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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】自動体積測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 13/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G01F13/00 301V
G01F13/00 321M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020542235
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019052436
(87)【国際公開番号】W WO2019149852
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】18154963.5
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520284311
【氏名又は名称】ディスペンディックス ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルツ,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ラスケ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブローデ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】トラウベ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フェステル,ギュンター
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510065(JP,A)
【文献】特開平7-333231(JP,A)
【文献】特開昭50-10661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0064738(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10151681(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(10)の全体積の自動測定用の体積測定装置であって、
前記流体(10)へのアクセスのための上端開口部(21)及び前記流体(10)の放出のための底部先端(22)を有し、前記流体(10)を受け取るための容器(20)と、
全ての流体(10)を前記容器(20)から受け取り、全ての流体(10)を複数の均一な部分体積に量子化し、それぞれが前記均一な部分体積である複数の液滴(11)を繰り返し放出するために、前記容器(20)の前記底部先端(22)に一体化されている量子化装置(30)と、
前記量子化装置(30)から放出される前記複数の液滴の各液滴(11)を個々に検出するための検出器(40)と、
検出される各液滴事象をカウントするために、前記検出器(40)に信号接続されているカウンタ(50)と、を備え、
前記体積測定装置は、それぞれが前記均一な部分体積である個々の液滴(11)をそれぞれ放出するために、前記容器(20)に収容されている前記流体(10)に個々の圧力パルスを繰り返し印加するための、前記容器(20)の前記上端開口部(21)に直接取り付け可能である駆動ヘッド(60)をさらに備える体積測定装置。
【請求項2】
前記量子化装置(30)は、ノーマリークローズであり、前記流体(10)に印加可能な個々の圧力パルスによって開放するように駆動可能であり、これにより、1つ以上の圧力パルスが印加されるとそれぞれ1つの均一な部分体積の液滴(11)を放出するキャピラリーバルブ(32)である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体(10)を収容する前記容器(20)を受けるためのホルダ(26)をさらに備える、請求項1又は2項に記載の体積測定装置。
【請求項4】
前記液滴検出器(40)は、光検出器、光電バリア、静電容量センサ、及び圧電センサ、並びにそれらのうちのいずれか2つ又は3つの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の体積測定装置。
【請求項5】
前記体積測定装置から任意選択で取り外し可能であり、前記量子化装置(30)から放出される前記複数の液滴(11)を受け取るための受け容器(70)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の体積測定装置。
【請求項6】
各液滴(11)の所定の部分体積が与えられた場合に、前記流体の部分体積の液滴(11)の総数から前記流体(10)の全体積を算出するようにプログラムされているマイクロコントローラ(80)をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の体積測定装置。
【請求項7】
