(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】撮像素子、内視鏡および制御装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20230209BHJP
H04N 23/40 20230101ALI20230209BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20230209BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N23/40 300
H04N23/54
H04N7/18 M
(21)【出願番号】P 2020565079
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000397
(87)【国際公開番号】W WO2020144777
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 雅人
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520341(JP,A)
【文献】特開2007-159991(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/78
H04N 23/40
H04N 23/54
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マトリクス状に配置された複数の画素であって、光を受光することによって受光量に応じた第1の信号を生成し、該第1の信号を出力する複数の画素を有する画素部と、
前記複数の画素の各々から出力された前記第1の信号に対してAD変換処理を行うことによってデジタルの第2の信号に変換し、該第2の信号を出力するAD変換部と、
第1の期間において少なくとも前記第2の信号を含む送信データと、第2の期間において外部から入力される受信データであって、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと設定信号とを含む受信データとの送受信を時分割で行う送受信部と、
前記受信データに含まれる前記クロックエッジに同期した第1のクロック信号を生成する第1の生成部と、
前記第1のクロック信号に基づいて、前記画素部および前記AD変換部を一定の基準タイミングで駆動するための第2のクロック信号を生成し、該第2のクロック信号を前記画素部および前記AD変換部へ出力する第2の生成部と、
を備え、
前記第1の生成部は、
前記第1のクロック信号と前記受信データとを比較した比較結果を示す入力信号を出力する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器から入力された前記入力信号に基づいて、該入力信号の電圧を調整して出力するチャージポンプ部と、
前記チャージポンプ部から入力された前記入力信号の電圧に対して平滑化を行って出力するループフィルタ部と、
前記ループフィルタ部から入力された前記入力信号の電圧に応じた周波数を有する前記第1のクロック信号を生成して出力する第1の電圧制御発振器と、
を有し、
前記送受信部は、
前記画素部における水平方向の1ライン毎に前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替えて前記送信データと前記受信データとの送受信を時分割で行
い、
前記設定信号は、
前記第2のクロック信号の周波数制御信号を含み、
前記送信データは、
前記第2の信号と、前記第2の信号よりも早いタイミングで出力されるプリアンブル信号と、
を含む、
撮像素子。
【請求項2】
2次元マトリクス状に配置された複数の画素であって、光を受光することによって受光量に応じた第1の信号を生成し、該第1の信号を出力する複数の画素を有する画素部と、
前記複数の画素の各々から出力された前記第1の信号に対してAD変換処理を行うことによってデジタルの第2の信号に変換し、該第2の信号を出力するAD変換部と、
第1の期間において少なくとも前記第2の信号を含む送信データと、第2の期間において外部から入力される受信データであって、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと設定信号とを含む受信データとの送受信を時分割で行う送受信部と、
前記受信データに含まれる前記クロックエッジに同期した第1のクロック信号を生成する第1の生成部と、
前記第1のクロック信号に基づいて、前記画素部および前記AD変換部を一定の基準タイミングで駆動するための第2のクロック信号を生成し、該第2のクロック信号を前記画素部および前記AD変換部へ出力する第2の生成部と、
を備え、
前記第1の生成部は、
前記第1のクロック信号と前記受信データとを比較した比較結果を示す入力信号を出力する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器から入力された前記入力信号に基づいて、該入力信号の電圧を調整して出力するチャージポンプ部と、
前記チャージポンプ部から入力された前記入力信号の電圧に対して平滑化を行って出力するループフィルタ部と、
前記ループフィルタ部から入力された前記入力信号に応じた周波数を有する第3のクロック信号を生成して出力する第1の電圧制御発振器と、
前記第1の電圧制御発振器から入力された前記第3のクロック信号に対して、DA変換処理を行って出力するDA変換部と、
前記DA変換部から入力されたアナログの前記第3のクロック信号の電圧に応じた周波数を有する前記第1のクロック信号を生成して出力する第2の電圧制御発振器と、
を有
し、
前記送受信部は、
前記画素部における水平方向の1ライン毎に前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替えて前記送信データと前記受信データとの送受信を時分割で行う、
撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子であって、
前記送受信部は、
1つの入出力パッドを経由して前記送信データと前記受信データとの送受信を時分割で行う、
撮像素子。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか一つに記載の撮像素子であって、
前記設定信号は、
前記第2のクロック信号の周波数制御信号を含み、
前記送信データは、
