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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】眼鏡取付型磁気治療器
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/08 20060101AFI20230209BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61N2/08 H
G02C11/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020096195
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186382
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000112299
【氏名又は名称】ピップ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506159699
【氏名又は名称】株式会社ジンズホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 法子
(72)【発明者】
【氏名】北村 等
(72)【発明者】
【氏名】北垣内 康文
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201532501(CN,U)
【文献】実開昭61-065426(JP,U)
【文献】特開2002-169129(JP,A)
【文献】特開2016-041106(JP,A)
【文献】特開2016-005506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/08
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡に取り付けられて使用される眼鏡取付型磁気治療器であって、
前記眼鏡の一対のテンプルまたはモダンのそれぞれに、それぞれの一方側の端部が着脱可能に連結される一対の可撓性部材と、
前記一対の可撓性部材の少なくとも一方に設けられた磁性体と、
前記一対の可撓性部材のそれぞれの他方側の端部同士を連結する連結部材とを備え、
前記連結部材は、前記眼鏡に取り付けられた状態において、前記一対の可撓性部材が前記眼鏡の装着者の首部後側を挟む角度をもって互いに傾斜するように、前記一対の可撓性部材のそれぞれの他方側の端部同士を連結する、
眼鏡取付型磁気治療器。
【請求項2】
前記連結部材は、
本体部と、
前記本体部から第1の方向に突出し、前記一対の可撓性部材のうちの一方の可撓性部材の他方側の端部に連結される第1の連結部と、
前記本体部から第2の方向に突出し、前記一対の可撓性部材のうちの他方の可撓性部材の他方側の端部に連結される第2の連結部と
を備え、
前記第1の方向と前記第2の方向とが、前記一対の可撓性部材の前記角度に対応して、互いに対して傾斜している、
請求項1記載の眼鏡取付型磁気治療器。
【請求項3】
前記一対の可撓性部材の互いに対する角度が90~120°の範囲内である、
請求項1または2記載の眼鏡取付型磁気治療器。
【請求項4】
前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記一方側の端部から前記他方側の端部に向かって、長手方向に垂直な断面積が大きくなるように形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の眼鏡取付型磁気治療器。
【請求項5】
前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記一方側の端部から前記他方側の端部に向かって、長手方向に垂直な断面の形状が、幅と高さが略等しい形状から、高さより幅が大きい形状に変化するように形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の眼鏡取付型磁気治療器。
【請求項6】
前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記他方側の端部の近傍における長手方向に垂直な断面が高さより幅が大きくなるように形成され、