前記容器(20)は、反応管、バイアル、カップ、及びマルチウェルプレートを含む群から選択され、前記容器(20)の前記底部先端(22)に一体化されているキャピラリーバルブ(32)を備える使い捨て容器の形態を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の体積測定装置。
【請求項8】
流体(10)の全体積の体積測定の方法であって、
a)測定される前記流体(10)を容器(20)に受け取り、
b)流体(10)の全体積が放出されるまで、前記流体(10)の全てを前記容器(20)から排出と同時に繰り返して量子化し、均一な部分体積の複数の液滴(11)を生成して放出し、前記流体(10)が繰り返される投入工程によって複数の均一な部分体積に量子化され、各投入工程は前記部分体積の1つの量子を生成し、各1つの投入工程が、
b1)1つ以上の圧力パルスを前記流体(10)に印加する工程と、
b2)これにより、前記容器(20)の底部先端(22)に一体化されているキャピラリーバルブ(32)を通して前記流体(10)の一部分を駆動し、前記均一な部分体積の1つの液滴(11)を生成する工程と、を含み、
c)工程(b)において放出される前記液滴(11)のそれぞれを個々に検出してカウントし、
d)工程(b)及び工程(c)において、投入、放出、検出、及びカウントされた全ての液滴(11)の総数から前記流体(10)の全体積を自動的に算出する方法。
【請求項9】
工程(b)において、前記均一な部分体積は、測定される前記流体(10)の予想される全体積の1/10,000から1/1,000,000までである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)は、
c1)工程(b)で放出された液滴の発生を検出し、各発生をカウントする工程と、
c2)工程(b)で放出された各液滴の個々の速度を決定する工程と、を含み、
工程(d)は、
d1)前記液滴(11)の前記個々の速度から、各検出された液滴(11)の実際の個々の体積を自動的に算出する工程と、
d2)工程(c)で検出された液滴(11)の総数と、工程(d1)で算出された前記液滴(11)の前記実際の個々の体積とから、前記流体(10)の全体積を自動的に算出する工程と、を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)は、
c3)工程(b)で放出された各液滴(11)の全体積を可動表面(90)上で受け取る工程と、
c4)各液滴(11)を受け取った後、制御下で前記表面(90)を移動させ、斑点(92)の配列を生成し、好ましくは各斑点を前記表面(90)上の所定の配列位置に配置する工程と、
c5)前記斑点(92)の配列の光密度又は光透過の二次元プロファイルを自動的に解析して、前記斑点をカウントし、これにより、放出された液滴(11)の総数を決定及び/又は各斑点の大きさを決定し、これにより、放出された前記液滴(11)の際の個々の体積を決定する工程を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
流体分注測定装置の1回の又は定期的な体積較正のための請求項1から7のいずれか一項に記載の体積測定装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積測定及び体積測定機器の技術分野に関係し、流体を定量するための新規な装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジー及び化学における傾向は、高価な物質を効果的に使用するため又はしばしば限定されたサンプル量(体積)からできる限り多くの試験を実行することができるように、益々少量の液体を使用することである。他の傾向として、実験の自動化及び並列化がある。よって、体積測定機器は、さらに少ない体積を供給すべきとなる。体積測定機器を正確に較正可能とするために、試験方法は、これらの体積範囲において信頼できる結果をもたらすものでなければならない。
【0003】
体積測定は、化学又は生物学の試験所では極めて重要である。最近のマイクロスケールの用途、例えば、微生物学、遺伝子工学又は生体組織工学において、少量の液体を高精度かつ正確に分注することが強く要求されている。さらに、最近の化学及び生物学の試験所の慣行として、流体の取り扱いに関して、バイアル、反応カップ、又はマルチウェルプレート等の使い捨て品に主として依存している。そのような使い捨て品は、通例、その中に収容される流体を定量するために使用される際には、あまり正確ではない。そのような使い捨て容器内に収容される実際の体積を1回又は繰り返して決定することへのニーズがある。さらに、正確な体積測定は、滴定等の定量化学分析の既知の技術に対してきわめて重要であり、また自動滴定装置に使用することができる。
【0004】
マイクロピペット等の一般的な自動流体分注装置は、正確な流体の投入を確保するために、製造の際に最初に試験し、その後に定期的に較正する必要がある。いかなる場合においても、測定機器は、機器の正確性を確認するためにモニターし、又は測定の不確実性を記録に残さなければならない。例えば、医療及び医薬の分野においては、医薬品の製造及び試験に関して、さらに診断用途に関して、較正証明書を発行し、また較正の適合性を定期的に発行するという法規制がある。体積測定機器の較正に関する関連標準には、ISO 8655及びIWA 15:2015があり、ISO 8655は、ピペット等の手動による体積測定機器の用途向けであり、IWA 15:2015は、自動化装置向けである。
