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特許7223602ロールアイロナー及びロールアイロナーの設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ロールアイロナー及びロールアイロナーの設置構造
(51)【国際特許分類】
   D06F 61/10 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
D06F61/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019038197
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020141714
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517260700
【氏名又は名称】アイナックス稲本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】西蔵 克弘
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-023778(JP,A)
【文献】特開2014-033918(JP,A)
【文献】実公昭36-029102(JP,Y1)
【文献】特開2012-152337(JP,A)
【文献】特開2014-050642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 61/00-67/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先頭シリンダ及び最終シリンダを含む4本以上の加熱シリンダの全てが同一の筐体内に配置され、洗濯物の一方の面をアイロン掛けする加熱シリンダと当該シリンダに隣接して他方の面をアイロン掛けする加熱シリンダとの対からなるシリンダ対の洗濯物通路の上流側の全ての対がそれらの下流側の対の直上方に配置されている、カレンダ式ロールアイロナー。
【請求項2】
洗濯物の投入口と排出口が前記筐体の同一の側に設けられている、請求項1記載のロールアイロナー。
【請求項3】
前記筐体が上下方向に複数のユニットに分割可能で、各ユニット内で隣接する加熱シリンダは、その下端が隣接する加熱シリンダの上端より下にして配置され、前記筐体の分割面を挟んで隣接する加熱シリンダは、上方のユニット側の加熱シリンダの下端が下方のユニット側の加熱シリンダの上端より上になるように配置されている、請求項1又は2記載のロールアイロナー。
【請求項4】
前記筐体の分割面を挟んで隣接する2本の加熱シリンダからなるシリンダ対の加熱シリンダ間の水平方向の間隔が、当該シリンダ対における加熱シリンダと同一の上下関係で配置された加熱シリンダからなるいずれかの前記ユニット内のシリンダ対の加熱シリンダ間の水平方向の間隔より広い、請求項3記載のロールアイロナー。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載のロールアイロナーが、当該アイロナーを設置した建物の階の上階の床を貫通して、洗濯物の投入口が前記上階に開口するようにして設置されている、カレンダ式ロールアイロナーの設置構造。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載のロールアイロナーの設置空間を画定する仕切壁を備え、当該設置空間の上部に換気装置を備えている、カレンダ式ロールアイロナーの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、業務用の洗濯設備に関し、洗濯物の仕上げラインに設けられるカレンダ式ロールアイロナー(以下、「ロールアイロナー」と略称する。)及び当該ロールアイロナーの設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院などで使用されるリネン品を多量に洗濯する洗濯工場では、洗濯後の品物を張り広げて、アイロン掛けし、折り畳むという工程を連続的に自動で行なうための洗濯物の仕上げラインを備えており、洗濯物の品種毎に複数のラインに分けられている場合もある。
