IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アウディオ モービル エレクトローニク ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7223702ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席
<>
  • 特許-ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席 図1
  • 特許-ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席 図2
  • 特許-ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席 図3
  • 特許-ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ヘッドレスト及びこのヘッドレストを備えた座席
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/80 20180101AFI20230209BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20230209BHJP
   A47C 7/64 20060101ALI20230209BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230209BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B60N2/80
A47C7/38
A47C7/64 Z
H04R1/02 102B
H04R1/00 318Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019547383
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018055118
(87)【国際公開番号】W WO2018158406
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】17158778.5
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519311743
【氏名又は名称】アウディオ モービル エレクトローニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ストッタン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハタイアー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フライ,リチャード
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-188099(JP,A)
【文献】米国特許第3962544(US,A)
【文献】特開2015-111796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/80
B60N 2/879
A47C 7/38
A47C 7/64
H04R 1/02
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの支持構造(2)及び前記支持構造(2)に設けられた、スピーカー(6.1、6.2)のための少なくとも1つのスピーカーケージ(7.1、7.2)を備え、前記支持構造(2)が前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の中に一体的に移行し、これを形成することを特徴とするヘッドレスト。
【請求項2】
前記ヘッドレスト(1、101、102)が、前記ヘッドレスト(1、101、102)を支柱(3)、特に支持ロッド(3.1)または背もたれ(3.2)に固定するための、少なくとも1つの保持要素(4.1、4.2、4.3、4.4)を有する留め具(4)を備えることを特徴とする請求項1に記載のヘッドレスト。
【請求項3】
前記スピーカーケージ(7.1、7.2)が、前記支柱(3)を固定するための前記保持要素(4.1、4.2)を支持することを特徴とする請求項2に記載のヘッドレスト。
【請求項4】
前記保持要素(4.1、4.2)が前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の裏側(11.1、11.2)に連結されることを特徴とする請求項3に記載のヘッドレスト。
【請求項5】
前記支持構造(2)が前記スピーカーケージ(7.1、7.2)から前記保持要素(4.1、4.2)の中に一体的に移行し、これを形成することを特徴とする請求項3または4に記載のヘッドレスト。
【請求項6】
前記保持要素(4.1、4.2)が前記支柱(3)の受け及び固定のためのスナップクリップ(8)を形成することを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【請求項7】
前記スピーカーケージ(7.1、7.2)が前記支柱(3)の固定のための複数の前記保持要素(4.1、4.2)を支持することを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【請求項8】
前記支持構造(2)が2つの前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の中に一体的に移行し、これらを形成し、これらの前記スピーカーケージ(7.1、7.2)が前記支持構造(2)の向き合う端部領域にあることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【請求項9】
前記スピーカーケージ(7.1、7.2)がそれぞれ、支柱(3)の固定のための保持要素(4.1、4.2)を支持することを特徴とする請求項8に記載のヘッドレスト。
【請求項10】
前記支持構造(2)が、支柱(3)の固定のための第3保持要素(4.3)を形成する少なくとも1つの補強リブ(10)を備えることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【請求項11】
第3保持要素(4.3)が前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の両保持要素(4.1、4.2)の間に配置されることを特徴とする請求項9及び10に記載のヘッドレスト。