【0005】
ISO 8655による体積測定の較正に対する好適な方法は、重量測定法、すなわち、液体の重量を量ることによって液体を定量する方法である。ここで、体積は、液体の密度及びその重量から算出される。この方法は、決定する体積が少ないほど、実施がより困難でより誤差が出やすい。場所、温度及び湿度等の環境条件に加えて、蒸発が測定結果に大きな影響を及ぼす。これらのパラメータは部分的に計算に含まれている。重量法のプロセスは、時間がかかるとともに自動化が困難である。測光法により体積測定が行われる自動化装置は、ほとんどの場合において重量測定法よりも優先される。測光法は、より自動化に適している。体積は、ランベルト・ベールの法則によって決定される、すなわち、既知の染料の吸収、測定キュベットの濃度及び厚さによって算出される。重量測定法と同様に、ここでも体積は間接的に決定される。
【0006】
自動的に作動することが可能で、また、高速で、高い精度及び高い再現性を有する、実験室規模の少ない流体体積を測定することが可能な改良された体積測定装置が必要とされている。特に、使い捨て品及びマルチウェルプレートで、高スループット及び/又は並列測定が可能な自動体積測定装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、決定される流体の全体積から、規定されたサブボリューム、すなわち、アリコートを生成する装置及び方法によって、根本的な技術的問題を解決する。これらのサブボリュームは、検出器により検出されてカウントされるか、又は、サンプルキャリア上に配列の形で分注及びプリントされ、キャリア上に得られたスポットがカウントされるかのいずれかである。カウントされたサブボリュームの数から、流体の元の全体積が算出される。このようにして、本発明は、流体の全体積を複数の既知の基本的に均一な部分体積、すなわち、所定の体積に分割し、部分体積の数をカウントして、それから流体の全体積を導き出すことによって、流体の未知の体積の容易な体積測定を有利に可能にする。本発明の測定装置は、全体積から均一な体積画分を迅速かつ確実に形成することができる量子化装置を特に利用している。本発明の体積測定装置は、主に実験室規模、すなわち、バイアル又は反応カップ等の小さい容器に存在する又は収容される、少量の体積、特に100μLから1mLまでの範囲の流体に対して適している。本発明の体積測定装置は、生体細胞及び組織培養の用途及びマイクロスケールの化学反応に対して利用できる。前記体積測定装置は、流体の未知の体積の自動決定での使用に関して、及び/又はマイクロピペット又は自動マルチチャンネルディスペンサ等の流体分注装置又は流体測定装置の1回の又は定期試験及び/又は較正に関して、主として流体の全体積の自動体積測定用に利用できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、流体の全体積の自動測定用の体積測定装置を提供する。本発明に従い、前記体積測定装置は、前記流体へのアクセスのための上端開口部及び前記流体の放出のための底部先端を有し、前記流体を受け取るための容器と、全ての流体を前記容器から受け取り、全ての流体を複数の均一な部分体積に量子化し、それぞれが前記均一な部分体積である複数の液滴を繰り返し放出するために、前記容器の前記底部先端に一体化されている量子化装置と、前記量子化装置から放出される前記複数の液滴の各液滴を個々に検出するための検出器と、それぞれが前記均一な部分体積である個々の液滴のそれぞれを放出するために、前記容器に収容されている前記流体に個々の圧力パルスを繰り返し印加するための、前記容器の前記上端開口部に直接取り付け可能である駆動ヘッドと、検出される各液滴事象をカウントするために、前記検出器に信号接続されているカウンタとを備える。
【0009】
特に、前記装置は、固定流体収容部、又は、反応管、バイアル、カップ及びマルチウェルプレート等の交換可能若しくは取り外し可能な使い捨て品等の少なくとも1つの容器を備える。当該少なくとも1つの容器は、測定する前記流体を収容するために特別に設計されている。代わりに、前記装置には、測定する前記流体を収容可能な又は既に前記流体を含んでいてもよい前記交換可能若しくは取り外し可能な容器の少なくとも1つを受けるための少なくとも1つのホルダが設けてある。本発明に従い、前記装置は、前記容器からの全ての流体を受け取り、前記流体の全てを複数の均一な部分体積、すなわち、前記流体の全体積のアリコートに量子化するための、前記少なくとも1つの容器内部に一体化されている少なくとも1つの量子化装置を備える。当該量子化装置は、複数の液滴を繰り返し放出することが可能であるという特徴をさらに有する、ここで、各液滴は、決定される前記全体積からの前記均一な部分体積を含む。前記装置は、前記量子化装置から放出された前記複数の液滴の各液滴を個々に検出するための少なくとも一つの検出器又は検出器の配列をさらに備え、また、前記検出器によって検出された各液滴事象をカウントするために前記少なくとも一つの検出器に信号接続されているカウンタをさらに備える。
【0010】