前記第2の信号と、前記第2の信号よりも早いタイミングで出力されるプリアンブル信号と、
を含む、
撮像素子。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか一つに記載の撮像素子であって、
前記送信データは、
画像フォーマットを含み、
前記画像フォーマットは、
少なくとも1ライン毎にコンフィギュレーションコード期間を有する、
撮像素子。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一つに記載の撮像素子と、
被検体に先端部が挿入される挿入部と、
を備え、
前記先端部に前記撮像素子が設けられてなる、
内視鏡。
【請求項7】
被検体内に挿入可能な挿入部の先端部に撮像素子が設けられた内視鏡が着脱自在に接続される制御装置であって、
1つの伝送ケーブルを経由し、第1の期間において、少なくとも前記撮像素子から送信された送信データであって、画像データと、非画像データと、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと、を含む送信データと、前記撮像素子に受信させる受信データであって、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと、設定信号と、を含む受信データとの送受信を時分割で行う送受信部
と、
当該制御装置の動作の基準となる基準クロック信号を生成する第3の生成部と、
前記基準クロック信号と、前記受信データに含まれる前記クロックエッジに同期して生成された第1のクロック信号とに基づいて、前記画像データを表示装置へ出力する制御部と、
を備える、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被写体を撮像することによって画像データを生成する撮像素子、内視鏡および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡システムでは、イメージセンサが有する入出力パッドを介して所定のフレーム周期で出力データの送受信をカメラユニットのCDR(Clock Data Recovery)回路を用いて行う技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、イメージセンサは、入出力パッドを介して、画像データを出力するローリング読み出し状態と、非画像データを出力するサービス状態と、エラーを回復するための信号を含む命令データをイメージセンサに受信させる構成状態と、を含み、この所定のフレーム周期のうち構成状態のタイミングで、出力データに含まれるカメラユニットのCDR回路でクロック信号をロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1では、構成状態のタイミングが1フレーム毎のため、電気メスの使用等によって外乱ノイズが入りこむことでデータにエラーが生じた場合、エラーを回復するための信号を次フレームまで待たなければならないため、エラーが生じた1フレーム全体のデータが失われてしまうという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、データにエラーが生じた場合であっても、敏速に復旧することができる撮像素子、内視鏡および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る撮像素子は、2次元マトリクス状に配置された複数の画素であって、光を受光することによって受光量に応じた第1の信号を生成し、該第1の信号を出力する複数の画素を有する画素部と、前記複数の画素の各々から出力された前記第1の信号に対してAD変換処理を行うことによってデジタルの第2の信号に変換し、該第2の信号を出力するAD変換部と、第1の期間において少なくとも前記第2の信号を含む送信データと、第2の期間において外部から入力される受信データであって、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと設定信号とを含む受信データとの送受信を時分割で行う送受信部と、前記受信データに含まれる前記クロックエッジに同期した第1のクロック信号を生成する第1の生成部と、を備え、前記送受信部は、前記画素部における水平方向の1ライン毎に前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替えて前記送信データと前記受信データとの送受信を時分割で行う。
【0007】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記送受信部は、1つの入出力パッドを経由して前記送信データと前記受信データとの送受信を時分割で行う。
【0008】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記第1のクロック信号に基づいて、前記画素部および前記AD変換部を一定の基準タイミングで駆動するための第2のクロック信号を生成し、該第2のクロック信号を前記画素部および前記AD変換部へ出力する第2の生成部をさらに備える。
【0009】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記第1の生成部は、前記第1のクロック信号と前記受信データとを比較した比較結果を示す入力信号を出力する位相周波数比較器と、前記位相周波数比較器から入力された前記入力信号に基づいて、該入力信号の電圧を調整して出力するチャージポンプ部と、前記チャージポンプ部から入力された前記入力信号の電圧に対して平滑化を行って出力するループフィルタ部と、前記ループフィルタ部から入力された前記入力信号の電圧に応じた周波数を有する前記第1のクロック信号を生成して出力する第1の電圧制御発振器と、を有する。
【0010】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記第1の生成部は、前記第1のクロック信号と前記受信データとを比較した比較結果を示す入力信号を出力する位相周波数比較器と、前記位相周波数比較器から入力された前記入力信号に基づいて、該入力信号の電圧を調整して出力するチャージポンプ部と、前記チャージポンプ部から入力された前記入力信号の電圧に対して平滑化を行って出力するループフィルタ部と、前記ループフィルタ部から入力された前記入力信号に応じた周波数を有する第3のクロック信号を生成して出力する第1の電圧制御発振器と、前記第1の電圧制御発振器から入力された前記第3のクロック信号に対して、DA変換処理を行って出力するDA変換部と、前記DA変換部から入力されたアナログの前記第3のクロック信号の電圧に応じた周波数を有する前記第1のクロック信号を生成して出力する第2の電圧制御発振器と、を有する。
