(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】エンジンの吸気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20230209BHJP
F01M 13/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F02M35/10 101E
F01M13/00 G
F02M35/10 311Z
(21)【出願番号】P 2019227477
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 怜央
(72)【発明者】
【氏名】長井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】坂口 久美子
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-317569(JP,A)
【文献】特開昭55-093951(JP,A)
【文献】特開2003-120244(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01674679(EP,A1)
【文献】特開2016-205319(JP,A)
【文献】特表2008-544142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0328424(US,A1)
【文献】特開2012-215137(JP,A)
【文献】特表2010-525231(JP,A)
【文献】特開2004-270588(JP,A)
【文献】特開2001-173518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02M 25/08
F01M 13/00
F02M 26/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周にブローバイガス導入口(8a)が開口されたブローバイガス導入管(8)と、ブローバイガス導入管(8)に内嵌された通気管(9)と、ブローバイガス導入管(8)と通気管(9)の間に保持されたブローバイガス通過隙間(10)と、通気管(9)の吸気上流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側端部を閉塞する閉塞部(10a)と、通気管(9)の吸気下流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気下流側端部に開口されたブローバイガス放出口(10b)を
備え、
ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)と、導入管入口側吸気ホース(13)を導入管入口側部(8b)に締め付ける導入管入口側締付具(13a)を備え、
通気管入口側部(9a)の外周にリブ(9c)が突設されている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンの吸気装置において、
ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)を備え、通気管入口側部(9a)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側に向けて拡開し、その入口側端部(9b)は、導入管入口側部(8b)を吸気上流側から覆うベルマウス形状とされている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項3】
内周にブローバイガス導入口(8a)が開口されたブローバイガス導入管(8)と、ブローバイガス導入管(8)に内嵌された通気管(9)と、ブローバイガス導入管(8)と通気管(9)の間に保持されたブローバイガス通過隙間(10)と、通気管(9)の吸気上流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側端部を閉塞する閉塞部(10a)と、通気管(9)の吸気下流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気下流側端部に開口されたブローバイガス放出口(10b)を
備え、
ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)を備え、通気管入口側部(9a)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側に向けて拡開し、その入口側端部(9b)は、導入管入口側部(8b)を吸気上流側から覆うベルマウス形状とされている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載されたエンジンの吸気装置において、
通気管入口側部(9a)の入口側端部(9b)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側端面(8c)に沿っている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたエンジンの吸気装置において、
