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特許7223617ヒンジ構成部品組付方法、及び、ヒンジガイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ヒンジ構成部品組付方法、及び、ヒンジガイド
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/02 20060101AFI20230209BHJP
   E05D 5/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E05D3/02
E05D5/12 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019061381
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159127
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-053646(JP,A)
【文献】登録実用新案第3066822(JP,U)
【文献】実開昭58-148163(JP,U)
【文献】特開昭61-020511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠に取付けられた枠側ヒンジ構成部品と扉に取付けられた扉側ヒンジ構成部品とを組付けて、枠に対して扉を開閉自在に取付けるヒンジを構成するヒンジ構成部品組付方法において、
扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くヒンジガイドを用いて扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける方法であって、
扉側ヒンジ構成部品は、下端開口の管部と、当該管部の外周面における管部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して扉に固定された固定板部とを備え、
枠側ヒンジ構成部品は、下側軸部と、下側軸部の上端面より上方に延長して設けられて下側軸部の径よりも小径で下側軸部と同心の上側軸部と、下側軸部の外周面における下側軸部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して枠に固定された固定板部とを備え、
ヒンジガイドとして、取付部と、取付部より延長するように設けられて扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くガイド部とを備え、取付部が、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて下側軸部の外周面を囲むか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて管部の外周面を囲む囲み部と、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の底面と接触するか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部の上端面と接触する底板部とを備えて構成されたヒンジガイドを用い、
囲み部の内面と下側軸部の外周面とを対向させるとともに底板部の内底面と下側軸部の底面とを接触させることでヒンジガイドを枠側ヒンジ構成部品に取付けるか、あるいは、囲み部の内面と管部の外周面とを対向させるとともに底板部の内底面と管部の上端面とを接触させることでヒンジガイドを扉側ヒンジ構成部品に取付けた後、当該ヒンジガイドのガイド部を介して、扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に近づく方向に移動させることにより、枠側ヒンジ構成部品の上側軸部が扉側ヒンジ構成部品の管部の下端開口から管部内に差し込まれて扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とが組付けられたヒンジが構成されることを特徴とするヒンジ構成部品組付方法。
【請求項2】
ヒンジガイドとして、枠又は扉の上下方向に沿って隣り合うように設けられた2つのヒンジ構成部品に亘って延在する長さのガイド部を備えたヒンジガイドを用いたことを特徴とする請求項1に記載のヒンジ構成部品組付方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヒンジ構成部品組付方法に使用するヒンジガイドであって、
取付部と、取付部より延長するように設けられて扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くガイド部とを備え、
取付部が、
枠側ヒンジ構成部品の下側軸部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて下側軸部の外周面を囲むか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて管部の外周面を囲む囲み部と、
枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の底面と接触するか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部の上端面と接触する底板部とを備えたことを特徴とするヒンジガイド。
【請求項4】
ガイド部は、枠又は扉の上下方向に沿って隣り合うように設けられた2つのヒンジ構成部品に亘って延在する長さに形成されたことを特徴とする請求項3に記載のヒンジガイド。
【請求項5】
取付部をヒンジ構成部品に固定するための固定手段を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のヒンジガイド。
【請求項6】
枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の外周面、又は、扉側ヒンジ構成部品の管部の外周面と対向する囲み部の内周面に設けられた緩衝部材を備えたことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載のヒンジガイド。
【請求項7】
ガイド部は、延長方向と直交する断面が凹状に形成されたことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のヒンジガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠に取付けられた枠側ヒンジ構成部品と扉に取付けられた扉側ヒンジ構成部品とを組付ける際のヒンジ構成部品組付方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、枠に対して扉がヒンジ(蝶番)を介して開閉自在に取付けられた構造が知られている(特許文献1参照)。
ヒンジは、リフトオフヒンジ(抜き差し蝶番)と呼ばれるヒンジであり、枠に取付けられた枠側ヒンジ構成部品の差し込みシャフトに、扉に取付けられた扉側ヒンジ構成部品のシャフト嵌合部を差し込むようにして、枠側ヒンジ構成部品と扉側ヒンジ構成部品とを組付けることで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-224576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した枠側ヒンジ構成部品と扉側ヒンジ構成部品とを組付けるヒンジ構成部品組付方法では、扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に組付ける際に、扉を上方に持ち上げて、枠側ヒンジ構成部品の差し込みシャフトの上方に扉側ヒンジ構成部品のシャフト嵌合部を位置合せした後に、扉を降ろす必要がある。
しかしながら、扉を持ち上げた状態のまま、例えば扉の側面の上部、下部、中央部に取付けられた扉側ヒンジ構成部品と枠の内側面の上部、下部、中央部に取付けられた枠側ヒンジ構成部品とを位置合わせする作業を行わなければならないため、作業が困難である。特に、扉が重い場合には、扉を持ち上げた状態のまま位置合わせを行う作業は、作業者にとっては、困難であるばかりでなく、安全性の面でも課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける際に、扉を持ち上げた状態のまま扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品との位置合わせを容易に行えるようにしたヒンジ構成部品組付方法等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヒンジ構成部品組付方法は、枠に取付けられた枠側ヒンジ構成部品と扉に取付けられた扉側ヒンジ構成部品とを組付けて、枠に対して扉を開閉自在に取付けるヒンジを構成するヒンジ構成部品組付方法において、扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くヒンジガイドを用いて扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける方法であって、扉側ヒンジ構成部品は、下端開口の管部と、当該管部の外周面における管部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して扉に固定された固定板部とを備え、枠側ヒンジ構成部品は、下側軸部と、下側軸部の上端面より上方に延長して設けられて下側軸部の径よりも小径で下側軸部と同心の上側軸部と、下側軸部の外周面における下側軸部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して枠に固定された固定板部とを備え、ヒンジガイドとして、取付部と、取付部より延長するように設けられて扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くガイド部とを備え、取付部が、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて下側軸部の外周面を囲むか