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特許7223575サービス提供システム及びサービス提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】サービス提供システム及びサービス提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230209BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04M11/00 302
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018245260
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020107076
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 健司
(72)【発明者】
【氏名】有倉 智志
(72)【発明者】
【氏名】森 柚樹
(72)【発明者】
【氏名】大矢 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】荒川 将宏
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-094740(JP,A)
【文献】韓国登録特許第1771512(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0066985(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0084066(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証に必要となる鍵情報を情報処理装置から取得する携帯端末と、操作対象に接続された認証装置との間で近距離無線通信を介した認証が成立すると、前記操作対象が動作されるサービス提供システムであって、
前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つである第1鍵情報を配信する第1配信部と、
予め登録された前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つであり、かつ前記第1鍵情報とは異なる情報を含む第2鍵情報を配信する第2配信部と、
前記第2鍵情報が配信される前記携帯端末に対して、前記操作対象に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知する通知部と
を備えたサービス提供システム。
【請求項2】
前記第2配信部は、前記通知部により通知された前記商品又は前記役務が購入された場合に、前記携帯端末に対して前記第2鍵情報を配信する
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
認証に必要となる鍵情報を情報処理装置から取得する携帯端末と、操作対象に接続された認証装置との間で近距離無線通信を介した認証が成立すると、前記操作対象が動作されるサービス提供方法であって、
前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つである第1鍵情報を第1配信部によって配信するステップと、
予め登録された前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つであり、かつ前記第1鍵情報とは異なる情報を含む第2鍵情報を、第2配信部によって配信するステップと、
前記第2鍵情報が配信される前記携帯端末に対して、前記操作対象に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知部により通知するステップと
を備えたサービス提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して操作対象に係るサービスを提供するサービス提供システム及びサービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが車両キーとして使用する携帯端末とは別の携帯端末に鍵相当の認証情報(例えばキーID等)を登録し、その携帯端末でも車両を操作可能とする技術が周知である(特許文献1等参照)。携帯端末としては、例えば高機能携帯電話等がある。