(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】安定なペプチド組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/10 20060101AFI20230209BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230209BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230209BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230209BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230209BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230209BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230209BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230209BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230209BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230209BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61K38/10 ZNA
A61P37/06
A61P27/02
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/18
A61K9/08
A61K9/06
A61K47/14
A61J1/05 313A
(21)【出願番号】P 2019566046
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018018775
(87)【国際公開番号】W WO2018156501
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519302512
【氏名又は名称】ティアソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEARSOLUTIONS, INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】501149684
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ バージニア パテント ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン・ダブリュー・ローリー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジー・オドリッチ
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・カーペンター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アール・ガデック
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイ・ラスカー
【審査官】藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-543878(JP,A)
【文献】国際公開第2015/138604(WO,A1)
【文献】特表2013-504519(JP,A)
【文献】国際公開第2009/116639(WO,A1)
【文献】Investigative Ophthalmology & Visual Science, 2015, Vol.56, ARVO Annual Meeting Abstract, #300,<https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2332827>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00 - 38/58
A61K 47/00 - 47/69
A61K 9/00 - 9/72
A61P 1/00 - 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.001~0.05%の
配列番号1から構成されるポリペプチド、または
当量のその医薬的に許容される塩;
0.2~0.4w/w%の
クエン酸緩衝
液;
0.0005~
0.005w/w%のEDTA二ナトリウム;
チロキサポール不含、または0.01~0.1
w/w%のチロキサポール;および
等張化剤;
を含む
水性組成物であって、
組成物のpHが、6.2
~6.8であり、組成物のオスモル濃度が、
150~350 mOsm/kgである、
水性組成物。
【請求項2】
ポリペプチドまたは
当量のその医薬的に許容される塩が、
0.008~0.012w/w%または
0.004~0.006w/w%であり;
EDTA二ナトリウムが、
0.0008~0.002w/w%であり;
チロキサポールが、
0.04~0.06w/w%であ
る、
請求項1に記載の
水性組成物。
【請求項3】
クエン酸緩衝液が、
0.001~0.015w/w%の無水クエン酸および
0.02~0.40w/w%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む、請求項
1または2に記載の
水性組成物。
【請求項4】
組成物のpHが
、6.5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項5】
組成物のオスモル濃度が、
180~210 mOsm/kgである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項6】
等張化剤がNaClであり、NaClの量が0.4~0.6
w/w%である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項7】
NaClの量が、0.5
w/w%である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項8】
組成物が、0.04
w/w%のメチルパラベンをさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項9】
組成物が、無菌である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項10】
複数の単回使用容器を含むキットであって、各容器が、請求項1~
9のいずれか一項に記載の
水性組成物を保持するためのベッセルを含む、キット。
【請求項11】
容器が
、0.05 mL
~1 mLの
水性組成物を含む、請求項
10に記載のキット。
【請求項12】
容器が、ベッセルをシールするための取り外し可能なシールトップ、およびベッセルとシールトップを相互接続するための首部分を含む、請求項
10~
11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
取り外し可能なシールトップが、取り外されると、ベッセルを再シールできない、請求項
12に記載のキット。
【請求項14】
容器が、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートG、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニリデン、またはそれらの組合せを含む、請求項
10~
13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
眼に局所適用する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項16】
請求項
10~
14のいずれか一項に記載の単回使用容器から眼に組成物の点眼剤を局所適用する、請求項
15に記載の
水性組成物。
【請求項17】
ドライアイの処置のための、請求項1~
9のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項18】
シェーグレン症候群の1つ以上の症状の処置のための、請求項1~
9のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項19】
組成物が、液剤、ゲル剤または軟膏剤である、
請求項1~9または15~18のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項20】
ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を処置するための
水性組成物であって、
該組成物が、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を有する対象体の眼に投与され
る、請求項
1~9または15~19のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項21】
投与が、処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後の対象体の眼におけるFCS総スコア(NEI/Industry Workshop 0~15のスケール)を改善する、請求項
20に記載の
水性組成物。
【請求項22】
投与が、下記:
ビジュアルアナログスケールにおけるベースラインと比較して
、少なくとも4週間の処置後の眼の乾燥;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE-1の全体スコア)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼における麻酔下のシルマーテスト;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるTFBUT;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるFCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後の個々の症状(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後の平均スコア(SANDE-2の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置後のFCSおよびSANDE 1および個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置後のLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置後の麻酔下のシルマーテスト結果;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して
、少なくとも4週間の処置
後のTFBUT
の1つ上を改善する、請求項
20または
21に記載の
水性組成物。
【請求項23】
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の有害事象率と比較して著しく高い有害事象率をもたらさない、請求項
20~
22のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項24】
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の有害事象率と比較して統計的に高い有害事象率をもたらさない、請求項
20~
22のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項25】
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の重症有害事象率と比較して統計的に高い重症有害事象率をもたらさない、請求項
20~
22のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項26】
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度が
、0.005
w/w%である、請求項
20~25のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項27】
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度が
、0.01
w/w%である、請求項
20~25のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項28】
対象体が、下記基準:
18歳以上;
6つの基準のうち4つまたは4つの兆候のうち3ついずれかを有する、American-European Consensus Groupシェーグレン症候群基準によるシェーグレン症候群の文書化された既往歴または現在の診断
;
ドライアイ関連眼症状の既往歴、および過去120日以内のオーバー・ザ・カウンター眼湿潤剤の使用を自己申告
をすべて満たし、そして、
処置開始前に下記基準:
a)米国国立眼病研究所(NEI)/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア≧4および<15(ここで、0=染色無し);
b)SANDE質問票を用いた≧40の症状スコア;
c)麻酔下のシルマーテストスコアが≦5 mm漏れ/5分;
d)NEI/Industry Workshopスケールを用いたリサミングリーン角膜染色(LGCS)総スコアが≧5(ここで、0=染色無し);
をすべて満たし、
対象体が
、少なくとも一方の眼であって同じ眼において4つすべての基準を満たさなければならない、
請求項
20~27のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項29】
対象体が、下記基準:
何らかの活動性感染眼状態;
単眼であるかまたは早期治療糖尿病網膜症研究(ETDRS)により評価される+1.0 logMAR以下の、必要に応じて矯正レンズを用いた、最高矯正視力(BCVA)を有する;
結膜炎、角膜炎、前部眼瞼炎を含む、ドライアイ症候群に関連しない眼炎症状
態;
瘢痕性眼表面疾患の臨床的証拠、例えば瘢痕性眼類天疱瘡またはスティーヴンス・ジョンソン症候群;
組成物での処置中に任意の局所眼用薬物適用(局所シクロスポリンを含む)の使用を中止できない;
組成物での処置を開始する前の60日以内にRestasis(登録商標)(局所点眼シクロスポリン)を使用した;
組成物での処置を開始する前の60日以内にXiidra(登録商標)(局所点眼リフィテグラスト)を使用した;
対象体の眼が、上位領域NEI/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア=15またはスコア=3を有するか、または対象体の眼が、拡散コンフルエント染色、フィラメントまたは明らかな上皮欠損を伴うFCSを有する;
活動性ヘルペス性角膜炎を有するかまたは処置を開始する365日以内にその突然の発生が起こっているか、またはヘルペス性疾患の慢性経口抗ウイルス薬を服用している対象体;
処置中にコンタクトレンズの使用を中断または中止できない;
原発性シェーグレン症候群以外の膠原病性血管疾患、自己免疫疾患またはリウマチ性疾患の既往歴を有する(例えば、狼瘡、リウマチ性関節炎など);
前部膜ジストロフィーの既往歴を有するか、または現在有する;
DALK、DSEKおよびDMEKを含む、角膜移植または同様の角膜手
術を受けた;
アミオダロンを使用したか、またはその使用を見込む;
処置を開始する前の30日以内に、テトラサイクリン、オメガ3またはオメガ6の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の60日以内および/または処置期間中に、抗コリン薬、抗うつ薬、経口避妊薬、イソトレチノイン、経口全身性コルチコステロイド、経口全身性免疫抑制薬の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の30日以内および/または試験期間中に、局所点眼抗ヒスタミン薬、点眼、吸入もしくは鼻腔内コルチコステロイド、局所もしくは経口肥満細胞安定化薬、経口抗ヒスタミン薬、局所もしくは鼻腔内血管収縮薬、局所点眼NSAID、局所点眼抗生物質を使用した;
対象体の眼において過去90日以内に涙点の焼灼を受けたかまたは処置開始前に涙点プラグへの変更(挿入または除去)があった;
対象体の眼において、
LASIK、PRKおよびRKを含む角膜屈折矯正手
術を受けた;
処置を開始する前の90日以内に眼内手術の既往歴を有すると共に、処置を開始する前の365日以内に眼表面または眼瞼に任意の手術方法の既往
歴
の1つ以上を満たさない、請求項
20~28のいずれか一項に記載の
水性組成物。
【請求項30】
N末端がアセチ
ル化されており、C末端がアミド化されてい
る、請求項
1~29のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項31】
ポリペプチドの量
またはその医薬的許容される塩の当量が、0.01
w/w%または0.005
w/w%である、請求項
