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特許7223571ロボット及びそれを備えるロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ロボット及びそれを備えるロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20230209BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230209BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20230209BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B25J9/16
B25J13/00 Z
B25J15/00 F
B25J19/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018233383
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020093348
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-11-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 猛
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015119177(DE,A1)
【文献】特開2017-100237(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020276(JP,U)
【文献】特開2017-144534(JP,A)
【文献】特表2016-501731(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108422349(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B25B 5/02
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首部を有するロボットアームと、
前記手首部の先端に設けられ、外部に設けられた被連結部に対して連結可能な連結部と、
記憶部、及び前記記憶部に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを有するロボット制御装置と、を備え、
前記被連結部は、ワークを設置するための設置台に対して取り付けられ、前記設置台は、前記ワークの種類に応じて設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で、前記被連結部を回転させて前記設置幅を調整し、
前記ロボットアームの先端に取り付けられるエンドエフェクタをさらに備え、
前記エンドエフェクタは、前記被連結部及び前記設置台とは別個に設けられるワークに対して作業を行うための第1エンドエフェクタと、前記連結部を有することで前記被連結部を回転させるための第2エンドエフェクタと、を有することを特徴とする、ロボット。
【請求項2】
前記手首部の先端と前記エンドエフェクタとの間に設けられるツールチェンジャーをさらに備えることで、前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとを自立的に取り替え可能な、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記ロボットアームは、前記手首部の先端を回転するための回転軸をさらに有し、
前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転軸を回動することにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整する、請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
手首部を有するロボットアームと、
前記手首部の先端に設けられ、外部に設けられた被連結部に対して連結可能な連結部と、
記憶部、及び前記記憶部に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを有するロボット制御装置と、を備え、
前記被連結部は、ワークを設置するための設置台に対して取り付けられ、前記設置台は、前記ワークの種類に応じて設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で、前記被連結部を回転させて前記設置幅を調整し、
前記ロボットアームは、前記手首部の先端を回転するための回転軸をさらに有し、
前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転軸を回動することにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整し、
前記回転軸は、回動可能な角度範囲が予め規定されており、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結してから前記回転軸を前記回転可能な角度範囲内で所定の角度だけ第1方向に回動したあと、前記連結部と前記被連結部が連結した状態を解放してから前記回転軸を前記第1方向とは反対側に回動する一連の動作を、前記被連結部及び前記回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させるまで繰り返すことを特徴とする、ロボット。
【請求項5】
手首部を有するロボットアームと、
前記手首部の先端に設けられ、外部に設けられた被連結部に対して連結可能な連結部と、
記憶部、及び前記記憶部に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを有するロボット制御装置と、を備え、