【請求項12】
前記ヘッドレスト(1、101)が、座席、特に車両座席に前記ヘッドレスト(1、101)を固定するための少なくとも1つの支柱(3)を備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【請求項13】
2つの前記スピーカーケージ(7.1、7.2)がそれぞれ、前記支柱(3)の固定のための保持要素(4.1、4.2)を支持し、前記支柱(3)が鐙型に、前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の第1スピーカーケージ(7.1)から、前記スピーカーケージ(7.1、7.2)の第2スピーカーケージ(7.2)に延在し、それらの保持要素(4.1、4.2)に固定されることを特徴とする請求項12に記載のヘッドレスト。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の前記ヘッドレスト(1、101、102)を備える座席、特に車両座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造及び、支持構造に設けられたスピーカーのための少なくとも1つのスピーカーケージを備えたヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(国際公開第93/01951号)から、支柱を支持構造に固定するために、保持要素を有する留め具を有する支持構造を備えたヘッドレストが公知である。ヘッドレストにスピーカーを統合しうるように、支持構造の中に凹部が内設され、その中にスピーカーが設置されている。しかし支持構造中のこのような凹部はヘッドレストの安定性を弱め、剛性と安定性の低下に導く。さらにこのようなヘッドレストでは、比較的に組み立てが複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第93/01951号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため本発明の課題は、冒頭で説明された種類のヘッドレストを構造的に単純化し、安定性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴により課せられた課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
支持構造がスピーカーケージの中に一体的に移行し、これを形成すると、構造的に特に単純なヘッドレストが製造されることができ、それはさらに高い機械的安定性あるいは剛性を備えることができ、スピーカー及びヘッドレストの信頼できる固定を実現する。このようにして、つまりスピーカーケージの中に一体的に移行し、これを形成をもする支持構造が一体性をもたらす。これによって、例えば射出成形により、特に簡単に製造できるヘッドレストのための支持構造を製造する可能性が生じうる。さらに深絞りやラミネート加工のような他の製造方法も可能である。
【0007】
その上、この一体的な移行する形成はヘッドレストの安定性をさらに高める。なぜなら支持構造中の一種の溝であるスピーカーケージがヘッドレストの曲げ剛性を改善できるためである。
【0008】
そのため本発明のヘッドレストは構造的に単純に設計されるだけではなく、高い機械的安定性を備える。
【0009】
ヘッドレストが、ヘッドレストを支柱に固定するための少なくとも1つの保持要素を有する留め具を備えるとき、ヘッドレストは支柱に簡単なやり方で固定されることができる。支柱はここでは支持ロッド、背もたれまたは支持プロファイルでもありえ、ヘッドレストを例えば車両座席などの座席に確実に取り付けることを可能にしうる。
【0010】
スピーカーケージが支柱の固定のための保持要素を支持するとき、ヘッドレストの構造はその上さらに単純化されることができる。また、それによって保持要素へのアクセスが改善されることができ、それは組み立ての際のヘッドレストの取り扱いを容易にしうる。
【0011】
その上、保持要素がスピーカーケージの裏側に連結されるとき、特に小型のヘッドレストが製造されることができる。また、この保持要素の配置により、音声出力の音響パラメータを確保できるようにするため、場合により生じるスピーカーケージの側方への脱出に配慮をする必要がなくなる。
【0012】
支持構造がスピーカーケージから保持要素の中に一体的に移行し、これを形成すると、ヘッドレストの構造的な複雑さが、この一体性によってさらに単純化されうる。その上、付加的な保持要素あるいは付加的な組み立て材料を省略することにより、製造技術的に簡単なヘッドレストが製造されることができる。一般に、保持要素は、支持構造により有利に一体的に形成されうることがさらに確認されている。
【0013】
保持要素が支柱を受けて固定するためのスナップクリップを形成するとき、支持構造への支柱の固定の信頼性をさらに向上させることができる。
【0014】
スピーカーケージが支柱の固定のための複数の保持要素を支持するとき、これは機械的結合の安定性をさらに向上させうる。
【0015】
支持構造が2つのスピーカーケージの中に一体的に移行し、これらを形成し、スピーカーケージが支持構造の向かい合う端部領域にあるとき、特に有利なヘッドレストが製造されうる。特に支持構造の対称構造により、さらに高い荷重が除去されることができ、特に安定したヘッドレストを製造することができる。
【0016】
スピーカーケージが支柱を固定するためのそれぞれのあるいは少なくとも1つの保持要素を支持するとき、ヘッドレストの構造はさらに簡略化されることができる。
【0017】
支持構造が、支柱を固定するための第3の保持要素を形成する少なくとも1つの補強リブを有するとき、ヘッドレストの固定性及びそれにより安定性をさらに高めることができる。特に剛性のある支持構造を生成するために、これらの補強リブは好ましくは支持構造の材料で一体的に形成されうる。
【0018】
第3保持要素をスピーカーケージの2つの保持要素の間に配置すると、支柱の支持構造へのより確実な固定が第3保持要素によって行われるだけでなく、支柱が支持構造の中で付加的な補強要素として機能しうるため、支持構造の安定性をさらに高めることもできる。
【0019】
ヘッドレストが、座席、特に車両座席にヘッドレストを固定するための少なくとも1つの支柱を備えるとき、本発明は特に優れたものになることができる。
【0020】
支柱が鐙型に第1スピーカーケージから第2スピーカーケージまで延在し、それらの保持要素に固定されているとき、支柱と支持構造の間に特に信頼性の高い結合が生成されることができる。
【0021】