1~30のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項32】
ビヒクル対照と該ポリペプチドでの処置の比較を、処置開始前のベースライン測定との比較の代わりに、またはそれに加えて含む、請求項
21~31のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項33】
組成物が、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項34】
組成物が、25±2℃および25±5%相対湿度にて2週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項35】
組成物が、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項36】
組成物が、5±3℃にて2か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項37】
組成物が、5±3℃または-20±5℃にて3か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項38】
組成物が、5±3℃にて4か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項39】
組成物が、5±3℃にて5か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も99.0%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【請求項40】
組成物が、5±3℃にて12か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくと
も80%のポリペプチドを維持する、請求項
1~32のいずれか一項に記載の
水性組成物またはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年7月10日出願の米国仮出願第62/530,565号および2017年2月21日出願の米国仮出願第62/461,467号に基づく優先権を主張し、各々の出願は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0002】
(連邦政府資金による研究開発の記載)
本発明は、米国国立衛生研究所によるR01EY024327の米国政府支援でなされた。米国政府は、本発明における一定の権利を有し得る。
【0003】
(配列表の参照)
添付の配列表の資料は、引用により本明細書の一部とする。TEAR.003WO.TXTの名称を有する添付の配列表のテキストファイルは、2018年2月14日に作成され、そのサイズは、7.18 KBである。配列表の内容は、その全体として引用により本明細書の一部とする。
【0004】
(発明の分野)
本願は、化学、生化学および医学の分野に関する。より具体的には、本願のいくつかの実施態様は、安定で低濃度のペプチド組成物および該組成物を含むキットに関する。特に、本願のいくつかの実施態様は、界面活性剤の有無にかかわらず、室温(例えば、20℃~25℃)にて安定である、クエン酸、EDTAおよびペプチドの水溶液を含む組成物を記載する。
【背景技術】
【0005】
ポリペプチドは、有望な治療薬としてますます認識されている。その結果、医薬品の研究開発においてポリペプチドの探索に関心が高まっている。しかしながら、ポリペプチドは、製剤化が困難であることが有名であり、該製剤を保存または安定化するのに用いられる添加物は、例えば、望ましくない副作用を生じる。
【発明の概要】
【0006】
治療量のペプチドを提供し、室温で安定であり、僅かな量のみの安定化剤および/または防腐剤を含有するか、または全く含有しないペプチド組成物に対するアンメット・ニーズがある。このようなニーズなどに対処するために、本願のいくつかの実施態様は、安定なポリペプチド組成物を提供する。有利には、いくつかの実施態様において、ペプチド(またはペプチドの組合せ)は、長期保存および/または長期間にわたる配送を可能にするように、本願の組成物中において安定化される。このように、これらのペプチド組成物は、再構築を必要とせずに非冷蔵温度にて安定であり、0~30℃の範囲の温度を含む温度範囲にわたって機能する。実際、本願の特定の実施態様は、部分的に、低濃度のクエン酸緩衝液と組み合わせて低濃度のEDTAを含む低濃度のペプチド組成物が、ポリペプチド組成物で典型的に見られるより実質的に低い添加物レベルを含有するが、このような組成物は、室温での保存後も有効なままであるという驚くべき予期しない発見に基づく。
【0007】
いくつかの実施態様は、約0.00001%~0.1%、0.001%~0.1%(例えば、0.01%または0.005%または0.001%)のポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩;約0.03%~3%(例えば、0.2888%)の緩衝剤;EDTA二ナトリウム不含、または約0.0001%~0.01%(例えば、0%、または0.001%)EDTA二ナトリウム;チロキサポール不含、または約0.005%~0.5%(例えば、0%、または0.05%)チロキサポール、および塩化ナトリウム(例えば、0.5%)を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる組成物(例えば、液体)であって、組成物のpHが、約6.2~約6.8であり、組成物のオスモル濃度が、約150~500 mOsm/kgまたはより高い(例えば、250~350)mOsm/kgである、組成物を提供する。液体組成物は、組合せ、混合物、溶液、ゲル組成物および軟膏を含むが、これらに限定されない。
【0008】
いくつかの実施態様において、緩衝剤は、クエン酸緩衝液である。いくつかの実施態様において、クエン酸緩衝液は、約0.001%~0.1%(例えば、0.0098%)無水クエン酸および約0.02%~2%(例えば、0.279%)クエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施態様において、組成物のpHは、約6.5である。
【0009】
いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約280~約320 mOsm/kgである。いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約300 mOsm/kgである。いくつかの実施態様において、NaClの量は、0.4%~0.6%(例えば、約0.5%)である。
【0010】
いくつかの実施態様において、組成物は、パラベン、例えばメチルパラベン(例えば、0.04%以下)をさらに含む。他の実施態様において、パラベンまたは他の防腐剤は、含まれない。いくつかの実施態様において、組成物は、亜塩素酸ナトリウムをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施態様は、複数の滅菌単回使用容器(container)を含むキットであって、各容器が、組成物を保持するためのベッセル(vessel)を含む、キットを提供する。いくつかの実施態様において、容器は、約0.03 mL~約1 mL(例えば、0.040 mL、0.050 mL、0.060 mL、0.070 mL、0.075 mL、0.1 mL、0.15 mL、0.2 mL、0.25 mL 0.3mL、0.35 mL、0.4 mL、0.45 mL、0.5 mL、0.6 mL、0.7 mL、0.8 mL、0.9 mL)の組成物を含む。いくつかの実施態様において、容器は、毎日の使用、毎週の使用、またはより長い期間の使用のためである。一実施態様において、1mL~30mLの容器が用いられる。いくつかの実施態様において、容器は、ドロップボトルまたはゲル/軟膏チューブである。いくつかの実施態様において、容器は、ベッセルをシールするための取り外し可能なシールトップ、およびベッセルとシールトップを相互接続するための首部分を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、容器は、次の材料の1つ以上から作られる:ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートG、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニリデン、またはそれらの組合せ。いくつかの実施態様において、容器内側表面への組成物の付着を減少させるガラス容器および表面を提供する。
【0013】
いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、配列番号1を有するLacripepTM、またはその医薬的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、配列番号2~9、またはその医薬的に許容される塩、または1つもしくは複数の断片の群より選択される。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、配列番号1または配列番号2~9に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、または98%の配列相同性を有する。
【0014】
いくつかの実施態様は、眼に組成物を、例えば単回使用容器からの液体点眼剤を局所適用することを含む投与方法を提供する。いくつかの実施態様は、眼に組成物を、例えば単回使用容器からの無菌の保存料無添加液体点眼剤を局所適用することを含む投与方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施態様は、本明細書に記載の組成物を、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を有する対象体の眼に投与することを含む、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を処置する方法であって、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、0.005%、または0.01%の量であり、ポリペプチドは、Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH2からなる配列を有し、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されており(配列番号1)、そして、1滴を対象体の眼に1日最大3回投与する、方法を提供する。いくつかの実施態様において、投与は、処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間の処置の開始から少なくとも6週間後の対象体の眼におけるフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア(NEI/Industry Workshop 0~15のスケール)を改善する。いくつかの実施態様において、投与は、下記の1つ上を改善する:
ビジュアルアナログスケールにおけるベースラインと比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の眼の乾燥;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE-1の全体スコア)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼における麻酔下のシルマーテスト;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるTFBUT;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるFCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の平均スコア(SANDE-2の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のFCSおよびSANDE 1および個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の麻酔下のシルマーテスト結果;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のTFBUT。
いくつかの実施態様において、対象体群への組成物の投与は、同様の対象体群へのプラセボの投与の有害事象率と比較して統計的に高い有害事象率をもたらさない。いくつかの実施態様において、対象体群への組成物の投与は、同様の対象体群へのプラセボの投与の重症有害事象率と比較して統計的に高い重症有害事象率をもたらさない。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度は、約0.005%である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度は、約0.01%である。いくつかの実施態様において、対象体は、下記基準:
18歳以上;
6つの基準のうち4つまたは4つの兆候のうち3つのいずれかを有する、American-European Consensus Groupシェーグレン症候群基準によるシェーグレン症候群の文書化された既往歴または現在の診断;
対象体がシェーグレン症候群の処置のための全身(経口)治療中である場合、対象体は、直前の90日間同じ処置として定義される安定した全身処置中でなければならない;
ドライアイ関連眼症状の既往歴、および過去120日以内のオーバー・ザ・カウンター眼湿潤剤の使用を自己申告
をすべて満たし、そして、
処置開始前に下記基準:
a)米国国立眼病研究所(NEI)/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア≧4および<15(ここで、0=染色無し);
b)SANDE質問票を用いた≧40の症状スコア;
c)麻酔下のシルマーテストスコアが≦5 mm漏れ/5分;
d)NEI/Industry Workshopスケールを用いたリサミングリーン角膜染色(LGCS)総スコアが≧5(ここで、0=染色無し);
をすべて満たし、
ここで対象体は、来院時に少なくとも一方の眼であって同じ眼において4つすべての基準を満たさなければならない。
いくつかの実施態様において、対象体は、下記基準:
何らかの活動性感染眼状態;
単眼であるかまたは早期治療糖尿病網膜症研究(ETDRS)により評価される+1.0 logMAR以下の、必要に応じて矯正レンズを用いた、最高矯正視力(BCVA)を有する;
ドライアイ症候群に関連しない眼炎症状態(例えば、結膜炎、角膜炎、前部眼瞼炎など);
瘢痕性眼表面疾患の臨床的証拠、例えば瘢痕性眼類天疱瘡またはスティーヴンス・ジョンソン症候群;
組成物での処置中に任意の局所眼用薬物適用(局所シクロスポリンを含む)の使用を中止できない;
組成物での処置を開始する前の60日以内にRestasis(登録商標)(局所点眼シクロスポリン)を使用した;
組成物での処置を開始する前の30~60日または60日以内にXiidra(登録商標)(局所点眼リフィテグラスト)を使用した;
対象体の眼が、上位領域(superior region)NEI/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア=15またはスコア=3を有するか、または対象体の眼が、拡散コンフルエント染色、フィラメントまたは明らかな(frank)上皮欠損を伴うFCSを有する;
活動性ヘルペス性角膜炎を有するかまたは処置を開始する365日以内にその突然の発生が起こっているか、またはヘルペス性疾患の慢性経口抗ウイルス薬を服用している対象体;
処置中にコンタクトレンズの使用を中断または中止できない;
原発性シェーグレン症候群以外の膠原病性血管疾患、自己免疫疾患またはリウマチ性疾患の既往歴を有する(例えば、狼瘡、リウマチ性関節炎など);
前部膜ジストロフィーの既往歴を有するか、または現在有する;
角膜移植または同様の角膜手術(DALK、DSEK、DMEKなど)を受けた;
アミオダロンを使用したか、またはその使用を見込む;
処置を開始する前の30日以内に、テトラサイクリン、オメガ3またはオメガ6の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の60日以内および/または処置期間中に、抗コリン薬、抗うつ薬、経口避妊薬、イソトレチノイン、経口全身性コルチコステロイド、経口全身性免疫抑制薬の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の30日以内および/または試験期間中に、局所点眼抗ヒスタミン薬、点眼、吸入もしくは鼻腔内コルチコステロイド、局所もしくは経口肥満細胞安定化薬、経口抗ヒスタミン薬、局所もしくは鼻腔内血管収縮薬、局所点眼NSAID、局所点眼抗生物質を使用した;
対象体の眼において過去90日以内に涙点の焼灼を受けたかまたは処置開始前に涙点プラグの変更(挿入または除去)があった;
対象体の眼において、角膜屈折矯正手術(LASIK、PRK、RK)を受けた;
処置を開始する前の90日以内に眼内手術の既往歴を有すると共に、処置を開始する前の365日以内に眼表面または眼瞼に任意の手術方法の既往歴;
妊娠しているか、または妊娠が疑われる;
授乳しているか、または授乳する予定がある;
処置を開始する前の30日以内に、デバイスもしくは治験薬試験または臨床試験に参加した
の1つ以上を満たさない。
【0016】