前記被連結部は、ワークを設置するための設置台に対して取り付けられ、前記設置台は、前記ワークの種類に応じて設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で、前記被連結部を回転させて前記設置幅を調整し、
前記ロボットアームは、前記手首部の先端を回転するための回転軸をさらに有し、
前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転軸を回動することにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整し、
前記回転軸は、回動可能な角度範囲が予め規定されており、
前記手首部の先端と前記連結部との間に設けられるロータリージョイントをさらに備えることで、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記手首部の先端を前記回転可能な角度範囲を超えて回転させることが可能なことを特徴とする、ロボット。
【請求項6】
手首部を有するロボットアームと、
前記手首部の先端に設けられ、外部に設けられた被連結部に対して連結可能な連結部と、
記憶部、及び前記記憶部に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを有するロボット制御装置と、を備え、
前記被連結部は、ワークを設置するための設置台に対して取り付けられ、前記設置台は、前記ワークの種類に応じて設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で、前記被連結部を回転させて前記設置幅を調整し、
前記連結部に取り付けられる回転駆動装置と、
前記回転駆動装置とは別個に設けられ、前記回転駆動装置を保持可能且つ解放可能であり、前記ロボットアームの先端に取り付けられる第4エンドエフェクタと、をさらに備え、
前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、
前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記第4エンドエフェクタが前記回転駆動装置を保持し、且つ前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転駆動装置が駆動されることにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整することを特徴とする、ロボット。
【請求項7】
前記連結部は、前記被連結部を保持可能な保持部として構成され、前記保持部が前記被連結部を保持することで前記被連結部に対して連結する、請求項1乃至6のいずれかに記載のロボット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のロボットと、前記ロボットの外部に設けられる前記被連結部及び前記設置台と、を備えることを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項9】
前記設置台は、段取り替え装置又は前記段取り替え装置の一部として構成される、請求項8に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びそれを備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファクトリーオートメーション(Factory Automation、いわゆる「FA」)の需要が高まっており、それに応じるためのロボットが提案されている。このようなロボットが、例えば、特許文献1のハンドリングシステムで提案されている。
【0003】
特許文献1には、ワークストッカとトレイの間に配置される双腕ロボットが記載されている。当該双腕ロボットは、ワークストッカに保管されたワークを右腕部と左腕部でワークの持ち直し動作を行いながらトレイまで搬送して位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-196768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来から、ロボットと同じ作業現場に配置され、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能な設置台が知られている。しかし、特許文献1及び従来からあるその他のロボットは、前記設置幅を自立的に調整することについて考慮されていない。したがって、前記設置幅を調整する作業は、一般に、人手で直接的に行われるか、或いは人手で専用器具を操作して行われていた。しかし、このように前記設置幅を調整する作業は、手間や時間がかかってしまうという問題があった。特に、後者の場合、専用器具の準備やメンテナンスなどにも手間や時間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能な設置台の前記設置幅を簡単な装置構成で自立的に調整することが可能な、ロボット及びそれを備えるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットは、手首部を有するロボットアームと、前記手首部の先端に設けられ、外部に設けられた被連結部に対して連結可能な連結部と、記憶部、及び前記記憶部に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを有するロボット制御装置と、を備え、前記被連結部は、ワークを設置するための設置台に対して取り付けられ、前記設置台は、前記ワークの種類に応じて設置幅を調整可能であり、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で、前記被連結部を回転させて前記設置幅を調整することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、連結部を被連結部に対して連結した状態で、被連結部を回転させてワークの種類に応じて設置幅を調整するので、前記設置幅を簡単な装置構成で自立的に調整することが可能となる。
