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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】駆動軸の制動装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20230209BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20230209BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20230209BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20230209BHJP
   F16D 121/14 20120101ALN20230209BHJP
   F16D 121/20 20120101ALN20230209BHJP
   F16D 125/22 20120101ALN20230209BHJP
【FI】
B25J17/00 E
F16D63/00 H
B60T1/06 G
F16D65/18
F16D121:14
F16D121:20
F16D125:22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020552340
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2020005012
(87)【国際公開番号】W WO2020213914
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0043640
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518211152
【氏名又は名称】レインボー ロボティックス
【氏名又は名称原語表記】RAINBOW ROBOTICS
【住所又は居所原語表記】(Munji-dong)10-19,Expo-ro 339beon-gil Yuseong-gu Daejeon 34122 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イム ジョンス
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064802(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0111253(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0060264(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの関節に用いられる駆動軸のための制動装置において、
駆動軸に結合されて前記駆動軸の回転につれて回転し、十字状の末端部を有する複数の係止片が形成されたブレーキリングと、
ロボットの関節の内部に固定される支持フレームと、
前記支持フレームに形成されたブレーキ軸を中心として回転可能であり、前記ブレーキリングに形成された係止片の十字状の末端部との物理的な干渉により前記駆動軸の回転を止めるための係止突起が形成されたブレーキウィングと、
前記ブレーキウィングを回転させて前記係止突起の位置を移動するための位置調整部と、
前記ブレーキウィングの回転に弾性力を加えるための弾性部材と、
を備え、
前記係止突起は、前記ブレーキウィングの回転により前記十字状の末端部の回転半径の内部に位置する第1の位置と、前記十字状の末端部の回転半径の外部に位置する第2の位置との間を移動し、
前記係止突起が前記第1の位置に移動する場合、前記十字状の末端部との物理的な干渉により前記駆動軸の回転が止められ、
前記ブレーキリングに形成された二つの前記係止片にそれぞれ対応するように両側に二つの前記ブレーキウィングが配備され、
前記二つのブレーキウィングにそれぞれ形成された二つの前記係止突起は、前記第1の位置において互いに反対する方向に整列された二つの前記係止片と当接する位置よりも離れた位置に設定されて、前記ブレーキリングが時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ一定の角度に回転可能な両方向に遊びを有することを特徴とする駆動軸の制動装置。
【請求項2】
前記ブレーキリングは、前記駆動軸と軸結合された胴体から放射状に突出した複数の前記係止片を備えることを特徴とする請求項1に記載の駆動軸の制動装置。
【請求項3】
前記位置調整部は、入力電流の有無又は方向に応じて前記ブレーキウィングを回転させて、前記係止突起を前記第1及び第2の位置のどちらか一方に移動させるためのソレノイドを備えることを特徴とする請求項1に記載の駆動軸の制動装置。
【請求項4】
前記ブレーキウィングは、一方の側が前記ブレーキ軸に連結され、他方の側が前記ソレノイドにより移動させられる可動部材に触れ、前記一方の側と前記他方の側との間に前記係止突起が形成されることを特徴とする請求項3に記載の駆動軸の制動装置。
【請求項5】