本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、ポリペプチドは、Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH2からなる配列を有し、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されている(配列番号1)。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、その医薬的に許容される塩のポリペプチドの量は、0.01%または0.005%である。いくつかの実施態様において、ビヒクル対照と該ポリペプチドでの処置の比較を、処置開始前のベースライン測定との比較の代わりに、またはそれに加えて含む。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、チロキサポールを含有しない。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、EDTAを含有しない。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、25±2℃および25±5%相対湿度にて2週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃にて2か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃または-20±5℃にて3か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃にて4か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃にて5か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.5%、99.9%、または99.95%のポリペプチドを維持する。本明細書に記載の組成物、キットまたは方法のいずれかのいくつかの実施態様において、組成物は、5±3℃にて12か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約80%または90%のポリペプチドを維持する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、pH 4.5および7.0のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)におけるLacripep
TM(配列番号1)(0.001%)の安定性を示す。Lacripep
TM溶液を、時間0(上パネル)および60℃で2週間後(下パネル)にMALDI TOF質量分析により分析した。2週間後に、分解生成物に対応する993.9(m/e)におけるピーク(矢印で示す)は、pH 4.5および7.0溶液両方におけるLacripep
TMの存在を明らかにする。更なる分解生成物が、約2270(m/e)(矢印で示す)にてpH 4.5溶液においてみられた。
【0018】
【
図2】
図2は、pH 6および6.5のクエン酸緩衝液におけるLacripep
TM(配列番号1)(0.001%)の優れた安定性を示す。Lacripep
TM溶液を、時間0(上パネル)および60℃で2週間後(下パネル)にMALDI TOF質量分析により分析した。2週間後に、Lacripep
TMピーク(矢印で示す)の強度に変化はなく、より低い質量対電荷比ピークに著しい増加はない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
以下は、本明細書で用いられる用語の例示的な定義である。他に明確に断らない限り、すべての本明細書で用いられる技術的および科学的用語は、本明細書全体に照らして当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、他に断らない限り、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0020】
本明細書で用いられる用語「約」は、言及する分量、値、数、頻度、パーセンテージ、量または重量に対して±10%変動する分量、値、数、頻度、パーセンテージ、量または重量を指す。
【0021】
他に断らない限り、パーセンテージ(%)の値が本願において用いられる場合、値は、重量/重量パーセントの値を指す。
【0022】
本明細書で用いられる用語「等張化剤」は、その通常の意味が与えられ、組成物のオスモル濃度を変えるのが主な目的である物質を含むものとする。適切な等張化剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、単糖、例えばデキストロース、フルクトース、ガラクトース、および/または単純なポリオール、例えば糖アルコールであるマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルチトール、マルチトール、加水分解水添デンプン、グリセリン、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で用いられる用語「安定化剤」は、その通常の意味が与えられ、ペプチドとの化学反応を阻害する物質を含むものとする。安定化剤は、例えば、抗酸化剤、例えばピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、およびこれらの組合せを含み得る。
【0024】
本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、その通常の意味が与えられ、両親媒性分子を含むものとし、疎水性基(尾部)と親水性基(頭部)の両方を含むことを意味する。したがって、界面活性剤は、水不溶性(または油溶性)構成要素および水溶性構成要素の両方を含む。本明細書で用いられる界面活性剤は、洗剤(detergent)、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、または分散剤であり得る。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、界面活性剤として作用し得る。
【0025】
本明細書で用いられる用語「キレート剤」は、その通常の意味が与えられ、金属イオンと2つ以上の結合を形成し得る化合物、すなわち多座配位子を含むものとする。キレート剤は、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、アミノ酸、例えばグルタミン酸およびヒスチジン、有機二酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸など、および前述の医薬的に許容される塩を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、キレート剤は、EDTA、またはその医薬的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、キレート剤として作用し得る。
【0026】
本明細書で用いられる用語「増粘剤」は、その通常の意味が与えられ、組成物の粘度(センチポアズ、またはCp)に影響を及ぼす物質を含むものとする。増粘剤の例は、多糖、例えばヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの様々なポリマー(およびその誘導体)、ビニルポリマー、およびアクリル酸ポリマーを含むが、これらに限定されない。増粘剤の非限定的な例は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリアクリル酸(PAA)を含む。
【0027】
本明細書で用いられる用語「眼科的に許容される」は、その通常の意味が与えられ、眼組織に適合する、すなわち眼組織と接触したときに重大なまたは過度の有害な作用を引き起こさない物質を含むものとする。
【0028】
本明細書で用いられる用語「安定な」、「安定性」または「安定化された」は、その通常の意味が与えられ、ポリペプチドの一次、二次および/または三次構造を向上させる生成物および組成物を含むものとする。いくつかの実施態様において、安定化された組成物は、所与の時間後に、許容されるパーセンテージのペプチド分解物、または凝集物、生成物を有し得る。これらのペプチド分解生成物は、例えば、ペプチドの酸化および/または加水分解の結果であり得る。
【0029】
本明細書で用いられる用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、相互交換可能に用いられ、その通常の意味が与えられるものとする。文脈からそうでないことが明確でない限り、記される用語は、ペプチド結合により連結した少なくとも2つ以上のアミノ酸を有するポリマーを含む。したがって、当該用語は、オリゴペプチド、類似体、誘導体、アセチル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグか誘導体などを含む。
【0030】
用語「医薬的に許容される塩」は、その通常の意味が与えられ、それが投与される生物体に著しい刺激を引き起こさず、化合物の生物学的な活性および特性を廃止しないまたは実質的に低下させない化合物の塩を含むものとする。いくつかの実施態様において、化合物の塩は、化合物の生物学的な活性および特性を向上させ得る。他の実施態様において、塩は、化合物の構造的完全性または化学的安定性をさらに向上させ得る。いくつかの実施態様において、塩は、化合物の酸付加塩である。医薬塩は、化合物を、無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸、またはリン酸と反応させることにより得られることができる。医薬塩はまた、化合物を、有機酸、例えば脂肪族または芳香族カルボキシル酸またはスルホン酸、例えばギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸またはナフタレンスルホン酸と反応させることにより得られることができる。医薬塩はまた、化合物を、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩またはマグネシウム塩などの塩を形成する塩基、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1-C7アルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどの有機塩基の塩、ならびにアルギニンおよびリシンなどのアミノ酸との塩と反応させることにより得られることができる。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、酢酸塩である。
【0031】
いくつかの実施態様における利点
上記および本明細書に記載される、本願のいくつかの実施態様は、室温で安定な組成物を提供する。いくつかの実施態様において、組成物は、望ましくない副作用を生じ得る安定化剤および他の添加物の濃度を低下させ、それでもなお所望の安定性を提供する。いくつかの実施態様において、組成物は、最大1、3、6、12、24および48時間の眼、鼻腔、口腔、上皮および他の組織における安定性を提供する。いくつかの実施態様において、組成物は、成分の一部またはすべてが、眼または他の領域への適用後に蒸発、吸収、排出または他の方法で排除されず、代わりに数時間(例えば、1~3時間、3~6時間、6~12時間、12~24時間、およびその範囲)安定で活性なままであるように、製剤化される。いくつかの実施態様において、組成物は、ペプチド、例えばLacripepTMまたは本明細書で特定される他の配列を含み、ここでペプチドは眼に適用され、ペプチドは、眼を覆う涙液の脂質層内へ、または涙液の油性成分と水性成分の界面に組み込まれ、ここでペプチドは、少なくとも1~3時間、少なくとも3~6時間、または少なくとも12~24時間、または24時間超の時間、涙液を安定化させ、涙液中に残存する。いくつかの実施態様において、活性成分(例えばペプチド)を長期間安定で効果的なままにすることができるため、この特徴は特に有利である。いくつかの実施態様において、投与頻度の減少は、身体の敏感な領域(例えば眼)に対する成分の全体的な負荷の軽減をもたらす。
【0032】
本明細書のいくつかの実施態様においてペプチドが提供されるが、他の化合物は、ペプチドに加えてまたはペプチドに代えて、活性成分として用いられ得る。
【0033】
ペプチドは、極めて選択的で効果的であり、同時に、比較的安全で忍容性が高い。
ペプチドが、特定の低分子ベースの治療薬と比較して化学的および物理的に不安定であり得るため、ペプチドは、本明細書に記載の組成物に特に上手く適合する。例えば、ペプチドは、加水分解、酸化、および凝集しやすい。ポリペプチド組成物は、典型的には、ペプチドの有効性を維持する多数の安定化剤、防腐剤、および他の作用剤と共に活性ペプチドを含有する水溶液である。安定化剤、防腐剤、および他の作用剤は、ポリペプチドの化学的および/または構造的な完全性を維持し得て、それ故にその有効性を保持する。特定の添加物、例えば安定化剤および防腐剤は、過敏症反応、掻痒、および刺痛または灼熱感を含む、望ましくない副作用を引き起こし得る。しかしながら、ペプチドの有効期間を最大化し、有効性を維持するために、これらの添加物が、ほとんどのペプチド組成物において望ましくない結果を引き起こす量で必要とされる。これらのすべての添加物を有する組成物であっても、ペプチド治療薬は、典型的には、冷蔵しなければならず、輸送を困難にし、冷蔵してもなお有効期間が短い。さらに、ペプチドが経時的に分解および/または凝集するため(特に、使用のために冷却保存から室温にするときに加温および冷却により)、副生成物は、不活性であるだけでなく、毒性および/または免疫原性である場合がある。製剤者は、組成物中の活性ペプチドの量を増加させることにより、ペプチド組成物の効力を増加させようと試み得る。しかしながら、ペプチド濃度の増加はまた、ペプチド凝集および不活性化の割合を増加させる。
【0034】
したがって、本明細書のいくつかの実施態様は、治療量のペプチドを提供し、室温で安定であり、安定化剤および/または防腐剤を減らして(例えば、僅かな量のみ)含有するか、または全く含有しないペプチド組成物を提供する。
【0035】
いくつかの実施態様において、ペプチドは:(a)アミノ酸配列KQFIENGSEFAQKLLKKFS、Ac-KQFIENGSEFAQKLLKKFS-NH
2、またはAc-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH
2、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されており(配列番号1)、「Lacripep
TM」とも称される;および(b)アミノ酸配列KQFIENGSEFAQKLLKKFSLLKPWA、Ac-KQFIENGSEFAQKLLKKFSLLKPWA-NH
2、またはAc-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-Leu-Leu-Lys-Pro-Trp-Ala-NH
2、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されている(配列番号2)からなる群より選択される。他の実施態様において、ペプチドは、以下の1つのアミノ酸配列、またはそれらの断片、所望によりN末端がアセチル化されたおよび/またはC末端がアミド化されたものを有する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0036】
いくつかの実施態様において、ペプチドは、アミノ酸配列Ac-KQFIENGSEFAQKLLKKFS-NH2またはAc-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH2により表され、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されている(配列番号1)。いくつかの実施態様において、ペプチドは、LacripepTMである。いくつかの実施態様において、ペプチドは、配列番号1~9のいずれか1つまたはそれ以上である。
【0037】
緩衝剤およびpH
緩衝剤は、溶液のpHを安定化させる、すなわち、酸性またはアルカリ性の物質が溶液に加えられるとき、pHの変化に抵抗する。本願組成物における使用に適した緩衝剤組成物は、グリシン塩酸塩、酢酸ナトリウム、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸一水素塩および二水素を含む)、クエン酸緩衝液(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)、リン酸-クエン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、炭酸緩衝剤(炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝剤、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0038】