【0003】
洗濯物の仕上げラインは、フィーダー、ロールアイロナー、フォルダーと呼ばれる装置で構成されている。フィーダーは、洗濯物を張り広げた後、ロールアイロナーへと自動で投入する装置で、ロールアイロナーは、濡れた洗濯物の乾燥とシワ伸ばしを行う装置、フォルダーは、ロールアイロナーでアイロン掛けされた洗濯物を自動で折り畳む装置である。それぞれの装置は、洗濯物の搬送用のベルトコンベアで繋がっており、フィーダーに洗濯物をセットするという作業を行なうだけで、洗濯物のアイロン掛け、折り畳みまでの工程が連続的に自動で行なわれる。従って、通常運転時はロールアイロナーの操作のために作業者を配置する必要は無い。
【0004】
しかし、フィーダーの前には、洗濯済みの洗濯物の塊りの中から、洗濯物を1枚ずつ引き抜いて、フィーダーに設けられている洗濯物を把持するためのクランプに洗濯物の角部をセットする作業を行なう作業者を配置する必要があり、フォルダーの後ろには、フォルダーから排出された品物の仕分けや梱包作業を行なうための作業者が必要となる。そのため、フィーダー前やフォルダーの後ろには作業スペースが必要である。
【0005】
従来の仕上げラインでは、フィーダー、ロールアイロナー、フォルダーは、同一フロア上に直線的に配置されており、ラインの前後に上記の作業スペースを必要とし、ラインの全長が長くなるため、十分な作業スペースを確保することが困難となっていた。洗濯済みリネンの塊りから洗濯物を1枚ずつを引き抜いてフィーダーに供給するという作業を自動で行なう装置の開発も進められているが、そのような装置を設置するためには、フィーダーの前に設置スペースを確保する必要がある。
【0006】
これらの問題に鑑み、本願出願人は、特許文献1において、ロールアイロナーの装置長さを低減する構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014‐23778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ロールアイロナーでは、本願出願人が特許文献1で提案したように、複数の加熱シリンダの一部を上下に配置した構造とすることで、設置床面積を小さくすることが可能である。しかし、仕上げラインでは、各装置の間の乗り移りの箇所で、洗濯物にシワや型崩れなどを発生させないよう配慮する必要があり、装置への洗濯物の投入口の高さが高くなると、ロールアイロナーの入口に洗濯物を挟持して鉛直方向に搬送する給送ベルトを備えるなどの必要があり、搬送経路が複雑となり、高速処理を行う場合、型崩れやつまりなどを発生させるおそれがあるという問題があった。
【0009】
また、ロールアイロナーでは、蒸気やガスなどの熱源を使用して濡れた洗濯物の乾燥が行われるため、ロールアイロナーから出る熱と湿気によって、作業場全体の温度と湿度が上昇し、フィーダー前やフォルダーの後ろにいる作業者は、高温高湿度環境下で作業を行なわなければならなかった。
【0010】
ロールアイロナーの上面全体を覆うフードと、フード内の空気を排出する排気ファンを取り付けて、ロールアイロナー上部から出る湯気やリントを外部に排出する方法があるが、装置の前後や側面からの放熱を抑えることは困難であった。また、ロールアイロナーが設置されているライン全体の設置床面積が広範囲に及ぶため、空調によって、作業者のいる作業場全体の温度、湿度を適切に管理することが困難であった。
【0011】
この発明は、これらの問題を解決すること、すなわち、ロールアイロナーの設置床面積をより小さくすることを第1の課題としており、更に、高速処理を可能にしつつ洗濯物仕上げラインの機器配置の自由度を大きくすること及び洗濯物仕上げラインで働く作業者の作業環境を改善することを第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決したこの発明のロールアイロナーは、装置内の洗濯物通路の最初に位置する先頭シリンダ1a及び洗濯物通路の最後に位置する最終シリンダ1zを含む4本以上の加熱シリンダ1の全てが背の高い同一の筐体21内に配置されている。
【0013】