前記ソレノイドへの入力電流を制御するための制御部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の駆動軸の制動装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、一方の端が前記ブレーキウィング側に固定され、他方の端が前記支持フレーム側に固定されたバネから構成されることを特徴とする請求項1に記載の駆動軸の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの関節などに用いられる駆動軸のための制動装置ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のロボット技術の発達には目を見張るものがあり、これに伴い、産業ロボットの他にも、人間に代えて様々な作業が行える知能型ロボットへのニーズが台頭し始めており、知能型ロボットへの取り組みが盛んに行われている。
【0003】
知能型ロボットを開発するためには、機械、電子など伝統技術とともに、新素材、半導体、人工知能、センサソフトウェアなどの先端技術が求められ、知能型ロボットは、既存の産業用ロボットとは異なり、将来の市場で求める機能と性能をもったロボットであるといえる。
【0004】
一方、産業用ロボット及びサービス用ロボットなどが開発されて色々な分野において用途に合わせて用いられており、単純作業から高度の作業に至るまで正確に且つ速やかに行うことができてその使用が益々増えている。
【0005】
このように、様々な産業及びサービス分野に用いられるロボットの関節モジュールは、モータ、モータを安定的に駆動するためのトルクセンサ、制動装置などを備え、制動装置は、移動する物体の加減速を制御したり、作動を止める際にロボットアームの位置を保ったりするために欠かせないものとなっている。
【0006】
従来の制動装置は、摩擦方式のブレーキパッドを用いて物体に対する制動動作を行って、制動動作が必要とされる物体にブレーキパットを機械的に押し当て、このときに生じる摩擦力を用いて物体に対する制動動作を行う。
【0007】
しかしながら、上記のごとき従来の摩擦方式の制動装置は、制動を行う最中に滑るといったスリップ現象が起こるため、比較的に正確に停止力を調節する必要がある部分、例えば、ロボットの関節などに用いるには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国公開特許第10-2013-0018599号公報(2013年2月25日付け公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した不都合を解決するために案出されたものであり、その目的は、ロボットの関節に用いて好適であり、しかも、制動性能が向上した構造を有する駆動軸の制動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置は、ロボットの関節に用いられる駆動軸のための制動装置であって、駆動軸に結合されて前記駆動軸の回転につれて回転し、十字状の末端部を有する一つ以上の係止片が形成されたブレーキリングと、ロボットの関節の内部に固定される支持フレームと、前記支持フレームに形成されたブレーキ軸を中心として回転可能であり、前記ブレーキリングに形成された係止片の十字状の末端部との物理的な干渉により前記駆動軸の回転を止めるための係止突起が形成されたブレーキウィングと、前記ブレーキウィングを回転させて前記係止突起の位置を移動するための位置調整部と、前記ブレーキウィングの回転に弾性力を加えるための弾性部材と、を備える。
【0011】
前記ブレーキリングは、前記駆動軸と軸結合された胴体から放射状に突出した複数の前記係止片を備え、前記係止突起は、前記ブレーキウィングの回転により前記十字状の末端部の回転半径の内部に位置する第1の位置と、前記十字状の末端部の回転半径の外部に位置する第2の位置との間を移動する。
【0012】
一方、前記係止突起が前記第1の位置に移動する場合、前記十字状の末端部との物理的な干渉により前記駆動軸の回転が止められる。
【0013】
そして、前記位置調整部は、入力電流の有無又は方向に応じて前記ブレーキウィングを回転させて、前記係止突起を前記第1及び第2の位置のどちらか一方に移動させるためのソレノイドを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸に軸結合されるブレーキリングに十字状の末端部を有する一つ以上の係止片を形成し、ロボットの関節に固定された支持フレームのブレーキ軸を中心として回転するブレーキウィングに係止突起を形成して係止片の十字状の末端部との物理的な干渉により駆動軸の回転を止めることにより、小さな遊びをもって両方向に制動可能な制動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置を備えるロボットの関節の構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係る駆動軸の制動装置の構成に対する一実施形態を示す図である。
図3】本発明に係る駆動軸の制動装置の構成に対する一実施形態を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置の動作を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置の動作を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置に配備されるブレーキリングとブレーキウィングの構成を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置の遊びガタを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の内容は、単に本発明の原理を例示する。このため、当業者であれば、たとえ本明細書に明確に説明されたり図示されたりしてはいないとしても、本発明の原理を実現し、本発明の概念と範囲に含まれる様々な装置を発明することができる筈である。なお、本明細書に列挙されたすべての条件付き用語及び実施形態は、原則として、本発明の概念が理解されるようにするための目的のみが明らかに意図され、このように特別に列挙された実施形態及び状態に制限的ではないものと理解されるべきである。