いくつかの実施態様において、緩衝剤は、酢酸ナトリウム、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、クエン酸緩衝液(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)、およびリン酸-クエン酸緩衝液の1つ以上を含む。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、酢酸ナトリウム、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、クエン酸緩衝液(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)、およびリン酸-クエン酸緩衝液からなる群より選択される。
【0039】
いくつかの実施態様において、緩衝剤の量は、0.1、0.2、0.3、または0.4%未満、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲内に限定される。
【0040】
一実施態様において、緩衝剤は、クエン酸緩衝液である(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)。一実施態様において、唯一の緩衝剤は、クエン酸緩衝液であり、他の緩衝剤は、組成物中に存在しない。
【0041】
いくつかの実施態様において、組成物のpHが、6~7.4;6.1~7.3;6.2~7.2;6.3~7.1;6.4~7.0;6.5~6.9;6.6~6.8;またはその間の任意のpHである。
【0042】
いくつかの実施態様において、組成物のpHは、6;6.1;6.2;6.3;6.4;6.5;6.6;6.7;6.8;6.9;7;7.1;7.2;7.3;7.4、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲であるか、またはおよそそれである。
【0043】
一実施態様において、組成物のpHは、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、または6.8であるか、またはおよそそれである。
【0044】
組成物のpHは、酸または塩基の溶液の添加により必要に応じて調節され得る。コンジュゲートが眼科的に許容される任意の酸または塩基が、用いられ得る。酸は、例えば塩酸を含み、塩基は、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む。
【0045】
キレート剤
いくつかの実施態様において、組成物は、1つ以上のキレート剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、キレート剤は、エチレンジアミンテトラ酢酸、エデト酸二ナトリウム(EDTA)、エチレンジアミン、アミノ酸、例えばグルタミン酸およびヒスチジン、有機二酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸など、3-ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)、アルファリポ酸(ALA)、2,3-ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルホン酸(TTFD)、ペンシラミン、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、それらの組合せ、および前記の医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0046】
いくつかの実施態様において、キレート剤、非限定的な例としてEDTA、またはその医薬的に許容される塩は、0.0001%~0.1%;0.0005%~0.05%;0.0006%~0.04%;0.0007%~0.003%;0.0008%~0.002%;0.0009%~0.001%;またはそれに含まれる任意の値またはその範囲で存在する。いくつかの実施態様において、キレート剤は、0.1%;0.09%;0.08%;0.07%;0.06%;0.05%;0.04%;0.03%;0.02%;0.01%;0.009%;0.008%;0.007%;0.006%;0.005%;0.004%;0.003%;0.002%;0.001%;0.0009%;0.0008%;0.0007%;0.0006%;0.0005%;0.0004%;0.0003%;0.0002%;または0.0001%であるか、またはそれ未満である量で存在するか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0047】
いくつかの実施態様において、キレート剤、例えばEDTAなど、またはその医薬的に許容される塩は、約0.05%未満または約0.005%未満(例えば、約0.001%)で存在する。
【0048】
安定化剤
緩衝剤およびキレート剤は、pHを維持し、金属イオンを介したペプチドの分解を減少させることにより、組成物のペプチド成分を安定化させ得る。いくつかの実施態様において、組成物は、緩衝剤および/またはキレート剤に加えて1つ以上のペプチド安定化剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、緩衝剤および/またはキレート剤に加えて1つ以上の安定化剤は、二糖、多糖(例えば、ヒアルロン酸)、ポリオール、糖アルコール、アミノ酸、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、およびそれらの組合せからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、安定化剤の非限定的な例は、トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ヒスチジン、グリシン、およびアルギニン、およびそれらの組合せを含む。一実施態様において、組成物は、緩衝剤および/またはキレート剤に加えて安定化剤を含まない。
【0049】
ポリペプチド分解
ポリペプチドは、物理的および化学的分解、例えば、凝集、せん断、酸化、脱アミド化、および加水分解しやすい。実際、液体ペプチド組成物は、製造および保存中に物理的および化学的に不安定になるリスクが高い。ポリペプチド分解の減少は、極めて少量の特定のペプチドを最初に含有する、低濃度のペプチド製剤にとって特に重要である。最初の少量のごくわずかな量の損失さえ、組成物の有効性に著しく影響を及ぼし得る。
【0050】
いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定される。いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)により決定される。
【0051】
いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、暗所または光曝露下に、室温にて、数日間、数週間または数か月間(例えば、1~24日またはか月間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24日またはか月間)置いた後、決定される。
【0052】
いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、暗所または光曝露下に、2~8℃、例えば5℃、またはその間の任意の値にて、数日間、数週間または数か月間、(例えば、1~24日またはか月間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24日またはか月間)置いた後、決定される。
【0053】
いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、暗所または光曝露下に、-10~-30℃、例えば-25℃、またはその間の任意の値にて、数日間、数週間または数か月間、(例えば、1~24日またはか月間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24日またはか月間)置いた後、決定される。
【0054】
いくつかの実施態様において、組成物の安定性は、暗所または光曝露下に置き、2から8℃に(保存)、またはその間の任意の値、室温に、5分間、1日当たり1、2または3回、1~60日間移動させた後、決定される。
【0055】
いくつかの実施態様において、組成物は、上記または本明細書に記載の条件の1つ以上に曝露した後に、インタクト、未分解または未凝集の形態の、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の元の量または活性の、少なくとも99.99%、99.95%、99.9%、99%;98%;97%;96%;95%;94%;93%;92%;91%;90%;89%;88%;87%;86%;85%;84%;83%;82%;81%;80%;79%;78%;77%;76%;75%;74%;73%;72%;71%;70%;またはその間の任意の値を提供する。一つの実施態様において、インタクトポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の量または活性は、元の量の少なくとも80%、85%、90%または95%である。いくつかの実施態様において、インタクトポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の量または活性は、元の量の少なくとも97%である。
【0056】
いくつかの実施態様において、組成物は、上記または本明細書に記載の条件の1つ以上に曝露した後に、30%;29%;28%;27%;26%;25%;24%;23%;22%;21%;20%;19%;18%;17%;16%;15%;14%;13%;12%;11%;10%;9%;8%;7%;6%;5%;4%;3%;2%;1%以下のペプチド凝集生成物またはペプチド分解生成物を含むか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。いくつかの実施態様において、組成物は、約15%以下、または20%以下の不活性ペプチドを含む。
【0057】
いくつかの実施態様において、組成物は、上記または本明細書に記載の条件の1つ以上に曝露した後に、30%;29%;28%;27%;26%;25%;24%;23%;22%;21%;20%;19%;18%;17%;16%;15%;14%;13%;12%;11%;10%;9%;8%;7%;6%;5%;4%;3%;2%;1%以下のペプチド分解生成物およびペプチド凝集生成物の総量を含むか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0058】
いくつかの実施態様において、組成物は、極めて低い濃度の緩衝剤を、極めて低い濃度のキレート剤と組み合わせて含む。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、クエン酸緩衝液であり、キレート剤は、EDTAである。低濃度のクエン酸緩衝液(例えば、0.012%~0.020%)とEDTA(例えば、0.0005%~0.005%)の組合せは、低濃度のペプチド(例えば、0.001~0.01%)を含有する組成物を安定化させるという驚くべき予期しない利益を提供する。このような安定化組成物は、ペプチド凝集および分解を減少させ、これによりペプチド組成物の有効性を維持し、組成物における望ましくない分解生成物の蓄積を減少させることにより、ペプチド組成物を製造、輸送、保存および使用する際に利点を提供する。
【0059】
いくつかの実施態様において、安定化組成物は、分解および/または凝集生成物の形成率を低下させる。
【0060】
いくつかの実施態様において、ペプチドは、LacripepTMである。いくつかの実施態様において、安定化組成物は、約5%、4%、3%、2%、または約1%未満の全分解生成物を含む。いくつかの実施態様において、安定化組成物は、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%、1.25%、1.5%、1.75%、または2.0%以下のいずれか1つの分解生成物を含む。いくつかの実施態様において、安定化組成物は、約5%、4%、3%、2%、または約1%未満の全分解生成物および0.25%、0.5%、0.75%、1.0%、1.25%、1.5%、1.75%、または2.0%以下のいずれか1つの分解生成物を含む。
【0061】
いくつかの実施態様において、凝集生成物は、二量体、三量体、四量体、またはより高次のペプチド凝集体を含む。
【0062】
防腐剤
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物における微生物の増殖を防止するために、1つ以上の防腐剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の無菌性を維持するために、1つ以上の防腐剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、組成物は、微生物の増殖を防止し、組成物の無菌性を維持するために、1つ以上の防腐剤をさらに含む。しかしながら、多くの実施態様において、防腐剤は、減少させた量で提供される。いくつかの実施態様において、1つ以上の防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、臭化ベンザルコニウム、メチルパラベン、プロピパラベン、フェニルエチルアルコール、過ホウ酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、クロロブタノール、ソルビン酸、塩化ベンゼトニウム、酢酸ナトリウム、ポリクオタニウム-1、硝酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、プロピオン酸ナトリウム、クロルヘキシジン、チメロサール、およびそれらの組合せからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、組成物は、防腐剤を含有しない。いくつかの実施態様において、組成物は、検出可能な濃度の防腐剤を含有しない。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、自己保存性であり得る、すなわち、更なる防腐剤は、組成物の無菌性を維持するのに必要でない。
【0063】
いくつかの実施態様において、防腐剤は、0.0001%~1%;0.01%~0.9%;0.05%~0.8%;0.1%~0.7%;0.2%~0.3%;0.4%または0.5%、またはそれに含まれる任意の値で存在する。いくつかの実施態様において、防腐剤は、1%;0.9%;0.8%;0.7%;0.6%;0.5%;0.4%;0.3%;0.2%;0.1%;0.09%;0.08%;0.07%;0.06%;0.05%;0.04%;0.03%;0.02%;0.01%;0.009%;0.008%;0.007%;0.006%;0.005%;0.004%;0.003%;0.002%;または0.001%であるか、またはそれ未満である量で存在するか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0064】
いくつかの実施態様において、組成物は、無菌である。いくつかの実施態様において、組成物は、無菌環境において無菌成分から製造される。いくつかの実施態様において、組成物は、包装前に滅菌される。いくつかの実施態様において、組成物は、(1)組成物への1つ以上の4級塩化アンモニウムの添加;(2)電離放射線への組成物の曝露;(3)組成物のろ過;(4)包装後の電離放射線への組成物の曝露;および前述の任意の組合せの1つ以上により滅菌される。いくつかの実施態様において、ろ過は、組成物をフィルター(ポリビニルジフルオリドまたは他の適切な膜(例えば、ポリエーテルスルホン)を有する0.22μmフィルターを含むが、これらに限定されない)を通過させることを含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、ペプチドは、静菌量および/または殺菌量で提供される。いくつかの実施態様において、組成物中に提供されるペプチドの量は、1、2または3滴の組成物が眼の表面に投与されるとき、静菌性および/または殺菌性である。いくつかの実施態様において、ペプチドは、例えば眼に投与されるとき、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌に対して静菌性および/または殺菌性である。いくつかの実施態様において、組成物中のペプチドの量は、標準的な細菌学的アッセイにおいて、ペプチドを含有しない対照組成物と比較して、細菌の増殖を少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%抑制するのに十分である。いくつかの実施態様において、細菌学的アッセイにおける細菌は、P・エルギノーサ、E・コリ、S・エピデルミディス、S・アウレウス、またはそれらの組合せより選択される。いくつかの実施態様において、細菌学的アッセイは、細菌増殖アッセイ、SYTOXグリーンアッセイ、ウェル拡散アッセイ、ブロスまたはカンテン希釈アッセイ、タイムキル試験、抗菌性グラジェントアッセイ、ATP生物発光アッセイ、またはプロピジウム-ヨウ化物フローサイトメトリーアッセイより選択される。いくつかの実施態様において、静菌量および/または殺菌量で提供されるペプチドは、LacripepTMである。
【0066】
いくつかの実施態様において、細菌学的アッセイは、USPのセクション<51>アッセイまたはFDAにより義務付けられたアッセイである。例えば、元の製品容器は、ペプチド溶液を含有し、各容器に調製および標準化された接種菌液の1つ(例えば、P・エルギノーサ、E・コリ、S・エピデルミディス、S・アウレウス、またはそれらの組合せ)を播種し、混合した。懸濁接種菌液の量は、製品の量の約0.5%~1.0%とし、播種直後の試験調製物の濃度は、製品1 mL当たり1x105~1x106コロニー形成物(CFU)とする(例えば、プレート計数法または別の微生物計数試験により測定される)。