基本的に、前記体積測定の精度は、前記量子化装置により生成される前記部分体積、すなわち、アリコートの大きさに依存する。前記体積測定を行うために必要な時間は、前記量子化装置が流体の全体積から部分体積を形成する頻度に依存する。排出した後、いかなる残留体積もない容器及び量子化装置は、実際的には達成不可能である。当業者が理解するように、実際に前記装置にデッドボリュームが無いようにすることは本質的ではない。本発明の文脈における「全ての流体を前記容器から受け取る」及び「全ての流体を量子化する」という文言は必ずしも必要ではないが、それでも前記容器が流体から完全に空になり、測定する流体の残留物が量子化されずに残留していないことが好ましい。むしろ、特に前記装置を繰り返して使用する際、前記容器に同じ残留量又は前記流体のデッドボリュームが常に残っていることが必要である。(1)前記残留体積が既知で、(2)そのような残留体積が、繰り返される測定おいて前記容器中でよりシステマティックに再現されるほど、前記装置は体積測定のタスクをより正確に行うことができることを理解されたい。
【0011】
特に、前記量子化装置はキャピラリーバルブであり、キャピラリー壁と前記流体との間の境界面で、前記流体との凝集力と接着力とによって前記流体をキャピラリー内部に保持するための少なくとも1つのキャピラリーを備える。前記キャピラリーバルブは、前記流体に圧力が印加されないとき、キャピラリーを通して前記流体を導かないという点でノーマリークローズである。例えば、重力供給システムにおいて、前記流体は前記キャピラリーバルブの上方に静止しているが、前記キャピラリーの部位での静水圧が前記キャピラリー内部の流れに対する抵抗を超えないので、前記流体は前記キャピラリーを通って流れない。前記キャピラリー上の流体に付加的な圧力を印加することにより、前記流れに対する抵抗に打ち勝って、当該付加的な圧力が維持される限り前記流体は前記キャピラリーを通って流れる。従って、前記キャピラリーバルブは、主として1つ以上の圧力のパルスの形で、前記キャピラリーの流体に付加的な圧力を印加することにより開くことができ、その結果、前記流体の圧力が一定のレベルを超えるたびに、前記キャピラリーバルブを通して、前記流体の部分、特に前記流体の1つ以上の液滴を流動させる。特定の実施形態において、前記流体に印加される各圧力パルスにより、前記流体の均一な部分体積の単一の液滴が放出される結果となる。代わりに、1つより多い圧力パルスが連続して又はバースト(burst)的に印加されて、前記部分体積の単一の液滴の放出が引き起こされる。
【0012】
各液滴、すなわち、アリコートの前記均一な部分体積の量は、前記キャピラリーの寸法の選択により予め定めることができるが、前記キャピラリーの壁と前記流体との間の境界面での分子間力及び電子力にも依存し、また前記流体の粘性にも依存する。前記均一な部分体積の量は、印加される1つ以上の圧力パルスの特性、すなわち、時間推移及び/又は振幅の選択によっても予め定めることができる。典型的な部分体積は、約1nLから約100nLまでの範囲にわたる。
【0013】
本発明により、本発明の前記体積測定装置に収容されている又は受け取られている前記容器は、前記体積測定装置中に収容されている前記流体へのアクセスを提供するための上側開口部及び前記流体の放出のための底部先端を有する。前記底部先端は、好適にはキャピラリーバルブの形態である前記量子化装置を備えるか又は前記量子化装置からなる。従って、前記キャピラリーバルブは、前記容器の底部先端に一体化されている。前記体積測定装置の特定の実施形態では、前記容器は、前記底部先端に少なくとも1つのキャピラリーが形成されている、使い捨てのバイアル又は反応カップ又はマルチウェルプレートである。当該特定の実施形態では、前記一体化されたキャピラリーバルブを有する前記容器は、分注ノズル、従って前記量子化装置の基本的要素を形成する。当該実施形態では、前記量子化装置は、従って前記容器及び前記容器の底部先端に形成されている前記キャピラリーバルブから実質的に構成されている。前記量子化装置の機能要素を完成するために、圧力発生器、より具体的にはパルス発生器が存在する。本発明に係る前記体積測定装置の実施形態を以下に説明する。
【0014】
本発明によると、前記体積測定装置は、前記容器、とりわけ、前記容器の上端開口部に取り付け可能な駆動ヘッドをさらに備える。前記駆動ヘッドは、前記容器に収容されている前記流体に個々の圧力パルスを高速で印加するように特別に設計されている。特に、一旦、前記容器が測定する前記流体を受け取る及び/又は前記流体を収容する前記容器が前記装置のホルダに収容されると、前記駆動ヘッドは、前記容器の上で旋回し、そして前記容器に接続し、前記容器に含まれている流体に圧力パルスを印加するために前記容器の体積を封止することができる。好適な実施形態において、前記駆動ヘッドは、増加した圧力の1つ以上のパルスを生成するための少なくとも1つの圧力駆動機器を備え、前記圧力駆動機器は、電磁ポンプ又は動電型ポンプ又は圧電膜ポンプから、及び蓄圧タンクに一時的に接続するように動作可能なバルブ又はバルブアッセンブリから選択される。
【0015】
好適な実施形態において、前記液滴検出器は、光検出器、光電バリア、静電容量センサ、及び圧電センサ、並びにそれらのうちのいずれか2つ又は3つの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
特定の実施形態において、本発明の前記体積測定装置は、前記量子化装置から放出される複数の液滴を受け取るための受け容器をさらに備える。その好適な変形例において、前記受け容器は前記装置から取り外し可能である。
