IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

特許7223609処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法
<>
  • 特許-処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法 図1
  • 特許-処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法 図2
  • 特許-処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法 図3
  • 特許-処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230209BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20230209BHJP
   H02P 8/24 20060101ALI20230209BHJP
   H02P 8/14 20060101ALI20230209BHJP
   H02P 8/36 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
F16K31/04 Z
H02P8/24
H02P8/14
H02P8/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019053369
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155620
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】門間 徹
(72)【発明者】
【氏名】森田 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194080(JP,A)
【文献】特開2006-170361(JP,A)
【文献】特開2005-351308(JP,A)
【文献】特開2005-54954(JP,A)
【文献】特開2004-327775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
F16K 31/04
H02P 8/24
H02P 8/14
H02P 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給する処理液供給装置であって、
基板に供給されるべき処理液が流通する処理液流路と、
弁座および弁体を含み、前記処理液流路に設けられる開閉弁と、
前記開閉弁を開状態と閉状態とに切り替えるステッピングモータと、
前記ステッピングモータに駆動パルスを供給する駆動部と、
前記ステッピングモータの回転に応答して検出パルスを出力するエンコーダと、
前記エンコーダにより出力される検出パルスに基づいて前記駆動部を制御する制御部とを含み、
前記開閉弁は、前記開状態から前記閉状態への切り替わり時に、前記駆動部により供給される前記駆動パルスに応答して前記ステッピングモータが回転することにより、前記弁体が前記弁座に向かって移動するように構成され、
前記制御部は、前記開閉弁の前記開状態から前記閉状態への切り替え時に、前記ステッピングモータに連続的に前記駆動パルスが供給されるように前記駆動部を制御し、前記ステッピングモータへの連続的な前記駆動パルスの供給に応答して前記エンコーダから連続した規定数の検出パルスが出力されない場合に、前記駆動パルスの供給が停止されるように前記駆動部を制御する、処理液供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記開状態における前記弁体の移動の開始時から前記駆動パルスの供給の停止時点よりも前の電流切替時点までに供給される前記駆動パルスの電流値が、前記電流切替時点から前記駆動パルスの供給の停止時点までに供給される前記駆動パルスの電流値よりも大きくなるように前記駆動部を制御する、請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開閉弁の前記開状態から前記閉状態への切り替わり時に、前記ステッピングモータへの連続的な前記駆動パルスの供給が予め設定された時間継続された場合に異常の発生を判定する、請求項1または2記載の処理液供給装置。
【請求項4】
基板に処理液を供給する処理液供給装置の制御方法であって、
前記処理液供給装置は、
基板に供給されるべき処理液が流通する処理液流路と、
弁座および弁体を含み、前記処理液流路に設けられる開閉弁と、
前記開閉弁を開状態と閉状態とに切り替えるステッピングモータと、
前記ステッピングモータに駆動パルスを供給する駆動部と、
前記ステッピングモータの回転に応答して検出パルスを出力するエンコーダとを含み、
前記開閉弁は、前記開状態から前記閉状態への切り替わり時に、前記駆動部により供給される前記駆動パルスに応答して前記ステッピングモータが回転することにより、前記弁体が前記弁座に向かって移動するように構成され、
前記制御方法は、
前記開閉弁の前記開状態から前記閉状態への切り替え時に、前記ステッピングモータに連続的に前記駆動パルスが供給されるように前記駆動部を制御するステップと、
前記ステッピングモータへの連続的な前記駆動パルスの供給に応答して前記エンコーダから連続した規定数の検出パルスが出力されない場合に、前記駆動パルスの供給が停止されるように前記駆動部を制御するステップとを含む、処理液供給装置の制御方法。