このように、高機能携帯電話を車両キーとして使用することができれば、車両使用の際に専用の電子キーを所持する必要がなくなり、利便性がよくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-154283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば他ユーザが所持する携帯端末に鍵相当の認証情報を付与して、車両を他ユーザに貸し出すことも想定される。しかし、車両を一時的に貸すユーザが車両保険に加入していない場合も想定され、この場合、無保険で車両を運転させることになってしまう可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、操作対象を貸し出す際に種々の商品の提供を可能にしたサービス提供システム及びサービス提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するサービス提供システムは、認証に必要となる鍵情報を情報処理装置から取得する携帯端末と、操作対象に接続された認証装置との間で近距離無線通信を介した認証が成立すると、前記操作対象が動作される構成であって、前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つである第1鍵情報を配信する第1配信部と、予め登録された前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つであり、かつ前記第1鍵情報とは異なる情報を含む第2鍵情報を配信する第2配信部と、前記第2鍵情報が配信される前記携帯端末に対して、前記操作対象に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知する通知部とを備えた。
【0007】
前記問題点を解決するサービス提供方法は、認証に必要となる鍵情報を情報処理装置から取得する携帯端末と、操作対象に接続された認証装置との間で近距離無線通信を介した認証が成立すると、前記操作対象が動作される方法であって、前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つである第1鍵情報を第1配信部によって配信するステップと、予め登録された前記携帯端末に対して、前記鍵情報の1つであり、かつ前記第1鍵情報とは異なる情報を含む第2鍵情報を、第2配信部によって配信するステップと、前記第2鍵情報が配信される前記携帯端末に対して、前記操作対象に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知部により通知するステップとを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作対象を貸し出す際に種々の商品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の電子キーシステム及び認証システムの構成図。
図2】携帯端末に登録した鍵情報の認証の流れを示す説明図。
図3】携帯端末で車両を操作する際の流れを示す説明図。
図4】サービス提供システムの構成図。
図5】商品提供の流れ(商品購入時)を示す手順図。
図6】商品提供の流れ(商品非購入時)を示す手順図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、サービス提供システム及びサービス提供方法の一実施形態を図1図6に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、電子キー2との無線によるID照合を通じて車載機器3の作動を許可又は実行する電子キーシステム4を備える。電子キーシステム4は、車両1からの通信を契機に狭域無線によってID照合(スマート照合)を実行するスマート照合システムであることが好ましい。車載機器3は、例えば車両ドアを開閉するドアロック装置や、車両1のエンジンなどがある。
【0011】
電子キーシステム4は、車両1において電子キーシステム4を作動させるシステム装置5を備える。電子キー2及びシステム装置5には、スマート照合で使用する電子キーID及びキー固有鍵が登録されている。電子キー2及びシステム装置5は、互いに電波を送受信して通信を実行する双方向通信によりスマート照合を実行する。スマート照合は、例えば電子キーIDの正否を確認する電子キーID照合や、キー固有鍵を用いたチャレンジレスポンス認証等を実行する。システム装置5から電子キー2への電波送信は、LF(Low Frequency)帯の電波が使用され、電子キー2からシステム装置5への電波送信は、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波が使用されている。