【0017】
特定の実施形態において、本発明の前記体積測定装置は、マイクロコントローラをさらに備える。前記マイクロコントローラは、各液滴の前記所定の部分体積が与えられた場合、部分体積の液滴の総数から前記流体の全体積を算出するようにプログラムされている。
【0018】
第2の態様において、流体の全体積を決定する方法が提供される。前記方法は、測定する流体を容器に収容する工程(a)と、流体(10)の全体積が放出されるまで、前記全体積の全てを前記容器から排出と同時に、すなわち、同じ時間と場合に繰り返し動作によって量子化することによって均一な部分体積(アリコート)の複数の液滴を生成する工程(b)とを備える。工程(b)では、前記流体は、繰り返される微量投入工程により前記複数の均一な部分体積に量子化され、各微量投入工程は前記部分体積の1つの量子を生成する。工程(c)において、前記液滴のそれぞれは、工程(b)において又はその後に放出されたとき、個々に検出し、カウントする。工程(d)において、前記流体の全体積は、工程(b)及び工程(c)中に投入、放出、検出、及びカウントされた全ての液滴の総数から自動的に算出される。
【0019】
従って、前記均一な部分体積は1つの液滴の体積である。1つの液滴は、5nLから50nLまでの体積を有してもよい。典型的で好ましい液滴の体積は、約10nLである。従って、前記均一な部分体積は1つの液滴の体積である。決定される前記流体、すなわち、液体の全体積は、通例では、約1mLから100μLまでの範囲である。このように、前記均一な部分体積、すなわち、前記液滴の体積は、測定される前記流体の予測される全体積の1/10,000から1/1,000,000まで、より具体的には、1/100,000から1,000,000までの範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明に従い、前記流体は、繰り返される投入工程により、工程(b)で量子化される。ここで、それぞれの1つの投入工程は、1つ以上の圧力パルスを前記流体に印加する工程(b1)と、この結果として、前記容器、好適には前記容器の底部先端に一体化されているキャピラリーバルブを通して前記流体の一部分を駆動し、前記均一な部分体積の1つの液滴を生成する工程(b2)とを含む。
【0021】
具体的に、工程(c)は、工程(b)で放出された液滴の発生を検出し、各発生をカウントする工程(c1)と、工程(b)で放出された各液滴の個々の速度を決定する工程(c2)とを含む。特に、工程(d)は、前記液滴の前記個々の速度から、各検出された液滴の実際の個々の体積を自動的に算出する工程(d1)と、工程(c)で検出された液滴の総数と工程(d1)で算出された前記液滴の前記実際の個々の体積とから、前記流体の全体積を自動的に算出する工程(d2)とを含む。
【0022】
代わりに好ましくは、工程(c)は、工程(b)で放出された各液滴(11)の全体積を可動表面上又は可動キャリア上で受け取る工程(c3)と、各液滴(11)を受け取った後、制御下で前記表面を移動させ、斑点の配列を生成し、好ましくは各斑点を前記表面上の所定の配列位置に配置する工程(c4)と、前記斑点の配列の光密度又は光透過の二次元プロファイルを自動的に解析して、前記斑点をカウントし、これにより放出された液滴の総数を決定及び/又は各斑点の大きさを決定し、これにより放出された前記液滴の前記実際の個々の体積を決定する工程(c5)と、を含む。
【0023】
それにより、分注される各液滴の個々の体積を決定することができ、各液滴が同じ均一な部分体積を有するという単なる想定に対して約10倍測定の精度が高まる。より具体的には、所定の均一な部分体積は、アリコート又は量子の大きさの範囲又は桁を決定するのみである。各液滴の実際の個々の体積を決定することにより、各量子の画分に関して、各量子の大きさを個々に適合させることが可能となり、それによってより精密な測定が可能になる。
【0024】
本発明の前記投入及び測定装置の寸法が小さいことによって、複数のこのような測定装置を互いに小さな距離で配置することができる。従って、本発明の前記装置は、容易に並置することができ、例えば、一般的な8チャネルピペットでは投入チャネルの距離は9mmとなる。本発明の前記装置により、並列配置に対するそのような標準的な寸法を容易に採用することができる。従って、流体の並列、すなわち、マルチチャネルの投入及び並列同時測定用の装置を提供する。
【0025】
第3の態様において、本発明は、流体分注測定装置の1回の又は定期的な体積較正の目的のために本発明の前記体積測定装置の使用を提供する。
【0026】
本発明は以下の態様にも関係する。
第1の特定の態様において、流体を受け取るための容器又は前記流体を収容する容器を受けるためのホルダと、全ての流体を前記容器から受け取るための容器に直接流体接続しているか又はその容器内部に一体化され、全ての流体を複数の均一な部分体積に量子化し、それぞれが前記均一な部分体積である複数の液滴を繰り返し放出する量子化装置と、前記量子化装置から放出される前記複数の液滴の各液滴を個々に検出するための検出器と、前記検出器に信号接続され、検出された各液滴事象をカウントするためのカウンタと、を備える前記流体の全体積を自動測定するための体積測定装置を提供する。
【0027】
