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特許7223744獣医用途のためのデンプン不含のソフトチュー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】獣医用途のためのデンプン不含のソフトチュー
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/68 20060101AFI20230209BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230209BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230209BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 33/10 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 35/60 20060101ALI20230209BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20230209BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20230209BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20230209BHJP
【FI】
A61K9/68
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/32
A61P33/00
A61P33/00 171
A61P33/10
A61K31/352
A61K31/506
A61K31/498
A61P43/00 121
A61K31/397
A61K31/44
A61K36/185
A61K31/7004
A61K38/00
A61K35/60
A23K20/20
A23K20/163
A23K20/158
【請求項の数】 98
(21)【出願番号】P 2020504401
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 IB2018055519
(87)【国際公開番号】W WO2019021191
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/537,273
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520028357
【氏名又は名称】ティージーエックス ソフト チュー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドネル ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】エクルズ スコット
(72)【発明者】
【氏名】プチュカロフ ゲオルギィ
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539772(JP,A)
【文献】国際公開第2008/134819(WO,A1)
【文献】特表2012-502061(JP,A)
【文献】特表平10-510817(JP,A)
【文献】特表2009-526040(JP,A)
【文献】特表2008-509192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/00
A61K 31/00
A61K 45/00
A23K 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性成分を動物に経口送達するためのデンプン不含のソフトチューであって、
前記ソフトチューは、非デンプンの固体賦形剤と非水の液体賦形剤と少なくとも1種の活性成分とから実質的になり、
前記非デンプンの固体賦形剤は、少なくとも第二リン酸カルシウムと微結晶性セルロースを含み、
前記非水の液体賦形剤は、少なくとも
グリセリン、並びに、
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C6~C12の炭素鎖の脂肪酸を含む中鎖トリグリセリド、C12よりも長い炭素鎖の脂肪酸を含む長鎖トリグリセリド、及びこれらの任意の組み合わせである、脂肪酸のトリグリセリド、
を含む、
ソフトチュー。
【請求項2】
フレーバリングを更に含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項3】
結合剤を更に含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項4】
崩壊剤を更に含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項5】
界面活性剤を更に含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項6】
前記第二リン酸カルシウムは、含水である、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項7】
前記第二リン酸カルシウムは、第二リン酸カルシウム二水和物である、請求項6に記載のソフトチュー。
【請求項8】
ラクトースを更に含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項9】
前記ラクトースは、ラクトース一水和物である、請求項8に記載のソフトチュー。
【請求項10】
第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約1:1~4:1である、請求項1~9のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項11】
第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約2:1~3:1である、請求項10に記載のソフトチュー。
【請求項12】
脂肪酸のトリグリセリドがC6~C12の炭素鎖長を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項13】
前記脂肪酸のトリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又は中鎖トリグリセリドである、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項14】
グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約4:1~7:1である、請求項1~13のいずれかに記載のソフトチュー。
【請求項15】
グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約5:1~6:1である、請求項14に記載のソフトチュー。
【請求項16】
クロスカルメロースナトリウムを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項17】
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項18】
クエン酸を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項19】
前記クエン酸は、無水クエン酸である、請求項18に記載のソフトチュー。
【請求項20】
ソルビン酸カリウムを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項21】
α-トコフェロールを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項22】
前記α-トコフェロールは、DL-α-トコフェリルアセテートである、請求項21に記載のソフトチュー。
【請求項23】
ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシルメチルセルロースを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項24】
前記非デンプンの固体賦形剤は、第二リン酸カルシウム二水和物及び微結晶性セルロースを含み、前記非水の液体賦形剤は、グリセリン及び中鎖トリグリセリドとを含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項25】
第二リン酸カルシウム二水和物対微結晶性セルロースの重量比は、約2:1~約3:1である、請求項24に記載のソフトチュー。
【請求項26】
グリセリン対中鎖トリグリセリドの重量比は、約5:1~6:1である、請求項24又は25に記載のソフトチュー。
【請求項27】
フレーバリングを20~30%(重量/重量含む、請求項2に記載のソフトチュー。
【請求項28】
第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、フレーバリングと、クロスカルメロースナトリウムと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムとを含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項29】
第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、フレーバリングと、クロスカルメロースナトリウムと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムとを約25:8:30:5:25:5:2の重量比で含む、請求項28に記載のソフトチュー。
【請求項30】
第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、フレーバリングと、クロスカルメロースナトリウムと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムとを約30:10:23:5:25:5:2の重量比で含む、請求項28に記載のソフトチュー。
【請求項31】
無水クエン酸と、ソルビン酸カリウムと、DL-α-トコフェリルアセテートとを更に含む、請求項28~30のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項32】
前記少なくとも1種の活性成分は、活性医薬成分を含む、請求項1~31のいずれかに記載のソフトチュー。
【請求項33】
前記活性医薬成分は、抗寄生虫薬である、請求項32に記載のソフトチュー。
【請求項34】
前記活性医薬成分は、駆虫薬である、請求項33に記載のソフトチュー。
【請求項35】
前記活性医薬成分は、ミルベマイシンオキシム、イベルメクチン、モキシデクチン、アバメクチン、セラメクチン、ピランテル、フェバンテル、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、エモデプシド、ピペラジン、メベンダゾール、レバミゾール、プラジカンテル又はオキサンテルである、請求項34に記載のソフトチュー。
【請求項36】
前記活性医薬成分は、ミルベマイシンオキシム、プラジカンテル、イベルメクチン又はピランテルである、請求項35に記載のソフトチュー。
【請求項37】
前記少なくとも1種の活性成分は、第2の活性医薬成分を更に含む、請求項32~36のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項38】
前記第2の活性医薬成分は、抗寄生虫薬である、請求項37に記載のソフトチュー。
【請求項39】
前記第2の活性医薬成分は、駆虫薬である、請求項38に記載のソフトチュー。
【請求項40】
前記少なくとも1種の活性成分は、(a)ミルベマイシンオキシム及びプラジカンテル、(b)ミルベマイシンオキシム及びピランテル、(c)イベルメクチン及びプラジカンテル、又は(d)イベルメクチ及びピランテルを含む、請求項37~39のいずれか一項に記載のソフトチュー。
【請求項41】
前記少なくとも1種の活性成分は、ミルベマイシンオキシムとプラジカンテルとを含む、請求項40に記載のソフトチュー。
【請求項42】
前記少なくとも1種の活性成分は、イベルメクチンとピランテルとを含む、請求項40に記載のソフトチュー。
【請求項43】
前記ピランテルは、パモ酸ピランテルである、請求項42に記載のソフトチュー。
【請求項44】
前記少なくとも1種の活性成分は、水分感受性である、請求項1~31のいずれかに記載のソフトチュー。
【請求項45】
前記少なくとも1種の活性成分は、クラブラン酸、ニテンピラム、ミルベマイシンオキシム又はイベルメクチンを含む、請求項44に記載のソフトチュー。
【請求項46】
前記活性医薬成分は、水分感受性である、請求項34に記載のソフトチュー。
【請求項47】
前記活性医薬成分は、ミルベマイシンオキシム又はイベルメクチンである、請求項46に記載のソフトチュー。
【請求項48】
前記少なくとも1種の活性成分は、カンナビノイドを含む、請求項1~31のいずれかに記載のソフトチュー。
【請求項49】
前記カンナビノイドは、フィトカンナビノイド又は合成カンナビノイドである、請求項48に記載のソフトチュー。
【請求項50】
前記カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、カンナビノール、カンナビクロメン、カンナビゲロール、2-アラキドノイルグリセロール又はアナンダミドである、請求項49に記載のソフトチュー。
【請求項51】
前記少なくとも1種の活性成分は、活性栄養成分を含む、請求項1~31のいずれかに記載のソフトチュー。
【請求項52】
前記活性栄養成分は、グルコサミン、酵素、魚油又はハーブ成分である、請求項51に記載のソフトチュー。
【請求項53】
前記ソフトチューは、15%(重量/重量)~90%(重量/重量)の第二リン酸カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~30%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項54】
前記ソフトチューは、10%(重量/重量)~60%(重量/重量)の第二リン酸カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~35%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、2%(重量/重量)~20%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む、請求項1に記載のソフトチュー。
【請求項55】
少なくとも1種の活性成分を動物に経口投与するためのソフトチューの最終的な剤形において使用されるデンプン不含組成物であって、前記組成物は、非デンプンの固体賦形剤と非水の液体賦形剤とから実質的になり、
前記非デンプンの体賦形剤は、第二リン酸カルシウム及び微結晶性セルロースを含み、
前記非水の液体賦形剤はグリセリン及びC6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドを含む、
組成物。
【請求項56】
前記第二リン酸カルシウムは、含水の第二リン酸カルシウムである、請求項5に記載の組成物。
【請求項57】
前記第二リン酸カルシウムは、第二リン酸カルシウム二水和物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項58】
第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約1:1~約4:1である、請求項5~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約2:1~約3:1である、請求項5~5いずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記脂肪酸のトリグリセリドは、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド又はそれらの混合物である、請求項559のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約4:1~7:1である、請求項5~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約5:1~6:1である、請求項5~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