通気管(9)とブローバイガス導入管(8)の間にOリング(12)が挟まれ、このOリング(12)で前記閉塞部(10a)が構成されている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載されたエンジンの吸気装置において、
ブローバイガス導入管(8)の導入管出口側部(8d)に外嵌された導入管出口側吸気ホース(14)を備え、通気管出口側部(9e)の出口側端部(9f)は導入管出口側部(8d)内に配置されている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気装置に関し、詳しくは、ブローバイガス経路の閉塞が起こり難いエンジンの吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内周にブローバイガス導入口が開口されたブローバイガス導入管を備えた、エンジンの吸気装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-156209号公報(
図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題点》 ブローバイガス経路の閉塞が起こり易い。
特許文献1のエンジンでは、ブローバイガスがブローバイガス導入口で低温の吸気と衝突し、ブローバイガス中の水分がブローバイガス導入口で氷結し、ブローバイガス経路の閉塞が起こり易い。
【0005】
本発明の課題は、ブローバイガス経路の閉塞が起こり難い、エンジンの吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1と3に係る発明の構成は、次の通りである。
(請求項1と3に係る発明に共通する発明特定事項)
図3に例示するように、内周にブローバイガス導入口(8a)が開口されたブローバイガス導入管(8)と、ブローバイガス導入管(8)に内嵌された通気管(9)と、ブローバイガス導入管(8)と通気管(9)の間に保持されたブローバイガス通過隙間(10)と、通気管(9)の吸気上流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側端部を閉塞する閉塞部(10a)と、通気管(9)の吸気下流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気下流側端部に開口されたブローバイガス放出口(10b)を
備えている。
(請求項1に係る発明に固有の発明特定事項)
図3に例示するように、ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)と、導入管入口側吸気ホース(13)を導入管入口側部(8b)に締め付ける導入管入口側締付具(13a)を備え、
通気管入口側部(9a)の外周にリブ(9c)が突設されている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
(請求項3に係る発明に固有の発明特定事項)
図3に例示するように、ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)を備え、通気管入口側部(9a)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側に向けて拡開し、その入口側端部(9b)は、導入管入口側部(8b)を吸気上流側から覆うベルマウス形状とされている、ことを特徴とするエンジンの吸気装置。
【発明の効果】
【0007】
請求項1と3に係る発明の効果は、次の通りである。
(請求項1と3に係る発明に共通する効果)
《効果》 ブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
図3に例示するように、ブローバイガス(11)は、ブローバイガス導入口(8a)からブローバイガス通過隙間(10)に流入し、通気管(9)を通過する低温の吸気(6)の衝突を受けることなく、ブローバイガス放出口(10b)から放出されるため、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
(請求項1に係る発明に固有の効果)
《効果》 ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
図3に例示するリブ(9c)により、通気管入口側部(9a)の強度が高まり、導入管入口側部(8b)に導入管入口側締付具(13a)の締付力がかかっても、通気管入口側部(9a)が歪み難く、ブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側の閉塞が維持されるため、吸気(6)がブローバイガス通過隙間(10)に進入せず、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
(請求項3に係る発明に固有の効果)
《効果》ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
