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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】圧縮機および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/00 20060101AFI20230209BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F04C23/00 F
F04C29/12 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020568879
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2019002635
(87)【国際公開番号】W WO2020157786
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】志田 勝吾
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/124156(WO,A1)
【文献】特開2008-274844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/00
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機構部と、前記複数の圧縮機構部を駆動する電動機部と、をケース内に収容する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体に支持され、上部に冷媒の導入部を有するアキュムレータと、
前記アキュムレータの底部を貫通し、一端側が前記アキュムレータの内部に開口し、他端側が前記ケースに設けられた3個の吸込口に接続される3本の吸入管と、を有し、
前記3本の吸入管は、第1吸入管と、第2吸入管と、第3吸入管であり、
前記3本の吸入管は、前記アキュムレータの底部を貫通する部分において、前記第1吸入管の第1流路断面の第1中心と、前記第2吸入管の第2流路断面の第2中心と、前記第3吸入管の第3流路断面の第3中心とが、前記アキュムレータの上方から見て3つの角度が全て鋭角な三角形の頂点に位置するように配置され、
前記第1吸入管は、前記第1中心と前記圧縮機本体の中心との第1距離が、前記第2中心と前記圧縮機本体の中心との第2距離および前記第3中心と前記圧縮機本体の中心との第3距離より短くなるように配置され、
前記第1吸入管の前記他端側は、前記3個の吸込口のうち最も上方に位置する第1吸込口に接続され、
前記3本の吸入管は、前記アキュムレータの下方から前記3個の吸込口に向かって湾曲する主曲管部を有し、
前記第1吸入管の前記主曲管部の中心軸が配置される第1仮想平面に対して、前記第2吸入管の前記主曲管部の中心軸が配置される第2仮想平面と、前記第3吸入管の前記主曲管部の中心軸が配置される第3仮想平面とが、相互に反対側に傾斜し
前記第3吸入管の前記他端側は、前記3個の吸込口のうち最も下方に位置する第3吸込口に接続され、
前記第1仮想平面に対する前記第2仮想平面の傾斜角度をθ2とし、前記第1仮想平面に対する前記第3仮想平面の傾斜角度をθ3としたとき、θ2≦θ3が成立し、
前記アキュムレータの中心が、前記第1仮想平面上で、且つ、前記アキュムレータの底面における前記第1中心と前記第2中心と前記第3中心を頂点とする三角形の内側に位置する、
圧縮機。
【請求項2】
前記第2吸入管および前記第3吸入管は、
前記アキュムレータの底部を貫通する上方直管部と、
前記ケースの吸込口に接続される下方直管部と、
前記上方直管部の下端から前記第1仮想平面に向かって湾曲する副曲管部と、
前記副曲管部と前記主曲管部との間に配置される中間直管部と、
を有する、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記第2中心と前記第3中心とを結ぶ直線と前記第1中心との距離をL1とし、前記第2中心と前記第3中心との距離をL2としたとき、L1<L2が成立する、
請求項1または2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第1吸入管の前記他端側の第1開口中心と前記第2吸入管の前記他端側の第2開口中心との前記圧縮機本体の中心軸に沿った距離をP1とし、前記第2吸入管の前記他端側の第2開口中心と前記第3吸入管の前記他端側の第3開口中心との前記圧縮機本体の中心軸に沿った距離をP2としたとき、L2<P1<P2が成立する、
請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記3個の吸込口は、前記アキュムレータの上方から見て前記第1仮想平面と重なるように配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機と、
前記圧縮機に接続された放熱器と、
前記放熱器に接続された膨張装置と、
前記膨張装置に接続された吸熱器と、を有する、
冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、圧縮機および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置は、気体冷媒を圧縮する圧縮機を有する。圧縮機は、圧縮機本体と、アキュムレータと、を有する。アキュムレータは、冷媒の気液分離を行って、気体冷媒を圧縮機本体に供給する。
圧縮機は、コンパクト化をすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-48032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、コンパクト化をすることができる圧縮機および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の圧縮機は、圧縮機本体と、アキュムレータと、3本の吸入管と、を持つ。圧縮機本体は、複数の圧縮機構部と、複数の圧縮機構部を駆動する電動機部と、をケース内に収容する。アキュムレータは、圧縮機本体に支持され、上部に冷媒の導入部を有する。3本の吸入管は、アキュムレータの底部を貫通し、一端側がアキュムレータの内部に開口し、他端側がケースに設けられた3個の吸込口に接続される。3本の吸入管は、第1吸入管と、第2吸入管と、第3吸入管である。3本の吸入管は、第1中心と、第2中心と、第3中心とが、アキュムレータの上方から見て3つの角度が全て鋭角な三角形の頂点に位置するように配置される。第1中心は、アキュムレータの底部を貫通する部分において、第1吸入管の第1流路断面の中心である。第2中心は、第2吸入管の第2流路断面の中心である。第3中心は、第3吸入管の第3流路断面の中心である。第1吸入管は、第1距離が、第2距離および第3距離より短くなるように配置される。第1距離は、第1中心と圧縮機本体の中心との距離である。第2距離は、第2中心と圧縮機本体の中心との距離である。第3距離は、第3中心と圧縮機本体の中心との距離である。第1吸入管の前記他端側は、3個の吸込口のうち最も上方に位置する第1吸込口に接続される。3本の吸入管は、アキュムレータの下方から3個の吸込口に向かって湾曲する主曲管部を有する。第1仮想平面に対して、第2仮想平面と、第3仮想平面とが、相互に反対側に傾斜している。第1仮想平面は、第1吸入管の主曲管部の中心軸が配置される平面である。第2仮想平面は、第2吸入管の主曲管部の中心軸が配置される平面である。第3仮想平面は、第3吸入管の主曲管部の中心軸が配置される平面である。第3吸入管の前記他端側は、3個の吸込口のうち最も下方に位置する第3吸込口に接続される。第1仮想平面に対する第2仮想平面の傾斜角度がθ2である。第1仮想平面に対する第3仮想平面の傾斜角度がθ3である。このとき、θ2≦θ3が成立する。アキュムレータの中心が、第1仮想平面上で、且つ、アキュムレータの底面における第1中心と第2中心と第3中心を頂点とする三角形の内側に位置する。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の圧縮機の断面図を含む冷凍サイクル装置の概略構成図。
図2】実施形態の圧縮機の平面図。
図3図1のF3-F3線における断面図。
図4図1のF4方向から見た外部吸入管の側面図。
図5図1の外部吸入管の周辺部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の圧縮機2および冷凍サイクル装置1を、図面を参照して説明する。
本願において、直交座標系のX方向、Y方向およびZ方向が以下のように定義される。X方向は圧縮機本体10とアキュムレータ50とが並ぶ方向であり、+X方向は圧縮機本体10からアキュムレータ50に向かう方向である。Z方向は圧縮機本体10の中心軸と平行な方向であり、+Z方向は圧縮機構部20から電動機部15に向かう方向である。Y方向はX方向およびZ方向に直交する方向である。例えば、X方向およびY方向は水平方向である。例えば、Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方である。
【0008】
冷凍サイクル装置1について簡単に説明する。
図1は、実施形態の圧縮機2の断面図を含む冷凍サイクル装置1の概略構成図である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、圧縮機2に接続された放熱器(例えば凝縮器)3と、放熱器3に接続された膨張装置(例えば膨張弁)4と、膨張装置4に接続された吸熱器(例えば蒸発器)5とを備えている。冷凍サイクル装置1は、R410A、R32、二酸化炭素(CO)等の冷媒を含む。冷媒は、相変化しながら冷凍サイクル装置1を循環する。
【0009】
圧縮機2は、いわゆるロータリ式の圧縮機である。圧縮機2は、例えば、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒(流体)を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。なお、圧縮機2の具体的な構成については後述する。
【0010】
放熱器3は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒から熱を放出させる。