【0011】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記設定信号は、前記第2のクロック信号の周波数制御信号を含み、前記送信データは、前記第2の信号と、前記第2の信号よりも早いタイミングで出力されるプリアンブル信号と、を含む。
【0012】
また、本開示に係る撮像素子は、上記開示において、前記送信データは、画像フォーマットを含み、前記画像フォーマットは、少なくとも1ライン毎にコンフィギュレーションコード期間を有する。
【0013】
また、本開示に係る内視鏡は、上記の撮像素子と、被検体に先端部が挿入される挿入部と、を備え、前記先端部に前記撮像素子が設けられてなる。
【0014】
また、本開示に係る制御装置は、被検体内に挿入可能な挿入部の先端部に撮像素子が設けられた内視鏡が着脱自在に接続される制御装置であって、1つの伝送ケーブルを経由し、第1の期間において、少なくとも前記撮像素子から送信された送信データであって、画像データと、非画像データと、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと、を含む送信データと、前記撮像素子に受信させる受信データであって、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルと、設定信号と、を含む受信データと、を時分割で送受信する送受信部を備える。
【0015】
また、本開示に係る制御装置であって、上記開示において、当該制御装置の動作の基準となる基準クロック信号を生成する第3の生成部と、前記基準クロック信号と、前記受信データに含まれる前記クロックエッジに同期して生成された第1のクロック信号とに基づいて、前記画像データを表示装置へ出力する制御部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、データにエラーが生じた場合であっても、敏速に復旧することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの全体構成を模式的に示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る撮像装置および制御装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る第1の生成部の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る第1の生成部の動作を模式的に示すタイミングチャートを示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る画像フォーマットの構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る第1の生成部の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る第1の生成部の動作を模式的に示すタイミングチャートを示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1,2の変形例1に係る画像フォーマットを示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1,2の変形例2に係る画像フォーマットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)として、被検体内に挿入される挿入部の先端部に撮像装置を有する内視鏡を備えた内視鏡システムについて説明する。また、この実施の形態により、本開示が限定されるものでない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚めと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間において、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0019】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの全体構成を模式的に示す概略図である。
図1に示す内視鏡システム1は、内視鏡2と、制御装置3と、表示装置4と、を備える。
【0020】
内視鏡2は、内視鏡2の一部である挿入部100を被検体の体腔内に挿入することによって被検体の体内を撮像し、この撮像によって生成された画像信号を制御装置3へ出力する。内視鏡2は、挿入部100の先端部101側に、被検体の体内を撮像して画像信号を生成する撮像装置20が設けられている。また、内視鏡2は、挿入部100の基端側102側に、内視鏡2に関する各種操作を受け付ける操作部103が設けられている。さらに、内視鏡2は、操作部103から延在し、制御装置3に着脱自在に接続される伝送ケーブル104が設けられている。撮像装置20が生成した体内画像の画像信号は、例えば数mの長さを有する伝送ケーブル104を経由して制御装置3に出力される。伝送ケーブル104は、ケーブルや光ファイバ等を用いて構成され、撮像装置20によって生成された画像信号を含む各種データを制御装置3へ伝送する。さらに、伝送ケーブル104は、制御装置3から送信された各種データを撮像装置20へ送信し、かつ、図示しない光源装置によって供給された照明光を内視鏡2の挿入部100の先端部101に導光する。
【0021】
制御装置3は、伝送ケーブル104を経由して入力された各種データに所定の画像処理を施して表示装置4へ出力する。また、制御装置3は、内視鏡システム1全体を統括的に制御する。例えば、制御装置3は、図示しない光源装置が出射する照明光を切り替えたり、内視鏡2の撮像モードを切り替えたりする制御を行う。
【0022】
表示装置4は、制御装置3が画像処理を施した画像信号に対応する画像を表示する。表示装置4は、内視鏡システム1に関する各種情報を表示する。表示装置4は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示パネル等を用いて構成される。
【0023】
〔撮像装置および制御装置の要部〕
次に、上述した撮像装置20および制御装置3の要部の機能について説明する。