【0012】
システム装置5は、室外に位置する電子キー2との間でスマート通信(室外スマート通信)を実行した場合、このときに実行されるスマート照合(室外スマート照合)が成立すれば、車両ドアの施解錠を許可又は実行する。これにより、車外ドアハンドルがタッチ操作されれば車両ドアが解錠され、車外ドアハンドルのロックボタンが操作されば車両ドアが施錠される。また、システム装置5は、室内に位置する電子キー2との間でスマート通信(室内スマート通信)を実行した場合、このときに実行されるスマート照合(室内スマート照合)が成立すれば、車両電源の遷移操作を許可する。これにより、ブレーキペダルを踏み込み操作しながら運転席のエンジンスイッチが押し操作されると、エンジンが始動する。
【0013】
車両1は、ネットワーク通信を介して鍵情報Dkが登録された携帯端末6と近距離無線通信を通じた認証を介して車載機器3の作動を許可又は実行する無線認証機能(認証システム7)を備える。認証システム7は、例えば暗号化された鍵情報Dkを外部(本例は情報処理装置8)から携帯端末6に登録し、車両1に設けた認証装置9との間で近距離無線通信を通じて鍵情報Dkを認証し、その認証結果を車両1の操作可否の1条件とする。携帯端末6は、例えば高機能携帯電話であることが好ましい。
【0014】
情報処理装置8は、車両1のユーザが所持する携帯端末6(以降、ユーザ端末6aと記す)に対して、鍵情報Dkの1つである第1鍵情報(以降、第1鍵情報Dk1と記す)を配信する第1配信部22を備える。第1配信部22は、ユーザ端末6aから第1鍵情報Dk1の配信の要求を受信した場合に、そのユーザ端末6aに第1鍵情報Dk1を、ネットワーク通信を介して配信する。
【0015】
鍵情報Dkは、車両1のオーナーが使用するユーザ端末6aに付与される場合、車両1の動作に対する制限を含んでいないオーナーキーの位置付けの第1鍵情報Dk1であることが好ましい。鍵情報Dkは、車両1のオーナーではない他者(家人、友人等)が使用する携帯端末6(以降、他ユーザ端末6bと記す)に付与される場合、車両1の動作に対する制限を、異なる情報として含むワンタイムキー(ワンタイムパスワード)の位置付けの鍵情報(以降、第2鍵情報Dk2と記す)であることが好ましい。本例の場合、異なる情報は、使用を1度のみ許可した情報であり、利用時間制限の要素が入っている。
【0016】
携帯端末6は、携帯端末6の作動を制御する端末制御部10と、携帯端末6においてネットワーク通信を行うネットワーク通信モジュール11と、携帯端末6において近距離無線通信を行う近距離無線モジュール12と、データ書き込み及び書き替えが可能なメモリ13とを備える。携帯端末6は、情報処理装置8からネットワーク通信を通じて鍵情報Dkを取得した場合、この鍵情報Dkをメモリ13に書き込み保存する。近距離無線通信は、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)であることが好ましい。
【0017】
携帯端末6は、携帯端末6において認証システム7の作動を管理するユーザインターフェースアプリケーション14を備える。ユーザインターフェースアプリケーション14は、例えば情報処理装置8からダウンロードされるなどして、端末制御部10に登録される。ユーザインターフェースアプリケーション14は、例えば携帯端末6による車両使用の手続き(携帯端末6で車両操作できるようにするための設定手続き)、車両ドアの施解錠操作、車両1のエンジンの始動操作など、種々の処理を実行する。
【0018】
認証装置9は、認証装置9の作動を制御するコントローラ15と、認証装置9においてスマート通信を行うスマート通信ブロック16と、認証装置9において近距離無線通信を行う近距離無線モジュール17と、データ書き込み及び書き替え可能なメモリ18と、認証装置9において日時を管理するタイマ部19とを備える。認証装置9は、自らに登録された認証装置IDが例えば車両1の車体ID(車体番号)と紐付けされることにより、車両1と一対一の関係をとる。タイマ部19は、例えばソフトタイマからなる。
【0019】
認証装置9は、携帯端末6に登録された鍵情報Dkの正否を認証する鍵情報認証部20と、認証装置9を電子キー2のように作動させるキー機能部21とを備える。鍵情報認証部20及びキー機能部21は、コントローラ15に設けられている。鍵情報認証部20は、携帯端末6から近距離無線通信を通じて鍵情報Dkを取得し、この鍵情報Dkを認証する。鍵情報認証部20は、鍵情報Dkの認証が成立に移行した場合、キー機能部21をオン状態(有効)に切り替える。キー機能部21は、オン状態に移行すると、電子キーシステム4を通じてのシステム装置5との通信(ワイヤレス通信やスマート通信)が実行可能となる。