【0067】
播種された容器を、制御された環境において22.5±2.5℃の間でインキュベートし、特定の間隔(例えば、7、14、および28日)でサンプリングする。サンプリングごとに、外観の変化を記録し、CFU/mLを決定する。CFU/mLのlog10値の変化は、対数減少の点から経時変化を提供する。製品は、7日目における最初の計算された数からの1.0以下の対数減少、14日目における最初の数からの3.0以下の対数減少、および細菌について28日において14日目の数から増加しないこと、および酵母およびカビの最初の数から増加しないことを提供する。いくつかの実施態様において、静菌量および/または殺菌量で提供されるペプチドは、LacripepTMである。
【0068】
界面活性剤
いくつかの実施態様において、組成物は、1つ以上の界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、1つ以上の界面活性剤は、洗剤(detergent)、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、分散剤、およびそれらの組合せから選択される。
【0069】
いくつかの実施態様において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤は、アニオン性官能基、例えば硫酸、スルホン酸、リン酸、およびカルボン酸をその頭部に含む。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、硫酸エステル、スルホン酸エステル、またはリン酸エステル、例えば硫酸エステルである。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウムおよびラウリル硫酸ナトリウム、例えばラウリル硫酸ナトリウム(SDS、ドデシル硫酸ナトリウムとも呼ばれる)を含むかまたはそれらからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、アルキル-エーテル硫酸塩であり、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウムとしても知られる)、およびミレス硫酸ナトリウムを含むかまたはそれらからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、ドクサート、例えばスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロブタンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAB)である。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、カルボン酸塩、例えばアルキルカルボン酸塩(石鹸)、例えばステアリン酸ナトリウム;ラウロイルサルコシンナトリウムおよびカルボン酸ベースのフルオロ界面活性剤、例えばペルフルオロノナン酸、ペルフルオロオクタン酸(PFOAまたはPFO)である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、組成物の界面活性剤特性に寄与する。
【0070】
いくつかの実施態様において、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤であり、その電荷は、pH依存性、例えば1級、2級または3級アミン、例えばオクテニジン二塩酸塩であり得る;または永久的に帯電した4級アンモニウムカチオン、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)または塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC);塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化ベンザルコニウム(BAC);臭化ベンゼトニウム(BZT);5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン;塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム;または臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODAB)を含み得る。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、双性イオン性界面活性剤である(すなわち、同じ分子に結合したカチオン性およびアニオン性中心の両方を有する)。カチオン性部分は、1級、2級または3級アミンまたは4級アンモニウムカチオンに基づき得る。アニオン性部分は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸)のように、可変で、スルホン酸を含み得る。他のアニオン性基は、コカミドプロピルヒドロキシスルタインにより例示されるスタイン類;コカミドプロピルベタインなどのベタイン類;レシチンなどのリン酸類であり得る。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤(帯電していない)であり得る。
【0071】
多くの長鎖アルコールは、いくつかの界面活性剤特性を示し、いくつかの実施態様において組成物の一部として本明細書で提供される。これらのうち顕著なものは、脂肪アルコールである、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセトステアリルアルコール(主にセチルおよびステアリルアルコールからなる)、およびオレイルアルコールである。他の界面活性剤は、コカミドMEA、コカミドDEA、ドデシルジメチルアミンオキシド、およびポリエトキシ化獣脂アミン(POEA)を含む。非イオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル類、例えばオクタエチレングリコールモノデシルエーテルまたはペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル;ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;グルコシドアルキルエーテル類、例えばデシルグルコシド、ラウリルグルコシド、またはオクチルグルコシド;ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル類、例えばトリトンX-100;ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル類、例えばノノキシノール-9;グリセロールアルキルエステル類、例えばラウリン酸グリセル;ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル類(ポリソルベート);ソルビタンアルキルエステル類(スパン);ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、またはポロキサマー類を含む。
【0072】
いくつかの実施態様において、組成物は、当該技術分野で知られる量で人工涙液に見られる1つ以上の成分を含み得て、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(別名HPMCまたはヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびヒアルロン酸(別名ヒアルロナン、HA)、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、組成物は、前述の人工涙液成分のいずれも含有しない。
【0073】
いくつかの実施態様において、界面活性剤は、別のペプチドまたはタンパク質である。いくつかの実施態様において、非限定的な例として、界面活性剤は、ヒト血清アルブミンである。いくつかの実施態様において、別の非限定的な例として、界面活性剤は、LacripepTMである。
【0074】
いくつかの実施態様において、界面活性剤は、チロキサポール(ホルムアルデヒド;オキシラン;4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)である。一実施態様において、唯一の界面活性剤は、チロキサポールであり、他の界面活性剤は、組成物中に存在しない。
【0075】
いくつかの実施態様において、界面活性剤、非限定的な例としてチロキサポールは、0.01%~1%;0.05%~0.9%;0.1%~0.8%;0.2%~0.7%;0.3%~0.6%;0.4%または0.5%、またはそれに含まれる任意の値で存在する。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、1%;0.9%;0.8%;0.7%;0.6%;0.5%;0.4%;0.3%;0.2%;0.1%;0.09%;0.08%;0.07%;0.06%;0.05%;0.04%;0.03%;0.02%;0.01%;0.009%;0.008%;0.007%;0.006%;0.005%;0.004%;0.003%;0.002%;または0.001%であるか、またはそれ未満である量で存在するか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0076】
いくつかの実施態様において、組成物は、界面活性剤を含有しない。いくつかの実施態様において、組成物は、検出可能な濃度の界面活性剤を含有しない。
【0077】
等張化剤およびオスモル濃度
いくつかの実施態様において、組成物は、1つ以上の等張化剤をさらに含む。このような等張化剤は、浸透圧改変作用を有する任意のポリペプチドまたは緩衝剤に加えられる。いくつかの実施態様において、1つ以上の等張化剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、単糖、例えばデキストロース、フルクトース、ガラクトース、および/または単純なポリオール、例えば糖アルコールであるマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルチトール、マルチトール、加水分解水添デンプン、グリセリン、およびそれらの組合せより選択される。
【0078】
いくつかの実施態様において、1つ以上の等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロース、マンニトール、およびそれらの組合せより選択される。
【0079】
いくつかの実施態様において、等張化剤は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施態様において、塩化ナトリウムは、0.01%~1%;0.05%~0.9%;0.1%~0.8%;0.2%~0.75%;0.3%~0.7%;0.4%~0.6%;またはそれに含まれる任意の値で存在する。いくつかの実施態様において、塩化ナトリウムは、1%;0.95%;0.9%;0.85%;0.8%;0.75%;0.7%;0.65%;0.6%;0.55%;0.5%;0.45%;0.4%;0.35%;0.3%;0.25%;0.2%;0.15%;0.1%;0.09%;0.08%;0.07%;0.06%;0.05%;0.04%;0.03%;0.02%;または0.01%であるか、またはおよそそれである量で存在するか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0080】
いくつかの実施態様において、唯一の等張化剤は、塩化ナトリウムであり、他の等張化剤は、組成物中に存在しない。
【0081】
いくつかの実施態様において、等張化剤、非限定的な例として塩化ナトリウムは、所望のレベルにオスモル濃度を調節するために組成物に加えられる。いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約150~約400 mOsm/kg;約170~約380 mOsm/kg;約190~約360 mOsm/kg;約210~約340 mOsm/kg;約230~約320 mOsm/kg;約250~約300 mOsm/kg;約270~約280 mOsm/kg;またはその間の任意の値である。いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約250~約350 mOsm/kg;約260~約340 mOsm/kg;約270~約330 mOsm/kg;約280~約320 mOsm/kg;約290~約310 mOsm/kg;またはその間の任意の値である。
【0082】
いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、150 mOsm/kg;160 mOsm/kg;170 mOsm/kg;180 mOsm/kg;190 mOsm/kg;200 mOsm/kg;210 mOsm/kg;220 mOsm/kg;230 mOsm/kg;240 mOsm/kg;250 mOsm/kg;260 mOsm/kg;270 mOsm/kg;280 mOsm/kg;290 mOsm/kg;300 mOsm/kg;310 mOsm/kg;320 mOsm/kg;330 mOsm/kg;340 mOsm/kg;または350 mOsm/kgであるか、またはおよそそれであるか、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲である。
【0083】
いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約280 mOsm/kgおよび約320 mOsm/kgである。一実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約300 mOsm/kgである。いくつかの実施態様において、NaClは、所望のレベルに溶液のオスモル濃度を調節するために用いられる。一実施態様において、組成物は、ヒト涙液と等張であるか、またはおよそ等張である。
【0084】
ポリペプチドおよび他の成分
いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、10~150個のアミノ酸;10~50個のアミノ酸;100~150個のアミノ酸;30~70個のアミノ酸;またはそれに含まれる任意の数を有する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、10~30個のアミノ酸;11~29個のアミノ酸;12~28個のアミノ酸;13~27個のアミノ酸;14~26個のアミノ酸;15~25個のアミノ酸;16~24個のアミノ酸;17~23個のアミノ酸;18~22個のアミノ酸;19~21個のアミノ酸;またはそれに含まれる任意の数を有する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の長さは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50個のアミノ酸、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲であるか、またはおよそそれである。
【0085】
いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩のC末端は、アミド化されている。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩のN末端は、アセチル化されている。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の1つ以上の側鎖は、アセチル化されている。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の1つ以上の側鎖は、アミド化されている。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩のN末端は、アセチル化されており、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩のC末端は、アミド化されている。
【0086】
いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、アミノ酸配列:Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-Leu-Leu-Lys-Pro-Trp-Ala-NH2(配列番号2)を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなり、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されている(「NH2」により示される)。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、アミノ酸配列:Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH2(配列番号1)を含み、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されている(「NH2」により示される)。いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、配列番号3~9の群より選択される配列、またはその断片もしくは医薬的に許容される塩を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。