図2は、撮像装置20および制御装置3の要部の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
〔撮像装置の構成〕
まず、撮像装置20の構成について説明する。
図2に示す撮像装置20は、撮像素子21を備える。撮像素子21は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)のイメージセンサ等を用いて構成される。撮像素子21は、少なくとも、画素部22と、AD変換部23と、送受信部24と、第1の生成部25と、第2の生成部26と、を備える。
【0025】
画素部22は、2次元マトリクス状に複数の画素が配置されてなる。画素部22は、複数の画素の各々が光を受光することによって受光量に応じた第1の信号(アナログの画素値)を生成する。画素部22は、複数の画素の各々が生成した第1の信号をAD変換部23へ出力する。画素部22は、後述する第2の生成部26から入力される一定の基準タイミングで駆動するための第2のクロック信号(以下、「イメージャークロック信号IMCLK2」という)に基づいて、画素部22における水平方向の1ライン毎に複数の画素の各々から第1の信号を読み出し、この読み出した第1の信号をAD変換部23へ出力する。
【0026】
AD変換部23は、第2の生成部26から入力される第2のクロック信号(イメージャクロック信号)IMCLK2に基づいて、画素部22から入力された第1の信号に対して、AD変換処理を行うことによってデジタルの第2の信号(デジタルの画像信号)に変換し、この第2の信号を送受信部24へ出力する。AD変換部23は、カラムAD、パイプラインAD、逐次比較ADといった、周知のAD変換回路を用いて構成される。
【0027】
送受信部24は、伝送ケーブル104および入出力パッドT1を経由して第1の期間(以下、「Down Link期間」という)において第2の信号と所定の画像フォーマットの制御コードを含むデジタルの送信データを制御装置3へ出力する。また、送受信部24は、伝送ケーブル104および入出力パッドT1を経由して第2の期間(以下、「Up Link期間」という)において制御装置3から設定信号を含むデジタルの受信データ(以下、「受信データSYSDATA」という)を受信し、この受信した受信データSYSDATAの一部を第1の生成部25へ出力する。送受信部24は、伝送ケーブル104および1つの入出力パッドT1を経由して送信データおよび受信データSYSDATAを時分割で送受信を行う。具体的には、送受信部24は、画素部22における水平方向の1ライン上の複数の画素の各々から第1の信号を読み出す1ライン毎に、Up Link期間と、Down Link期間と、を切り替えて送信データと受信データSYSDATAの送受信を時分割で行う。ここで、受信データSYSDATAには、設定信号に加えて、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルが所定の周期で含まれる。また、送信データには、デジタルの画像信号に加えて、データの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジを有するクロックリカバリシンボルが所定の周期で含まれる。このようなデータ形式は、自己クロック信号としても知られており、このクロックリカバリシンボルを含むデータとして、例えば8b(bit)/10b(bit)変換やマンチェスタ符号化等が使用されていてもよい。データ1ビットの周期をTとした場合、8b/10b変換では5Tに少なくとも1回、マンチェスタ符号化では2Tに少なくとも1回のクロックリカバリシンボル(クロック遷移)が含まれる。送受信部24は、双方向ドライバを用いて構成される。例えば、送受信部24は、送信ロジック回路、シリアライザ回路、クロック多重化回路、増幅回路等を用いて構成された双方向ドライバが用いられる。
【0028】
第1の生成部25は、送受信部24から入力された受信データSYSDATAに基づいて、第1のクロック信号(以下、「イメージャークロック信号IMCLK」という)を生成し、この生成したイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力する。具体的には、第1の生成部25は、送受信部24から入力された受信データSYSDATAに含まれるデータの遷移タイミングを検出するためのクロックエッジに同期したイメージャークロック信号IMCLKを生成し、この生成したイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力する。なお、第1の生成部25の詳細の構成は、後述する。
【0029】
第2の生成部26は、第1の生成部25から入力されたイメージャークロック信号IMCLKに基づいて、画素部22およびAD変換部23を一定の基準タイミングで駆動するためのイメージャークロック信号IMCLK2を生成し、このイメージャークロック信号IMCLK2を画素部22およびAD変換部23へ出力する。第2の生成部26は、タイミングジェネレータ等を用いて構成される。
【0030】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置3の構成について説明する。
制御装置3は、送受信部31と、CDR(Clock Data Recovery)部32と、第3の生成部33と、制御部34と、を備える。
【0031】
送受信部31は、制御部34から入力されたデジタルのデータを、伝送ケーブル104を経由して撮像装置20へ送信し、かつ、撮像装置20から伝送ケーブル104を経由して受信したデジタルのデータをCDR部32へ出力する。例えば、送受信部31は、送信ロジック回路、シリアライザ回路、クロック多重化回路、増幅回路等を用いて構成された双方向ドライバが用いられる。
【0032】
CDR部32は、伝送ケーブル104を経由して撮像装置20から伝送された送信データからクロック信号とデータ信号とを分離し、分離したクロック信号(イメージャークロック信号IMCLK4)とデータ信号(受信データSYSDATA)とを制御部34へ出力する。イメージャークロック信号IMCLK4はイメージャー周波数に基づいて動作するイメージャークロック信号IMCLKまたは、イメージャークロック信号IMCLK2に基づいた信号であるため、制御部34は、送信データに含まれるイメージャークロック信号IMCLK4と内視鏡システム1を構成する各部の動作の基準となる基準クロック信号(以下、「システムクロック信号SYSCLK」という)との周波数の周波数偏差を検出し、この検出結果を送受信部31へ出力することができる。制御部34は、位相周波数比較器等を用いて構成される。