【0020】
図2に示すように、車両1を携帯端末6で作動させる場合には、携帯端末6に鍵情報Dkを登録し、この鍵情報Dkを車両1との間で認証する。この場合、まずステップ101において、携帯端末6は、携帯端末6による車両使用の手続きを、ネットワーク通信を通じて情報処理装置8との間で実行する。この手続きは、例えば認証システム7の使用登録時に付与されたユーザID及びパスワードを確認する認証である。
【0021】
ステップ102において、情報処理装置8の第1配信部22は、携帯端末6による車両使用の手続きが完了すると、鍵情報Dk(ここでは、第1鍵情報Dk1)を生成し、これを携帯端末6にネットワーク通信を通じて送信する。このとき、第1配信部22は、携帯端末6による車両使用の手続き時に取得した情報を用いて、第1鍵情報Dk1を生成する。ユーザ端末6aに第1鍵情報Dk1が配信される場合、第1鍵情報Dk1は、例えば「恒久使用可の通知」、「端末ID(ユーザ端末6aのID)」、「ユーザ認証鍵」などを平文とし、車両1に設けられた認証装置9の暗号鍵(例えば認証装置固有鍵)を暗号化鍵として、これらを暗号式(暗号アルゴリズム)に通すことにより生成された暗号文からなる。恒久使用可の通知は、鍵情報Dkを時間や期間の制限なく使用できる旨の通知である。ユーザ認証鍵は、例えば携帯端末6で車両操作を行うときに、携帯端末6及び認証装置9の間の暗号通信で使用される鍵の一種である。携帯端末6は、情報処理装置8から鍵情報Dkを受信すると、これをメモリ13に書き込み保存する。
【0022】
ステップ103において、携帯端末6は、車両1との近距離無線通信が確立したとき、自身に登録された鍵情報Dkを、近距離無線通信を通じて送信する。鍵情報Dkは、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)を通じて認証装置9に送信される。
【0023】
ステップ104において、認証装置9は、携帯端末6から鍵情報Dkを受信すると、鍵情報Dkを認証する。本例の場合、鍵情報認証部20は、暗号鍵(例えば認証装置固有鍵)を用いて鍵情報Dkを復号し、この復号が成功したか否かを確認する。第1鍵情報Dk1の場合、第1鍵情報Dk1の復号が成功すれば、第1鍵情報Dk1に含まれていた「恒久使用可の通知」、「端末ID」、「ユーザ認証鍵」などを取得することができる。これにより、車両1のオーナーは、自身の携帯端末6で車両1を操作できるようになる。
【0024】
認証装置9は、鍵情報Dkの認証が成功すれば、鍵情報Dkの「認証完了状態」に移行し、キー機能部21がオン(スマート機能が有効)となる。よって、キー機能部21は、電子キーシステム4を通じた各種通信(ワイヤレス通信やスマート通信)が実行可能となる。認証装置9は、鍵情報Dkの認証が成立した場合、鍵情報Dkやユーザ認証鍵をメモリ18に書き込み保存する。ワイヤレス通信やスマート通信では、認証装置IDの照合が実行される。
【0025】
認証装置9は、鍵情報Dkの認証が成立した場合、この認証において取得したユーザ認証鍵を、近距離無線通信を通じて携帯端末6に通知する。携帯端末6は、認証装置9からユーザ認証鍵を受信すると、これをメモリ13に登録する。以上により、携帯端末6及び認証装置9の両方にユーザ認証鍵が登録される。従って、携帯端末6で認証装置9を通じて車両1を作動させる場合、携帯端末6及び認証装置9の間の暗号通信にユーザ認証鍵が使用される。なお、ユーザ認証鍵は、携帯端末6及び認証装置9の間の近距離無線通信が確立される度に、新たな鍵に更新されることが好ましい。
【0026】
図3に示すように、鍵情報Dkを登録した携帯端末6で車両1を操作する場合、ステップ201において、携帯端末6は、認証完了状態において携帯端末6の操作要求ボタン(画面上の表示ボタン)が操作されると、そのボタンに応じた操作要求信号を、近距離無線を通じて認証装置9に送信する。操作要求ボタンは、例えば車両ドアを解錠するときに操作する解錠要求ボタン、車両ドアを施錠するときに操作する施錠要求ボタン、エンジンの始動を車両1に許可させる際に操作するエンジン始動要求ボタンなどがある。操作要求信号は、操作された操作要求ボタンに応じたコマンドを含む信号である。操作要求信号は、例えばユーザ認証鍵によって暗号化されて送信される。
【0027】