膨張装置4は、放熱器3から送り込まれる高圧の冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の液体冷媒にする。
吸熱器5は、膨張装置4から送り込まれる低温・低圧の液体冷媒を気化させ、低圧の気体冷媒にする。吸熱器5において、低圧の液体冷媒が気化する際に周囲から気化熱を奪うことで周囲が冷却される。なお、吸熱器5を通過した低圧の気体冷媒は、上述した圧縮機2の内部に取り込まれる。
【0011】
このように、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒が気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環し、これらの放熱や吸熱を利用して暖房や冷房などが行われる。
【0012】
実施形態の圧縮機2について説明する。
圧縮機2は、圧縮機本体10と、アキュムレータ50と、を有する。
圧縮機本体10は、シャフト13と、シャフト13を回転させる電動機部15と、シャフト13の回転によって気体冷媒を圧縮する複数の圧縮機構部20と、これらシャフト13、電動機部15および圧縮機構部20を収容した円筒状のケース11と、を備えている。
【0013】
シャフト13は、圧縮機本体10の中心軸に沿って配置されている。
電動機部15は、シャフト13の+Z方向に配置される。電動機部15は、固定子15aと、回転子15bと、を有する。固定子15aは、ケース11の内周面に固定される。回転子15bは、シャフト13の外周面に固定される。電動機部15は、ケース11の内部でシャフト13を回転させる。
ケース11は、両端部が閉塞された円筒状に形成される。ケース11は、上端部に吐出部19を有する。吐出部19は、パイプにより形成され、ケース11の中心軸に沿って配置される。吐出部19は、上端部に吐出口を有する。吐出部19は、ケース11の内部の気体冷媒を吐出口から吐出する。
【0014】
複数の圧縮機構部20は、シャフト13の-Z方向に配置される。複数の圧縮機構部20は、例えば第1圧縮機構部21、第2圧縮機構部22および第3圧縮機構部23の、3個の圧縮機構部20を有する。第1圧縮機構部21、第2圧縮機構部22および第3圧縮機構部23は、この順番で+Z方向から-Z方向に並んで配置される。第1圧縮機構部21は、複数の圧縮機構部20のうち、最も上方の+Z方向に位置する。以下には、代表として第1圧縮機構部21の構成が説明される。第2圧縮機構部22および第3圧縮機構部23の構成は、偏心部32の偏心方向を除いて、第1圧縮機構部21と同様である。
【0015】
第1圧縮機構部21は、偏心部32と、ローラ33と、シリンダ35と、軸受17と、仕切板25と、を有する。
偏心部32は、シャフト13と一体で、円柱状に形成される。+Z方向から見て、偏心部32の中心は、シャフト13の中心軸から偏心している。
ローラ33は、円筒状に形成され、偏心部32の外周に沿って配置される。
【0016】
シリンダ35は、フレーム20aに固定される。フレーム20aの外周面は、ケース11の内周面に固定される。シリンダ35は、シリンダ室36と、ベーン(不図示)と、吸込孔38と、を有する。シリンダ室36は、内部に偏心部32およびローラ33を収容する。ベーンは、シリンダ35に形成されたベーン溝に収容され、シリンダ室36の内部に進退可能である。ベーンは、先端部がローラ33の外周面に当接するように付勢される。ベーンは、偏心部32およびローラ33とともに、シリンダ室36の内部を吸込室と圧縮室とに仕切る。吸込孔38は、シリンダ35の外周面からシリンダ室36にかけて形成される。吸込孔38は、気体冷媒をシリンダ室36の吸込室に導入する。ケース11には、吸込孔38に対向して第1吸込口26が設けられる。同様に、第2圧縮機構部22の吸込孔38に対向して第2吸込口27が設けられ、第3圧縮機構部23の吸込孔38に対向して第3吸込口28が設けられる。3個の吸込口26,27,28は、ケース11から径方向の外側に突出して形成される。
【0017】
軸受17および仕切板25は、シリンダ35のZ方向の両側に配置され、シリンダ室36のZ方向の両端部を閉塞する。軸受17および仕切板25は、シリンダ室36の圧縮室で圧縮された気体冷媒をケース11の内部に吐出する吐出孔を有する。
【0018】
第1圧縮機構部21の動作について説明する。
電動機部15がシャフト13を回転させると、シリンダ室36の内部で偏心部32およびローラ33が偏心回転する。ローラ33が偏心回転すると、シリンダ室36の吸込室に気体冷媒が吸い込まれ、圧縮室の気体冷媒が圧縮される。圧縮された気体冷媒は、軸受17および仕切板25の吐出孔から、ケース11の内部に吐出される。ケース11の内部の気体冷媒は、吐出部19からケース11の外部に吐出される。
【0019】
アキュムレータ50について説明する。
アキュムレータ50は、ケース51と、ストレーナプレート60と、複数の吸入管40とを有し、導入された冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離する。液体冷媒は、ケース51の底部に貯留され、気体冷媒は、複数の吸入管40を通って圧縮機本体10に供給される。
【0020】