【0033】
第3の生成部33は、内視鏡システム1を構成する各部の動作の基準となるシステムクロック信号を生成し、このシステムクロック信号を制御部34へ出力する。第3の生成部33は、水晶発振器等の高い精度を有するクロックを基準として動作するクロックジェネレータ等を用いて構成される。即ち、システムクロック信号SYSCLKは、温度変化や電源電圧変動があっても、高い精度を維持し続ける信号である。
【0034】
制御部34は、メモリと、DSP(Digital Signal Processing)、FPGA(Field Programmable Gate Array)およびCPU(Central Processing Unit)等のいずれかのハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。制御部34は、内視鏡システム1を構成する各部を制御する。また、制御部34は、第3の生成部33から入力されるシステムクロック信号SYSCLKと、受信データSYSDATAおよびイメージャークロック信号IMCLK4に基づいて、画像データを表示装置4へ出力する。具体的には、制御部34は、第3の生成部33から入力され、システム周波数で動作するシステムクロック信号SYSCLKに同期して、動作し、CDR部32から入力された受信データSYSDATAをイメージャークロック信号IMCLK4のクロックエッジで取り込むと同時に、システムクロック信号SYSCLKに基づいたリフレッシュレートでリタイミングして画像データとして表示装置4へ出力する。また、制御部34は、CDR部32が検出したイメージャークロック信号IMCLK4(もしくはIMCLK)とシステムクロック信号SYSCLKとの周波数の周波数偏差が小さくなるデジタルの設定値を受信データSYSDATAに含めて送受信部31へ出力する。この設定値は、エラー訂正コードを含む。
【0035】
〔第1の生成部の構成〕
次に、第1の生成部25の詳細な構成について説明する。
図3は、第1の生成部25の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、第1の生成部25は、PLL部251と、レジスタ部252と、を有する。
【0037】
PLL部251は、送受信部24から受信データSYSDATAが入力され、イメージャークロック信号IMCLKの立ち下がりクロックの位相が同じとなるように位相調整を行ってイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力する。PLL部251は、位相周波数比較器2511と、チャージポンプ部2512と、スイッチ2513と、ループフィルタ部2514と、電圧制御発振器2515と、を有する。
【0038】
位相周波数比較器2511は、イメージャークロック信号IMCLKの立ち上がりエッジタイミングで、受信データSYSDATAの値をサンプリングし、イメージャークロック信号IMCLKと同期したリタイミングデータRE_DATAをレジスタ部252へ出力する。レジスタ部252で保持されたリタイミングデータRE_DATAは、撮像素子21内部の動作モード等の設定に用いられる。位相周波数比較器2511は、フリップフロップ回路とナンド回路等を用いて構成される。
【0039】
チャージポンプ部2512は、電源電圧VDDとグランドGNDとの間に設けられた定電流源2512aと、スイッチ2512bと、スイッチ2512cと、定電流源2512dと、コンデンサ2512eと、を有する。定電流源2512a、スイッチ2512b、スイッチ2512cおよび定電流源2512dは、電源電圧VDDとグランドGNDとの間に直列で設けられている。コンデンサ2512eは、一端側が定電流源2512a、スイッチ2512b、スイッチ2512cおよび定電流源2512dから電圧が出力される伝送路に接続され、他端側がグランドに接続される。チャージポンプ部2512は、受信データSYSDATAに対してイメージャークロック信号IMCLKの位相が遅れ、周波数が低い場合、位相周波数比較器2511から入力された入力信号に応じて、FMOS2512bがオン状態となり、入力信号の電圧を上げて出力する。さらに、チャージポンプ部2512は、受信データSYSDATAに対してイメージャークロック信号IMCLKの位相が遅れ、周波数が高い場合、位相周波数比較器2511から入力された入力信号に応じて、スイッチ2512cがオン状態となり、入力信号の電圧を下げて出力する。また、スイッチ2512bおよびスイッチ2512cは、例えばMOS-FET等を用いて構成される。
【0040】
スイッチ2513は、レジスタ部252の制御のもと、オンオフを切り替える。スイッチ2513は、一端側がチャージポンプ部2512に接続され、他端側がループフィルタ部2514に接続される。スイッチ2513は、例えばMOS-FET等を用いて構成される。
【0041】
ループフィルタ部2514は、スイッチ2513を経由して入力された入力信号の電圧に対して平滑化を行って電圧制御発振器2515へ出力する。ループフィルタ部2514は、例えばローパスフィルタ等を用いて構成される。具体的には、ループフィルタ部2514は、抵抗2514aと、コンデンサ2514bと、コンデンサ2514cと、を有する。抵抗2514aは、一端側がスイッチ2513と電圧制御発振器2515とを接続する伝送路に接続され、他端側がコンデンサ2514bに接続される。コンデンサ2514bは、一端側が抵抗2514aに接続され、他端側がグランドGNDに接続される。また、コンデンサ2514cは、一端側がスイッチ2513と電圧制御発振器2515とを接続する伝送路に接続され、他端側がグランドGNDに接続される。
【0042】
電圧制御発振器2515は、ループフィルタ部2514から入力された電圧に応じた周波数を有するイメージャークロック信号IMCLKを発生させ、このイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力し、かつ、レジスタ部252および位相周波数比較器2511へ出力する。
【0043】
レジスタ部252は、位相周波数比較器2511から入力されたリタイミングデータRE_DATAを電圧制御発振器2515から入力されたイメージャークロック信号IMCLKに同期したタイミングで順次保持し、この順次保持したリタイミングデータRE_DATAに基づいて、スイッチ2513のオンオフを制御、画素部22およびAD変換部23等の設定情報として用いる。
【0044】
〔第1の生成部の動作〕