ステップ202において、キー機能部21は、オン状態のときに携帯端末6から操作要求信号を受信すると、電子キーシステム4を通じた通信(ワイヤレス通信やスマート通信)を実行し、その通信の過程で操作要求信号をシステム装置5に通知する。本例の場合、例えば車両ドアの施解錠操作の場合、キー機能部21からドア施錠信号やドア解錠信号がワイヤレス送信される。また、エンジン始動操作の場合、システム装置5とキー機能部21との間でスマート照合が実行され、スマート照合の成立可否が確認される。
【0028】
ステップ203において、システム装置5は、認証装置9(キー機能部21)との間の通信(ワイヤレス通信やスマート通信)を通じて、認証装置9から通知された操作要求信号に応じた作動を実行する。これにより、車両ドアの施解錠や、エンジン始動操作の許可などが実行される。
【0029】
図4に示すように、携帯端末6の操作対象24の一例である車両1には、鍵情報Dkの配信を利用したサービス提供システム25によるサービスが提供される。本例のサービス提供システム25は、鍵情報Dkが配信された他の携帯端末6(他ユーザ端末6b)に対して、操作対象24に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知する点が特徴である。本例の場合、サービス提供システム25は、車両1のユーザの携帯端末6(ユーザ端末6a)に付与するものとは別の鍵情報Dk(第2鍵情報Dk2)を他の携帯端末6(他ユーザ端末6b)配信して車両1を貸した場合に、その車両使用に係る商品又は役務を提供する。本例の商品又は役務は、例えば車両1にトラブルが生じた際にかかる費用の支払いを保証する車両保険であることが好ましい。
【0030】
サービス提供システム25は、商品提供のサービスを管理する店舗端末27を備える。本例の店舗端末27は、例えば保険商品販売会社の端末である。店舗端末27は、ユーザ端末6a、他ユーザ端末6b、情報処理装置8などと、ネットワーク通信が可能である。店舗端末27は、例えば保険会社が運営する店舗等に設置されている。店舗端末27は、デスクトップ型又はモバイル型のいずれでもよい。
【0031】
サービス提供システム25は、第2鍵情報Dk2が配信される携帯端末6(本例は他ユーザ端末6b)に対して操作対象24に係る商品又は役務を通知する通知部29を備える。通知部29は、店舗端末27に設けられている。通知部29は、操作対象24である車両1を他ユーザに貸与する場合に、その車両1に係る商品又は役務を、ネットワーク通信を通じて通知する。本例の商品又は役務は、車両1の保険商品である。通知部29は、車両1を他ユーザに貸与した場合に、他ユーザ端末6bに対して保険商品を提供する。本例の通知部29は、保険商品としての商品サービス情報Dsbを、情報処理装置8を経由して他ユーザ端末6bに送信する。
【0032】
店舗端末27には、各ユーザが加入している保険が管理されたデータベース30が設けられている。データベース30は、例えば携帯端末6に鍵情報Dkを登録した各ユーザが、どのような保険に加入しているのを一括管理したものである。通知部29は、ユーザ端末6aから車両1の貸し出しの連絡を受け、その貸出相手である他ユーザが保険に加入しているか否かを、データベース30を参照することによって確認する。また、通知部29は、車両1を借りる他ユーザに最適な商品(保険)を抽出し、この商品を他ユーザに提供することにより、商品の購入を勧める。
【0033】
サービス提供システム25は、他ユーザの携帯端末6(他ユーザ端末6b)に対し、車両1を作動させることが可能な鍵情報Dk(本例は第2鍵情報Dk2)を配信する第2配信部31を備える。第2配信部31は、情報処理装置8に設けられている。本例の第2配信部31は、ユーザが他ユーザに車両1を貸与するにあたって、通知部29により通知された商品を他ユーザが購入した場合に、第2鍵情報Dk2を他ユーザ端末6bに配信する。第2鍵情報Dk2は、ユーザ端末6aに配信された第1鍵情報Dk1とは別内容のものである。第2鍵情報Dk2は、車両1の使用が制限されたワンタイムキー(ワンタイムパスワード)であることが好ましい。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態のサービス提供システム25の作用及び効果について説明する。
図5に示すように、ステップ301において、ユーザ端末6aは、「事前予約」としてユーザ端末6aで車両貸し出しの予約操作が行われた場合、予約情報Yを情報処理装置8にネットワーク送信する。予約情報Yには、例えば車両貸出先である他ユーザの個人情報(住所、氏名、年齢等)や、他ユーザ端末6bの連絡先(メールアドレス等)や、車両1の貸出詳細情報(予約時間、行き先、高速道路使用有無など)などが含まれる。予約時間は、車両1を他ユーザに貸し出す時間帯である。
【0035】
