(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
H02K 41/02 20060101AFI20230209BHJP
H02K 9/22 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H02K41/02 Z
H02K9/22
(21)【出願番号】P 2019536380
(86)(22)【出願日】2017-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2017029385
(87)【国際公開番号】W WO2019035181
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-02-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 進一
(72)【発明者】
【氏名】野村 壮志
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/145086(WO,A1)
【文献】特開2013-106497(JP,A)
【文献】特開2001-327152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/02
H02K 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持してその部品を基板に装着するための部品装着ヘッドと、その部品装着ヘッドを移動させるヘッド移動装置とを備えた部品装着機であって、
前記ヘッド移動装置が、
基体と、
前記部品装着ヘッドが取り付けられる移動体としてのヘッド取付体と、
駆動源であるリニアモータを有し、前記基体に対して、前記ヘッド取付体を水平な移動方向に移動させる移動方向移動装置と
を備え、
前記リニアモータが、
前記基体に固定され、上下方向に間隔をおいて互いに向かい合うようにして前記移動方向に沿って設けられた1対の固定子と、
前記ヘッド取付体に固定され、前記1対の固定子の間を移動可能とされた可動子と、
(A) 前記可動子の内部に設けられて前記可動子の熱を吸収する集熱部と、(B) 前記可動子から外部に突出し、前記1対の固定子が対向する方向に延びて前記1対の固定子
のうちの上側のものの背面側にまで延び出した放熱部とを有する冷却用部材と、
前記1対の固定子のうちの上側のものの背面側である上方に位置する状態で前記
冷却用部材の前記放熱部に固定され、前記冷却用部材の前記放熱部を冷却するためのヒートシンクと
を備えた部品装着機。
【請求項2】
前記リニアモータが、
それぞれが水平方向に延びる複数の突起が形成された前記ヒートシンクを空冷することで前記冷却用部材の前記放熱部を冷却するファンを有する請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記1対の固定子の各々が、ヨークと、そのヨークに固定された複数の永久磁石とを含んで構成され、
前記ファンが、前記1対の固定子のうちの前記上側のものの前記ヨークの背面側である上方に位置させられるように設けられた請求項2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記冷却用部材が、
一端部が、前記可動子の内部に挿入されて前記集熱部として機能するとともに、他端部が、前記可動子の外部に突出して前記放熱部として機能するヒートパイプである請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の部品装着機。
【請求項5】
前記リニアモータが、U相,V相,W相の三相を有する三相交流により作動するものであり、
前記可動子が、前記U相,V相,W相に対応する複数のコイルを含んで構成され、
前記ヒートパイプの前記一端部が、各相のコイルとコイルとの間に介装された請求項4に記載の部品装着機。
【請求項6】
前記U相,V相,W相のコイルが、前記移動方向に並んで配設され、
前記ヒートパイプの前記一端部が、前記1対の固定子と平行に延び、前記移動方向における寸法が上下方向の寸法より小さな断面形状を有する平たい形状のものとされた請求項5に記載の部品装着機。
【請求項7】