次に、第1の生成部25の動作について説明する。
図4は、第1の生成部の動作を模式的に示すタイミングチャートを示す図である。
図4において、上段から(a)が受信データSYSDATAのタイミングを示し、(b)がイメージャークロック信号IMCLKのタイミングを示し、(c)がリタイミングデータRE_DATAのタイミングを示す。
【0045】
図4に示すように、第1の生成部25は、制御装置3からライン終了コマンド(例えば1011)が送信された場合において、位相周波数比較器2511がリタイミングデータRE_DATAとしてライン終了コマンド(例えば1011)を検出する。具体的には、第1の生成部25は、位相周波数比較器2511がイメージャークロック信号IMCLKの立ち上がりエッジタイミング(
図4の矢印A1,矢印A2)で、受信データSYSDATAの値をサンプリングし、イメージャークロック信号IMCLKと同期したリタイミングデータRE_DATAをレジスタ部252へ出力する。このとき、第1の生成部25は、スイッチ2513がオフ状態となり、ループフィルタ部2514が電圧を保持したまま、Down Link期間に移行する。
【0046】
即ち、第1の生成部25は、電圧制御発振器2515に対する供給電圧が一定のままDown Link期間に移行する。このDown Link期間において、撮像素子21は、イメージャークロック信号IMCLKの発振周波数を一定のまま維持した状態で、デジタルの画像信号を制御装置3へ出力する。
【0047】
続いて、撮像素子21は、画素部22における水平方向の1ライン分のデジタルの画像信号を制御装置3へ出力した後に、この出力した1ライン分の読み出し終了を示すコマンドを制御装置3へ出力する。このコマンド送信と同じタイミングで、図示しないチップ内部の機構によりレジスタ部252に保持されたデータの内の一部が更新され、スイッチ2513がオン状態(短絡状態)になり、Up Link期間へ移行する。
【0048】
このように、第1の生成部25は、画素部22における水平方向の1ライン分毎に、Down Link期間と、Up Link期間との間で、動作モードの状態遷移が繰り返される。これにより、外乱等により、イメージャークロック信号IMCLKの発振周波数が異常な値となり、撮像素子21が出力する画像信号に乱れが生じた場合であっても、画素部22における水平方向の1ライン毎にイメージャークロック信号IMCLKの発振周波数を正常な値に戻すための訂正コマンドを送信することができるので、1フレーム毎にしか訂正コマンドを送信できない従来の方式に比べて迅速に正常状態への回復が行える。この結果、1フレーム全体のデータが失われることを防止することができる。
【0049】
〔画像フォーマットの構成〕
次に、撮像素子21が出力する画像信号の画像フォーマットの構成について説明する。
図5は、画像フォーマットの構成を示す模式図である。
【0050】
図5に示すように、画像フォーマットF1は、少なくとも画素データ期間(Pixel Data)と、V-ブランキングデータ期間(V-Blanking Data)を有する。さらに、画像フォーマットF1は、1ライン毎に、スタートコード(Start Code)期間と、パケットヘッダー期間(Packet Header)と、エンドコード期間(End Code)と、コンフィギュレーションコード(Configuration Code)期間と、を有する。なお、画像フォーマットF1では、画素データ期間およびV-ブランキングデータ期間がライン読み出し期間に相当する。さらに、画像フォーマットF1では、スタートコード期間、パケットヘッダー期間およびエンドコード期間がサービスデータ読み出し期間に相当する。さらに、画像フォーマットF1では、コンフィギュレーションコード期間が命令書き込み期間に相当する。
【0051】
画像データ期間は、撮像素子21の画素部22に蓄積された受光量に応じたアナログの画素値をAD変換部23によってAD変換処理された結果を送受信部24によってDown Link方向(制御装置3へ送信する方向)に送信したデジタルの画像信号(第2の信号)である。また、画像データ期間を構成するデータには、制御装置3のCDR部32がDown Linkデータを検出するための基準タイミングを生成するためのクロックリカバリシンボルが所定の周期で含まれている。このようなデータ形式は自己クロック信号としても知られており、このクロックリカバリシンボルを含むデータとして、例えば8b(bit)/10b(bit)変換やマンチェスタ符号化等が使用されていてもよい。
【0052】
V-ブランキングデータ期間は、ランダムなダミーデータであってもよいし、制御装置3との同期を取るための制御信号を含むデータであってもよい。画像データおよびV-ブランキングデータは、制御装置3のCDR部32がDown Linkデータを検出するための基準タイミングを生成するためのクロックリカバリシンボルを所定の周期で含む。このようなデータ形式は、自己クロック信号としても知られており、このクロックリカバリシンボルを含むデータとして、例えば8b(bit)/10b(bit)変換やマンチェスタ符号化等が使用されていてもよい。
【0053】
コンフィギュレーションコードは、画像データおよびV-ブランキングデータと同様に、クロックリカバリシンボルを所定の周期で含む。
【0054】
このように構成された画像フォーマットF1に従って、送受信部24は、撮像素子21の露光期間またはフレームレート調整のために設けられたV―ブランキングデータ期間もDown Link方向にデータを送信する。また、制御部34は、Up Link期間中に、イメージャークロック信号IMCLKの周波数がシステムクロック信号SYS_CLKの周波数と同じになるようにデータをコンフィギュレーションコード期間に撮像素子21へ送信する。そして、第1の生成部25のPLL部251は、コンフィギュレーションコードで指示された周波数となるイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力する。
【0055】
このように構成された画像フォーマットF1によれば、PLL再ロックや、レジスタ設定を1ライン毎に行うことができるので、従来の1フレーム毎にPLL再ロックを行った技術と比べて、電気メス等の外乱ノイズが発生した場合であっても、エラー状態から敏速に回復することができる。
【0056】