【0017】
また、本発明の原理、観点及び実施形態だけではなく、特定の実施形態を列挙するすべての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的な均等物を含むことが意図されるものと理解されるべきである。なお、これらの均等物は、現在公知となっている均等物だけではなく、将来に開発されるべき均等物、すなわち、構造とは無関係に、同一の機能を行うように発明されたあらゆる素子を網羅するものと理解されるべきである。
【0018】
よって、例えば、本明細書のブロック図は、本発明の原理を具体化させる例示的な回路の概念的な観点を示すものと理解されるべきである。これと同様に、すべてのフローチャート、状態変換図、疑似コードなどは、コンピュータにて読み取り可能な媒体に実質的に示すことができ、コンピュータまたはプロセッサが明らかに示されているかどうかを問わずに、コンピュータまたはプロセッサにより行われるプロセスを示すものと理解されるべきである。
【0019】
プロセッサまたはこれと略同一の概念として表示されている機能ブロックを含む図面に示されている様々な素子の機能は、専用ハードウェアだけではなく、適切なソフトウェアと関わってソフトウェアを起動する能力をもったハードウェアの使用によって提供され得る。プロセッサにより提供されるとき、前記機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサまたは複数の個別のプロセッサにより提供可能であり、これらの一部は共有され得る。
【0020】
上述した目的、特長点は、添付図面と結び付けて行われる以下の詳細な説明からなお一層明らかになる筈であり、これにより、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的な思想を容易に実施できる筈である。なお、本発明について説明するにあたって、本発明と関わる公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る好適な実施形態について詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置を備えるロボットの関節の構成を示す斜視図である。
【0023】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る制動装置100は、ロボットの関節10の内部において減速機及びエンコーダとともにモータの駆動軸15に軸結合されて、モータを止める際に、正確な位置において関節10の回転が止められて保たれるようにするための装置であってもよい。
【0024】
例えば、関節10は、協同ロボット、産業用ロボット、ヒューマノイドロボット、ロボットマニピュレータ(manipulator)など種々のロボットに配備されてもよいが、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、ロボットの他に、種々の装置の駆動軸に軸結合されるブレーキメカニズムとして利用可能である。
【0025】
図1に示すように、ロボットの関節10は、ハウジング11の内部に駆動軸15及びそれと軸結合される制動装置100が配備されてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、ロボットの関節10の駆動軸15に軸結合されるブレーキリングに十字状の末端部を有する一つ以上の係止片を形成し、ロボットの関節10に固定された支持フレームのブレーキ軸を中心として回転するブレーキウィングに係止突起を形成して係止片の十字状の末端部との物理的な干渉により駆動軸の回転を止めることにより、小さな遊びをもって両方向に制動可能な制動装置を実現することができる。
【0027】
以下、図2から図6に基づいて、本発明に係る駆動軸の制動装置100の構成及び動作に対する実施形態について詳しく説明する。
【0028】
図2及び図3は、本発明に係る駆動軸の制動装置の構成に対する一実施形態を示すものであり、制動装置100は、ブレーキリング110と、支持フレーム120と、ブレーキウィング130と、位置調整部140及び弾性部材150を備えていてもよい。
【0029】
図2及び図3を参照すると、ブレーキリング110は、駆動軸15に結合されて駆動軸15の回転につれて回転し、十字状の末端部を有する一つ以上の係止片115が形成されあてもよい。
【0030】
例えば、ブレーキリング100は、図3に示すように、駆動軸15と軸結合された胴体から放射状に突出した四つの係止片115を備え、係止片115のそれぞれの末端部に十字状と略同一の形状を有していてもよい。
【0031】
支持フレーム120は、ロボットの関節10の内部に固定され、例えば、図1に示すように、ロボットの関節10のハウジング11に別途の連結部材と締付部材とを用いて結合されて固定されてもよい。
【0032】
一方、ブレーキウィング130は、支持フレーム120に形成されたブレーキ軸125を中心として回転可能であり、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部との物理的な干渉により駆動軸15の回転を止めるための係止突起135が形成されてもよい。