ケース51は、両端部が閉塞された円筒状に形成される。ケース51は、+Z方向の第1ケース51aと、-Z方向の第2ケース51bとを、連結して形成される。ケース51の底部には、複数の吸入管40が貫通する貫通孔58が形成される。ケース51は、ブラケット55およびベルト56を介して、圧縮機本体10に支持される(図2参照)。
【0021】
ケース51は、冷媒の導入部59と、リテーナ52と、を有する。
導入部59は、ケース51の上端部に設けられる。導入部59は、パイプにより形成され、ケース51の中心軸に沿って配置される。
リテーナ52は、リング状に形成され、外周面がケース51の内周面に固定される。
【0022】
ストレーナプレート60は、ケース51の内部の+Z方向に配置され、導入部59から導入された冷媒に含まれる異物を捕捉する。
【0023】
複数の吸入管40について詳細に説明する。
複数の吸入管40は、第1吸入管41、第2吸入管42および第3吸入管43の、3本の吸入管である。3本の吸入管41,42,43は、ケース51の底部に形成された貫通孔58を貫通して設けられる。3本の吸入管41,42,43の+Z方向端部(一端側)は、ケース51の内部に開口する。3本の吸入管41,42,43の-Z方向端部(他端側)は、圧縮機本体10の3個の吸込口26,27,28に接続される。
【0024】
図2は、実施形態の圧縮機2の平面図である。図3は、図1のF3-F3線における断面図である。図3は、3本の吸入管41,42,43がアキュムレータ50のケース51の底部を貫通する部分の断面を示している。第1吸入管41の第1流路断面41sの第1中心41c、第2吸入管42の第2流路断面42sの第2中心42c、および第3吸入管43の第3流路断面43sの第3中心43cが、図3に示されるように定義される。第1中心41c、第2中心42cおよび第3中心43cは、+Z方向から見て三角形TRの頂点に位置する。これにより、3本の吸入管41,42,43が+Z方向から見て一列に並んで配置されている場合と比べて、3本の吸入管41,42,43が近接して配置される。したがって、アキュムレータ50がコンパクトになる。図3の例では、三角形TRが正三角形である。三角形TRの全ての内角は90度未満(鋭角)である。これにより、三角形TRの一つの内角が90度以上(鈍角)の場合と比べて、3本の吸入管41,42,43が近接して配置される。したがって、アキュムレータ50がコンパクトになる。
【0025】
アキュムレータ50がコンパクトになると、アキュムレータ50の構成部品として、2本の吸入管を有するアキュムレータの構成部品を流用することができる。
圧縮機本体10は、偏心部32およびローラ33の偏心回転に伴って振動する。アキュムレータ50がコンパクトになると、図2に示されるように、圧縮機本体10の中心10cとアキュムレータ50の中心50cとの距離が短くなる。これにより、圧縮機本体10の振動に伴うアキュムレータ50の振動が抑制される。
【0026】
図2に示されるように、第1中心41cと圧縮機本体10の中心10cとのX方向に沿った第1距離S1、第2中心42cと圧縮機本体10の中心10cとのX方向に沿った第2距離S2、および第3中心43cと圧縮機本体10の中心10cとのX方向に沿った第3距離S3が定義される。第1距離S1は、第2距離S2および第3距離S3より短い。言い換えれば、第1吸入管41は、第2吸入管42および第3吸入管43よりも、圧縮機本体10の近くに配置される。図2の例では、第2距離S2と第3距離S3とは等しい。
【0027】
図4は、図1のF4方向から見た外部吸入管の側面図である。前述された3個の吸込口26,27,28は、+Z方向、すなわち、アキュムレータ50の上方から見て後述される基準平面CSと重なるように配置される。3個の吸込口26,27,28は、+Z方向から見て同じ位置に配置される。3個の吸込口26,27,28は、同じ+X方向に向かって開口している。これにより、3本の吸入管41,42,43が、3個の吸込口26,27,28に対して、同じ+X方向から接続される。したがって、3本の吸入管41,42,43の接続作業が簡略化される。
【0028】
第1吸入管41の下端部(-Z方向および-X方向の端部)は、3個の吸込口26,27,28のうち、最も上方である+Z方向に位置する第1吸込口26に接続される。第3吸入管43の下端部は、最も下方である-Z方向に位置する第3吸込口28に接続される。第2吸入管42の下端部は、Z方向において第1吸込口26と第3吸込口28との中間に位置する第2吸込口27に接続される。
【0029】
図1に示されるように、3本の吸入管41,42,43はそれぞれ、内部吸入管41b,42b,43bと、外部吸入管41a,42a,43aと、端部吸入管41k、42k、43kと、を有する。内部吸入管41b,42b,43bは、ケース51の内部に配置される。外部吸入管41a,42a,43aは、ケース51の外部に配置される。内部吸入管41b,42b,43bと外部吸入管41a,42a,43aとは、ケース51の底部近傍で連結される。外部吸入管41a,42a,43aは、空気に触れるので、耐腐食性を有する銅材料等で形成される。内部吸入管41b,42b,43bは、空気に触れないので、低コストの鉄鋼材料等で形成される。なお、内部吸入管41b,42b,43bと外部吸入管41a,42a,43aとは、同じ材料で一体に形成されてもよい。
【0030】