前記ヒートパイプの前記他端部が、上下方向に延び、前記移動方向における寸法に対してその移動方向に直交する水平な方向の寸法が小さな断面形状のものとされた請求項4ないし請求項6のいずれか1つに記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、リニアモータ、そのリニアモータによって移動体を基体に対して移動させるリニアモータ駆動装置、および、そのリニアモータ駆動装置を採用した部品装着機を開示し、特に、リニアモータを冷却するための構造および方法について開示する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、互いに向かい合うようにして移動方向に沿って設けられた1対の固定子と、それら1対の固定子の間を移動可能に設けられた可動子とを備えたリニアモータ、いわゆるT型リニアモータが記載されるとともに、そのリニアモータを駆動源として移動体を基体に対して移動させるリニアモータ駆動装置が記載されている。なお、そのようなリニアモータ駆動装置は、例えば、特許文献1に記載されているような加工機や、電子部品を基板に装着させる部品装着機等、種々の装置に採用されている。リニアモータは、コイルの発熱による構成部材の熱変形や熱劣化が問題となるため、下記特許文献1のように、コイルを冷却するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第WO2012/145085A1号パンフレット
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなリニアモータを冷却するための構成は、改良の余地が多分に残されており、改良を施すことにより、リニアモータおよびリニアモータ駆動装置の実用性を向上させることが可能である。そのような実情に鑑み、本出願は、実用性の高いリニアモータの冷却方法を提供するとともに、その冷却方法を用いた実用性の高いリニアモータおよびリニアモータ駆動装置を提供することで、そのリニアモータ駆動装置を採用した実用性の高い部品装着機を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するリニアモータは、上述したT型リニアモータを前提としている。そして、上記課題を解決するために、本明細書には、
部品を保持してその部品を基板に装着するための部品装着ヘッドと、その部品装着ヘッドを移動させるヘッド移動装置とを備えた部品装着機であって、
前記ヘッド移動装置が、
基体と、
前記部品装着ヘッドが取り付けられる移動体としてのヘッド取付体と、
駆動源であるリニアモータを有し、前記基体に対して、前記ヘッド取付体を水平な移動方向に移動させる移動方向移動装置と
を備え、
前記リニアモータが、
前記基体に固定され、上下方向に間隔をおいて互いに向かい合うようにして前記移動方向に沿って設けられた1対の固定子と、
前記ヘッド取付体に固定され、前記1対の固定子の間を移動可能とされた可動子と、
(A) 前記可動子の内部に設けられて前記可動子の熱を吸収する集熱部と、(B) 前記可動子から外部に突出し、前記1対の固定子が対向する方向に延びて前記1対の固定子のうちの上側のものの背面側にまで延び出した放熱部とを有する冷却用部材と、
前記1対の固定子のうちの上側のものの背面側である上方に位置する状態で前記冷却用部材の前記放熱部に固定され、前記冷却用部材の前記放熱部を冷却するためのヒートシンクと
を備えた部品装着機を開示する。
【効果】
【0007】
本明細書に開示されたリニアモータ冷却方法、その方法を用いたリニアモータによれば、放熱部を1対の固定子の少なくも一方の背面側にまで延び出させたことで、冷却構造の自由度が高いものとなる。また、本明細書に開示されたリニアモータ駆動装置は、冷却用部材の放熱部を可動子の移動体側の部分から突出させ、1対の固定子の一方と移動体との間を通って1対の固定子の背面側に延び出させたことで、放熱部を可動子の移動体側とは反対側の部分から延び出させた場合に比較して、移動体とともに移動する部分の、移動体と可動子とが並ぶ方向における寸法を小さくすることが可能である。本明細書に開示されたリニアモータ駆動装置は、T型リニアモータによって大きな推力を確保しつつ、移動体と可動子とが並ぶ方向における寸法が抑えられているため、種々の機器への搭載の自由度が高いものとなる。その結果、上記リニアモータ駆動装置を採用する部品装着機は、実用的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例であるリニアモータ駆動装置が搭載された部品装着機の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例であるリニアモータ駆動装置を含んで構成される
図1に示したヘッド移動装置を拡大して示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例であるリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置の斜視図である。
【
図4】本発明の実施例であるリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置の側面図である。