【請求項5】
前記開状態における前記弁体の移動の開始時から前記駆動パルスの供給の停止時点よりも前の電流切替時点までに供給される前記駆動パルスの電流値が、前記電流切替時点から前記駆動パルスの供給の停止時点までに供給される前記駆動パルスの電流値よりも大きくなるように前記駆動部を制御するステップをさらに含む、請求項4記載の処理液供給装置の制御方法。
【請求項6】
前記開閉弁の前記開状態から前記閉状態への切り替わり時に、前記ステッピングモータへの連続的な前記駆動パルスの供給が予め設定された時間継続された場合に異常の発生を判定するステップをさらに含む、請求項4または5記載の処理液供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に処理液を供給する処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置においては、例えば処理液供給源から配管およびノズルを通して基板に処理液が供給される。配管には開閉弁が設けられる。その開閉弁は、ノズルから処理液を吐出させる開状態とノズルから処理液を吐出させない閉状態とに切り替えられる。
【0004】
特許文献1には、上記の開閉弁を制御するための開閉弁制御装置が記載されている。その開閉弁制御装置においては、開閉弁の弁体が処理液の流路を閉塞する位置が閉止位置として設定される。設定された閉止位置に基づいて、ステッピングモータによる弁体の駆動が行われる。
【0005】
閉止位置として適切な位置は、開閉弁を構成する各種部材の摩耗により変化する可能性がある。そこで、定期的かつ自動的に閉止位置の原点(基準)が設定される。この設定時には、まず、弁体を閉方向に駆動する駆動パルスがステッピングモータに与えられる。次に、ステッピングモータの脱調が検出された後、さらに弁体を閉方向に駆動する所定数の駆動パルスがステッピングモータに供給される。その後、弁体を開方向に駆動する既定数の駆動パルスがステッピングモータに供給される。このようにして、弁体の閉止位置の原点が検索されるとともに、検索された原点が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-348227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1に記載された閉止位置の原点検索方法においては、脱調の発生後、予め定められた数の駆動パルスがステッピングモータに供給される。このとき、ステッピングモータに流れる電流が大きいと、ステッピングモータに大きなトルクが発生し、弁体が弁座に強く押し付けられることになる。そのため、閉止位置の原点検索が頻繁に行われることにより、弁体と弁座との接触部に大きな変形が生じると、開閉弁が短寿命化し、パーティクルが発生する。
【0008】
また、上記の原点検索方法においては、脱調を発生させた後さらに弁体を閉方向および開方向に移動させるために比較的長い時間を要する。
【0009】
さらに、ステッピングモータは、脱調時にロータに作用するトルクが安定する安定点まで回転する。しかしながら、この回転量は常に一定量ではなく、正確に把握することは難しい。そのため、脱調の発生後に予め定められた数の駆動パルスでステッピングモータを動作させるだけでは、必ずしも適切な閉止位置が設定されるとは言い難い。
【0010】
本発明の目的は、開閉弁の短寿命化を抑制しかつ長時間を要することなく開閉弁を適切に閉じることを可能にする処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)第1の発明に係る処理液供給装置は、基板に処理液を供給する処理液供給装置であって、基板に供給されるべき処理液が流通する処理液流路と、弁座および弁体を含み、処理液流路に設けられる開閉弁と、開閉弁を開状態と閉状態とに切り替えるステッピングモータと、ステッピングモータに駆動パルスを供給する駆動部と、ステッピングモータの回転に応答して検出パルスを出力するエンコーダと、エンコーダにより出力される検出パルスに基づいて駆動部を制御する制御部とを含み、開閉弁は、開状態から閉状態への切り替わり時に、駆動部により供給される駆動パルスに応答してステッピングモータが回転することにより、弁体が弁座に向かって移動するように構成され、制御部は、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、ステッピングモータに連続的に駆動パルスが供給されるように駆動部を制御し、ステッピングモータへの連続的な駆動パルスの供給に応答してエンコーダから連続した規定数の検出パルスが出力されない場合に、駆動パルスの供給が停止されるように駆動部を制御する。
【0012】
その処理液供給装置においては、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、ステッピングモータに連続的に駆動パルスが供給される。それにより、駆動パルスに応答してステッピングモータが回転することにより、弁体が弁座に向かって移動する。このとき、ステッピングモータの回転に応答してエンコーダから検出パルスが出力される。
【0013】
その後、弁体が弁座に接触した状態で弁体から弁座に作用する押圧力に対して弁座から弁体に作用する反力が釣り合うと、弁体の動作が停止され、ステッピングモータの回転が停止する。さらに、エンコーダから出力されるべき連続した規定数の検出パルスが出力されなくなると、駆動パルスの供給が停止される。それにより、開状態から閉状態への開閉弁の切り替わりが完了し、処理液流路における処理液の流れが停止する。
【0014】