前記一対の可撓性部材は、幅方向に延在する面同士が前記角度をもって互いに傾斜している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡取付型磁気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡取付型磁気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1には、眼鏡に取り付けられて使用される磁気眼鏡チェーンが開示されている。特許文献1の磁気眼鏡チェーンは、ワイヤを介して複数の磁気ヘマタイトが連結され、そのワイヤがボールチェーンと連結されることで、全体として変形自在な長尺状に形成されている。磁気眼鏡チェーンは、磁気眼鏡チェーンが取り付けられた眼鏡を人体に装着することで、首の後ろ周りに磁気ヘマタイトが接触するように位置付けられ、磁気ヘマタイトによる磁気の効果を得ることで血行促進作用による健康増進効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3174570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の磁気眼鏡チェーンは、全体として変形自在に形成されており、眼鏡を人体に装着する際に首部周辺の形状に応じて変形するので、首部の後側周辺に磁石が位置付けられやすい構造になっている。その一方で、スポーツをするなどして身体を動かす場合には、身体の動きに連動して変形するとともに移動しやすいので、磁石の位置が変動しやすいだけでなく、首の周辺をチェーンが摺動して首に違和感を与えてしまう。逆に、磁気眼鏡チェーンを、一定以上の力を加えることで変形可能な可撓性を有する材料で構成すると、身体を動かす際の変形や摺動といった問題は軽減されるが、眼鏡の装着時における首部周辺の形状に応じた変形も抑制されるので、首部の後側から磁石が離間して配置されるなど、首部の後側周辺に磁石が適切に位置付けにくいという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、身体を動かしても変形が抑制されるとともに、首部の後側に磁性体を適切に位置付けることができる眼鏡取付型磁気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の眼鏡取付型磁気治療器は、眼鏡に取り付けられて使用される眼鏡取付型磁気治療器であって、前記眼鏡の一対のテンプルまたはモダンのそれぞれに、それぞれの一方側の端部が着脱可能に連結される一対の可撓性部材と、前記一対の可撓性部材の少なくとも一方に設けられた磁性体と、前記一対の可撓性部材のそれぞれの他方側の端部同士を連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記眼鏡に取り付けられた状態において、前記一対の可撓性部材が前記眼鏡の装着者の首部後側を挟む角度をもって互いに傾斜するように、前記一対の可撓性部材のそれぞれの他方側の端部同士を連結することを特徴とする。
【0007】
また、前記連結部材は、本体部と、前記本体部から第1の方向に突出し、前記一対の可撓性部材のうちの一方の可撓性部材の他方側の端部に連結される第1の連結部と、前記本体部から第2の方向に突出し、前記一対の可撓性部材のうちの他方の可撓性部材の他方側の端部に連結される第2の連結部とを備え、前記第1の方向と前記第2の方向とが、前記一対の可撓性部材の前記角度に対応して、互いに対して傾斜していることが好ましい。
【0008】
また、前記一対の可撓性部材の互いに対する角度が90~120°の範囲内であることが好ましい。
【0009】
また、前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記一方側の端部から前記他方側の端部に向かって、長手方向に垂直な断面積が大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記一方側の端部から前記他方側の端部に向かって、長手方向に垂直な断面の形状が、幅と高さが略等しい形状から、高さより幅が大きい形状に変化するように形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記一対の可撓性部材のそれぞれは、前記他方側の端部の近傍における長手方向に垂直な断面が高さより幅が大きくなるように形成され、前記一対の可撓性部材は、幅方向に延在する面同士が前記角度をもって互いに傾斜していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、身体を動かしても変形が抑制されるとともに、首部の後側に磁性体を適切に位置付けることができる眼鏡取付型磁気治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る眼鏡取付型磁気治療器の平面図である。
図2図1の眼鏡取付型磁気治療器の正面図である。
図3図1の眼鏡取付型磁気治療器の可撓性部材の断面図であり、(a)は図1のIIIa-IIIa線断面図であり、(b)は図1のIIIb-IIIb線断面図であり、(c)は図1のIIIc-IIIc線断面図である。
図4図2の眼鏡取付型磁気治療器における可撓性部材と連結部材との連結を解除した状態を拡大して示す正面図である。
図5図1の眼鏡取付型磁気治療器が取り付けられた眼鏡が人体に装着された状態を示す図である。