ステップ302において、情報処理装置8は、ユーザ端末6aから予約情報Yを受信すると、車両所有者の情報(ユーザ情報Dy1)と、車両1を借りる他ユーザの情報(他ユーザ情報Dy2)と、車両1の貸出詳細情報とを、ネットワーク通信を通じて店舗端末27に送信する。ユーザ情報Dy1は、情報処理装置8に登録済みの車両所有者の個人情報、すなわちユーザ端末6aの所持者に関する個人情報(住所、氏名、年齢、認証システム7の利用のアカウントID等)である。他ユーザ情報Dy2は、車両1を借りる他ユーザの個人情報の一種であって、例えばデータベース30に予め登録されたものでもよいし、予約情報Yから取得したものでもよい。貸出詳細情報は、他ユーザが車両1を使用する際の詳細内容であって、例えば車両使用の予約時間、行き先、高速道路使用有無等の各種情報を含むことが好ましい。
【0036】
ステップ303において、店舗端末27の通知部29は、情報処理装置8から取得したユーザ情報Dy1、他ユーザ情報Dy2及び貸出詳細情報を基に、車両1を借りる他ユーザに適用されている保険を確認する。本例の場合、通知部29は、データベース30を参照してユーザが加入済みの車両保険を確認することにより、他ユーザが保険に入っているか否かを確認する。
【0037】
ステップ304において、通知部29は、例えばユーザの車両保険に他ユーザがカバーされていないことを確認すると、他ユーザに適した保険商品を選び出し、この保険商品に関する情報(商品サービス情報Dsb)を、ネットワーク通信を通じて情報処理装置8に送信する。商品サービス情報Dsbは、例えば車両1の貸出詳細情報を確認することにより、他ユーザが車両1を借りる際の条件(予約時間、行き先、高速道路使用有無)に応じた最適の保険商品が選択されて提供される。
【0038】
ステップ305において、情報処理装置8は、店舗端末27から商品サービス情報Dsbを受信すると、これを他ユーザ端末6bにネットワーク送信する。他ユーザ端末6bが商品サービス情報Dsbを受信すると、商品提供及び購入に係る画面が、他ユーザ端末6bに表示可能となる。これにより、他ユーザは、他ユーザ端末6bの操作を通じて、商品購入を実行することが可能となる。
【0039】
ステップ306において、他ユーザ端末6bは、提供された商品の購入操作を実行すると、商品申込み通知を情報処理装置8にネットワーク送信する。なお、商品申込みは、例えば商品が1つのみ提供されて購入するか否かを確認する手続きでもよいし、複数提供された商品の中から1つ選択して購入する手続きのいずれでもよい。
【0040】
ステップ307において、情報処理装置8は、他ユーザ端末6bから受信した商品申込み通知を、ネットワーク通信を通じて店舗端末27に送信する。
ステップ308において、店舗端末27の通知部29は、情報処理装置8から受信した商品申込み通知を基に、他ユーザが選択した商品(保険商品)の契約及び適用を実行する。これにより、他ユーザが車両1を借りて使用するあたり、他ユーザも車両保険が適用された状態となる。
【0041】
ステップ309において、情報処理装置8の第2配信部31は、他ユーザ端末6bから商品申込み通知を受信した場合、他ユーザ端末6bで車両1を操作可能な第2鍵情報Dk2を生成し、これを他ユーザ端末6bにネットワーク送信する。本例の第2配信部31は、ユーザ端末6aに付与した第1鍵情報Dk1とは別の内容を有する第2鍵情報Dk2を生成し、この第2鍵情報Dk2を、他ユーザ端末6bにネットワーク送信する。
【0042】
第2鍵情報Dk2は、ユーザの予約情報Yの内容に基づくデータ群を暗号化した情報からなる。本例の第2鍵情報Dk2は、例えば「予約時間」、「端末ID(他ユーザ端末6bのID)」、「ユーザ認証鍵」などを平文とし、車両1に設けられた認証装置9の暗号鍵(例えば認証装置固有鍵)を暗号化鍵として、これらを暗号式(暗号アルゴリズム)に通すことにより生成された暗号文からなる。第2鍵情報Dk2は、貸し出された車両1と紐付けられて、情報処理装置8で管理される。
【0043】
なお、ユーザの加入保険で他ユーザの車両保険もカバーされている場合、店舗端末27は、例えば他ユーザが保険に加入している旨の保険加入済み通知を情報処理装置8にネットワーク通信する。情報処理装置8の第2配信部31は、店舗端末27から保険加入済み通知を受信すると、第2鍵情報Dk2を生成して他ユーザ端末6bに配信する。このように、他ユーザの保険がユーザの保険でカバーされている場合には、保険契約及び適用の手続きを経ることなく、他ユーザ端末6bに第2鍵情報Dk2が登録される。
【0044】