充填剤を更に含む、請求項5~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記充填剤は、ラクトースである、請求項6に記載の組成物。
【請求項65】
前記ラクトースは、ラクトース一水和物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項66】
フレーバリング剤を更に含む、請求項5~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
崩壊剤を更に含む、請求項5~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項69】
滑沢剤を更に含む、請求項568のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
防腐剤を更に含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記防腐剤は、クエン酸又はソルビン酸カリウムである、請求項7に記載の組成物。
【請求項73】
酸化防止剤を更に含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記酸化防止剤は、クエン酸又はα-トコフェロールである、請求項7に記載の組成物。
【請求項75】
クエン酸は、無水クエン酸である、請求項7又は7に記載の組成物。
【請求項76】
前記α-トコフェロールは、DL-α-トコフェリルアセテートである、請求項7に記載の組成物。
【請求項77】
結合剤を更に含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記結合剤は、ポビドンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項79】
前記ポビドンは、ポビドンK30である、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記少なくとも1種の活性成分は、少なくとも1種の活性医薬成分又は少なくとも1種の活性栄養成分を含む、請求項579のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記少なくとも1種の活性成分は、活性医薬成分を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
前記活性医薬成分は、抗寄生虫薬である、請求項8に記載の組成物。
【請求項83】
前記活性医薬成分は、駆虫薬である、請求項8に記載の組成物。
【請求項84】
前記活性医薬成分は、カンナビノイドである、請求項8に記載の組成物。
【請求項85】
前記少なくとも1種の活性成分は、活性栄養成分を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
少なくとも1種の活性成分を動物に経口送達するためのデンプン不含のソフトチューを製造する方法であって、
a)第二リン酸カルシウム及び微結晶性セルロースを含む少なくとも2種の非デンプンの体賦形剤をミキサー中で乾式混合する工程と、
b)前記ミキサー中に、グリセリン、並びに、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C6~C12の炭素鎖の脂肪酸を含む中鎖トリグリセリド、C12よりも長い炭素鎖の脂肪酸を含む長鎖トリグリセリド、又はこれらの任意の組み合わせである、脂肪酸のトリグリセリドを含む少なくとも2種の非水の液体賦形剤を添加することにより前記少なくとも2種の非デンプンの体賦形剤を混合してドウ様材料にする工程と、
を含み、
デンプン又は水を添加する工程を含まない、
方法。
【請求項87】
c)前記ドウ様材料をリボンへと成形する工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項88】
d)前記リボンをソフトチュー部分へと分割する工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項89】
e)前記ソフトチュー部分を包装する工程を更に含む、請求項89に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも1種の活性成分と前記デンプン不含の乾式賦形剤とを乾式混合する工程を更に含む、請求項889のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
工程b)は、前記ミキサー中に前記少なくとも2種の非水の液体賦形剤を逐次添加することにより実施される、請求項890のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも2種の非水の液体賦形剤は、湿潤剤と溶剤とを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項93】
前記湿潤剤はグリセリンであり、かつ前記溶剤は中鎖トリグリセリドである、請求項9に記載の方法。
【請求項94】
前記湿潤剤をまず前記ミキサー中に添加し、その後に前記溶剤を前記ミキサー中に添加する、請求項9又は9に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1種の活性成分と前記非水の液体賦形剤の1つとを混合する工程を更に含む、請求項8~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1種の活性成分を、前記溶剤と混合する、請求項9~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記分割工程は、分割器具を使用して実施される、請求項88に記載の方法。
【請求項98】
周囲の室温条件下で行われる、請求項897のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2017年7月26日に出願された米国仮特許出願第62/537,723号の利益を主張する。その内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、包括的にはソフトチューに関し、特にデンプン不含のソフトチュー組成物並びに動物及び獣医用途に適したこのような組成物を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医薬化合物及び他の医薬を経口送達するために適したチュアブル組成物はよく知られている。酸味、苦味、喉のヒリヒリ感若しくは灼熱感、又は無味等の要因のため許容することができない味覚の結果として、さもなければ口当たりの悪い多くの医薬化合物は、しばしば、適切なコーティング剤、カプセル剤又はフレーバリング剤によって口当たり良くすることができる。獣医学的状況では、動物に錠剤又はカプセル剤全体を飲み込むように促すことは難しい場合があるため、チュアブル組成物(必要に応じて適切なフレーバリング剤を含む)が好ましい。
【0004】
現在動物に向けた市場に出回っている幾つかのチュアブル医薬製品は、望ましい物理化学的特質を備えることができていない(例えば、それらのチュアブル医薬製品は含水量が高く、質感が硬く、崩壊が遅く、生理学的に適切な媒体への溶解が不十分等である)。動物に向けた市場で出回っている、in vitro崩壊及び溶解が不十分な更に古いソフトチュアブル医薬製品は、in vitro溶解に関する現在の米国食品医薬品局(FDA)の規制を満たさない。ごく最近にやっと規制機関は、薬物製品の溶解を識別的(discriminating)in vitro溶解法を使用して試験することを要求し始めた。識別的溶解法は、配合、原材料の特質及び薬物製品の製造の間のプロセスパラメーターの変化を検出することができるべきである。したがって、生理学的に適切な媒体への溶解に関する規制当局の要件を満たすことができる新しいソフトなチュアブル配合物が必要とされている。
【0005】
チュアブル組成物に関連する多くの特許が存在する。例えば、特許文献1は、水素化デンプン加水分解物のマトリックスと、水溶性増量剤と、水不溶性増量剤とを含むソフトなチュアブル剤形を開示している。この特許はまた、高剪断力下で水素化デンプン加水分解物と、水溶性増量剤と、水不溶性増量剤とを混合する工程を含むソフトなチュアブル剤形の作製方法を開示している。
【0006】
チュアブル経口送達システムの安定性のための水の重要性は認識されている。製品内の水の制御は、微生物的腐敗だけでなく、化学的安定性及び物理的安定性にも影響する。特許文献2は、デンプンと、糖と、脂肪と、多価アルコールと、水とを適切な比率で有するマトリックスから形成された担体を開示している。この特許は、経口送達システム中の水分活性の制御がその主な目的であることを説明している。製品マトリックスの水分活性は、完成製品中の水の利用可能性が、医薬品であれ、栄養補助食品であれ、又はビタミンミネラル複合体であれ、含まれる活性成分の害にならないように加減して調整され得ることが記載されている。
【0007】
特許文献3は、薬物等の薬学的に許容可能な活性成分を動物又はヒトの被験体へと送達するための口当たりの良い可食性のソフトなチュアブル投薬用ビヒクルを開示している。この可食性のソフトチューは、様々なデンプンを含む食品グレードを上回る不活性成分のみを含有し、好ましくは動物由来の成分を含有しない。この可食性のソフトチューの製造方法は、活性成分と不活性成分との混合の間に熱の使用を必要とせず、その開示は、活性成分の安定的な濃度をもたらし、重量及び質感が一貫したチューが生成されることを主張している。
【0008】
特許文献4は、経口投与用の口当たりの良い延性のチュアブル獣医用組成物を開示している。この組成物は、内部寄生虫及び外部寄生虫を死滅させることができ、及び/又は動物疾患を予防的又は治療的に処置するために使用することができ、ウマ、ウシ、ヒツジのような群居性動物又は家禽、好ましくはイヌ及びネコのようなペットを含むあらゆる温血非ヒト動物の処置のために有用である。上記組成物は基本的に動物害虫、病原体又は動物疾患に対して活性である有効量の1種以上の成分と、肉のフレーバリングと、部分的に糊化したデンプンと、軟化剤と、最大9%の水とからなる。この特許によれば、賦形剤と活性成分との混合物が水分を含まないのであれば、チュアブル獣医用組成物の柔軟性を改善するために押出過程の間に水が加えられるべきである。
【0009】
上記のように、幾つかの特許は医薬成分の動物への送達のための口当たりの良いチュアブル経口剤形について論じているが、溶解試験に関する現在のFDA要件、特に薬物製品が識別的溶解法を使用して試験されるFDAの要件を満たす動物用ソフトチューを製造する必要性が依然として存在する。さらに、医薬成分の動物への送達のための既存のチュアブル経口剤形は、必要な成分としてデンプンを含有する。デンプンは、高い水分含量を有することがよく知られる医薬品用賦形剤である。デンプン内に含まれる高レベルの水分は、水分感受性の薬物の配合物を含む、水分含量が一定のままでなければならない薬物製剤で使用するために不適切である。
【0010】
したがって、チュアブル組成物は既知であるが、特にソフトチュー製品の安定性及びそれを試験するための識別的溶解法の開発に関して改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第5,637,313号
【文献】米国特許第6,387,381号
【文献】米国特許第7,955,632号
【文献】米国特許第8,541,019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書に記載されるように、本発明者らは、既存のソフトチューの課題の幾つかを回避することができる、医薬品又は栄養補助食品を動物に投与するための口当たりの良いソフトチュー経口剤形を開発しようと努めた。例えば、本発明者らは、生理学的に適切な媒体中での溶解に関するFDA要件を満たすソフトチューを作製しようと努めた。本発明者らはまた、含水量が低く、水分感受性の活性成分に対しても適しているソフトチューを開発しようと努めた。したがって、本発明の課題は、医薬及び他の活性成分の動物への投与に適した改善されたソフトチュー組成物及びそのような組成物の作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下でより詳細に論じられるように、本発明者らは、デンプンも方法中で加えられる水も含まないソフトチュー経口剤形を開発した。これらの特徴により、本発明者らのソフトチューは、水分感受性の薬物のために特に適している。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、1種以上の医薬的活性成分又は栄養的活性成分と複数の賦形剤とを含むソフトチューが提供される。このソフトチューは添加された水を含有しておらず、複数の賦形剤はデンプンを含有していない。賦形剤には、充填剤、フレーバリング剤又は嗜好剤(palatant)、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤が含まれ得る。1つの実施態様では、複数の賦形剤は少なくとも2種の乾式成分又は固体成分と少なくとも2種の湿式成分又は液体成分とを含む。別の実施態様では、固体成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体成分は賦形剤として水を含まない。更に別の実施態様では、固体成分は少なくとも第二リン酸カルシウム(例えば、無水、一水和又は二水和)と微結晶性セルロースとを含み、液体成分は少なくともグリセリンと中鎖トリグリセリドとを含み、ソフトチューは添加された水を含有しておらず、充填剤はデンプンを含有していない。更に別の実施態様では、複数の賦形剤は少なくとも1種のフレーバリング剤を更に含む。また更に別の実施態様では、複数の賦形剤は医薬品グレードである。
【0015】
本発明の別の態様によれば、ソフトチューの製造方法が提供される。この方法は、複数の乾式成分をミキサー中で乾式混合することと、複数の液体成分を上記ミキサー中に添加することにより湿塊化(wet massing)してドウ状(dough-like:生地状)材料にすることと、上記ドウ状材料をリボンへと成形することと、上記リボンを予め決められた長さのソフトチュー部分に分割することと、上記ソフトチュー部分を包装することとを含む。乾式成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体の成分は賦形剤として水を含まない。
【0016】
本発明の別の態様によれば、デンプン又は添加された水の使用を必要としないソフトチューの形の最終的な投薬のためのデンプン不含の賦形剤の組成物が提供される。1つの実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は少なくとも2種の固体成分と少なくとも2種の液体成分とを含む。別の実施態様では、固体の成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体の成分は賦形剤として水を含まない。別の実施態様では、固体成分は少なくとも第二リン酸カルシウム二水和物と微結晶性セルロースとを含み、液体成分は少なくともグリセリンと中鎖トリグリセリドとを含み、デンプン又は添加された水は必要とされない。更に別の実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は、水分感受性である医薬的活性成分の経口投与のためのビヒクルである。更に別の実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は少なくとも1種のフレーバリング剤を更に含む。また別の実施態様では、全ての賦形剤は医薬品グレードである。
【0017】
別の態様では、本発明は、医薬的活性成分と複数の賦形剤とを含むソフトチューに関する。或る特定の実施態様では、このソフトチューは添加された水を含有しておらず、複数の賦形剤はデンプンを含有していない。
【0018】
1つの実施態様では、ソフトチュー中の複数の賦形剤は、充填剤と、フレーバリング剤と、湿潤剤と、溶剤と、軟化剤と、防腐剤と、酸化防止剤と、滑沢剤とを含む。例示的な充填剤には、第二リン酸カルシウム二水和物(DiCal)、微結晶性セルロース(MCC)、ラクトース及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。1つの例示的な実施態様では、充填剤は、ソフトチューの15%(重量/重量)~90%(重量/重量)のリン酸二カルシウム二水和物である。例示的な溶剤には、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、中鎖トリグリセリド(MCT)、長鎖トリグリセリド(LCT)及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。例示的な軟化剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。