図6図1の眼鏡取付型磁気治療器が取り付けられた眼鏡を被験者が装着した際に磁石が首部の後側に当たっているか否かを判定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る眼鏡取付型磁気治療器を説明する。ただし、以下の実施形態は一例であり、本発明の眼鏡取付型磁気治療器は以下の例に限定されることはない。
【0015】
本実施形態の眼鏡取付型磁気治療器1(以下では、単に「磁気治療器」という)は、図5に示されるように、眼鏡Gに取り付けられて使用される。磁気治療器1は、以下で詳しく述べるように、眼鏡Gに取り付けられることで、眼鏡Gを装着した人体の首部Nの後側に磁性体3を位置付けて、首部Nの後側に磁場を印加し、首部Nの後側およびその周辺の血行を促進したり、代謝を向上したりするなどの磁気治療効果をもたらす。
【0016】
磁気治療器1は、図5に示されるように、眼鏡Gの一対のテンプルG1、G1またはモダンG2、G2(図示された例ではモダンG2、G2)のそれぞれに連結される一対の可撓性部材2、2と、一対の可撓性部材2、2の少なくとも一方(図示された例では両方)に設けられた磁性体3、3と、一対の可撓性部材2、2を互いに連結する連結部材4とを備えている。
【0017】
図5に示されるように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、眼鏡Gの一対のテンプルG1、G1またはモダンG2、G2のそれぞれに連結され、眼鏡Gが人体に装着された際に、テンプルG1またはモダンG2から首部Nの後側に至る部位に位置付けられる部材である。一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、可撓性を有し、テンプルG1またはモダンG2から首部Nの後側に至るまで後頭部に沿って延びるように変形可能に構成されている。一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、眼鏡Gが人体に装着された際に、一方側の端部21と他方側の端部22との間に延びる長さ方向L1(図1および図2参照)に沿って、テンプルG1またはモダンG2から人体の後頭部に沿って首部Nの後側まで延びる長さに形成されている。一対の可撓性部材2、2は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、連結部材4の中心を通る面(紙面に対して垂直な面)に対して互いに対称な構造を有している。ただし、一対の可撓性部材2、2は、互いに対称ではない構造を有していてもよい。
【0018】
図5に示されるように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの一方側の端部21は、眼鏡Gの一対のテンプルG1、G1またはモダンG2、G2(図示された例ではモダンG2、G2)のそれぞれに着脱可能に連結され、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22は、連結部材4に連結される。可撓性部材2の一方側および他方側の端部21、22はそれぞれ、眼鏡GのテンプルG1またはモダンG2および連結部材4のそれぞれに着脱可能に連結することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、可撓性部材2は、図1図2および図4に示されるように、一方側の端部21において、テンプルG1またはモダンG2に着脱可能に連結される眼鏡側連結部21aが設けられ、他方側の端部22において、連結部材4に連結される連結部材側連結部22aが設けられている。眼鏡側連結部21aは、テンプルG1またはモダンG2が挿通可能な挿通孔を有し、その挿通孔にテンプルG1またはモダンG2が挿通されることで、テンプルG1またはモダンG2に連結される。連結部材側連結部22aは、後述する連結部材4の第1の連結部42または第2の連結部43が嵌入可能な嵌入穴を有し、その嵌入穴に第1の連結部42または第2の連結部43が嵌入されることで、連結部材4に連結される。
【0019】
一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、本実施形態では、図1および図3に示されるように、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって、長さ方向L1に対して垂直な断面の断面積が大きくなるように形成されている。可撓性部材2は、眼鏡G側に位置付けられる一方側領域(一方側の端部21から長さ方向L1の所定長さ(たとえば可撓性部材2の全体長さの1/2、1/3、1/4など)の領域)の断面積が、首部Nの後側に位置付けられる他方側領域(他方側の端部22から長さ方向L1の所定長さ(たとえば可撓性部材2の全体長さの1/2、1/3、1/4など)の領域)の断面積に対して相対的に小さいことで、他方側領域と比べて一方側領域で変形しやすい。これにより、可撓性部材2は、眼鏡Gに連結されて人体に装着される際に湾曲するような力が加わっても、一方側領域が優先的に湾曲して他方側領域の湾曲が抑制される。首部Nの後側に位置付けられる可撓性部材2の他方側領域の湾曲が抑制されることで、可撓性部材2の他方側領域は、首部Nの後側に安定して位置付けられ、首部Nの後側に安定して磁性体3を位置付けることができる。