【0009】
前記連結部及び前記被連結部のいずれか一方が嵌合雌部として構成され、前記連結部及び前記被連結部のいずれか他方が前記嵌合雌部に対して嵌合可能な嵌合雄部として構成され、前記連結部は、前記嵌合雌部と前記嵌合雄部が嵌合することで前記被連結部に対して連結可能であってもよい。
【0010】
上記構成によれば、前記連結部と前記被連結部とを簡単な構造で連結させることが可能となる。
【0011】
例えば、前記連結部は、前記被連結部を保持可能な保持部として構成され、前記保持部が前記被連結部を保持することで前記被連結部に対して連結してもよい。
【0012】
前記ロボットアームの先端に取り付けられるエンドエフェクタをさらに備え、前記エンドエフェクタは、前記被連結部及び前記設置台とは別個に設けられるワークに対して作業を行うための第1エンドエフェクタと、前記連結部を有することで前記被連結部及び前記回転対象物を回転させるための第2エンドエフェクタと、を有してもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとに互いに異なる作業を行わせることができるので、多様な作業を行うことが可能となる。
【0014】
前記手首部の先端と前記エンドエフェクタとの間に設けられるツールチェンジャーをさらに備えることで、前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとを自立的に取り替え可能であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、1つのロボットアームの先端で第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとを自立的に取り替えることができるので、設置スペースが比較的狭い場合であっても、簡単な装置構成で多様な作業を行うことが可能となる。
【0016】
前記ロボットアームの先端に取り付けられるエンドエフェクタをさらに備え、前記エンドエフェクタは、前記被連結部及び前記設置台とは別個に設けられるワークに対して作業を行うことが可能な第3エンドエフェクタとして構成され、前記連結部は、前記第3エンドエフェクタ又は前記第3エンドエフェクタの一部として構成され、前記被連結部は、前記第3エンドエフェクタ又は前記第3エンドエフェクタの一部に対して連結可能な構造を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、第3エンドエフェクタによって、被連結部及び設置台とは別個に設けられるワークに対して作業を行うことができ、且つ、被連結部及び回転対象物を回転させることができるので、設置スペースが比較的狭い場合であっても、簡単な装置構成で多様な作業を行うことが可能となる。
【0018】
例えば、前記ロボットアームは、前記手首部の先端を回転するための回転軸をさらに有し、前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転軸を回動することにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整してもよい。
【0019】
上記構成によれば、ロボットに備えられている回転軸を回動して被連結部及び当該被連結部に取り付けられた設置台の回転対象物を回転するので、前記設置幅をいっそう簡単な装置構成で自立的に調整することが可能となる。
【0020】
前記回転軸は、回動可能な角度範囲が予め規定されており、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記連結部を前記被連結部に対して連結してから前記回転軸を前記回転可能な角度範囲内で所定の角度だけ第1方向に回動したあと、前記連結部と前記被連結部が連結した状態を解放してから前記回転軸を前記第1方向とは反対側に回動する一連の動作を、前記被連結部及び前記回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させるまで繰り返してもよい。
【0021】
上記構成によれば、回動可能な角度範囲が予め規定されている回転軸であっても、被連結部及び回転対象物を確実に所望の角度だけ回転させることが可能となる。
【0022】
前記回転軸は、回動可能な角度範囲が予め規定されており、前記手首部の先端と前記連結部との間に設けられるロータリージョイントをさらに備えることで、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記手首部の先端を前記回転可能な角度範囲を超えて回転させることが可能であってもよい。
【0023】
上記構成によれば、回動可能な角度範囲が予め規定されている回転軸であっても、被連結部及び回転対象物を確実に所望の角度だけ回転させることが可能となる。
【0024】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットシステムは、上記いずれかのロボットと、前記ロボットの外部に設けられる前記被連結部及び前記設置台と、を備えることを特徴とする。
【0025】
前記連結部に取り付けられる回転駆動装置と、前記回転駆動装置とは別個に設けられ、前記回転駆動装置を保持可能且つ解放可能であり、前記ロボットアームの先端に取り付けられる第4エンドエフェクタと、をさらに備え、前記被連結部は、前記設置台に設けられる回転対象物に対して取り付けられ、前記設置台は、前記回転対象物を回転されることで前記設置幅を調整可能であり、前記記憶部に格納されたプログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、前記第4エンドエフェクタが前記回転駆動装置を保持し、且つ前記連結部を前記被連結部に対して連結した状態で前記回転駆動装置が駆動されることにより、前記被連結部及び前記設置台の回転対象物を回転させて前記設置幅を調整してもよい。
【0026】
上記構成によれば、上記いずれかのロボットを備えるので、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能な設置台の前記設置幅を簡単な装置構成で自立的に調整することが可能となる。