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて管部の外周面を囲む囲み部と、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の底面と接触するか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部の上端面と接触する底板部とを備えて構成されたヒンジガイドを用い、囲み部の内面と下側軸部の外周面とを対向させるとともに底板部の内底面と下側軸部の底面とを接触させることでヒンジガイドを枠側ヒンジ構成部品に取付けるか、あるいは、囲み部の内面と管部の外周面とを対向させるとともに底板部の内底面と管部の上端面とを接触させることでヒンジガイドを扉側ヒンジ構成部品に取付けた後、当該ヒンジガイドのガイド部を介して、扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に近づく方向に移動させることにより、枠側ヒンジ構成部品の上側軸部が扉側ヒンジ構成部品の管部の下端開口から管部内に差し込まれて扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とが組付けられたヒンジが構成されることを特徴とする。
また、ヒンジガイドとして、枠又は扉の上下方向に沿って隣り合うように設けられた2つのヒンジ構成部品に亘って延在する長さのガイド部を備えたヒンジガイドを用いたことを特徴とする
発明に係るヒンジ構成部品組付方法によれば、扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける際に、扉を持ち上げた状態のまま扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品との位置合わせを容易に行え、組付作業を安全かつ容易に行えるようになる。
また、本発明のヒンジガイドは、上述したヒンジ構成部品組付方法に使用するヒンジガイドであって、取付部と、取付部より延長するように設けられて扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に導くガイド部とを備え、取付部が、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて下側軸部の外周面を囲むか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部と固定板部との境界部近傍である固定板部の根元部を避けて管部の外周面を囲む囲み部と、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の底面と接触するか、あるいは、扉側ヒンジ構成部品の管部の上端面と接触する底板部とを備えたことを特徴とする。
また、ガイド部は、枠又は扉の上下方向に沿って隣り合うように設けられた2つのヒンジ構成部品に亘って延在する長さに形成されたことを特徴とする。
また、ヒンジガイドは、取付部をヒンジ構成部品に固定するための固定手段を備えたことを特徴とする
た、枠側ヒンジ構成部品の下側軸部の外周面、又は、扉側ヒンジ構成部品の管部の外周面と対向する囲み部の内周面に設けられた緩衝部材を備えたことを特徴とする。
また、ガイド部は、延長方向と直交する断面が凹状に形成されたことを特徴とする。
本発明に係るヒンジガイドによれば、上述したような、扉を持ち上げた状態のまま扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品との位置合わせを容易に行えるヒンジ部品組付方法を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ヒンジ構成部品組付方法の概要を示す全体構成斜視図(実施形態1)。
図2】ヒンジガイドを示す斜視図(実施形態1)。
図3】ヒンジガイドを示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は正面図、(d)は右側面図(左側面図は右側面図と左右対称)、(e)は底面図(実施形態1)。
図4】ヒンジ構成部品組付方法の要旨を示す図であり、(a)は組付前状態図、(b)は組付後状態図(実施形態1)。
図5】扉側ヒンジ構成部品を枠側ヒンジ構成部品に組付ける際の作業手順を示す図(実施形態1)。
図6】ヒンジガイドの使用方法の他例を示す斜視図(実施形態2)。
図7】ヒンジガイド及び使用方法の他例を示す斜視図(実施形態3)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
実施形態1に係るヒンジ部品組付方法は、図1に示すように、枠1に取付けられた複数の枠側ヒンジ構成部品2,2…に、扉3に取付けられた複数の扉側ヒンジ構成部品4,4…を組付けて、枠1に対して扉3を開閉自在に取付けるヒンジ5(図5(e)参照)を構成するヒンジ構成部品組付方法であって、扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に導くヒンジガイド6を用いて扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に組付けるようにした。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、図1に示した方向と定義して説明する。