以上説明した実施の形態1によれば、送受信部24が画素部22の1ライン毎にDown Link期間とUp Link期間とを切り替えて送信データと受信データSYSDATAとの送受信を時分割で行うので、電気メス等の外乱ノイズによりイメージャークロック信号IMCLKの発振周波数が異常な値となった場合でも1ライン毎にPLL再ロックを行うことができるので、1フレーム毎にしかPLL再ロックを実施できない従来の方式に比べて迅速に正常状態への回復を行うことができる。この結果、1フレーム全体のデータが失われることを防止することができる。
【0057】
また、実施の形態1によれば、送受信部24が1つの入主力パッドを経由して送信データおよび受信データSYSDATAの送受信を時分割で行うことによって、画像データの送信と設定信号との受信を1つの伝送ケーブル104で行うことができるので、内視鏡2の挿入部100の細径化を行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、上述した実施の形態1に係る第1の生成部25の構成のみが異なる。以下においては、実施の形態2に係る第1の生成部25の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
〔第1の生成部の構成〕
図6は、実施の形態2に係る第1の生成部の機能構成を示すブロック図である。
図6に示す第1の生成部25Aは、CDR部251Aと、レジスタ部252Aと、DA変換部253と、第2の電圧制御発振器254と、を有する。
【0060】
CDR部251Aは、送受信部24から受信データSYSDATAが入力され、後述する第3のクロック信号(以下、「信号CDRCLK」という)の立ち上がりエッジタイミングで、受信データSYSDATAの値をサンプリングし、信号CDRCLKと同期したリタイミングデータRE_DATAおよび信号CDRCLKの各々をレジスタ部252Aへ出力する。CDR部251Aは、上述した実施の形態1のチャージポンプ部2512およびループフィルタ2514と、位相周波数比較器2511Aと、第1の電圧制御発振器2515Aと、を有する。このため、チャージポンプ部2512およびループフィルタ2514の各々の詳細な説明は省略する。
【0061】
位相周波数比較器2511Aは、信号CDRCLKの立ち上がりエッジタイミングで、受信データSYSDATAの値をサンプリングし、信号CDRCLKと同期したリタイミングデータRE_DATAをレジスタ部252Aへ出力する。レジスタ部252Aで保持されたリタイミングデータRE_DATAは、撮像素子21内部の動作モード等の設定に用いられる。位相周波数比較器2511Aは、フリップフロップ回路とナンド回路等を用いて構成される。
【0062】
第1の電圧制御発振器2515Aは、ループフィルタ部2514から入力された電圧に応じた周波数を有する信号CDRCLKを発生させ、この信号CDRCLKを位相周波数比較器2511Aおよびレジスタ部252Aへ出力する。信号CDRCLKは、受信データSYSDATAのデータ抽出のタイミング決定のみに使用される。
【0063】
レジスタ部252Aは、位相周波数比較器2511Aから入力されたリタイミングデータRE_DATAを第1の電圧制御発振器2515Aから入力された信号CDRCLKに同期するタイミングで保持(ラッチ)する。レジスタ部252Aはスイッチ2513のオンオフを制御し、制御装置3側からRE_DATAとしてUp Link方向のライン終了コマンド(例えば1011)を受信するとスイッチ2513をオフさせ、第2の生成部26から図示しない機構によりDown Link方向のライン終了コマンドの発行を検知すると、スイッチ2513をオンさせる。また、レジスタ部252Aは、位相周波数比較器2511Aから入力されたリタイミングデータRE_DATAに応じたレジスタ値をDA変換部253へ出力する。
【0064】
DA変換部253は、レジスタ部252Aから入力されるレジスタ値に応じた電圧を第2の電圧制御発振器254へ出力する。
【0065】
第2の電圧制御発振器254は、DA変換部253から入力された電圧に応じた周波数を有するイメージャークロック信号IMCLKを発生させ、このイメージャークロック信号IMCLKを第2の生成部26へ出力する。
【0066】
〔第1の生成部の動作〕
次に、第1の生成部25Aの動作について説明する。
図7は、第1の生成部25Aの動作を模式的に示すタイミングチャートを示す図である。
図7において、上段から(a)が受信データSYSDATAのタイミングを示し、(b)がCDRCLKのタイミングを示し、(c)がリタイミングデータRE_DATAのタイミングを示す。
【0067】
図7に示すように、第1の生成部25Aは、制御装置3からライン終了コマンド(例えば1011)が送信された場合において、位相周波数比較器2511がリタイミングデータRE_DATAとしてライン終了コマンド(例えば1011)を検出する。具体的には、第1の生成部25Aは、位相周波数比較器2511がCDRCLKの立ち上がりエッジタイミング(
図7の矢印A1,矢印A2)で、受信データSYSDATAの値をサンプリングし、CDRCLKと同期したリタイミングデータRE_DATAをレジスタ部252Aへ出力する。このとき、第1の生成部25Aは、スイッチ2513がオフ状態となり、ループフィルタ部2514が電圧を保持したまま、Down Link期間に移行する。
【0068】
即ち、第1の生成部25Aは、第1の電圧制御発振器2515Aに対する供給電圧が一定のままDown Link期間に移行する。このDown Link期間において、撮像素子21は、イメージャークロック信号IMCLKの発振周波数を一定のまま維持した状態で、デジタルの画像信号を制御装置3へ出力する。続いて、撮像素子21は、画素部22における水平方向の1ライン分のデジタルの画像信号を制御装置3へ出力した後に、この出力した1ライン分の読み出し終了を示すコマンドを制御装置3へ出力する。このコマンド送信と同じタイミングで、図示しないチップ内部の機構によりレジスタ部252Aに保持されたデータの内の一部が更新され、この更新に伴い、スイッチ2513がオン状態(短絡状態)になり、Up Link期間へ移行する。制御装置3は、第1の生成部25Aから送信された制御コマンドを受信すると、撮像装置20に対してUp Link期間に必要なコンフィギュレーションコード等の送信を開始する。
【0069】
このように、第1の生成部25Aは、画素部22における水平方向の1ライン分毎に、Down Link期間と、Up Link期間との間で、動作モードの状態遷移が繰り返される。これにより、外乱等により、イメージャークロック信号IMCLKの発振周波数が異常な値となり、撮像素子21が出力する画像信号に乱れが生じた場合であっても、画素部22における水平方向の1ライン毎にイメージャークロック信号IMCLKの発振周波数を正常な値に戻すための訂正コマンドを送信することができるので、1フレーム毎にしか訂正コマンドを送信できない従来の方式に比べて迅速に正常状態への回復が行える。この結果、1フレーム全体のデータが失われることを防止することができる。