【0027】
例えば、前記設置台は、段取り替え装置又は前記段取り替え装置の一部として構成されてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能な設置台の前記設置幅を簡単な装置構成で自立的に調整することが可能な、ロボット及びそれを備えるロボットシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示す概略的な正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るロボットシステムの段取り替え装置の一部及び第2エンドエフェクタを示す概略的な斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るロボットシステムで被連結部及び回転対象物を回転させる様子を示す概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。
図5】本発明の実施形態に係るロボットシステムで、回転軸の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、被連結部及び回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させる手順の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係るロボットシステムの第1変形例で、回転軸の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、被連結部及び回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させるための構造の一例を示す概略図である。
図7】本発明の実施形態に係るロボットシステムの第2変形例で第1エンドエフェクタを第2エンドエフェクタに取り替える様子を示す概略図であり、(A)が取り替え前の図、(B)が取り替えている際中の図、(C)が取り替えた後の図である。
図8】本発明の実施形態に係るロボットシステムの第3変形例を示す要部の概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。
図9】本発明の実施形態に係るロボットシステムの第4変形例を示す要部の概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。
図10】本発明の実施形態に係るロボットシステムの第5変形例を示す要部の概略図であり、(A)がロボットの全体構成を示す概略図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係るロボット及びそれを備えるロボットシステムについて、添付図面に基づき説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0031】
(ロボットシステム10)
図1は、本実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示す概略的な正面図である。また、図2は、同ロボットシステムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るロボットシステム10は、双腕型のロボット20と、当該ロボット20に隣接して配置される段取り替え装置100と、を備える。そして、本実施形態に係るロボットシステム10は、ロボット20に段取り替え装置100を操作させることで、製造されるワークWの種別(本実形態ではワークWの幅)が変更される際に生じる段取り替えを行うことが可能である。
【0032】
(ロボット20)
図1に示すように、本実施形態に係るロボット20は、基台22と、当該基台22に支持された第1ロボットアーム30a及び第2ロボットアーム30b(以下、「一対のロボットアーム30a、30b」と称することがある)と、を備える。また、同ロボット20は、第1ロボットアーム30aの先端に取り付けられる第1エンドエフェクタ50aと、第2ロボットアーム30bの先端に取り付けられる第2エンドエフェクタ50bと、をさらに備える。そして、同ロボット20は、第1ロボットアーム30a、第2ロボットアーム30b、第1エンドエフェクタ50a、及び第2エンドエフェクタ50bの動作を制御するためのロボット制御装置70をさらに備える(図2参照)。
【0033】
(一対のロボットアーム30a、30b)
一対のロボットアーム30a、30bは、それぞれ、基台22に支持された水平多関節型のロボットアームである。一対のロボットアーム30a、30bは、それぞれ、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることが可能である。なお、第2ロボットアーム30bは、第1ロボットアーム30aと同様の構成を有する。したがって、ここでは第1ロボットアーム30aについてのみ説明し、第2ロボットアーム30bの同様となる説明は繰り返さない。
【0034】
第1ロボットアーム30aは、関節軸JT1~JT4を有する。そして、第1ロボットアーム30aには、関節軸JT1~JT4に対応付けられるように、回転駆動用のモータ(図示せず)が設けられる。第1ロボットアーム30aは、第1リンク32、第2リンク34、及びリスト36(手首部)と、を有する。
【0035】
第1リンク32は、基台22の上面に固定される基軸24と回転式の関節軸JT1により連結されることで、基軸24の軸心を通るように規定された鉛直方向に延びる軸線まわりに回動可能である。第2リンク34は、第1リンク32の先端と回転式の関節軸JT2により連結されることで、第1リンク32の先端に規定された鉛直方向に延びる軸線まわりに回動可能である。
【0036】