本発明によるヘッドレストは、特に座席、とりわけ車両座席に適しうる。
【0022】
図では例示的に本発明の対象が複数の実施形態の変形をもとに詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は第1実施形態における本発明のヘッドレストの背面図を示す。
図2図2図1のヘッドレストの正面図を示す。
図3図3は第2実施形態における本発明のヘッドレストの背面図を示す。
図4図4は第3実施形態における本発明のヘッドレストの背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、第1実施形態例による支持構造2を備えた車両座席用の本発明のヘッドレスト1が示されている。支持構造2には、図2に暗示的に示される、例えば発泡素材から成る支持体12が、車両座席に座る人の頭を支えるために設けられる。支持体12は、支持構造2の前面2.1に配置されている。
【0025】
さらにヘッドレスト1は、少なくとも1つの保持要素4.1、4.2を有し、支柱3を受けるために形成された留め具4を有する。 支柱3は、ヘッドレスト1を車両座席に固定するために使用される。この場合の留め具4は、複数の保持要素4.1、4.2を有し、これらにより、支柱3が支持構造2と摩擦結合及び形状結合により結合される。 図1図3から分かるように、支柱3は、好ましくは、支持ロッド3.1として形成される。
【0026】
図2から分かるように、支持構造2は、そこにスピーカー6.1、6.2を設けることができるように、2つの受け5を備える。 特に、受け5の近傍にはスピーカーケージ7.1、7.2が見られ、これらはこうして支持構造2に設けられる。―図示されていないが―支持構造は当然、1つのスピーカー6.1あるいは6.2のために1つの受け5のみを備えうることがこの文脈の中で言及される。
【0027】
支持構造2がスピーカーケージ7.1、7.2の中に一体的に移行することにより、スピーカーケージ7.1、7.2が、本発明では支持構造2によって形成され、それによって一体性が達成され、例えば、継ぎ目も衝突もない支持構造2が結果として生じる。さらにそれによりスピーカーケージ7.1、7.2がヘッドレスト1のこの領域で、―大抵さもなくばそこに見られるリブ構造のように―同様に支持構造2の硬化に役立ち、それによって支持構造2に安定性を与える要素として作用する。スピーカーケージ7.1、7.2は支持構造2の裏側2.2上にある。
【0028】
特に好ましくは支持構造2が、支持構造2の向かい合う端部領域にある両スピーカーケージ7.1、7.2を形成する。支持ロッド3.1の形の支柱3は鐙型に第1スピーカーケージ7.1から第2スピーカーケージ7.2へと延在し、それらの保持要素4.1、4.2に固定されている。支持構造2は複数の、好ましくは2本の支持ロッド3.1にも固定されることができるが、それは詳細に図示されていない。
【0029】
両スピーカーケージ7.1、7.2は一体的に支持構造2から形成され、それは特に剛性の高い支持構造2を生む。スピーカーケージ7.1、7.2の中に移行する支持構造2によって、一方ではスピーカー6.1、6.2の組み立てを容易にすることができ、もう一方では支持構造2の硬度を一体的に形成される構造要素としてのスピーカーケージ7.1、7.2によって高めることができる。スピーカーケージ7.1、7.2の裏側11.1、11.2にさらに、支柱3と支持構造2の間に摩擦結合を生成する保持要素4.1、4.2が設けられる。スピーカー6.1、6.2はここではカートリッジのように表側からそれぞれの受け5の中にはめ込まれ、そこで固定され、それは特に簡単な組み立て条件を生じさせる。
【0030】
図1及び図3に見られるように、保持要素4.1、4.2はスピーカーケージ7.1、7.2の裏側11.1、11.2に連結する。好ましい実施形態では支持構造2が保持要素4.1、4.2、4.3の中に移行しうる。特に保持要素4.1、4.2、4.3は、支持構造2によって一体的に形成される。特に小型の支持構造2を生成するために、保持要素4.1、4.2、4.3は直接製造時に支持構造2と一緒に形成される。しかし同様に、保持要素4.1、4.2を事後にスピーカーケージ7.1、7.2の裏側11.1、11.2に設けることも考えられる。
【0031】
さらに図1及び図3に見られるように、保持要素4.1、4.2、4.3は好ましくは支柱3の受けと固定のためのスナップクリップ8を形成する。スナップクリップ8は弾力性及びそれ自体を締め付ける特性を有し、それにより支持ロッド3.1の形の支柱3の支持構造2への工具不要の取り付けが行われることができる。本発明のヘッドレスト1は特に単純な製造条件で際立つことができる。
【0032】
図3は、支持構造2に補強リブ10が設けられ、それによってこのヘッドレスト101が図1のヘッドレスト1とは異なる、ヘッドレスト101のさらなる実施形態を示す。
【0033】
補強リブ10は形成されたスピーカーケージ7.1、7.2の他に、支持構造2の付加的な硬化を提供し、それによってこれが高い機械的な負荷に耐えることができる。さらに補強リブ10には第3保持要素4.3が設けられ、それによって支柱3のさらなる固定が実現され、支持構造2の硬化も達成される。補強リブ10及びそれによって第3保持要素4.3はスピーカーケージ7.1、7.2の保持要素4.1、4.2の間に配置される。
【0034】
図4に示されたヘッドレスト102は、図1図3に示されたヘッドレスト1、101とは実質的に留め具4の領域で異なる。ヘッドレスト102の支持構造2はすなわち継ぎ目板13の形の保持要素4.4を備える。この支持構造2のそれぞれ1つの正面に設けられる継ぎ目板13を介して(図4ではこれらの継ぎ目板13のうちの右の継ぎ目板13しか見えない)ヘッドレスト102が保持体3、すなわち背もたれ3.2に―例えば素材結合、好ましくは溶接継手14を介して ―固定される。しかし例えばスナップ結合、ネジ結合、リベット結合などの他の結合も考えられる。
【0035】
図4で支持構造2と保持体3の間の左に、代替的実施形態の中に例示的に示されるように、ヘッドレスト102の支持構造2は一体的に保持体3の中に移行することもできる。すると継ぎ目板13または他の保持要素は不要である。そのような一体性は例えば、ヘッドレスト2と背もたれ3.2が一体的に形成されるシェル構造の座席の場合に考えられうる。
【0036】
知られているように、支持構造2には合成樹脂、金属シート、複合材料及びその他の材料などが適している。例えば、原形成及び/または再形成によって、それによって一体性を生成するように、支持構造2がスピーカーケージ7.1、7.2の中に一体的に移行し、これを形成することが達成されうる。
図1
図2
図3
図4