装置内の洗濯物通路に沿って洗濯物の一方の面と他方の面をアイロン掛けする隣接する2個の加熱シリンダ1aと1b、1bと1c、1cと1d・・・の各シリンダ対は、各シリンダ対の2個の加熱シリンダを洗濯物の投入口22側から見て前後方向にして、洗濯物通路における洗濯物の移送方向の上流側の全てのシリンダ対がそれらの下流側のシリンダ対の略直上となる位置に配置されている。
【0014】
ロールアイロナーを上記の構造とすることで、加熱シリンダ1を水平方向に配置された同一処理能力の従来のロールアイロナーに比べて、ロールアイロナー単体の設置床面積を半分程度に削減することができる。また、機械からの放熱を受けた外気が面積の狭い平面内の空間を上昇してゆくため、換気装置を小型にでき、作業スペースの環境改善も容易になる。
【0015】
また、上階(通常は2階又は中2階)の床を貫通する設置空間31にロールアイロナーAを設置し、洗濯物の投入口22が上階に開口し、排出口23がロールアイロナーの設置階(通常は1階)に開口するようにすれば、フィーダーBの洗濯物出口の高さとロールアイロナーAの先頭シリンダ1aの入口高さの差を小さくできる。従って、投入コンベア2の構造を従来機と同一構造にすることができ、投入コンベアでの洗濯物の型崩れやつまりなどを発生させることなく、高速での処理が可能となる。
【0016】
加熱シリンダ1の数を奇数本とするか、洗濯物通路中に洗濯物の送り方向を反転させる反転コンベア3、7を設けて、投入口22と排出口23を筐体21の同一の側に設けることができる。
【0017】
そして、洗濯物の投入口22が上階2FLに開口し排出口23がロールアイロナーの設置階1FLに開口して、フィーダーBをロールアイロナーAの設置階より上階に設置することで、ロールアイロナーAの前後に配置されるフィーダーBやフォルダーC等の装置を上階と設置階とに分けて配置することができ、洗濯工場における仕上げラインの装置設置面積を大幅に低減することができ、フィーダー前やフォルダー後の作業スペースSB、SCを広く取ることも容易となる。
【0018】
更に、フィーダーBとロールアイロナーA、及びフォルダーCとロールアイロナーAの間に仕切壁32を設け、仕切壁32に洗濯物が容易に通過できる大きさ又はフィーダーBやフォルダーCの装置幅及び装置高さと同程度の開口33、34を設け、設置空間31の上部に換気装置35を設置することにより、ロールアイロナーAの加熱シリンダ1の熱と湿気が、フィーダーBやフォルダーC側に流れないようにすることができ、作業環境を改善できる。
【0019】
この発明のロールアイロナーは、背の高い筐体21を備えることとなるため、搬送及び洗濯工場への据付や保守管理の便宜のため、筐体21を上下方向に複数のユニットに分割可能とするのが好ましい。この場合には、筐体21の分割面21cを挟んで隣接する加熱シリンダ、例えば第1実施例の第4シリンダ1dと第5シリンダ1eは、上方ユニット側の加熱シリンダ1dの下端が下方のユニット側の加熱シリンダ1eの上端より上になるように配置することで、分割可能にすることにより装置構造が複雑になるのを回避することができる。
【0020】
同様な理由により、筐体21を分割可能な構造としたときは、筐体21の分割面21cを挟んで隣接する2本の加熱シリンダ、上記の例における加熱シリンダ1dと1e間の水平方向の間隔を、当該加熱シリンダ1d、1eと同一の上下関係で配置された分割面を挟んでいない2本の加熱シリンダ、例えば上記例の加熱シリンダ1b、1c間の水平方向の間隔より広くするのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明により、同一階に広い床面積を確保することが困難な工場であっても、処理能力の高い洗濯物の仕上げラインを設置することが可能となり、フィーダーや、フォルダーの周辺に省人化のための設備を設置することが容易となる。
【0022】
また、設置面積を大幅に低減できることから、例えば、洗濯物の品質を上げるために、汚れた洗濯物を受け入れて洗濯する汚染しやすい区域の機器と洗濯済の洗濯物を折り畳んで出荷する清浄な区域の機器とを離して設置したいような場合に、ロールアイロナーより洗濯ラインの上流側と下流側の機器を2階と1階に分けて配置するなど、それぞれの工場の敷地や建物の配置に応じた洗濯ラインや仕上げラインのレイアウトの自由度が増えるという効果がある。
