール1a,1b,1cを含み、これらの電子モジュール1a,1b,1cは、上述の方法で、2つのバスコネクタ5によって、電気的および機械的に互いに結合されている。
【0048】
第1電子モジュール10aと第3電子モジュール10cとの間のシステムの中央に配設された、第2電子モジュール10bをキャリアレール2から離すことを可能とするために、まず、第2電子モジュール10bの2つのスライドラッチ4a,4bを、外方に向けてリリース位置へと移動させる。この目的のために、たとえば、ねじ回しを用いることが可能であり、該ねじ回しは、第2電子モジュール10bの、互いに対向するスライドラッチ4a,4bの取扱い片45の把持開口46内に順々に入り込み、これらのスライドラッチ4a,4bを外方に移動させ、したがって、第2電子モジュール10bの曲がり部材47に形成される係止突起48が、それに対応するラッチ受容部12内に、第2電子モジュール10bのキャリアレールハウジング1bの取付側でもはや係止せずに、キャリアレールハウジング1bを開放する。そして、対応するキャリアレールハウジング1bは、
図25に示すように、キャリアレール2から前方に向かって引き離される。第1電子モジュール10aおよび第3電子モジュール10cは、キャリアレール2に取付けられたままであり、その場所で2つのバスコネクタを支持する。次いで、第2電子モジュール10bを補い、適切なスライドラッチ4a,4bを有する、バスコネクタ5を含まない電子モジュールは、上述の方法で、第1電子モジュール10aおよび第3電子モジュール10cのキャリアレールハウジング1a,1cに取付けられる、2つのバスコネクタ5上に差し込まれることが可能である。あるいは、第1電子モジュール10aおよび第3電子モジュール10cを、キャリアレール2上で、さらに外方に変位させることも可能であり、したがって、第1電子モジュール10aおよび第3電子モジュール10cとの間の、2つ、またはそれ以上の、それぞれがバスコネクタ5と互いに結合された電子モジュールを、キャリアレール2で固定することが可能である。システム100は、第2電子モジュール10bを、1または複数の電子モジュールと交換した後、速やかに再び稼動可能である。
【0049】
ここに述べた、固定の概念および結合の概念によって、簡単な方法で、キャリアレール2に取付けられたシステム100の事後の拡張が可能となり、この目的のために、キャリアレール2からシステムを完全に脱着する必要もない。
【符号の説明】
【0050】
1a,1b,1c キャリアレールハウジング
2 キャリアレール
3 キャリアレール受容開口
4a,4b スライドラッチ
5 バスコネクタ
6 プラグコンタクト要素
10a,10b,10c 電子モジュール
12 ラッチ受容部
13 終端プラグ
20,21 支持脚部
44 支持片
45 取扱い片
47 曲がり部材
48 係止突起部
50 基体
51,52 外側傾斜面
62 プラグコンタクト
100 システム