【0087】
いくつかの実施態様において、組成物中のポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の量は、0.0001%~1%;0.0005%~0.5%;0.001%~0.1%;0.005%~0.05%;0.006%~0.04%;0.007%~0.03%;0.008%~0.02%;または0.009%~0.01%であるか、またはおよそそれである。一実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、約0.003%~0.09%(例えば、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%およびその範囲)で組成物中に存在する。
【0088】
いくつかの実施態様において、ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、0.0001、0.00025、0.0005、0.00075、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015、0.020、0.030、0.040、0.050、0.060、0.070、0.080、0.090、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0%、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲であるか、およそそれであるか、それを超えるか、またはそれ未満である量で組成物中に存在する。
【0089】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%~約0.05%のポリペプチド、例えばLacripepTMまたは本明細書で特定される他のペプチド、またはその医薬的に許容される塩;約0.001%~約0.015%の無水クエン酸;約0.02%~約0.40%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.0005%~約0.005%のEDTA二ナトリウム;約0.005%~約0.15%のチロキサポール、および所望により、約0.005%~約0.1%のメチルパラベンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約pH 6.2~約pH 6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.1%~約1%である。一実施態様において、組成物は、メチルパラベンを含まない。一実施態様において、組成物は、列挙した成分のみからなり、更なる活性成分、添加剤(例えば、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、および等張化剤)、担体または希釈液を含まない。
【0090】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.01%±0.001%のポリペプチド、例えばLacripepTMまたは本明細書で特定される他のペプチド、またはその医薬的に許容される塩;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポール、約0.04%±0.004%のメチルパラベンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。一実施態様において、組成物は、メチルパラベンを含まない。
【0091】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.005%±0.0005%のポリペプチド、例えばLacripepTMまたは本明細書で特定される他のペプチド、またはその医薬的に許容される塩;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポール、約0.04%±0.004%のメチルパラベンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。一実施態様において、組成物は、メチルパラベンを含まない。
【0092】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%±0.0001%のポリペプチド、例えばLacripepTMまたは本明細書で特定される他のペプチド、またはその医薬的に許容される塩;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポール、約0.04%±0.004%のメチルパラベンを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。一実施態様において、組成物は、メチルパラベンを含まない。
【0093】
上記の無菌組成物を含むが、これらに限定されないいくつかの実施態様において、ポリペプチドは、配列番号1を有するLacripepTM、またはその医薬的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、配列番号2を有するポリペプチド、またはその医薬的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、配列番号3~9の群より選択される配列を有するポリペプチド、またはその医薬的に許容される塩もしくは1つもしくは複数の断片である。
【0094】
上記の無菌組成物を含むが、これらに限定されないいくつかの実施態様において、組成物のpHは、約6.5~約6.6である。
【0095】
上記の無菌組成物を含むが、これらに限定されないいくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約280~約320 mOsm/kgである。いくつかの実施態様において、組成物のオスモル濃度は、約300 mOsm/kgである。
【0096】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.01%±0.001%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0097】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.005%±0.0005%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0098】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%±0.0001%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0099】
上記の無菌組成物を含むが、これらに限定されない一実施態様において、組成物は、列挙した成分のみからなり、更なる活性成分、添加剤(例えば、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、および等張化剤)、担体または希釈液を含まない。いくつかの実施態様において、列記した成分のいずれか1つ以上の量は、列記した量の5%および/または±1%の量で提供される。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、液剤、ゲル剤または軟膏剤として製造される。ゲル剤または軟膏剤は、液剤より長い時間眼と接触する組成物を提供する際に利点となるか、または他の利益を提供する。したがって、一実施態様において、ゲル剤または軟膏剤は、対象体が眠っているとき、または対象体の眼が長時間(例えば、1、2、3、4、5またはそれ以上の時間)閉じているときに組成物を対象体に適用する場合に有用である。ゲル剤または軟膏剤は、使用者の好みに基づいて他の時点で用いられ得る。
【0101】
非限定的な例示組成物(本明細書に記載の方法およびキットで用いられ得る)としては、下記表1.1、1.2、1.3および1.4における組成物が挙げられる。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0102】
表1.1~1.4に示される組成物の実施態様はまた、開示された量の±1%の範囲、開示された量の±2%の範囲、開示された量の±3%の範囲、開示された量の±4%の範囲、または開示された量の±5%の範囲で開示された成分を有する組成物を含む。いくつかの実施態様において、表1.1~1.4に示される組成物は、-20±5℃、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて少なくとも1または2週間、1、2、3、4または5か月の組成物の保存後、組成物中に開始時の未分解の形態で少なくとも約99.0%、99.9%、99.95%、または99.99%の配列番号1のLacripepポリペプチドを維持する。いくつかの実施態様において、表1.1~1.4に示される組成物は、-20±5℃または5±3℃にて少なくとも12か月の組成物の保存後、組成物中に開始時の未分解の形態で少なくとも約80%または90%の配列番号1のLacripepポリペプチドを維持する。いくつかの実施態様において、表1.1~1.4に示される組成物は、約0.2~0.8%、または約0.5%のNaClを含有する。
【0103】
他の治療成分
いくつかの実施態様において、組成物は、本明細書に記載のポリペプチドに加えて1つ以上の更なる治療薬を含む。これらの治療薬は、シェーグレン症候群を含むドライアイおよび関連する症候群および状態の処置のための当業者に公知の物質を含み得る。
更なる治療薬の非網羅的リストは、コリン作動薬(例えば、ピロカルピン、セビメリン)、シクロスポリン、リフィテグラスト、デキサメサゾン(または他のコルチコステロイド、例えばプレドニゾロン)、コンドロイチン硫酸の有無にかかわらずヒアルロン酸(およびその誘導体)、シクロカット、SI-614、skQ1、Cis-UCA、CycloASol、RGN-259、ジクアホソル、アナキンラ、トファシチニブ、EBI-005、EGP-437、KP-121、MIM-D3、OTX-DP、レバミピド(OPC-12759)、およびRU-101を含む。いくつかの実施態様において、更なる治療薬は、Xiidra(リフィテグラスト、SAR-1118)である。いくつかの実施態様において、1つ以上の更なる治療薬は、ポリペプチドの塩として影響される。カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(別名HPMCまたはヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレングリコーポリマー、およびヒアルロン酸(別名ヒアルロナン、HA)、および涙液軟膏剤、例えば白色ワセリン、鉱油、および同様の潤滑剤の1つ以上を含む人工涙液および他の潤滑剤はまた、組成物中に含まれ得る。これらの更なる治療薬は、既知の治療量または治療量以下の量で含まれ得る。
【0104】
容器およびキット
いくつかの実施態様において、組成物は、1つ以上の複数回使用容器を含むキットで提供される。いくつかの実施態様において、複数回使用容器は、保護キャップおよび液体貯蔵ボトルを含み、ここで、キャップは、フレキシブルコネクターを介してボトルに接続される。ブロッキングプラグが、保護キャップの上面の中央に配置される。円錐形または他の適切な形状の液体排出口が、ボトルカバーの中央に配置され、保護キャップのブロッキングプラグとしっかりとマッチする。したがって、無菌組成物は、複数回使用のための容器に入れられ得る。
【0105】
いくつかの実施態様において、容器中の組成物の量は、0.1~0.5、0.5~1.0、1~2、2~5、5~10、10~20、20~30、または30~60 mLまたはその間の任意の範囲であるか、またはおよそそれである。容器は、ボトル、チューブ、バイアルまたは他の適切な容器であり得る。複数回使用容器には、12時間、24時間、2~7日サイクル、1か月サイクルまたは指定の有効期限まで使用するために説明書が付随し得る。単回使用容器は、単回適用サイクルのための片目または両目における使用に適し得る。
【0106】
いくつかの実施態様において、組成物は、単回使用容器を含むキットで提供される。いくつかの実施態様において、組成物は、複数の単回使用容器を含むキットで提供される。いくつかの実施態様において、単回使用容器は、液体を保持するためのベッセル、ベッセルをシールするための取り外し可能なシールトップ、所望によりベッセルとシールトップを相互接続するための首部分を含む。いくつかの実施態様において、使用するための説明書と共に複数の単回使用容器を含むキットを提供する。
【0107】
いくつかの実施態様において、容器は、医薬的に不活性な材料を含む。いくつかの実施態様において、容器は、ガラス、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートG、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニリデン、またはそれらの組合せを含む。
【0108】
いくつかの実施態様において、容器は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン、またはそれらの組合せを含む。
【0109】
いくつかの実施態様において、容器中の組成物の量は、0.02 mL;0.05 mL~1 mL;0.1 mL~0.95 mL;0.15 mL~0.8 mL;0.2 mL~0.85 mL;0.25 mL~0.8 mL;0.3 mL~0.75 mL;0.35 mL~0.7 mL;0.4 mL~0.65 mL;0.45 mL~0.6 mL;0.5 mL~0.55 mL;またはその間の任意の量であるか、またはおよそそれである。
【0110】
いくつかの実施態様において、容器中の組成物の量は、0.02 mL;0.025 mL;0.030 mL;0.035 mL;0.040 mL;0.045 mL;0.050 mL;0.055 mL;0.060 mL;0.065 mL;0.070 mL;0.075 mL;0.1 mL;0.15 mL;0.2 mL;0.25 mL;0.3 mL;0.35 mL;0.4 mL;0.45 mL;0.5 mL;0.55 mL;0.6 mL;0.65 mL;0.7 mL;0.75 mL;0.8 mL;0.85 mL;0.9 mL;0.95 mL;または1 mLの組成物、または前述の値のいずれか2つにより定義される範囲内である量であるか、またはおよそそれである。
【0111】
点眼および他の投与
いくつかの実施態様において、組成物は、眼に局所投与される。いくつかの実施態様において、組成物は、ドライアイのいずれかの形態、またはシェーグレン症候群に関連するドライアイ(または他の症状、例えば口渇)を患っている個体にその投与のために投与される。いくつかの実施態様において、それは、含嗽液、タブ、パッチ、スプレーまたはロゼンジとして口に投与される。本明細書に記載の組成物は、液体(液剤、ゲル剤、軟膏剤など)としてまたは他の形態、例えば粉末またはパッチ、タブなどで提供され得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、下記の1つ以上を達成するために用いられる:基底流涙、唾液分泌、一般的な粘膜および眼表面の湿りを回復させる;眼表面および粘膜の恒常性を回復させ、急速だが一時的にオートファジーを促進して、眼全体にわたってまたは他の臓器において圧力、ストレスまたは変性疾患を排除する;炎症を減少させて、創傷の治癒(例えば屈折矯正手術後の角膜や口腔の創傷の治癒)を促進し、涙液層を安定化させ、細菌感染を抑制する。
【0112】
いくつかの実施態様において、眼への局所投与は、眼の表面に1滴以上の組成物を投与することを含む。例えば、一実施態様において、使用者は、コンタクトレンズでなく、眼の表面に適用するよう指示される。他の実施態様において、点眼剤(または他の適用)は、コンタクトレンズを装着したままの投与に適する。いくつかの実施態様において、組成物は、各眼に1滴として送達される単回用量として容器から投与される。いくつかの実施態様において、点眼剤は、約0.020 mL~約0.050 mL、またはその間の任意の量である。いくつかの実施態様において、点眼剤は、約0.035 mLである。
【0113】
いくつかの実施態様において、眼への組成物の投与は、1つ以上の患者報告症状またはドライアイまたはシェーグレン症候群の臨床兆候を改善する。ドライアイ症状または兆候の改善は、下記の1つ以上により評価され得る:
・フルオレセイン角膜染色(FCS)(領域により0~3スケール、5つの領域について、合計0~15スケール、the NEI/Industry Workshopスケールを用いる)
・リサミングリーン角膜染色(LGCS)(領域により0~3スケール、合計0~18スケール、NEI/Industry Workshopスケールを用いる)
・麻酔下のシルマーテスト(5分間の濡れのmm)、
・涙液層破壊時間(秒数)
・ビジュアルアナログスケールで患者により報告され、ベースラインからの平均変化として一覧にされた眼の乾燥