【
図5】リニアモータの可動子の前方側からの視点における断面図である。
【
図6】
図3,4に示す冷却機構を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図3,4に示す冷却機構を拡大して示す側面図である。
【実施例】
【0009】
以下、一実施例であるリニアモータ、リニアモータ駆動装置、および、リニアモータ冷却方法を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0010】
一実施例であるリニアモータおよびリニアモータ駆動装置は、
図1に示す部品装着機10に搭載される。基板に部品を装着する作業は、複数の種類の部品を基板に装着するために、複数の部品装着機10が配置される。
図1は、複数の部品装着機10のうちの2つのものを示し、そのうちの1つのものは、外装パネルを外した状態の部品装着機10を示している。その部品装着機10は、ベース20と、そのベース20に上架されたビーム22と、ベース20に配設された基板コンベア装置24と、当該部品装着機10の正面側においてベース20に交換可能に取り付けられた複数の部品フィーダ26と、複数の部品フィーダ26のいずれかから供給される部品を保持してその部品を基板Sに装着するための部品装着ヘッド28と、ビーム22に配設されて部品装着ヘッド28を移動させるヘッド移動装置30とを備えている。なお、以下の説明において、基板コンベア装置14によって基板が搬送される方向を左右方向(X方向)と、水平面上においてその左右方向に直角な方向を前後方向(Y方向)と、それら左右方向および前後方向に直角な方向を上下方向(Z方向)と称する場合がある。
【0011】
複数の部品フィーダ26の各々には、部品保持テープ(複数の部品がテープに保持されたものであり、「部品テーピング」とも呼ばれる)が捲回されたリールが、セットされており、複数の部品フィーダ26の各々は、その部品保持テープを間欠的に送り出すことによって、所定の部品供給部位において、順次、部品を1つずつ供給する。
【0012】
部品装着ヘッド28は、それぞれが、負圧の供給によって部品を下端部において吸着保持する複数の吸着ノズル40を有しており、それらが、リボルバに保持されている。そのリボルバは、間欠回転し、特定位置に位置する吸着ノズル40がノズル昇降装置によって昇降可能とされている。特定位置に位置する吸着ノズル40は、下降した際に、負圧が供給されることによって、部品フィーダ26から供給される部品を保持し、また、負圧の供給が断たれることで、吸着保持している部品を基板に装着させる。ちなみに、複数の吸着ノズル40の各々は、自身の軸線回りに回転させられるようになっており、当該部品装着ヘッド28は、各吸着ノズル40によって保持されている部品の回転位置を、変更・調整することが可能とされている。
【0013】
ヘッド移動装置30は、いわゆるXY型の移動装置である。そのヘッド移動装置30は、部品装着ヘッド28が脱着可能に取り付けられるヘッド取付体50と、そのヘッド取付体50をX方向に移動させるX方向移動装置52と、ビーム22に支持されてそのX方向移動装置52を移動させることで部品装着ヘッド28を部品フィーダ26と基板とにわたって移動させるY方向移動装置54とを含んで構成される。そのX方向移動装置52が、本実施例のリニアモータ駆動装置であり、リニアモータ56を駆動源として、部品装着ヘッド28をX軸方向の任意の位置へ移動させるものである。
【0014】
Y方向移動装置54は、Y軸スライド60を備え、そのY軸スライド60をベース20に対してY方向に移動させるものである。また、Y方向移動装置54は、そのY軸スライド60のY方向への移動を案内するY軸ガイド62を備えている。そのY軸ガイド62は、1対のガイドレール64と、それら1対ガイドレール64の各々に摺動可能に係合させられた2つずつの摺動部材66とを含んで構成される。さらに、Y方向移動装置54は、ビーム22に設けられてY軸方向に延びるボールねじ68と、ボールねじに螺合して回転可能にかつ位置を固定されてY軸スライド60に設けられたナット70と、ボールねじ68を回転させるモータ(エンコーダ付サーボモータ)72とを備えている。
【0015】
次に、X方向移動装置52について、
図3および
図4をも参照しつつ詳しく説明する。X方向移動装置52は、基体としてのY軸スライド60に対して、移動体としてヘッド取付体50を、駆動源であるリニアモータ56によって移動させるものである。そのX方向移動装置52は、ヘッド取付体50のX方向への移動を案内する1対のX軸ガイド80を備えている。X軸ガイド80は、1対のガイドレール82と、それら1対のガイドレール82の各々に摺動可能に係合させられた1対の摺動部材84とを含んで構成される。