リスト36は、第2リンク34の先端と直動式の関節軸JT3を介して連結される。リスト36は、直動式の関節軸JT3によって、第2リンク34に対して昇降移動可能である。また、リスト36は、その先端にメカニカルインターフェイス38を有する。当該メカニカルインターフェイス38には、第1エンドエフェクタ50aが取り付けられる。メカニカルインターフェイス38は、回転式の関節軸JT4(回転軸)によって、リスト36に対して、鉛直方向に延びる軸線まわりに回動可能である。
【0037】
第1ロボットアーム30aの第1リンク32の基端側の軸線と、第2ロボットアーム30bの第1リンク32の基端側の軸線とは同一直線上に存する。また、第1ロボットアーム30aの第1リンク32とロボットアーム30bの第1リンク32とは高低差を設けて配置される。
【0038】
(第1及び第2エンドエフェクタ50a、50b)
第1エンドエフェクタ50aは、第1ロボットアーム30aのメカニカルインターフェイス38(第1ロボットアームの手首部の先端)に取り付けられる。第1エンドエフェクタ50aは、後述する被連結部80及び設置台110とは別個に設けられるワークWに対して作業を行うために設けられる。
【0039】
第2エンドエフェクタ50bは、第2ロボットアーム30bのメカニカルインターフェイス38(第2ロボットアームの手首部の先端)に取り付けられる。第2エンドエフェクタ50bは、その基端部がメカニカルインターフェイス38に取り付けられる軸部材52と、当該軸部材52の先端部に設けられる大径部54と、当該大径部54の先端に設けられる連結部58と、を有する。
【0040】
図1に示すように、連結部58は、後述する被連結部88(嵌合雌部)に対して嵌合可能な嵌合雄部として構成される。なお、当該嵌合雄部及び後述する嵌合雌部のうち少なくともいずれか一方には、回り止めが形成される。このように回り止めが形成されることで、被連結部88は、連結部58と一体的に回転可能となる。軸部材52、大径部54、及び連結部58は、それぞれ、互いの軸線が同一直線上に位置するように構成される。
【0041】
(ロボット制御装置70)
ロボット制御装置70は、例えば、基台22に内蔵される。図2に示すように、ロボット制御装置70は、記憶部72(例えば、メモリなど)と、当該記憶部72に格納されたプログラムを実行するためのプロセッサ74(例えば、CPUなど)と、を有する。
【0042】
(段取り替え装置100)
図3は、本実施形態に係るロボットシステムの段取り替え装置の一部及び第2エンドエフェクタを示す概略的な斜視図である。図3に示すように、段取り替え装置100は、ワークWを設置するための設置台110を有する。設置台110は、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能である。
【0043】
具体的には、設置台110は、外面に螺子溝が形成された螺子軸112(回転対象物)と、螺子軸112を回転されることで当該螺子軸112上を軸方向に移動するように当該螺子軸112に螺合されたナット114a、114bと、を有する。すなわち、螺子軸112及びナット114a、114bは、いわゆるボール螺子として構成され、螺子軸112の回転運動をナット114a、114bの直線運動に変換することができるように構成される。
【0044】
また、設置台110は、ベース板115と、その厚み方向が螺子軸112の軸方向と一致するようにナット114aに取り付けられるガイド板117aと、その厚み方向が螺子軸112の軸方向と一致するようにナット114bに取り付けられるガイド板117bと、を有する。
【0045】
ガイド板117aは、ベース板115に穿設された矩形状の貫通孔116aに挿入される。そして、ガイド板117aは、ナット114aが螺子軸112上を軸方向に移動することに伴い、ベース板115に穿設された貫通孔116a内を螺子軸112の軸方向に移動する。同様に、ガイド板117bは、ベース板115に穿設された矩形状の貫通孔116bに挿入される。そして、ガイド板117bは、ナット114bが螺子軸112上を軸方向に移動することに伴い、ベース板115に穿設された貫通孔116b内を螺子軸112の軸方向に移動する。
【0046】
螺子軸112の軸方向における中央部には、ベース板115に立設される軸受け118a、118bが取り付けられる。螺子軸112は、ナット114a及びガイド板117aの側に設けられ、軸受け118aによって回転可能に支持される第1螺子軸112aと、ナット114b及びガイド板117bの側に設けられ、軸受け118bによって回転可能に支持される第2螺子軸112bと、を有する。
【0047】
第1螺子軸112aと第2螺子軸112bとは、軸受け118aと軸受け118bの間に設けられるカップリング119によって互いに連結される。そして、第2螺子軸112bの外面には、第1螺子軸112aとは逆回転の螺子溝が形成される。
【0048】
上記構成によれば、螺子軸112を回転されることで、ナット114b及びガイド板117bは、螺子軸112の軸方向においてナット114a及びガイド板117aと逆向きに移動する。そして、ガイド板117aとガイド板117bとの間の距離が、ワークWの設置幅を構成する。なお、ガイド板117aとガイド板117bとの間にワークWを設置するためのユニット部材を介在させてもよい。このような場合、ユニット部材又は当該ユニット部材の一部がワークWを設置するための設置幅を構成する。
【0049】
(被連結部80)
図4は、本実施形態に係るロボットシステムで被連結部及び回転対象物を回転させる様子を示す概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。図3及び図4に示すように、本実施形態に係るロボットシステム10は、互いに噛み合う第1傘歯車82及び第2傘歯車86をさらに備える。
【0050】
第1傘歯車82は、軸部83と、当該軸部83の先端に設けられるギヤ部84と、を有する。第1傘歯車82は、その基端部(すなわち、軸部83の基端部)が軸受け118cを介して段取り替え装置100の壁面に取り付けられ、その軸部83が水平方向に延びるように配置される。そして、第1傘歯車82は、その基端部(同前)が螺子軸112の軸方向における端部に取り付けられる。
【0051】