ステップ310において、他ユーザ端末6b及び認証装置9は、他ユーザ端末6bが車両1に近づいた場合に、近距離無線通信(ブルートゥース通信)を接続する。この例としては、例えば認証装置9から定期的に繰り返し送信されるアドバタイズを他ユーザ端末6bが受信すると、これらの間で機器認証(IDやパスワード等の認証)が実行され、機器認証が成立すると、近距離無線通信が接続された状態に移行される。
【0045】
ステップ311において、他ユーザ端末6b及び認証装置9は、近距離無線通信接続の状態下で、他ユーザ端末6bに登録された第2鍵情報Dk2の認証を実行する。第2鍵情報Dk2の認証は、ステップ104と同様であるので、説明を省略する。第2鍵情報Dk2を正しく復号できた場合、認証装置9との近距離無線通信時の暗号に用いるユーザ認証鍵等を取得することができる。
【0046】
ステップ312において、他ユーザ端末6bは、第2鍵情報Dk2の認証成立後、他ユーザ端末6bでドア解錠操作が実行されると、近距離無線通信を通じて、ドア解錠要求を認証装置9に送信する。ドア施錠操作には、例えば他ユーザ端末6bに画面表示されたドア施錠ボタンをタッチする操作がある。
【0047】
ステップ313において、認証装置9は、他ユーザ端末6bからドア解錠要求を受信すると、電子キーシステム4を通じて、ドア解錠信号をシステム装置5にUHF送信する。システム装置5は、認証装置9からドア解錠信号を受信すると、これをトリガにして、車両ドアを解錠する。これにより、他ユーザは、車両ドアを開けて乗車し、エンジンをかけて車両1を運転することができる。
【0048】
図6に示すように、他ユーザが提供商品の購入をキャンセル操作した場合、ステップ314において、他ユーザ端末6bは、商品申込みキャンセル通知を情報処理装置8にネットワーク送信する。商品申込みキャンセル操作は、例えば端末上に画面表示されたキャンセルボタンをタップ操作する例などが挙げられる。
【0049】
ステップ315において、情報処理装置8の第2配信部31は、他ユーザ端末6bから商品申込みキャンセル通知を受信すると、第2鍵情報Dk2を発行することができない旨の鍵情報発行不可通知を、ネットワーク通信を通じて他ユーザ端末6bに送信する。これにより、他ユーザ端末6bに鍵情報Dk(第2鍵情報Dk2)が配信されないことが、他ユーザ端末6bの画面上で他ユーザに通知される。
【0050】
ステップ316において、他ユーザ端末6bは、情報処理装置8から鍵情報発行不可通知を受信すると、これをユーザ端末6aにネットワーク送信する。これにより、他ユーザ端末6bに鍵情報Dk(第2鍵情報Dk2)が配信されないことが、ユーザ端末6aにも通知される。
【0051】
以上、本例によれば、他ユーザ端末6bに鍵情報Dk(第2鍵情報Dk2)を配信して車両1を他ユーザに貸与する場合には、車両1に係る商品(保険商品)がユーザ端末6aに通知される。このように、車両1を他ユーザに貸与する場合に、車両1に関係する商品提供の案内が実施される。よって、車両1を貸し出す際に種々の商品を提供することができる。
【0052】
サービス提供システム25に第2配信部31を設け、通知部29により通知された商品(保険商品)を他ユーザが購入した場合に、他ユーザ端末6bに対し、車両1を作動させるのに必要な鍵情報Dk(第2鍵情報Dk2)を配信する。よって、通知部29により提供された商品の購入を、他ユーザ端末6bへの鍵情報配信の条件とするので、他ユーザ端末6bで車両1を作動させるにあたって、商品購入の忘れを生じ難くすることができる。
【0053】
提供される商品又は役務は、利用期限が設定された期限付き商品である。よって、車両1の利用時間帯のみ、簡便に保険を効果的にカバーすることができる。通知部29は、車両1の使用が延長された場合、商品の利用期限を、その延長に合わせて更新する。よって、車両1の使用を、予約時間を超えて継続する場合に、商品の利用期限が自動で更新されるので、商品の利用期限の延長手続きにかかる手間を軽減することができる。
【0054】
商品は、車両1の保険商品である。よって、車両1を他ユーザに貸与する場合に、車両保険への加入を簡便に案内することができる。また、保険の加入忘れを生じ難くすることもできる。
【0055】
通知部29によって提供される商品は、車両1の予約時間を基に適用時間が設定されている。よって、車両1の予約時間を流用して、車両1を貸し出す相手にとって最適な商品を適宜設定することができる。
【0056】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・販売対象とする商品は、保険(車両保険)に限定されず、例えば雪山用アイテム、タイヤ、キャリア、登山アイテム、海水浴アイテム、ドライブアイテム、音楽、映画等としてもよい。
【0057】