・ドライアイ関連眼症状の質問票(SANDE:ドライアイ症状の頻度と重症度)、(Schaumberg D, et al. Development and Validation of a Short Global Dry Eye Symptom Index. The Ocular Surface. January 2007, Vol 5; 1; 50-57、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0114】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%~約0.05%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.001%~約0.015%の無水クエン酸;約0.02%~約0.40%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.0005%~約0.005%のEDTA二ナトリウム;約0.005%~約0.15%のチロキサポール、および約0.005%~約0.1%のメチルパラベンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約pH 6.2~約pH 6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.1%~約1%である。一実施態様において、組成物は、メチルパラベンを含まない。一実施態様において、組成物は、列挙した成分のみからなり、更なる活性成分、添加剤(例えば、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、および等張化剤)、担体または希釈液を含まない。
【0115】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%~約0.05%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.001%~約0.015%の無水クエン酸;約0.02%~約0.40%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.0005%~約0.005%のEDTA二ナトリウム;および約0.005%~約0.15%のチロキサポールを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約pH 6.2~約pH 6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.1%~約1%である。一実施態様において、組成物は、列挙した成分のみからなり、更なる活性成分、添加剤(例えば、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、および等張化剤)、担体または希釈液を含まない。
【0116】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.01%±0.001%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0117】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.005%±0.0005%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0118】
いくつかの実施態様において、組成物は、約0.001%±0.0001%のLacripepTM(配列番号1)または本明細書で特定される他のペプチド;約0.0098%±0.001%の無水クエン酸;約0.279%±0.028%のクエン酸ナトリウム二水和物;約0.001%±0.0001%のEDTA二ナトリウム;約0.05%±0.005%のチロキサポールを含む無菌の水性組成物であって;ここで、組成物のpHは、NaOHまたはHClを用いて約6.2~約6.8に調節され、組成物のオスモル濃度は、NaClを用いて約250~約350 mOsm/kgに調節される、組成物である。いくつかの実施態様において、NaClの量は、約0.50%±0.05%である。
【0119】
いくつかの実施態様は、本明細書に記載の組成物を、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を有する対象体の眼に投与することを含む、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を処置する方法を含む。一実施態様において、本明細書に記載の組成物は、シェーグレン症候群を処置するために用いられる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、下記基準の1つ以上を有する対象体を処置するために用いられる:
I. 眼の症状
・少なくとも3か月ドライアイの症状
・眼の異物感
・1日3回以上の人工涙液の使用
II. 口の症状
・少なくとも3か月口渇の症状
・唾液腺の再発性または永続性の腫れ
・乾燥食品を飲み込むために液体が必要
III. 眼の兆候
・異常麻酔下のシルマーテスト、(麻酔無し;≦5 mm/5分間)
・眼の表面の生体染色陽性所見
IV. 病理組織学
・局所的リンパ球性唾液腺炎を示す口唇生検(フォーカススコアが4 mm2当たり≧1)
V. 口の兆候
・無刺激の全唾液流量(15分間で≦1.5 mL)
・異常な耳下腺シアログラフィー
・異常な唾液シンチグラフィ
VI. 自己抗体
・抗SSA(Ro)(抗シェーグレン症候群関連抗原A)または抗SSB(La)(抗シェーグレン症候群関連抗原B)、またはその両方。
一実施態様において、本明細書に記載の組成物は、上記6つのカテゴリーのそれぞれからの少なくとも1つの基準を有する対象体を処置するために用いられる。いくつかの実施態様において、組成物中のポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩は、0.005%、または0.01%の量のLacripepTM(Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH2からなる配列を有し、ここで、「Ac」は、アセチル基を表し、C末端は、アミド化されており(配列番号1))である。いくつかの実施態様において、点眼液は、クエン酸(約0.0098%無水)、クエン酸ナトリウム(約0.279%のクエン酸ナトリウム無水物)、EDTA二ナトリウム(約0.001%)、NaCl(約300 mOsm/kgへ)、チロキサポール(約0.05%)、NaOH(約6.5 pHへ)、USP精製水を、ポリペプチド、例えば、LacripepTMに加えてさらに含む。有効性を評価するために、いくつかの実施態様は、ポリペプチドを含まないビヒクル点眼液を含むプラセボを利用する。いくつかの実施態様において、組成物の1滴を眼に1日最大3回投与する。いくつかの実施態様において、投与は、処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間の処置の開始から少なくとも6週間後の対象体の眼におけるFCS総スコア(NEI/Industry Workshop 0~15のスケール)を改善する。いくつかの実施態様において、投与は、下記の1つ上を改善する:
ビジュアルアナログスケールにおけるベースラインと比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の眼の乾燥;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE-1の全体スコア)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼における麻酔下のシルマーテスト;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるTFBUT;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるFCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の平均スコア(SANDE-2の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のFCSおよびSANDE 1および個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の麻酔下のシルマーテスト結果;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のTFBUT。
【0120】
いくつかの実施態様において、比較は、ビヒクル対照との比較を、代わりにまたはさらに含む。
【0121】
一実施態様において、下記の薬物/治療薬のいずれか1つ以上が、本明細書に記載の組成物と共投与されず、一実施態様において、下記の薬物/治療薬のいずれか1つ以上が、本明細書に記載の組成物と共投与される:
処方箋薬およびオーバー・ザ・カウンター(OTC)薬を含む点眼薬(任意の局所眼用薬物適用)
コンタクトレンズ
処置を開始する前の365日以内に眼表面または眼瞼に任意の手術方法、または処置を開始する前の90日以内に眼内手術
アミオダロン
局所点眼抗ヒスタミン薬
点眼、吸入もしくは鼻腔内コルチコステロイド
点眼もしくは経口肥満細胞安定化薬
経口抗ヒスタミン薬
局所もしくは鼻腔内血管収縮薬
局所点眼NSAID
局所点眼抗生物質
処置の前60日以内および/またはその間に、局所シクロスポリン、局所リフィテグラスト
処置の前90日以内および/またはその間に、涙点の焼灼または涙点プラグまたは鼻涙管手術への変更(挿入または除去)。
眼のヘルペス性疾患に対する慢性経口抗ウイルス薬。
【実施例】
【0122】
以下は、本明細書に記載の実施態様のいくつかの非限定的な例である。
【0123】
実施例1 ペプチド組成物の安定性
いくつかのLacripep
TM(配列番号1)点眼製剤を、-20℃、5℃、25℃/25%相対湿度または25℃/60%相対湿度における1週間、2週間、1か月、2か月、3か月、4か月および12か月での安定性について試験した。これらの製剤を表1.5に示し、安定性データを表2(分解生成物をLacripep
TMの開始時量のw/w%として示す)および表3(12か月のデータ)に示す。すべての試験条件において、各製剤は、無色澄明な溶液のままであり、包装は、漏れたり変色したりしなかった。
【表5】
【表6】
【表7】
【0124】
実施例2 ペプチドの安定性の比較
Lacripep
TM(配列番号1)の安定性を、pH 4.5および7.0のPBS(
図1)およびpH 6.0および6.5のクエン酸緩衝液(
図2)において評価した。Lacripep
TMの初期濃度は、0.001%であり、各試験を60℃にて実施した。MALDI TOF質量分析を用いて、実験開始時(第0週、
図1および2の上パネル)および2週間後(第2週、
図1および2の上パネル)に安定性を評価した。2週間後に、pH 4.5および7.0のPBSにおいて、新たなより低いm/eピーク、例えば993.9(m/e)におけるピーク(小さい矢印、
図1の下パネル)の出現により示されるように、Lacripep
TMピーク(大きい矢印)で著しい分解が観察された。対照的に、pH 6.0および6.5のクエン酸緩衝液における2週間後に、Lacripep
TMピーク(大きい矢印)の強度に変化、または任意の新たなより低いm/eピーク(
図2、下パネル)の出現はなかった。これは、クエン酸緩衝液におけるペプチドの安定性の予期しない改善を示す。
【0125】
実施例3 組成物の製造方法
表4は、下記に説明する方法を要約する。
【0126】
適切なサイズの製造ベッセルに、精製水(パート)およびメチルパラベンを加える。プロペラ混合を行いながら、メチルパラベンが溶解し、澄明な溶液が得られるまで65℃±5℃に混合物を加熱し、その後熱を取り除く。澄明な溶液を得るのに必要な場合、混合物を最高80℃±2℃に加熱し得る。
【0127】
さらに連続的プロペラ混合を行いながら、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびEDTA二ナトリウムを加える。3つの成分すべてが溶解するまで混合し、澄明な溶液が得られ、溶液の温度は22℃±2℃未満である。
【0128】
さらに連続的プロペラ混合を行いながら、チロキサポールおよびLacripepTM(配列番号1)を加え、澄明な溶液が得られるまで混合する。
【0129】
必要に応じて、10%NaOH(aq)または10%HCl(aq)でバルク溶液のpHを6.5±0.3に調節する。溶液が均一になるまで混合する。
【0130】
必要に応じて、25%NaCl(aq)で溶液のオスモル濃度を300±20 mOsm/kgに調節する。
【0131】
バッチに精製水(パートII)を適量加え、バッチを100%にする。溶液が均一になるまでプロペラで混合する。
【表8】
【0132】
実施例4 組成物の製造方法 防腐剤を含まない組成物
表5は、下記に説明する方法を要約する。
【0133】
適切なサイズの製造ベッセルに、精製水(パート)を加える。連続的プロペラ混合を行いながら、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびEDTA二ナトリウムを加える。3つの成分すべてが溶解するまで混合し、澄明な溶液が得られ、溶液の温度は22℃±2℃未満である。
【0134】
さらに連続的プロペラ混合を行いながら、チロキサポールおよびLacripepTM(配列番号1)を加え、澄明な溶液が得られるまで混合する。
【0135】
必要に応じて、10%NaOH(aq)または10%HCl(aq)でバルク溶液のpHを6.5±0.3に調節する。溶液が均一になるまで混合する。
【0136】
必要に応じて、25%NaCl(aq)で溶液のオスモル濃度を300±20 mOsm/kgに調節する。
【表9】
【0137】
実施例5 組成物の製造方法
表6は、下記に説明する方法を要約する。
【0138】
適切なサイズの製造ベッセルに、精製水(パート)を加える。連続的プロペラ混合を行いながら、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびEDTA二ナトリウムを加える。3つの成分すべてが溶解するまで混合し、澄明な溶液が得られ、溶液の温度は22℃±2℃未満である。
【0139】
さらに連続的プロペラ混合を行いながら、チロキサポールおよびLacripepTM(配列番号1)を加え、澄明な溶液が得られるまで混合する。
【0140】
必要に応じて、10%NaOH(aq)または10%HCl(aq)でバルク溶液のpHを6.5±0.3に調節する。溶液が均一になるまで混合する。
【0141】
必要に応じて、25%NaCl(aq)で溶液のオスモル濃度を300±20 mOsm/kgに調節する。
【表10】
【0142】
例えば、組成物は、0.05%未満の活性成分、例えばポリペプチド(例えば、0.001~0.02%、0.001~0.05%)、またはその医薬的に許容される塩;ならびに(i)0.6%未満の緩衝剤(例えば、0.001~.3%、0.001~0.6%);(ii)0.01%未満のEDTA二ナトリウム(例えば、0%、0.001~.005%、0.001~0.01%);および(iii)0.1%未満のチロキサポール(例えば、0%、0.001~0.05%、0.001~0.1%)の1つ以上、および任意の他の成分を含む。
【0143】
さらに、前述は、明確化および理解の目的で例示および例としてある程度詳細に説明したが、本開示の精神から逸脱することなく多数のおよび様々な改変がなされ得ることが当業者に理解される。したがって、本明細書に開示される形態は、例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろ本発明の実施態様の真の範囲および精神を伴うすべての改変および代替も包含することを意図すると明確に理解すべきである。
【0144】
本願、特に特許請求の範囲において、用いられる用語および語句およびその変形は、他に明確に断らない限り、限定とは対照的にオープンエンドと解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む」は、「限定されることなく含む」、「含むが、これらに限定されない」などを意味すると解釈されるべきである。
【0145】
不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。数字の前の「約」の使用は、数字自体を含む。例えば、「約5」は、「5」について明示的なサポートを提供する。
本発明は、以下の態様および実施態様を含む。
項1.
0.00001~0.1%、または0.001~0.05%のポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩;
0.01~0.6%の緩衝剤;
EDTA二ナトリウム不含、または0.0005~0.01%のEDTA二ナトリウム;
チロキサポール不含、または0.01~0.1%のチロキサポール;および
塩化ナトリウム;
を含む液体組成物であって、
組成物のpHが、6.2~約6.8であり、組成物のオスモル濃度が、約250~350 mOsm/kgである、組成物。
項2.
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩が、0.01%または0.005%であり;
緩衝剤が、0.25~0.31、または0.2888%であり;
EDTA二ナトリウムが、0.001%であり;
チロキサポールが、0.05%であり、
組成物のpHが、6.2~約6.8であり、組成物のオスモル濃度が、約250~350 mOsm/kgであり、
ポリペプチドが、配列番号1を有するLacripep、またはその医薬的に許容される塩である、
項1に記載の組成物。
項3.