この場合、ステッピングモータに脱調が生じない範囲で駆動パルスの供給が停止されることにより、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、開閉弁の内部で大きな負荷が発生することが抑制され、開閉弁内部の変形が抑制される。
【0015】
また、上記の動作によれば、弁体が弁座に向かって一方向に移動して停止した状態で弁座に対する弁体の適切な位置決めが行われる。そのため、閉状態において位置決めされるべき弁体の位置を検索するために、弁座に対して弁体を上記の一方向およびその逆方向に移動させる必要がない。
【0016】
さらに、上記の動作によれば、ステッピングモータを脱調させる必要がないので、脱調に起因して弁座に対する弁体の位置ずれが発生することが防止される。
【0017】
これらの結果、開閉弁の短寿命化を抑制しかつ長時間を要することなく開閉弁を適切に閉じることが可能になる。
【0018】
(2)制御部は、開状態における弁体の移動の開始時から駆動パルスの供給の停止時点よりも前の電流切替時点までに供給される駆動パルスの電流値が、電流切替時点から駆動パルスの供給の停止時点までに供給される駆動パルスの電流値よりも大きくなるように駆動部を制御してもよい。
【0019】
この場合、弁体の移動開始時から電流切替時点までに供給される駆動パルスの電流値を大きくすることにより、弁体の移動のために必要なトルクを発生させることができる。それにより、開閉弁を流れる処理液の特性および弁体の動作時に発生する摩擦力等に起因する脱調の発生が防止される。
【0020】
また、電流切替時点から駆動パルスの供給の停止時点までに供給される駆動パルスの電流値を小さくすることにより、閉状態で弁体から弁座に作用する押圧力が過剰に大きくなることが抑制される。それにより、弁体と弁座との接触部に大きな変形が生じることが防止されるとともに、当該接触部からパーティクルが発生することが低減される。
【0021】
(3)制御部は、開閉弁の開状態から閉状態への切り替わり時に、ステッピングモータへの連続的な駆動パルスの供給が予め設定された時間継続された場合に異常の発生を判定してもよい。
【0022】
この場合、異常の発生の判定に基づいて適切なタイミングで部品の交換またはメンテナンスを行うことが可能になる。
【0023】
(4)第2の発明に係る処理液供給装置の制御方法は、基板に処理液を供給する処理液供給装置の制御方法であって、処理液供給装置は、基板に供給されるべき処理液が流通する処理液流路と、弁座および弁体を含み、処理液流路に設けられる開閉弁と、開閉弁を開状態と閉状態とに切り替えるステッピングモータと、ステッピングモータに駆動パルスを供給する駆動部と、ステッピングモータの回転に応答して検出パルスを出力するエンコーダとを含み、開閉弁は、開状態から閉状態への切り替わり時に、駆動部により供給される駆動パルスに応答してステッピングモータが回転することにより、弁体が弁座に向かって移動するように構成され、制御方法は、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、ステッピングモータに連続的に駆動パルスが供給されるように駆動部を制御するステップと、ステッピングモータへの連続的な駆動パルスの供給に応答してエンコーダから連続した規定数の検出パルスが出力されない場合に、駆動パルスの供給が停止されるように駆動部を制御するステップとを含む。
【0024】
その処理液供給装置の制御方法においては、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、ステッピングモータに連続的に駆動パルスが供給される。それにより、駆動パルスに応答してステッピングモータが回転することにより、弁体が弁座に向かって移動する。このとき、ステッピングモータの回転に応答してエンコーダから検出パルスが出力される。
【0025】
その後、弁体が弁座に接触した状態で弁体から弁座に作用する押圧力に対して弁座から弁体に作用する反力が釣り合うと、弁体の動作が停止され、ステッピングモータの回転が停止する。さらに、エンコーダから出力されるべき連続した規定数の検出パルスが出力されなくなると、駆動パルスの供給が停止される。それにより、開状態から閉状態への開閉弁の切り替わりが完了し、処理液流路における処理液の流れが停止する。
【0026】
この場合、ステッピングモータに脱調が生じない範囲で駆動パルスの供給が停止されることにより、開閉弁の開状態から閉状態への切り替え時に、開閉弁の内部で大きな負荷が発生することが抑制され、開閉弁内部の変形が抑制される。
【0027】
また、上記の動作によれば、弁体が弁座に向かって一方向に移動して停止した状態で弁座に対する弁体の適切な位置決めが行われる。そのため、閉状態において位置決めされるべき弁体の位置を検索するために、弁座に対して弁体を上記の一方向およびその逆方向に移動させる必要がない。
【0028】
さらに、上記の動作によれば、ステッピングモータを脱調させる必要がないので、脱調に起因して弁座に対する弁体の位置ずれが発生することが防止される。
【0029】
これらの結果、開閉弁の短寿命化を抑制しかつ長時間を要することなく開閉弁を適切に閉じることが可能になる。
【0030】
(5)処理液供給装置の制御方法は、開状態における弁体の移動の開始時から駆動パルスの供給の停止時点よりも前の電流切替時点までに供給される駆動パルスの電流値が、電流切替時点から駆動パルスの供給の停止時点までに供給される駆動パルスの電流値よりも大きくなるように駆動部を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0031】