【0020】
なお、可撓性部材2の一方側の端部21から他方側の端部22に向かって断面積が大きくなるとは、少なくとも、他方側の端部22近傍の断面積が、一方側の端部21近傍の断面積よりも大きいことを意味し、一方側の端部21と他方側の端部22との間の中間部分の断面積は特に限定されない。したがって、可撓性部材2は、たとえば図示された例のように、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって連続的に断面積が大きくなっていてもよいし、あるいは、図示された例とは違って、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって段階的に断面積が大きくなっていてもよいし、一方側の端部21と他方側の端部22との間の中間部分において他方側の端部22よりも断面積が大きくなっていてもよい。
【0021】
一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、本実施形態では、図1および図3に示されるように、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって、長さ方向L1に対して垂直な断面の形状が、幅Wと高さHが略等しい形状(図3(a)に示された例では略正方形)から、高さHより幅Wが大きい形状(図3(c)に示された例では略長方形)に変化するように形成されている。可撓性部材2は、眼鏡G側に位置付けられる一方側領域(一方側の端部21から長さ方向L1の所定長さ(たとえば可撓性部材2の全体長さの1/2、1/3、1/4など)の領域)の断面が、幅Wと高さHが略等しい形状で、首部Nの後側に位置付けられる他方側領域(他方側の端部22から長さ方向L1の所定長さ(たとえば可撓性部材2の全体長さの1/2、1/3、1/4など)の領域)の断面が、高さHより幅Wが大きい形状であることで、他方側領域と比べて一方側領域ではいずれの方向にも(等方的に)湾曲しやすい。これにより、可撓性部材2は、眼鏡Gに連結されて人体に装着される際に湾曲するような力が加わっても、一方側領域が優先的に湾曲して他方側領域の湾曲が抑制される。首部Nの後側に位置付けられる可撓性部材2の他方側領域の湾曲が抑制されることで、可撓性部材2の他方側領域は、首部Nの後側に安定して位置付けられ、首部Nの後側に安定して磁性体3を位置付けることができる。なお、この場合、一方側の端部21側の断面と他方側の端部22側の断面は断面積が等しくても良いし、一方側の端部21側の断面積が他方側の端部22側の断面積よりも大きくても良いし、逆に他方側の端部22側の断面積のほうが大きくても良い。すなわち、断面における高さHと幅Wとの関係で変化していれば、断面積はいずれであってもよい。
【0022】
なお、可撓性部材2の一方側の端部21から他方側の端部22に向かって断面形状が幅Wと高さHが略等しい形状から高さHより幅Wが大きい形状に変化するとは、少なくとも、断面形状が一方側の端部21近傍において幅Wと高さHが略等しい形状で、他方側の端部22近傍において高さHより幅Wが大きい形状であることを意味し、一方側の端部21と他方側の端部22との間の中間部分の断面形状は特に限定されない。したがって、可撓性部材2は、たとえば図示された例のように、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって断面形状が、高さHに対して幅Wが連続的に大きくなるように変化してもよいし、あるいは、図示された例とは違って、一方側の端部21から他方側の端部22に向かって断面形状が、高さHに対して幅Wが段階的に大きくなるように変化してもよいし、一方側の端部21と他方側の端部22との間の中間部分において、高さHに対して幅Wが増減するように断面形状が変化してもよい。また、幅Wと高さHが略等しい形状とは、図3(a)では略正方形が例示されているが、たとえば略円形であってもよく、高さHより幅Wが大きい形状とは、図3(c)では略長方形が例示されているが、たとえば略楕円形であってもよい。
【0023】
一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、本実施形態では、図1および図3に示されるように、他方側の端部22の近傍における長手方向L1に垂直な断面が高さHより幅Wが大きくなるように形成されている。そして、一対の可撓性部材2、2のそれぞれは、眼鏡Gが人体に装着された際に、他方側における幅方向に延在する面Fが首部Nの後側に面するように配置される。これにより、可撓性部材2は、他方側領域が首部Nの後側に配置されたときに、幅方向に延在する面Fが首部Nの後側に当接して、長さ方向L1を中心とした回転が抑制される。首部Nの後側に位置付けられる可撓性部材2の他方側領域の回転が抑制されることで、可撓性部材2の他方側領域は、首部Nの後側に安定して位置付けられ、首部Nの後側に安定して磁性体3を位置付けることができる。