【0019】
別の実施態様では、複数の賦形剤は、結合剤及び/又は崩壊剤及び/又は界面活性剤を更に含み得る。例示的な結合剤には、ポビドン、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシルメチルセルロース(HPMC)及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。
【0020】
1つの例示的な実施態様では、ソフトチューは、15%(重量/重量)~90%(重量/重量)のリン酸二カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~30%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、(a)複数の乾式成分をミキサー中で乾式混合することと、(b)複数の液体成分を上記ミキサー中に添加することにより湿塊化してドウ状材料にすることと、(c)上記ドウ状材料をリボンへと成形することと、(d)上記リボンを予め決められた長さのソフトチュー部分に分割することと、(e)上記ソフトチュー部分を包装することとによる、ソフトチューの製造方法に関する。
【0022】
上記方法の1つの実施態様では、複数の乾式成分は少なくとも1種の医薬的活性成分を含む。上記方法の別の実施態様では、複数の液体成分は少なくとも1種の医薬的活性成分を含む。
【0023】
上記方法の更なる実施態様では、複数の乾式成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含み、複数の液体成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含む。
【0024】
上記方法の1つの実施態様では、ミキサーは、低剪断ミキサー又は高剪断ミキサーであり得る。上記方法の別の実施態様では、分割器具(portioning tool)を使用して切断が行われ得る。
【0025】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の活性成分を動物に経口送達するためのデンプン不含のソフトチュー配合物に関する。或る特定の実施態様では、このソフトチュー配合物は複数のデンプン不含の賦形剤を含む。これらのデンプン不含の賦形剤は、例えば非デンプンの固体賦形剤と非水の液体賦形剤とを含み得る。幾つかの実施態様は、少なくとも2種の非デンプンの固体賦形剤と少なくとも2種の非水の液体賦形剤とを含む。幾つかの実施態様では、ソフトチュー配合物は、賦形剤として水を添加することなく製造される。
【0026】
ソフトチュー配合物中で使用される例示的なデンプン不含の賦形剤には、限定されるものではないが、少なくとも1種の充填剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤及び滑沢剤が含まれる。幾つかの実施態様では、複数のデンプン不含の賦形剤は少なくとも2種の充填剤を含む。幾つかの実施態様では、複数のデンプン不含の賦形剤は、フレーバリング、結合剤、崩壊剤及び界面活性剤の少なくとも1つを更に含む。
【0027】
ソフトチュー配合物の幾つかの実施態様では、少なくとも2種の非デンプンの固体賦形剤は第二リン酸カルシウムと微結晶性セルロースとを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも2種の非デンプンの固体賦形剤は、第二リン酸カルシウムと、微結晶性セルロースと、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)とを含む。ソフトチュー配合物に適した例示的な第二リン酸カルシウムには、限定されるものではないが、含水の第二リン酸カルシウム、例えば第二リン酸カルシウム二水和物等が含まれる。幾つかの実施態様では、第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約1:1~4:1又は約2:1~3:1である。
【0028】
ソフトチュー配合物の幾つかの実施態様では、少なくとも2種の非水の賦形剤は、グリセリンとC6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドとを含む。ソフトチュー配合物に適した例示的な脂肪酸のトリグリセリドには、限定されるものではないが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及び中鎖トリグリセリドが含まれる。幾つかの実施態様では、グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約4:1~7:1又は約5:1~6:1である。
【0029】
幾つかの実施態様では、ソフトチュー配合物はまた、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はフマル酸ステアリルナトリウム、クエン酸(例、無水クエン酸)、ソルビン酸カリウム、α-トコフェロール(例、DL-α-トコフェリルアセテート)及びポビドン、ヒドロキシルプロピルセルロース又はヒドロキシルメチルセルロースの1つ以上を含む。
【0030】
ソフトチュー配合物の幾つかの実施態様では、複数のデンプン不含の賦形剤は、第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドとを含む。幾つかの実施態様では、第二リン酸カルシウム二水和物対微結晶性セルロースの重量比は、約2:1~約3:1である。幾つかの実施態様では、グリセリン対中鎖トリグリセリドの重量比は、約5:1~6:1である。
【0031】
1つの実施態様では、ソフトチュー配合物は、第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、フレーバリングと、クロスカルメロースナトリウムと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムとを含む。例としては、ソフトチュー配合物は、或る特定の実施態様では、第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、フレーバリングと、クロスカルメロースナトリウムと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムとを約25:8:30:5:25:5:2又は約30:10:23:5:25:5:2の重量比で含む。幾つかの実施態様では、ソフトチュー配合物は、無水クエン酸と、ソルビン酸カリウムと、DL-α-トコフェリルアセテートとを更に含む。
【0032】
更なる態様では、本発明は、少なくとも1種の活性成分を動物に経口送達するためのデンプン不含のソフトチューに関する。ソフトチューは、上記のようなデンプン不含のソフトチュー配合物と、少なくとも1種の活性成分とを含む。幾つかの実施態様では、ソフトチュー配合物は、賦形剤として水を添加することなく製造される。
【0033】
ソフトチューの或る特定の実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、活性医薬成分、例えば抗寄生虫薬(例えば、駆虫薬)を含む。ソフトチューに適した例示的な活性医薬成分には、限定されるものではないが、ミルベマイシンオキシム、イベルメクチン、モキシデクチン、アバメクチン、セラメクチン、ピランテル(例えば、パモ酸ピランテル)、フェバンテル、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、エモデプシド、ピペラジン、メベンダゾール、レバミゾール、プラジカンテル及びオキサンテルが含まれる。或る特定の例示的な実施態様では、活性医薬成分は、ミルベマイシンオキシム、プラジカンテル、イベルメクチン又はピランテルである。幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、第2の活性医薬成分、例えば抗寄生虫薬(例えば、駆虫薬)を更に含む。ソフトチュー配合物の幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、ミルベマイシンオキシム又はイベルメクチンと、プラジカンテル又はピランテルとを含む。例えば、幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、ミルベマイシンオキシムとプラジカンテルとを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、イベルメクチンとピランテルとを含む。
【0034】
ソフトチューの幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、水分感受性である。例としては、少なくとも1種の活性成分には、或る特定の実施態様では、水分感受性の活性医薬成分、例えばクラブラン酸、ニテンピラム、ミルベマイシンオキシム又はイベルメクチンが含まれ得る。
【0035】
ソフトチューの幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分はカンナビノイド(例えば、フィトカンナビノイド又は合成カンナビノイド)を含む。ソフトチューにおいて使用される例示的なカンナビノイドには、限定されるものではないが、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、カンナビノール、カンナビクロメン、カンナビゲロール、2-アラキドノイルグリセロール及びアナンダミドが含まれる。
【0036】
ソフトチューの幾つかの実施態様では、少なくとも1種の活性成分は、活性栄養成分を含む。ソフトチューにおいて使用される例示的な活性栄養成分には、限定されるものではないが、グルコサミン、酵素、魚油、ハーブ成分等が含まれる。
【0037】
ソフトチューの例示的な一実施態様では、ソフトチュー配合物は、15%(重量/重量)~90%(重量/重量)の第二リン酸カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~30%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。ソフトチューの別の例示的な実施態様では、ソフトチュー配合物は、10%(重量/重量)~60%(重量/重量)の第二リン酸カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~35%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、2%(重量/重量)~20%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の活性成分を動物に経口投与するための最終的なソフトチューの剤形において使用されるデンプン不含の非水の賦形剤の組成物に関する。この組成物は実質的に非デンプンの固体賦形剤と非水の液体賦形剤とからなり、デンプン不含の非水の賦形剤は、第二リン酸カルシウム(例えば、含水の第二リン酸カルシウム、例えば第二リン酸カルシウム二水和物)と、微結晶性セルロースと、グリセリンと、C6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドとを含む。1つの実施態様では、第二リン酸カルシウム対微結晶性セルロースの重量比は、約1:1~約4:1(例えば、約2:1~約3:1)である。
【0039】
上記組成物において使用するために適した例示的な脂肪酸のトリグリセリドには、限定されるものではないが、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド及びそれらの混合物が含まれる。或る特定の実施態様では、脂肪酸のトリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。幾つかの実施態様では、グリセリン対脂肪酸のトリグリセリドの重量比は、約4:1~7:1(例えば、約5:1~6:1)である。
【0040】
上記組成物の幾つかの実施態様では、デンプン不含の非水の賦形剤には、充填剤、例えばラクトース(例えば、ラクトース一水和物)等、フレーバリング剤、崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム等、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム等、防腐剤、例えばクエン酸、ソルビン酸カリウム等、酸化防止剤、例えばクエン酸(例えば、無水クエン酸)、α-トコフェロール(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート)等、及び結合剤、例えばポビドン(例えば、ポビドンK30)等の少なくとも1つが更に含まれる。
【0041】
上記組成物において使用される例示的な活性成分には、限定されるものではないが、活性医薬成分及び活性栄養成分が含まれる。例としては、少なくとも1種の活性成分は、活性医薬成分、例えば抗寄生虫薬(例えば、駆虫薬)、カンナビノイド等を含み得る。或る特定の実施態様では、少なくとも1種の活性成分は活性栄養成分を含む。
【0042】
更なる態様では、本発明は、(a)少なくとも2種の非デンプンの乾式賦形剤をミキサー(例えば、低剪断ミキサー又は高剪断ミキサー)中で乾式混合することと、(b)上記ミキサー中に少なくとも2種の非水の液体賦形剤を添加することにより(例えば、上記ミキサー中に少なくとも2種の非水の液体賦形剤を逐次添加することにより)上記乾式賦形剤を混合してドウ状材料にすることとによる、少なくとも1種の活性成分を動物に経口送達するためのデンプン不含のソフトチューを製造する方法に関する。或る特定の実施態様では、この方法は、以下の追加の工程:(c)上記ドウ状材料をリボンへと成形する工程、(d)上記リボンをソフトチュー部分に(例えば、分割器具を使用して)分割する工程、及び(e)上記ソフトチュー部分を包装する工程の少なくとも1つを含む。幾つかの実施態様では、この方法はまた、少なくとも1種の活性成分とデンプン不含の乾式賦形剤とを乾式混合する工程を含む。幾つかの実施態様では、この方法は、周囲の室温条件下で実施される。
【0043】
上記方法の幾つかの実施態様では、少なくとも2種の非水の液体賦形剤は、湿潤剤(例えば、グリセリン)と溶剤(例えば、中鎖トリグリセリド)とを含む。例としては、限定されるものではないが、湿潤剤をまず上記ミキサー中に添加することができ、その後に溶剤を上記ミキサー中に添加することができる。
【0044】
幾つかの実施態様では、上記方法はまた、少なくとも1種の活性成分と非水の液体賦形剤の1つとを混合する工程を含む。例としては、限定されるものではないが、少なくとも1種の活性成分を溶剤と混合することができる。
【0045】
1つ以上の実施態様の詳細は以下の詳細な説明に示されている。他の特徴及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0046】
本出願の実施形態の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】ソフトチューの調製のために使用される本発明の実施形態を例示する製造方法を図解する簡略化された流れ図である。
図2図1の製造方法において使用される乾式成分の調製に必要とされる方法工程を図解する簡略化された流れ図である。
図3】本明細書に記載されるソフトチューの実施形態を調製するために使用される例示的な製造方法を図解する簡略化された流れ図である。
図4】25℃及び60%の相対湿度(RH)で6ヶ月貯蔵した実施例1のソフトチューAの2.5g分からのミルベマイシンオキシムの平均溶解を示すプロットである。
図5】25℃及び60%の相対湿度(RH)で6ヶ月貯蔵した実施例1のソフトチューAの2.5g分からのプラジカンテルの平均溶解を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、イヌ、ネコ又は他のペット等の伴侶動物を処置するために特に非常に適した、栄養補助食品を含む1種以上の医薬的活性成分及び他の医薬の経口送達のために適した組成物又は剤形を開示している。より具体的には、本発明者らは、本明細書において獣医薬又は栄養成分の最終的な剤形としてのソフトチュー及びそのようなソフトチューのための賦形剤の配合物を記載している。ソフトチューの実施形態は、ソフトチューに含まれる医薬的活性成分の安定性及び生物学的利用能を高めることができ、十分な量のフレーバリングを保持する構造的完全性を示すことができ、及び/又は長い時間にわたりソフトで展性の質感を保持することができる。ソフトチューの実施形態はまた、微生物の増殖を抑制し、改善された保存期間を示し得る。さらに、本明細書に記載されるソフトチュー配合物の実施形態は、薬物製品の動的溶解試験において良い機能を果たし得る。