この場合、弁体の移動開始時から電流切替時点までに供給される駆動パルスの電流値を大きくすることにより、弁体の移動のために必要なトルクを発生させることができる。それにより、開閉弁を流れる処理液の特性および弁体の動作時に発生する摩擦力等に起因する脱調の発生が防止される。
【0032】
また、電流切替時点から駆動パルスの供給の停止時点までに供給される駆動パルスの電流値を小さくすることにより、閉状態で弁体から弁座に作用する押圧力が過剰に大きくなることが抑制される。それにより、弁体と弁座との接触部に大きな変形が生じることが防止されるとともに、当該接触部からパーティクルが発生することが低減される。
【0033】
(6)処理液供給装置の制御方法は、開閉弁の開状態から閉状態への切り替わり時に、ステッピングモータへの連続的な駆動パルスの供給が予め設定された時間継続された場合に異常の発生を判定するステップをさらに含んでもよい。
【0034】
この場合、異常の判定に基づいて適切なタイミングで開閉弁の交換またはメンテナンスを行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、開閉弁の短寿命化を抑制しかつ長時間を要することなく開閉弁を適切に閉じることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的ブロック図である。
図2図1の現像ユニットに対応する処理液供給装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3図2の開閉弁における開閉動作の一例を示す図である。
図4図2の弁制御部において実行される開閉弁の開閉制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態に係る処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0038】
(1)処理液供給装置を備える基板処理装置の構成
処理液供給装置を備える基板処理装置について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的ブロック図である。図1に示すように、基板処理装置100は、露光装置500に隣接して設けられ、塗布処理部110、現像処理部120、熱処理部130、搬送部140、制御装置150および複数の開閉弁装置V1,V2を備える。
【0039】
塗布処理部110は、複数の塗布ユニットSCを含む。各塗布ユニットSCは、スピンチャック91および吐出ノズル92を含む。スピンチャック91は、未処理の基板Wを水平姿勢で回転可能に保持する。吐出ノズル92には、基板処理装置100の外部に設けられる塗布液供給源1から、配管p1を通してレジスト液が供給される。吐出ノズル92は、供給されたレジスト液をスピンチャック91により保持された基板Wの上面に吐出する(塗布処理)。それにより、未処理の基板Wの一面上にレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成された基板Wには、露光装置500において露光処理が行われる。
【0040】
なお、塗布処理部110においては、基板Wに反射防止膜が形成されてもよい。この場合、熱処理部130は、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行ってもよい。また、塗布処理部110においては、レジスト膜が形成された基板Wに、レジスト膜を保護するためのレジストカバー膜が形成されてもよい。
【0041】
現像処理部120は、複数の現像ユニットSDを含む。各現像ユニットSDは、塗布ユニットSCと同様に、スピンチャック93および吐出ノズル94を含む。スピンチャック93は、露光装置500による露光処理後の基板Wを水平姿勢で回転可能に保持する。吐出ノズル94には、基板処理装置100の外部に設けられる現像液供給源2から、配管p2を通して現像液が供給される。吐出ノズル94は、供給された現像液をスピンチャック93により保持された基板Wの上面に吐出する(現像処理)。
【0042】
熱処理部130は、塗布処理部110の各塗布ユニットSCによる塗布処理、現像処理部120による現像処理、および露光装置500による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
【0043】
搬送部140は基板Wを搬送する搬送ロボットを有する。搬送部140の搬送ロボットは、基板Wを基板処理装置100の外部に設けられる他の搬送ロボット、塗布処理部110、現像処理部120、熱処理部130および露光装置500の間で搬送する。
【0044】
制御装置150は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、塗布処理部110、現像処理部120、熱処理部130および搬送部140の動作を制御する。
【0045】
塗布処理部110の複数の塗布ユニットSCと塗布液供給源1とをつなぐ複数の配管p1の各々には、基板Wに対するレジスト液の供給および停止を切り替えるための開閉弁装置V1が設けられている。また、現像処理部120の複数の現像ユニットSDと現像液供給源2とをつなぐ複数の配管p2の各々には、基板Wに対する現像液の供給および停止を切り替えるための開閉弁装置V2が設けられている。複数の開閉弁装置V1,V2の各々は、制御装置150の弁制御部200により制御される。
【0046】