【0024】
可撓性部材2は、所定以上の力を加えることで変形可能であるとともに、所定以上の力を解放したときに弾性復元力により元の形状に復帰可能な可撓性を有している。したがって、可撓性部材2は、スポーツをするなどして身体を動かしたとしても、加えられる力が所定以下の範囲内であれば身体の動きに連動した変形が抑制され、たとえ所定以上の力が加わって変形したとしても弾性復元力により元の形状に復帰する。これにより、可撓性部材2の他方側領域は、首部Nの後側に安定して位置付けられ、首部Nの後側に安定して磁性体3を位置付けることができる。可撓性部材2は、可撓性を有するように構成されればよく、構成材料は特に限定されることはないが、たとえばシリコーン樹脂などにより形成することができる。
【0025】
磁性体3は、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させる。磁性体3は、図5に示されるように、眼鏡Gが人体に装着されたときに、人体の首部Nの後側に位置付けられるように、可撓性部材2に設けられる。磁性体3は、首部Nの後側に位置付けられることで、首部Nの後側に対して磁気治療効果を及ぼす。磁性体3は、人体の首部Nの後側に位置付けられるように可撓性部材2に設けられればよく、可撓性部材2内での設けられる位置は特に限定されない。磁性体3は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、可撓性部材2の他方側の端部22の近傍の他方側領域において、首部Nの後側に面する面Fに配置される。より具体的には、磁性体3は、可撓性部材2の他方側領域における幅方向に延在する面Fで、首部Nの後側に面する面Fに配置される。
【0026】
磁性体3は、本実施形態では、眼鏡Gが人体に装着されたときに、人体の皮膚表面に対して略垂直方向に磁極方向が向くように配置される。このように磁性体3の磁極方向が人体の皮膚表面に対して略垂直方向に延びることで、皮膚表面に対して磁極方向が平行に延びる場合と比べて、皮膚表面に対して略垂直な方向の磁界強度が大きくなり、皮膚表面から、より深い体内まで磁気を作用させることができる。ただし、磁性体3は、人体に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができればよく、その磁極方向は特に限定されることはない。
【0027】
磁性体3は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、1つの可撓性部材2に対して複数(図示された例では2つ)の磁石31、31を含んでいる。複数の磁石31、31は、可撓性部材2の長さ方向L1に沿って互いに間隔を空けて一列に並んで配置されている。それぞれの磁石31としては、特に限定されることはなく、フェライト磁石、ネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石などを用いることができる。その出力レベルは、特に限定されることはないが、たとえば、皮膚表面上において、厚生労働省の認証基準である200mT以下となるように設定することができる。磁石31、31は、人体の皮膚に直接接触することを避けるために、シリコーン樹脂などによって被覆されてもよい。なお、磁性体3は、本実施形態では一対の可撓性部材2、2の両方に設けられているが、いずれか一方にだけ設けられてもよい。また、磁性体3は、本実施形態では1つの可撓性部材2に対して複数の磁石31、31を含んでいるが、1つの可撓性部材2に対して1の磁石を含んでいてもよい。
【0028】
連結部材4は、図1および図2に示されるように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22同士を連結する部材である。連結部材4は、図2および図4からよく理解できるように、磁気治療器1が眼鏡Gに取り付けられた状態において、一対の可撓性部材2、2が眼鏡Gの装着者の首部Nの後側を挟む角度θをもって互いに傾斜するように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22同士を連結する。一対の可撓性部材2、2は、眼鏡Gの装着者の首部Nの後側に向かって、互いに対向する方向に互いに対して傾斜することで、互いに対向する側の面F、Fが、湾曲した首部Nの後側の形状にフィットしやすくなるので、磁性体3、3を首部Nの後側に適切に位置付けることができる。なお、連結部材4は、本実施形態では一対の可撓性部材2、2同士を着脱可能に連結するように構成されるが、一対の可撓性部材2、2同士を固定して連結するように構成されてもよい。
【0029】