第2の特定の態様において、前記第1の特定の態様の前記装置が提供され、前記量子化装置は、ノーマリークローズであり、前記流体に印加可能な個々の圧力パルスによって開放するように駆動可能であり、その結果、1つ以上の圧力パルスが印加されるとそれぞれ1つの均一な部分体積の液滴を放出するキャピラリーバルブである。
【0028】
第3の特定の態様において、前記第1又は第2の特定の態様の前記装置が提供され、前記容器は、前記装置の中に含まれている前記流体にアクセスするための上端開口部と前記流体の放出のための底部先端とを有する。
【0029】
第4の特定の態様において、前記第3の特定の態様の前記装置が提供され、前記量子化装置は、前記容器の底部先端に一体化されている。
【0030】
第5の特定の態様において、前記第4の特定の態様の前記装置が提供され、前記装置は、前記容器に収容されている流体に個々に圧力パルスを繰り返し印加するために、前記容器の前記上端開口部に直接取り付け可能である駆動ヘッドをさらに備える。
【0031】
第6の特定の態様において、前記第1から第5の特定の態様のうちのいずれか一態様の前記装置が提供され、前記液滴検出器は、光検出器、光電バリア、静電容量センサ、及び圧電センサ、並びにそれらのうちのいずれか2つ又は3つの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
第7の特定の態様において、前記第1から第6の特定の態様のうちのいずれか一態様の前記装置が提供され、前記装置は、前記体積測定装置から任意選択で取り外し可能であり、前記量子化装置から放出される前記複数の液滴を受け取るための受け容器をさらに備える。
【0033】
第8の特定の態様において、前記第1から第7の特定の態様のうちのいずれか一態様の前記装置が提供され、前記装置は、各液滴の所定の部分体積が与えられた場合に、前記流体の部分体積の液滴の総数から前記流体の全体積を算出するようにプログラムされているマイクロコントローラをさらに備える。
【0034】
第9の特定の態様において、前記第1から第8の特定の態様のうちのいずれか一態様の前記装置が提供され、前記ホルダ内部に受け取られる前記少なくとも1つの取り換え可能な容器は、反応管、バイアル、カップ、及びマルチウェルプレートを含む使い捨ての容器の群から選択される。
【0035】
第10の特定の態様において、測定される流体を容器に収容する工程(a)、流体の全体積が放出されるまで、前記流体の全てを前記容器から排出と同時に繰り返して量子化し、均一な部分体積の複数の液滴を生成する工程(b)であって、前記流体は繰り返される投入工程によって複数の均一な部分体積に量子化され、各投入工程は前記部分体積の1つの量子を生成する工程(b)、工程(b)において放出される前記液滴のそれぞれを個々に検出してカウントする工程(c)、及び工程(b)及び工程(c)中に投入、放出、検出、及びカウントされた全ての液滴の総数から前記流体の全体積を自動的に算出する工程(d)の工程を備える、前記流体の全体積の体積測定の方法が提供される。
【0036】
第11の特定の態様において、前記第10の特定の態様の方法が提供される。ここで、工程(b)において、前記均一な部分体積は、測定される前記流体の予想される全体積の1/100から1/10,000までである。
【0037】
第12の特定の態様において、前記第10又は第11の特定の態様の方法が提供される。ここで、工程(b)において、前記流体は繰り返される投入工程によって量子化され、それぞれ1つの投入工程は、1つ以上の圧力パルスを前記流体に印加する工程(b1)と、これにより、キャピラリーバルブを通して前記流体の一部分を駆動し、前記均一な部分体積の1つの液滴を生成する工程(b2)とを含む。
【0038】
第13の特定の態様において、前記第10から第12の特定の態様のうちのいずれか1つの特定の態様の方法が提供される。ここで、工程(c)は、工程(b)で放出された液滴の発生を検出して各発生をカウントする工程(c1)及び工程(b)で放出された各液滴の個々の速度を決定する工程(c2)の工程を含み、工程(d)は、前記液滴の前記個々の速度から、各検出された液滴の実際の個々の体積を自動的に算出する工程(d1)及び工程(c)で検出された液滴の総数と工程(d1)で算出された前記液滴の前記実際の個々の体積とから、前記流体の全体積を自動的に算出する工程(d2)を含む。
【0039】
第14の特定の態様において、前記第10から第13の特定の態様のうちのいずれか1つの特定の態様の方法が提供される。ここで、工程(c)は、工程(b)で放出された各液滴の全体積を可動表面上で受け取る工程(c3)、各液滴を受け取った後、斑点の配列を生成するために制御下で前記表面を移動させる工程(c4)であって、各斑点を前記表面上の所定の配列位置に好適に配置する工程(c4)、及び、前記斑点の配列の光密度又は光透過の二次元プロファイルを自動的に解析して、斑点をカウントし、これにより、放出された液滴の総数を決定及び/又は各斑点の大きさを決定し、これにより放出された前記液滴の前記実際の個々の体積を決定する工程(c5)の工程を含む。
【0040】
第15の特定の態様において、流体分注測定装置の1回の又は定期的な体積較正のために第1から第9の特定の態様のうちのいずれか1つの特定の態様の前記体積測定装置の使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の体積測定装置の2つの動作の段階を概略的に示す図。