図1の基板処理装置100においては、各塗布ユニットSCに対応して設けられる配管p1および開閉弁装置V1と弁制御部200とが処理液供給装置を構成する。また、各現像ユニットSDに対応して設けられる配管p2および開閉弁装置V2と弁制御部200とが処理液供給装置を構成する。
【0047】
(2)処理液供給装置の具体的な構成および動作
図2は、図1の塗布ユニットSCに対応する処理液供給装置の構成を説明するためのブロック図である。図2に示すように、処理液供給装置300は、配管p1、開閉弁装置V1および弁制御部200を備える。
【0048】
開閉弁装置V1は、開閉弁10、ステッピングモータ20、変換機構30、駆動部40およびエンコーダ50を含む。開閉弁10は、弁箱11を有する。弁箱11には、内部空間が形成されている。その内部空間の一部は、処理液(本例ではレジスト液)の流路を形成する流路空間11aとして、ダイアフラム12により区画されている。また、弁箱11には、流路空間11aに連通する流入ポート11bおよび流出ポート11cが設けられている。流入ポート11bおよび流出ポート11cに配管p1が接続されている。
【0049】
ダイアフラム12は、例えばフッ化樹脂またはゴムにより形成されている。ダイアフラム12の中央部分は弁体12aとして機能する。弁箱11の内部には、流路空間11aを挟んで弁体12aに対向するように弁座11sが形成されている。弁座11sは、流路空間11a内の処理液(本例ではレジスト液)を流出ポート11cに導くための開口11oを有する。弁体12aが弁座11sに対して一方向またはその逆方向に移動することにより、開口11oの開閉が可能となっている。以下、弁体12aが弁座11sから離れた位置から弁座11sに向かって近づく方向を閉方向と呼び、その逆方向を開方向と呼ぶ。弁箱11の内部には、さらに弁棒13が設けられている。弁棒13は、弁体12aに接続されるとともに弁体12aから開方向に延びている。
【0050】
本例のステッピングモータ20は、例えば二相型のステッピングモータであり、弁棒13により弁体12aを移動させて開閉弁10の開閉状態を切り替えるための動力源として用いられる。なお、ステッピングモータ20としては、三相型または五相型のステッピングモータが用いられてもよい。
【0051】
変換機構30は、例えばラック&ピニオン機構を含み、ステッピングモータ20において発生される回転力を、弁棒13を閉方向または開方向に移動させる力に変換する。また、変換機構30は、弁棒13に対して閉方向または開方向に作用する力を、ステッピングモータ20の回転軸を一方向またはその逆方向に回転させる力に変換する。
【0052】
駆動部40は、図示しない直流電源に接続され、後述する弁制御部200の制御に基づいてステッピングモータ20に駆動パルスを供給する。それにより、ステッピングモータ20は、供給された駆動パルスの数に応じた角度分一方向またはその逆方向に回転する。
【0053】
エンコーダ50は、ロータリエンコーダであり、ステッピングモータ20のロータ(図示せず)の回転量を検出し、その検出信号としてパルス信号(以下、検出パルスと呼ぶ。)を出力する。例えば、一の駆動パルスがステッピングモータ20に供給されることによりステッピングモータ20がその駆動パルスに対応する角度分回転すると、エンコーダ50は一の検出パルスを出力する。一方、一の駆動パルスがステッピングモータ20に供給されても、ステッピングモータ20が回転しない場合、エンコーダ50は検出パルスを出力しない。
【0054】
弁制御部200は、異常判定部210、切替判定部220、パルス制御部230、電流調整部240および設定記憶部250を含む。これらの機能部は、例えば図1の制御装置150のCPUがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、上記の構成の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0055】
弁制御部200の各機能部の動作について、開閉弁10における開閉動作とともに説明する。図3は、図2の開閉弁10における開閉動作の一例を示す図である。図3の上段に、弁体12aの位置の経時的な変化がグラフによって示される。図3の上段のグラフにおいては、縦軸が弁座11sに対する弁体12aの相対的な位置を表し、横軸は時間を表す。縦軸において、矢印の方向に進むことは弁体12aが開方向に移動することを意味し、矢印の方向と逆の方向に進むことは弁体12aが閉方向に移動することを意味する。図3の下段に、上段のグラフに示される複数の時点t0から時点t5における開閉弁10内部の状態が模式的断面図で示される。
【0056】
本例では、時点t0の初期状態で開閉弁10が閉状態にあるものとする。このときの弁体12aの初期位置は符号ppで示される。弁制御部200には、図1の塗布ユニットSCにおける基板Wへのレジスト液の供給開始時に、開閉弁10の閉状態から開状態への切り替えが指令される。また、塗布ユニットSCにおける基板Wへのレジスト液の供給停止時に、開閉弁10の開状態から閉状態への切り替えが指令される。
【0057】
図2の設定記憶部250には、開閉弁10を閉状態から開状態に切り替えるために予め設定された駆動パルスの数(以下、開パルス数と呼ぶ。)mが記憶されている。開パルス数mは例えば400である。また、設定記憶部250には、開閉弁10を閉状態から開状態に切り替えるために予め設定された駆動パルスの第1の電流値が記憶されている。第1の電流値は、開閉弁10を流れる処理液(本例ではレジスト液)の特性および弁体12aの移動時に発生する摩擦力を考慮して、ステッピングモータ20に脱調が生じないように比較的大きい値に設定され、例えば0.2(A)である。
【0058】