本実施形態では、上述したように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれが、他方側の端部22の近傍における長手方向L1に垂直な断面が高さHより幅Wが大きくなるように形成されている。そして、一対の可撓性部材2、2は、図2に示されるように、幅方向に延在する面F、F同士が上述した角度θをもって互いに対向する方向に傾斜している。つまり、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側領域の互いに対向する面F、Fは、広幅に形成されており、首部Nの後側に配置されて首部Nの後側に当接することで、長さ方向L1を中心とした可撓性部材2の回転を抑制する。首部Nの後側に位置付けられる可撓性部材2の他方側領域の回転が抑制されることで、可撓性部材2の他方側領域は、首部Nの後側に安定して位置付けられ、首部Nの後側に安定して磁性体3を位置付けることができる。
【0030】
一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θ(図2および図4参照)は、湾曲した首部Nの後側に一対の可撓性部材2、2がフィットすることができればよく、特に限定されることはないが、90~120°の範囲内であることが好ましい。一対の可撓性部材2、2は、互いに対する角度θが90~120°の範囲内であることで、湾曲した首部Nの後側に、よりフィットしやすくなる。その観点から、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θは、95~115°の範囲内であることがより好ましく、100~110°の範囲内であることがよりさらに好ましい。
【0031】
連結部材4は、一対の可撓性部材2、2が眼鏡Gの装着者の首部Nの後側を挟む角度θをもって互いに傾斜するように、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22同士を連結することができればよく、その構造は特に限定されることはない。連結部材4は、本実施形態では、図1図2および図4に示されるように、本体部41と、本体部41から第1の方向L2に突出する第1の連結部42と、本体部41から第2の方向L3に突出する第2の連結部43とを備えている。連結部材4は、第1の連結部42および第2の連結部43のそれぞれに一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22が連結されることで、一対の可撓性部材2、2同士を連結する。第1および第2の連結部42、43はそれぞれ、本実施形態では一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22に着脱可能に連結されるが、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22に固定して連結されてもよい。
【0032】
本体部41は、第1の連結部42および第2の連結部43を支持する部位である。本体部41は、図4に示されるように、第1の方向L2に延びる第1の本体部41aと第2の方向L3に延びる第2の本体部41bとが一体となって、第1の本体部41aと第2の本体部41bとの間で屈曲(または湾曲)して形成されている。第1の本体部41aには、第1の連結部42が設けられ、第2の本体部41bには、第2の連結部43が設けられる。本体部41は、第1の連結部42および第2の連結部43と一体的に形成される。なお、本体部41は、この他にも鎹状(略横コの字状)のように第1の本体部41aと第2の本体部41bとの間を所定距離直線状としても良い。すなわち、第1の方向L2の延長線と第2の方向L3の延長線とで角度θを構成すればよく、その構造は特に限定されない。
【0033】
図1および図2に示されるように、第1の連結部42は、一対の可撓性部材2、2のうちの一方の可撓性部材2の他方側の端部22に連結され、第2の連結部43は、一対の可撓性部材2、2のうちの他方の可撓性部材2の他方側の端部22に連結される。第1および第2の連結部42、43はそれぞれ、図4に示されるように、第1および第2の方向L2、L3のそれぞれに対して垂直な断面の断面積が相対的に大きな大径部42a、43aおよび相対的に小さな小径部42b、43bを備えている。大径部42a、43aのそれぞれが一対の可撓性部材2、2のそれぞれの連結部材側連結部22a、22aの嵌入穴に嵌入されることで、第1および第2の連結部42、43が可撓性部材2、2の他方側の端部22、22に連結される。連結部材側連結部22a、22aの嵌入穴の開口部は、第1および第2の連結部42、43の小径部42b、43bに対応する大きさに形成されているため、大径部42a、43aが嵌入穴から抜け出ることが抑制される。これにより、第1および第2の連結部42、43は、一対の可撓性部材2、2のそれぞれの他方側の端部22、22に対して、より強固に連結され得る。
【0034】
第1の連結部42が突出する第1の方向L2と、第2の連結部43が突出する第2の方向L3とは、本実施形態では、図2および図4に示されるように、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θに対応して、互いに対して傾斜している。つまり、本実施形態では、連結部材4は、自身が屈曲(または湾曲)することで、一対の可撓性部材2、2を互いに対して傾斜させている。これにより、連結部材4は、可撓性部材2、2を屈曲(または湾曲)させることなく互いに対して傾斜させることができるので、首部Nの後側に可撓性部材2、2および磁性体3、3をより適切に位置付けることができる。