【0023】
更に、従来、ロールアイロナーを、工場内の中心に配置する必要があり、レイアウト上の制約があったが、洗濯物の投入口と排出口とを同じ側に設けることが容易に可能となるため、ロールアイロナーを壁際に設置するなど、デットスペースとなっていた箇所の有効利用が可能となる。
【0024】
また、フィーダーやフォルダー周辺の作業環境の向上となり、作業者のいる作業場全体を空調によって温度、湿度を適切に管理することが容易となる。
【0025】
更に、この発明のロールアイロナーは、装置の前後方向に配置される2個の加熱シリンダを対にして全てのシリンダ対を上下に配置したので、洗濯物の通路を規定して上下のベルト間で洗濯物の受け渡しも行う搬送ベルトの全てが装置筐体の前側と後側に位置することとなるため、各加熱シリンダや搬送ベルト周りへ装置の前後から容易にアクセスでき、異常発生時の復旧作業や保守点検作業が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】6本の加熱シリンダを備えたロールアイロナーの実施例を示す側面図
図2図1のロールアイロナーを2階の床面を貫通する設置空間に設置した例を示す模式的な側面図
図3】反転コンベアを入口側に設けたロールアイロナーの例とその設置構造を示す模式的な側面図
図4】シリンダ数を奇数本としたロールアイロナーの例とその設置構造を示す模式的な側面図
図5】洗濯物を投入口の反対側に排出するロールアイロナーの例とその設置構造を示す模式的な側面図
図6図1のロールアイロナーの2台を背中合わせに設置した例を示す模式的な側面図
図7】10本の加熱シリンダを備えたロールアイロナーの例とその設置構造を示す模式的な側面図
図8】チェスト式ロールアイロナーとこの発明のロールアイロナーとを備えた仕上げラインの例とその設置構造を示す模式的な側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、6本の加熱シリンダ1(1a~1z)を備えたこの発明のロールアイロナーの実施例を示した図である。ロールアイロナーの筐体21内には、2本を一対とする3対6本の加熱シリンダ1(1a~1z)と搬送ベルト4(4a~4z)が配置されている。洗濯物の投入口22には、投入コンベア2が設けられ、排出口23には反転排出コンベア3が設けられている。投入口22から投入された洗濯物(リネン類)は、その表裏をシリンダ1の表面に順次押接されてアイロン掛けされ、投入口22と同一の側に設けた排出口23から装置外へと排出される。
【0028】
図1に示すロールアイロナーは、装置の搬送や据付時の便宜のために、先頭シリンダ1a~第4シリンダ1d及びこれらのシリンダと協働する先頭搬送ベルト4a~第4搬送ベルト4dを配置した上方ユニット21aと、第5シリンダ1eと最終シリンダ1z及びこれらと協動する第5搬送ベルト4eと最終搬送ベルト4z並びに反転排出コンベア3を配置した下方ユニット21bとに分割可能である。
【0029】
加熱シリンダ1は、対となる2本のシリンダで洗濯物の表裏をアイロン掛けする。6本すなわち3対のシリンダ1a~1zを備えた装置では、洗濯物の表裏が3回ずつアイロン掛けされる。各シリンダ対の洗濯物通路の上流側に位置する先頭、第3及び第5シリンダ1a、1c、1eは、筐体21の洗濯物投入口22を設けた側から見て、各対の洗濯物通路の下流側に位置する第2、第4及び最終シリンダ1b、1d、1zの奥側上方に位置するように配置されている。そして、各シリンダへの洗濯物の当接長さを長くするために、第2、第4及び最終シリンダ1b、1d、1zの上端を、第1、第3及び第5シリンダ1a、1c、1eの下端より高い位置とし、更に第3シリンダ1cの上端を第2シリンダ1bの下端より高い位置としている。
【0030】
3対のシリンダ対は、洗濯物通路の上流側の対が直上に位置し、洗濯物通路の下流側の対が直下に位置するようにして、上下に配置されている。図示実施例の場合、第4シリンダ1dと第5シリンダ1eとの間で筐体21を分割面21cで分割可能とするため、第4シリンダ1dと第5シリンダ1eの前後(図の左右方向)及び上下間隔を広くしており、第5シリンダ1eは、第3シリンダ1cの直下より後方(図の右側)にズレた位置となっている。