【0009】
扉側ヒンジ構成部品4と枠側ヒンジ構成部品2とが組付けられて構成されるヒンジ5は、フラグヒンジ(旗蝶番)タイプのリフトオフヒンジ(抜き差し蝶番)と呼ばれるヒンジである。
図1に示すように、枠側ヒンジ構成部品2は、枠1の左内側面14又は右内側面の上下方向に沿って、所定間隔を隔てて、上部、中央部、下部の3箇所や3箇所以上の複数個所に設けられたり、あるいは、上部、下部の2箇所に設けられる。同様に、扉側ヒンジ構成部品4は、扉3の左端面34又は右端面の上下方向に沿って、所定間隔を隔てて、上部、中央部、下部の3箇所や3箇所以上の複数個所に設けられたり、あるいは、上部、下部の2箇所に設けられる。
【0010】
枠側ヒンジ構成部品2は、軸部21と固定板部22とを備える。
軸部21は、下側軸部23と、下側軸部23の上端面より上方に延長して設けられて下側軸部23の径よりも小径で下側軸部23と同心(中心軸が同一)の上側軸部24とを備えて構成される。即ち、軸部21は、一端側が大径の下側軸部23に形成されて他端側が下側軸部23の径よりも小径で下側軸部23と同心の上側軸部24(特許文献1の差し込みシャフトに相当)に形成されている。
羽根と呼ばれて枠1の左内側面14(又は右内側面)に固定される固定板部22は、下側軸部23の外周面における下側軸部23の中心軸25に沿って延長する部位より突出して、当該中心軸25に沿った方向及び当該中心軸25と直交する方向に延在する例えば矩形状の板面を有した平板により形成される。
【0011】
扉側ヒンジ構成部品4は、下端開口44(図4(a)参照)の管部41(特許文献1のシャフト嵌合部に相当)と固定板部42とを備える。
管部41は、外径寸法が、枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外径寸法と同じ寸法に形成され、内径寸法が、枠側ヒンジ構成部品2の上側軸部24の外径寸法よりも若干大きい寸法に形成された、下端開口上端閉塞の管により形成される。
羽根と呼ばれて扉3の左端面34(又は右端面)に固定される固定板部42は、管部41の外周面における管部41の中心軸45に沿って延長する部位より突出して、当該中心軸45に沿った方向及び当該中心軸45と直交する方向に延在する矩形状の板面を有した平板により形成される。
【0012】
図4に示すように、各固定板部22,42には、取付ねじ11(図1参照)を貫通させるための貫通孔12が形成されている。
図1に示すように、枠側ヒンジ構成部品2は、軸部21の中心軸25(=下側軸部23の中心軸25)が枠1の左側縁13と平行に位置されるように、固定板部22の板面と枠1の左内側面14又は右内側面とを面接触させた状態で、取付ねじ11を固定板部22の貫通孔12(図4参照)に通して枠1にねじ込むことにより、固定板部22が枠1に固定され、枠側ヒンジ構成部品2が枠1に取付けられる。
同様に、扉側ヒンジ構成部品4は、管部41の中心軸45が扉3の左側縁33と平行に位置されるように、固定板部42の板面と扉3の左端面34とを面接触させた状態で、取付ねじ11を固定板部42の貫通孔12に通して扉3にねじ込むことにより、固定板部42が扉3に固定され、扉側ヒンジ構成部品4が扉3に取付けられる。
【0013】
即ち、固定板部22により扉3の左右いずれかの端面に取付けられた扉側ヒンジ構成部品4が、下端開口44のシャフト嵌合部として機能する管部41を備え、固定板部42により枠1の左右いずれかの内側面に取付けられた枠側ヒンジ構成部品2が、上側に、扉側ヒンジ構成部品4の管部41の下端開口44から管部41内に差し込まれる差し込みシャフトとして機能する上側軸部24を備える。
そして、上側軸部24が管部41の下端開口44を介して管部41内に差し込まれて、管部41が軸部21の中心軸25を回転中心として回転可能なように扉側ヒンジ構成部品4の管部41と枠側ヒンジ構成部品2の上側軸部24とが緩嵌合状態に組付けられて、ヒンジ5が構成されることになる。
【0014】
ヒンジガイド6は、枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23に取付けられる取付部61と、取付部61より延長するように設けられて扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に導くガイド部62と、取付部61を枠側ヒンジ構成部品2に固定するための固定手段63とを備える。
【0015】
図2図3に示すように、取付部61は、下側軸部23の外周面を囲む囲み部61Aと、下側軸部23の底面と接触する底板部61Bとを備えて構成される。
図4(a)に示すように、囲み部61Aは、例えば、内径寸法が枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外径寸法よりも若干大きい寸法の円筒の外周面における当該円筒の中心軸に沿って延長する部位に、固定板部22の根元部22aを避けるためのスリット61Sが形成された、断面円弧状で上下方向に延長する中空体に形成される。尚、固定板部22の根元部22aとは、下側軸部23と固定板部22との境界部近傍である固定板部22側の部位のことである。