【0035】
連結部材4は、所定の力(たとえば人間の力)を受けても変形が抑制され、その形状を維持することが可能な剛性を有している。連結部材4は、形状を維持可能な剛性を有することで、連結部材4の変形により一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θが変化するのが抑制されるので、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θをより安定して維持することができる。これにより、可撓性部材2は、首部Nの後側に磁性体3をより適切に位置付けることができる。
【0036】
連結部材4は、少なくとも可撓性部材2よりも高い剛性を有している。これにより、可撓性部材2を介して連結部材4を変形させようとする力が加わっても、可撓性部材2が変形して連結部材4の変形が抑制される。連結部材4は、少なくとも可撓性部材2よりも高い剛性を有していればよく、構成材料は特に限定されることはない。連結部材4は、たとえば硬質材料により形成することができる。硬質材料としては、たとえば、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの硬質樹脂が採用され、ポリアセタール樹脂またはポリカーボネート樹脂が好適に採用される。
【実施例
【0037】
以下において、実施例をもとに本実施形態の眼鏡取付型磁気治療器の優れた効果を説明する。ただし、本発明の眼鏡取付型磁気治療器は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(眼鏡取付型磁気治療器)
図1および図2に示された磁気治療器1を作製した。可撓性部材2は、シリコーン樹脂により作製した。可撓性部材2の一方側の端部21と他方側の端部22との間の長さは約13cmとし、一方側の端部21近傍の幅Wおよび高さHは約0.4cmとし、他方側の端部22近傍の幅Wおよび高さHはそれぞれ1.4cmおよび0.6cmとした。磁性体3は、1つの可撓性部材2に対して、直径約0.8cmの円盤状の2つのフェライト磁石31、31を用いた。2つのフェライト磁石31、31はそれぞれ、可撓性部材2の端部21から約1.3cmおよび約2.3cmの位置に設けた。連結部材4は、ポリアセタール樹脂を用い、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θが86°、96°、106°、116°、126°となるように作製した。
【0039】
(眼鏡取付型磁気治療器の磁石の配置の適正評価)
眼鏡Gを人体に装着した際に磁気治療器1の磁石31、31が首部Nの後側に適切に配置されているか否かの評価を行なった。評価は、10人の被験者が、磁気治療器1を取り付けた眼鏡Gを装着して、首部Nの後側に磁石31、31が当たっているか否かを判定することにより行なった。評価基準は、◎:磁石が良く当たっている、〇:磁石が部分的に当たっている、△:磁石が当たっていない、とした。
【0040】
(眼鏡取付型磁気治療器の磁石の配置評価の結果)
磁気治療器1の磁石31、31が首部Nの後側に当たっているか否かを判定した結果を表1および図6に示す。表1および図6から分かるように、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θが86°および126°のとき、「磁石が良く当たっている」と判定した被験者の数がそれぞれ1および2であるのに対して、角度θが96°および116°になるとその数が増加し、角度θが106°になるとその数が最大となる。この結果から、一対の可撓性部材2、2の互いに対する角度θは、湾曲した首部Nの後側に一対の可撓性部材2、2をよりフィットさせて、磁石31、31をより適切に位置付けるという観点から、90~120°の範囲内であることが好ましく、95~115°の範囲内であることがより好ましく、100~110°の範囲内であることがよりさらに好ましいことが分かる。
【0041】
【表1】
【符号の説明】
【0042】
1 眼鏡取付型磁気治療器
2 可撓性部材
21 一方側の端部
21a 眼鏡側連結部
22 他方側の端部
22a 連結部材側連結部
3 磁性体
31 磁石
4 連結部材
41 本体部
41a 第1の本体部
41b 第2の本体部
42 第1の連結部
42a 大径部
42b 小径部
43 第2の連結部
43a 大径部
43b 小径部
F 可撓性部材の面
G 眼鏡
G1 テンプル
G2 モダン
H 高さ
L1 長さ方向
L2 第1の方向
L3 第2の方向
N 首部
W 幅
θ 一対の可撓性部材の互いに対する角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6