【0033】
位置調整部140は、ブレーキウィング130を回転させ、ブレーキウィング130の回転につれて係止突起135が移動してブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部との物理的な干渉が調整されてもよい。
【0034】
例えば、ブレーキウィング130は、図3に示すように、制動装置100の両側にそれぞれ一つずつ配備され、それぞれのブレーキウィング130は、制動装置100の両側にそれぞれ配備された位置調整部140により回転させられてもよい。
【0035】
一方、係止突起135は、位置調整部140によるブレーキウィング130の回転につれてブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の回転半径の内部に位置する第1の位置と、十字状の末端部の回転半径の外部に位置する第2の位置との間を移動することができる。
【0036】
係止突起135が第1の位置に移動する場合、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部との物理的な干渉により駆動軸15の回転が止められ、係止突起135が第2の位置に移動する場合、十字状の末端部との物理的な干渉が生じないことから、駆動軸15の回転に影響を及ぼさないことができる。
【0037】
ここで、位置調整部140は、入力電流の有無又は方向に応じてブレーキウィング130を回転させて係止突起135を第1及び第2の位置のどちらか一方に移動させるためのソレノイドを備えていてもよい。
【0038】
この場合、本発明の一実施形態に係る制動装置100には、ソレノイドへの入力電流を制御するための制御部(図示せず)がさらに配設されていてもよい。
【0039】
また、弾性部材150は、ブレーキウィング130の回転に弾性力を加える役割を果たしてもよい。
【0040】
例えば、弾性部材150は、図2に示すように、一方の端がブレーキウィング130側に固定され、他方の端が支持フレーム120側に固定されたバネから構成されてもよい。
【0041】
図4及び図5は、本発明の一実施形態に係る駆動軸の制動装置の動作を説明するために示すものであり、以下、同図に示す制動装置100の動作のうち、図1から図3に基づいて説明した内容と同じ内容についての説明は省略する。
【0042】
図4及び図5を参照すると、ブレーキウィング130は、一方の側が支持フレーム120のブレーキ軸125に連結され、他方の側の接触部137がソレノイドにより移動させられる可動部材145に触れ、一方の側と他方の側との間に係止突起135が形成された構造を有していてもよい。
【0043】
図4は、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部とブレーキウィング130の係止突起135とが互いに物理的な干渉を引き起こさない場合を示すものである。
【0044】
図4を参照すると、位置調整部140に配備されたソレノイドがオン(ON)になると、可動部材145がブレーキウィング130に向かって移動してそれに触れているブレーキウィング130の接触部137を押してブレーキウィング130を回転させることができる。
【0045】
前述したように、ブレーキウィング130が回転させられると、係止突起135がブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の回転半径Rの外に移動し、これにつれて、ブレーキウィング130は、ブレーキリング110の回転に干渉しなくなって、動軸15が回転自在となる。
【0046】
一方、ブレーキウィング130の回転により、ブレーキウィング130に連結された弾性部材であるトーションバネが巻かれて弾性力を有することが可能になる。
【0047】
図5は、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部とブレーキウィング130の係止突起135とが互いに物理的な干渉を引き起こす場合を示すものである。
【0048】
一方、図5を参照すると、位置調整部140に配備されたソレノイドがオフ(OFF)になると、ブレーキウィング130に連結されたトーションバネの弾性力によりブレーキウィング130が回転させられて元の位置に戻ることができる。
【0049】
前述したように、ブレーキウィング130が回転させられて元の位置に戻ると、係止突起135がブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の回転半径Rの内に移動し、これにより、ブレーキウィング130は、ブレーキリング110の回転に干渉して駆動軸15の回転が止められる。
【0050】
一方、ソレノイドは、位置調整部140の内部に埋め込まれて電流の印加有無に応じていずれか一つの方向の磁束を倍加又は減衰させることができる。
【0051】
例えば、ソレノイドの内部に配備される永久磁石とコイルの配置に応じて、いずれか一つの方向に形成される磁束が倍加されたり、他の方向に形成される磁束が減衰されたりして、前述したように、可動部材145を移動させてブレーキウィング130が回転させられるようにしてもよい。
【0052】
一方、位置調整部140にラッチタイプのソレノイドが配備される場合、モータが駆動されたり制動されたりするとき、一回の電流の印加だけでも磁束の変化が保たれるので、電流を印加し続けることが不要になる。
【0053】