内部吸入管41b,42b,43bは、直線状の中心軸を有する。内部吸入管41b,42b,43bの中心軸は、Z方向と平行であって、アキュムレータ50のケース51の中心軸と平行に配置される。内部吸入管41b,42b,43bの上端部(+Z方向の端部)は、ケース51の内部に開口する。内部吸入管41b,42b,43bの下部には、潤滑油の流出孔49が形成される。ケース51の下部に溜まった潤滑油は、少しずつ流出孔49から内部吸入管41b,42b,43bに流出する。
【0031】
端部吸入管41k、42k、43kは、直管状に形成される。端部吸入管41k、42k、43kの中心軸は直線状であり、X方向と平行に配置される。端部吸入管41k、42k、43kの+X方向の端部は、圧縮機本体10の3個の吸込口26,27,28の内側に配置される。端部吸入管41k、42k、43kの-X方向の端部は、3個のシリンダ35の吸込孔38の内側に配置される。端部吸入管41k、42k、43kは、圧縮機本体10の外側において、3個の吸込口26,27,28に対してロウ付け等により接続される。端部吸入管41k、42k、43kの内側には、外部吸入管41a,42a,43aの下端部が挿入される。これにより、3本の吸入管41,42,43が、3個のシリンダ35の吸込孔38に連結される。外部吸入管41a,42a,43aと端部吸入管41k、42k、43kとは、一体に形成されてもよい。
【0032】
第1吸入管41の下端側(-Z方向および-X方向の端部)の開口中心として、第1開口中心41pが定義される。具体的な第1開口中心41pは、端部吸入管41kの-X方向端部の開口中心である。同様に、第2吸入管42の下端側の開口中心として、第2開口中心42pが定義される。第3吸入管43の下端側の開口中心として、第3開口中心43pが定義される。第1開口中心41p、第2開口中心42pおよび第3開口中心43pは、後述される基準平面CSに含まれる。
【0033】
外部吸入管41a,42a,43aについて詳細に説明する。
図5は、図1の外部吸入管の周辺部分の拡大図である。第1吸入管41の外部吸入管41aは、上方直管部41dと、主曲管部41gと、下方直管部41hと、を有する。
上方直管部41dは、外部吸入管41aの上端部(+Z方向の端部)に配置される。上方直管部41dは、アキュムレータ50の底部を貫通する部分に配置される。上方直管部41dの中心軸41nは直線状であり、Z方向と平行に配置される。
下方直管部41hは、外部吸入管41aの下端部(-Z方向および-X方向の端部)に配置される。下方直管部41hは、端部吸入管41kとの接続部分に配置される。下方直管部41hの中心軸41nは直線状であり、X方向と平行に配置される。
【0034】
主曲管部41gは、上方直管部41dと下方直管部41hとの間に配置される。主曲管部41gは、アキュムレータ50の下方から第1吸込口26に向かって湾曲する。主曲管部41gの中心軸41nは、-Z方向に向かうほど-X方向に湾曲する曲線である。図4に示されるように、主曲管部41gの中心軸41nは、XZ平面と平行な平面内に配置される。主曲管部41gの中心軸41nが含まれる仮想平面として、基準平面(第1仮想平面)CSが定義される。第1吸入管41の中心軸41nの全体が、基準平面CSに含まれる。+Z方向及び+X方向から見て、第1吸入管41の主曲管部41gを含む全体が、基準平面CSと重なる。圧縮機本体10の3個の吸込口26,27,28は、+Z方向(アキュムレータ50の上方)から見て基準平面CSと重なる。
【0035】
第2吸入管42の外部吸入管42aは、上方直管部42dと、副曲管部42eと、中間直管部42fと、主曲管部42gと、下方直管部42hと、を有する。第2吸入管42の上方直管部42dは、第1吸入管41の上方直管部41dと同様に形成される。第2吸入管42の下方直管部42hは、第1吸入管41の下方直管部41hと同様に形成される。
【0036】
副曲管部42eは、上方直管部42dの-Z方向に配置される。副曲管部42eは、上方直管部42dの-Z方向の端部から基準平面CSに向かって湾曲する。副曲管部42eの中心軸42nは、-Z方向に向かうほど-Y方向に湾曲する曲線である。図5に示されるように、副曲管部42eの中心軸42nは、YZ平面と平行な平面内に配置される。
【0037】
中間直管部42fは、図4に示されるように、副曲管部42eの-Z方向に配置される。中間直管部42fは、副曲管部42eの-Z方向の端部から、-Z方向および-Y方向に伸びる。中間直管部42fの中心軸42nは直線状である。図5に示されるように、中間直管部42fの中心軸42nは、YZ平面と平行な平面内に配置される。
【0038】
中間直管部42fは、副曲管部42eと主曲管部42gとの間に配置される。すなわち、上方直管部42dと中間直管部42fとの間に副曲管部42eが配置される。中間直管部42fと下方直管部42hとの間に主曲管部42gが配置される。そのため、副曲管部42eおよび主曲管部42gの両端部の起点が明確になる。副曲管部42eは、上方直管部42dの-Z方向端部および中間直管部42fの+Z方向端部を基準に形成される。主曲管部42gは、中間直管部42fの-Z方向端部および下方直管部42hの+X方向端部を基準に形成される。したがって、副曲管部42eおよび主曲管部42gが精度よく低コストで形成される。