緩衝剤が、クエン酸緩衝液である、項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
項4.
クエン酸緩衝液が、0.0098%の無水クエン酸および0.279%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む、項3に記載の組成物。
項5.
組成物のpHが、約6.5である、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
項6.
組成物のオスモル濃度が、280~320 mOsm/kgである、項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
項7.
組成物のオスモル濃度が、300 mOsm/kgである、項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
項8.
NaClの量が、0.4%~0.6%である、項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
NaClの量が、0.5%である、項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
項10.
組成物が、0.04%のメチルパラベンをさらに含む、項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
項11.
組成物が、無菌である、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
項12.
複数の単回使用容器を含むキットであって、各容器が、項1~11のいずれか一項に記載の組成物を保持するためのベッセルを含む、キット。
項13.
容器が、約0.05 mL~約1 mLの組成物を含む、項12に記載のキット。
項14.
容器が、ベッセルをシールするための取り外し可能なシールトップ、およびベッセルとシールトップを相互接続するための首部分を含む、項12~13のいずれか一項に記載のキット。
項15.
取り外し可能なシールトップが、取り外されると、ベッセルを再シールできない、項14に記載のキット。
項16.
容器が、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートG、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニリデン、またはそれらの組合せを含む、項12~15のいずれか一項に記載のキット。
項17.
1滴以上の項1~11のいずれか一項に記載の組成物を眼に局所適用することを含む、投与方法。
項18.
投与が、項12~16のいずれか一項に記載の単回使用容器から眼に組成物の点眼剤を局所適用することをさらに含む、項17に記載の方法。
項19.
ドライアイの処置のための、項1~11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
項20.
シェーグレン症候群の1つ以上の症状の処置のための、項1~11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
項21.
0.005~0.05%のポリペプチド、ならびに下記の1つ以上:
0.1~0.6%の緩衝剤;
0.0005~0.01%のEDTA二ナトリウム;
0.01~0.1%のチロキサポール、および
塩化ナトリウム
を含む、局所用組成物であって、
組成物が、液剤、ゲル剤または軟膏剤である、組成物。
項22.
ポリペプチドが、0.001~0.01%の量で提供される、項21に記載の組成物。
項23.
ポリペプチドが、涙液糖タンパク質またはその断片である、項21または22に記載の組成物。
項24.
ポリペプチドが、配列番号1~9のいずれか1つである、項21~23に記載の組成物。
項25.
ポリペプチドが、Lacripepである、項21~24に記載の組成物。
項26.
ドライアイまたはシェーグレン症候群の1つ以上の症状を処置するのに用いるための、項21~25に記載の組成物。
項27.
先行する項のいずれか一項に記載の組成物を、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を有する対象体の眼に投与することを含む、ドライアイおよび/または原発性シェーグレン症候群を処置する方法であって、
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩が、0.005%、または0.01%の量であり、
ポリペプチドが、Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH
2
からなる配列を有し、ここで、「Ac」が、アセチル基を表し、C末端が、アミド化されており(配列番号1)、
1滴を対象体の眼に1日最大3回投与する、方法。
項28.
投与が、処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間の処置の開始から少なくとも6週間後の対象体の眼におけるFCS総スコア(NEI/Industry Workshop 0~15のスケール)を改善する、項27に記載の方法。
項29.
投与が、下記:
ビジュアルアナログスケールにおけるベースラインと比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の眼の乾燥;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後のSANDE(SANDE-1の全体スコア)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼における麻酔下のシルマーテスト;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるTFBUT;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後の対象体の眼におけるFCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のSANDE(SANDE 1の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の平均スコア(SANDE-2の全体スコア);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後の個々の症状評価(反射)の平均スコア;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のFCSおよびSANDE 1および個々の症状評価(瞬時);
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後のLGCS;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後の麻酔下のシルマーテスト結果;
処置を開始する前のベースライン測定と比較して、少なくとも2週間の処置後、または少なくとも4週間の処置後、または4週間処置の1週間後のTFBUT
の1つ上を改善する、項27~28に記載の方法。
項30.
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の有害事象率と比較して著しく高い有害事象率をもたらさない、項27~29のいずれか一項に記載の方法。
項31.
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の有害事象率と比較して統計的に高い有害事象率をもたらさない、項27~29のいずれか一項に記載の方法。
項32.
対象体群への組成物の投与が、同様の対象体群へのプラセボの投与の重症有害事象率と比較して統計的に高い重症有害事象率をもたらさない、項27~29のいずれか一項に記載の方法。
項33.
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度が、約0.005%である、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項34.
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩の濃度が、約0.01%である、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項35.
対象体が、下記基準:
18歳以上;
6つの基準のうち4つまたは4つの兆候のうち3ついずれかを有する、American-European Consensus Groupシェーグレン症候群基準によるシェーグレン症候群の文書化された既往歴または現在の診断;
対象体がシェーグレン症候群の処置のための全身(経口)治療中である場合、対象体は、直前の90日間同じ処置として定義される安定した全身処置中でなければならない;
ドライアイ関連眼症状の既往歴、および過去120日以内のオーバー・ザ・カウンター眼湿潤剤の使用を自己申告
をすべて満たし、そして、
処置開始前に下記基準:
a)米国国立眼病研究所(NEI)/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア≧4および<15(ここで、0=染色無し);
b)SANDE質問票を用いた≧40の症状スコア;
c)麻酔下のシルマーテストスコアが≦5 mm漏れ/5分;
d)NEI/Industry Workshopスケールを用いたリサミングリーン角膜染色(LGCS)総スコアが≧5(ここで、0=染色無し);
をすべて満たし、
対象体が、来院時に少なくとも一方の眼であって同じ眼において4つすべての基準を満たさなければならない、
先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項36.
対象体が、下記基準:
何らかの活動性感染眼状態;
単眼であるかまたは早期治療糖尿病網膜症研究(ETDRS)により評価される+1.0 logMAR以下の、必要に応じて矯正レンズを用いた、最高矯正視力(BCVA)を有する;
ドライアイ症候群に関連しない眼炎症状態(例えば、結膜炎、角膜炎、前部眼瞼炎など);
瘢痕性眼表面疾患の臨床的証拠、例えば瘢痕性眼類天疱瘡またはスティーヴンス・ジョンソン症候群;
組成物での処置中に任意の局所眼用薬物適用(局所シクロスポリンを含む)の使用を中止できない;
組成物での処置を開始する前の60日以内にRestasis(登録商標)(局所点眼シクロスポリン)を使用した;
組成物での処置を開始する前の60日以内にXiidra(登録商標)(局所点眼リフィテグラスト)を使用した;
対象体の眼が、上位領域NEI/Industry Workshopスケールにおいてフルオレセイン角膜染色(FCS)総スコア=15またはスコア=3を有するか、または対象体の眼が、拡散コンフルエント染色、フィラメントまたは明らかな上皮欠損を伴うFCSを有する;
活動性ヘルペス性角膜炎を有するかまたは処置を開始する365日以内にその突然の発生が起こっているか、またはヘルペス性疾患の慢性経口抗ウイルス薬を服用している対象体;
処置中にコンタクトレンズの使用を中断または中止できない;
原発性シェーグレン症候群以外の膠原病性血管疾患、自己免疫疾患またはリウマチ性疾患の既往歴を有する(例えば、狼瘡、リウマチ性関節炎など);
前部膜ジストロフィーの既往歴を有するか、または現在有する;
角膜移植または同様の角膜手術(DALK、DSEK、DMEKなど)を受けた;
アミオダロンを使用したか、またはその使用を見込む;
処置を開始する前の30日以内に、テトラサイクリン、オメガ3またはオメガ6の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の60日以内および/または処置期間中に、抗コリン薬、抗うつ薬、経口避妊薬、イソトレチノイン、経口全身性コルチコステロイド、経口全身性免疫抑制薬の用量を変更するか、またはその用量の変更を見込む;
処置を開始する前の30日以内および/または試験期間中に、局所点眼抗ヒスタミン薬、点眼、吸入もしくは鼻腔内コルチコステロイド、局所もしくは経口肥満細胞安定化薬、経口抗ヒスタミン薬、局所もしくは鼻腔内血管収縮薬、局所点眼NSAID、局所点眼抗生物質を使用した;
対象体の眼において過去90日以内に涙点の焼灼を受けたかまたは処置開始前に涙点プラグへの変更(挿入または除去)があった;
対象体の眼において、角膜屈折矯正手術(LASIK、PRK、RK)を受けた;
処置を開始する前の90日以内に眼内手術の既往歴を有すると共に、処置を開始する前の365日以内に眼表面または眼瞼に任意の手術方法の既往歴;
妊娠しているか、または妊娠が疑われる;
授乳しているか、または授乳する予定がある;
処置を開始する前の30日以内に、デバイスもしくは治験薬試験または臨床試験に参加した
の1つ以上を満たさない、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項37.
ポリペプチドが、Ac-Lys-Gln-Phe-Ile-Glu-Asn-Gly-Ser-Glu-Phe-Ala-Gln-Lys-Leu-Leu-Lys-Lys-Phe-Ser-NH
2
からなる配列を有し、ここで、「Ac」が、アセチル基を表し、C末端が、アミド化されている(配列番号1)、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項38.
その医薬的に許容される塩のポリペプチドの量が、0.01%または0.005%である、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項39.
ビヒクル対照と該ポリペプチドでの処置の比較を、処置開始前のベースライン測定との比較の代わりに、またはそれに加えて含む、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項40.
組成物が、
0.001~0.05%のポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩;
0.01~0.6%の緩衝剤;
0.0005~0.01%のEDTA二ナトリウム;
0.01~0.1%のチロキサポール、および
塩化ナトリウム
を含み、
組成物のpHが、6.2~約6.8であり、組成物のオスモル濃度が、約250~350 mOsm/kgである、
先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項41.
ポリペプチドまたはその医薬的に許容される塩が、0.01%であり;
緩衝剤が、0.2888%であり;
EDTA二ナトリウムが、0.001%であり;
チロキサポールが、0.05%であり;
組成物のpHが、6.2~約6.8であり、組成物のオスモル濃度が、約250~350 mOsm/kgである
ポリペプチドが、配列番号1を有するLacripep、またはその医薬的に許容される塩である、
項40に記載の組成物、キットまたは方法。
項42.
組成物が、チロキサポールを含有しない、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項43.
組成物が、EDTAを含有しない、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項44.
組成物が、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項45.
組成物が、25±2℃および25±5%相対湿度にて2週間の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項46.
組成物が、5±3℃または25±2℃および25±5%相対湿度にて1か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項47.
組成物が、5±3℃にて2か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項48.
組成物が、5±3℃または-20±5℃にて3か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項49.
組成物が、5±3℃にて4か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項50.
組成物が、5±3℃にて5か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.0%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項51.
組成物が、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.5%のポリペプチドを維持する、項44~50のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項52.
組成物が、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.9%のポリペプチドを維持する、項44~50のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項53.
組成物が、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約99.95%のポリペプチドを維持する、項44~50のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項54.
組成物が、5±3℃にて12か月の該組成物の保存後、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約80%のポリペプチドを維持する、先行する項のいずれか一項に記載の組成物、キットまたは方法。
項55.
組成物が、該組成物中に未分解の形態で少なくとも約90%のポリペプチドを維持する、項54に記載の組成物、キットまたは方法。
【配列表】