第2傘歯車86は、軸部87と、当該軸部87の先端に設けられるギヤ部89と、を有する。第2傘歯車86は、その基端部(すなわち、軸部87の基端部)が軸受け118dを介して段取り替え装置100の壁面に取り付けられ、その軸部87が鉛直方向に延びるように配置される。このとき、軸部87の基端が上側に位置し、軸部87の先端(及びギヤ部89)が下側に位置する。
【0052】
そして、第2傘歯車86は、その基端(すなわち、軸部87の基端)に被連結部88が形成される。本実施形態では、被連結部88は、第2傘歯車86の軸部87の基端に形成される嵌合雌部として構成される。上記構成によれば、本実施形態では、被連結部88は、第1及び第2傘歯車82、86を介して設置台110に設けられる螺子軸112(回転対象物)に対して取り付けられる。本実施形態のように、被連結部88は、第2エンドエフェクタ50bの連結部58bに対して連結可能な構造を有してもよい。
【0053】
(ロボット20の動作態様)
本実施形態に係るロボット20は、記憶部72に格納されたプログラムがプロセッサ74によって実行されるとき、図4(B)に示すように、第2エンドエフェクタ50bの連結部58を第2傘歯車86の被連結部88に対して連結した状態で、第2ロボットアーム30bの関節軸JT4(回転軸)を回動することにより、被連結部88及び設置台110の螺子軸112(回転対象物)を回転させて設置幅を調整することが可能である。
【0054】
図5は、本実施形態に係るロボットシステムで、回転軸の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、被連結部及び回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させる手順の一例を示すフローチャートである。ここで、第1及び第2ロボットアーム30a、30bの関節軸JT4(回転軸)は、それぞれ、回動可能な角度範囲が予め規定されている。これにより、第1及び第2ロボットアーム30a、30bに内蔵される配線及び配管などが捻れて損傷することを防止することができる。
【0055】
このように、第2ロボットアーム30bの関節軸JT4(回転軸)の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、ロボット20は、記憶部72に格納されたプログラムをプロセッサ74によって実行することで、図5に示すステップS1~S3を行ってもよい。
【0056】
まず、ロボット20は、連結部58を被連結部88に対して連結してから関節軸JT4(回転軸)を回転可能な角度範囲内で所定の角度だけ第1方向に回動する(図5においてステップS1)。
【0057】
次に、ロボット20は、連結部58と被連結部88が連結した状態を解放してから関節軸JT4(回転軸)を第1方向とは反対側に回動する(図5においてステップS2)。
【0058】
そして、ロボット20は、上記一連の動作(すなわち、ステップS1、S2)を、被連結部88及び螺子軸112(回転対象物)を所望の角度だけ第1方向に回転させるまで繰り返す(図5においてステップS3)。
【0059】
(効果)
従来から、ワークの種類に応じて設置幅を調整可能な設置台が知られていた。しかし、従来からある前記設置台の設置幅を調整する作業は、一般に、人手で直接的に行われるか、或いは人手で専用器具を操作して行われていた。しかし、このように前記設置幅を調整する作業は、手間や時間がかかってしまうという問題があった。特に、後者の場合、専用器具の準備やメンテナンスなどにも手間や時間がかかってしまうという問題があった。
【0060】
一方、本実施形態に係るロボット20は、連結部58を被連結部88に対して連結した状態で、被連結部88を回転させて設置幅を調整するので、人手を要さず、また、専用器具が必要になることもない。上記の通りであるため、本実施形態に係るロボット20は、前記設置幅を簡単な装置構成で自立的に調整することが可能となる。
【0061】
また、本実形態では、連結部58は、嵌合雌部と嵌合雄部が嵌合することで被連結部88に対して連結可能であるため、連結部58と被連結部88とを簡単な構造で連結させることが可能となる。
【0062】
そして、本実施形態に係るロボット20は、ロボット20に備えられている関節軸JT4(回転軸)を回動して被連結部88及び当該被連結部88に取り付けられる設置台110の螺子軸112(回転対象物)を回転するので、前記設置幅をいっそう簡単な装置構成で自立的に調整することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、図5のフローチャートにおけるステップS1~S3を行うことで、回動可能な角度範囲が予め規定されている関節軸JT4(回転軸)であっても、被連結部88及び螺子軸112(回転対象物)を確実に所望の角度だけ回転させることが可能となる。
【0064】
さらに、本実施形態では、第1エンドエフェクタ50aで被連結部88及び設置台110とは別個に設けられるワークWに対して作業を行いつつ、第2エンドエフェクタ50bで被連結部88及び螺子軸112(回転対象物)を回転させることができるので、効率よく作業を行うことが可能となる。
【0065】
そして、本実施形態に係るロボットシステム10は、上記ロボット20を備えるので、上記ロボット20と同様の効果を奏する。
【0066】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0067】
(第1変形例)
図6に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第1変形例について説明する。図6は、上記実施形態に係るロボットシステムの第1変形例で、回転軸の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、被連結部及び回転対象物を所望の角度だけ第1方向に回転させるための構造の一例を示す概略図である。なお、本変形例に係るロボットシステムは、ロータリージョイント90を備えることを除き、上記実施形態に係るロボットシステム10と同様の構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0068】