図3に例示するように、導入管入口側吸気ホース(13)の内直径寸法(13b)に比べ、通気管(9)の内直径寸法(9d)は小さく、これらの内直径寸法差による段差が生じるが、ベルマウス形状の通気管入口側部(9a)により、吸気(6)は、導入管入口側吸気ホース(13)から通気管(9)に滑らかに導入されるため、吸気(6)が閉塞部(10a)を越えてブローバイガス通過隙間(10)に進入し難くいため、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの吸気装置の側面図である。
【
図2】
図1の吸気装置で用いるセンサ取付管とその周辺部品の断面図である。
【
図3】
図1の吸気装置で用いるブローバイガス導入管とその周辺部品の断面図である。
【
図4】
図1の吸気装置を取り付けるエンジンの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図6は本発明の実施形態に係るエンジンの吸気装置を説明する図で、この実施形態では、立形の直列多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0010】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図4に示すように、このエンジンは、シリンダブロック(15)と、シリンダブロック(15)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(16)と、シリンダヘッド(16)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(17)と、クランク軸(18)の架設方向を前後方向として、シリンダブロック(15)の前部に配置された伝動ギヤケース(19)と、シリンダブロック(15)の後部に配置されたフライホイール(20)と、シリンダブロック(15)の下部に組み付けられたオイルパン(29)を備えている。
【0011】
このエンジンは、前後方向と直交する水平方向を左右横方向として、
図4,5に示すように、シリンダヘッド(16)の右側面に組み付けられた吸気マニホルド(21)と、吸気マニホルド(21)の吸気入口に組み付けられた吸気スロットル(22)と、シリンダヘッドカバー(17)の右側に架設されたコモンレール(23)と、シリンダブロック(15)の右側に配置された燃料サプライポンプ(24)を備え、
図6に示すように、シリンダヘッド(16)の左側面に組み付けられた排気マニホルド(25)と、排気マニホルド(25)の排気出口に組み付けられた過給機(26)を備えている。
【0012】
このエンジンの燃料供給装置は、
図4,5に示す燃料サプライポンプ(24)やコモンレール(23)からなるコモンレール式燃料噴射装置である。
このエンジンの吸気装置は、
図1に示すエアクリーナ(27)と、センサ取付管(1)と、ブローバイガス導入管(8)と、過給機(26)のエアコンプレッサ(26a)と、
図4,5に示す吸気スロットル(22)と、吸気マニホルド(21)を備えている。
このエンジンの排気装置は、
図5,6に示す排気マニホルド(25)と、過給機(26)の排気タービン(26b)と、排気処理装置(28)を備えている。排気処理装置(28)は、排気処理ケース(28a)内にDOC(図示せず)とDPF(図示せず)を収容している。DOCはディーゼル酸化触媒の略称、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称である。
【0013】
図1または
図2に示すように、吸気装置は、センサ取付管(1)と、センサ取付管(1)に取り付けられたエアフローセンサ(2)と、センサ取付管(1)の取付管入口側部(1a)に外嵌された取付管入口側吸気ホース(3)と、センサ取付管(1)の取付管出口側部(1b)に外嵌された取付管出口側吸気ホース(4)と、取付管入口側吸気ホース(3)を取付管入口側部(1a)に締め付ける取付管入口側締付具(3a)と、取付管出口側吸気ホース(4)を取付管出口側部(1b)に締め付ける取付管出口側締付具(4a)を備えている。
【0014】
図2に示すように、この吸気装置は、センサ取付管(1)に隙間(1c)を保持して内嵌される吸気検出用通風管(5)を備え、吸気検出用通風管(5)内にエアフローセンサ(2)の検出部(2a)が差し込まれている。
【0015】
上記構成によれば、
図2に示す取付管入口側締付具(3a)と取付管出口側締付具(4a)の締付力で、センサ取付管(1)に歪が生じても、その歪は隙間(1c)により吸気検出用通風管(5)には及び難く、吸気検出用通風管(5)内の吸気(6)の乱れが起こり難く、エアフローセンサ(2)の検出精度を高く維持できる。
【0016】
図2に示すセンサ取付管(1)と吸気検出用通風管(5)は、硬質の合成樹脂製パイプである。エアフローセンサ(2)は、ホットワイヤ式のものである。取付管入口側吸気ホース(3)と取付管出口側吸気ホース(4)は、可撓性の合成樹脂製ホースである。取付管入口側締付具(3a)と取付管出口側締付具(4a)は、金属性の締付バンドである。
【0017】
図2に示すように、この吸気装置は、センサ取付管(1)と吸気検出用通風管(5)の間に挟まれた複数本のOリング(7a)(7b)を備えている。
この複数本のOリング(7a)(7b)を介して吸気検出用通風管(5)がセンサ取付管(1)に弾性支持されている。
【0018】
上記構成によれば、