【0049】
薬物の安定性に影響を及ぼす主な化学反応は一般に酸化及び加水分解と考えられる。酸化は分子からの電子の除去(又は酸素の付加)を伴い、酸化反応は光、熱又は或る特定の微量金属によって開始され得る。高感受性の薬物を光及び酸素の不存在下で保存することによって、又は配合物中に酸化防止剤を使用することによって、酸化的分解をしばしば許容可能なレベルにまで減らすことができる。
【0050】
加水分解は、或る分子と水とが反応して、その分子内の化学結合が切断されることである。加水分解は薬物分解のより一般的な経路であり、嚥下されるべき剤形(例えば、錠剤又はカプセル剤)が好ましくない獣医用途の製剤においては特に問題がある。残念なことに、多くの活性医薬成分は、加水分解を受けやすい官能基を含むことから水分感受性である。そのような水分感受性の薬物の例は、ニテンピラム、ミルベマイシンオキシム、クラブラン酸及びイベルメクチンである。特に、イベルメクチンは水性環境に非常に感受性が高く、分解を受けやすいため、湿気から保護しなければならない。水との接触時のその化学的不安定性は、米国特許出願公開第2016/0303151号で大きく強調されている。
【0051】
医薬製品中の含水量は、カールフィッシャー滴定によって定量化することができる。一般に、製品の含水量は結合水と非結合水とを含むと理解される。カールフィッシャー法による水の総量の測定に加えて、水分活性又は非結合水のレベルの測定は、製品の安全性及び安定性に対する水の影響を評価するための効果的な方法であり得る。水分活性のレベルは、ソフトチュー製品の質感特性にも影響を与え得る。安全性及び安定性のためには低い水分活性が望ましいが、それは、特にデンプンを含む従来のソフトチューでは硬さ、乾燥、干からび(staleness)及び粘り気等の望ましくない質感的特質をもたらし得る。
【0052】
デンプン及び水が賦形剤として使用されていない本明細書に記載されるソフトチューの実施形態では、水はほとんどが結合水として存在する。ソフトチューにおける遊離水すなわち非結合水のレベルは事実上低い。したがって、ソフトチューの含水量は、経時的に大幅に変動することなく、ほぼ一定のままである。
【0053】
本発明者らにより記載された賦形剤の組成物は、剤形の安定性及び生物学的利用能を支持する。さらに、本発明により製造されたソフトチューは、丸薬というよりはむしろ食餌(treat)の様相をなす、多くの様々な形状及びサイズにより容易に設計することができる。
【0054】
有利には、開示された機能性成分の組成物は、長い時間にわたり変わらずソフトで展性の質感を生ずる。これにより、識別的なin vitroの溶解法を、信頼性の高い品質管理試験として使用することができる。
【0055】
識別的溶解法は、標的条件下で製造された薬物製品と、意図的に意味のある変更を加えて製造された薬物製品とを区別することができる方法である。「意味のある変更」という表現は、配合、原材料の特質及び/又は薬物製品の製造の間に起こり得るプロセスパラメーターの変化を表すために使用される。理想的には、識別的溶解法は、配合、原材料の特質、及び加工条件への変化(すなわち、バッチ間変動又は計画された条件変更)を検出することが可能であるべきである。したがって、溶解試験は、in vivo性能が影響を受ける前に製品の品質に起こり得る変化を指摘することが可能であるべきである。そのような変化の1つは、ソフトチュー配合物の硬さの経時的な増加である。必要な溶解法は、上記変化を検出するのに十分に識別的であるべきである。
【0056】
先進国の市場向けの製品のためには、品質管理試験又はクオリティ・バイ・デザイン試験における製品評価のいずれかで使用するために識別的溶解法が利用可能であることが必要である。主要な規制当局は、医薬製品、特に経口の固体剤形の品質管理のための識別的溶解法を要求する。
【0057】
現在市場に出回っている多くの医薬品ソフトチューは、賦形剤としてデンプンを含有する。これらの製品は一般に、望ましい物理化学的特質を有しない。それらは、高い水分含量及び硬い質感を有し、ゆっくりとした崩壊及び溶解を示す傾向がある。これらの望ましくない物理化学的特性は、配合物中のデンプンの存在によるものである可能性がある。デンプンは、高湿度環境において水分を容易に吸収し、乾燥環境に曝されると水分を失い得る高い水分含量を有する賦形剤である。チュー内の水分の変動は、経時的にその質感を変化させ得る。ソフトチューの特性のこれらの変化は一方で、製品の生物学的利用能に影響し得る。
【0058】
本明細書に記載されるソフトチューは、賦形剤としてデンプン又は添加された水を必要としない。これらのソフトチューは、低い水準で安定した含水量及び水分活性を示し、長い時間にわたり質感に展性を維持することができ、それにより識別的溶解法を使用した活性医薬成分の放出の測定とソフトチューの溶解プロファイルの作成とが可能となる。
【0059】
本発明の実施形態は、様々な理由で従来技術よりも有利であり得る。例えば、
ソフトチュー配合物の実施形態は、高い安定性及び生物学的利用能を示し、デンプン及び/又は水を添加する必要を排除し得る。
ソフトチュー配合物の或る特定の実施形態では、水分活性(すなわち、遊離水の量)は十分に低い。多くの活性医薬成分は水分感受性であるため、低いレベルの遊離水含量が、薬物送達システムにおいて重要である。
ソフトチュー配合物の実施形態は、微生物の増殖の機会を減らすことにより適切な保存期間を達成することができる。
デンプンを避けることで、より均一な表面様相と一般的に改善された見た目をもたらすとともに、デンプンの消化のための必須の酵素を欠くイヌ及びネコのような伴侶動物による消化も改善することにより、より高品質のソフトチューがもたらされる。
ソフトチュー配合物の実施形態は、丸薬というよりはむしろ食餌のように見える、多くの様々な形状及びサイズへとより容易に設計することができる。
ソフトチュー配合物の実施形態は、長い時間にわたりソフトで展性の質感を維持することができる。
ソフトチュー配合物の実施形態は、識別的なin vitroの溶解法を信頼性の高い品質管理試験として使用することを可能にし得る。
或る特定の実施形態では、ソフトチューを作製する方法全体は、熱感受性の活性成分にとって特に有益である周囲の室温条件下で実施することができる。
大幅に異なるバッチサイズにわたって一貫した品質のソフトチュー製品を生産することにより、製造の簡単なスケールアップが容易になる。
【0060】
例示的な実施形態
1つの態様では、本発明は、1種以上の医薬的活性成分又は栄養的活性成分と複数の賦形剤(例えば、医薬品グレードの賦形剤)とを含むデンプン不含のソフトチューに関する。このソフトチューは、添加された水を含まず、複数の賦形剤はデンプンを含まない。ソフトチューにおいて使用される例示的なデンプン不含の賦形剤には、充填剤、フレーバリング剤又は嗜好剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤が含まれ得る。1つの実施態様では、複数の賦形剤は少なくとも2種の乾式成分又は固体成分と少なくとも2種の湿式成分又は液体成分とを含む。固体成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体成分は賦形剤として水を含まない。例示的な一実施態様では、固体成分は少なくとも第二リン酸カルシウム(例えば、無水、一水和又は二水和)と微結晶性セルロースとを含み、液体成分は少なくともグリセリンと中鎖トリグリセリドとを含み、ソフトチューは添加された水を含有しておらず、充填剤はデンプンを含有していない。幾つかの実施態様では、複数の賦形剤は少なくとも1種のフレーバリング剤を更に含む。
【0061】
別の態様によれば、本発明は、ソフトチューの製造方法に関する。この方法は、以下の工程:複数の乾式成分又は固体成分をミキサー中で乾式混合する工程、複数の湿式成分又は液体成分と一緒に湿式混合してドウ状材料にする工程、上記ドウ状材料をリボンへと成形する工程、上記リボンを予め決められた長さのソフトチュー部分に分割する工程、及び上記ソフトチュー部分を包装する工程の幾つか又は全てを含む。乾式成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体成分は賦形剤として水を含まない。
【0062】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の活性成分と複数の賦形剤とを含むソフトチューに関する。活性成分は、経口投与することができる医薬品作用物質又は栄養的作用物質であり得る。複数の賦形剤は、非デンプンの固体賦形剤及び非水の液体賦形剤の組み合わせである。幾つかの実施態様では、ソフトチューは医薬的又は栄養的であり得る2種の活性成分を含む。他の実施態様では、ソフトチューは医薬的又は栄養的であり得る3種以上の活性成分を含む。更なる実施態様では、多数の活性成分は、全てが医薬成分であるか又は全てが栄養成分であるかのいずれかである。
【0063】
或る特定の実施態様では、本明細書に記載されるソフトチューは、抗寄生虫剤である少なくとも1種の活性成分を含む。抗寄生虫剤は、外部寄生虫駆除薬若しくは内部寄生虫駆除剤のいずれか又はその両方であり得る。幾つかの実施態様では、ソフトチューは添加された水を含有しておらず、活性成分は、イソオキサゾリンの部類に属する外部寄生虫駆除剤であり、かつ複数の賦形剤はデンプンを含有していない。イソオキサゾリンの部類の例示的な外部寄生虫駆除剤には、例えば、アフォキソラネル、フルララネル、サロラネル、ロチラネル等が含まれる。他の実施態様では、ソフトチューは添加された水を含有しておらず、活性成分は、大環状ラクトンの部類に属する内部寄生虫駆除剤又は駆虫剤であり、かつ複数の賦形剤はデンプンを含有していない。大環状ラクトンの部類の例示的な駆虫剤には、例えば、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチン、セラメクチン等が含まれる。
【0064】
或る特定の実施態様では、ソフトチューは2種以上の活性成分を含有し、少なくとも1種は外部寄生虫駆除薬であり、少なくとも1種は内部寄生虫駆除薬である。幾つかの実施態様では、活性成分は、イソオキサゾリン及び大環状ラクトンの部類の組み合わせである。他の実施態様では、ソフトチューは、イソオキサゾリンを除く化学物質の部類に属する活性医薬成分を含有する。
【0065】
1つの実施態様では、ソフトチュー中の複数の賦形剤は、充填剤と、フレーバリング剤と、湿潤剤と、溶剤と、軟化剤と、防腐剤と、酸化防止剤と、滑沢剤を含む。例示的な充填剤には、限定されるものではないが、第二リン酸カルシウム二水和物(DiCal又はDCPD)、微結晶性セルロース、ラクトース及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。1つの例示的な実施態様では、充填剤は、リン酸二カルシウム二水和物、微結晶性セルロース、又は上記のいずれかの組み合わせである。例示的な溶剤には、限定されるものではないが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。1つの例示的な実施態様では、溶剤は中鎖トリグリセリド又はカプリル酸及びカプリン酸の混合物のトリグリセリドである。例示的な軟化剤には、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。
【0066】
複数の賦形剤は、結合剤及び/又は崩壊剤及び/又は界面活性剤を更に含む。例示的な結合剤には、限定されるものではないが、ポビドン、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシルメチルセルロース(HPMC)及び上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれる。
【0067】
1つの例示的な実施態様では、ソフトチューは少なくとも1種の活性医薬成分と、以下の賦形剤:10%(重量/重量)~90%(重量/重量)のリン酸二カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~35%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、2%(重量/重量)~50%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。別の例示的な実施態様では、ソフトチューは少なくとも1種の活性医薬成分と、以下の賦形剤:15%(重量/重量)~90%(重量/重量)のリン酸二カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~30%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。更なる例示的な実施態様では、ソフトチューは少なくとも1種の活性医薬成分と、以下の賦形剤:10%(重量/重量)~60%(重量/重量)のリン酸二カルシウム二水和物と、5%(重量/重量)~35%(重量/重量)のフレーバリングと、5%(重量/重量)~40%(重量/重量)の微結晶性セルロースと、0%(重量/重量)~15%(重量/重量)のクロスカルメロースナトリウムと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)のフマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムと、15%(重量/重量)~50%(重量/重量)のグリセリンと、2%(重量/重量)~20%(重量/重量)の中鎖トリグリセリドと、0%(重量/重量)~5%(重量/重量)の無水クエン酸と、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のソルビン酸カリウムと、0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)のDL-α-トコフェリルアセテートとを含む。
【0068】
別の態様では、本発明は、(a)複数の乾式成分又は固体成分をミキサー(例えば、低剪断ミキサー又は高剪断ミキサー)中で乾式混合することと、(b)複数の湿式成分又は液体成分を上記ミキサー中に添加することにより湿式混合してドウ状材料にすることとによる、ソフトチューの製造方法に関する。この方法は、以下の追加の工程:(c)上記ドウ状材料をリボンへと成形する工程、(d)上記リボンを予め決められた長さのソフトチュー部分に分割(例えば、分割器具を使用して)する工程、及び(e)上記ソフトチュー部分を包装する工程の1つ以上を含み得る。1つの好ましい実施形態では、湿式混合工程は、以下の部分工程:湿潤剤をミキサー中に加える工程と、上記ミキサー中でそのブレンドを混合する工程と、その後に上記ミキサー中に溶剤を添加する工程とを含む。1つの実施態様では、この方法全体は、室温条件下で実施され、加熱又は冷却は必要とされない。
【0069】
上記方法の1つの実施態様では、複数の乾式成分は、医薬的作用物質又は栄養的作用物質である少なくとも1種の活性成分を含む。上記方法の別の実施態様では、複数の液体成分は、医薬的作用物質又は栄養的作用物質である少なくとも1種の活性成分を含む。上記方法の更に別の実施態様では、粉末形の活性成分を液体賦形剤と混合し、又は液体賦形剤中に溶解し、その後にミキサー中に添加する。上記方法の更なる実施態様では、複数の乾式成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含み、複数の液体成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含む。
【0070】
本発明の別の態様によれば、デンプン又は添加された水の使用を必要としないソフトチューの形の最終的な投薬のためのデンプン不含の賦形剤の組成物が提供される。1つの実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は少なくとも2種の固体成分と少なくとも2種の液体成分とを含む。例示的な実施態様では、固体成分は賦形剤としてデンプンを含まず、液体成分は賦形剤として水を含まない。幾つかの実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は、水分感受性である少なくとも1種の活性成分の経口投与のためのビヒクルである。幾つかの実施態様では、全ての賦形剤は医薬品グレードである。