換言すれば、囲み部61Aは、例えば、金属板材を円弧状に湾曲するように曲げて金属板材の両方の端縁61a,61aがスリット61Sを介して対向するように形成される。
底板部61Bは、囲み部61Aの下端(一端)より囲み部61Aの中心軸65に近づく方向に延長して囲み部61Aの中心軸65と直交する板面により形成された内底面61bを備えた構成である。
【0016】
ガイド部62は、囲み部61Aの中心軸65に沿った方向の上端(他端)より中心軸に沿った上方向に延長して、中心軸65と直交する面で切断した場合の断面が凹状、例えば、半円弧状の板面に形成された長尺部材により構成される。
即ち、ガイド部62は、扉側ヒンジ構成部品4の管部41の外周面をガイドするガイド面となる内面62uが、管部41の外周面の円弧に対応した断面半円弧状の面に形成されている。
【0017】
即ち、ヒンジガイド6は、断面欠円弧状の囲み部61Aと断面半円弧状のガイド部62とが、同心となる囲み部61Aの中心軸65に沿った方向に連続して延長するように形成された中空状長尺材により構成される。
囲み部61Aの中心軸65に沿った上下方向の高さ寸法は、例えば、下側軸部23の中心軸25に沿った上下方向の高さ寸法と同程度の長さに形成される。
また、ガイド部62の中心軸65に沿った上下方向の高さ寸法は、例えば、上側軸部24の中心軸25に沿った方向の高さ寸法の2倍程度の長さに形成される。
【0018】
図2に示すように、固定手段63は、例えば、囲み部61Aにおけるスリット61Sと対向する部分に形成されたねじ孔61hに螺着されて先端側が囲み部61Aの中心軸65に近づく方向に移動可能に構成されたねじ部63aと、ねじ部63aの頭部を形成する例えばローレット加工された摘み63bと、ねじ部63aに先端面に取付けられたゴム板等の緩衝部材63cとを備えて構成される。
このように、ねじ部63aの先端面に緩衝部材63cを備えた構成としたので、ねじ部63aが締結された場合に、緩衝部材63cが枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外周面に接触するため、当該下側軸部23の外周面に傷が付いてしまうことを防止できるようになる。
【0019】
また、枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外周面と対向する囲み部61Aの内周面には例えばシート状のゴムやウレタン等の緩衝部材61Cが貼付けられて設けられている。
このように、囲み部61Aの内周面に緩衝部材61Cを設けた構成としたので、枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の下方からヒンジガイド6の囲み部61Aを下側軸部23に装着する際に、緩衝部材61Cが枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外周面に接触するため、当該下側軸部23の外周面に傷が付いてしまうことを防止できるようになる。
【0020】
次に、図5に基づいて、ヒンジ部品組付方法の手順を説明する。
例えば、図5(a)に示すように、枠側ヒンジ構成部品2が、枠1の左内面14における下側、中央側、上側にそれぞれ取付けられている場合、図5(b)に示すように、枠1の左内面14における下側及び上側に取付けられている枠側ヒンジ構成部品2,2にそれぞれヒンジガイド6を取付ける。
即ち、ヒンジガイド6の取付部61を枠側ヒンジ構成部品2の下方に位置させて、枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の中心軸25とヒンジガイド6の囲み部61Aの中心軸65とを一致させた状態でヒンジガイド6を上方に移動させることにより、囲み部61Aの内面と下側軸部23の外周面とを対向させた状態に設定する。尚、この際、取付部61の底板部61Bの内底面61bと下側軸部23の底面とを接触させることが好ましいが、接触させなくとも良い。この状態で、固定手段63の摘み63bを回してねじ部63aの先端面に取付けられた緩衝部材63cを下側軸部23の外周面に押し付けることにより、ヒンジガイド6が枠側ヒンジ構成部品2に取付けられる。
このようにして、枠1の左内面14における下側及び上側に取付けれている枠側ヒンジ構成部品2,2にそれぞれヒンジガイド6,6を取付けた後、図5(c)に示すように、扉3を持ち上げて、扉3の左端面34の上側及び下側に取付けられた扉側ヒンジ構成部品4,4の管部41,41の外周面と上下のヒンジガイド6,6のガイド面となるガイド部62,62の内面62u,62uとを接触させた状態に設定する(図4(a)参照)。この状態から、図5(d)に示すように、扉3を上下のヒンジガイド6,6のガイド部62,62の内面62u,62uに沿って下降させることにより、下側、中央側、上側の扉側ヒンジ構成部品4,4,4の管部41,41,41の内側に下端開口44,44,44を介して下側、中央側、上側の枠側ヒンジ構成部品2,2,2の上側軸部24,24,24が挿入される(図4(b)参照)。