【0070】
以上説明した実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果を有するとともに、イメージャークロック信号IMCLKの発振周波数が外乱ノイズに対して、堅牢なデジタルコマンドにより制御されているので、より安定したイメージャークロック信号IMCLKを供給することができる。
【0071】
(実施の形態1,2の変形例1)
次に、実施の形態1,2の変形例1について説明する。
図8は、実施の形態1,2の変形例1に係る画像フォーマットを示す模式図である。
【0072】
図8に示すように、画像フォーマットF2において、Down Link期間の先頭部、Up Link期間の先頭部に夫々、第1のプリアンブル信号を出力する第1のプリアンブル期間および第2のプリアンブル信号を出力する第2のプリアンブル期間が設けられていてもよい。
【0073】
第1のプリアンブル信号は、制御装置3の送受信部31が撮像素子21側のクロック周波数と同期をとるために用いられる特定コードの羅列(例えばトグルコードコード101010101)と、データ先頭位置をサーチするためのインクリメーントデータ(例えば00、01、10、11)とで構成されている。
【0074】
第2のプリアンブル信号は、撮像装置20の送受信部24が制御装置3側のクロック周波数と同期をとるために用いられる特定コードの羅列(例えばトグルコードコード)と、データ先頭位置をサーチするためのインクリメーントデータとで構成されている。
【0075】
なお、画像フォーマットF2では、第1のプリアンブル期間、スタートコード期間、パケットヘッダー期間およびエンドコード期間がサービスデータ読み出し期間に相当し、第2のプリアンブル期間およびコンフィギュレーションコード期間が命令書き込み期間に相当する。
【0076】
以上説明した実施の形態1,2の変形例1によれば、上述した実施の形態1,2と同様の効果を有するのに加え、通信方向の切り替えが行われる毎に設けられたプリアンブル期間中に送受信されるプリアンブル信号に含まれるトグルコードコード部分により第1の生成部25,25AまたはCDR部32における受信調整を速やかに行える。また、プリアンブル期間中に送受信されるインクリメント信号部分により、受信したデータの先頭部分を容易に検出することが可能になる。即ち、制御装置3側、撮像装置20側の双方においてデジタル信号の送受信を確実に遂行できる。
【0077】
(実施の形態1,2の変形例2)
次に、実施の形態1,2の変形例2について説明する。
図9は、実施の形態1,2の変形例2に係る画像フォーマットを示す模式図である。
【0078】
図9に示すように、撮像素子21は、少なくとも所定の非画像データパターンの出力が所定の期間出力され続けるトレーニング期間(Training Phase)を行った後に、1ライン毎に画像データ、非画像データおよび命令データの入出力を繰り返す撮影期間(Shooting Phase)を行う。
【0079】
以上説明した実施の形態1,2の変形例2によれば、上述した実施の形態1,2と同様の効果を有する上に、トレーニング期間中に撮像装置20、または制御装置3の少なくとも一方において送受信するデータのエラーレートが小さくなるような動作条件を確立してから実際の撮影(画像データの送受信)が行われるので、送受信するデータのエラー耐性を更に高めることができる。
【0080】
(その他の実施の形態)
上述した本開示の実施の形態1,2に係る内視鏡システムに開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本開示の実施の形態に係る内視鏡システムに記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本開示の実施の形態に係る内視鏡システムで説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0081】
また、本開示の実施の形態1,2では、ライン読み出し期間、サービスデータ読み出し期間および命令書き込み期間の全てを差動デジタル通信によって送信データおよび受信データを時分割で送受信を行ってもよい。
【0082】
また、本開示の実施の形態1,2に係る内視鏡システムでは、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0083】
また、本開示の実施の形態1,2に係る内視鏡システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0084】
また、本開示の実施の形態1,2に係る内視鏡システムに実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0085】
なお、本明細書におけるタイミングチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてタイミング間の処理の前後関係を明示していたが、本実施の形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したタイミングチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0086】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 制御装置
4 表示装置
20 撮像装置
21 撮像素子
22 画素部
23 AD変換部
24,31 送受信部
25,25A 第1の生成部
26 第2の生成部
32,251A CDR部
33 第3の生成部
34 制御部
100 挿入部
101 先端部
102 基端側
103 操作部
104 伝送ケーブル
251 PLL部
252,252A レジスタ部
253 DA変換部
254 第2の電圧制御発振器
2511 位相周波数比較器
2512 チャージポンプ部
2512a,2512d 定電流源
2512b,2512c,2513 スイッチ
2512e,2514b,2514c コンデンサ
2514 ループフィルタ部
2514a 抵抗
2515
2515A 第1の電圧制御発振器
F1,F2 画像フォーマット
T1 入出力パッド