【0071】
更に別の実施態様では、固体成分は少なくとも第二リン酸カルシウムと微結晶性セルロースとを含み、液体成分は少なくともグリセリンとC6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドとを含み、ここで、デンプン又は添加された水は必要とされない。幾つかの実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は、水分感受性である少なくとも1種の活性成分の経口投与のためのビヒクルである。更に別の実施態様では、デンプン不含の賦形剤の組成物は少なくとも1種のフレーバリング剤を更に含む。また更に別の実施態様では、全ての賦形剤は医薬品グレードである。
【0072】
第二リン酸カルシウムは含水又は無水であり得る。或る特定の実施態様では、含水の第二リン酸カルシウム、より好ましくは第二リン酸カルシウム二水和物が使用される。
【0073】
C6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドは、C6~C12脂肪酸のいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせのトリグリセリドであり得る。或る特定の実施態様では、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又は中鎖トリグリセリド、より好ましくは中鎖トリグリセリドが使用される。
【0074】
例としては、限定されるものではないが、本明細書に記載されるソフトチューにおいて使用される例示的なデンプン不含の賦形剤の配合物は、第二リン酸カルシウム二水和物と微結晶性セルロースとを約1:1~4:1(例えば、約2:1~3:1又は約2.5:1~3:1)の重量比で含む。グリセリン及び中鎖トリグリセリドは、約2:1~7:1(例えば、約4:1~7:1又は約5:1~6:1)の重量比で含まれ得る。
【0075】
よく知られているように、ヒト及び非ヒト動物の両方を処置するために使用される多くの活性医薬成分(API)は口当たりが悪く、適切な賦形剤を伴わない限り経口送達には適していない。本明細書に記載されるデンプン不含の賦形剤の配合物はフレーバリングを更に含み得る。本明細書に記載される組成物及び剤形の例示的な実施態様は、APIの口当たりの悪い味覚をマスキングするのに十分であるが、それと同時に動物による自発的な受け入れを誘導する量でフレーバリング剤を含有し得るので、動物に医薬をむりやり服用させる、又は獣医師を巻き込む必要を無くすことができる。
【0076】
例としては、フレーバリングは、全ての賦形剤の総重量を基準にして、約0.1~0.35(例えば、約0.15~0.3又は約0.2~0.25)の重量比で含まれ得る。フレーバリング剤は、好ましくは医薬品グレードである。例示的なフレーバリング剤には、限定されるものではないが、FlavorPal(商標)(TetraGenX社、カナダ、ケベック州、サン・ローラン)、Desiccated Pork Liver Powder(商標)(Gurvey and Berry社、カナダ、オンタリオ州、トロント)、Provesta(商標)356(Ohly Inc.社、ドイツ、ハンブルク)、Provesta(商標)400(Ohly Inc.社、ドイツ、ハンブルク)及びPC-0125 Artificial Powdered Beef Flavor(商標)(Pet Flavors Inc.社、米国、フロリダ州、メルボルン)が含まれる。FlavorPal(商標)を含む本発明のソフトチューは、動物による優れた自発的受け入れを示し得ることにより、動物はそのソフトチューが薬物ではなくむしろ食餌であるという認識を高める。
【0077】
1つの実施態様では、ソフトチューにおいて使用される賦形剤の組成物は、第二リン酸カルシウム二水和物と、微結晶性セルロースと、グリセリンと、中鎖トリグリセリドとを含むが、賦形剤としてデンプン又は水のいずれも含まない。このデンプン不含の組成物は、十分な構造的完全性、所望の柔らかさ及び展性、低い水分活性並びに一貫した含水量を有するソフトチューの最終的な剤形を提供し得る。デンプン不含の担体組成物は少なくとも1種のフレーバリング剤を更に含み得る。酸化防止剤(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート)がこの組成物に添加されてもよい。
【0078】
デンプン不含の担体組成物は、水分感受性の活性成分の製剤化のために特に適切であり得る。リン酸二カルシウム二水和物、微結晶性セルロース、グリセリン及び中鎖トリグリセリド等の賦形剤は一般に、市場で知られているほとんどの活性医薬成分との良好な適合性を示す。
【0079】
賦形剤の配合物
本発明の実施形態には、ソフトチューの形の最終的な投薬のための賦形剤の配合物が含まれる。ソフトチューは、脆くなく又はガリガリ噛めるものでもなく、こうして伴侶動物又はペットにより噛まれても直ちにばらばらにならない材料を指すために使用される。
【0080】
充填剤/増量剤
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、ソフトチュー配合物は、充填剤又は増量剤を含む。充填剤又は増量剤として使用され得る例示的な化合物には、含水若しくは無水の第二リン酸カルシウム、微結晶性セルロース(MCC)、含水若しくは無水のラクトース又はそれらの組み合わせが含まれる。好ましくは、第二リン酸カルシウム二水和物(DiCal又はDCPD)、微結晶性セルロース(MCC)、ラクトース一水和物又は上記のいずれかの任意の組み合わせが、充填剤として使用され得る。しかしながら、デンプンは、本発明の実施形態において使用される充填剤中では使用されない。
【0081】
デンプンはしばしば、主に多くの従来の経口固形製剤において賦形剤として使用されるが、本発明の例示的な実施形態における充填剤としては、デンプンは避けられる。デンプンは、化学式(C10(ここで、n=300~1000)を有する。多くの従来の充填剤は、糊化デンプン又は非糊化デンプンであり得るデンプンの使用を含むどころか、しばしばそれが好まれる。さらに、押出の使用は、使用される特定の充填剤又は増量剤とデンプンを含有する他の投入成分の存在とに応じて、しばしばデンプンの糊化を誘導する。
【0082】
デンプンは従来のソフトチュー配合物において一般的に使用されるにもかかわらず、デンプンは、APIを含有するソフトチューの最終的な剤形に或る特定の有害な作用を有する。例えば、デンプンは、剤形における水分活性を促進する高い水分含量を有する。高い水分活性はAPIの安定性の低下(例えば、加水分解)及び微生物活性の増加をもたらし、それによりAPIの効力及びソフトチューの保存期間が脅かされる。さらに、イヌ及びネコのような伴侶動物はデンプンを容易に消化することができない。これらの動物は、短い単純な消化管を有する肉食動物であり、デンプンの消化に必要なアミラーゼ等の必須酵素を欠いている。したがって、本発明のデンプン不含の配合物はこれらの動物にとってより有益である。
【0083】
本発明の実施形態は、デンプンを使用しない又はデンプンを必要としない。糊化デンプン又は非糊化デンプンのいずれも、本発明の実施形態における充填剤成分として使用するために必要とされない。有利には、充填剤においてデンプンを避けることで、より高品質のソフトチューがもたらされる。本発明の実施形態を例示するソフトチューの少なくとも幾つかは、より均一な表面様相及び一般的に改善された見た目を有することが示された。さらに、デンプンは高い水分含量を有し、デンプンを使用しないことにより、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、水分感受性のAPIに適応させることができるはるかに低い水分含量を有することとなる。
【0084】
代わりに、本発明の実施形態は、第二リン酸カルシウム、MCC、ラクトース又はこれらの組み合わせを充填剤又は増量剤として使用する。したがって、本発明の幾つかの実施形態は、第二リン酸カルシウムを含む充填剤を使用し得る。したがって、本発明の他の実施形態は、MCCを含む充填剤を使用し得て、したがって、本発明の更に他の実施形態は、ラクトースを含む充填剤を使用し得る。幾つかの実施形態は、MCCと第二リン酸カルシウムとの両方を含む充填剤を使用し得て、一方で、他の実施形態は、MCCとラクトースとの両方を含む充填剤を使用し得て、一方で、幾つかの他の実施形態は、ラクトースと第二リン酸カルシウムとの両方を含む充填剤を使用し得る。更に他の実施形態は、MCCと第二リン酸カルシウムとラクトースとの全てを含む充填剤を使用し得る。例示的なラクトースには、限定されるものではないが、含水のラクトース、無水のラクトース及びラクトース一水和物が含まれる。
【0085】
微結晶性セルロースは、医薬製剤の希釈剤及び結合剤として広く使用されており、一般に比較的無毒で非刺激性の材料とみなされる。医薬品用賦形剤として、MCCは様々なAPIに十分に許容性であることが分かっている。微結晶性セルロースは、多孔質粒子からできた白色の無味無臭の結晶性粉末として生ずる精製された部分的に解重合されたセルロースである。微結晶性セルロースは幾つかの異なるグレードで市販されている。これらのMCCは、それらの製造方法、粒径、水分、流動特性及び他の物理的特性の点で異なる。例示的な実施形態では、MCCは、ソフトチューの約5重量%~40重量%(「重量/重量」)を構成し得る。
【0086】
第二リン酸カルシウムは、無水形又は含水形で入手可能である。その二水和物は化学式CaHPO・2HOを有し、錠剤製剤における希釈剤としてだけでなく、栄養補給剤におけるカルシウム源及びリン源としても広く使用されている。医薬品用賦形剤として、第二リン酸カルシウム二水和物は、様々なAPIの作用に十分に許容性であることが分かっている。DiCalは摩擦性であるため、医薬剤形で利用される場合には滑沢剤が一般的に使用され、通常それが打錠の要件である。第二リン酸カルシウム二水和物は非吸湿性であり、室温に近い温度で安定である。他の例示的な実施形態では、第二リン酸カルシウム二水和物は、ソフトチューの15重量%~90重量%(「重量/重量」)を構成し得る。DCPDは、MCCとの相乗的相互作用により、本発明のソフトチューの構造的完全性を支持し得る。
【0087】
フレーバー
投薬の嗜好性を改善するために、本発明の実施形態を例示する組成物において、多くのフレーバリング剤が使用され得る。例示的な実施形態において使用される肉フレーバリング又は牛肉フレーバリングは、天然由来であっても、又は肉フレーバー若しくは牛肉フレーバーを有するように人工的に配合されてもよい。
【0088】
天然フレーバリングは、しばしば、雌ウシ又は雄ウシ等のウシ、ブタ、シカ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウ、ニワトリ、カモを含み得る家禽等を含む家畜化された肉畜から得ることができる乾燥され粉砕又は粉末化された肉からできている。
【0089】
しばしば植物由来の非動物フレーバリングも当該技術分野において知られており、本発明の実施形態において使用され得る。これらのフレーバリングには、ピーナッツ、果物、甘味料、蜂蜜、砂糖、メープルシロップ及び果糖、パセリ、セロリ、ペパーミント、スペアミント、ニンニク等が含まれ得る。例示的な実施形態では、フレーバリング又は嗜好剤は、ソフトチューの5%(重量/重量)~30%(重量/重量)を構成し得る。
【0090】
好ましくは、フレーバリング剤は医薬品グレードである。例示的なフレーバリング剤には、限定されるものではないが、FlavorPal(商標)、Desiccated Pork Liver Powder(商標)、Provesta(商標)356、Provesta(商標)400及びPC-0125 Artificial Powdered Beef Flavor(商標)が含まれる。
【0091】
軟化剤/湿潤剤
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、軟化剤又は湿潤剤としてグリセロールを利用する。グリセロールは、分子式HOCHCHOHCHOHを有する無色透明の粘性の有機化合物である。
【0092】
湿潤剤は当該技術分野において知られており、多くの従来のソフトチューはアルギン酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、トリアセチン、キシリトール及びグリセリンを使用することが知られている。本発明の好ましい実施形態では、グリセロールが軟化剤又は湿潤剤として使用される。グリセロールは、或る特定の細菌種に対して静菌性及び殺菌性であることも知られている。
【0093】
水(不使用)
多くの既知の従来の製剤及び方法とは異なり、本発明の実施形態はソフトチュー組成物において水を導入しない。ソフトチューは典型的には、成分の混合物をブレンドして、押出機を使用することによって製造される。
【0094】
経口送達システムにおいて水分活性すなわち遊離水含量を制御することの重要性は、特許文献2において強調されている。ソフトチューにおける遊離水すなわち利用可能な水は、微生物の増殖を促進し、特に栄養素を含むフレーバリング剤の存在下で化学反応及び酵素反応並びに腐敗過程に関与し、それらを支持する。この遊離水の量は水分活性として知られており、最終製品の化学的安定性及び微生物的安定性にとっては総含水量よりも重要である。
【0095】
従来のソフトチュー製造では、混合物中に導入される水は一般的に医薬品グレードでなければならない。本明細書に記載されるソフトチューの実施形態では、賦形剤として水は使用されない。賦形剤として水が存在しないことで、高価な医薬品グレードの水を使用する必要性が避けられ、微生物の増殖又は活性成分による効力の喪失の可能性が低下する。水も、高い水分含量を有するデンプンも配合物に添加されないことで、本発明の実施形態は、水分感受性のAPIに適応することが可能となる。
【0096】
有利には、本発明の実施形態では、製造方法において混合物中に水が導入されないので、医薬品グレードの水を維持することに関連する方法及び費用が避けられる。
【0097】
これは、当該技術分野において、例えば、最大9%の水を含む口当たりの良い延性のチュアブル獣医用組成物を開示している上述の特許文献4において知られるチューの幾つかとは明確に異なる。
【0098】
溶剤/他の液体
本発明の幾つかの実施形態は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又は中鎖トリグリセリド(MCT)並びに長鎖トリグリセリド(LCT)と呼ばれる植物油を含む溶剤を使用する。例示的な実施形態では、MCTは、ソフトチューの15%(重量/重量)~50%(重量/重量)を構成し得る。他の実施形態では、溶剤は、C6~C12脂肪酸のいずれか1つのトリグリセリド、C6~C12脂肪酸の任意の組み合わせのトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及び中鎖トリグリセリド(MCT)を含む、C6~C12の炭素鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドであり得る。
【0099】
中鎖トリグリセリドすなわちMCTとして知られる中鎖長脂肪酸のトリグリセリドは、グリセロールをC8又はC10の炭素鎖長の脂肪酸でエステル化することにより合成され得る。MCTは通常、国際公開第2013126990号に開示されるような、C8脂肪酸(オクタン酸又はカプリル酸)及びC10脂肪酸(デカン酸又はカプリン酸)のグリセロールエステルと、少量(各1%未満)のC6脂肪酸(ヘキサン酸又はカプロン酸)及びC12脂肪酸(ドデカン酸又はラウリン酸)のグリセロールエステルとの混合物として市販されている。
【0100】
MCTは、より低い粘度及びより高いアルコール中での可溶性を含む、通常の動物性脂肪又は植物油とは異なる物理的特徴を有する。MCTに含まれる脂肪酸は動物性脂肪のように飽和であるが、MCTは植物油のように室温で液体である。国際公開第2013/126990号は、MCTが、賦形剤として使用される場合に水溶性が不十分な活性成分の可溶化を改善し得ることを示している。また、MCTは一般的に抗微生物性及び抗ウイルス性であることが知られている。
【0101】
MCTは多機能性の賦形剤であり、以下に示されるように滑沢剤として機能し得る。MCTは、押出、リボン成形等の間のソフトチュー配合物の加工性を向上させ、高速加工を容易にし得る。
【0102】
軟化剤
本発明の実施形態はまた軟化剤を使用する。軟化剤は、通常は密度を抑えることによりソフトチュー製品の硬さを減少させるために利用される。