以上により、図5(e)に示すように、枠1の左内面14における下側、中央側、上側にそれぞれ取付けられている枠側ヒンジ構成部品2,2,2と扉3の左端面34における下側、中央側、上側にそれぞれ取付けられている扉側ヒンジ構成部品4,4,4とが組付けられて、枠1の開口を開閉可能なように扉3の左側の上中下を回転可能に支持するヒンジ5,5,5が構成される。そして、組付作業が終了した後、ヒンジガイド6を枠側ヒンジ構成部品2から取り外す。
【0021】
実施形態1に係るヒンジ部品組付方法によれば、ヒンジガイド6を枠側ヒンジ構成部品2に取付けて、扉側ヒンジ構成部品4をヒンジガイド6のガイド部62の内面62uに当接させながら扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に近づく方向に移動させることにより、枠側ヒンジ構成部品2の上側軸部24が扉側ヒンジ構成部品4の管部41の下端開口44を介して管部41内に差し込まれ、扉側ヒンジ構成部品4と枠側ヒンジ構成部品2とが組付けられてヒンジ5が構成されるようにしたので、扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に組付ける際に、扉3を持ち上げた状態のまま扉側ヒンジ構成部品4と枠側ヒンジ構成部品2との位置合わせを容易に行え、組付作業を安全かつ容易に行えるようになる。
【0022】
また、実施形態1に係るヒンジガイド6によれば、上述したような、扉3を持ち上げた状態のまま扉側ヒンジ構成部品4と枠側ヒンジ構成部品2との位置合わせを容易に行えるヒンジ部品組付方法を実現できるようになる。
【0023】
実施形態2
実施形態1に係るヒンジ部品組付方法では、ヒンジガイド6を枠側ヒンジ構成部品2に取付けるようにしたが、図6に示すように、ヒンジガイド6を扉側ヒンジ構成部品4に取付けるようにしてもよい。
この場合、図6に示すように、ヒンジガイド6を上下逆にして使用する。
即ち、ヒンジガイド6の取付部61を扉側ヒンジ構成部品4の上方に位置させて、扉側ヒンジ構成部品4の管部41の中心軸45とヒンジガイド6の囲み部61Aの中心軸65とを一致させた状態でヒンジガイド6を下方に移動させることにより、囲み部61Aの内面と管部41の外周面とを対向させた状態に設定する。尚、この際、取付部61の底板部61Bの内底面61bと管部41の上端面とを接触させることが好ましいが、接触させなくとも良い。この状態で、固定手段63の摘み63bを回してねじ部63aの先端面に取付けられた緩衝部材63cを管部41の外周面に押し付けることにより、ヒンジガイド6を扉側ヒンジ構成部品4に取付ける。
そして、扉3を持ち上げて、枠1に取付けられた上下の枠側ヒンジ構成部品2,2の下側軸部23,23の外周面とヒンジガイド6のガイド部62の内面62uとを接触させた状態に設定する。この状態で枠側ヒンジ構成部品4の管部41の外周面とガイド部62の内面62uとを接触させながら扉3を下降させることにより、扉側ヒンジ構成部品4,4の管部41,41の内側に枠側ヒンジ構成部品2,2の上側軸部24,24が挿入される。
尚、この場合、扉側ヒンジ構成部品4の管部41の外周面と対向する囲み部61Aの内周面に緩衝部材61Cを設けた取付部61を用いる。
【0024】
実施形態2によれば、ヒンジガイド6を扉側ヒンジ構成部品4に取付けて、ヒンジガイド6のガイド部62の内面62uを枠側ヒンジ構成部品2の下側軸部23の外周面に当接させながら扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品2に近づく方向に移動させることにより、扉側ヒンジ構成部品4と枠側ヒンジ構成部品2とを組付けるようにしたので、実施形態1のヒンジ部品組付方法及びヒンジガイドと同じ効果が得られる。
【0025】
実施形態3
ヒンジガイドとして、図7に示すように、例えば、枠1の下側に取付けられた枠側ヒンジ構成部品2と枠1の中央側に取付けられた枠側ヒンジ構成部品2とに亘って延在する長さのガイド部62Lを備えたヒンジガイド6Lを用いるようにしてもよい。
即ち、枠1又は扉3の上下方向に沿って隣り合うように設けられた2つのヒンジ構成部品に亘って延在する長さのガイド部62Lを備えたヒンジガイド6Lを用いる。
実施形態3のヒンジガイド6Lによれば、取付部61を1つのヒンジ構成部品に対して着脱すればよいので、ヒンジガイドのヒンジ構成部品に対する着脱作業を短縮化できるようになる。
【0026】
尚、上記では、ヒンジガイドの取付部をヒンジ構成部品に固定するための固定手段としてねじを例示したが、当該固定手段としては、囲み部61Aを外側から締め付けて囲み部61Aの内面と下側軸部23(あるいは管部41)の外周面とが圧接状態となるように維持するクランプ、囲み部61Aの内面より突出するように設けられたばねやゴム等の付勢手段、囲み部61Aの内面に設けられた磁石等を使用してもよい。
【0027】
また、上記では、底板部61Bを備えた取付部61を例示したが、当該底板部61Bを備えない取付部としてもよい。当該底板部61Bを備えない取付部の場合、例えば、当該取付部の下端を、下側軸部23や管部41に対して適当な位置に設定した後、固定手段63を操作して、ヒンジガイド6を枠側ヒンジ構成部品2又は扉側ヒンジ構成部品4に取付けるようにすればよい。