【0039】
主曲管部42gは、中間直管部42fの-Z方向に配置される。主曲管部42gは、アキュムレータ50の下方から第2吸込口27に向かって湾曲する。主曲管部42gの中心軸42nは、-Z方向に向かうほど-X方向に湾曲する曲線である。図4に示されるように、主曲管部42gは、中間直管部42fの-Z方向の端部から、-Z方向および-Y方向に伸びる。主曲管部42gの中心軸42nは、X方向と平行な平面内に配置される。主曲管部42gの中心軸42nが含まれる仮想平面として、第2仮想平面T2が定義される。第2仮想平面T2は、基準平面CSに対して傾斜している。
【0040】
第3吸入管43の外部吸入管43aは、上方直管部43dと、副曲管部43eと、中間直管部43fと、主曲管部43gと、下方直管部43hと、を有する。第3吸入管43の上方直管部43dは、第1吸入管41の上方直管部41dと同様に形成される。第3吸入管43の下方直管部43hは、第1吸入管41の下方直管部41hと同様に形成される。
【0041】
副曲管部43eは、上方直管部43dの-Z方向に配置される。副曲管部43eは、上方直管部43dの-Z方向の端部から基準平面CSに向かって湾曲する。副曲管部43eの中心軸43nは、-Z方向に向かうほど+Y方向に湾曲する曲線である。副曲管部43eの中心軸43nは、YZ平面と平行な平面内に配置される。
【0042】
中間直管部43fは、副曲管部43eの-Z方向に配置される。中間直管部43fは、副曲管部43eの-Z方向の端部から、-Z方向および+Y方向に伸びる。中間直管部43fの中心軸43nは直線状である。中間直管部43fの中心軸43nは、YZ平面と平行な平面内に配置される。
中間直管部43fは、副曲管部43eと主曲管部43gとの間に配置される。これにより、副曲管部43eおよび主曲管部43gが精度よく簡単に形成される。
【0043】
主曲管部43gは、中間直管部43fの-Z方向に配置される。主曲管部43gは、アキュムレータ50の下方から第3吸込口28に向かって湾曲する。主曲管部43gの中心軸43nは、-Z方向に向かうほど-X方向に湾曲する曲線である。主曲管部43gは、中間直管部43fの-Z方向の端部から、-Z方向および+Y方向に伸びる。主曲管部43gの中心軸43nは、X方向と平行な平面内に配置される。主曲管部43gの中心軸43nが含まれる平面として、第3仮想平面T3が定義される。第3仮想平面T3は、基準平面CSに対して傾斜している。
【0044】
図4に示されるように、基準平面CSに対して、第2仮想平面T2と第3仮想平面T3とは、相互に反対側に傾斜している。第2仮想平面T2は、第2開口中心42pにおいて基準平面CSと交差する。第2仮想平面T2は、第2開口中心42pから+Z方向および+Y方向に伸びる。第3仮想平面T3は、第3開口中心43pにおいて基準平面CSと交差する。第3仮想平面T3は、第3開口中心43pから+Z方向および-Y方向に伸びる。
【0045】
これにより、第1吸入管41が配置される基準平面CSに対して、第2吸入管42および第3吸入管43が相互に反対側に配置される。そのため、3本の吸入管41,42,43が効率的にレイアウトされる。これにより、コンパクト化のため第2吸入管42と第3吸入管43とを近づけて配置する場合でも、3本の吸入管41,42,43の干渉が回避される。また、吸入損失を低減するため3本の吸入管41,42,43の流路断面積を拡大する場合でも、3本の吸入管41,42,43の干渉が回避される。また、第2吸入管42の長さと第3吸入管43の長さとの差が小さくなり、吸入損失が平均化される。
【0046】
基準平面CSに対する第2仮想平面T2の傾斜角度がθ2である。基準平面CSに対する第3仮想平面T3の傾斜角度がθ3である。このとき、θ2=θ3が成立する。これにより、3本の吸入管41,42,43が効率的にレイアウトされる。なお、θ2<θ3が成立してもよい。これにより、第3吸入管43の主曲管部43gが、第2吸入管42の主曲管部42gから、-Z方向に遠ざかる。したがって、第3吸入管43の主曲管部43gと第2吸入管42の主曲管部42gとの干渉が回避される。
【0047】
図2に示されるように、第2中心42cと第3中心43cとを結ぶ直線と第1中心41cとの距離がL1である。第2中心42cと第3中心43cとの距離がL2である。このとき、L1<L2成立する。L2を大きくすることで、第2吸入管42と第3吸入管43との干渉が回避される。特に、第2吸入管42の主曲管部42gと第3吸入管43の主曲管部43gとの干渉が回避される。一方、L1を小さくすることで、3本の吸入管41,42,43が近接して配置され、アキュムレータ50がコンパクトになる。なお、第1吸入管41は、X方向において最も圧縮機本体10の近くに配置される。第1吸入管41は、Y方向において第2吸入管42と第3吸入管43との間に配置される。第1吸入管41は、Z方向において最も+Z方向の第1吸込口26に接続される。そのため、L1が小さくても、第2吸入管42および第3吸入管43と第1吸入管41との干渉が回避される。
【0048】