【0031】
各対の加熱シリンダ1は、すべて同一径で、これらに固定したスプロケットに巻回された図示しないチェーンを介して、周速が排出口23側の対ほど早くなるようにして、一個の減速機付きモータで同期駆動されている。
【0032】
装置に洗濯物を投入する投入コンベア2は、投入口22を通ってフィーダーB(図2参照)から先頭シリンダ1aの入口にまで伸びている。含水率の大きな洗濯物をプレスする先頭シリンダ1aと第2シリンダ1bの入口には、それぞれプレスロール9、17が設けられている。
【0033】
各シリンダ1a~1zに洗濯物を押接する搬送ベルト4a~4zは、張力調整ローラ11(11a~11z)で付与されている張力により、入口ローラ5(5a~5z)を通過した直後の位置で各シリンダ1(1a~1z)の周面に押接され、各シリンダ1から離れた後、洗濯物を次の加熱シリンダの入口又は反転排出コンベア3へと導く出口ローラ6(6a~6z)で折り返されて、張力調整ローラ11(11a~11z)を含む案内ローラ群(符号なし)を経由して、入口ローラ5へと戻っている。図で、二重丸で示したローラは、搬送ベルト4の蛇行を防止する鍔を備えた鍔付きローラである。
【0034】
反転排出コンベア3は、最終搬送ベルト4zの出口ローラ6zから送り出された洗濯物を当該ローラ6zに近接して設けた入口ローラ15との間で挟んだ状態で反転し、最終搬送ベルト4zの周回路に設けた案内ローラ12zと13zとの間で最終搬送ベルト4zから徐々に離れて出口ローラ16から案内ローラ12、13及び張力調整ローラ14を通って入口ローラ15へと戻る。
【0035】
投入口22から装置に投入された洗濯物は、投入コンベア2で先頭シリンダ1aの入口に送り込まれ、表面(下面)がプレスロール9で先頭シリンダ1aに押接され、入口ローラ5aと出口ローラ6aとの間で搬送ベルト4aにより先頭シリンダ1aに押接されて表面がアイロン掛けされ、第2シリンダ1bの上部へと搬送される。次に洗濯物の裏面が、プレスロール17で第2シリンダ1bに押接され、入口ローラ5bと出口ローラ6bとの間で第2搬送ベルト4bにより第2シリンダ1bに押接されて裏面がアイロン掛けされて第3シリンダ1cの上部へと搬送される。
【0036】
そして、入口ローラ5c、5dと出口ローラ6c、6dの間で表裏面がそれぞれ第3シリンダ1cと第4シリンダ1dに押接されて、2回目のアイロン掛けがされ、同様にして入口ローラ5e、5zと出口ローラ6e、6zの間で表裏面がそれぞれ第5シリンダ1eと最終シリンダ1zに押接されて、3回目のアイロン掛けされて反転排出コンベア3に送り出される。
【0037】
反転排出コンベア3は、送り込まれた洗濯物を入口ローラ15との間で挟んで送り方向を反転し、案内ローラ12zから出口ローラ16へと送って排出口23から機外に排出され、フォルダーC(図2参照)へ送り込まれる。
【0038】
図2は、図1のロールアイロナーAを備えた洗濯物の仕上げラインを模式的に示した図で、Aはロールアイロナー、21cはその筐体21の分割位置、Bはフィーダー、Cはフォルダーであり、1FLは工場の1階の床面、2FLは2階の床面、Wは工場の壁、32はアイロナーAの設置空間を仕切る仕切壁である。図に示すように、フィーダーBは工場の2階に設置され、フォルダーCは1階に配置され、アイロナーAの設置空間31及び仕切壁32は、2階の床を貫通して設けられている。仕切壁32には、フィーダーBからアイロナーAへ洗濯物を搬送する投入コンベア及びアイロナーAからフォルダーCに洗濯物を搬送する搬出コンベアが通る開口33、34が設けられている。
【0039】
この図に示すように、アイロナーの設置空間31を工場の壁W側に設け、フィーダーBを工場の2階に設置し、フォルダーCを1階に設置することにより、フィーダーBの手前に広い作業スペースSBを確保でき、フォルダーCの後方(仕上げラインの後方)に広い配送スペースSCを設けることができるから、ロールアイロナーAの設置面積を小さくできるばかりでなく、フィーダーBとフォルダーCとの上下配置及び作業スペースSBと配送スペースSCとの上下配置により、工場の設置床面積を大幅に減少させることができる。