・商品提供は、情報処理装置8を経由して実行されることに限定されず、例えば店舗端末27から他ユーザ端末6bに直接出力されてもよい。
・商品は、操作対象24の貸し出しを許可する前に実施されることに限らず、例えば操作対象24の貸し出し後に実施されてもよい。
【0058】
・情報処理装置8及び店舗端末27は、別々に設けられることに限らず、一体としてもよい。
・他ユーザ端末6bへの鍵情報配信は、商品購入を条件とすることに限らず、商品購入がなくとも、鍵情報配信を許可してもよい。
【0059】
・情報処理装置8は、サーバでもよい。
・ネットワーク通信は、例えば4Gに限定されず、今後普及が見込まれる5Gなどを適用してもよい。また、ネットワーク通信は、例えば無線LAN等の中継器を介した通信も含む。
【0060】
・第2鍵情報Dk2において、第1鍵情報Dk1とは異なる情報とは、車両1の使用の制限を含む情報に限定されず、第1鍵情報Dk1に対して、少なくとも一部分が異なる情報を有するものであればよい。
【0061】
・鍵情報Dk(第1鍵情報Dk1、第2鍵情報Dk2)は、暗号化されたデータ列であればよい。
・他ユーザ端末6bに付与される第2鍵情報Dk2は、例えば予約時間が過ぎた場合、自動で消去されることが好ましい。
【0062】
・第2鍵情報Dk2に設定された使用制限は、時間的な制限に限定されず、例えば車両1のエンジン始動回数制限、速度制限、走行距離制限などを適用してもよい。
・認証装置9は、電子キーシステム4と無線により接続されることに限らず、有線によって接続されてもよい。
【0063】
・認証装置9は、電子キーシステム4(システム装置5)と別部材となっていることに限定されず、例えばシステム装置5(電子キーシステム4の認証を主管理する照合ECU)と一体となっていてもよい。
【0064】
・認証装置9は、キー機能を有する携帯端末6と無線による認証が可能であり、かつ車載された電子キーシステム4を通じて車両1を作動させることが可能なデバイスであればよい。
【0065】
・携帯端末6及び認証装置9の無線通信(近距離無線通信)は、ブルートゥースに限定されず、他の通信方式に変更してもよい。
・携帯端末6及び認証装置9の通信の周波数は、種々の周波数を使用することができる。
【0066】
・無線認証機能(認証システム7)は、車両1側に設けた認証装置9と携帯端末6とが無線によって認証(ユーザ認証)する機能であればよい。
・電子キーシステム4は、スマート照合システムに限定されず、電子キー2と無線を通じて認証を行うシステムであればよい。
【0067】
・電子キーシステム4は、例えばブルートゥース通信を通じて電子キー2とID照合する態様としてもよい。
・携帯端末6は、高機能携帯電話以外の種々の端末が適用できる。また、ユーザ端末6a及び他ユーザ端末6bは、同じ端末に限定されず、形式や構造等が異なる端末としてもよい。
【0068】
・サービスは、カーメンテナンスサービスに限定されず、操作対象24の種類に応じて種々のサービスが適用可能である。
・通知部29は、店舗端末27に設けられることに限らず、例えば情報処理装置8や他サーバなど、別の場所に設けられてもよい。
【0069】
・商品や役務が通知される他ユーザは、車両1が貸し出された者に限定されず、自身の携帯端末6で車両1を使用できるようになった者であればよい。
・第2鍵情報Dk2が配信される携帯端末6は、他ユーザ端末6bに限定されず、車両1を使用する者が所持する携帯端末6であればよい。
【0070】
・操作対象24は、車両1に限定されず、例えば自動二輪車、自転車など、他の対象に変更してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例ら把握できる技術的思想について記載する。
【0071】
(イ)前記サービス提供システムにおいて、前記商品又は前記役務は、利用期限が設定された期限付き商品であり、前記通知部は、前記操作対象の使用が延長された場合、前記商品又は前記役務の利用期限を、前記延長に合わせて更新することが好ましい。
【0072】
(ロ)前記サービス提供システムにおいて、前記商品又は前記役務は、車両の保険商品であることが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
1…車両、6…携帯端末、6a…ユーザ端末、6b…他ユーザ端末、7…認証システム、9…認証装置、22…第1配信部、24…操作対象、25…サービス提供システム、29…通知部、31…第2配信部、Dk…鍵情報、Dk1…第1鍵情報、Dk2…第2鍵情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6