図3に示すように、1対のガイドレール82が、Y軸スライド60の内側の側面に、X方向に延びる状態で平行に固定され、1対の摺動部材84が、ヘッド取付体50に固定された状態でガイドレール82に係合させられている。そのような構成により、X軸ガイド80は、ヘッド取付体50のX方向への移動を案内する。
【0016】
リニアモータ56は、いわゆるコア付きT型リニアモータであり、間隔をおいて互い向かい合うようにして設けられた1対の固定子100a,100bと、それら1対の固定子100a,100bの間を移動させられる可動子102とを備えている。1対の固定子100a,100bの各々は、複数の永久磁石110と、その永久磁石110が固定された磁性体であるヨーク112と、そのヨーク112を保持する非磁性体のベースプレート114とを含んで構成されている。そして、それら1対の固定子100a,100bは、X軸方向に延び、上下方向に間隔をおいて互いに向かい合うように、Y軸スライド60の内側の側面に立設させられている。なお、1対の固定子100a,100bの各々の互いに向かい合う面である正面に、複数の永久磁石110が交互に磁極が異なるようにX方向に配列された状態となっている。また、向かい合う永久磁石110は、互いに異なる磁極とされている。
【0017】
一方、可動子102は、
図5の断面図に示すように、U相,V相,W相の三相に対応するコア120U,120V,120Wと、それらコア120U,120V,120Wの各々に巻き回されたコイル122U,122V,122Wとを含んで構成されている。それら三相のコア120U,120V,120Wおよびコイル122U,122V,122Wは、可動子102の移動方向であるX軸方向に並んで配設されている。なお、三相のコア120U,120V,120Wは、断面形状が概して十字形状のものとされており、三相のコイル122U,122V,122Wの各々において、コア120U,120V,120Wの上方側に巻き回された部分を、上方部124U,124V,124Wと、下方側に巻き回された部分を、下方部125U,125V,125Wと呼ぶこととする。
【0018】
可動子102は、移動体としてのヘッド取付体50における上下方向に延びる部分の後方側に位置しており、それら可動子102とヘッド取付体50とは、取付プレート130を介して固定されている。詳しく言えば、その取付プレート130は、XZ平面に平行に設けられており、その前面側にヘッド取付体50が固定されるとともに、後面側に可動子102が固定されることで、それら可動子102とヘッド取付体50とが固定されている。つまり、可動子102とヘッド取付体50とは、前記1対の固定子100の立設方向(Y軸方向,前後方向)に、互いに隣接する状態で固定されている。
【0019】
また、X方向移動装置52は、リニアモータ56を冷却するための冷却機構140を備えている。冷却機構140は、4本のヒートパイプ142と、そのヒートパイプ142が集熱した熱を冷却するためのヒートシンク144とを含んで構成されている。以下、その冷却機構140について、
図5に加えて、
図6および
図7をも参照しつつ詳しく説明する。
【0020】
4本のヒートパイプ142a,142b,142c,142dは、それぞれの一端部が、U相のコイル122Uの上方部124UとV相のコイル122Vの上方部124Vとの間、V相のコイル122Vの上方部124VとW相のコイル122Wの上方部124Wとの間、U相のコイル122Uの下方部125UとV相のコイル122Vの下方部125Vとの間、V相のコイル122Vの下方部125VとW相のコイル122Wの下方部125Wとの間に、Y軸方向に延びる状態で挿入されている。4本のヒートパイプ142の各々の上記一端部が、コイル122の熱を吸収する集熱部として機能する。以下、その4本のヒートパイプ142の一端部を、集熱部150と呼ぶ場合がある。
【0021】
なお、それら4本のヒートパイプ142の集熱部150は、平たい形状とされている。詳しく言えば、Y軸方向に延びる集熱部150の断面形状が、移動方向(X軸方向)における寸法が移動方向に直交する方向(Z方向)における寸法より小さくされている。したがって、本実施例のリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置52は、効率的に熱を吸収すべく、ヒートパイプ142の集熱部150を各相のコイル122の間に挿入してそれらコイル122に直接接触した状態で配設しても、可動子102の移動方向における寸法が抑えられているのである。
【0022】