図3の時点t0で開閉弁10の閉状態から開状態への切り替えが指令されると、パルス制御部230は、弁体12aを開方向へ移動させる駆動パルスをステッピングモータ20に開パルス数m連続的に供給するように駆動部40を制御する。また、電流調整部240は、駆動パルスの電流値が第1の電流値となるように駆動部40を制御する。
【0059】
それにより、時点t0から時点t1にかけて弁体12aが初期の位置ppから開閉弁10の開状態に対応する位置paまで移動する。これにより、開閉弁10を通して配管p1をレジスト液が流通する。
【0060】
設定記憶部250には、開閉弁10を開状態から閉状態に切り替える際に駆動パルスの電流値を切り替えるために予め設定された駆動パルスの数(以下、閉パルス数と呼ぶ。)nが記憶されている。閉パルス数nは、開パルス数m以下である。開パルス数mに対する閉パルス数nの減算値(差分)は、0以上かつ開パルス数mの1/2以下であることが好ましく、0以上かつ10以下であることが好ましい。開パルス数mが400である場合、閉パルス数nは例えば398であってもよい。
【0061】
また、設定記憶部250には、開閉弁10を閉状態から開状態に切り替えるために予め設定された駆動パルスの第2および第3の電流値が記憶されている。第2の電流値は、閉パルス数nの駆動パルスに対応し、第1の電流値と同様にステッピングモータ20に脱調が生じないように比較的大きい値に設定され、例えば0.2(A)である。第2の電流値は第1の電流値と等しくてもよい。一方、第3の電流値は、開閉弁10の閉塞時に弁体12aから弁座11sに作用する押圧力が過剰に大きくならないように第1および第2の電流値よりも低い値に設定され、例えば0.07(A)である。
【0062】
時点t2で開閉弁10の開状態から閉状態への切り替えが指令されると、パルス制御部230は、弁体12aを閉方向へ移動させる駆動パルスをステッピングモータ20に閉パルス数n連続的に供給するように駆動部40を制御する。また、電流調整部240は、閉パルス数nの駆動パルスがステッピングモータ20に供給される間、駆動パルスの電流値が第2の電流値となるように駆動部40を制御する。
【0063】
それにより、閉パルス数nが開パルス数mよりも小さい場合には、時点t2から時点t3にかけて弁体12aが位置ppよりも開方向に一定距離ずれた位置pbまで移動する。
【0064】
時点t3以降、電流調整部240は、開閉弁10が閉状態となるまでの間、駆動パルスの電流値が第3の電流値となるように駆動部40を制御する。
【0065】
ステッピングモータ20が第3の電流値で駆動される際に、弁体12aから弁座11sに作用する押圧力に対して弁座11sから弁体12aに作用する反力が釣り合うと、弁体12aの閉方向への移動が停止される。それにより、駆動部40からステッピングモータ20に駆動パルスが供給される場合でも、エンコーダ50から検出パルスが出力されなくなる。
【0066】
設定記憶部250には、開閉弁10における開状態から閉状態への切り替わりの完了を判定するために予め設定された数kが規定数として記憶されている。切替判定部220は、パルス制御部230による駆動部40の制御状態を監視するとともに、ステッピングモータ20から出力される検出パルスを監視する。これらの監視の結果、切替判定部220は、連続的な駆動パルスの供給に応答してエンコーダ50から連続した規定数kの検出パルスが出力されない場合に、開閉弁10の閉状態への切り替わりが完了したことを判定する。
【0067】
パルス制御部230は、切替判定部220により開閉弁10の閉状態への切り替わりの完了が判定されると、駆動部40からステッピングモータ20への駆動パルスの供給を停止させる。
【0068】
ここで、ステッピングモータ20の回転に対して弁体12aが停止した状態で、弁体12aが閉方向に移動するように所定数の駆動パルスがステッピングモータ20にさらに供給されると、ステッピングモータ20が脱調する。ステッピングモータ20の脱調時には、弁体12aの位置が変動する。この変動量を把握することは難しい。そこで、上記の規定数kは、ステッピングモータ20の脱調が生じないように定められ、本例では2である。
【0069】
図3の例では、時点t3から時点t4にかけて、駆動パルスの供給に応答して弁体12aが閉方向に移動しているが、時点t4でその移動が停止している。その後、時点t5で、開閉弁10の閉状態へ切り替わりの完了が判定されている。
【0070】
上記のようにして、開閉弁10の閉状態への切り替わりが完了すると、ステッピングモータ20の回転角度が保持され、弁体12aの位置が固定される。図3の例では、弁体12aは、初期の位置ppよりも閉方向にわずかにずれた位置pcで固定されている。このことは、開閉弁10が閉状態にあるときの弁体12aの位置が、時点t0の位置ppよりもより適切な位置pcに変更されたことを意味する。これにより、開閉弁10において配管p1における処理液(本例ではレジスト液)の流通が適切に遮断される。
【0071】
開閉弁10が閉状態に切り替えられる際の一連の動作時には、開閉弁10、ステッピングモータ20およびエンコーダ50の何れかに異常が発生することにより、開閉弁10の閉状態への切り替えの完了を正確に判定できない可能性がある。
【0072】
例えば、エンコーダ50において、検出パルスと同様の波形を有するノイズが継続的に発生することにより開閉弁10の閉状態への切り替えの完了が判定されないと、ステッピングモータ20への駆動パルスの供給が停止されない。この場合、ステッピングモータ20に脱調が発生する。あるいは、弁棒13から弁体12aが外れていると、弁棒13が本来停止されるべき位置を超えて移動し、弁座11sに衝突する。