【0103】
薬学的に許容可能な軟化剤はよく知られており、例えば、多糖類、カカオバター、種子油、パーム油若しくはココナッツ油等の植物性脂肪若しくは動物性脂肪又はグリセリン等のアルコールを含み得る。例示的な実施形態では、グリセリンは、ソフトチューの15%(重量/重量)~50%(重量/重量)を構成し得る。
【0104】
本発明の好ましい実施形態では、使用される軟化剤は、ステアリン酸マグネシウム(MgSt)、化学式C1735COHを有するステアリン酸及び/又は滑沢剤としても使用されるフマル酸ステアリルナトリウム(C2239NaO)である。
【0105】
結合剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、ポビドン、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシルメチルセルロース(HPMC)又はそれらの組み合わせの形の結合剤を含み得る。結合剤の使用は、本発明の幾つかの実施形態では任意である。
【0106】
ポビドンは、2500~3000000の範囲内の分子量を有する化学式(CNO)を有する。ポビドンは、結合剤として使用される他に、崩壊剤、溶解助剤及び懸濁剤としても作用し得る。ポビドンの製品には、溶液での粘度、そしてまた特定のポビドンの平均分子量の指標であるK番号がしばしば添えられている(例えば、ポビドンK30)。
【0107】
幾つかの実施形態では、結合剤は存在する場合にはポビドンだけを含み得るが、他の実施形態では、結合剤はHPCだけを含み得て、更に他の実施形態では、結合剤はHPMCだけを含み得る。幾つかの実施形態では、結合剤は存在する場合にはポビドン及びHPCだけを含み得るが、他の実施形態では、結合剤はポビドン及びHPMCだけを含み得て、更に他の実施形態では、結合剤はHPC及びHPMCだけを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、ソフトチューはポビドン、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシルメチルセルロース(HPMC)の3種全てを含み得る。
【0108】
界面活性剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、その特性及び用途に応じて、時には湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤とも呼ばれる表面活性剤である。界面活性剤は、表面張力又は2種の液体間若しくは液体と固体との間の界面張力を下げる。界面活性剤は有機溶剤及び水の両方に可溶性であり、摂取のために適している。しかしながら、界面活性剤の使用は、本発明の実施形態では任意である。
【0109】
崩壊剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、崩壊剤を含み得る。例示的な実施形態では、崩壊剤は、ソフトチューの最大15%(重量/重量)を構成し得る。当該技術分野において知られる例示的な崩壊剤には、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム及びセルロースが含まれる。上記のように、ポビドンは崩壊剤としても機能し得る。崩壊剤の使用は、本発明の幾つかの実施形態では任意である。具体的な例示的な実施形態では、クロスカルメロースナトリウムは、ソフトチューの最大15%(重量/重量)を構成し得る。崩壊剤は質感を変更するためにも使用され、薬物放出を変更するために使用することができる。
【0110】
酸化防止剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、酸化防止剤を含み得る。酸化防止剤の例としては、α-トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、没食子酸n-プロピル、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びモノチオグリセロールが挙げられる。例示的な実施形態では、酸化防止剤は、ソフトチューの0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)を構成し得る。
【0111】
他の酸化防止剤には、α-トコフェロール、β-トコフェロール又はδ-トコフェロール等のトコフェロール類、トコフェロールエステル、α-トコフェロールアセテート、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、無水及び含水のクエン酸、エデト酸及びその塩、レシチン並びに酒石酸も含まれ得る。他の酸化防止剤は、レスベラトロール、ケルセチン、安息香酸、ジメチルチオ尿素(DMTU)、ヘスペレチン、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロデメトキシクルクミン及びモノチオグリセロールである。具体的な実施形態では、α-トコフェロール又はDL-α-トコフェロールアセテートは、ソフトチューの0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)を構成し得る。
【0112】
防腐剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、防腐剤を含み得る。防腐剤の例としては、薬学的に許容可能であるよく知られた防腐剤の賦形剤、例えば、安息香酸、アスコルビン酸、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、含水及び無水クエン酸等が挙げられる。例示的な実施形態では、ソルビン酸カリウムは、ソフトチューの0.01%(重量/重量)~3%(重量/重量)を構成し得て、無水クエン酸は、ソフトチューの最大5%(重量/重量)を構成し得る。
【0113】
幾つかの場合には、上記の酸化防止剤の幾つかは、防腐剤と同じ役割を担うこともできる。
【0114】
滑沢剤
ソフトチューの例示的な実施形態は、滑沢剤を含み得る。滑沢剤の例としては、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又は中鎖トリグリセリド(MCT)及び長鎖トリグリセリド(LCT)と呼ばれる植物油、ステアリン酸マグネシウム(MgSt)、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム並びにそれらの組み合わせが挙げられる。例示的な実施形態では、フマル酸ステアリルナトリウム等の滑沢剤は、ソフトチューの最大5%(重量/重量)を構成し得る。中鎖トリグリセリド(MCT)は、ソフトチューの最大15%(重量/重量)~50%(重量/重量)を構成し得る。
【0115】
LCT、MCT、MgSt、ステアリン酸及びフマル酸ステアリルナトリウム等の滑沢剤は、加工をより容易にするために機械を潤滑することを補助する。滑沢剤配合物はまた、特にリボン成形の間に装置を潤滑する。さらに、滑沢剤はDiCal等の他の賦形剤の潜在的な摩擦性の特徴を緩和することも補助し得る。
【0116】
活性成分
ソフトチューの例示的な実施形態に関連して記載された上記成分又は賦形剤は、当然ながら活性医薬成分(API)及び活性栄養成分を含む1種以上の適切な活性成分と組み合わせて使用することができる。
【0117】
活性医薬成分は、薬物製品の生物学的活性成分であり、他の医薬成分よりも厳密に法的に管理され規制され得るカンナビノイド等の物質を含む。活性栄養成分は、栄養補助食品において見られる活性成分である。
【0118】
本明細書に記載されるソフトチューにおいて使用するために適した活性成分は、経口投与することができる任意の薬物、栄養的作用物質等であり得る。例としては、限定されるものではないが、抗感染剤、例えば抗生物質、抗細菌薬、抗真菌薬、抗原虫薬及び抗ウイルス薬、鎮痛薬、抗寄生虫薬、例えば外部寄生虫駆除薬及び内部寄生虫駆除薬(駆虫薬)、ホルモン及びその誘導体、抗炎症薬、例えば非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド等、植物カンナビノイド(フィトカンナビノイド)及び合成カンナビノイドを含むカンナビノイド類、行動改善剤(behavior modifiers)、ワクチン、制酸剤、緩下剤、抗けいれん薬、鎮静薬、精神安定薬、鎮咳薬、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、去痰薬、食欲刺激薬及び抑制薬、ミネラル及びビタミン、アミノ酸、脂肪酸、グルコサミン、酵素、魚油、ハーブ成分並びに伝統薬が挙げられる。
【0119】
獣医用薬物の中で、抗寄生虫薬及び抗感染薬は、獣医用医療品の市場で大きな役割を果たしており、その合計シェアはほぼ50%に達する。抗感染薬には、特に抗生物質、抗真菌薬及び抗ウイルス薬が含まれる。本明細書に記載されるソフトチューにおいて使用される例示的な抗生物質には、限定されるものではないが、アモキシシリン、セファレキシン、クラブラン酸、エンロフロキサシン及びメトロニダゾールが含まれる。抗寄生虫薬には、体表に存在する外部寄生虫に対する抗寄生虫剤(外部寄生虫駆除薬)と、体内に存在する内部寄生虫に対する抗寄生虫剤(内部寄生虫駆除薬)とが含まれる。本明細書に記載されるソフトチューにおいて使用される例示的な外部寄生虫駆除薬には、限定されるものではないが、(a)イソオキサゾリン化合物、例えばアフォキソラネル、フルララネル、サロラネル及びロチラネル並びに(b)ネオニコチノイド化合物、例えばイミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、チアメトキサム及びクロチアニジンが含まれる。本明細書に記載されるソフトチューにおいて使用される例示的な内部寄生虫駆除薬(駆虫薬)には、限定されるものではないが、(a)大環状ラクトン、例えばアベルメクチン(例えば、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチン、セラメクチン)及びミルベマイシン(例えば、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン)並びに(b)他の駆虫薬、例えばピランテル、フェバンテル、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、エモデプシド、ピペラジン、メベンダゾール、レバミゾール、プラジカンテル及びオキサンテルが含まれる。抗感染薬又は抗寄生虫薬のAPIは、単独で又は1種以上の他の活性成分と組み合わせてソフトチューに含まれ得る。
【0120】
多くのAPIは水分感受性である。例示的な水分感受性の活性成分は、クラブラン酸、ニテンピラム、ミルベマイシンオキシム及びイベルメクチンである。これらの化合物は、水と接触すると不安定になる場合があり、ソフトチューを調製する方法の間に、そしてソフトチュー配合物自体においても水性環境は避けられるべきである。
【0121】
或る特定の実施形態では、APIはイソオキサゾリンの部類の化合物を除外する。他の実施形態では、APIはイソオキサゾリンの部類の化合物を除外しない。伴侶動物を処置するために使用され得る任意の活性医薬成分は、本発明の実施形態ではAPIとして含まれ得る。
【0122】
製造方法
ここで、ソフトチューに関する本発明の実施形態を例示する方法(process or method)を記載する。本発明の実施形態を例示するソフトチューの製造方法は、乾式成分を混合して均質な粘稠性の混合物を形成することを含む。液体成分を添加して、湿式混合物の湿塊化を行う、又はそのブレンドをドウ状の粘稠性が得られるまで混合する。次いで、適切な機械を使用して、湿塊から適切な長さ及び形状のリボンを成形した後に、それらを最終的な投与重量を有する所望の製剤長さへと分割する。これらを次いで、展示、貯蔵及び/又は出荷に適した包装へと包装する。
【0123】
図1は、ソフトチューを製造するために使用される1つの例示的な製造方法(method or process)100に含まれる工程を図解している。図解されるように、方法100は、ミキサー中で一緒に混合されるべき乾式成分208から始まる。ミキサーは低剪断ミキサー又は高剪断ミキサーであり得る。低剪断ミキサーは、或る特定の実施形態のために好ましい。
【0124】
乾式成分208を使用のために調製するための前処理工程は、図2を参照して後述する。工程102で、乾式成分208をミキサーに加えて一緒に混合する。
【0125】
図1における乾式混合工程102を、乾式混合物の均質な粘稠性が得られるまで実施する。次いで、液体成分114をミキサーに加えて、湿塊化工程又は湿式混合工程104において混合を継続する。ここで、グリセリンを添加した後にMCTを添加してよい。湿塊化工程又は湿式混合工程104は、所望のドウ状の粘稠性の湿塊に至るまで継続する。
【0126】
次に、リボン成形機又は押出機を使用して湿塊を、機械装置のダイ工具によって規定される適切な加工長さ及び形状のリボンへと成形することを含むリボン成形工程106を実施する。有利には、より早期の工程での成分の配合は、特にリボン成形工程106の間に使用される装置に潤滑を与える。
【0127】
工程107で、リボン成形工程106から得られたリボンを寝かせる(cure)。幾つかの実施形態では、寝かし工程107は24時間かかり得る。工程108では、先行するリボン成形工程106で成形されたリボンを、寸法及び製品密度に応じて最終的な投与重量を得るために望ましい製剤長さへと分割する。
【0128】
工程109で、工程108から得られる部分を寝かせる。幾つかの実施形態では、工程109での上記部分の寝かしは72時間かかり得る。上記部分を次いで、工程110において所望の展示包装(packaging presentation)に包装する。
【0129】
図2は、上記の製造方法100において使用される乾式成分の調製に必要とされる方法工程を図解する簡略化された流れ図である。調製方法200は、工程202において乾式成分原料を得ることから始まり、これらは工程204において適切な開口径の所望のスクリーンを通して、又は工程206、204において必要に応じて多数のスクリーンの組み合わせを通して、脱集塊(de-clumped)又は篩別される。その後に、適切な乾式成分208に至り、それらは乾式混合工程102のために図1におけるミキサー中に供給され得る。
【0130】
先に論じられた賦形剤の幾つかは、乾式成分208の一部として提供され得るが、その他の賦形剤は液体成分114の一部として提供され得る。
【0131】
図3は、本明細書に開示されるソフトチューの実施形態を製造するために使用される例示的な製造方法(method or process)300に含まれる工程を図解している。
【0132】
方法300は乾式成分の調製から始まる。脱集塊の工程301で、乾式成分320、例えばフレーバリング剤、API、充填剤(例えば、DCPD)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム又は上記のいずれかの組み合わせ)を、20メッシュのスクリーン330を通して脱集塊又は篩別する。ミル粉砕の工程311で、防腐剤321、例えばソルビン酸カリウム及び無水クエン酸を、回転インペラミル331を通してミル粉砕する。次いで、脱集塊された乾式成分320及びミル粉砕された成分321を、残りの乾式成分、例えば、混合前に調製する必要がない場合がある第2の充填剤(例えば、微結晶性セルロース)及び崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)と一緒にすき刃型ミキサー332に装填する。乾式混合の工程302で、乾式成分を、約100rpmで動作するすき刃型ミキサー332中で約2分間混合する。
【0133】
液体成分は、乾式成分と混合する前に調製され得る。ソフトチュー配合物が、高い効力のために正確な計量を必要とする第2のAPIを含む場合に、第2のAPIをMCT油等の溶剤323にまず溶解させて、第2のAPI及び溶剤の過剰量の溶液(overage solution)を調製することができる。そのためにプロペラミキサー及び適切なサイズの容器を使用することができる。さらに、湿潤剤(例えば、グリセリン)及び酸化防止剤(例えばDL-α-トコフェリルアセテート)322を、スパチュラを使用して約1分間手動で一緒に混合することができる。
【0134】