【0028】
また、上記では、固定手段63を備えた取付部61を例示したが、当該固定手段63を備えない取付部としてもよい。固定手段63を備えない取付部の場合、囲み部61Aの内周面に設けられた緩衝部材61Cと下側軸部23の外周面又は管部41の外周面との摩擦抵抗により、ヒンジガイド6が枠側ヒンジ構成部品2又は扉側ヒンジ構成部品4に取付けられる構成としてもよい。
【0029】
また、上記では、囲み部61Aの内周面に緩衝部材61Cを備えた取付部61を例示したが、当該緩衝部材61Cを備えない取付部としてもよい。
そして、固定手段63及び緩衝部材61Cを備えない取付部の場合、囲み部61Aの内周面と下側軸部23の外周面又は管部41の外周面との摩擦抵抗により、ヒンジガイド6が枠側ヒンジ構成部品2又は扉側ヒンジ構成部品4に取付けられる構成としてもよい。
【0030】
また、下側軸部23や管部41の外周形状が楕円形状になっている場合においては、ヒンジガイドの囲み部を断面凹状に形成し、当該凹部の横幅寸法を、下側軸部23や管部41の楕円の長径の長さよりわずかに短い長さに設定した囲み部を備えたヒンジガイドを用いるようにしてもよい。この場合、下側軸部23や管部41の楕円の長径と直交する方向以外の方向から下側軸部23や管部41の外側に囲み部の凹部を被せた後、囲み部を囲み部の中心軸を回転中心として回転させて凹部の横幅間に下側軸部23や管部41の楕円の長径の両端側が嵌まり込むように設定することで、囲み部が下側軸部23や管部41に固定される。つまり、下側軸部23や管部41に嵌め込まれて固定される固定手段としての凹部に形成された囲み部を備えたヒンジガイドを用いるようにしてもよい。
【0031】
また、枠1及び扉3の上側、中央側、下側にヒンジ構成部品が取付けられている場合においては、ヒンジガイド6を、上述したように上側及び下側など複数のヒンジ構成部品にそれぞれ取付けることが好ましいが、ヒンジガイド6は、上側、中央側、下側のヒンジ構成部品のうちの1つ以上に取付ければよい。
また、枠1及び扉3の上側、下側にヒンジ構成部品が取付けられている場合においては、ヒンジガイド6は、上側及び下側のヒンジ構成部品のうちの1つ以上に取付ければよい。
【0032】
また、上記では、ヒンジ構成部品に取付けて使用されるヒンジガイド6を例示したが、床に設置されたり、天井に取付けられて使用されるように構成されたヒンジガイドを用いてもよい。
【0033】
尚、上述した構成の枠側ヒンジ構成部品2の代わりに上述した構成の扉側ヒンジ構成部品4が枠1に取付けられるとともに、上述した構成の扉側ヒンジ構成部品4の代わりに上述した構成の枠側ヒンジ構成部品2が扉3に取付けられる構成としてもよい。
即ち、管部41の下端開口44を上に向けて上述した扉側ヒンジ構成部品4を枠1に取付けることによって当該扉側ヒンジ構成部品4を枠側ヒンジ構成部品として使用するとともに、上側軸部24を下にして上述した枠側ヒンジ構成部品2を扉3に取付けることによって当該枠側ヒンジ構成部品2を扉側ヒンジ構成部品として使用するようにした構成としてもよい。
つまり、扉側ヒンジ構成部品は、上側軸部と、上側軸部の下端面より下方に延長して設けられて上側軸部の径よりも小径で上側軸部と同心の下側軸部と、上側軸部の外周面における上側軸部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して扉に固定される固定板部とを備え、枠側ヒンジ構成部品は、上端開口の管部と、当該管部の外周面における管部の中心軸に沿って延長する部位から当該中心軸に沿った方向及び当該中心軸と直交する方向に延在する板面を有して枠に固定される固定板部とを備え、扉側ヒンジ構成部品の下側軸部が枠側ヒンジ構成部品の管部の上端開口から管部内に差し込まれて扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付けることによりヒンジが形成される構成であってもよい。
【0034】
また、ガイド部62の断面形状は、例えば、角の無いU字形状、あるいは、角を有したコ字形状、その他の凹形状、即ち、他方(被ガイド部)を導きガイドしやすい凹形状であればよい。
【0035】
また、上記では、リフトオフヒンジに適用した例を示したが、本発明のヒンジ構成部品組付方法及びヒンジガイドは、リフトオフヒンジ以外の扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける場合にも適用可能である。例えば、ピボットヒンジの扉側ヒンジ構成部品と枠側ヒンジ構成部品とを組付ける場合にも適用可能である。
【0036】
また、ヒンジ構成部品、及び、ヒンジガイドは、金属以外の樹脂や木、これらの複合材などで形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 枠、2 枠側ヒンジ構成部品、3 扉、4 扉側ヒンジ構成部品、5 ヒンジ、
6 ヒンジガイド、22,42 固定板部、23 下側軸部、24 上側軸部、
25 中心軸、41 管部、61 取付部、61A 囲み部、61C 緩衝部材、
62 ガイド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7