図2】本発明の体積測定装置の特定の実施形態についての基本部品の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明及びその特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
装置は、以下の構成要素、すなわち、プリセット圧力安定空気(少なくとも3MPa)を有する圧縮空気装置と、空気装置に接続された圧力パルス発生器を含み、容器の上方向でかつ容器から離れる方向に曲げられて休止した非作動状態にすることができる駆動ヘッドと、圧力パルスの封止及び管理と、圧力パルスで駆動される分注ノズルと、液滴を検出するための検出装置と、放出された液滴を捕捉する廃棄物容器とを備えてもよい。
【0043】
量子化装置は、投入ノズル、特に、底部に精密に作られたキャピラリー開口部を有する円錐形の容器から成ってもよい。開口部は、円形で好適には60μmの直径を有する。開口部の毛細管現象に起因して、適切な表面張力を有する液体は、圧力平衡状態の下で開口部を通って流れることができない。圧力パルス発生器は、急速な切替え機能を有する3/2方向バルブとして好適に設計されている。スイッチオフの状態において、測定ノズルの液体の上方の空間は、環境に接続されていて圧力状態は平衡している。バルブの短時間(500乃至1000ms)閉鎖により、空間は印加された圧縮空気に接続されて、圧縮空気が上流の圧縮空気装置からバルブを通って流れる。バルブは少しの間のみ切替えられ、測定ノズル上方の空間はすぐに切替えられて環境に戻されるので、短時間の切替えにより圧力パルス波が生成され、バルブから量子化装置の容器及びノズルのうちの容器に導かれる。投入ノズル中の液体は、圧力波から衝撃を受けてノズル先端の毛細管力に打ち勝ち、ノズル、すなわちノズルを備えた容器から液滴が測定される。従って、容器の底部の開口部はしきい値バルブの機能を有する。液体の特性、圧力波の長さ、印加される与圧の高さ等の明確に規定された前提条件によって、液滴の体積は精度が高く再現可能である。圧力波を繰り返し印加することで液滴が繰り返し送出される。
【0044】
底部開口部までの測定ノズルの円錐形の入り口及び測定ノズルの内部の疎水性の表面特性によって、それを途中で完全に空にすることができる。こうして、充填された全体積は、規定数の小さな液滴に分割することができる。精度を高めるためには、測定ノズル開口部の非常に高い精度が必要となる。
【0045】
従って、理想的な測定ノズルは、容器の本体がプラスチックで作られるように構成される。容器の底部にはシリコンウエハがあり、射出成型機により射出成型される。プレートの中央には、適切な直径の孔がある。シリコンにおいては、孔は高精度エッチングにより作ることができる。理想的な投入液体は、上方からキャピラリーの中に最適に流れるので、投入ノズルを完全に空にすることができる。
【0046】
これをサポートするために、液体1が第2の液体で覆われることが有利であることがある。従って、液体2は、液体2と混合することができず、またより低い密度を有するので上部に浮かぶ。この効果によって、上部の液体は可撓性があるシリンダとして作用し、測定される液体1を測定方向に押し付ける。そのため、液体2のみがウェルに存在することとなるまで、確実に液体1を完全に押し付けてプリントすることができる。
【0047】
投入ノズル、すなわち、容器は、使い捨てを意図してもよい。ノズルへの補充を可能とするために、測定ノズルは装置から取り外すことができる。この目的のために、ホルダを有する可動引き出し装置が好適に設けられる。引き出し装置は、容器又はノズル並びに廃棄物容器及び検出装置を収容してもよい。従って、これらの部品は装置から容易に取り外すことができる。これを遂行するために、容器及び投入ノズルは圧力パルス発生器から取り外し可能である。圧力パルス発生器は、持ち上げ又は折りたたむことができる駆動ヘッドに設置されている。好適な実施形態において、駆動ヘッドは、実際の装置の後部に好適に設置されているヒンジに吊り下げられている。駆動ヘッドのアームはばねの周囲にヒンジで固定されてもよい。動作時、圧力パルス発生器を有する駆動ヘッドは、閉鎖状態において重力及び/又はばねの張力によって容器の上側に押され、容器の上端に面一で位置するシールリングによって、それを密閉する。休止段階において、駆動ヘッドは、上方に押されて下方に配置された電磁石によって保持される。シールは容器から分離され、引き出し装置は装置の前面に移動することができる。引き出し装置が移動されたとき、容器及びノズルの両方と廃棄物容器とを取り換えることができる
【0048】
残留流体膜、端部及びアンダーカットの窪み、充填時と測定時との間の投入又は蒸発中のエアロゾルの形成により、容器及び/又は量子化装置に残留体積が生じる結果となる。これは避けなければならない。従って、装置は、「投入容器の残留体積ができるだけ小さくなるように」制御可能な環境条件下で装置の残留体積が常に同じ程度に再現可能であり、したがって算出によって修正可能なシステマティック誤差を与えるように構成されている。これを確実にするために、投入容器及び量子化装置は、単独又は組み合わせにより、以下の特徴を有することが好ましい。
【0049】