第2ロボットアーム30bの関節軸JT4(回転軸)の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、ロボット20は、図5に示すステップS1~3を行う代わりに、図6に示す態様で第2ロボットアーム30bのリスト36の先端(手首部の先端)にロータリージョイント90が取り付けられてもよい。
【0069】
すなわち、図6に示すように、第2ロボットアーム30bの関節軸JT4(回転軸)の回動可能な角度範囲が予め規定されている場合、ロボット20は、リスト36の先端と第2エンドエフェクタ50b(及び連結部88)との間に設けられるロータリージョイント90をさらに備えることで、記憶部72に格納されたプログラムがプロセッサ74によって実行されるとき、リスト36の先端を回転可能な角度範囲を超えて回転させることが可能となる。
【0070】
(第2変形例)
図7に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第2変形例について説明する。図7は、上記実施形態に係るロボットシステムの第2変形例で第1エンドエフェクタを第2エンドエフェクタに取り替える様子を示す概略図であり、(A)が取り替え前の図、(B)が取り替えている際中の図、(C)が取り替えた後の図である。なお、本変形例に係るロボットシステムは、ツールチェンジャー120で第2ロボットアーム30bの先端に取り付けられるエンドエフェクタを自立的に取り替えることを除き、上記実施形態に係るロボットシステム10と同様の構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0071】
図7(A)に示すように、本変形例の初期状態において、第2ロボットアーム30bのリスト36の先端(手首部の先端)には、被連結部88及び設置台110とは別個に設けられるワークWに対して作業を行うためのエンドエフェクタ50cが取り付けられる。図示するように、エンドエフェクタ50cは、例えば、ワークWを把持するための把持部を有する構造であってもよい。そして、本変形例に係るロボット20は、第2ロボットアーム30bの先端(手首部の先端)とエンドエフェクタ50cとの間に設けられるツールチェンジャー120をさらに備える。
【0072】
本変形例では、エンドエフェクタ50cでワークWに対して作業を行ったあと、図7(A)に示すように、エンドエフェクタ50cを、ロボット20及び段取り替え装置100に隣接して設けられるエンドエフェクタ交換装置130の上方まで移動させる。
【0073】
そして、図7(B)及び(C)に示すように、エンドエフェクタ交換装置130は、ベース部132の上面から交換部134を突出させて当該交換部134でエンドエフェクタ50cを覆い、エンドエフェクタ50cと第2エンドエフェクタ50bとを第2ロボットアーム30bの先端(手首部の先端)で取り替える。ここで、第2エンドエフェクタ50bは、上記実施形態の場合と同様に、連結部58を有することで被連結部88及び設置台110の螺子軸112(回転対象物)を回転させることが可能である。
【0074】
本変形例に係るロボット20は、ツールチェンジャー120を備えることで、エンドエフェクタ50c(第1エンドエフェクタ)と第2エンドエフェクタ50bとを自立的に取り替え可能である。そして、本変形例では、1つの第2ロボットアーム30bの先端でエンドエフェクタ50cと第2エンドエフェクタ50bとを取り替えることで、設置スペースが比較的狭い場合であっても、簡単な装置構成で多様な作業を行うことが可能となる。
【0075】
(第3変形例)
図8に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第3変形例について説明する。図8は、上記実施形態に係るロボットシステムの第3変形例を示す要部の概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。なお、本変形例に係るロボットシステムは、第2ロボットアーム30bの先端にエンドエフェクタ50cが取り付けられること、及び第2傘歯車86の構造を除き、上記実施形態に係るロボットシステム10と同様の構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0076】
図8に示すように、本変形例に係るロボット20は、被連結部88及び設置台110とは別個に設けられるワークWに対して作業を行うことが可能なエンドエフェクタ50c(第3エンドエフェクタ)を有する。そして、本変形例では、被連結部88´が上記実施形態で説明した第2傘歯車86の軸部87として構成され、エンドエフェクタ50cに設けられる連結部58´が被連結部88´を把持可能な把持部(保持可能な保持部)として構成される。すなわち、連結部58´は、把持部が第2傘歯車86の軸部87を把持することで被連結部88´に対して連結する。これにより、被連結部88´は、エンドエフェクタ50c又は当該エンドエフェクタ50cの一部に対して連結可能な構造を有する。
【0077】
上記構成によれば、エンドエフェクタ50c(第3エンドエフェクタ)によって、被連結部88´及び設置台110とは別個に設けられるワークWに対して作業を行うことができ、且つ、被連結部88´及び螺子軸112(回転対象物)を回転させることができるので、設置スペースが比較的狭い場合であっても、簡単な装置構成で多様な作業を行うことが可能となる。
【0078】
(第4変形例)
図9に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第4変形例について説明する。図9は、本実施形態に係るロボットシステムの第4変形例を示す要部の概略図であり、(A)が連結部を被連結部に連結する前の図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。なお、本変形例に係るロボットシステムは、第2ロボットアーム30bの先端にエンドエフェクタ50cが取り付けられること、及び連結部58´に取り付けられる回転駆動装置140を備えることを除き、上記実施形態に係るロボットシステム10と同様の構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0079】