【0073】
そこで、異常判定部210は、開閉弁10の開状態から閉状態への切り替わり時に、連続的な駆動パルスの供給が予め設定された規定時間継続された場合に、異常の発生を判定する。図3の例では、異常判定部210は、例えば時点t3から連続的な駆動パルスの供給が予め定められた規定時間を超えて継続された場合に、異常の発生を判定する。また、異常判定部210は、その判定結果を出力する。この場合、異常の発生の判定に基づいて適切なタイミングで部品の交換またはメンテナンスを行うことが可能になる。
【0074】
なお、処理液供給装置300には、異常判定部210から出力される異常の判定結果を使用者に提示する提示装置(表示装置または音声出力装置等)が設けられてもよい。この場合、使用者は、開閉弁装置V2における異常の発生を容易に把握することができる。
【0075】
図1の現像ユニットSDに対応する処理液供給装置は、図3および図4の処理液供給装置300と基本的に同じ構成および動作を有する。
【0076】
(3)開閉弁10の開閉制御処理
図4は、図2の弁制御部200において実行される開閉弁10の開閉制御処理の一例を示すフローチャートである。開閉制御処理は、弁制御部200に開閉弁10の開閉状態の切り換えの指令が与えられることにより開始される。以下の説明において、弁制御部200には、カウンタが内蔵されているものとする。また、弁制御部200には、タイマが内蔵されているものとする。
【0077】
まず、パルス制御部230は、開始時に与えられた指令が、開閉弁10を開状態から閉状態に切り換える指令であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0078】
開始時の指令が開状態から閉状態への切り替え指令である場合、パルス制御部230および電流調整部240は、閉パルス数nの駆動パルスが第2の電流値でステッピングモータ20に連続的に供給されるように、駆動部40を制御する(ステップS12)。このときステッピングモータ20に供給される駆動パルスは、弁体12aの閉方向の移動に対応する。それにより、弁体12aが比較的高いトルクで閉方向に移動する。また、切替判定部220は、カウンタの値をリセットするとともにタイマをリセットし、タイマによる時間計測を開始する(ステップS13)。
【0079】
次に、異常判定部210は、タイマによる時間計測開始から予め定められた規定時間が経過したか否かを判定する(ステップS14)。タイマによる時間計測開始時点から予め定められた規定時間が経過していない場合、パルス制御部230および電流調整部240は、一の駆動パルスが第3の電流値でステッピングモータ20に供給されるように、駆動部40を制御する(ステップS15)。このときステッピングモータ20に供給される駆動パルスは、弁体12aの閉方向の移動に対応する。
【0080】
次に、切替判定部220は、ステップS15で供給された駆動パルスに応答してエンコーダ50から検出パルスが出力されたか否かを判定する(ステップS16)。検出パルスが出力された場合、処理はステップS12からステップS14に戻される。一方、検出パルスが出力されない場合、切替判定部220は、カウンタの値をインクリメントする(ステップS17)。また、切替判定部220は、カウンタの値に基づいて検出パルスが出力されないことが規定数k連続したか否かを判定する(ステップS18)。
【0081】
検出パルスが出力されないことが規定数k連続していない場合、処理はステップS18からステップS14に戻される。一方、検出パルスが出力されないことが規定数k連続した場合、ステッピングモータ20への駆動パルスの供給が停止された状態で開閉制御処理が終了する。
【0082】
上記のステップS11において、開始時の指令が開状態に切り換える指令である場合、パルス制御部230は、開パルス数mの駆動パルスが第1の電流値でステッピングモータ20に連続的に供給されるように、駆動部40を制御する(ステップS19)。このときステッピングモータ20に供給される駆動パルスは、弁体12aの開方向の移動に対応する。それにより、弁体12aが比較的高いトルクで開方向に移動する。その後、開閉制御処理が終了する。
【0083】
上記のステップS14において、タイマによる時間計測開始から予め定められた規定時間が経過していた場合、異常判定部210は、異常の発生を判定し、その判定結果を弁制御部200の外部に出力する(ステップS20)。その後、開閉制御処理が終了する。
【0084】
(4)効果
(a)上記の処理液供給装置300においては、開閉弁10の開状態から閉状態への切り替え時に、ステッピングモータ20に連続的に駆動パルスが供給される。駆動パルスに応答してステッピングモータ20が回転することにより、弁体12aが弁座11sに向かって移動する。このとき、ステッピングモータ20の回転に応答してエンコーダ50から検出パルスが出力される。
【0085】
弁体12aが弁座11sに接触した状態で弁体12aから弁座11sに作用する押圧力に対して弁座11sから弁体12aに作用する反力が釣り合うと、弁体12aの閉方向への移動が停止され、ステッピングモータ20の回転が停止する。次に、エンコーダ50から出力されるべき連続した規定数kの検出パルスが出力されなくなると、駆動パルスの供給が停止される。それにより、開状態から閉状態への開閉弁10の切り替わりが完了し、配管p1,p2における処理液の流れが停止する。
【0086】
この場合、ステッピングモータ20に脱調が生じない範囲で駆動パルスの供給が停止されることにより、開閉弁10の開閉状態の切り替え時に、開閉弁10の内部で大きな負荷が発生することが抑制される。それにより、開閉弁10内部の変形が抑制される。