工程312で、約100rpmで作動するすき刃型ミキサー332を用いて液体を加え、その中で、混合中のブレンドにグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテート混合物322を約2分間の期間をかけて加える。グリセリン/DL-α-トコフェリルアセテート322の全量を添加した後に、そのブレンドをすき刃型ミキサー332中で更に約1分間混合することにより混合工程303を実施する。工程313で、約100rpmで作動するすき刃型ミキサー332を用いて液体の添加を行った後に、その中で、その混合物にMCT等の溶剤323又は第2のAPI及び溶剤の過剰量の溶液を約2分間の期間をかけて加える。
【0135】
湿塊化工程304のためにすき刃型ミキサー332を開放し、ミキサーの壁及びすき刃にくっついた残留物について視覚的に点検する。残留物をミキサーの壁及びすき刃から掻き取り、ミキサーの中央に戻してよい。湿塊化工程304は、材料がドウ状の粘稠性に達するまで、例えば約17分間にわたりそのブレンドを室温で混合することにより実施される。
【0136】
リボン成形の工程305のために、湿塊化工程304からの湿塊をすき刃型ミキサー332から排出し、リボン成形機又は押出機333のホッパー中に加えた。適切な長さ(例えば、約15インチ)のリボンを室温で成形し、パーチメントで内張りされたトレイに置く。リボンを室温で18時間~24時間寝かせた。次いで、切断工程306で、専用器具334を使用してリボンを予め決められた単位重量の切片に切断して、1種以上のAPIの最終的な投与重量を得る。次いで、バルク包装する前にそれらの部分を或る期間にわたり、例えば72時間にわたり室温で寝かせる。
【0137】
本発明の実施形態を例示する方法は、周囲の室温条件下で実施することができ、何ら特定の加熱又は冷却は必要とされない。これは感熱性の活性成分にとって特に有益である。
【0138】
本発明の実施形態を例示する方法は、1種以上の医薬的活性成分並びに充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含む一連の賦形剤の添加を含み得る。任意に、結合剤、崩壊剤及び界面活性剤を成分の混合物中に添加してもよい。
【0139】
粉末形の活性成分を1種以上の乾式賦形剤を含む1種以上の他の乾式成分又は固体成分と混合することができ、一方で、液体形の活性成分を湿塊化工程の前に1種以上の液体賦形剤を含む1種以上の他の液体成分と混合することができる。例えば、ミルベマイシンオキシム、プラジカンテル又はパモ酸ピランテル等の活性成分を、ソルビン酸カリウム、クエン酸、フレーバリング剤、クロスカルメロースナトリウム、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウム等の乾式賦形剤と均一に混合することができる。幾つかの実施形態では、粉末形の活性成分を1種以上の乾式賦形剤と一緒に処理することで中間混合物を生成した後に、他の乾式成分に加え、それらと混合することができる。中間混合物を形成するために使用することができる1種以上の乾式賦形剤は、充填剤(例えば、ラクトース)及び/又は結合剤(例えば、ポビドン)を含み得る。例えば、ミルベマイシンオキシムをラクトース一水和物及びポビドンK30と一緒に処理することで中間混合物を形成した後に、他の乾式成分中にブレンドすることができる。
【0140】
或る特定の実施形態では、粉末形の活性成分を1種以上の液体賦形剤と混合することで、活性成分の正確な計量を容易にすることができる。例えば、イベルメクチンは格別に強力で、その有効投与量レベルは異常に低い(数マイクログラム)ため、イベルメクチンを含むソフトチューを製造する方法の間にはイベルメクチンの正確な測定が重要である。イベルメクチンは通常は粉末形で提供されるが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又は中鎖トリグリセリド等の溶剤中のイベルメクチンの過剰量の溶液を調製及び使用することがより有益であり得る。
【0141】
幾つかの実施形態では、複数の乾式成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含み得る。
【0142】
幾つかの実施形態では、複数の液体成分は、充填剤、フレーバリング剤、湿潤剤、溶剤、軟化剤、防腐剤、酸化防止剤及び滑沢剤の少なくとも1つを含み得る。
【0143】
先に述べたように、本発明の実施形態は、長い時間にわたり変わらずソフトで展性の質感を備えたソフトチューの製造を含む幾つかの利点を有する。さらに、本発明を例示するソフトチューの幾つかの実施形態は、性質を分析するin vitroの溶解法を信頼性の高い品質管理試験として使用することを可能する。
【0144】
本出願は、本発明の例示的な実施形態として提供される以下の非限定的な実施例を参照することでよりよく理解され得る。本発明の理解を補助するために示される以下の実施例は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を決して限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0145】
実施例1-ソフトチューAの調製:
ミルベマイシンオキシム/プラジカンテル(5.75mg/57mg)のソフトチュー
【0146】
【表1】
【0147】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0148】
DL-α-トコフェリルアセテートをMCT油に添加し、スパチュラを用いて手動で混合した。乾式成分、すなわちミルベマイシンオキシム/ポビドンK30/ラクトース一水和物中間体(事前に調製)、プラジカンテル、DCPD、ソルビン酸カリウム(事前に乳鉢を使用して粉砕)、無水クエン酸、フレーバリング剤、クロスカルメロースナトリウム、MCC及びステアリン酸マグネシウムを一緒にタンブルブレンドし、その後に20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。脱集塊された乾式成分を再び2分間タンブルブレンドし、次いで低剪断ミキサー中に装填した。ミキサーを作動させながら、そのブレンドにグリセリンを添加した(添加時間=2分間)。全量のグリセリンを添加した後に、そのブレンドを更に1分間混合した。次いで、MCT油/DL-α-トコフェリルアセテート溶液をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。そのブレンドを、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約9分間)室温で混合した。次いで湿塊をリボン成形機に移した。11mmの直径及び約25cmの長さを有するリボンを室温で成形した。それらのリボンを室温で24時間寝かせた。次いで、該リボンを2.5g±0.13gの切片に分割し、最終的な投与重量のミルベマイシンオキシム(5.75mg)及びプラジカンテル(57mg)を得た。次いで、それらの部分を、バルク包装する前に72時間にわたり室温で寝かせた。
【0149】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。
【0150】
実施例2-ソフトチューAの溶解プロファイル:
ミルベマイシンオキシム/プラジカンテル(5.75mg/57mg)のソフトチュー
【0151】
【表2】
【0152】
実施例1のソフトチュー(ソフトチューA、チュー1個当たり2.5g)を25℃及び60%の相対湿度(RH)で6ヶ月間貯蔵した。溶解試験を上記条件下で各API(ミルベマイシンオキシム及びプラジカンテル)についてゼロの時点及び6ヶ月の時点で実施した。試料を様々な時間間隔で取り出して、それぞれの所与の時点で溶解プロファイルを作成した。ミルベマイシンオキシム及びプラジカンテルについて得られた溶解プロファイルは、上記表2に、そしてまたそれぞれ図4及び図5にも示されている。各APIの溶解プロファイルは急速で(rapid)、かつ一定のままであり、6ヶ月の期間後に大幅な変化はなかった。
【0153】
実施例3-ソフトチューAの安定性:
ミルベマイシンオキシム/プラジカンテル(5.75mg/57mg)のソフトチュー
【0154】
【表3】
【0155】
薬物製品を、それぞれ20個のソフトチューを収容する150ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトル中に包装し、25℃/60%RHの条件で貯蔵した。それらのソフトチューを、水分含量、ミルベマイシンオキシムアッセイ及びプラジカンテルアッセイについて6ヶ月にわたって試験した。表3に示されるように、全ての試験結果は長い時間にわたり変わらず安定していた。
【0156】
実施例4-経時的なソフトチューAの物理的特質:
ミルベマイシンオキシム/プラジカンテル(5.75mg/57mg)のソフトチュー
【0157】
【表4】
【0158】
それらのソフトチューを、周囲条件で28日の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの崩壊及び質感を、製造後の0日目、1日目、7日目及び28日目に測定した。表4に示されるように、薬物製品は、その急速な崩壊時間を維持し、ソフトチューは長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0159】
実施例5-ソフトチューBの調製:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0160】
【表5】
【0161】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0162】
イベルメクチンをまず、プロペラミキサー及び適切なサイズの容器を使用してMCT油中に溶解させた。10%余分のイベルメクチン及びMCT油を秤量して、イベルメクチン/MCT油の10%過剰量の溶液を調製した。乾式成分、すなわちパモ酸ピランテル、DCPD、ソルビン酸カリウム(事前に乳鉢を使用して粉砕)、クエン酸、フレーバリング剤、クロスカルメロースナトリウム、微結晶性セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。脱集塊された乾式成分を2分間タンブルブレンドし、次いで遊星型ミキサーの混合ボウル中に装填した。DL-α-トコフェリルアセテートをグリセリンの入った容器に加えて、スパチュラを用いて手動で混合した。ミキサーを作動させながら、そのブレンドにグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテートエマルジョンを添加した(添加時間=2分間)。全量のグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテートを添加した後に、そのブレンドを更に1分間混合した。正確な量のイベルメクチン/MCT油溶液をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。そのブレンドを、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約50分間)室温で混合した。次いで湿塊をリボン成形機に移した。11mmの直径及び約25cmの長さを有するリボンを室温で成形した。それらのリボンを室温で24時間寝かせた。次いで、該リボンを2.5g±0.13gの切片に分割し、最終的な投与重量のイベルメクチン(68μg)及びピランテル(57mg)を得た。次いで、それらの部分を、バルク包装する前に72時間にわたり室温で寝かせた。
【0163】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。
【0164】
実施例6-ソフトチューBの溶解プロファイル:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0165】
【表6】
【0166】
実施例5のソフトチュー(ソフトチューB、チュー1個当たり2.5g)を25℃及び60%の相対湿度(RH)で4週間貯蔵した。溶解試験を上記条件下で各API(イベルメクチン及びピランテル)についてゼロの時点及び4週間の時点で実施した。試料を様々な時間間隔で取り出して、それぞれの所与の時点で溶解プロファイルを作成した。上記表6に示されるように、各APIの溶解プロファイルは急速で、かつ一定のままであり、4週間の期間後に大幅な変化はなかった。
【0167】
実施例7-ソフトチューBの安定性:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0168】
【表7】
【0169】
薬物製品を、それぞれ15個のソフトチューを収容する60ccのHDPEボトル中に包装し、25℃/60%RHの条件で貯蔵した。それらのソフトチューを、水分含量、イベルメクチンアッセイ及びピランテルアッセイについて6ヶ月にわたって試験した。表7に示されるように、全ての試験結果は長い時間にわたり変わらず安定していた。
【0170】
実施例8-経時的なソフトチューBの物理的特質:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0171】
【表8】
【0172】
それらのソフトチューを、周囲条件で28日の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの崩壊及び質感を、製造後の0日目、1日目、7日目及び28日目に測定した。表8に示されるように、薬物製品は、その急速な崩壊時間を維持し、ソフトチューは長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0173】
実施例9-ソフトチューCの調製:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0174】
【表9】
【0175】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0176】
イベルメクチンをまず、プロペラミキサー及び適切なサイズの容器を使用してMCT油中に溶解させた。10%余分のイベルメクチン及びMCT油を秤量して、イベルメクチン/MCT油の10%過剰量の溶液を調製した。ソルビン酸カリウム及び無水クエン酸を、2A024Rスクリーンを備えた回転インペラミル(Comil(商標)-Quadro Engineering Corp.社、カナダ、オンタリオ州、ウォータールー)によってミル粉砕した。乾燥成分、すなわちフレーバリング剤、パモ酸ピランテル、DCPD及びフマル酸ステアリルナトリウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。ミル粉砕したソルビン酸カリウム及び無水クエン酸、脱集塊された乾燥成分、微結晶性セルロース並びにクロスカルメロースナトリウムをすき刃型ミキサー中に装填し、100rpmで2分間混合した。DL-α-トコフェリルアセテートをグリセリンの入った容器に加えて、スパチュラを用いて手動で1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、混合中のブレンドにグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテート混合物を添加した(添加時間=2分間)。全量のグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテートを添加した後に、そのブレンドを更に1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、正確な量のイベルメクチン/MCT油溶液をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。すき刃型ミキサーを開放し、ミキサーの壁及びすき刃にくっついた残留物について視覚的に点検した。残留物をミキサーの壁及びすき刃から掻き取り、ミキサーの中央に戻した。そのブレンドを、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約17分間)室温で混合した。湿塊をすき刃型ミキサーから排出し、リボン成形機(Vemag Robot 500(商標)portioner-VEMAG Maschinenbau GmbH社、ドイツ、フェルデン)のホッパー中に加えた。約15インチの長さのリボンを室温で成形し、パーチメントで内張りされたトレイに置いた。それらのリボンを室温で18時間~24時間寝かせた。次いで、専用器具を用いて該リボンを2.5g±0.125gの切片に切断し、最終的な投与重量のイベルメクチン(68μg)及びピランテル(57mg)を得た。次いで、それらの部分をバルク包装する前に室温で72時間(3日間)寝かせた。
【0177】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。さらに、バッチサイズを、実施例5の同じ配合物のために使用されたバッチサイズから大幅に増加させた(すなわち、50倍)。