図5に示されるように、第1開口中心41pと第2開口中心42pとのZ方向に沿った距離がP1である。第2開口中心42pと第3開口中心43pとのZ方向に沿った距離がP2である。このとき、P1<P2が成立する。P2を大きくすることで、第2吸入管42と第3吸入管43との干渉が回避される。特に、第2吸入管42の主曲管部42gと第3吸入管43の主曲管部43gとの干渉が回避される。一方、P1を小さくすることで、圧縮機本体10がZ方向においてコンパクトになる。なお、第1吸入管41は、X方向において最も圧縮機本体10の近くに配置される。第1吸入管41は、Y方向において第2吸入管42と第3吸入管43との間に配置される。第1吸入管41は、Z方向において最も+Z方向の第1吸込口26に接続される。そのため、P1が小さくても、第2吸入管42および第3吸入管43と第1吸入管41との干渉が回避される。
【0049】
図2に示されるL2と図5に示されるP1との間には、L2<P1が成立する。圧縮機本体10のケース11の内部には、圧縮後の高圧の冷媒が封入される。P1を大きくすることで、第1吸込口26と第2吸込口27との中間部分が長くなり、同部分におけるケース11の断面積が大きくなる。したがって、ケース11の耐圧性が向上する。L2を小さくすることで、3本の吸入管41,42,43が近接して配置され、アキュムレータ50がコンパクトになる。なお、アキュムレータ50の内部には、圧縮前の低圧の冷媒が封入される。そのため、第2吸入管42と第3吸入管43との中間部分が短くても、アキュムレータ50の耐圧性が確保される。
【0050】
以上に詳述されたように、実施形態の圧縮機2は、3本の吸入管41,42,43を持つ。3本の吸入管41,42,43は、アキュムレータ50の下方から3個の吸込口26,27,28に向かって湾曲する主曲管部41g,42g,43gを有する。基準平面CSに対して、第2仮想平面T2と、第3仮想平面T3とが、相互に反対側に傾斜している。基準平面CSは、第1吸入管41の主曲管部41gの中心軸41nが配置される平面である。第2仮想平面T2は、第2吸入管42の主曲管部42gの中心軸42nが配置される平面である。第3仮想平面T3は、第3吸入管43の主曲管部43gの中心軸43nが配置される平面である。
【0051】
これにより、3本の吸入管41,42,43が効率的にレイアウトされる。コンパクト化のため第2吸入管42と第3吸入管43とを近づけて配置する場合でも、3本の吸入管41,42,43の干渉が回避される。吸入損失を低減するため3本の吸入管41,42,43の流路断面積を拡大する場合でも、3本の吸入管41,42,43の干渉が回避される。したがって、圧縮機2がコンパクト化される。
【0052】
第2吸入管42および第3吸入管43は、上方直管部42d,43dと、下方直管部42h,43hと、副曲管部42e,43eと、中間直管部42f,43fと、を有する。上方直管部42d,43dは、アキュムレータ50の底部を貫通する。下方直管部42h,43hは、ケース11の吸込口27,28に接続される。副曲管部42e,43eは、上方直管部42d,43dの下端から基準平面CSに向かって湾曲する。中間直管部42f,43fは、副曲管部42e,43eと主曲管部42g,43gとの間に配置される。
これにより、副曲管部42eおよび主曲管部42gの両端部の起点が明確になる。したがって、副曲管部42eおよび主曲管部42gが精度よく低コストで形成される。
【0053】
第2中心42cと第3中心43cとを結ぶ直線と第1中心41cとの距離がL1である。第2中心42cと第3中心43cとの距離がL2である。このとき、L1<L2が成立する。
L2を大きくすることで、第2吸入管42と第3吸入管43との干渉が回避される。L1を小さくすることで、3本の吸入管41,42,43の干渉を回避しつつ、3本の吸入管41,42,43が近接して配置される。したがって、アキュムレータ50がコンパクト化される。
【0054】
第1吸入管41の下端部(-Z方向および-X方向の端部)の第1開口中心41pと第2吸入管42の下端部の第2開口中心42pとのZ方向に沿った距離がP1である。第2吸入管42の下端部の第2開口中心42pと第3吸入管43の下端部の第3開口中心43pとのZ方向に沿った距離がP2である。このとき、L2<P1<P2が成立する。
P2を大きくすることで、第2吸入管42と第3吸入管43との干渉が回避される。P1を小さくすることで、3本の吸入管41,42,43の干渉を回避しつつ、圧縮機本体10がZ方向においてコンパクトになる。また、P1を大きくすることで、ケース11の耐圧性が向上する。L2を小さくすることで、アキュムレータ50の耐圧性を確保しつつ、3本の吸入管41,42,43が近接して配置される。したがって、アキュムレータ50がコンパクトになる。
【0055】
3個の吸込口26,27,28は、アキュムレータ50の上方から見て基準平面CSと重なるように配置される。
これにより、3本の吸入管41,42,43が、3個の吸込口26,27,28に対して、同じ方向から接続される。したがって、3本の吸入管41,42,43の接続作業が簡略化される。
【0056】
実施形態の冷凍サイクル装置1は、前述された圧縮機2と、放熱器3と、膨張装置4と、吸熱器5と、を有する。放熱器3は、圧縮機2に接続される。膨張装置4は、放熱器3に接続される。吸熱器5は、膨張装置4に接続される。
前述された圧縮機2は、コンパクト化される。したがって、コンパクト化された冷凍サイクル装置1が提供される。
【0057】