【0040】
更にフィーダーBやフォルダーCを設置した空間と、ロールアイロナーAを設置した空間との間に洗濯物を搬送する洗濯物が通過する開口33、34を設けた仕切壁32を設けてアイロナーAの設置空間31を区画し、その上方に換気装置35を設けることにより、ロールアイロナーAで発生する熱や湿気を作業スペースSBや配送スペースSCに伝達されないようにすることができ、これらの作業スペースにおける作業環境を改善することが容易に可能になる。
【0041】
加熱シリンダ1を偶数本設けたアイロナーでは、図1、2に示すように、最終シリンダ1zの下に反転排出コンベア3を設けるか図3に示すように、先頭シリンダ1aの入口側に反転投入コンベア7を設ける必要がある。なお、図3以降の図面では、図2と同一の部材に図2と同一の符号を付して、図から明らかな装置配置上の詳細な説明は省略している。
【0042】
加熱シリンダ1によるアイロン掛けは、洗濯物の表と裏を同じ回数だけアイロン掛けする必要は必ずしもなく、図4に示すように、加熱シリンダ1を奇数本として表面側のアイロン掛けを裏側より1回多くするシリンダ配置が可能である。このようにした場合には、反転排出コンベアや反転投入コンベアを設けなくても洗濯物の投入口22と排出口23とを筐体21の同一の側に設けることができる。
【0043】
勿論、図5に示すように、ロールアイロナーの一方の側から洗濯物を投入し反対の側から洗濯物を排出する構造にしたロールアイロナーとすることもでき、敷地面積の広い工場においても、ロールアイロナーより上流側の洗濯ラインと下流側の仕上げラインとを、同一の建物の一方の側と他方の側、隣接する建物の一方と他方、あるいは1階と2階とに分けて配置したい場合などに採用することができる。
【0044】
複数の仕上げラインを備えた洗濯工場では、図6に示すように、工場の中央部に設けた設置空間31に2台のロールアイロナーを背中合わせに配置する構造も可能である。一つの設置空間31に複数のロールアイロナーを設置すれば、換気装置35も1個で済むという利点がある。
【0045】
工場が3階建でフォルダーを1階にフィーダーを3階に設置したいという要望や、より多いシリンダを備えたアイロナーを用いたいという要望がある場合には、図7に示すように、アイロナーの筐体の高さを高くして当該筐体内により多くの加熱シリンダを上下方向に配置した構造が可能である。図7の例ではアイロナーは10本の加熱シリンダを備えており、筐体21を第2シリンダ1bと第3シリンダ1cの間、及び第6シリンダ1fと第7シリンダ1gとの間で3分割する構造としている。
【0046】
図7に示したアイロナーの分割面21c、21dは、それぞれ2階と3階の床面2FL、3FLに近い高さとなっている。このように分割位置を床面に近い高さにした場合、アイロナーのメンテナンス作業が容易になるという利点がある。
【0047】
仕上げラインの構成の一つとして、ロールアイロナーとしてチェスト式ロールアイロナーDとカレンダ式ロールアイロナーAとの2種類のロールアイロナーを直列配置する場合がある。このような場合には、図8に示すように、フィーダーB及びチェスト式ロールアイロナーDを2階に設置し、仕切壁32a、32bをロールアイロナーAとチェスト式ロールアイロナーDとの両方がアイロナー設置空間31に配置されるように設けてやればよい。
【0048】
カレンダ式ロールアイロナーAの前段にチェスト式ロールアイロナーDを設ける構造であれば、カレンダ式ロールアイロナーAのシリンダ数は少なくてよいので、図8のカレンダ式ロールアイロナーAは、シリンダ数を4個としている。シリンダ数が4個程度のロールアイロナーであれば、筐体21を分割構造にする必要性は少ない。
【符号の説明】
【0049】
1(1a~1z) 加熱シリンダ
2 投入コンベア
3 反転排出コンベア
7 反転投入コンベア
21 筐体
21c 分割面
22 投入口
23 排出口
31 設置空間
32 仕切壁
33、34 開口
35 換気装置
A ロールアイロナー
B フィーダー
C フォルダー
SB、SC 作業スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8