【0178】
実施例10-ソフトチューCの溶解プロファイル:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0179】
【表10】
【0180】
実施例9のソフトチュー(ソフトチューC、チュー1個当たり2.5g)を25℃及び60%の相対湿度(RH)で4週間貯蔵した。溶解試験を上記条件下で各API(イベルメクチン及びピランテル)について3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目の時点で実施した。試料を様々な時間間隔で取り出して、それぞれの所与の時点で溶解プロファイルを作成した。上記表6に示されるように、各APIの溶解プロファイルは急速で、かつ一定のままであり、4週間の期間後に大幅な変化はなかった。
【0181】
実施例12-経時的なソフトチューCの物理的特質:
イベルメクチン/ピランテル(68μg/57mg)のソフトチュー
【0182】
【表11】
【0183】
それらのソフトチューを、周囲条件で4週間の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの質感を、製造後の3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目に測定した。表12に示されるように、薬物製品は、長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0184】
実施例13-ソフトチューDの調製:
イベルメクチン/ピランテル(136μg/114mg)のソフトチュー
【0185】
【表12】
【0186】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0187】
イベルメクチンをまず、プロペラミキサー及び適切なサイズの容器を使用してMCT油中に溶解させた。10%余分のイベルメクチン及びMCT油を秤量して、イベルメクチン/MCT油の10%過剰量の溶液を調製した。ソルビン酸カリウム及び無水クエン酸を、2A024Rスクリーンを備えた回転インペラミル(Comil(商標))によってミル粉砕した。乾燥成分、すなわちフレーバリング剤、パモ酸ピランテル、DCPD及びフマル酸ステアリルナトリウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。ミル粉砕したソルビン酸カリウム及び無水クエン酸、脱集塊された乾燥成分、微結晶性セルロース並びにクロスカルメロースナトリウムをすき刃型ミキサー中に装填し、100rpmで2分間混合した。DL-α-トコフェリルアセテートをグリセリンの入った容器に加えて、スパチュラを用いて手動で1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、混合中のブレンドにグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテート混合物を添加した(添加時間=2分間)。全量のグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテートを添加した後に、そのブレンドを更に1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、正確な量のイベルメクチン/MCT油溶液をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。すき刃型ミキサーを開放し、ミキサーの壁及びすき刃にくっついた残留物について視覚的に点検した。残留物をミキサーの壁及びすき刃から掻き取り、ミキサーの中央に戻した。そのブレンドを、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約15分間)室温で混合した。湿塊をすき刃型ミキサーから排出し、リボン成形機(Vemag Robot 500(商標)portioner)のホッパー中に加えた。約15インチの長さのリボンを室温で成形し、パーチメントで内張りされたトレイに置いた。それらのリボンを室温で18時間~24時間寝かせた。次いで、専用器具を用いて該リボンを5g±0.25gの切片に切断し、最終的な投与重量のイベルメクチン(136μg)及びピランテル(114mg)を得た。次いで、それらの部分をバルク包装する前に室温で72時間(3日間)寝かせた。
【0188】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。さらに、バッチサイズを、実施例5の同じ配合物のために使用されたバッチサイズから大幅に増加させた(すなわち、50倍)。
【0189】
実施例14-ソフトチューDの溶解プロファイル:
イベルメクチン/ピランテル(136μg/114mg)のソフトチュー
【0190】
【表13】
【0191】
実施例13のソフトチュー(ソフトチューD、チュー1個当たり5g)を25℃及び60%の相対湿度(RH)で4週間貯蔵した。溶解試験を上記条件下で各API(イベルメクチン及びピランテル)について3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目の時点で実施した。試料を様々な時間間隔で取り出して、それぞれの所与の時点で溶解プロファイルを作成した。上記表14に示されるように、各APIの溶解プロファイルは急速で、かつ一定のままであり、4週間の期間後に大きな変化はなかった。
【0192】
実施例15-ソフトチューDの安定性:
イベルメクチン/ピランテル(136μg/114mg)のソフトチュー
【0193】
【表14】
【0194】
ばらの薬物製品を、約4.5kgのチューを収容する16インチ×24インチ×4インチのパーチメントで内張りされたファイバーボックスに入れ、倉庫条件で貯蔵した。それらのソフトチューを、水分含量、平均重量、イベルメクチンアッセイ及びピランテルアッセイについて3ヶ月にわたって試験した。表15に示されるように、全ての試験結果は長い時間にわたり変わらず安定していた。
【0195】
実施例16-経時的なソフトチューDの質感:
イベルメクチン/ピランテル(136μg/114mg)のソフトチュー
【0196】
【表15】
【0197】
それらのソフトチューを、周囲条件で4週間の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの質感を、製造後の3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目に測定した。表16に示されるように、ソフトチューは長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0198】
実施例17-ソフトチューEの調製:
イベルメクチン/ピランテル(272μg/227mg)のソフトチュー
【0199】
【表16】
【0200】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0201】
イベルメクチンをまず、プロペラミキサー及び適切なサイズの容器を使用してMCT油中に溶解させた。10%余分のイベルメクチン及びMCT油を秤量して、イベルメクチン/MCT油の10%過剰量の溶液を調製した。ソルビン酸カリウム及び無水クエン酸を、2A024Rスクリーンを備えた回転インペラミル(Comil(商標))によってミル粉砕した。乾燥成分、すなわちフレーバリング剤、パモ酸ピランテル、DCPD及びフマル酸ステアリルナトリウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。ミル粉砕したソルビン酸カリウム及び無水クエン酸、脱集塊された乾燥成分、微結晶性セルロース並びにクロスカルメロースナトリウムをすき刃型ミキサー中に装填し、100rpmで2分間混合した。DL-α-トコフェリルアセテートをグリセリンの入った容器に加えて、スパチュラを用いて手動で1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、混合中のブレンドにグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテート混合物を添加した(添加時間=2分間)。全量のグリセリン/DL-α-トコフェリルアセテートを添加した後に、そのブレンドを更に1分間混合した。すき刃型ミキサーを100rpmで作動させながら、正確な量のイベルメクチン/MCT油溶液をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。すき刃型ミキサーを開放し、ミキサーの壁及びすき刃にくっついた残留物について視覚的に点検した。残留物をミキサーの壁及びすき刃から掻き取り、ミキサーの中央に戻した。そのブレンドを、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約15分間)室温で混合した。湿塊をすき刃型ミキサーから排出し、リボン成形機(Vemag Robot 500(商標)portioner)のホッパー中に加えた。約15インチの長さのリボンを室温で成形し、パーチメントで内張りされたトレイに置いた。それらのリボンを室温で18時間~24時間寝かせた。次いで、専用器具を用いて該リボンを10g±0.5gの切片に切断し、最終的な投与重量のイベルメクチン(272μg)及びピランテル(227mg)を得た。次いで、それらの部分をバルク包装する前に室温で72時間(3日間)寝かせた。
【0202】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。さらに、バッチサイズを、実施例5の同じ配合物のために使用されたバッチサイズから大幅に増加させた(すなわち、50倍)。
【0203】
実施例18-ソフトチューEの溶解プロファイル:
イベルメクチン/ピランテル(272μg/227mg)のソフトチュー
【0204】
【表17】
【0205】
実施例17のソフトチュー(ソフトチューE、チュー1個当たり10g)を25℃及び60%の相対湿度(RH)で4週間貯蔵した。溶解試験を上記条件下で各API(イベルメクチン及びピランテル)について3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目の時点で実施した。試料を様々な時間間隔で取り出して、それぞれの所与の時点で溶解プロファイルを作成した。上記表18に示されるように、各APIの溶解プロファイルは急速で、かつ一定のままであり、4週間の期間後に大きな変化はなかった。
【0206】
実施例19-経時的なソフトチューEの質感:
イベルメクチン/ピランテル(272μg/227mg)のソフトチュー
【0207】
【表18】
【0208】
それらのソフトチューを、周囲条件で4週間の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの質感を、製造後の3日目、3日目と2週間目、及び3日目と4週間目に測定した。表19に示されるように、ソフトチューは長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0209】
実施例20-ソフトチューEの微生物学的検査:
イベルメクチン/ピランテル(272μg/227mg)のソフトチュー
【0210】
【表19】
【0211】
ソフトチューを、米国薬局方のUSP<61>及びUSP<62>に記載される方法に従って微生物学的レベルについて試験した。表20に示されるように、ソフトチューにおける微生物学的レベルは許容可能であった。
【0212】
実施例21-ソフトチューFの調製:
プラセボ用ソフトチュー
【0213】
【表20】
【0214】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0215】
乾燥成分、すなわちフレーバリング剤、DCPD、MCC、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。次いで、篩別された乾式成分を約2分間にわたりタンブルブレンドした。次いで、混合した乾式成分を、低剪断遊星型ミキサー(Globe SP8(商標)-Globe Food Equipment Company社、米国、オハイオ州、デイトン)中に装填した。ミキサーを作動させながら、混合中のブレンドにグリセリンを添加した(添加時間=2分間)。グリセリンの添加後に、連続的に混合しつつMCT油をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。全ての成分を、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約17分間)周囲条件で混合した。次いで湿塊をリボン成形機に移した。約25cmの長さを有するリボンを周囲条件で成形した。それらのリボンを室温で24時間寝かせた。次いで、それらのリボンを10g±0.5gの切片に分割した。
【0216】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。
【0217】
実施例22-ソフトチューFの質感:
プラセボ用ソフトチュー
【0218】
【表21】
【0219】
それらのソフトチューを、周囲条件で14日の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの崩壊及び質感を、製造同日(0日目)並びに製造後1日目、7日目及び14日目に測定した。表22に示されるように、これらのソフトチューは、その急速な崩壊時間を維持し、長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0220】
実施例23-ソフトチューGの調製:
プラセボ用ソフトチュー
【0221】
【表22】
【0222】
上記で列挙される使用される賦形剤は医薬品グレードであり、USP規格を満たした。
【0223】
乾燥成分、すなわちフレーバリング剤、DCPD、MCC、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを、20メッシュのスクリーンを通して脱集塊又は篩別した。次いで、篩別された乾式成分を約2分間にわたりタンブルブレンドした。次いで、混合した乾式成分を、低剪断遊星型ミキサー(Globe SP8(商標)-Globe Food Equipment Company社、米国、オハイオ州、デイトン)中に装填した。ミキサーを作動させながら、混合中のブレンドにグリセリンを添加した(添加時間=2分間)。グリセリンの添加後に、連続的に混合しつつMCT油をその混合物に添加した(添加時間=2分間)。全ての成分を、材料がドウ状の粘稠性に達するまで(約19分間)周囲条件で混合した。次いで湿塊をリボン成形機に移した。約25cmの長さを有するリボンを周囲条件で成形した。それらのリボンを室温で24時間寝かせた。次いで、それらのリボンを10g±0.5gの切片に分割した。
【0224】
上記方法全体は、周囲の室温条件下で実施し、加熱又は冷却は必要としなかった。
【0225】
実施例24-ソフトチューGの質感:
プラセボ用ソフトチュー
【0226】
【表23】
【0227】
それらのソフトチューを、周囲条件で14日の期間にわたり寝かせた。ソフトチューの崩壊及び質感を、製造同日(0日目)並びに製造後1日目、7日目及び14日目に測定した。表24に示されるように、これらのソフトチューは、その急速な崩壊時間を維持し、長い時間にわたり変わらずソフトで展性であった。
【0228】
全ての出版物、特許、及び特許出願の全体は、それぞれの個々の出版物、特許、又は特許出願の全体が、引用することにより本明細書の一部をなすと具体的に個別に示されるのと同じ程度で、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0229】
或る特定の実施形態が本明細書に示され記載されているが、そのような実施形態が例として提供されるにすぎないことは明らかであろう。当業者は、それらの実施形態から逸脱することなく多数の変形、変更及び置換に思い至ることができる。本明細書に記載される実施形態に対する様々な代替物が、本明細書に記載される組成物及び方法の実施において使用され得ることが理解されるべきである。明瞭さ及び理解のために上記の発明を幾らか詳細に説明したが、当業者であれば、本開示を一読することで、添付の特許請求の範囲における発明の真の範囲から逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更を行うことができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5