【0087】
また、上記の動作によれば、弁体12aが閉方向に移動して停止した状態で弁座11sに対する弁体12aの適切な位置決めが行われる。そのため、閉状態において位置決めされるべき弁体12aの位置を検索するために、弁座11sに対して弁体12aを開方向および閉方向にそれぞれ移動させる必要がない。
【0088】
さらに、上記の動作によれば、ステッピングモータ20を脱調させる必要がないので、脱調に起因して弁座11sに対する弁体12aの位置ずれが発生することが防止される。
【0089】
これらの結果、開閉弁10の短寿命化を抑制しかつ長時間を要することなく開閉弁10を適切に閉じることが可能になる。
【0090】
(b)上記の処理液供給装置300においては、開閉弁10の開状態から閉状態への切り替え時に、閉パルス数nの駆動パルスがステッピングモータ20に供給される間、ステッピングモータ20は第2の電流値で駆動される。それにより、開閉弁を流れる処理液の特性および弁体12aの動作時に発生する摩擦力等に起因する脱調の発生が防止される。
【0091】
その後、駆動パルスの供給の停止までの間、ステッピングモータ20に供給される駆動パルスの電流値が第3の電流値に変更される。この場合、閉状態で弁体12aから弁座11sに作用する押圧力が過剰に大きくなることが抑制される。それにより、弁体12aと弁座11sとの接触部に大きな変形が生じることが防止されるとともに、当該接触部からパーティクルが発生することが低減される。
【0092】
(5)他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、基板Wへの処理液(レジスト液または現像液等)の供給および停止を切り替える際に、処理液供給装置300における開閉弁10の開閉状態の切り替えが行われるが、本発明はこれに限定されない。
【0093】
開閉弁10の開閉状態の切り替えの指令は、使用者が図示しない基板処理装置100の操作部を操作することにより弁制御部200に与えられてもよい。この場合、使用者は、基板Wに処理液を供給するユニット(上記の例では塗布ユニットSCおよび現像ユニットSD)について、図3の例と同様の開閉弁10の切り替え動作を指令することができる。
【0094】
また、図3に示されるように、閉状態にある開閉弁10を開状態および閉状態に順次切り替える一連の動作は、一定周期あるいは所定数のロットごとに自動的に行われてもよい。あるいは、基板処理装置100の電源投入時に各ユニット(上記の例では塗布ユニットSCおよび現像ユニットSD)の初期化動作として自動的に行われてもよい。
【0095】
(b)上記実施の形態においては、基板Wにレジスト液を供給するレジスト液供給系および基板Wに現像液を供給する現像液供給系にそれぞれ処理液供給装置が適用されるが、本発明はこれに限定されない。
【0096】
本発明に係る処理液供給装置は、基板Wに反射防止膜またはレジストカバー膜等を形成するための各種塗布液を供給する塗布液供給系に適用することができる。あるいは、本発明に係る処理液供給装置は、基板Wに純水または薬液等の洗浄液を供給する洗浄液供給系に適用することもできる。
【0097】
(c)上記実施の形態においては、ステッピングモータ20の回転を検出するためのエンコーダ50としてロータリエンコーダが用いられるが、本発明はこれに限定されない。エンコーダ50は、弁棒13の開方向および閉方向への移動を検出するリニアエンコーダであってもよい。この場合、リニアエンコーダにより検出される弁棒13の開方向および閉方向への移動を、ステッピングモータ20の回転として検出することができる。
【0098】
(d)上記実施の形態においては、開閉弁10の開状態から閉状態への切り替え時にステッピングモータ20に供給される駆動パルスの電流値が2段階に変更されるが、本発明はこれに限定されない。開閉弁10の開状態から閉状態への切り替え時にステッピングモータ20に供給される駆動パルスの電流値は一定であってもよい。処理液の粘度が低いこと、または弁棒13の動作時に発生する摩擦力が小さいこと等の理由により弁棒13を移動させるために必要なトルクが十分小さい場合、その電流値は上記の第3の電流値に設定されることが望ましい。
【0099】
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、レジスト液および現像液が処理液の例であり、配管p1,p2が処理液流路の例であり、弁制御部200が制御部の例であり、閉パルス数nの駆動パルスが全てステッピングモータ20に供給された時点(図3の時点t3)が電流切替時点の例である。
【0100】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0101】
1…塗布液供給源,2…現像液供給源,10…開閉弁,11…弁箱,11a…流路空間,11b…流入ポート,11c…流出ポート,11o…開口,11s…弁座,12…ダイアフラム,12a…弁体,13…弁棒,20…ステッピングモータ,30…変換機構,40…駆動部,50…エンコーダ,91,93…スピンチャック,92,94…吐出ノズル,100…基板処理装置,110…塗布処理部,120…現像処理部,130…熱処理部,140…搬送部,150…制御装置,200…弁制御部,210…異常判定部,220…切替判定部,230…パルス制御部,240…電流調整部,250…設定記憶部,300…処理液供給装置,500…露光装置,SC…塗布ユニット,SD…現像ユニット,V1,V2…開閉弁装置,W…基板,p1,p2…配管
図1
図2
図3
図4