図2に示す吸気検出用通風管(5)の振動が複数本のOリング(7a)(7b)の弾性変形で緩和されるため、吸気検出用通風管(5)の振動による吸気(6)の乱れが起こり難く、エアフローセンサ(2)の検出精度を高めることができる。
Oリング(7a)(7b)は、吸気検出用通風管(5)の吸気上流側端部と吸気下流側端部にそれぞれ1本ずつ用いられている。
【0019】
図2に示すように、吸気検出用通風管(5)の外周にリブ(5e)が突設されてい。
上記構成によれば、
図2に示すリブ(5e)により吸気検出用通風管(5)の強度が高まり、吸気検出用通風管(5)に取付管入口側締付具(3a)や取付管出口側締付具(4a)の締付力がかかっても、吸気検出用通風管(5)が歪み難いため、吸気検出用通風管(5)内の吸気(6)の流れが乱れ難く、エアフローセンサ(2)の検出精度を高めることができる。
【0020】
図2に示すように、通風管入口側部(5a)は、センサ取付管(1)の吸気上流側に向けて拡開するベルマウス形状とされ、その入口側端部(5ae)は取付管入口側部(1a)を吸気上流側から覆っている。
上記構成によれば、
図2に示すように、取付管入口側吸気ホース(3)の内直径寸法(3b)に比べ、吸気検出用通風管(5)の内直径寸法(5d)は小さく、これらの内直径寸法差による段差が生じるが、ベルマウス形状の通風管入口側部(5a)により、吸気(6)は、取付管入口側吸気ホース(3)から吸気検出用通風管(5)に滑らかに導入されるため、段差による吸気(6)の乱れが起こり難く、エアフローセンサ(2)の検出精度を高めることができる。
【0021】
図2に示すように、この吸気装置では、吸気検出用通風管(5)の中心軸線(5c)の方向を軸長方向、吸気検出用通風管(5)の軸長方向中間位置での内直径寸法(5d)を基準内直径寸法(5ds)とし、エアフローセンサ(2)の検出部(2a)の軸長方向中央位置(2b)からの通風管入口側部(5a)の入口側軸長寸法(5as)が、基準内直径寸法(5ds)の1倍~2倍に設定されている。
【0022】
図2に示す通風管入口側部(5a)の入口側軸長寸法(5as)が基準内直径寸法(5ds)の1倍未満である場合、吸気検出用通風管(5)の通風管入口側部(5a)内での吸気(6)の整流が不十分になり、エアフローセンサ(2)の検出精度が低くなるおそれがある。他方、これが2倍を超えると、取付管入口側部(1a)から通風管入口側部(5a)が大きく突出し、取付管入口側吸気ホース(3)の曲げの自由度が低下するおそれがある。
これに対し、通風管入口側部(5a)の入口側軸長寸法(5as)が上記範囲内にある場合には、上記問題が起こり難く、エアフローセンサ(2)の検出精度が高いと共に、取付管入口側吸気ホース(3)の曲げの自由度も高い。
【0023】
基準内直径寸法(5ds)は、吸気検出用通風管(5)の内直径寸法(5d)が一定になる吸気検出用通風管(5)の軸長方向中間位置での内直径寸法(5d)とすればよい。この実施形態では、吸気検出用通風管(5)の軸長方向中間位置にある最小の内直径寸法(5d)を基準内直径寸法(5ds)としている。
【0024】
図2に示すように、この吸気装置では、吸気検出用通風管(5)の中心軸線(5c)の方向を軸長方向、吸気検出用通風管(5)の軸長方向中間位置での内直径寸法(5d)を基準内直径寸法(5ds)とし、エアフローセンサ(2)の検出部(2a)の軸長方向中央位置(2b)からの通風管出口側部(5b)の出口側軸長寸法(5bs)が、基準内直径寸法(5ds)の0.5倍~2倍に設定されている。
【0025】
図2に示す通風管出口側部(5b)の出口側軸長寸法(5bs)が、基準内直径寸法(5ds)の0.5倍未満である場合、通風管出口側部(5b)の吸気下流側で生じる後流の影響により、エアフローセンサ(2)の検出精度が低くなるおそれがある。他方、これが2倍を超えると、取付管出口側部(1b)から通風管出口側部(5b)が大きく突出し、取付管出口側吸気ホース(4)の曲げの自由度が低下するおそれがある。
これに対し、通風管出口側部(5b)の出口側軸長寸法(5bs)が上記範囲内にある場合には、上記問題が起こり難く、エアフローセンサ(2)の検出精度が高いと共に、取付管出口側吸気ホース(4)の曲げの自由度も高い。
【0026】
図3に示すように、吸気装置は、内周にブローバイガス導入口(8a)が開口されたブローバイガス導入管(8)と、ブローバイガス導入管(8)に内嵌された通気管(9)と、ブローバイガス導入管(8)と通気管(9)の間に保持されたブローバイガス通過隙間(10)と、通気管(9)の吸気上流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側端部を閉塞する閉塞部(10a)と、通気管(9)の吸気下流側に臨むブローバイガス通過隙間(10)の吸気下流側端部に開口されたブローバイガス放出口(10b)を備えている。
【0027】
上記構成によれば、
図3に示すように、ブローバイガス(11)は、ブローバイガス導入口(8a)からブローバイガス通過隙間(10)に流入し、通気管(9)を通過する低温の吸気(6)の衝突を受けることなく、ブローバイガス放出口(10b)から放出されるため、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