特定の実施形態において、容器及び量子化装置は、底部のキャピラリーは容器に液体を充填するとすぐに自動的に液体を吸い込み、また、キャピラリーが容器中のいかなる潜在的な残留体積とも常に流体接触するように特別に設計、形成されている。当該流体接触が、例えば、キャピラリー近傍の容器の底部で形成される気泡によって妨げられることは避けなければならない。投入中、一部の残留体積はキャピラリーに入ることが妨げられ、不利なことに容器の中に保持されるため、そのような気泡はランダムなエラーを引き起こすであろう。従って、投入容器の内部形状が一定した表面、すなわち、液滴が保持される可能性がある端部又は角がないことが好ましい。好適な実施形態において、投入容器の内部形状は、回転対称で底部先端及びキャピラリーに向かって円錐状に先細りになっている結果、キャピラリーの「吸い込み」は重力によって下に向かって増強され、残留液体の一様なトレーリングが確保される。実際のキャピラリーのすぐ上で、測定される流体がキャピラリーにできる限り近接して測定装置の容器の中にピペットから確実に分注され、ピペットによる初期の充填中に、液体がいかなる気泡も発生させることなくすでにキャピラリーに確実に接触するように、容器の内部が手持ちのピペットにより充填できるほどなお広い形状を有することが特に好ましい。
【0050】
キャピラリーの中の液体の安全なトラッキングのために、測定装置の表面のぬれ特性も重要である。水の場合、接触角が小さい親水性がキャピラリーに理想的である。これに加えて、容器の直径が大きくなると、容器の壁の直径が大きいほど、接触角がより大きい疎水性によりアフターランが促進される。従って、キャピラリーに近づくほど、容器の円錐の経路に従って、上部から底部までぬれ角が十分増大することが最適である。装置部に対して異なるぬれ特性を設定することは実現困難であるため、疎水性領域のぬれ角は、約60度乃至90度が好ましい。しかしながら、接触角が大きくなるほど、底部に気泡がなく、キャピラリーが実際に充填されていることを確保するために充填中に注意しなければならない。
【0051】
容器に収容されている全ての液体をキャピラリーに供給するためには、同様に、測定容器の表面のぬれ特性が重要である。水の場合、接触角が小さい親水性がキャピラリーに理想的である。容器の直径が大きくなると、接触角がより大きい疎水性の場合、重力によってキャピラリーへの流体の供給が促進される。好適な実施形態において、容器の壁の直径が大きいほど、またキャピラリーの上方の距離が大きいほど、流体と容器の内面との間のぬれ角が減少して容器からの完全な排出をサポートする。キャピラリーに近くなるほど、ぬれ角が増大してキャピラリーの中への流体の安全な供給がサポートされる。
【0052】
従って、好適な実施形態において、容器は、その上端に向かう領域で疎水性の内面を有し、その底部先端に向かう領域では親水性の内面を有する。疎水性領域のぬれ角は、約60度乃至90度が好ましい。
【0053】
測定方法の好適な実施形態において、容器は、対象の流体に対して類似した物理的及び化学的特性を有する別の流体で事前に充填され、次に、容器は、投入システムすなわち容器と量子化装置、すなわち、具体的にはキャピラリーバルブに残留する可能性がある避けられない残留体積を除いて、全ての回収可能な流体が容器から排出されるまで、投入プロセスを実行することにより空にされる。先行措置の後、システムの全ての残留体積は補正され、対象の流体が本明細書に説明した方法に従ってその体積の実際の測定のために分注される。
【0054】
図1は、本発明の体積測定装置の2つの動作の段階を概略的に示す。初期段階Aにおいて、未知の体積の流体、すなわち液体(10)は、較正するためにピペット又は測定装置の先端(90)から装置の収容容器(20)の中に分注される。段階Bにおいて、駆動ヘッド(60)が容器(20)の上に設置され、任意選択でシール(64)を介して、容器(20)の上開口部(21)を封止する。マイクロコントローラ(80)は、駆動ヘッド(60)のバルブ(61)を制御して圧力ライン(62)で供給される増大された圧力パルスを容器(20)に収容されている流体(10)に一時的及び繰り返して印加する。容器(20)の底部先端(22)には、キャピラリーバルブとして機能するキャピラリーが形成されている。容器(20)は、底部先端(22)のキャピラリーバルブと共に投入ノズルとして動作可能であり、駆動ヘッド(60)を通して圧力パルスが提供されると均一の部分体積の流体(10)の単一の液滴(11)を放出する。検出器(40)が容器(20)の底部先端(22)に直ぐ隣接して配置され、キャピラリーバルブを離れる各液滴(11)を検出する。検出器(40)は、検出事象、すなわち、液滴の数をカウントするカウンタ(50)に接続されている。カウンタ(50)は、次に、容器(20)に元々収容されている流体(10)の実際の全体積を液滴(11)の数から算出するようにプログラムされているマイクロコントローラ(80)に接続されている。
【0055】
図2は、本発明の体積測定装置の特定の実施形態についての基本部品の概略断面図を示す。駆動ヘッド(60)は旋回アーム(66)の端部に設置され、スライド可能なトレイ又はホルダ(26)は、底部先端(22)にキャピラリーバルブを備える容器(20)を収容する。容器(20)の底部先端(22)に隣接して、液滴検出器(40)が配置されている。別のホルダには、容器(20)から滴り落ちる液体を受けるための受け容器(70)が設置されている。
図1
図2