実施形態の基準平面CSは、主曲管部41gの中心軸41nを含む仮想平面として定義される。これに対して、基準平面CSは、図2に示されるように、圧縮機本体10の中心軸10zと、第1開口中心41p(図5参照)と、を含む平面として定義されてもよい。なお、圧縮機本体10の中心10cとアキュムレータ50の中心50cとを通る直線として、中心連結線CLが定義される。基準平面CSは、中心連結線CLを含むXZ平面として定義されてもよい。言い換えれば、基準平面CSは、圧縮機本体10の中心軸10zとアキュムレータ50の中心軸50zとを含む平面として定義されてもよい。
【0058】
第1吸入管41は、以下を満たすように配置される。図3に示されるように、+Z方向から見て、第1吸入管41の第1流路断面41sは、中心連結線CLと重なる。言い換えれば、第1吸入管41の第1流路断面41sは、基準平面CSと交差する。第1流路断面41sは、少なくとも一部が中心連結線CLと重なればよい。
【0059】
第2吸入管42および第3吸入管43は、以下を満たすように配置される。図3に示されるように、+Z方向から見て、第2吸入管42の第2流路断面42sおよび第3吸入管43の第3流路断面43sが、中心連結線CL(または基準平面CS)を挟んで相互に反対側に位置する。図3の例では、第2流路断面42sが中心連結線CLのY方向に位置し、第3流路断面43sが中心連結線CLのY方向に位置する。第2流路断面42sから中心連結線CLまでの第2離間距離と、第流路断面4sから中心連結線CLまでの第3離間距離とは、異なっていてもよい。図3の例では、第2離間距離と第3離間距離とが同じである。図3の例では、三角形TRが、中心連結線CLに対して線対称である。
【0060】
実施形態の第1吸入管41は、以下の構成を有する。第1吸入管41は、第2吸入管42および第3吸入管43よりも、圧縮機本体10の近くに配置される。+Z方向から見て、第1吸入管41の第1流路断面41sは、中心連結線CLと重なる。第1吸入管41は、3個の吸込口26,27,28のうち、最も上方に位置する第1吸込口26に接続される。+Z方向から見て、第1吸込口26は、中心連結線CLと重なる。
【0061】
これにより、第1吸入管41の長さが短くなる。そのため、第1吸入管41を流通する気体冷媒の熱損失が小さくなり、圧縮機2の効率が向上する。また、図1に示されるように、第1吸入管41は、2次元的に湾曲するだけの単純な形状になる。したがって、第1吸入管41の材料費および加工費が抑制される。
【0062】
実施形態の第2吸入管42および第3吸入管43は、以下の構成を有する。第2吸入管42および第3吸入管43は、第1吸入管41よりも、圧縮機本体10から遠くに配置される。+Z方向から見て、第2吸入管42の第2流路断面42sおよび第3吸入管43の第3流路断面43sは、中心連結線CLを挟んで相互に反対側に位置する。第3吸入管43は、最も下方に位置する第3圧縮機構部23の第3吸込口28に接続される。第2吸入管42は、Z方向の中間に位置する第2圧縮機構部22の第2吸込口27に接続される。+Z方向から見て、第2吸込口27および第3吸込口28は、中心連結線CLと重なる。
【0063】
これにより、図4に示されるように、第2吸入管42および第3吸入管43は、3次元的に湾曲する形状になる。この場合でも、圧縮機本体10から遠くに配置されるので、第2吸入管42および第3吸入管43の湾曲形状が緩やかに無理なく実現される。また、中心連結線CLを挟んで相互に反対側に位置するので、第2吸入管42および第3吸入管43の長さが必要以上に長くならない。したがって、第2吸入管42および第3吸入管43の材料費および加工費が抑制される。
【0064】
実施形態の圧縮機2は、いわゆるロータリ式の圧縮機である。これに対して、圧縮機2は、他の形式の圧縮機でもよい。
【0065】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、基準平面CSに対して、第2仮想平面T2と、第3仮想平面T3とが、相互に反対側に傾斜している。これにより、圧縮機2をコンパクト化することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
CS…基準平面(第1仮想平面)、S1…第1距離、S2…第2距離、S3…第3距離、TR…三角形、T2…第2仮想平面、T3…第3仮想平面、1…冷凍サイクル装置、2…圧縮機、3…放熱器、4…膨張装置、5…吸熱器、10…圧縮機本体、10c…中心、11…ケース、15…電動機部、21…第1圧縮機構部、22…第2圧縮機構部、23…第3圧縮機構部、26…第1吸込口、27…第2吸込口、28…第3吸込口、41…第1吸入管、41c…第1中心、41g…主曲管部、41n…中心軸、41p…第1開口中心、41s…第1流路断面、42…第2吸入管、42c…第2中心、42d…上方直管部、42e…副曲管部、42f…中間直管部、42g…主曲管部、42h…下方直管部、42n…中心軸、42p…第2開口中心、42s…第2流路断面、43…第3吸入管、43c…第3中心、43d…上方直管部、43e…副曲管部、43f…中間直管部、43g…主曲管部、43h…下方直管部、43n…中心軸、43p…第3開口中心、43s…第3流路断面、50…アキュムレータ、59…導入部。
図1
図2
図3
図4
図5