ブローバイガス導入管(8)と通気管(9)は、いずれも硬質の合成樹脂パイプである。ブローバイガス(11)は、シリンダヘッドカバー(17)からブローバイガス導入チューブ(8e)を介してブローバイガス導入口(8a)に導入される。ブローバイガス導入チューブ(8e)は可撓性の合成樹脂製チューブである。
【0028】
図3に示すように、通気管(9)とブローバイガス導入管(8)の間にOリング(12)が挟まれ、このOリング(12)で前記閉塞部(10a)が構成されている。
【0029】
上記構成によれば、
図3に示す通気管(9)が振動しても、Oリング(12)の弾性変形で、ブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側端部の閉塞が維持されるため、吸気(6)がブローバイガス通過隙間(10)に進入し難く、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
【0030】
図1または
図3に示すように、ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)と、導入管入口側吸気ホース(13)を導入管入口側部(8b)に締め付ける導入管入口側締付具(13a)を備えている。
図3に示すように、通気管入口側部(9a)の外周にリブ(9c)が突設されている。
【0031】
図3に示すリブ(9c)により、通気管入口側部(9a)の強度が高まり、導入管入口側部(8b)に導入管入口側締付具(13a)の締付力がかかっても、通気管入口側部(9a)が歪み難く、ブローバイガス通過隙間(10)の吸気上流側の閉塞が維持されるため、吸気(6)がブローバイガス通過隙間(10)に進入せず、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
導入管入口側吸気ホース(13)は可撓性の合成樹脂製ホースである。導入管入口側締付具(13a)は、金属製締付バンドである。導入管入口側吸気ホース(13)は、取付管出口側吸気ホース(4)で兼用されている。
【0032】
図3に示すように、この吸気装置は、ブローバイガス導入管(8)の導入管入口側部(8b)に外嵌された導入管入口側吸気ホース(13)を備え、通気管入口側部(9a)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側に向けて拡開し、その入口側端部(9b)は、導入管入口側部(8b)を吸気上流側から覆うベルマウス形状とされている。
【0033】
図3に示すように、導入管入口側吸気ホース(13)の内直径寸法(13b)に比べ、通気管(9)の内直径寸法(9d)は小さく、これらの内直径寸法差による段差が生じるが、ベルマウス形状の通気管入口側部(9a)により、吸気(6)は、導入管入口側吸気ホース(13)から通気管(9)に滑らかに導入されるため、吸気(6)が閉塞部(10a)を越えてブローバイガス通過隙間(10)に進入し難くいため、ブローバイガス(11)中の水分の氷結によるブローバイガス経路の閉塞が起こり難い。
【0034】
図3に示すように、通気管入口側部(9a)の入口側端部(9b)は、ブローバイガス導入管(8)の吸気上流側端面(8c)に沿っている。
このため、
図3に示すように、通気管入口側部(9a)が導入管入口側部(8b)から大きく突出せず、導入管入口側吸気ホース(13)の曲げの自由度が高い。
【0035】
図3に示すように、吸気装置は、ブローバイガス導入管(8)の導入管出口側部(8d)に外嵌された導入管出口側吸気ホース(14)を備え、通気管出口側部(9e)の出口側端部(9f)は導入管出口側部(8d)内に配置されている。
このため、
図3に示すように、通気管出口側部(9e)が導入管出口側部(8d)から突出せず、導入管出口側吸気ホース(14)の曲げの自由度が高い。
【0036】
図3に示す導入管出口側吸気ホース(14)は、導入管出口側締付具(14a)で導入管出口側部(8d)に締め付けられている。導入管出口側吸気ホース(14)は可撓性の合成樹脂製ホースで、導入管出口側締付具(14a)は金属製締付バンドである。
【0037】
図3に示すように、通気管出口側部(9e)の外周には周方向に沿う円環状のリブ(9g)がブローバイガス通過隙間(10)に向けて突出されている。このため、リブ(9g)とブローバイガス導入管(8)の間に形成される絞り隙間により、ブローバイガス放出口(10b)に向かうブローバイガス(11)の一部がリブ(9g)に沿ってブローバイガス通過隙間(10)の周方向を迂回し、円環状のブローバイガス放出口(10b)の広い範囲からブローバイガス(11)が放出される。
【符号の説明】
【0038】
(8)…ブローバイガス導入管、(8a)…ブローバイガス導入口、(8b)…導入管入口側部、(8c)…吸気上流側端面、(8d)…導入管出口側部、(9)…通気管、(9a)…通気管入口側部、(9b)…入口側端部、(9c)…リブ、(9d)…内直径寸法、(9e)…通気管出口側部、(9f)…出口側端部、(10)…ブローバイガス通過隙間、(10a)…閉塞部、(10b)…ブローバイガス放出口、(12)…Oリング、(13)…導入管入口側吸気ホース、(13a)…導入管入口側締付具、(13b)…内直径寸法、(14)…導入管出口側吸気ホース。