以上においては、位置調整部140に配備されたソレノイドがオン(ON)になる場合、ブレーキリング110とブレーキウィング130との間の物理的な干渉が解除され、ソレノイドがオフ(OFF)になる場合、ブレーキリング110とブレーキウィング130との間の物理的な干渉が生じて駆動軸15の回転が止められることを例にとって本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、ブレーキウィング130は、これに加えて、様々な方式により回転させられてブレーキリング110との物理的な干渉が調整され得る。
【0054】
図5に示すように、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部とブレーキウィング130の係止突起135との間の物理的な干渉により駆動軸15の回転が止められると、駆動軸15の両方向への回転が両方とも止められた状態に保たれ得る。
【0055】
図6を参照すると、ブレーキウィング130には十字状の四つの係止突起115が配備されて、回転する駆動軸15の位置及び回転方向を問わずに、最大で45°内においてブレーキがロックすることができる。
【0056】
例えば、時計回り方向に駆動軸15が回転しているとき、十字状の係止突起115の間にブレーキウィング130が位置する瞬間にソレノイドがオフになって、ブレーキウィングが回転半径の内に入ってくる場合には右側のブレーキウィング130が係止突起115に引っ掛かるまでは左側のブレーキウィングは係止突起135が押し出して回転し、最大で45°内の角度で回転してブレーキがロックすることができる。
【0057】
ブレーキウィング130に形成された係止突起135の凸状の部分がブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の凹状の部分に当接して引っ掛かる場合、ブレーキリング110の時計回り方向への回転と反時計回り方向への回転とが両方とも防止可能になる。
【0058】
そのために、ブレーキウィング130に形成された係止突起135の大きさ、形状、角度などと、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の大きさ、形状、角度などは、図6に示すように、互いに整合されて設定されることが好ましい。
【0059】
例えば、ブレーキリング110に形成された係止片115の十字状の末端部の凹状の部分とブレーキウィングが触れる部分の角度は、接触部位において最外郭に接線方向を基準として90°よりも小さく形成され、これにより、たとえ駆動軸15が回転したとしても、ブレーキウィング130と係止片115とが接続されたときに駆動軸15の回転力によりブレーキウィング130が外に押されて抜け出すことなく、係止片115側にさらに入ってくる力を受けてブレーキウィング130が係止片115から係脱しないことができる。
【0060】
一方、図7に示すように、制動装置100は、ブレーキリング110に形成された二つの係止片115、116にそれぞれ対応するように両側に二つのブレーキウィング130、131が配備され、二つのブレーキウィング130、131にそれぞれ形成された二つの係止突起135、136がそれぞれ係止片115、116の回転半径内である第1の位置に移動して、ブレーキリング110が軸結合された駆動軸15の回転が止められる。
【0061】
この場合、本発明の一実施形態に係る制動装置100は、係止突起135、136の位置に見合う両方向の制動遊びを有していてもよい。
【0062】
すなわち、ブレーキウィング130、131が取り付けられる位置は、ブレーキリング110の両係止片115、116が9時、3時の方向に整列された状態で、それぞれの係止突起135、136が係止片115、116と当接する位置よりもわずかに高く位置するように設定されてもよい。
【0063】
これにより、ブレーキリング110は、時計回り方向に一定の角度α1に見合う分だけ回転可能な遊びを有し、反時計回り方向にも一定の角度α1に見合う分だけ回転可能な遊びを有して、一定の角度α1の2倍に相当する角度α2に見合う分だけ両方向に遊びを有することができる。
【0064】
例えば、ブレーキリング110は、時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ約0.6°の回転可能な遊びを有して、約1.2°の両方向の遊びを有することができ、そのために、当該遊び角度に見合うようにブレーキウィング130、131又は係止突起135、136の位置が定められる。
【0065】
一方、図6に示すように、弾性部材150であるトーションバネの一方の端は、ブレーキウィング130の係止突起135の部分に形成された嵌合孔を通って折り曲げられた状態で固定されてもよい。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について図示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者により様々な変形実施が行えることはもとより、これらの変形実施は、本発明の技術的思想や見通しから個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0067】
10 ロボットの関節
11 関節ハウジング
15 駆動軸
100 制動装置
110 ブレーキリング
115 係止片
120 支持フレーム
125 ブレーキ軸
130 ブレーキウィング
135 係止突起
137 接触部
140 位置調整部
145 可動部材
150 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7