本変形例に係るロボット20は、連結部58´に取り付けられる回転駆動装置140と、当該回転駆動装置140とは別個に設けられ、当該回転駆動装置140を保持可能且つ解放可能であり、第2ロボットアーム30bの先端(手首部の先端)に取り付けられるエンドエフェクタ50c(第4エンドエフェクタ)と、を備える。
【0080】
図9に示すように、本変形例では、記憶部72に格納されたプログラムがプロセッサ74によって実行されるとき、エンドエフェクタ50c(第4エンドエフェクタ)が回転駆動装置140を保持し、且つ連結部58´を被連結部88に対して連結した状態で回転駆動装置140が駆動されることにより、被連結部88及び設置台110の螺子軸112(回転対象物)を回転させて設置幅を調整する。
【0081】
図10に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第5変形例について説明する。図10は、本実施形態に係るロボットシステムの第5変形例を示す要部の概略図であり、(A)がロボットの全体構成を示す概略図、(B)が連結部を被連結部に連結して被連結部及び回転対象物を回転させている図である。
【0082】
上記実施形態及び第1乃至第4変形例では、ロボット20が基台22に支持された水平多関節型のロボットアームを有する場合について説明した。一方、本変形例に係るロボット20´は、垂直多関節型のロボットアームを有する。
【0083】
具体的には、本変形例に係るロボット20´は、基台22´と、当該基台22´にその基端が連結されるロボットアーム30´と、ロボットアーム30´の先端部に取り付けられる第2エンドエフェクタ50bと、ロボット制御装置50´と、を備える。
【0084】
本変形例のロボットアーム30´は、6つの関節軸JT1´~JT6´と、これらの関節軸によって順次連結される5つのリンク32a~32eと、を有する。関節軸JT1´は、基台22´とリンク32aの基端部とを鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。関節軸JT2´は、リンク32aの先端部とリンク32bの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。第3関節軸JT3´は、リンク32bの先端部とリンク32cの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。
【0085】
関節軸JT4´は、リンク32cの先端部とリンク32dの基端部とをリンク32cの長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。第5関節軸JT5´は、リンク32dの先端部とリンク32eの基端部とをリンク32dの長手方向と直交する方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。関節軸JT6(回転軸)は、ロボットアーム30´の手首部の先端(及び当該手首部に取り付けられる第2エンドエフェクタ50b)を回転する。本変形例に係る第2エンドエフェクタ50bは、上記実施形態のそれ(第2エンドエフェクタ50b)と同じ構造であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0086】
本変形例に係るロボット20´は、垂直多関節型のロボットアームを有するので、図9(B)に示すように、設置台110に設けられる螺子軸112(回転対象物)に対して直方体150を取り付け、被連結部88´を当該直方体150の側面から水平方向に延びるように形成される嵌合雌部として構成することができる。したがって、本変形例では、上記実施形態及び第1乃至第3変形例の場合のように、第1傘歯車82及び第2傘歯車86を必要としないため、この点において装置構成を簡単にすることができる。
【0087】
上記実施形態では、連結部58が嵌合雄部として構成され、被連結部88が嵌合雌部として構成される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、連結部58が嵌合雌部として構成され、被連結部88が嵌合雄部として構成されてもよい。
【0088】
上記実施形態及びその変形例では、ロボットアームが双腕の水平多関節型、又は垂直多関節型として構成される場合を説明したが、この場合に限定されない。例えば、ロボットアームは、片腕の水平多関節型として構成されてもよい。或いは、ロボットアームは、極座標型として構成されてもよいし、円筒座標型として構成されてもよいし、直角座標型として構成されてもよいし、又は、その他の型として構成されてもよい。
【0089】
上記実施形態及びその変形例では、設置台110が段取り替え装置100の一部として構成される場合を説明した。しかし、この場合に限定されず、設置台110は、他の装置又はその一部として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 ロボットシステム
20 ロボット
22 基台
24 基軸
30 ロボットアーム
32 第1リンク
34 第2リンク
36 リスト
38 メカニカルインターフェイス
50 エンドエフェクタ
52 軸部材
54 大径部
58 連結部
70 ロボット制御装置
72 記憶部
74 プロセッサ
82 第1傘歯車
83 軸部
84 ギヤ部
86 第2傘歯車
87 軸部
88 被連結部
89 ギヤ部
90 ロータリージョイント
100 段取り替え装置
110 設置台
112 螺子軸
112a 第1部分
112b 第2部分
114 ナット
115 ベース板
116 貫通孔
117 ガイド板
118 軸受け
119 カップリング
120 ツールチェンジャー
130 エンドエフェクタ交換装置
132 ベース部
134 交換部
140 回転駆動装置
150 直方体
JT 関節軸
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10