一方、4本のヒートパイプ132の各々の他端部である放熱部152は、可動子102のヘッド移動体50側(前方側)の部分から突出し、上方側の固定子100aとヘッド取付体50との間を通って、固定子100aの上方にまで延び出している。詳しく言えば、取付プレート130には、上下方向に延びる4本の溝154が形成されており、4本のヒートパイプ132の放熱部152が、その溝154に沿って、上方に向かって延びている。
【0023】
なお、4本のヒートパイプ142の放熱部152も、平たい形状とされている。詳しく言えば、Z軸方向に延びる放熱部152の断面形状が、1対の固定子100の立設方向(Y軸方向)における寸法がその方向に直交する方向(X方向)における寸法より小さくされている。換言すれば、Z軸方向に延びる放熱部152の断面形状が、移動方向(X方向)に対してその移動方向に直交する方向(Y方向)における寸法より小さくされている。つまり、本実施例のリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置52は、1対の固定子100とヘッド取付体50との間に4本のヒートパイプ142を通していても、それら1対の固定子100とヘッド取付体50と隙間が小さくされており、可動子102とヘッド取付体50を含めたY軸方向の寸法が抑えられている。以上のように、4本のヒートパイプ142の各々は、集熱部150と放熱部152とで平らな面の向きが異なる形状とされているのである
【0024】
ちなみに、取付プレート130は、熱伝導性が比較的高いアルミニウム製のものとされており、接触させられている4本のヒートパイプ142の放熱部152から熱を受け取り、放熱するようになっている。そして、この取付プレート130の上端部には、ヒートシンク144が設けられている。詳しく言えば、ヒートシンク144は、複数の突起が形成されたフィン160と、そのフィン160を空冷するファン162とを含んで構成され、取付プレート130の上端部の後方側にフィン160が固定され、そのフィン160のさらに後方にファン162が固定されている。つまり、冷却装置であるファン162は、1対の固定子100のうちの上側に位置するもの100aの上に位置した状態、換言すれば、上側の固定子100aの上方側に位置する状態で、取付プレート130を介して、可動子102に固定されている。
【0025】
コア付きT型リニアモータにおいては、冷却機構が可動子に対して固定子の立設方向に並んで配設されることが一般的である。本実施例のリニアモータ56において、冷却機構をそのように、Y軸方向における可動子102の後方側に設けてしまうと、可動子102とヘッド取付体50を含めたY軸方向の寸法が大きくなってしまうという問題がある。それに対して、本実施例のリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置52は、冷却部材であるヒートパイプ142の放熱部152を、可動子102のヘッド移動体50側(前方側)の部分から突出させ、上方側の固定子100aとヘッド取付体50との間を通って、固定子100aの背面側に延び出させたことで、可動子102とヘッド取付体50を含めたY軸方向の寸法を抑えることができるのである。
【0026】
また、本実施例のリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置52は、1対の固定子の一方100aの背面側のスペースを利用して、冷却装置を含むヒートシンク144を設けたため、可動子102とヘッド取付体50を含めたY軸方向の寸法を抑えつつ、リニアモータ56の冷却効果が高められている。なお、ファン162は、ホールセンサを用いているため磁界中で使用することはできないが、本実施例のリニアモータ駆動装置であるX方向移動装置52においては、複数の永久磁石110とファン162との間に、ヨーク112が配置されているため、複数の永久磁石110のファン162への影響はなく、ファン162の誤動作等が起きないようにされている。
【0027】
なお、本実施例のリニアモータ駆動装置は、リニアモータが横向き、換言すれば、1対の固定子の立設方向が横向きのものであったが、1対の固定子の立設方向が上下方向のものにも、当然に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
10:部品装着機 28:部品装着ヘッド 30:ヘッド移動装置 50:ヘッド取付体〔移動体〕 52:X方向移動装置〔リニアモータ駆動装置〕 54:Y方向移動装置 56:リニアモータ 60:Y軸スライド〔基体〕 100a,100b:固定子 102:可動子 110:永久磁石 112:ヨーク 120U,120V,120W:コア 122U,122V,122W:コイル 130:取付プレート 140:冷却機構 142:ヒートパイプ〔冷却用部材〕 144:ヒートシンク 150:集熱部 152:放熱部 160:フィン 162:ファン〔冷却装置〕